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特開2020-162310非接触給電システム、送電装置及び受電装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-162310(P2020-162310A)
(43)【公開日】2020年10月1日
(54)【発明の名称】非接触給電システム、送電装置及び受電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/90 20160101AFI20200904BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20200904BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20200904BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20200904BHJP
   B60L 53/126 20190101ALI20200904BHJP
   B60M 7/00 20060101ALN20200904BHJP
   B60L 5/00 20060101ALN20200904BHJP
【FI】
   H02J50/90
   H02J7/00 301D
   H02J50/80
   H02J50/12
   B60L53/126
   B60M7/00 X
   B60L5/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-59900(P2019-59900)
(22)【出願日】2019年3月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 有里
(72)【発明者】
【氏名】金森 崇
(72)【発明者】
【氏名】田渕 功
(72)【発明者】
【氏名】栂 修平
(72)【発明者】
【氏名】内野 昭
【テーマコード(参考)】
5G503
5H105
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA06
5G503GB06
5G503GB08
5G503GD02
5G503GD03
5G503GD04
5H105BA09
5H105BB05
5H105CC07
5H105CC19
5H105DD10
5H105EE15
5H105GG03
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC27
5H125BC22
5H125CC06
5H125EE21
5H125EE27
(57)【要約】
【課題】ユーザの手間を要することなく非接触給電の受電装置が送電装置から受電可能な位置にあるか否かを確認可能とする手段を提供する。
【解決手段】非接触給電システム1は、非接触給電を行う送電装置11と、送電装置11から給電を受ける受電装置12とを備える。送電装置11はテスト給電を行い、受電装置12は送電装置11からテスト給電を受けた場合、受電通知を無線で送信する。送電装置11は受電通知を受信した場合、本給電を開始する。また、送電装置11はテスト給電を行う前に予告通知を無線で送信し、受電装置12は予告通知を受信した場合、テスト給電の受電に備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触給電を行う送電装置と、前記送電装置から給電を受ける受電装置とを備える非接触給電システムであって、前記送電装置はテスト給電を行い、前記受電装置は前記送電装置からテスト給電を受けた場合、受電通知を無線で送信し、前記送電装置は受電通知を受信した場合、本給電を開始する非接触給電システム。
【請求項2】
前記送電装置はテスト給電を行う前に当該テスト給電の予告通知を無線で送信し、前記受電装置は予告通知を受信した場合、受電に備える
請求項1に記載の非接触給電システム。
【請求項3】
前記送電装置は自装置と同種の送電装置からテスト給電の予告通知を無線で受信した場合、当該予告通知の受信タイミングに基づき所定の規則で定まるタイミングで自装置が行うテスト給電の予告通知を無線で送信する
請求項2に記載の非接触給電システム。
【請求項4】
前記送電装置は、他の同種の送電装置とは異なる時間長のテスト給電を行い、前記受電装置は、テスト給電を受けた場合、当該テスト給電の時間長を示す受電通知を無線で送信する
請求項1又は2に記載の非接触給電システム。
【請求項5】
前記送電装置は、自装置の識別情報を変調した電磁波によりテスト給電を行い、前記受電装置は、テスト給電を受けた場合、当該テスト給電に用いられる電磁波から復調した前記送電装置の識別情報を示す受電通知を無線で送信する
請求項1又は2に記載の非接触給電システム。
【請求項6】
前記受電装置は、自装置が備えるバッテリの蓄電残量、前記バッテリの種別、及び、自装置の識別情報の少なくも1つを無線で送信する
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の非接触給電システム。
【請求項7】
受電装置に対し非接触給電を行う送電装置であって、テスト給電を行い、当該テスト給電を受けたことを示す受電通知を受電装置から無線で受信した場合、本給電を開始する送電装置。
【請求項8】
送電装置から非接触給電を受ける受電装置であって、送電装置からテスト給電を受けた場合、当該テスト給電を受けたことを示す受電通知を無線で送信する受電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触給電システム、送電装置及び受電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電動車両が普及しつつある。電動車両には、二次電池を搭載し、二次電池に蓄電した電力でモータを運転し走行するものがある。このような電動車両が搭載している二次電池に充電を行う方法として、非接触給電によるものがある。非接触給電により二次電池に充電を行う場合、給電線を車両に着脱する必要がないため、ユーザにとっての利便性が高い。
【0003】
非接触給電における送電装置(すなわち給電元の装置)は、電力の送電を行うにあたり、受電装置(すなわち給電先の装置)が受電可能な位置に存在することを確認する必要がある。受電装置が受電可能な位置に存在することを送電装置が確認する方法として、従来、光センサやカメラで撮影した画像等により、受電装置を搭載した車両(すなわち電動車両)が受電可能な所定位置にあるか否かを判定する方法が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、車両の所定位置に反射板を取り付け、車両が給電ポジションに駐車された場合に反射板に対向する位置に投・受光器を設置し、投・受光器が投光した光の反射光を測定することにより、車両が給電ポジションに駐車されているか否かを判定する仕組みが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−79029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の発明による場合、車両に取り付けられた反射板や駐車場等の給電施設に設置された投・受光器が汚れると、車両が給電ポジションに駐車されているか否かの判定が正しく行われない。従って、車両のユーザが反射板を清掃するとともに、給電施設の管理者が投・受光器を清掃する必要があり、メインテナンスの手間がかかる。
【0007】
本発明は、ユーザの手間を要することなく非接触給電の受電装置が送電装置から受電可能な位置にあるか否かを確認可能とする手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明は、非接触給電を行う送電装置と、前記送電装置から給電を受ける受電装置とを備える非接触給電システムであって、前記送電装置はテスト給電を行い、前記受電装置は前記送電装置からテスト給電を受けた場合、受電通知を無線で送信し、前記送電装置は受電通知を受信した場合、本給電を開始する非接触給電システムを第1の態様として提供する。
【0009】
第1の態様の非接触給電システムによれば、ユーザの手間を要することなく受電装置が送電装置から受電可能な位置にあるか否かを確認可能となる。
【0010】
第1の態様の非接触給電システムにおいて、前記送電装置はテスト給電を行う前に当該テスト給電の予告通知を無線で送信し、前記受電装置は予告通知を受信した場合、受電に備える、という構成が第2の態様として採用されてもよい。
【0011】
第2の態様の非接触給電システムによれば、受電装置はテスト給電の受電のために常時備える必要がない。
【0012】
第2の態様の非接触給電システムにおいて、前記送電装置は自装置と同種の送電装置からテスト給電の予告通知を無線で受信した場合、当該予告通知の受信タイミングに基づき所定の規則で定まるタイミングで自装置が行うテスト給電の予告通知を無線で送信する、という構成が第3の態様として採用されてもよい。
【0013】
第3の態様の非接触給電システムによれば、複数の送電装置からの予告通知が同じタイミングで送信されることがなく、受電装置での受信が不能となることを防止することができる。
【0014】
第1又は第2の態様の非接触給電システムにおいて、前記送電装置は、他の同種の送電装置とは異なる時間長のテスト給電を行い、前記受電装置は、テスト給電を受けた場合、当該テスト給電の時間長を示す受電通知を無線で送信する、という構成が第4の態様として採用されてもよい。
【0015】
第4の態様の非接触給電システムによれば、送電装置において、テスト給電後に自装置がテスト給電を行った時間長を示す受電通知が受信されるか否かにより、本給電を行うか否かの判断が可能となる。
【0016】
第1又は第2の態様の非接触給電システムにおいて、前記送電装置は、自装置の識別情報を変調した電磁波によりテスト給電を行い、前記受電装置は、テスト給電を受けた場合、当該テスト給電に用いられる電磁波から復調した前記送電装置の識別情報を示す受電通知を無線で送信する、という構成が第5の態様として採用されてもよい。
【0017】
第5の態様の非接触給電システムによれば、送電装置において、テスト給電後に自装置の識別情報を示す受電通知が受信されるか否かにより、本給電を行うか否かの判断が可能となる。
【0018】
第1乃至第5の態様の非接触給電システムにおいて、前記受電装置は、自装置が備えるバッテリの蓄電残量、前記バッテリの種別、及び、自装置の識別情報の少なくも1つを無線で送信する、という構成が第6の態様として採用されてもよい。
【0019】
第6の態様の非接触給電システムによれば、送電装置において、受電装置からの情報に応じて適切な給電を行うことが可能となる。
【0020】
また、本発明は、受電装置に対し非接触給電を行う送電装置であって、テスト給電を行い、当該テスト給電を受けたことを示す受電通知を受電装置から無線で受信した場合、本給電を開始する送電装置を第7の態様として提供する。
【0021】
第7の態様の送電装置によれば、ユーザの手間を要することなく受電装置が送電装置から受電可能な位置にあるか否かを確認可能となる。
【0022】
また、本発明は、送電装置から非接触給電を受ける受電装置であって、送電装置からテスト給電を受けた場合、当該テスト給電を受けたことを示す受電通知を無線で送信する受電装置を第8の態様として提供する。
【0023】
第8の態様の受電装置によれば、ユーザの手間を要することなく受電装置が送電装置から受電可能な位置にあるか否かを送電装置が確認可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】一実施形態に係る非接触給電システムが設置される駐車場を平面視した図。
図2】一実施形態に係る送電装置の構成を示すブロック図。
図3】一実施形態に係る受電装置と車両が備える動力関連の主要な装置の構成を示すブロック図。
図4】一実施形態に係る送電装置から受電装置に対する非接触給電が行われている状態を示した図。
図5】一実施形態に係る非接触給電システムが行う動作を示したシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[実施形態]
以下、本発明の実施形態に係る非接触給電システム1を説明する。図1は、非接触給電システム1が設置される駐車場Pを平面視した図である。
【0026】
駐車場Pには車室S1〜S4が設けられている。以下、車室S1〜S4を区別しない場合、それらを「車室S」と総称する。なお、本実施形態では駐車場Pには車室が4つ設けられているものとするが、駐車場Pに設けられる車室の数は3以下又は5以上であってもよい。
【0027】
非接触給電システム1は、車室S1〜S4の各々に配置されている送電装置11−1〜11−4と、車両に搭載されている受電装置を備える。図1は、2台の車両、すなわち、車両2−1、2−2が駐車場Pに入場してきた状態を例示している。以下、車両2−1、2−2を区別しない場合、それらを「車両2」と総称する。車両2−1、2−2には、受電装置12−1、12−2が各々搭載されている。以下、受電装置12−1、12−2を区別しない場合、それらを「受電装置12」という。
【0028】
送電装置11は非接触給電を行い、受電装置12は送電装置11から非接触の給電を受けることができる。本実施形態において、送電装置11から受電装置12に対し行われる非接触給電は、例えば電磁誘導方式に従うものとするが、磁気共鳴方式、マイクロ波放電方式等の他の方式が採用されてもよい。
【0029】
図2は、送電装置11の構成を示すブロック図である。送電装置11は、送電コイル111、制御部112、電力変換部113、無線通信部114を備えている。送電装置11は、交流電源30から交流電力の供給を受けて動作する。
【0030】
送電コイル111は、車室Sの地面に設置されている。図1において、送電コイル111は、車室S1〜S4の中央付近に丸で示されている。制御部112、電力変換部113、無線通信部114は、例えば1つの筐体に収容され、車両2の駐車を妨げない位置に配置されている。以下、1つの筐体に収容された制御部112、電力変換部113、無線通信部114を便宜的に「送電装置11の本体」という。図1において、送電装置11の本体は、車室S1〜S4の奥側に四角で示されている。
【0031】
電力変換部113は、交流電源30から供給される交流電力を、高周波の交流電力に変換し、送電コイル111へ供給する。
【0032】
送電コイル111は、電力変換部113から供給される高周波の交流電力により電磁波を発生する。
【0033】
制御部112は、マイクロコンピュータにより構成され、電力変換部113、無線通信部114の動作を制御する。
【0034】
無線通信部114は後述する受電装置12の無線通信部124との間で無線通信を行う。本実施形態において、無線通信部114と無線通信部124はBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)に従い無線通信を行うものとするが、BLE以外の無線通信プロトコルが用いられてもよい。
【0035】
図3は、受電装置12と車両2が備える動力関連の主要な装置の構成を示すブロック図である。受電装置12は、受電コイル121、制御部122、充電部123、無線通信部124を備えている。
【0036】
受電コイル121は、車両2のシャーシの下面に設置されている。車両2がいずれかの車室Sの所定位置に駐車された場合、受電コイル121は、送電装置11の送電コイル111と対向する位置(以下、この位置を「受電位置」という)となる。受電コイル121は、受電位置において送電コイル111が生成する電磁波を受けて高周波の交流電力を発生する。
【0037】
制御部122は、マイクロコンピュータにより構成され、充電部123、無線通信部124を制御する。充電部123は、受電コイル121が発生する高周波の交流電力を直流電力に変換し、バッテリ41に供給する。無線通信部124は、送電装置11の無線通信部114との間で無線通信を行う。
【0038】
バッテリ41は二次電池であり、車両2を動作させるための電力を供給する電源としての役割を果たす。インバータ42は、バッテリ41から供給される直流電力を交流電力に変換し、モータ43に供給する。モータ43は、インバータ42から供給される交流電力により運転し、車両2を駆動する。
【0039】
図4は、受電コイル121が受電位置となる位置に車両2が駐車され、送電装置11から受電装置12に対する非接触給電が行われている状態を示した図である。
【0040】
非接触給電が行われるためには、図4に示されるように、車両2に設けられた受電コイル121が、車室Sに設置された送電コイル111の真上に位置する必要がある。この状態で、送電装置11の本体から送電コイル111に高周波の交流電力が供給され、この交流電力が電磁誘導作用によって受電コイル121に非接触で送電される。受電コイル121に送電された交流電力は、受電装置12の本体により直流電力に変換され、バッテリ41に蓄積される。
【0041】
本実施形態において、送電装置11から受電装置12に対し行われる給電は、テスト給電と本給電の二種類に区分される。本給電は、送電装置11から受電装置12に対しバッテリ41を充電するための電力を供給するための給電である。一方、テスト給電は、本給電を開始する前に、受電コイル121が受電位置にあるか否かを確認するための給電である。
【0042】
テスト給電の出力の大きさは、受電装置12がテスト給電を受けたか否かが判定可能であればいずれの大きさでもよい。従って、テスト給電の出力の大きさは、本給電の出力の大きさと必ずしも一致する必要はなく、例えば、テスト給電の出力が本給電の出力より小さくてもよい。
【0043】
また、本実施形態において、送電装置11と受電装置12の間では、予告通知と受電通知が通信される。予告通知は、送電装置11から受電装置12に対しテスト給電を行うことを予告する通知である。受電通知は、受電装置12から送電装置11に対し受電装置12がテスト給電を受けた、という通知である。
【0044】
本実施形態において、送電装置11は予告通知を送信した後、テスト給電を行う。受電装置12は予告通知を受信すると、テスト給電の受電のために待機し、所定時間の経過前にテスト給電を受けたと判定した場合、送電装置11に受電通知を送信する。送電装置11は、いずれかの受電装置12から受電通知を受信した場合、本給電を開始する。なお、受電装置12は、例えば制御部122によって、受電コイル121から充電部123に供給される電力の大きさを検知し、検知した電力の大きさがテスト給電に応じた所定範囲内であるか否かに基づきテスト給電を受けたか否かを判定する。
【0045】
また、本実施形態においては、複数の送電装置11が同時にテスト給電を行わない。従って、複数の車室Sに車両2が駐車されていても、それらの車両2に同時にテスト給電が行われることはなく、2以上の受電装置12が同時に受電通知を送信することはない。そのため、送電装置11は、自装置の上に給電に備えている受電装置12があるか否かを常に正しく判定することができる。
【0046】
本実施形態においては、複数の送電装置11が同時にテスト給電を行わないように、送電装置11の各々は、他の送電装置11から予告通知を受信した場合、予告通知の受信タイミングに基づき所定の規則で定まるタイミングで自装置が行うテスト給電の予告通知を送信する。
【0047】
具体的には、例えば、送電装置11−2は送電装置11−1が送信する予告通知の受信後に所定時間が経過したタイミングで予告通知を送信し、送電装置11−3は送電装置11−2が送信する予告通知の受信後に所定時間が経過したタイミングで予告通知を送信し、送電装置11−4は送電装置11−3が送信する予告通知の受信後に所定時間が経過したタイミングで予告通知を送信し、送電装置11−1は送電装置11−4が送信する予告通知の受信後に所定時間が経過したタイミングで予告通知を送信する。その結果、送電装置11−1〜送電装置11−4が巡回的に順次、所定時間の経過毎にテスト給電を行うことになる。
【0048】
上記の所定時間は、例えば、送電装置11による予告通知の送信タイミングから、受電装置12による受電通知の送信タイミングまでに通常要する時間に、余裕を持たせるための時間を加えた時間である。
【0049】
図5は、送電装置11から受電装置12に対する非接触給電が行われる際に非接触給電システム1が行う動作を示したシーケンス図である。図5のシーケンス図は、例として、車両2−1が車室S1に駐車され、車両2−2が車室S4に駐車され、それらの車両2の受電装置12の両方が受電可能な状況下において、送電装置11−1、受電装置12−1及び受電装置12−2が行う動作のシーケンスを示している。なお、受電装置12が受電可能な状況とは、例えば、モータ43が運転しておらず、バッテリ41の蓄電容量に対する蓄電残量の比率が所定の閾値以下であり、受電装置12が受電中でない状況である。
【0050】
送電装置11−1は、送電装置11−4がブロードキャスト送信した予告通知の受信から所定時間が経過すると、予告通知をブロードキャスト送信する(ステップS501)。ステップS501において送信される予告通知には、送電装置11−1の識別情報(以下、「送電装置ID−1」という)が含まれている。この場合、予告通知は、受電装置12−1と受電装置12−2の各々により受信される。
【0051】
受電装置12−1は、予告通知を受信すると、応答通知をブロードキャスト送信する(ステップS502)。ステップS502において送信される応答通知には送電装置ID−1が含まれる。
【0052】
受電装置12−2は、予告通知を受信すると、応答通知をブロードキャスト送信する(ステップS503)。ステップS503において送信される応答通知には送電装置ID−1が含まれる。
【0053】
受電装置12−1は、応答通知を送信した後、テスト給電の受電に備える(ステップS504)。同様に、受電装置12−2は、応答通知を送信した後、テスト給電の受電に備える(ステップS505)。
【0054】
送電装置11−1は、受電装置12−1、12−2の各々から送信された応答通知を受信すると、応答通知に送電装置ID−1が含まれていることを確認した後、テスト給電を行う(ステップS506)。なお、駐車場P内に受電可能な車両2が1台もない場合、送電装置11−1はステップS501において予告通知を送信した後、所定時間内に応答通知を受信することはない。その場合、図5に示されるステップS506以降の処理は行われない。
【0055】
ステップS506において送電装置11−1が行うテスト給電は、この場合、受電装置12−1により受電される。受電装置12−1は、テスト給電を受電すると、受電通知をブロードキャスト送信する(ステップS507)。ステップS507において送信される受電通知には、送電装置ID−1と、受電装置12−1の識別情報(以下、「受電装置ID−1」という)が含まれる。
【0056】
受電装置12−1は、受電通知を送信した後、送電装置ID−1により識別される送電装置11−1との間で通信接続の確立を試みる(ステップS508)。
【0057】
送電装置11−1は、受電装置12−1から送信された受電通知を受信すると、受電通知に送電装置ID−1が含まれていることを確認した後、受電通知に含まれる受電装置ID−1により識別される受電装置12−1との間で通信接続の確立を試みる(ステップS509)。
【0058】
ステップS508及びS509の試みにより、送電装置11−1と受電装置12−1の間で通信接続が確立されると、受電装置12−1は自装置のステイタスを示すステイタスデータを送電装置11−1に送信する(ステップS510)。本実施形態において、ステイタスデータは、例えば、車両2−1が備えるバッテリ41の蓄電残量、バッテリ41の蓄電容量及びバッテリ41の種別を示す。受電装置12−1は、ステイタスデータを送信した後、本給電に備える(ステップS511)。
【0059】
送電装置11−1は、受電装置12−1から送信されたステイタスデータを受信すると、ステイタスデータが示すバッテリ41の蓄電容量等に基づき、本給電のパラメータを決定する(ステップS512)。本実施形態において、本給電のパラメータは、例えば、バッテリ41の種別に応じて決定される電力出力のレベルと、バッテリ41の蓄電容量及び蓄電残量に応じて決定される給電の予定時間である。なお、給電の予定時間は、例えば、バッテリ41が満充電されるまでに要する時間である。
【0060】
送電装置11−1は、ステップS512において決定したパラメータに従い、本給電を行う(ステップS513)。受電装置12−1は、本給電を受電して、バッテリ41に対する充電を行う(ステップS514)。
【0061】
ステップS513の本給電と、ステップS514の受電及び充電は、例えば、ステップS512において決定された給電の予定時間が経過するか、もしくは、車両2−1が車室S1から退出した場合に終了する。車両2−1が車室S1から退出する場合、車両2−1のモータ43が運転する。受電装置12−1は、受電中にモータ43の運転の開始を検知すると受電を停止し、送電装置11−1に停止通知を送信する。送電装置11−1は、停止通知を受信すると給電を停止する。
【0062】
なお、送電装置11−1は、受電装置12−1に対し本給電を行っている間は、ステップS501の予告通知の送信は順番が回ってきても行わない。この場合、送電装置11−2は、送電装置11−1からの予告通知を受信しないため、送電装置11−4又は送電装置11−3からの予告通知の受信タイミングから自装置の予告通知の送信タイミングを決定する。
【0063】
また、受電装置12−1は、送電装置11−1から本給電を受電している間は、いずれかの送電装置11から送信された予告通知を受信してもステップS502の応答通知の送信は行わない。
【0064】
上記した非接触給電システム1によれば、ユーザが何ら操作を行わなくても、車室Sに駐車された車両2のバッテリ41に充電が行われる。
【0065】
[変形例]
上述の実施形態は様々に変形され得る。以下に、それらの変形の例を示す。なお、以下に示す2以上の変形例が適宜組み合わされてもよい。
【0066】
(1)上述の実施形態においては、複数の送電装置11は時分割で順番にテスト給電を行い、同時にテスト給電を行わない。これに代えて、複数の送電装置11が同時にテスト給電を行う構成が採用されてもよい。
【0067】
この変形例において、例えば、複数の送電装置11は各々、異なる時間長でテスト給電を行う。受電装置12は、テスト給電を受けた時間長を計測し、計測した時間長を示す受電通知をブロードキャスト送信する。複数の送電装置11の各々は複数の受電装置12の各々から同時に受電通知を受信しても、それらの受電通知が示す時間長によって、自装置が行ったテスト給電に応じた受電通知であるか否かを判定することができる。
【0068】
また、テスト給電の時間長を異ならせる方法に代えて、送電装置11が自装置の識別情報(送電装置ID)を変調した電磁波を用いてテスト給電を行い、受電装置12が受電したテスト給電に用いられた電磁波から送電装置IDを復調し、その送電装置IDにより自装置にテスト給電を行った送電装置11を識別してもよい。この場合、受電装置12は電磁波から復調した送電装置IDを示す受電通知を送信する。
【0069】
(2)上述の実施形態においては、送電装置11は駐車場P内に車両2が駐車されているか否かにかかわらず、予告通知を所定時間の経過毎に送信する。これに代えて、非接触給電システム1が、駐車場P内に入退場する車両2を検知する検知装置を備え、送電装置11が、検知装置による検知結果に基づき、駐車場P内に車両2(例えば、給電中又は給電終了のものを除く)がある場合に限り、予告通知の送信を行う構成が採用されてもよい。この変形例によれば、無駄なブロードキャスト送信が低減される。
【0070】
例えば、駐車場Pの出入口に設置されたゲートにより車両2の入退場が制限されている場合、いずれかの車両2が駐車場Pにある場合に限り、送電装置11による予告通知のブロードキャスト送信が行われる構成が採用されてもよい。
【0071】
また、例えば、複数の車室Sの各々に、駐車された車両2の車番を認識するための画像を撮影するカメラが配置されている場合、カメラで撮影した画像から車両2が認識されている間に限り、その車室Sに設置された送電装置11が予告通知をブロードキャスト送信する、という構成が採用されてもよい。
【0072】
(3)上述の実施形態において、送電装置11又は受電装置12がブロードキャスト送信するものとした通信の少なくとも一部が、ブロードキャスト送信ではなく通信接続を介して行われてもよい。例えば、受電装置12が応答通知に自装置の受電装置IDを含めるようにして、応答通知を受信した送電装置11と応答通知の送信元の受電装置12との間で通信接続の確立が行われてもよい。この場合、受電装置12は受電通知をブロードキャスト送信ではなく、送電装置11との間で確立した通信接続を介して送信することができる。
【0073】
(4)受電装置12が送電装置11に送信するステイタスデータが示す情報は、上述の実施形態のものに限定されない。例えば、バッテリ41の蓄電容量及びバッテリ41の種別は、車両2の車種又は車番により識別可能な場合がある。その場合、受電装置12は、バッテリ41の蓄電容量及びバッテリ41の種別に代えて、車両2の種別(車種)又は車番を示すステイタスデータを送信する。送電装置11は、様々な車種又は車番に応じたバッテリ41の蓄電容量及び種別を示すデータを記憶し、受電装置12から送信されたステイタスデータが示す車種又は車番に応じたバッテリ41の蓄電容量及び種別を特定し、本給電のパラメータの決定に用いる。
【0074】
(5)上述の実施形態において、図5で示したシーケンスは例示であって、適宜変更されてよい。例えば、受電装置12がステイタスデータを送電装置11に送信するタイミングは、予告通知に応じて応答通知を送信するタイミング等であってもよい。
【0075】
(6)上述の実施形態においては、テスト給電を受電しなかった受電装置12は何らの通知も送信しないものとしたが、予告通知を受信した後、所定時間が経過する前にテスト給電を受電しなかった受電装置12が、テスト給電を受電しなかったことを示す非受電通知を送信してもよい。
【0076】
(7)上述の実施形態においては、複数の送電装置11が同時にテスト給電を行わないように、1つの送電装置11が送信した予告通知を他の送電装置11が受信した後に、所定時間が経過した後、次の送電装置11が予告通知を送信する、という方法が採用されている。これに代えて、複数の送電装置11が時刻の同期が行われた時計を備え、互いに異なる時刻に予告通知の送信を行う構成が採用されてもよい。
【0077】
(8)上述の実施形態における予告通知と応答通知の送受信は必須ではない。受電装置12が常時、テスト給電を受電可能であれば、送電装置11は予告通知を送信することなくテスト給電を行える。
【0078】
(9)上述の実施形態においては、送電装置11がテスト給電を行うトリガは受電装置12からの応答通知の受信であるものとしたが、送電装置11がテスト給電を行うトリガはこれに限られない。例えば、送電装置11が、いずれかの受電装置12と通信接続を確立したことをトリガにテスト給電を行ってもよい。
【0079】
(10)上述の実施形態においては、送電装置11は本給電の予定時間として、バッテリ41が満充電されるまでに要する時間を用いるものとした。本給電が行われる予定時間は、バッテリ41が満充電されるまでに要する時間に限られない。例えば、駐車場P内の給電可能な車両2の数に応じて給電の予定時間が決定されてもよい。また、バッテリ41の満充電までに要する時間が閾値の時間を超過する場合は、閾値の時間が給電の予定時間とされてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1…非接触給電システム、2…車両、11…送電装置、12…受電装置、30…交流電源、41…バッテリ、42…インバータ、43…モータ、111…送電コイル、112…制御部、113…電力変換部、114…無線通信部、121…受電コイル、122…制御部、123…充電部、124…無線通信部。
図1
図2
図3
図4
図5