【解決手段】サーモエレメント20のピストン23をガイド部22aの端部から突出及び没入可能に設ける。冷媒を流す弁ポート13を弁体3で開閉する弁装置本体10を備える。弁体3を含む構造部をダイヤフラム43にて密閉封止する。上ケース42の円筒部42aによりサーモエレメント20のガイドケース22、ピストン23及び感温部側基部21bを収容する。サーモエレメント20の感温部21aを円筒部42aから露出させる。感温部21aを熱伝導率の高い銅材とし、上ケース42(円筒部42a)を熱伝導率の低いステンレス製とする。
温度変化に応じて膨張収縮する熱膨張体が充填された感温部と前記熱膨張体の体積変化により軸線方向に移動する作動軸とを有するサーモエレメントと、前記作動軸から伝達される前記軸線方向の押圧力により弁体を移動して冷媒を流す弁ポートを該弁体で開閉する弁装置本体と、を備えた温度感応型制御弁であって、
前記サーモエレメントの前記感温部を露出するとともに前記作動軸を含む該サーモエレメントの一部を覆うカバーケースを備え、前記感温部は熱伝導率が高い部材で構成されるとともに、前記カバーケースは前記感温部よりも熱伝導率の低い部材で構成されていることを特徴とする温度感応型制御弁。
前記弁装置本体には、前記弁体を含む構造部が密封部材にて密閉封止されるとともに前記軸線方向の機械的な押圧力を前記密封部材を介して前記弁体に伝達する操作部が形成され、
前記密封部材は前記感温部よりも熱伝導率の低い部材で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の温度感応型制御弁。
前記操作部は前記密封部材の前記作動軸側に配置された作動軸側当金を備え、前記作動軸側当金は前記感温部よりも熱伝導率の低い部材で構成されていることを特徴とする請求項2に記載の温度感応型制御弁。
前記感温部は銅材であり、前記感温部よりも熱伝導率の低い部材は、ステンレス、鉄、アルミニウム、黄銅または樹脂のうちの何れかの部材であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の温度感応型制御弁。
前記感温部はアルミニウムであり、前記感温部よりも熱伝導率の低い部材は、ステンレス、鉄、黄銅または樹脂のうちの何れかの部材であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の温度感応型制御弁。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、冷却水(冷媒)により冷却を行うようにしているが、サーバ等の機器では、動作状態に応じて発生する熱量が大きく変化する。このため、熱源が設定温度に達した場合、即時に弁ポートを大きく開き、冷却に必要な冷媒量を即時に流して、熱源を迅速に冷却することが要求される。これに対して、サーモエレメントによって熱源の温度を感知し、このサーモエレメントの作動力を弁装置本体の操作部に加えて弁装置本体の弁を開閉することが考えられている。しかし、このような場合、サーモエレメントに対する雰囲気温度や冷媒の温度等の外乱の影響を考慮する必要がある。
【0005】
本発明は、冷却を必要とする熱源を冷却する冷却装置の冷媒供給用の配管に設けられ、熱源の温度変化をサーモエレメントで感知して冷媒を供給する温度感応型制御弁において、周囲の雰囲気温度や冷媒の温度の影響を低減することで、温度感知対象の温度変化を正確にとらえて設定した温度で弁開し、かつ迅速に追従できる温度感応型制御弁を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の温度感応型制御弁は、温度変化に応じて膨張収縮する熱膨張体が充填された感温部と前記熱膨張体の体積変化により軸線方向に移動する作動軸とを有するサーモエレメントと、前記作動軸から伝達される前記軸線方向の押圧力により弁体を移動して冷媒を流す弁ポートを該弁体で開閉する弁装置本体と、を備えた温度感応型制御弁であって、前記サーモエレメントの前記感温部を露出するとともに前記作動軸を含む該サーモエレメントの一部を覆うカバーケースを備え、前記感温部は熱伝導率が高い部材で構成されるとともに、前記カバーケースは前記感温部よりも熱伝導率の低い部材で構成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2の温度感応型制御弁は、請求項1に記載の温度感応型制御弁であって、前記弁装置本体には、前記弁体を含む構造部が密封部材にて密閉封止されるとともに前記軸線方向の機械的な押圧力を前記密封部材を介して前記弁体に伝達する操作部が形成され、前記密封部材は前記感温部よりも熱伝導率の低い部材で構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3の温度感応型制御弁は、請求項2に記載の温度感応型制御弁であって、前記操作部は前記密封部材の前記作動軸側に配置された作動軸側当金を備え、前記作動軸側当金は前記感温部よりも熱伝導率の低い部材で構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4の温度感応型制御弁は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の温度感応型制御弁であって、前記感温部は銅材であり、前記感温部よりも熱伝導率の低い部材は、ステンレス、鉄、アルミニウム、黄銅または樹脂のうちの何れかの部材であることを特徴とする。「銅材」とは、例えば、銅が99重量%以上含まれる銅である。
【0010】
請求項5の温度感応型制御弁は請求項1乃至3のいずれか一項に記載の温度感応型制御弁であって、前記感温部はアルミニウムであり、前記感温部よりも熱伝導率の低い部材は、ステンレス、鉄、黄銅または樹脂のうちの何れかの部材であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1乃至5の温度感応型制御弁によれば、感温部よりも熱伝導率の低いカバーケースによりサーモエレメントに対する周囲の雰囲気温度の影響を低減できるとともに、サーモエレメントの熱伝導率の高い感温部により、温度感知対象の温度変化に迅速に追従することができる。
【0012】
請求項2の温度感応型制御弁によれば、さらに、熱伝導率の低い密封部材により、サーモエレメントに対する弁装置本体側の冷媒の温度の影響を低減できる。
【0013】
請求項3の温度感応型制御弁によれば、さらに、熱伝導率の低い作動軸側当金により、サーモエレメントに対する弁装置本体側の冷媒の温度の影響を低減できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の温度感応型制御弁の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は実施形態の温度感応型制御弁の縦断面図、
図2は同温度感応型制御弁の上面図、
図3は同温度感応型制御弁におけるサーモエレメントの縦断面図である。なお、以下の説明における「上下」の概念は
図1及び
図3の図面における上下に対応する。また、以下の説明において実施形態の温度感応型制御弁を適宜「制御弁」という。
【0016】
実施形態の制御弁100は、大気中で使用され、弁弁装置本体10とサーモエレメント20とで構成されている。弁装置本体10は、金属製の弁ハウジング1を有し、弁ハウジング1には、中央に円柱状の弁室1Aが形成され、この弁室1Aの側部に開口して冷媒が流入する第1ポート11が形成され、さらに、冷媒が流出する第2ポート12が形成されている。また、弁ハウジング1には、弁室1Aと第2ポート12との間に軸線Lを中心とする弁ポート13が形成されるとともに、弁ポート13と同軸で弁ハウジング1の上部から第2ポート12まで貫通するガイド孔14が形成されている。このガイド孔14は弁ポート13の軸線Lを中心軸とする円筒状の形状をしている。なお、冷媒は第2ポート12から流入して第1ポート11から流出するような場合もある。
【0017】
弁室1A、第2ポート12及びガイド孔14内には弁体3が配設されている。弁体3は、円柱棒状の弁棒3aと、弁室1A側から弁ポート13を開閉する略円錐形状のニードル部3bと、ニードル部3bの外周に形成された鍔部3cとから構成されている。弁棒3aはガイド孔14内に挿通され、鍔部3cと弁室1Aの底部のばね受け31との間にコイルばね32が配設されている。これにより、コイルばね32は弁体3を後述のダイヤフラム43側に付勢している。
【0018】
弁ハウジング1の弁室1Aと反対側には、操作部4が取り付けられている。操作部4は、弁ハウジング1に固着された下蓋41と、下蓋41と同径の上ケース42と、下蓋41と上ケース42との間に配置された「密封部材」としてのダイヤフラム43と、下蓋41内でダイヤフラム43と弁体3の弁棒3aとの間に配置された下当金44と、上ケース42内でダイヤフラム43の上に配置された「作動軸側当金」としての上当金45とで構成されている。そして、下蓋41、ダイヤフラム43及び上ケース42は、外周縁の部分で溶接されて一体に接合されている。なお、
図2の上面図に示すように、弁ハウジング1は矩形状であるが、上ケース42(及び下蓋41、ダイヤフラム43)、サーモエレメント20は軸線L回りに回転対称な形状である。ダイヤフラム43は、薄膜金属製の円環状であり、外周部には平面上のフランジ面、中心部には上当金45と下当金44とに当接する平面状の当接面がそれぞれの面に形成され、この外周部のフランジ面と中心部の当接面との間には波形の円環状部が形成されている。そして、当接面は軸線L方向の機械的な押圧力をダイヤフラム43を介して弁体3に加える作用面となっている。
【0019】
下当金44は、弁棒3aのダイヤフラム43側の先端面の面積より、下当金44のダイヤフラム43への当接面積の方が大きくなっている。これにより、後述のように、サーモエレメント20の作用でダイヤフラム43が変形して弁棒3aに押圧力を伝達するとき、弁棒3aから受ける反作用力を下当金44の広い面積でダイヤフラム43に対して分散させることができ、ダイヤフラム43の耐久性の向上を図ることができる。また、同様に、上当金45は、後述のピストン23のダイヤフラム43側の先端面の面積より、上当金45のダイヤフラム43への当接面積の方が大きくなっている。これにより、ピストン23がダイヤフラム43に直接当接する場合よりも上当金45の広い面積でダイヤフラム43に対して押圧力を分散して伝達でき、ダイヤフラム43の耐久性の向上を図ることができる。
【0020】
これにより、操作部4は、ダイヤフラム43と下蓋41とが下当金44及び弁棒3aからなる構造部を密閉封止するとともに、ダイヤフラム43の外部すなわち上ケース42内の上当金45からの軸線L方向の機械的な押圧力を、ダイヤフラム43及び下当金44を介して弁体3(弁棒3a)に伝達するような機能を有している。
【0021】
サーモエレメント20は、温度変化によるパラフィン等の膨張収縮を利用したサーモアクチュエータである。
図3に示すように、サーモエレメント20は、感温ケース21と、ガイドケース22と、「作動軸」としてのピストン23と、ダイヤフラム24と、ラバーピストン25と、保護板26とを備えて構成されている。感温ケース21は端部に底のある円筒形状の感温部21aと、ガイドケース22の一部を覆う感温部側基部21bとから構成されている。ガイドケース22は、ピストン23、ラバーピストン25及び保護板26を内挿する円筒形状のガイド部22aと、感温ケース21の感温部側基部21bに覆われるガイド側基部22bとから構成されている。
【0022】
感温ケース21の主に感温部21a内には、パラフィン等のワックスからなる熱膨張体2Aが充填され、熱膨張体2Aの下端面は、弾性密封部材であるダイアフラム24により封止されている。ガイドケース22のガイド側基部22bのすり鉢状内面22b1と、ダイアフラム24の下側との間には流体室が設けられ、流体室には流動体2Bが充填されている。流動体2Bは、非圧縮性で、流動性、潤滑性が良い非圧縮性流動体である。ガイドケース22のガイド部22aの内側のピストン摺動孔22a1内には、ラバーピストン25と保護板26を介して、ピストン23が摺動自在に挿通されて、ピストン23の外側端部はピストン摺動孔22a1から突き出している。
【0023】
感温部21aの環境温度が上昇すると熱膨張体2Aが膨張するとともにダイアフラム24が膨出し、ダイアフラム24の下方の流体室に封入された流動体2Bを押し下げる。これにより、流動体2Bは変形してその一部がガイド部22aのピストン摺動孔22a1内に進入し、ラバーピストン25と保護板26を介して、ピストン23を下方へ押し下げる。
【0024】
図1に示すように、この実施形態における操作部4は、その上ケース42において、円筒形状の「カバーケース」としての円筒部42aがこの上ケース42と一体にして形成されている。そして、この円筒部42a内にサーモエレメント20のガイドケース22(ガイド部22a)、ピストン23及び感温部側基部21bが収容されている。すなわち、少なくともピストン23及びガイド部22aは、「カバーケース」としての円筒部42aによって覆われている。また、円筒部42aの上端からサーモエレメント20の感温部21aが突出されるとともに、サーモエレメント20の感温部側基部21bの感温部21a側の端部に円筒部42aの端部の係止片42a1が係合されている。すなわち、係止片42a1は中央に挿通孔42a2を有しており、サーモエレメント20の感温部21aがこの挿通孔42a2に挿通されて、感温部21aは「カバーケース」としての円筒部42aから露出されている。
【0025】
上当金45には、遊び孔45a、ガイド挿通孔45b及びばね収容孔45cが同軸に形成されており、サーモエレメント20のピストン23が遊び孔45aに臨まされるとともに、ガイド部22aがガイド挿通孔45b内に挿通されている。また、ガイド部22aの外周には固定ばね46が配設され、この固定ばね46は、円筒部42a内の感温部側基部21bとばね収容孔45cの底部との間で圧縮して配設されている。すなわち、前記のように感温部側基部21bの端部は円筒部42aの係止片42a1に係合されているので、上記固定ばね46のばね力によりサーモエレメント20は円筒部42aに固定されている。また、サーモエレメント20の感温部21aは円柱状に突出しており、温度感知対象に対して装着が容易な構造となっている。そして、この感温部21aは、金属プレート50の装着孔50a内に装着され、この金属プレート50からの熱が感温部21aに伝達される。なお、金属プレート50は図示しない熱源に密着されている。
【0026】
以上の構成により、
図1の状態から、サーモエレメント20の感温部21aの温度が上昇して前記のようにピストン23が下降するとピストン23が上当金45(遊び孔45aの底部)に当接する。さらに、ピストン23が下降すると、上当金45が下降してダイヤフラム43が変形するとともに下当金44が下降し、さらにこの下当金44に当接している弁体3が下降する。このように、この実施形態では、ピストン23の押圧力が、上当金45、ダイヤフラム43及び下当金44を介して弁体3に加わり始める瞬間が「弁開点」であり、この弁開点から弁体3のニードル部3bが弁ポート13の周囲から離間して、弁ポート13を開状態とする。
【0027】
図4はサーモエレメント20における感温部21aの温度とピストン23の変位(リフト)との関係を示す温度−変位特性を示す図である。感温部21a内の熱膨張体2Aは、温度に応じて固体状態、固体と液体が混合する固液混合状態及び液体状態のように、相変化する。これにより、温度−変位特性は、固体状態で膨張する「固体膨張域」と、固液混合状態で膨張する「固液混合膨張域」と、液体状態で膨張する「液体膨張域」とで、それぞれ異なる傾きを呈する。そして、固液混合膨張域での傾き、すなわち温度膨張率が一番大きく(急峻に)なる。この温度−変位特性はサーモエレメント20の固有の特性として既知であり、この場合ピストン23のリフトL1〜L3の範囲が「固液混合膨張域」に対応している。
【0028】
ここで、この実施形態では、弁装置本体10において弁開点は、上記「固液混合膨張域」の範囲内となるように設定されている。この実施形態では、弁開点は、
図4に示す「弁開リフト=0」及び「サーモエレメントリフト=L2」となる状態に設定されている。このように、サーモエレメント20における熱膨張体2Aの温度膨張率が大きい「固液混合膨張域」の範囲内に弁開点が設定されているので、熱源が設定温度に達した場合、弁ポート13を速やかに大きく開くことができる。これにより、熱源の温度変化に追従して、図示しない冷却装置に冷媒を迅速に供給でき、結果的に熱源を迅速に冷却することができる。
【0029】
なお、サーモエレメント20において、感温部21aの温度が低下して、熱膨張体2Aが収縮するとき、ダイヤフラム24が動かずに固化した熱膨張体2A内に真空の空隙ができたり、流動体2B内に空隙ができることがある。また、熱膨張体2A内の収縮によりダイヤフラム24が変形して流動体2Bも形状を変えることがある。このような場合、ピストン23は突出した状態で、ラバーピストン25及び保護板26もピストン23側に停留した状態となったり、ラバーピストン25だけが流動体2Bに追従して移動した状態となったり、ラバーピストン25と保護板26が流動体2Bに追従して移動した状態となることがある。いずれの場合も、ピストン23が突出して停留した状態では、このピストン23は操作部4(あるいは弁体3)に対して押圧力を加えるものではなく、本発明における「弁開点」とは異なる状態である。
【0030】
ここで、サーモエレメント20の感温ケース21は熱伝導率が例えば
3.71×10
2 (W/m・℃)
である銅が99重量%以上含まれる銅材である。また、操作部4の下蓋41、上ケース42、上当金45及びダイヤフラム43は熱伝導率が例えば
0.16×10
2 (W/m・℃)
であるステンレス製(SUS304製)である。
【0031】
このように、感温部21aは熱伝導率の高い銅材であり、「カバーケース」としての円筒部42aは熱伝導率の低いステンレス製である。すなわち、サーモエレメント20のガイドケース22(ガイド部22a)、感温部側基部21b及びピストン23、操作部4の上当金45が、それぞれ熱伝導率の低い円筒部42a(カバーケース)で覆われている。したがって、大気中で使用される当該制御弁100のサーモエレメント20に対する周囲の雰囲気温度の影響を低減できる。また、サーモエレメント20においては、熱伝導率の高い感温部21aにより、温度感知対象の温度を正確に捉えて設定した温度で弁開するとともに、温度感知対象の温度変化に迅速に追従して弁開度を制御することができる。
【0032】
また、ダイヤフラム43も熱伝導率の低いステンレス製である。すなわち、サーモエレメント20のガイドケース22(ガイド部22a)、感温部側基部21b及びピストン23、操作部4の上当金45が、下蓋41内の冷媒に対して熱伝導率の低い部材で隔絶されている。したがって、サーモエレメント20に対する冷媒温度の影響を低減できる。さらに、上当金45も熱伝導率の低いステンレス製であり、ガイドケース22、感温部側基部21b及びピストン23とダイヤフラム43との間にあるので、サーモエレメント20に対する冷媒温度の影響を低減できる。
【0033】
なお、上ケース42(円筒部42a)は、例えば、熱伝導率が例えば
1.95×10
2 (W/m・℃)
であるアルミニウム製や、熱伝導率が例えば
1.1×10
2 (W/m・℃)
である真鍮製などでもよい。
【0034】
以上の実施形態は一例であり、感温部21aは、上記実施例と同様に「銅材」であるが、上ケース42は、「銅材」よりも熱伝導率が低い、ステンレス、鉄、アルミニウム、黄銅または樹脂のうちの何れかの部材として、各部材を組み合わせて実施することができる。また、感温部21aは、例えばアルミニウムで形成され、上ケース42は、アルミニウムよりも熱伝導率の低い、ステンレス、鉄、黄銅または樹脂のうちの何れかの部材として、各部材を組み合わせて実施することができる。
【0035】
実施形態では、カバーケースが上ケース42と一体に形成されている例であるが、カバーケースは上ケースと別部材であってもよい。
【0036】
また、実施形態では、サーモエレメント20の感温部側基部21bの端部を、円筒部42aの係止片42a1に係合させることで、サーモエレメント20を10弁装置本体10側に固定する機能を持たせているが、この係止片42a1が感温部側基部21bと金属プレート50との間に介在されていることにより以下のような効果が得られる。感温部側基部21bの部材もある程度の体積(熱容量)があるため、金属プレート50からこの感温部側基部21bへの熱の移動を抑えることができ、感温部21aでの応答性を確保することができる。しかし、固定のためであれば、円筒部42aにおいて係止片42a1を無くし、円筒部42aと感温部側基部21bとをネジ止め等により固定するようにしてもよい。
【0037】
実施形態におけるサーモエレメントはラバーピストン、保護板及び流動体を備えているが、これらは無くてもよい。サーモエレメントは、熱膨張体の体積変化をピストンに伝達するものであればよい。
【0038】
また、実施形態では、操作部の「密封部材」はダイヤフラム43で構成した例について説明したが、この「密封部材」としては、下当金及び弁体等からなる構造部を密閉封止するものであれば、例えばベローズ等であってもよい。
【0039】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0040】
例えば、弁体が弁ポートの周囲の弁座に当接し、弁ポートを完全に閉とするものに限らず、弁体と弁座の間に隙間や流路があり、僅かなブリード流量がある場合でもよい。すなわち、本発明において、弁ポートの「閉状態」とは、完全に閉とする場合やブリード流量がある場合も含む概念である。