【課題】快適さ、コスト、有効性、容易な使用、及び、製造可能性の向上を有する、診断、改善、処置、又は、呼吸器疾患の予防において使用される口鼻患者インタフェースを提供する。
【解決手段】呼吸用ガスを患者へ供給する患者インタフェース3000は、上側ガスチャンバを少なくとも部分的に画定する鼻プレナムチャンバ、下側ガスチャンバを少なくとも部分的に画定する口プレナムチャンバ3200と、鼻プレナムチャンバと口プレナムチャンバとを少なくとも部分的に接続するとともに流路を少なくとも部分的に画定する分離構造体とを備えるプレナムチャンバアセンブリと、位置決め安定化構造体3300の第1の部分を解放可能に保持するように構成されている少なくとも1つの接続機能部3304を含むトッププレート3206と、位置決め安定化構造体の第2の部分を解放可能に保持するように構成されているフェースプレート3204を備える。
前記位置決め安定化構造体が、一対のリジダイザアームを有するリジダイザアームアセンブリを備え、前記リジダイザアームアセンブリが前記トッププレートに接続されている請求項1から3のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
前記口フランジは、前記口プレナムチャンバの全周にわたって、又は、前記口プレナムチャンバの外周の2つの対向する側の付近に、又は、前記口プレナムチャンバの外周の大部分にわたって形成されている請求項9に記載の患者インタフェース。
前記口プレナムチャンバが一対の口アンダークッション部を備え、前記口アンダークッション部はそれぞれ、前記口フランジを支持するように前記口プレナムチャンバの各側に配置されている請求項9に記載の患者インタフェース。
前記口プレナムチャンバは、前記口プレナムチャンバの周囲にわたって配置されているとともに前記口フランジを支持するように前記分離構造体の両端から径方向に延在する口アンダークッション部を備える請求項10又は11に記載の患者インタフェース。
前記分離構造体の剛性は、患者の顔面に隣接する部分から患者の顔面とは反対側の部分へ向けて径方向で増大する請求項13から15のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
前記鼻フランジの鼻接触部は、患者の鼻と接触しない前記鼻フランジの部分よりも患者の鼻と接触しない部分の方が剛性が高い請求項8から16のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
前記鼻フランジは、前記鼻開口の周囲で対称的に延在する一対の突出端部を備え、前記各突出端部は、これに対応する患者の鼻の鼻翼に対してシールするように構成されている請求項8から20のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
前記鼻プレナムチャンバが一対の鼻アンダークッション部分を備え、前記一対の鼻アンダークッション部分のそれぞれが前記一対の突出端部のうちの一方を支持する請求項21に記載の患者インタフェース。
前記患者インタフェースを患者に対して解放可能に固定するためのヘッドギアを備え、前記ヘッドギアは、前記鼻プレナムチャンバに接続するように構成されている一対の上側ストラップと、前記口プレナムチャンバに接続するように構成されている一対の下側ストラップとを含む請求項1から23のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
前記トッププレートと前記リジダイザアームとが一体部品を成し、前記リジダイザアームは、患者の横断面と平行な平面内で前記トッププレートと比べて可撓性がある請求項4から27のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
前記分離構造体の剛性は、患者の顔面に対して遠位端側の部分が患者の顔面に対して近位端側の部分よりも剛性が高くなるように、その外周にわたって径方向で変化可能であり、
前記鼻クッションが前記口クッションとは独立に運動するような構造とされている請求項29から31のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
前記鼻クッションが一対の突出端部を備え、前記突出端部はそれぞれ、患者の顔面のそれぞれの鼻翼と鼻唇溝との間にシールを形成するように構成されている請求項29から36のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
前記鼻クッションが一対の鼻アンダークッション部を備え、前記鼻アンダークッション部のそれぞれは、それぞれの前記突出端部を患者の顔面に対して支持するためにそれぞれの前記突出端部の下側に配置されている請求項37に記載の患者インタフェース。
前記鼻クッションは、患者のそれぞれの鼻翼に対してシールするための翼を前記鼻クッションの両側に備える請求項29から38のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
前記口クッションは、患者の顔面に対して前記口クッションを支持するために前記分離構造体の両側端部から前記口クッションの周囲で径方向に延在する口アンダークッション部を備える請求項29から39のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
前記口クッションが一対の口アンダークッション部を備え、前記口アンダークッション部はそれぞれ、前記口クッションを患者の顔面に対して支持するように前記口クッションの各側に配置されている請求項29から40のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
前記トッププレートが、前記鼻プレナムチャンバの柔軟な接続領域に対して取り外し可能に取り付け可能である請求項29から45のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
前記トッププレートが、前記鼻プレナムチャンバの硬質の接続領域に対して取り外し可能に取り付け可能である請求項29から45のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
前記トッププレートとリジダイザアームアセンブリとが一体部品を成し、前記リジダイザアームアセンブリの一対のリジダイザアームは、患者の横断面と平行な平面内で前記トッププレートと比べて可撓性がある請求項29から47のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
前記位置決め安定化構造体は、前記上側取り付け機能部において前記トッププレートに対して解放可能に取り付け可能であるリジダイザアームアセンブリを備える請求項29から48のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
前記トッププレートと前記リジダイザアームアセンブリとの間の接続部を制振するためのトッププレートバッファと、前記フェースプレートと前記フレームとの間の接続部を制振するためのフェースプレートバッファとを更に備える請求項50又は51に記載の患者インタフェース。
前記プレナムチャンバアセンブリは、前記鼻プレナムチャンバと前記口プレナムチャンバとを少なくとも部分的に接続する分離構造体を更に備え、前記分離構造体は、前記鼻プレナムチャンバと前記口プレナムチャンバとの間の流路を少なくとも部分的に画定する請求項54に記載の患者インタフェース。
前記少なくとも1つの接続機能部のそれぞれは、前記一対のリジダイザアームのうちの対応するリジダイザアームが患者の横断面と平行な平面内で前記一体側プレート部材の前記上部を硬質の前記トッププレートに対して回転させることができるようにヒンジを備える請求項56に記載の患者インタフェース。
前記位置決め安定化構造体の前記第1の部分は、前記一体型プレート部材の前記上部の接続機能部と回動可能に接続するためのフックを含む請求項54から57にいずれか一項に記載の患者インタフェース。
前記口フランジは、前記口プレナムチャンバの全周にわたって、又は、前記口プレナムチャンバの外周の2つの対向する側の付近に、又は、前記口プレナムチャンバの外周の大部分にわたって形成されている請求項61に記載の患者インタフェース。
前記口プレナムチャンバが一対の口アンダークッション部を備え、前記口アンダークッション部はそれぞれ、前記口フランジを支持するように前記口プレナムチャンバの各側に配置されている請求項61に記載の患者インタフェース。
前記口プレナムチャンバは、前記口プレナムチャンバの周囲にわたって配置されているとともに前記口フランジを支持するように前記分離構造体の両端から径方向に延在する口アンダークッション部を備える請求項62又は63に記載の患者インタフェース。
前記鼻フランジの鼻接触部は、患者の鼻と接触しない前記鼻フランジの部分よりも患者の鼻と接触しない部分の方が剛性が高い請求項59から67のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
前記鼻フランジは、前記鼻開口の周囲で対称的に延在する一対の突出端部を備え、前記各突出端部は、これに対応する患者の鼻の鼻翼に対してシールするように構成されている請求項59から71のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
前記鼻プレナムチャンバが一対の鼻アンダークッション部分を備え、前記鼻アンダークッション部分のそれぞれは、前記各突出端部を支持するために前記各突出端部に対応する請求項72に記載の患者インタフェース。
前記トッププレートが一対の上側取り付け機能部を備え、前記リジダイザアームアセンブリが一対の接続機能部を備え、前記一対の接続機能部のそれぞれは、前記一対の上側取り付け機能部のうちの対応する上側取り付け機能部と係合するような構造とされている請求項76に記載の患者インタフェース。
前記リジダイザアームアセンブリは、前記リジダイザアームアセンブリが前記トッププレートと係合するときに前記トッププレートと係合するためのリブを備える請求項76又は77に記載の患者インタフェース。
前記リジダイザアームアセンブリと前記トッププレートとの間の係合部を制振するためのトッププレートバッファを更に備え、前記トッププレートバッファは、前記リジダイザアームアセンブリの後側と接触するように前記トッププレートの前側に位置している請求項76から78のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
前記トッププレートバッファと前記鼻クッションとが一体部品を成し、前記トッププレートバッファが前記鼻クッションから前記トッププレートを貫通して延在する請求項79に記載の患者インタフェース。
前記リジダイザアームアセンブリが一対のリジダイザアームを備え、前記一対のリジダイザアームのそれぞれが位置決め安定化構造体の上側サイドストラップを受けるような構造とされている請求項76から80のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
前記一対のリジダイザアームのそれぞれは、患者の顔面に対する前記一対のリジダイザアームの緩衝を行うためのパッドを備える請求項81に記載の患者インタフェース。
前記一対の側部支持体のそれぞれは、前記鼻クッションと前記口クッションとの間の相対運動のための回動点を与える切り欠きを含む請求項83に記載のクッションアセンブリ。
前記一対の側部支持体のそれぞれの前記切り欠きは、前記患者インタフェースが患者により着用されるときに患者の顔面とは反対の方向に開く請求項84に記載のクッションアセンブリ。
前記一対の補強部分は、前記鼻クッションの外面が隆起しないように前記鼻クッション及び前記鼻プレナムチャンバに対して内側に延在する請求項86又は87に記載のクッションアセンブリ。
前記鼻クッションが鼻スリングを備え、前記鼻スリングが前記鼻クッションと同一平面内に形成され、前記鼻スリングが患者の鼻柱と接触するような構造とされている請求項83から88のいずれか一項に記載のクッションアセンブリ。
前記鼻クッション及び前記鼻スリングが一対の鼻孔ポートを画定し、前記一対の鼻孔ポートのそれぞれは、患者の鼻孔のうちの対応する鼻孔と空気圧連通するような構造とされている請求項89に記載のクッションアセンブリ。
前記鼻スリングは、患者の鼻の頂部が前記鼻ガスチャンバ内へと延在することを防止するような構造とされ、前記鼻ガスチャンバが前記鼻クッションと前記鼻プレナムチャンバとによって少なくとも部分的に画定される請求項89又は90に記載のクッションアセンブリ。
前記分離構造体は、前記上面及び前記下面を互いに対して最大50°で位置させることができるように可撓性の構造とされている請求項92又は93に記載の患者インタフェース。
前記位置決め安定化構造体は、前記一対の下側サイドストラップのうちの対応する下側サイドストラップを前記一対の下側取り付け機能部のうちの対応する下側取り付け機能部に対して取り付けるための一対のクリップを更に備える請求項97から99のいずれか一項に記載の患者インタフェースシステム。
前記一対のクリップのそれぞれは、前記一対のクリップのそれぞれを前記一対の下側取り付け機能部のうちの対応する下側取り付け機能部に対して取り付けるための第2の磁石を備える請求項100に記載の患者インタフェースシステム。
前記一対の下側取り付け機能部のそれぞれが屈曲点を備え、前記一対の下側取り付け機能部のそれぞれが前記屈曲点で屈曲するような構造とされている請求項97から102のいずれか一項に記載の患者インタフェースシステム。
【図面の簡単な説明】
【0055】
4.1 処置システム
【
図1a】本技術に係るシステムを示す。患者インタフェース3000を着用する患者1000は、PAP装置4000から陽圧の空気の供給を受ける。PAP装置からの空気は、加湿器5000で加湿されて、空気回路4170に沿って患者1000へ向けて通過する。ベッドパートナー1100も示される。
【
図1b】鼻マスクを伴う患者に用いるPAP装置を示す。
【
図1c】フルフェースマスクを伴う患者に用いるPAP装置を示す。 4.2 治療 4.2.1 呼吸器系
【
図2a】鼻腔及び口腔、喉頭、声帯、食道、気管、気管支、肺、肺胞嚢、心臓、及び、横隔膜を含む人の呼吸器系の全体図を示す。
【
図2b】鼻腔、鼻骨、側鼻軟骨、大鼻翼軟骨、鼻孔、上唇、下唇、喉頭、硬口蓋、軟口蓋、中咽頭、舌、喉頭蓋、声帯、食道、及び、気管を含む人の上気道の図を示す。 4.2.2 顔面生体構造
【
図2c】上唇、上唇紅、下唇紅、下唇、口幅、目頭部分、鼻翼、鼻唇溝、及び、口角点を含めて特定された表面生体構造の幾つかの特徴を伴う顔の正面図である。
【
図2d】眉間、鼻根、鼻尖、鼻棘、上唇、下唇、上顎、鼻堤、上耳底、及び、下耳底を含めて特定された表面生体構造の幾つかの特徴を伴う頭部の側面図である。また、上及び下、並びに、前及び後の方向も示される。
【
図2e】頭部の更なる側面図である。フランクフォート水平面及び鼻唇角のおおよその位置が示される。
【
図2h】側鼻軟骨、中隔軟骨、大鼻翼軟骨、小鼻翼軟骨、及び、線維脂肪組織を含む鼻の皮下構造を示す。
【
図2i】特に中隔軟骨及び大鼻翼軟骨の内側脚を示す、矢状面から約数ミリメートルの鼻の内側剥離を示す。
【
図2j】前頭骨、側頭骨、鼻骨、及び、頬骨を含む頭蓋骨の骨の正面図を示す。鼻甲介が示され、同様に、上顎、下顎、及び、オトガイ隆起も示される。
【
図2k】頭部の表面の輪郭及び幾つかの筋肉を伴う頭蓋骨の側面図を示す。以下の骨、すなわち、前頭骨、蝶形骨、鼻骨、頬骨、上顎骨、下顎骨、頭頂骨、側頭骨、及び、後頭骨が示される。オトガイ隆起が示される。以下の筋肉、すなわち、顎二腹筋、咬筋、胸鎖乳突筋、及び、僧帽筋が示される。
【
図2l】頭蓋骨構造及び組織構造の前方側面図を示す。 4.3 患者インタフェース
【
図3a】本技術の一例に係る患者インタフェースの斜視図を示す。
【
図3b】本技術の一例に係る患者インタフェースの正面図を示す。
【
図3c】本技術の一例に係る患者インタフェースの後面図を示す。
【
図3d】本技術の一例に係る患者インタフェースの平面図を示す。
【
図3e】本技術の一例に係る患者インタフェースの底面図を示す。
【
図3f】本技術の一例に係る患者インタフェースの側面図を示す。
【
図3g】本技術の一例に係る空気回路を含む患者インタフェースの斜視図を示す。
【
図3h】本技術の一例に係る空気回路を含む患者インタフェースの後面図を示す。
【
図3i】本技術の一例に係る空気回路を含む患者インタフェースの正面図を示す。
【
図3j】本技術の一例に係る空気回路を含む患者インタフェースの平面図を示す。
【
図3k】本技術の一例に係る空気回路を含む患者インタフェースの底面図を示す。
【
図3l】本技術の一例に係る空気回路を含む患者インタフェースの側面を示す。
【
図3m】本技術の一例に係る患者に着用された空気回路を含む患者インタフェースの斜視図を示す。
【
図3n】本技術の一例に係る患者に着用された空気回路を含む患者インタフェースの正面図を示す。
【
図3o】本技術の一例に係る患者に着用された空気回路を含む患者インタフェースの側面図を示す。
【
図3p】本技術の一例に係る患者に着用された空気回路を含む患者インタフェースの平面図を示す。
【
図3q】患者インタフェースが患者の顔面に当て付けて位置した状態の本技術の一例に係る患者インタフェースの側断面図を示す。患者が軌道の断面を伴って示される。
【
図3r】本技術の一例に係る患者インタフェースの一部の詳細な正面斜視図を示す。患者インタフェースが破線で示され、また、患者の鼻、口、及び、顎が実線で示される。
【
図3s】本技術の一例に係る患者インタフェースの分解斜視図を示す。
【
図3t】本技術の一例に係る患者インタフェースの分解正面図を示す。
【
図3u】本技術の一例に係る患者インタフェースの分解後面図を示す。
【
図4a】本技術の一例に係る患者インタフェースの鼻クレードルクッションの平面図を示す。
【
図4b】本技術の一例に係る患者インタフェースの鼻クレードルクッションの
図4aの線4c−4cを貫いてとられた底断面図を示す。
【
図4c】本技術の一例に係る患者インタフェースの鼻クレードルクッションの
図4aの線4c−4cを貫いてとられた側断面図を示す。患者の鼻が破線で示される。
【
図5a】本技術の他の例に係る患者インタフェースの他の鼻クレードルクッションの平面図を示す。
【
図5b】本技術の他の例に係る患者インタフェースの他の鼻クレードルクッションの
図5aの線5c−5cを貫いてとられた底断面図を示す。
【
図5c】本技術の一例に係る患者インタフェースの他の鼻クレードルクッションの
図5aの線5c−5cを貫いてとられた側断面図を示す。患者の鼻が破線で示される。
【
図6a】本技術の他の例に係る患者インタフェースの他の鼻クレードルクッションの平面図を示す。
【
図6b】本技術の他の例に係る患者インタフェースの他の鼻クレードルクッションの
図6aの線6c−6cを貫いてとられた底断面図を示す。
【
図6c】本技術の他の例に係る患者インタフェースの他の鼻クレードルクッションの
図6aの線6c−6cを貫いてとられた側断面図を示す。患者の鼻が破線で示される。
【
図7a】本技術の一例に係る患者インタフェースのプレナムチャンバアセンブリの後面斜視図を示す。
【
図7b】本技術の一例に係る患者インタフェースのプレナムチャンバアセンブリの側面斜視図を示す。
【
図7c】本技術の一例に係る患者インタフェースのプレナムチャンバアセンブリの正面斜視図を示す。
【
図7d】本技術の一例に係る患者インタフェースのプレナムチャンバアセンブリの後面図を示す。
【
図7e】本技術の一例に係る患者インタフェースのプレナムチャンバアセンブリの正面図を示す。
【
図7f】本技術の一例に係る患者インタフェースのプレナムチャンバアセンブリの平面図を示す。
【
図7g】本技術の一例に係る患者インタフェースのプレナムチャンバアセンブリの底面図を示す。
【
図7h】本技術の一例に係る患者インタフェースのプレナムチャンバアセンブリの側面図を示す。
【
図8a】本技術の一例に係る患者インタフェースのプレナムチャンバアセンブリの平面図を示すとともに、様々な断面を画定する幾つかの線を含む。
【
図8b】本技術の一例に係る患者インタフェースのプレナムチャンバアセンブリの
図8aの線8b−8bを貫いてとられた側断面図を示す。
【
図8c】本技術の一例に係る患者インタフェースのプレナムチャンバアセンブリの
図8aの線8c−8cを貫いてとられた側断面図を示す。
【
図8d】本技術の一例に係る患者インタフェースのプレナムチャンバアセンブリの
図8aの線8d−8dを貫いてとられた側断面図を示す。
【
図8e】本技術の一例に係る患者インタフェースのプレナムチャンバアセンブリの
図8aの線8e−8eを貫いてとられた側断面図を示す。
【
図8f】本技術の一例に係る患者インタフェースのプレナムチャンバアセンブリの
図8aの線8f−8fを貫いてとられた側断面図を示す。
【
図8g】本技術の一例に係る患者インタフェースのプレナムチャンバアセンブリの
図8aの線8g−8gを貫いてとられた正断面図を示す。
【
図8h】本技術の一例に係る患者インタフェースのプレナムチャンバアセンブリの
図8aの線8h−8hを貫いてとられた正断面図を示す。
【
図8i】本技術の一例に係る患者インタフェースのプレナムチャンバアセンブリの
図8aの線8i−8iを貫いてとられた正断面図を示す。
【
図8j】本技術の一例に係る患者インタフェースのプレナムチャンバアセンブリの
図8aの線8j−8jを貫いてとられた正断面図を示す。
【
図8k】本技術の一例に係る患者インタフェースのプレナムチャンバアセンブリの
図8aの線8k−8kを貫いてとられた側断面図を示す。
【
図8l】本技術の一例に係る患者インタフェースのプレナムチャンバアセンブリの
図8aの線8l−8lを貫いてとられた側断面図を示す。
【
図9a】本技術の一例に係る患者インタフェースのプレナムチャンバアセンブリの平面図を示すとともに、様々な断面を画定する幾つかの線を含む。
【
図9b】本技術の一例に係る患者インタフェースのプレナムチャンバアセンブリの
図9aの線9b−9bを貫いてとられた側断面図を示す。
【
図9c】本技術の一例に係る患者インタフェースのプレナムチャンバアセンブリの
図9aの線9c−9cを貫いてとられた側断面図を示す。
【
図9d】本技術の一例に係る患者インタフェースのプレナムチャンバアセンブリの
図9aの線9d−9dを貫いてとられた側断面図を示す。
【
図9e】本技術の一例に係る患者インタフェースのプレナムチャンバアセンブリの
図9aの線9e−9eを貫いてとられた側断面図を示す。
【
図9f】本技術の一例に係る患者インタフェースのプレナムチャンバアセンブリの
図9aの線9f−9fを貫いてとられた側断面図を示す。
【
図9g】本技術の一例に係る患者インタフェースのプレナムチャンバアセンブリの
図9aの線9g−9gを貫いてとられた側断面図を示す。
【
図9h】本技術の一例に係る患者インタフェースのプレナムチャンバアセンブリの
図9aの線9h−9hを貫いてとられた側断面図を示す。
【
図9i】本技術の1つの形態に係る患者インタフェースのプレナムチャンバアセンブリの
図9aの線9i−9iを貫いてとられた側断面図を示す。
【
図10a】本技術の一例に係る患者インタフェースの鼻クッションの平面図を示す。
【
図10b】本技術の他の例に係る患者インタフェースの鼻クッションの平面図を示す。
【
図10c】本技術の他の例に係る患者インタフェースの鼻クッションの平面図を示す。
【
図10d】本技術の他の例に係る患者インタフェースの鼻クッションの平面図を示す。
【
図11a】本技術の一例に係る
図4aの線11a−11aを貫いてとられた鼻クッションの断面図を示す。
【
図11b】本技術の一例に係る
図13の線11b、11cを貫いてとられた鼻クッションの断面図を示す。
【
図11c】本技術の一例に係る
図13の線11b、11cを貫いてとられた鼻クッションの断面図を示す。
【
図12a】本技術に係る典型的なシール形成構造体のアンダークッションを伴う口クッションの後面図を示す。
【
図12b】本技術に係る他の典型的なシール形成構造体のアンダークッションを伴う口クッションの後面図を示す。
【
図12c】本技術に係る他の典型的なシール形成構造体のアンダークッションを伴う口クッションの後面図を示す。
【
図12d】本技術に係る他の典型的なシール形成構造体のアンダークッションを伴う口クッションの後面図を示す。
【
図13】本技術の一例に係る患者インタフェースの鼻クレードルクッションの平面図を示す。
【
図14】本技術の一例に係る患者インタフェースの分解後面図を示す。
【
図15a】本技術の一例に係るシール形成構造体、トッププレート、及び、リジダイザアームの正面図を示す。
【
図15b】本技術の他の例に係るシール形成構造体、トッププレート、及び、リジダイザアームの正面図を示す。
【
図15c】本技術の一例に係るシール形成構造体、トッププレート、及び、リジダイザアームの正面図を示す。
【
図15d】本技術の一例に係るシール形成構造体、トッププレート、及び、リジダイザアームの正面図を示す。
【
図15e】本技術の一例に係るシール形成構造体、トッププレート、及び、リジダイザアームの正面図を示す。
【
図16a】本技術の一例に係るシール形成構造体及びプレナムチャンバの平面斜視図を示す。
【
図16b】本技術の一例に係るシール形成構造体及びプレナムチャンバの底面斜視図を示す。
【
図16c】本技術の一例に係るシール形成構造体及びプレナムチャンバの更なる平面斜視図を示す。
【
図16d】本技術の一例に係るシール形成構造体及びプレナムチャンバの正面図を示す。
【
図16e】本技術の一例に係るシール形成構造体及びプレナムチャンバの後面図を示す。
【
図16f】本技術の一例に係るシール形成構造体及びプレナムチャンバの平面図を示す。
【
図16g】本技術の一例に係るシール形成構造体及びプレナムチャンバの底面図を示す。
【
図16h】本技術の一例に係るシール形成構造体及びプレナムチャンバの側面図を示す。
【
図16i】本技術の一例に係る
図16dの線16i−16iを貫いてとられたシール形成構造体及びプレナムチャンバの断面図を示す。
【
図16j】本技術の一例に係る
図16fの線16j−16jを貫いてとられたシール形成構造体及びプレナムチャンバの断面図を示す。
【
図16k】本技術の一例に係る
図16hの線16k−16kを貫いてとられたシール形成構造体及びプレナムチャンバの断面図を示す。
【
図16l】本技術の一例に係る
図16dの線16l−16lを貫いてとられたシール形成構造体及びプレナムチャンバの断面図を示す。
【
図16m】本技術の一例に係る
図16gの線16m−16mを貫いてとられたシール形成構造体及びプレナムチャンバの断面図を示す。
【
図16n】本技術の一例に係るシール形成構造体及びプレナムチャンバの詳細な正面斜視図を示す。
【
図16o】本技術の一例に係る
図16dの線16o−16oを貫いてとられたシール形成構造体及びプレナムチャンバの断面図を示す。
【
図17a】本技術の一例に係る患者インタフェースの斜視図を示す。
【
図17b】本技術の一例に係る患者インタフェースの正面図を示す。
【
図17c】本技術の一例に係る患者インタフェースの後面図を示す。
【
図17d】本技術の一例に係る患者インタフェースの平面図を示す。
【
図17e】本技術の一例に係る患者インタフェースの底面図を示す。
【
図17f】本技術の一例に係る患者インタフェースの側面図を示す。
【
図18a】本技術の一例に係るトッププレート及びフェースプレートを伴うシール形成構造体の斜視図を示す。
【
図18b】本技術の一例に係るトッププレート及びフェースプレートを伴うシール形成構造体の正面図を示す。
【
図18c】本技術の一例に係るトッププレート及びフェースプレートを伴うシール形成構造体の側面図を示す。
【
図18d】本技術の一例に係るトッププレート及びフェースプレートを伴うシール形成構造体の平面図を示す。
【
図18e】本技術の一例に係るトッププレート及びフェースプレートを伴うシール形成構造体の後面図を示す。
【
図18f】本技術の一例に係るトッププレート及びフェースプレートを伴うシール形成構造体の
図18dの線18f−18fを貫いてとられた断面図を示す。
【
図19a】本技術の一例に係るリジダイザアームアセンブリの斜視図を示す。
【
図19b】本技術の一例に係るリジダイザアームアセンブリの正面図を示す。
【
図19c】本技術の一例に係るリジダイザアームアセンブリの側面図を示す。
【
図19d】本技術の一例に係るリジダイザアームアセンブリの平面図を示す。
【
図19e】本技術の一例に係るリジダイザアームアセンブリの後面図を示す。
【
図19f】本技術の一例に係るリジダイザアームアセンブリの平面図を示す。
【
図19g】本技術の一例に係るリジダイザアームアセンブリの他の平面図を示す。
【
図19h】本技術の一例に係るリジダイザアームアセンブリの後面図を示す。
【
図20a】本技術の一例に係るフェースプレートフレーム、下側取り付け機能部、及び、クリップの斜視図を示す。
【
図20b】本技術の一例に係るフェースプレートフレーム、下側取り付け機能部、及び、クリップの正面図を示す。
【
図20c】本技術の一例に係るフェースプレートフレーム、下側取り付け機能部、及び、クリップの後面図を示す。
【
図20d】本技術の一例に係るフェースプレートフレーム、下側取り付け機能部、及び、クリップの側面図を示す。
【
図20e】本技術の一例に係るフェースプレートフレーム、下側取り付け機能部、及び、クリップの平面図を示す。
【
図20f】本技術の一例に係るフェースプレートフレーム、下側取り付け機能部、及び、クリップの部分分解斜視図を示す。
【
図20g】本技術の一例に係るフェースプレートフレーム、下側取り付け機能部、及び、クリップの他の部分分解斜視図を示す。
【
図20h】本技術の一例に係るフェースプレートフレーム、下側取り付け機能部、及び、クリップの分解斜視図を示す。
【
図20i】本技術の一例に係るフェースプレートフレームの斜視図を示す。
【
図20j】本技術の一例に係るフェースプレートフレームの正面図を示す。
【
図20k】本技術の一例に係るフェースプレートフレームの後面図を示す。
【
図20l】本技術の一例に係るフェースプレートフレームの側面図を示す。
【
図20m】本技術の一例に係るフェースプレートフレームの平面図を示す。
【
図20n】本技術の一例に係るフェースプレートフレームの後面図を示す。
【
図20o】本技術の一例に係るフェースプレートフレーム、下側取り付け機能部、及び、クリップの他の部分分解斜視図を示す。
【
図20p】本技術の一例に係るフェースプレートフレーム、下側取り付け機能部、及び、クリップの分解斜視図を示す。
【
図20q】本技術の一例に係るフェースプレートフレームの平面図を示す。
【
図20r】本技術の一例に係るフェースプレートフレームの平面図を示す。
【
図20s】本技術の一例に係るフェースプレートフレームの平面図を示す。
【
図21a】本技術の一例に係るトッププレートの斜視図を示す。
【
図21b】本技術の一例に係るトッププレートの正面図を示す。
【
図21c】本技術の一例に係るトッププレートの後面図を示す。
【
図21d】本技術の一例に係るトッププレートの平面図を示す。
【
図21e】本技術の一例に係るトッププレートの側面図を示す。
【
図22a】本技術の一例に係るフェースプレートの斜視図を示す。
【
図22b】本技術の一例に係るフェースプレートの正面図を示す。
【
図22c】本技術の一例に係るフェースプレートの後面図を示す。
【
図22d】本技術の一例に係るフェースプレートの側面図を示す。
【
図22e】本技術の一例に係るフェースプレートの平面図を示す。
【
図23a】本技術の一例に係る下側取り付け機能部支持体の正面斜視図を示す。
【
図23b】本技術の一例に係る下側取り付け機能部支持体の他の正面斜視図を示す。
【
図23c】本技術の一例に係る下側取り付け機能部支持体の後面図を示す。
【
図23d】本技術の一例に係る下側取り付け機能部支持体の平面斜視図を示す。
【
図23e】本技術の一例に係る下側取り付け機能部支持体の側面斜視図を示す。
【
図23f】本技術の一例に係る下側取り付け機能部支持体の他の側面斜視図を示す。
【
図24a】本技術の一例に係る下側取り付け機能部のコネクタの正面斜視図を示す。
【
図24b】本技術の一例に係る下側取り付け機能部のコネクタの他の正面斜視図を示す。
【
図24c】本技術の一例に係る下側取り付け機能部のコネクタの後面を示す。
【
図24d】本技術の一例に係る下側取り付け機能部のコネクタの平面斜視図を示す。
【
図24e】本技術の一例に係る下側取り付け機能部のコネクタの側面斜視図を示す。
【
図24f】本技術の一例に係る下側取り付け機能部のコネクタの他の後面斜視図を示す。
【
図25a】本技術の一例に係るクリップの正面斜視図を示す。
【
図25b】本技術の一例に係るクリップの他の正面斜視図を示す。
【
図25c】本技術の一例に係るクリップの後面斜視図を示す。
【
図25d】本技術の一例に係るクリップの平面斜視図を示す。
【
図25e】本技術の一例に係るクリップの側面斜視図を示す。
【
図25f】本技術の一例に係るクリップの他の後面斜視図を示す。
【
図25g】本技術の一例に係るクリップの平面斜視図を示す。
【
図25h】本技術の一例に係るクリップの他の正面斜視図を示す。
【
図25i】本技術の一例に係るクリップの後面斜視図を示す。
【
図25j】本技術の一例に係るクリップの平面斜視図を示す。
【
図25k】本技術の一例に係るクリップの側面斜視図を示す。
【
図25l】本技術の一例に係るクリップの他の後面斜視図を示す。
【
図26a】本技術の一例に係るチューブ分離構造体の斜視図を示す。
【
図26b】本技術の一例に係るチューブ分離構造体の正面図を示す。
【
図26c】本技術の一例に係るチューブ分離構造体の後面図を示す。
【
図26d】本技術の一例に係る
図26cの線26d−26dを貫いてとられたチューブ分離構造体の断面図を示す。
【
図27a】本技術の一例に係るトッププレート及びフェースプレートを伴うシール形成構造体の斜視図を示す。
【
図27b】本技術の一例に係るトッププレート及びフェースプレートを伴うシール形成構造体の正面図を示す。
【
図27c】本技術の一例に係るトッププレート及びフェースプレートを伴うシール形成構造体の側面図を示す。
【
図27d】本技術の一例に係るトッププレート及びフェースプレートを伴うシール形成構造体の平面図を示す。
【
図27e】本技術の一例に係るトッププレート及びフェースプレートを伴うシール形成構造体の後面斜視図を示す。
【
図27f】本技術の一例に係るトッププレート及びフェースプレートを伴うシール形成構造体の
図27dの線27f−27fを貫いてとられた断面図を示す。
【
図28a】本技術の一例に係るトッププレートの斜視図を示す。
【
図28b】本技術の一例に係るトッププレートの正面図を示す。
【
図28c】本技術の一例に係るトッププレートの後面図を示す。
【
図28d】本技術の一例に係るトッププレートの平面図を示す。
【
図28e】本技術の一例に係るトッププレートの側面図を示す。
【
図29a】本技術の一例に係る患者インタフェースの斜視図を示す。
【
図29b】本技術の一例に係る患者インタフェースの正面図を示す。
【
図29c】本技術の一例に係る患者インタフェースの後面図を示す。
【
図29d】本技術の一例に係る患者インタフェースの平面図を示す。
【
図29e】本技術の一例に係る患者インタフェースの底面図を示す。
【
図29f】本技術の一例に係る患者インタフェースの側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
5 本技術の実施例の詳細な説明
本技術を更に詳しく説明する前に、本技術が本明細書中に記載される様々であってもよい特定の実施例に限定されないことが理解されるべきである。また、この開示の中で使用される用語は、本明細書中で論じられる特定の実施例を説明するという目的のためにすぎず、限定しようとするものでないことも理解されるべきである。
【0057】
以下の説明は、1つ以上の共通の特性及び/又は特徴を共有し得る様々な実施例に関連して与えられる。任意の1つの実施例の1つ以上の特徴が他の1つの実施例又は他の複数の実施例のうちの1つ以上の特徴と組み合わされてもよいことが理解されるべきである。また、任意の実施例における任意の単一の特徴又は特徴の組み合わせが更なる実施例を構成してもよい。
【0058】
5.1 処置システム
1つの形態において、本技術は、呼吸器疾患を処置するための機器を備える。一例において、機器は、患者インタフェース3000に通じる空気送出チューブを介して空気などの加圧呼吸ガスを患者1000へ供給するためのフロージェネレータ又はブロワを備える。
【0059】
5.2 治療
1つの形態において、本技術は、患者1000の気道の入口に陽圧を印加するステップを備える呼吸器疾患を処置するための方法を備える。
【0060】
5.2.1 OSAのための鼻CPAP
1つの形態において、本技術は、鼻連続陽性気道圧を患者に印加することによって患者の閉塞性睡眠時無呼吸を処置する方法を備える。
【0061】
5.3 患者インタフェース
本技術の1つの態様に係る非侵襲的な患者インタフェースは、以下の機能的態様、すなわち、シール形成構造体、プレナムチャンバ、位置決め安定化構造体、及び、空気回路への接続のための接続ポートを備える。幾つかの形態では、機能的態様が1つ以上の物理的な構成要素によって与えられてもよい。幾つかの形態では、1つの物理的構成要素が1つ以上の機能的態様を与えてもよい。使用時、シール形成構造体は、陽圧の空気の気道への供給を容易にするために患者の気道への入口を取り囲むように配置される。
【0062】
図3aは、本技術の一例に係る患者インタフェース3000の正面斜視図を示す。患者インタフェース3000は、シール形成構造体3100と、口プレナムチャンバ3200と、鼻プレナムチャンバ3202と、位置決め安定化構造体3300の構成要素とを含んでもよい。
【0063】
5.3.1 プレナムチャンバ及びシール形成構造体
図3aにも示されるように、シール形成構造体3100の上部は、患者の鼻の下部の周囲で、特に鼻の翼及び頂部の周囲でシールするための鼻クッション又はフランジ3112を含んでもよい。この鼻クッション3112は、少なくとも部分的に、以下で更に詳しく論じられる上側ガスチャンバを画定してもよい。
【0064】
また、
図3aは、シール形成構造体3100が患者の口の周囲でシールするための口クッション又はフランジ3110を含んでもよいことを示す。口クッション3110は、口プレナムチャンバ3200の外周3210にわたって口プレナムチャンバ3200に取り付けられてもよい。
【0065】
図3cの後面図は、使用中に患者の顔面と接触し得るシール形成構造体3100の部分を示す。鼻クッション3112は分離構造体3106によって口クッション3110の上部に接続されて示される。分離構造体3106は、鼻クッション3112と口クッション3110とを結合する中間構造体であると理解されてもよい。分離構造体3106は、鼻クッション3112及び口クッション3110がそれらの間の空気圧流路を維持しつつ互いに対して運動できるようにしてもよい。鼻クッション3112は鼻ガスチャンバ3104を画定してもよく、また、鼻クッション3112の鼻ガスチャンバ開口3103が使用時に患者の鼻の一部を受けてもよい。治療中、呼吸用ガスは、患者インタフェース3000から鼻ガスチャンバ3104を通じて鼻へ向けて患者に供給されてもよい。口クッション3110は、治療中に呼吸用ガスを患者の口へ供給するために口ガスチャンバ3102及び口ガスチャンバ開口3101を含んでもよい。口クッション3110の口ガスチャンバ3102を通じて、フェースプレート3204及びポート3600を見ることができる。患者インタフェース3000が患者に着用されるときに、フェースプレート3204、プレナムチャンバ3200、口クッション3110、鼻クッション3112、及び、分離構造体3106が少なくとも部分的に患者の顔面と共に鼻ガスチャンバ3104及び口ガスチャンバ3102を画定し、これらのガスチャンバを通じて呼吸用ガスが陽圧で患者へ供給されてもよいことが理解されるべきである。
【0066】
図3dでは、鼻クッション3112の両側で突出端部3114を見ることができる。各突出端部3114は、患者に着用されるときに、患者のそれぞれの鼻翼と鼻唇溝との間の隙間内でシールするように患者インタフェース3000から延在するように形成されてもよい。顔の表面の特徴を描く
図2cは、鼻翼及び鼻唇溝の位置を示す。突出端部3114によってもたらされるシールの詳細については以下で更に詳しく説明する。突出端部3114は、この領域でシールするために部分的に膨らんでもよく及び/又は変形してもよい。
【0067】
図3rは、典型的な患者インタフェース3000が患者、特に鼻に対してどのようにシールできるのかを示す。この詳細な正面斜視図では、患者の鼻、口、及び、顎が実線で示され、鼻に当て付いて示される鼻クッション3112が破線で示される。鼻クッション3112が患者の鼻を抱きかかえるように凹形状であってもよいことが理解されるべきである。鼻の頂部を受ける陥凹部3116が示され、また、鼻翼及び鼻唇溝の領域でシールする突出端部3114を見ることができる。鼻アンダークッション支持壁3208が、突出端部3114の領域で鼻クッション3112を支持して、この領域でシールを維持するのに役立ってもよく、また、アンダークッションのように機能してもよい。鼻プレナムチャンバ3202も示される。この図では、明確にするために、患者インタフェース3000の口構成要素が示されない。
【0068】
また、
図3dは、鼻クッション3112上に含まれてもよい陥凹部3116も示す。この陥凹部3116は、患者により着用されるときに患者の鼻の頂部を受けるために鼻ガスチャンバ3104内へと延在する内方成形部を備えてもよい。陥凹部3116は、鼻クッション3112の形状が患者の鼻により良く適合できるようにすることによって、治療中に患者の鼻の頂部の周囲及び頂部下で高シールをもたらしてもよい。陥凹部3116についても以下で更に詳しく説明する。
【0069】
図3m及び
図3nでは、口クッション3110が患者1000の口の周囲を取り囲むのが分かる。口ガスチャンバ3102は、患者1000の口を取り囲む口クッション3110、口プレナムチャンバ3200、及び、フェースプレート3204によって形成されてもよい。使用時、呼吸用ガスを患者インタフェース3000の口ガスチャンバ3102を介して患者の口を通じて患者1000へ供給するために空気回路4170がPAP装置4000(この図には示されない)に接続されてもよい。
【0070】
また、この図は、患者1000の鼻の一部、具体的には鼻頂部を取り囲む鼻クッション3112も示す。したがって、鼻ガスチャンバ3104は鼻クッション3112と患者の顔面とによって形成される。この例において、空気回路4170からの呼吸用ガスは、口ガスチャンバ3102を通過した後、分離構造体3106によって画定される開口を通って鼻ガスチャンバ3104内へ入ってもよい。
図3mに示される線B−Bは、患者1000の鼻の骨格から延在する鼻の軟骨部と鼻骨との間の移行部を示すようになっている。この典型的な患者インタフェース3000と共に描かれる鼻クッション3112は、鼻に対して線B−Bよりも下側で患者の鼻の周囲にわたってシールするようになっている。言い換えると、鼻クッション3112は、鼻梁よりも下側でシールしてもよい。
【0071】
本技術の一例に係る患者インタフェース3000は、顔面上で表面積が4896mm2の占有領域を有し、これは従来のフルフェースマスク(例えば、ResMed Quattro FXフルフェースマスクは顔面上で表面積が7007.89mm2の占有領域を有する)よりも約30%だけ目立ち難い。一部の患者にとって、それは閉所恐怖症も殆ど感じない場合がある。また、閉塞性が低い特定の領域も重要である。これは、マスクを見るときに該マスクがあまり医療用に見えず顔を「開放して」いるように見えることからこれらの特定の領域がかなり有益な心理的影響をベッドパートナーに与えることが分かっているからである。患者の観点からは、典型的な患者インタフェース3000が患者の視界の中に入らない或いは患者の視界からかなり減らされる。これは、鼻クッション3112が鼻梁よりも下側でシールするからである。これにより、患者は、患者インタフェース3000を着用した後、眠りにつく前に本を読むとき或いはテレビを観るときに眼鏡を着用できる。鼻梁よりも下側でシールすることにより、皮膚が薄く圧力に敏感である及び/又は血流阻害に起因する皮膚損傷の機会が高い領域で、炎症を回避することができる。他の利点は、鼻梁よりも上側の患者間の人体測定学的変動を考慮する必要がなく、また、マスク適合範囲のための焦点を上唇領域の周囲の人体測定学的変動へと向けることができるという点かもしれない。また、一部の他のフルフェースマスクとは異なり、患者インタフェース3000は、圧点軽減を行うために必要とされる前頭支持体を要さない場合がある。これは、前頭支持体が圧点及び皮膚損傷の根源であるという問題も回避できる。
【0072】
解剖学的に、
図2h及び
図2iは、鼻骨と軟骨との間の移行領域の位置に関する表示のために参照されてもよい。このように、典型的な鼻クッション3112は、鼻のより柔らかい組織、例えば脂肪組織又は軟骨と接触した状態で患者の鼻の外周にわたってシールするようになっている。これらの軟組織で鼻と共にシールを形成することにより、さもなければ更に硬質の鼻構造、すなわち、骨の周囲/骨上にわたってシールが形成される場合に起こるであろう患者の皮膚の炎症を回避できる場合がある。言い換えると、鼻梁よりも下側でシールすることにより、患者の不快感を最小限に抑えることができる。また、鼻のこの領域の周囲に鼻クッション3112のシールを位置付けることにより、より良好なシールを形成できる場合がある。これは、鼻組織と鼻クッション3112とがシールを形成するために互いに適合できるからである。鼻クッション3112は主に鼻に適合すべきである。
【0073】
図3mにおいて見ることができる前述したシール機能部は、患者1000の顔面に当て付く突出端部3114の部位である。具体的には、突出端部3114は、鼻唇溝と鼻翼との間の領域でシールする鼻クッション3112の延在部であってもよい。これらの解剖学的特徴は
図2cにおいて見ることができる。患者の個々の顔面構造に応じて、この領域は陥凹部3116に相当し得る。そのため、患者の鼻の周囲で適切なシールを形成するために鼻クッション3112からの延在が必要かもしれない。
図3mに描かれる突出端部3114は、好適には、この機能を果たすことができる。
【0074】
描かれる典型的な患者インタフェース3000の他のシール機能部を
図3pにおいて見ることができる。鼻クッション3112は、前述したように、患者により着用されるときに患者1000の鼻の頂部を受けるための陥凹部3116を含む。具体的には、陥凹部3116が位置する領域で、患者1000の鼻の頂部を破線で見ることができる。また、この図は、鼻クッション3112がその下面でどのようにして鼻の外周に対してシールするように形成されてよいのかも示す。言い換えると、鼻に対して鼻クッション3112により形成されるシールは、鼻の下方外周部に対するものとして特徴付けられてもよい。したがって、この図から、鼻クッション3112のシール面が全体として鼻を受けるために凹状であってもよく或いはポケットを形成してもよく、また、鼻クッションのシール面が鼻の頂部を受けるための陥凹部3116を更に含んでもよいことが理解され得る。
【0075】
図3qは、患者の顔面に対してシールするために患者インタフェース3000によって形成されてもよい様々な接触点を描く。患者インタフェース3000は側断面図で示される。具体的には、鼻クッション3112、鼻プレナムチャンバ3202、口クッション3110、及び、口プレナムチャンバ3200が断面で示される。関連する解剖学的特徴の説明のために
図2b〜
図2fが参照されてもよい。鼻クッション3112は、患者の鼻の頂部に対してシールして示される。口クッション3110と鼻クッション3112との間の接続領域3106.2が患者の上唇に対してシールして示される。気道内へと向かう空気流を遮らないように鼻孔よりも下側にあり且つ口よりも上側にある領域で接続領域3106.2が患者の上唇に対してシールするように配置されてもよいことが留意されるべきである。接続領域3106.2は、口クッション3110の後部と鼻クッション3112とを接続してもよい。接続領域3106.2は、口ガスチャンバ3102及び鼻ガスチャンバ3104の構造体(例えば、口クッション3110及び鼻クッション3112のそれぞれ)間の相対運動を許容しつつ、鼻孔よりも下側で患者の上唇に対するシールを維持するような構造とされて位置してもよい。接続領域3106.2は、この相対運動を容易にするべく分離構造体3106とも協働して機能してもよい。
【0076】
鼻ガスチャンバ3104は、呼吸用ガスが鼻孔又は鼻穴を介して患者の気道に入るためのシールされた経路を与えるために、鼻クッション3112と、鼻プレナムチャンバ3202と、患者の鼻とによって少なくとも一部が画定されていると見なされてもよい。口プレナムチャンバ3200と鼻プレナムチャンバ3202との間に隙間3106.1も見ることができる。隙間3106.1については以下で更に詳しく論じられるが、鼻クッション3112及び口クッション3110の独立した動きにもかかわらず隙間3106.1が部分的に鼻及び口に対するシールの維持を容易にし得ることが理解されるべきである。鼻に対する鼻クッション3112のシール、上唇に対する接続領域3106.2のシール、及び、口の周囲での口クッション3110のシールを、これらの構成要素が互いに独立して運動でき且つ人体測定学的変化及び広範囲の患者も受け入れることができるようにしつつ、維持することが有利な場合がある。
【0077】
図3qに示されるように、口ガスチャンバ3102は、呼吸用ガスが口を介して患者の気道に入るためのシールされた経路を与えるために、口クッション3110と、口プレナムチャンバ3200と、患者の口とによって少なくとも一部が画定されていると見なされてもよい。患者の下唇でのシール及び/又は接触は、口クッション3110によって形成されてもよい。この図には示されないが、位置決め安定化構造体3300が患者インタフェース3000を患者の顔面に押し付けるときに、口アンダークッション3120が更に薄い口クッション3110を下唇に当て付けて支持してもよいことが理解されるべきである。そのような状況では、口アンダークッション3120が口クッション3110の対応する部分と接触する状態へと付勢される。
【0078】
本技術の1つの形態において、シール形成構造体3100は、シール形成面を与えるとともに、クッション機能を更に与えてもよい。
【0079】
一例において、本技術に係るシール形成構造体3100は、シリコンなどの柔軟な、可撓性のある、弾性材料から構成されてもよい。本技術の他の例において、シール形成構造体3100、例えば、口クッション3110、鼻クッション3112、及び/又は、それらのそれぞれのアンダークッションは、発泡体から形成されてもよい。
【0080】
一例において、プレナムチャンバ3200は、使用時にシールが生じる領域で平均的な人の顔の表面輪郭に対して相補的であるように形成される外周3210を有する。使用時、プレナムチャンバ3200の周縁は、顔の隣接する表面に近接して位置する。顔との実際の接触はシール形成構造体3100によってもたらされる。シール形成構造体3100は、使用時に、プレナムチャンバ3200の全周3210にわたって延在してもよい。
【0081】
図7a〜
図7hは、シール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200の幾つかの図を描く。これらの図は、トッププレート3206及びフェースプレート3204を伴わない、並びに、任意の関連する位置決め安定化構造体3300も伴わない、シール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200を示す。
【0082】
図7aは、シール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200の背面斜視図を示す。この図に示される典型的なシール形成構造体3100は、口クッション3110及び鼻クッション3112を含む。この図では、接続領域3106.2が口クッション3110と鼻クッション3112とを接続するのが分かる。また、分離構造体3106の位置も口クッション3110と鼻クッション3112との間に示される。
【0083】
口クッション3110及び口プレナムチャンバ3200が口ガスチャンバ3102を部分的に画定するのが分かる。口クッション3110によって画定される口ガスチャンバ3102への開口3101も見ることができる。
【0084】
図7aには、鼻クッション3112と共に鼻ガスチャンバ3104を部分的に画定する鼻プレナムチャンバ3202も見える。この典型的な鼻クッション3112は、突出端部3114を両側に含めて見ることもできる。鼻の頂部を受ける陥凹部3116も見ることができる。この図には鼻アンダークッション支持壁3208も同様に示される。鼻アンダークッション支持壁3208は、それぞれの突出端部3114と関連付けられるとともに、突出端部が患者の鼻翼及び鼻唇溝に対してシールするときに突出端部3114のための支持を行ってもよい。
【0085】
図7bは、典型的なシール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200の側面斜視図を示す。
図7bは、
図7aに示される特徴と同様の特徴を描く。しかしながら、この図は、接続領域3106.2が凹形状を有してもよいことも描く。他の例では、接続領域3106.2が非凹形状を有してもよい。凹形状を有する接続領域3106.2を形成することにより、口クッション3110が患者の口の周囲でより良くシールできてもよく、また、鼻クッションが患者の鼻の周囲及び鼻の下側でより良くシールできてもよい。或いは、完全に凸状のクッションも同様に機能してもよい。この図では、口プレナムチャンバ3200の外周3210の一部も見える。また、分離構造体3106の位置も示される。
【0086】
図7bは、鼻クッション3112のそれぞれの突出端部3114と関連付けられる鼻アンダークッション支持壁3208を示す。鼻アンダークッション支持壁3208は、鼻プレナムチャンバ3202の外周を越えるまで延出する。そのような形態は、突出端部3114が患者の顔面に対してシールするための十分な支持を鼻アンダークッション支持壁3208が行うことができるようにしてもよい。鼻アンダークッション支持壁3208の下側半分は、分離構造体3106のためのヒンジ又は回動点として作用してもよい。鼻アンダークッション支持壁3208の上側半分は、トッププレート3206を位置決めするのに役立ってもよい。
【0087】
図7cは、典型的なシール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200の正面斜視図を示す。この図は、鼻プレナムチャンバ3202の前部及び鼻クッション3112の突出端部3114を支持する鼻アンダークッション支持壁3208を特に良く描く。
【0088】
図7dは、典型的なシール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200の側面斜視図を示す。この図は、
図7aに示される特徴と同様の特徴を示す。鼻クッション3112の両側には、各鼻アンダークッション支持壁3208の一部を見ることができる。また、この図は、接続領域3106.2が口クッション3110を鼻クッション3112に対してどのように接続し得るのかも示す。また、分離構造体3106の位置も示される。
【0089】
図7eは、典型的なシール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200の正面を示す。この図は、口プレナムチャンバ3200の外周3210にわたって配置された口クッション3110を特に良く示す。また、口ガスチャンバ3102が口クッション3110と口プレナムチャンバ3200とによって画定されているのが分かる。また、この図は、鼻クッション3112を口クッション3110に接続する分離構造体3106の前部も示す。鼻クッション3112の両側に鼻アンダークッション支持壁3208を見ることができる。この図から、口アンダークッション3120も見える。また、この図は、口アンダークッション3120が鼻クッション3112の両側付近のテーパ領域3122で終端してもよいことも示す。したがって、口クッション3110と鼻クッション3112との間の接続領域3106.2(この図には示されない)にアンダークッションが存在しなくてもよい。好適には、これにより、接続領域3106.2における可撓性を更に大きくすることができる場合があり、それにより、口クッション及び鼻クッション3110、3112の動きにもかかわらず、
図3qに示される上唇に対するシールを容易に維持できる。
【0090】
図12a〜
図12dは、本技術に係る口アンダークッション3120の更なる典型的な構成を示す。これらの図は、口アンダークッション3120の様々な形態が点刻状態で示される口クッション3110及び口ガスチャンバ3102への開口3101を示す。簡単にするため、シール形成構造体3100と関連付けられる付加的な特徴がこれらの図から省かれてしまっている。
【0091】
図12aは、口アンダークッション3120が口クッション3110の全周を取り囲む、口クッション3110の一例を描く。
図12bは、口クッションの両側に1つずつ、口アンダークッション3120の2つの部分が存在する、口クッション3110の一例を描く。
図12cは、口アンダークッション3120が口クッション3110の上側領域付近の一部分を除いて口クッション3110の全周を取り囲む一例を描く。
図12dは、
図12cに類似する例を描くが、口アンダークッション3120が存在しない口クッション3110の部分が口クッション3110の下側領域である。
【0092】
図7fは、典型的なシール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200の平面図を示す。この図は、その突出端部3114及び陥凹部3116を伴う鼻クッション3112、並びに、鼻クッション3112によって部分的に画定される鼻ガスチャンバ3104を示す。また、この図は、口ガスチャンバ3102と分離構造体3106によって画定される鼻ガスチャンバ3104との間の空気圧接続部も部分的に示す。
【0093】
図7gは、典型的なシール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200の底面図を示す。この図は、口プレナムチャンバ3200に取り付けられる口クッション3110を示す。また、鼻クッション3112の突出端部3114も見ることができる。
【0094】
図8aは、典型的なシール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200の他の平面図を示す。この図は、その後の図面、すなわち、
図8b〜
図8lに描かれる断面を示すために多くの断面線も示す。この図は
図7fに類似しており、したがって、類似する構成要素が描かれる。しかしながら、混乱を避けるため、参照数字及び引き出し線が排除されてしまっている。
【0095】
図8b〜
図8dは、線8b、8c、8d−8b、8c、8dに沿ってとられた典型的なシール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200の断面図を示す。鼻クッション3112は、接続領域3106.2によって口クッション3110に接続されているのが分かる。口ガスチャンバ3102は、口プレナムチャンバ3200と口クッション3110とによって部分的に画定されるのが分かる。鼻ガスチャンバ3104は、鼻プレナムチャンバ3202と鼻クッション3112とによって部分的に画定されるのが分かる。鼻クッション3112の突出端部3114及び陥凹部3116も示される。また、この図は、本技術の1つの例における接続領域3106.2がどのようにしてアンダークッションを含まなくてもよいのかも示しているが、口クッション3110は、口アンダークッション3120と突出端部3114を支持するための鼻アンダークッション支持壁3208(これらの図には示されない)とを含んでもよい。口プレナムチャンバ3200、鼻プレナムチャンバ3202、及び、分離構造体3106のヒンジ状構成によって形成される隙間3106.1も見ることができる。本技術の他の例において、口アンダークッション3120は、口クッション3110の両側に存在する2つの不連続側部を含んでもよいが、接続領域3106.2又は口クッション3110の下側中心部には口アンダークッション部が存在しない。或いは、
図7eに示されるように、口アンダークッション3120は、その両側のテーパ領域3122における鼻クッション3112付近で終端してもよい。
【0096】
図8b及び
図8cは、接続領域3106.2に対して掃き出される角度α及びβもそれぞれ示す。
図8bは、αが鼻クッション3112から口クッション3110の下部までの角度であることを示す。αは約80°〜約180°の範囲内であってもよく、また、本技術の1つの例では、αが約142°であってもよい。
図8cは、βが鼻クッション3112から口クッション3110の上部までの角度であることを示す。βは約80°〜約170°の範囲内であってもよく、また、本技術の1つの例では、βが約120°であってもよい。クッション3110、3112及びプレナムチャンバ3200、3202が一体部品として形成される。
【0097】
図8eは、線8e−8eに沿ってとられた典型的なシール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200の他の断面図を示す。この図においても先と同様に、口クッション3110が口アンダークッション3120を含むことが分かる。本技術のこの例によれば、接続領域3106.2がアンダークッションを伴わずに示される。口プレナムチャンバ3200、鼻プレナムチャンバ3202、及び、分離構造体3106のヒンジ状構成によって形成される隙間3106.1も見ることができる。また、分離構造体3106の側部3106.3も見ることができる。
【0098】
図8fは、線8f−8fに沿ってとられた典型的なシール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200の他の断面図を示す。この図は、
図8eに描かれる例と同様の特徴を示す。しかしながら、この図は、鼻クッション3112の突出端部3114を支持するように位置した鼻アンダークッション支持壁3208の一部も示す。ここで、鼻アンダークッション支持壁3208付近に分離構造体3106の側部3106.3を見ることができる。
【0099】
図8gは、線8g−8gに沿ってとられた典型的なシール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200の他の断面図を示す。
図8gも先と同様に
図8e及び
図8fに類似する特徴を示す。しかしながら、この図は、鼻クッション3112の突出端部3114の下側に位置する鼻アンダークッション支持壁3208もより明確に示す。
【0100】
図8hは、線8h−8hに沿ってとられた典型的なシール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200の他の断面図を示す。この図も
図8gに描かれる特徴と同様の特徴を示す。この図において、各突出端部3114は、それぞれの鼻アンダークッション支持壁3208がその下側に位置した状態で見ることができる。
【0101】
図8iは、線8i−8iに沿ってとられた典型的なシール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200の他の断面図を示す。この図も
図8hに描かれる特徴と同様の特徴を示す。
【0102】
図8jは、線8j−8jに沿ってとられた典型的なシール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200の他の断面図を示す。この図も
図8fに描かれる特徴と同様の特徴を示す。
【0103】
図8kは、線8k−8kに沿ってとられた典型的なシール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200の他の断面図を示す。この図も
図8dに描かれる特徴と同様の特徴を示す。
図8kは、本技術のこの描かれた例において接続領域3106が患者の上唇に対して嵌まり合うように凹形状を有してもよいことも特に良好に示す。
【0104】
図8lは、線8l−8lに沿ってとられた典型的なシール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200の他の断面図を示す。この図も
図8dに描かれる特徴と同様の特徴を示す。
【0105】
図9aは、典型的なシール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200の他の正面図を示す。この図は、その後の図面、すなわち、
図9b〜
図9iに描かれる断面を示すために多くの断面線も示す。この図は
図7eに類似しており、したがって、類似する構成要素が描かれる。しかしながら、混乱を避けるため、参照数字及び引き出し線が排除されてしまっている。
【0106】
図9bは、線9b−9bに沿ってとられた典型的なシール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200の断面図を示す。
図9bも
図8b〜
図8dに示される特徴と同様の特徴を描く。
【0107】
図9cは、線9c−9cに沿ってとられた典型的なシール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200の断面図を示す。この図は、鼻クッション3112の突出端部3114を支持するように含まれてもよい鼻アンダークッション支持壁3208の断面を特に良好に示す。
【0108】
図9dは、線9d−9dに沿ってとられた典型的なシール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200の断面図を示す。ここに示される断面図は、鼻クッション3112の一部が示されないように所定の角度でとられている。また、この図は、口クッション3110の口アンダークッション3120も特に良好に描く。この図に示される例では、口アンダークッション3120のテーパ状領域3122も見ることができる。
【0109】
図9eは、線9e−9eに沿ってとられた典型的なシール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200の断面図を示す。
図9eは、
図9dと同様の断面に沿ってとられ、したがって、同様の特徴を描く。
【0110】
図9fは、線9f−9fに沿ってとられた典型的なシール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200の断面図を示す。この図は、口クッション3110及び口アンダークッション3120を特に良好に描くとともに、これらの2つのクッション3110、3120がどのように患者の顔面に対してシールするように同様の形状を共有し得るのかを特に良好に描く。
【0111】
図9gは、線9g−9gに沿ってとられた典型的なシール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200の断面図を示す。
図9gは、
図9fと同様の断面に沿ってとられ、したがって、同様の特徴を描く。
【0112】
図9hは、線9h−9hに沿ってとられた典型的なシール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200の断面図を示す。
図9hは、鼻アンダークッション支持壁3208の断面を含めて、
図9cに示される特徴と同様の特徴を描く。
【0113】
図9iは、線9i−9iに沿ってとられた典型的なシール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200の断面図を示す。
図9iは、
図9bに示される特徴と同様の特徴を描く。
【0114】
図16a〜
図16oは、本技術の一例に係る他のシール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200の幾つかの図を示す。
【0115】
この例に係るシール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200は、側部3106.3付近で且つ突出端部3114の下側において鼻クッション3112の両側にポケット3208.1を含む。これについては
図16a、
図16d、
図16i、
図16k、
図16m〜
図16oを参照されたい。ポケット3208.1は、少なくとも部分的に、分離構造体3106、アンダークッション支持壁3208、側部3106.3、鼻プレナムチャンバ3202、及び、側部支持体3207によって画定されてもよい。ポケット3208.1は、シール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200の前方で開いてもよい。ポケット3208.1は、鼻クッション3112の変形に対する抵抗を全ての方向で与えてもよい。ポケット3208.1は、圧縮抵抗を鼻クッション3112に与えてもよい。この圧縮抵抗は、鼻クッション3112が患者の鼻と接触しているときにポケット3208.1が鼻クッション3112及び/又は突出端部3114を支持し得る鼻領域の角で漏れを減少させるのに役立ってもよい。本技術の一例によれば、ポケット3208.1によって支持され得る突出端部3114以外の領域で鼻クッション3112が変形することが有利な場合がある。ポケット3208.1及び分離構造体3106は、鼻クッション3112の変形に抵抗するのに役立ってもよく、或いは、目標領域で変形が生じ得るようにするのに役立ってもよい。
【0116】
図16a〜
図16oによって描かれる例に示される側部支持体3207は、シール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200と一体に形成されてもよい。したがって、シール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200がシリコンから形成される例では、側部支持体3207も同様にシリコンから形成される。側部支持体3207は、シール形成構造体と患者の顔面との間のシールを向上させるべく補強目的を果たしてもよい。例えば、側部支持体3207は、鼻クッション3112をその両側で患者の鼻翼に対して支持するのに役立ってもよく、及び/又は、側部支持体は、鼻翼が鼻唇溝付近につながる患者の顔面の領域に対して突出端部3114を支持するのに役立ってもよい。また、側部支持体3207は、鼻クッションの特定の領域が他の領域の前に変形するように鼻クッション3112の変形を制御してもよい。側部支持体3207は、鼻クッション3112の特定の領域における変形の程度を制御してもよい。側部支持体3207は、該側部支持体3207が患者の顔面との接触に起因して圧縮されるときに曲がることができるため、鼻クッション3112の制御された変形を容易にし得る。また、側部支持体3207は、鼻クッション3112に抗する顔面の圧縮力を切り離して鼻クッション3112が分離構造体3106の方へと潰れるのを防止するために鼻クッション3112の側部を強化してもよい。
【0117】
側部支持体3207がそれぞれ切り欠き3209を含んでもよい。側部支持体3207の切り欠き3209は、鼻クッション3112と口クッション3110との間に回動点を与えてもよい。また、ポケット3208.1が回動点の位置を制御する役目を果たしてもよい。
【0118】
側部支持体3207がトッププレート3206のための取り付けポイントを与えてもよい。トッププレート3206は、シール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200と一体に及び/又は化学的に結合されてもよい。一例において、シール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200のシリコンは、トッププレート3206の周囲に形成され及び/又は成形されてもよい。本技術の一例によれば、トッププレート3206とシール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200との間に機械的な連結が不要であってもよい。或いは、化学的な及び/又は一体的な結合が存在しなくてもよく、その場合には、トッププレート3206とシール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200との間の機械的な連結が必要である。トッププレート3206は、少なくとも部分的に、鼻クッション3112と口クッション3110との間に回動点を画定してもよい。
【0119】
また、鼻クッション3112を強化又は補強して局所的な支持を行うことにより鼻クッションの特定の領域における他の領域に対する変形を減少させる或いは制御することが望ましい場合がある。補強の例は、強化されることが望まれる鼻クッション3112の相対的な厚さを増大させることを含んでもよい。或いは、望ましいレベル及び位置の局所的な支持をもたらすために補強リブ又は他の補強構造が鼻クッション3112に形成されてもよい。
【0120】
図16i、
図16k〜
図16m、
図16oは、鼻クッション3112が厚肉鼻クッション部分3124を側部に含んでもよいことを示す。厚肉鼻クッション部分3124は、一般的には鼻ガスチャンバ3104内へ向けて鼻クッションの内部方向で延在する鼻クッション3112の厚肉部分であってもよい。これらの厚肉鼻クッション部分3124は、鼻クッションが患者の鼻及び顔面とシール係合状態にあるときに鼻クッション3112のための付加的な支持を行ってもよい。厚肉鼻クッション部分3124は、シール形成構造体が患者の顔面と係合するときに厚肉鼻クッション部分が患者の鼻唇溝付近にあるように鼻クッション3112の両側の所定位置に位置してもよい。厚肉鼻クッション部分3124は、シール力に起因する鼻クッション3112の潰れを防止することによって患者の鼻の鼻翼の周囲でシールするのに役立ってもよい。厚肉鼻クッション部分3124が鼻クッション3112と一体に形成されてもよい。また、厚肉鼻クッション部分3124は、シール形成構造体が患者の鼻及び顔面と係合するときに厚肉鼻クッション部分3124を少なくとも部分的にそれぞれのアンダークッション支持壁3208に押し付ることができるように鼻クッション3112上に位置してもよい。厚肉鼻クッション部分3124は、鼻クッション3112の残りの部分の厚さよりも大きい一定の厚さを全体にわたって有してもよい。或いは、厚肉鼻クッション部分3124は、その面積にわたって可変の厚さを有してもよい。
【0121】
本技術の別の例では、厚肉鼻クッション部分3124が設けられなくてもよく、これらの領域で剛性を高めるために他の構造体が設けられてもよい。例えば、厚肉鼻クッション部分3124が鼻クッション3112を補強する機能を果たすと見られる領域には、これらの領域でリブ又は他の補強構造体が鼻クッション3112に設けられてもよい。
【0122】
また、
図16kは、口プレナムチャンバ3200が厚肉口プレナムチャンバ部分3212を含む本技術の一例も示す。これらの厚肉口プレナムチャンバ部分3212は、口プレナムチャンバの潰れに抵抗するのに役立つように口プレナムチャンバ3200のための付加的な支持を行ってもよい。
【0123】
また、
図16j及び
図16kは、シール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200を貫く断面図を示す。これらの図は、これらの図に描かれる例では接続領域3106.2が
図8a〜
図8l及び
図9a〜
図9lに示される接続領域と比べて厚くてもよいことを示す。
図16j及び
図16kに示される接続領域3106.2の厚さは、その幅及び高さに沿って一貫していてもよい。空気回路4170からのチューブトルクにより、口クッション3110が分離構造体3106を介して鼻クッション3112を引っ張って接続領域3106.2を略垂直方向に延在する場合がある。接続領域3106.2の引き伸ばしは、鼻クッション3112のシールの乱れを引き起こす場合がある。接続領域3106.2を肉厚にして、厚さを全体にわたって一貫させることにより、接続領域3106.2のこの引き伸ばしに抵抗してもよく、また、鼻クッション3112でのシールの乱れが防止され及び/又は減少されてもよい。
【0124】
図16b、
図16c、
図16e、
図16f、
図16j、
図16oは、鼻ガスチャンバ3104への開口3103を鼻孔ポート3105へと分ける鼻スリング3119を含む鼻クッション3112の図を示す。鼻スリング3119は、それぞれの鼻孔を個別にシールできるように患者の鼻の鼻柱(
図2f参照)に沿ってシールしてもよい。或いは、鼻スリング3119は、シールを形成することなく患者の鼻柱と接触することにより鼻柱レリーフを形成してもよい。また、鼻スリング3119は、患者の鼻の頂部が鼻クッション3112を貫いて鼻ガスチャンバ3104内へと延在することを防止してもよい。また、鼻スリング3119は、鼻スリング3119の長手方向軸線の方向での鼻クッション3112の変形を防止するために鼻クッション3112のための支持を行ってもよい。
【0125】
シール形成構造体3100が順応領域を含んでもよい。順応領域はこれらの例では示されない。順応領域の更なる例の説明及び描写は国際特許出願公開第PCT/AU2014/000026号明細書で与えられる。順応領域は、シール形成構造体3100の他の部分と比べて相対的に柔軟であり、可撓性があり、及び/又は、順応性がある。順応領域の相対的な可撓性は、それが鼻の頂部及び鼻中隔の領域で患者に対する不快感を軽減するのに役立ち得るという点において有利な場合がある。順応領域は、シール形成構造体3100の他の部分と比べて相対的に薄くてもよく、したがって、鼻の頂部に当て付いて包み込む及び/又は鼻の頂部と接触することによって鼻の頂部で効果的なシールを維持するべく機械的なバネのように機能してもよい。順応領域は、シール形成構造体3100がプレナムチャンバ3200、3202へと移行する上頂部でシール形成構造体3100に位置してもよい。順応領域は、陥凹部3116よりも上側のシール形成構造体3100に位置してもよい。順応領域が陥凹部3116に一体化してもよい。順応領域は、シール形成構造体3100のほぼ中心に水平方向で位置してもよい。シール形成構造体3100は、本技術の一例によれば約0.35mmの厚さを順応領域で有してもよく、また、順応領域がシール形成構造体3100の最も薄い領域のうちの1つであってもよい。
【0127】
図4aは典型的な鼻クッション3112の平面図を示す。突出端部3114を鼻クッション3112の両側で見ることができる。鼻ガスチャンバ3104及び該鼻ガスチャンバへの開口3103も見ることができる。鼻ガスチャンバ3104への開口3103は、一般に、そのそれぞれの短辺及び長辺3104.2で湾曲されてもよい長方形形状、菱形形状、又は、台形形状を有してもよい。鼻開口3103の湾曲された短辺3104.2は、患者の鼻に当て付いて配置されると、鼻のそれぞれの鼻翼付近にある。また、この例でも、一対の長辺のうちの一方、具体的には、鼻開口3103の遠位端側の辺3104.1は、鼻の頂部付近で患者の上唇に対して遠位端側にあり、一方、一対の長辺のうちの他方、すなわち、近位端側の辺3104.3は、患者の上唇に対して近位端側にある。鼻の頂部を受けるように形成される陥凹部3116も示される。
【0128】
図4bは、
図4aの線4c−4cに沿って切断された典型的な鼻クッション3112の底面図を示す。この図は、鼻ガスチャンバ3104及びその関連する開口3103も示す。
【0129】
図4cは、
図4aの線4c−4cに沿って切断された典型的な鼻クッション3112の側面斜視図を示す。この図も鼻ガスチャンバ3104及び該鼻ガスチャンバへの開口3103を示す。陥凹部3116も示される。この図で特に注目すべきなのは、断面線4c−4cに沿う鼻クッション3112の輪郭である。鼻クッション3112は、それが陥凹部3116から鼻ガスチャンバ3104への開口3103の遠位端側の辺3104.1に近づくにつれて僅かに上方へ湾曲するのが分かる。また、この図及び
図4bにおいて分かるように、陥凹部3116付近にある鼻クッション3112の前上部は、鼻クッション3112が中央におけるよりもその両側で高くなるように、線4c−4cが通るその中心に僅かな窪み或いは凹状領域を含む。また、この図は、患者の鼻が鼻クッション3112に対してどのように位置し得るのかを示すために鼻の外形を破線で示す。クッション3112における頂部3118は、鼻孔の前方をシールする役目を果たしてもよい。頂部3118は、更に後方に位置してもよいが、バルーン効果を生み出すために徐々に大きく移行してもよい。遠位端側の長辺3104.1は、クッション3112からめくり上がって鼻頂部でシールを高めることができる。これは、遠位端側の長辺が鼻との接触をより素早くするとともに鼻を抱きかかえることによって圧縮シール及び空気圧シールの両方を引き起こすからである。鼻の頂部を受けるように形成される陥凹部3116も示される。
【0130】
図5aは典型的な鼻クッション3112の平面図を示す。突出端部3114を鼻クッション3112の両側で見ることができる。鼻ガスチャンバ3104及び該鼻ガスチャンバへの開口3103も見ることができる。鼻ガスチャンバ3104への開口3103の形状は、
図4aに示される形状と同様であってもよい。鼻の頂部を受けるように形成される陥凹部3116も示される。
【0131】
図5bは、
図5aの線5c−5cに沿って切断された典型的な鼻クッション3112の底面図を示す。この図は、鼻ガスチャンバ3104及びその関連する開口3103も示す。
【0132】
図5cは、
図5aの線5c−5cに沿って切断された典型的な鼻クッション3112の側面斜視図を示す。この図も鼻ガスチャンバ3104及び該鼻ガスチャンバへの開口3103を示す。陥凹部3116も示される。この図で特に注目すべきなのは、断面線5c−5cに沿う鼻クッション3112の形状である。
図4cにおける鼻クッション3112の形状とは対照的に、この図において、鼻クッションは、それが陥凹部3116から鼻ガスチャンバ3104への開口3103の遠位端側の辺3104.1に近づくにつれて下方に傾斜されるのが分かる。また、鼻クッション3112のこの例が、
図4b及び
図4cに示される例において見ることができる陥凹部3116付近の前領域における窪みを欠くことも分かる。言い換えると、この例は、鼻クッション3112が陥凹部3116から鼻ガスチャンバ3104への開口3103の遠位端側の辺3104.1までの領域において
図4cに示される例と比べて更に円形/更に丸みを帯びてもよいことを示す。また、この図は、患者の鼻が鼻クッション3112に対してどのように位置し得るのかを示すために鼻の外形を破線で示す。
【0133】
図6aは典型的な鼻クッション3112の平面図を示す。突出端部3114を鼻クッション3112の両側で見ることができる。鼻ガスチャンバ3104及び該鼻ガスチャンバへの開口3103も見ることができる。鼻ガスチャンバ3104への開口3103の形状は、
図4aに示される形状と同様であってもよい。
図4a〜
図4cにおいて、形状は、
図6a〜
図6cに示される例よりも更にバルーン状を成して丸みを帯びている。
【0134】
図6bは、
図6aの線6c−6cに沿って切断された典型的な鼻クッション3112の底面図を示す。この図は、鼻ガスチャンバ3104及びその関連する開口3103も示す。また、この図において分かるように、鼻クッション3112は、
図4a〜
図4c及び
図5a〜
図5cに示される鼻クッション3112の上面から滑らかに湾曲する側壁とは対照的に、直線状の側壁3121を有する。直線状の側壁3121は、画定された上縁を有してもよく、また、鼻クッション3112の安定性及び強度を高めると考えられる。
【0135】
図6cは、
図6aの線6c−6cに沿って切断された典型的な鼻クッション3112の側面斜視図を示す。この図も鼻ガスチャンバ3104及び該鼻ガスチャンバへの開口3103を示す。陥凹部3116も示される。この図で特に注目すべきなのは、断面線6c−6cに沿う鼻クッション3112の形状である。
図5cの場合のように、鼻クッション3112のこの例が、
図4b及び
図4cに示される例において見ることができる陥凹部付近の前領域における窪みを欠くことが分かる。この図では、この典型的な鼻クッション3112の直線状の側壁3121も見ることができる。また、この図は、患者の鼻が鼻クッション3112に対してどのように位置し得るのかを示すために鼻の外形を破線で示す。
【0136】
また、
図4a〜
図4c、
図5a〜
図5c、及び、
図6a〜
図6cに描かれる典型的な鼻クッション3112がほぼ変形されていない状態で示されることも理解されるべきである。
図4c、
図5c、
図6cは、破線で示される鼻の形状との適合に起因して小量の変形を示す場合がある。したがって、鼻クッション3112は、変形されないときに図示のような凹形状を有する場合がある。
【0137】
また、鼻クッション3112が可変厚の断面を有してもよいことも理解されるべきである。したがって、鼻ガスチャンバ3104への開口3103付近の鼻クッション3112の領域は、鼻クッション3112がプレナムチャンバ3202に取り付く領域より薄くてもよい。好適には、これは、大きな量の接触が患者の鼻となされる部位にクッション材料の更に薄い、したがって更に順応性のある領域を設けることによって、より大きな快適さを患者に与えてもよい。
【0138】
図10a〜
図10dは、本技術の更なる例に係る更なる鼻クッション3112を更に示す。これらの図は、鼻ガスチャンバ3104への開口3103の想定し得る形状の更なる変形を描く。
【0139】
図11a〜
図11cは、本技術の例に係る鼻クッション3112の様々な断面形状を描く。領域3112.1は鼻ガスチャンバ3104への開口3103付近にあってもよく、また、領域3112.3は鼻プレナムチャンバ3202に対する接続部付近にあってもよい。領域3112.2は、鼻クッション3112の上側外周付近で最も高い領域であってもよい。
【0140】
図11aは、
図4aの線11a−11aを横切ってとられた鼻クッション3112の断面を示す。この断面は、領域3112.1から領域3112.3までの鼻クッション3112における滑らかに変化する厚さを示す。また、厚さxが厚さzより薄くてもよい。
【0141】
図11bは、
図13の線11b,c−11b,cを横切ってとられた鼻クッション3112の断面を示す。この断面は、領域3112.2が領域3112.1、3112.3よりも急激に厚くなってもよいことを示す。また、厚さxが厚さzより薄くてもよく、また、厚さyが厚さx、zより厚くてもよい。
【0142】
図11cは、
図13の線11b,c−11b,cを横切ってとられた鼻クッション3112の断面を示す。領域3112.2は、他の領域3112.1、3112.3に対して補強されてもよい。この断面は、領域3112.2が領域3112.1、3112.3よりも急激に厚くなってもよいことを示す。また、厚さzが厚さxより薄くてもよく、また、厚さyが厚さx、zより厚くてもよい。
【0143】
図13は、本技術に係る他の典型的な鼻クッション3112の平面図を示す。鼻ガスチャンバ3104への開口3103及び突出端部3114は、鼻クッション3112の方向の理解を可能にするように示される。鼻クッション3112の剛性及び/又は厚さが変化し得る場所をより良く示すために、様々な厚さの領域が異なってハッチングされる。領域3113は、鼻の頂部に対する素早い適合を可能にするように最も薄くてもよい。領域3113は、本技術の一例によれば、約0.35mmの厚さを有してもよい。領域3115は、鼻クッション3112のためのより大きな支持をもたらすべく更に厚くてもよい。領域3115は、本技術の一例によれば、約0.5mmの厚さを有してもよい。領域3117は、最大の支持、変形に対する抵抗を与えるとともに、患者の鼻翼で効果的なシールを確保するために、他の領域より厚くてもよい。領域3117は、本技術の一例によれば、約1mmの厚さを有してもよい。
【0144】
5.3.2 分離構造体
図3cに示される分離構造体3106は、鼻クッション3112と口クッション3110との間の接続をもたらしてもよい。また、分離構造体3106は、口ガスチャンバ3102と鼻ガスチャンバ3104との間の空気圧接続を画定してもよい。したがって、患者に陽圧の呼吸用ガスが供給される治療中、ガスは、ポート3600を介して患者インタフェースに入るとともに、プレナムチャンバ3200、フェースプレート3204、口クッション3110、及び、分離構造体3106によって少なくとも部分的に画定される口ガスチャンバ3102内へと直接に流れてもよい。その後、ガスは患者の口へと流れる。呼吸用ガスは、鼻ガスチャンバ開口3103を経由し、鼻クッション3112、鼻プレナムチャンバ3202、及び、分離構造体3106によって少なくとも部分的に画定される鼻ガスチャンバ3104を通じて、患者の鼻へ供給されてもよい。鼻ガスチャンバ3104に達するために、ガスは、口ガスチャンバ3102から、分離構造体3106により画定される空気圧通路を通じて流れた後、鼻ガスチャンバ3104内へ流れ込まなければならない。しかしながら、呼吸用ガスを受けるためにポートがトッププレート3206又は鼻クッション3112に設けられてもよいことが理解されるべきである。その場合、患者インタフェース3000を通じた流れパターンが単に逆にされてもよい。
【0145】
図3cに描かれる分離構造体3106に関して、この特徴は、鼻クッション3112及び口クッション3110が患者により着用されるときに互いに独立に運動できるようにしてもよい。鼻クッション3112は、以下で更に詳しく説明されるように位置決め安定化構造体3300(例えばヘッドギア)と共に患者により着用されると、リジダイザアーム3302に沿ってトッププレート3206を介して鼻クッション3112へ伝えられる力により、患者の顔面に対して、特に鼻に対して押し付けられてもよい。また、口クッション3110は、ヘッドギアストラップ3306からフェースプレート3204へ伝えられる力により、患者の顔面に対して、特に口に対して押し付けられてもよい。ヘッドギアストラップ3306の異なる組が患者インタフェース3000の異なる部分(例えば、鼻クッション3112及び口クッション3110)を患者の顔面の異なる部分(例えば、鼻及び口のそれぞれ)に対して押し付けることができるため、分離構造体3106に起因して鼻クッション3112と口クッション3110とが互いに独立に運動できるようにすることが有利な場合がある。
【0146】
分離構造体3106は、この独立運動を容易にするように口クッション3110と鼻クッション3112とを接続するために使用されてもよい。クッション3110、3112の独立運動を可能にすることにより、より幅広い様々な患者顔形状に対するシールをより良く行うことができるとともに、顔の異なる領域の動き、空気回路4170の動き、又は、外力にもかかわらず、患者の顔面に対するシールを維持するのに役立つことができる。また、患者インタフェース3000が顔、鼻、及び、口の2つの別個の領域に対してシールできるという事実に起因して、呼吸用ガスを患者へ供給するべく2つの別個の開口が設けられなければならない。シール構造体(例えば、口クッション3110及び鼻クッション3112)が独立して運動できるようにすることにより、口の周囲のシールとは無関係に鼻の周囲でシールを維持して、望ましくない漏れ、したがって一方又は両方の開口を通じた圧力損失を防止することができる。
【0147】
分離構造体3106は、口プレナムチャンバ3200及び鼻プレナムチャンバ3202の壁の一部を前方向で形成してもよい。分離構造体3106は、口ガスチャンバ3102及び鼻ガスチャンバ3104を画定する構造体間の相対的な運動及び/又は長さ伸長を可能にするために弾性的に可撓性があってもよい。したがって、口プレナムチャンバ3200及び鼻プレナムチャンバ3202は、互いから離れるように延在され或いは互いに押し付けられてもよいが、その間、空気圧接続は口ガスチャンバ3102と鼻ガスチャンバ3104との間で維持される。また、分離構造体3106は、これらの構造体(例えば、口プレナムチャンバ3200及び鼻プレナムチャンバ3202)を互いに対して傾けることができるようにしてもよいが、その間、空気圧接続は口ガスチャンバ3102と鼻ガスチャンバ3104との間で維持され、また、患者の顔面とのシールが維持される。
【0148】
分離構造体3106は、上面3106.4と、接続面3106.5と、下面3106.6とを備えてもよい。接続面3106.5は、上面3106.4及び下面3106.6よりも相対的に剛性が高くてもよい。下面3106.6は、口クッション3110とは別個の面であると理解されてもよい。上面3106.4は、鼻クッション3112とは別個の面であると理解されてもよい。接続面3106.5の更に大きい剛性は、補強リブ又は他の補強構造体によって或いは接続面3106.5を上面3106.4及び下面3106.6よりも厚くすることによって生み出されてもよい。1つの例によれば、上面3106.4及び下面3106.6がそれぞれ0.5mmの厚さを有してもよく、また、接続面3106.5が1.2mmの厚さを有してもよい。本技術の更なる例によれば、上面3106.4、接続面3106.5、及び、下面3106.6の間の厚さ比率を同一に維持しつつ特定の数値が変えられてもよい。
【0149】
本技術の更なる例によれば、上面3106.4、接続面3106.5、及び、下面3106.6の相対的な厚さは、分離構造体3106の所望の大きさの可撓性を可能にするように選択されてもよい。一例において、分離構造体3106は、上面3106.4及び下面3106.6が互いに対して最大約45°〜約50°で位置するように曲がることができてもよい。
【0150】
また、本技術の更なる例によれば、上面3106.4と接続面3106.5との間の角度が約80°〜約140°であってもよい。また、本技術の更なる他の例によれば、上面3106.4と接続面3106.5との間の角度が約90°であってもよい。上面3106.4と接続面3106.5との間の角度が分離構造体の湾曲形状に起因して分離構造体3106の長さにわたって変化してもよいことが理解されるべきである。所定の例において上面3106.4と接続面3106.5との間の角度が90°よりも大きい場合には、鼻構造体と口構造体とを互いから分離することが更に容易かもしれない。所定の例において上面3106.4と接続面3106.5との間の角度が90°未満の場合には、鼻構造体と口構造体とを互いの方へ押し付けることが更に容易かもしれない。
【0151】
本技術の更なる例によれば、下面3106.6と接続面3106.5との間の角度が約80°〜約140°であってもよい。本技術の更なる他の例によれば、下面3106.6と接続面3106.5との間の角度が約90°であってもよい。所定の例において下面3106.6と接続面3106.5との間の角度が90°よりも大きい場合には、鼻構造体と口構造体とを互いから分離することが更に容易かもしれない。所定の例において下面3106.6と接続面3106.5との間の角度が90°未満の場合には、鼻構造体と口構造体とを互いの方へ押し付けることが更に容易かもしれない。
【0152】
この典型的な患者インタフェース3000の他の有利な特徴は
図3mにおいても見ることができる。この特徴は、患者のそれぞれの解剖学的特徴に関して鼻クッション3112及び口クッション3110がそれぞれ独立にシールを形成できることである。既に論じられたように、鼻クッション3112は患者の鼻に関してシールするようになっており、また、口クッション3110は患者の口に関してシールするようになっている。
図3cに示される分離構造体3106は、例えば、鼻クッション3112及び口クッション3110が独立に運動して互いに独立にシールできるようにしてもよい。トッププレート3206を介して上側ストラップ3310の対を鼻クッション3112に取り付けることにより、患者インタフェース3000が着用されるときに鼻クッション3112が患者1000の鼻に押し付けられてもよい。また、下側ストラップ3312の対は、それらのフェースプレート3204に対する接続により、口クッション3110を患者の口の周囲に押し付けてもよい。
【0153】
上側ストラップ3310及び下側ストラップ3312のそれぞれの各対が別個のベクトル対に相当し、患者インタフェース3000のそれぞれの部分を患者の顔面に当て付けた状態に保持するべくベクトル対に沿って引張力が方向付けられることが理解されるべきである。言い換えると、上側ストラップ3310は、鼻クッション3112を鼻に当て付けた状態に保持する役目を果たし、また、下側ストラップ3312は、口クッション3110を口に当て付けた状態に保持する役目を果たす。分離構造体3106は、2つのクッション3110、3112間の空気圧接続を可能にするが、これらのクッションは互いに独立に運動されてもよい。したがって、様々な異なる患者の頭部及び顔面の形状を患者インタフェース3000によって受け入れることができる。また、別個のシールを独立して形成できることにより患者インタフェース3000が患者による動きにもかかわらずこれらのシールを維持できることが理解されるべきである。
【0154】
図7hは、典型的なシール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200の側面図を示す。この図は、鼻プレナムチャンバ3202に取り付けられる鼻クッション3112と、分離構造体3106の側部3106.3付近にある鼻アンダークッション支持壁3208により支持される突出端部3114とを示す。口プレナムチャンバ3200は、その外周3210の周囲に口クッション3110が配置される状態で示される。また、この図では、分離構造体3106が口クッション3110を鼻クッション3112に接続していることが分かる。この図は、分離構造体3106及び接続領域3106.2(この図に示されない)を介した接続によって鼻プレナムチャンバ3202及び鼻クッション3112が口プレナムチャンバ3200及び口クッション3110に対してとることができるヒンジ状構成を特に良く示す。このヒンジ状構成により、完備した患者インタフェース3000が患者上に配置されるときに患者の顔面によって加えられる力に応じて鼻プレナムチャンバ3202及び鼻クッション3112が傾くことができてもよいことが理解されるべきである。したがって、口プレナムチャンバ3200及び鼻プレナムチャンバ3202は隙間3106.1内で互いに近づくことができる。
【0155】
この図に示されるように、口プレナムチャンバ3200及び鼻プレナムチャンバ3202のそれぞれの前部間に隙間3106.1を設けることにより、口プレナムチャンバ3200及び鼻プレナムチャンバ3202の構成要素が互いに接触する前に幾らかの大きさの自由度をもって互いに独立に運動できるようにすることが想定し得る。また、径方向に変化できる厚さ又は様々な剛性を分離構造体3106に与えることによって、鼻クッション3112及び口クッション3110が効果的なシールを維持しつつ互いに独立に運動できることが促進されてもよいことも理解されるべきである。したがって、分離構造体3106は、患者の上唇と接触する部分で最も薄く或いは最も剛性が低くてもよく、また、その厚さ/剛性は、分離構造体3106の前部へ向けて径方向で増大してもよい。この構成により、上唇に対する効果的なシールを維持できる一方で、十分な支持及び構造をクッション3110、3112に与えることもできる。分離構造体3106は、その頂点では、隙間3106.1の開端付近の領域と比べて隙間3106.1の閉端における方が厚くてもよい。この変化は、歪みを防止できるとともに、ヒンジ動作を向上させることができる。これは、隙間3106.1の閉端における分離構造体3106の厚肉部分が回動点としての機能を果たし得るからである。
【0156】
図14は、本技術の他の例を部分分解側面図で示す。この例は、本明細書中に開示される他の例と同様の態様で分離構造体3106により接続される口及び鼻クッション3110、3112と口及び鼻プレナムチャンバ3200、3202とを含んでもよい。上部又はトッププレート3206及び下部又はフェースプレート3204が鼻プレナムチャンバ3202及び口プレナムチャンバ3200からそれぞれ取り外されているのが分かる。また、明確にするために部分的に切り取られてしまっているリジダイザアーム3302の接続機能部3304に対して取り付け機能部3252が接続されているのが分かる。また、この図は、トッププレート3206とフェースプレート3204とを接続して一体のプレート部材を形成してもよい中央部又は接続部3205も示す。接続部3205は、トッププレート3206、フェースプレート3204、及び、接続部3205の一体部材が鼻プレナムチャンバ3202及び口プレナムチャンバ3200に取り付けられるときに接続部3205が分離構造体3106とほぼ同一平面上にあり得るように、分離構造体3106の形状にほぼ従うように形成されて寸法付けられてもよい。本明細書中の他の場所で説明したように口及び鼻プレナムチャンバ3200、3202が互いに対して運動できるようにするためには、シリコン、又は、柔軟な、可撓性がある、空気を透過させない、及び、生体適合性のある任意の適した材料から接続部3205を形成することが有利な場合がある。
【0157】
本技術の他の例において、隙間3106.1付近の分離構造体3106の部分は、アンダークッション支持壁3208及び/又は接続領域3106.2のみが口及び鼻プレナムチャンバ3200、3202と口及び鼻クッション3110、3112とを接続するように排除されてもよい。そのような例において、接続部3205は、口ガスチャンバ3102と鼻ガスチャンバ3104との間に空気圧シールされた接続をもたらすためにシール機能を果たしてもよい。言い換えると、接続部3205は、トッププレート3206、接続部3205、及び、フェースプレート3204の一体部材が口及び鼻プレナムチャンバ3200、3202に取り付けられたときに分離構造体3106の排除された部分と効果的に置き換わってもよい。この例においても、接続部3205をシリコン又は任意の他の同様の材料から形成することが望ましい場合がある。
【0158】
5.3.3 トッププレート及びフェースプレート接続機能部、リジダイザアーム、並びに、位置決め安定化構造体
使用時に患者の顔面と対向する鼻クッション3112の前側で、硬質のトッププレート3206が鼻プレナムチャンバ3202に取り付けられてもよい。トッププレート3206は、EMS-Grivory Grilamid(登録商標)TR 90などの硬質材料から形成されてもよい。トッププレート3206は、少なくとも1つの上側取り付け機能部3252を含んでもよい。1つの例では、位置決め安定化構造体3300のそれぞれのリジダイザアーム3302を解放可能に且つ回転可能に接続するために一対の上側取り付け機能部3252がトッププレート3206の両側に配置されてもよい。デュポン(商標)が提供しているUBE America Inc.’s Ubesta(登録商標)nylon, Hytrel(登録商標)、TPE、及び、ポリプロピレンや他の可撓性高分子及び可撓性材料がリジダイザアーム3302のために想定し得る材料である。リジダイザアーム3302が屈曲できるようにしつつ実質的に伸張性がない他の材料がリジダイザアーム3302のために使用されてもよい。リジダイザアーム3302は、患者の前頭面(
図2e参照)と平行な方向で可撓性があってもよいが、他の方向では実質的に可撓性がない。リジダイザアーム3302の接続は、リジダイザアームの接続機能部3304がトッププレート3206の取り付け機能部3252の周りで回転できるようにヒンジであってもよい。本技術の1つの例では、ヒンジ結合された上側取り付け機能部3252の周りでリジダイザアーム3302が最大90°まで回転してもよい。一例において、ヒンジ結合された上側取り付け機能部3252の周りでリジダイザアーム3302が180°を超えて回転してもよい。回転は、ボール及びソケット接続、リビングヒンジ、遊離型ジンブル(gimble)によってもたらされてもよく、或いは、シリコン、TPE、又は、TPUでオーバーモールドされてもよい。リジダイザアーム3302のそれぞれの反対側の端部には、以下で更に詳しく論じられる位置決め安定化構造体3300のそれぞれのヘッドギアストラップ3306を受けるための開口3308が存在してもよい。リジダイザアーム3302の各端部間には、患者の顔面の曲率にほぼ従うように形成される湾曲部が存在してもよい。
【0159】
図3s〜
図3uは、それぞれの取り付け機能部3252と接続機能部3304との間の典型的なヒンジ状接続を描くためにリジダイザアーム3302が分解された状態の患者インタフェース3000の更なる例を示す。前述したように、リジダイザアーム3302が患者の前頭面と平行な平面内で最大90°まで或いは他の例では180°を超えて回転できてもよいことが理解されるべきである。
【0160】
口クッション3110の反対側では、フェースプレート又は下側プレート3204が口プレナムチャンバ3200に取り付けられてもよい。取り付けの手段は、柔軟材料から硬質材料までの材料がオーバーモールドされて押し込まれることを含んでもよく、或いは、フープ応力に依存するべくクッションクリップを含んでもよい。フェースプレート3204は、空気回路4170(この図には描かれない)への接続を容易にするポート3600を含んでもよい。また、フェースプレート3204は、以下で更に詳しく論じられる位置決め安定化構造体3300のそれぞれのヘッドギアストラップを取り付けるために少なくとも1つの下側取り付け機能部3250を含んでもよい。この例において示される下側取り付け機能部3250は、ヘッドギアストラップ3306に取り付けられる雄クリップを受けるための雌クリップ受け入れ構造体であってもよい。或いは、この形態は、雌クリップを受けるための雄構造体を含んでもよい。
【0161】
図3bの正面図に示される典型的な患者インタフェース3000は、鼻クッション3112に接続されて少なくとも1つの上側取り付け機能部3252を両側に有するトッププレート3206を含む。リジダイザアーム3302は、接続機能部3304を介してそれぞれの上側取り付け機能部3252に接続されて示される。この図においても、フェースプレート3204が口プレナムチャンバ3200の前側に接続されているのが分かる。フェースプレート3204上に示されるポート3600は、(例えば、以下で更に論じられるチューブ分離構造体3500を介して)空気回路4170に空気圧接続するべく円形である。下側取り付け機能部3250もフェースプレート3204の両側で見ることができる。この図には分離構造体3106が示され、また、分離構造体の側部3106.3も見ることができる。
【0162】
図3cは、典型的な患者インタフェース3000の後面図を示す。この図では、一対のリジダイザアーム3302がそれぞれの接続機能部3304でそれぞれの上側取り付け機能部3252から延在して該上側取り付け機能部に接続されるのが分かる。リジダイザアーム3302のそれぞれの反対側の各端部には、位置決め安定化構造体3300のヘッドギアストラップ3306に接続するための開口3308を見ることができる。この図には、分離構造体3106の位置が、口クッション3110と鼻クッション3112との接続領域3106.2と共に示される。
【0163】
図3dは、本技術の一例に係る患者インタフェース3000の平面図を示す。この平面図から、患者の鼻と接触する鼻クッション3112の部分、及び、鼻ガスチャンバ3104内への開口3103を見ることができる。この平面図は、この特定の図では見ることができないトッププレート3206の両側で上側取り付け機能部3252に接続されるリジダイザアーム3302の接続機能部3304も示す。また、口プレナムチャンバ3200が該プレナムチャンバの外周3210にわたってフェースプレート3204に接続されていることも分かる。下側取り付け機能部3250がフェースプレート3204の両側に示される。フェースプレート3204上にポート3600を見ることもできる。
【0164】
図3eは、本技術に係る典型的な患者インタフェース3000の底面図を示す。この図は、その外周3210にわたってフェースプレート3204に接続される口プレナムチャンバ3200を示す。フェースプレート3204は、そこから下側取り付け機能部3250が延在している状態で見ることができる。フェースプレート3204上のポート3600を見ることもできる。この図には、口クッション3110及び鼻クッション3112が鼻クッション3112の突出端部3114と共に示される。リジダイザアーム3302も同様に示されるが、
図3eではトッププレート3206に対するリジダイザアーム3302の接続が見えない。
【0165】
図3fは、本技術に係る典型的な患者インタフェース3000の側面図を示す。リジダイザアーム3302が、トッププレート3206の上側取り付け機能部3252に取り付けられる接続機能部3304から延在しているのが分かる。また、
図3fは、その外周3210にわたってフェースプレート3204に接続される口プレナムチャンバ3200を描く。フェースプレート3204上には、下側取り付け機能部3250及び接続ポート3600を見ることができる。鼻クッション3112及び口クッション3110も見ることができる。また、この図は、分離構造体3106の位置、及び、分離構造体の側部3106.3のうちの1つも描く。鼻プレナムチャンバ3202と口プレナムチャンバ3200との間の隙間3106.1も示され、該隙間は、これらの構成要素が接続された状態を保ちつつ屈曲できる或いは互いの方へ向けて移動できるようにする。隙間3106.1は、口プレナムチャンバ3200と鼻プレナムチャンバ3202との間の距離であると理解されてもよく、したがって、隙間3106.1は、これらの構造体が互いに近づくことができる距離を画定してもよい。隙間3106.1は、口プレナムチャンバ3200と鼻プレナムチャンバ3202との間で側方に延在してもよく、また、隙間3106.1が前方向に面してもよい。
【0166】
図3mは、典型的な患者インタフェース3000の更なる正面斜視図を示す。この図は、
図3gに示される特徴と同様の特徴を描くとともに、患者1000に着用された患者インタフェース3000を示す。位置決め安定化構造体3300のヘッドギアストラップ3306が患者インタフェース3000を患者1000に対して解放可能に固定して示される。ヘッドギアストラップ3306は、少なくとも1つの上側ストラップ3310が対応するリジダイザアーム3302に対してその対応する開口3308で接続された状態で示される。描かれた例において、上側ストラップ3310のそれぞれは、この例ではリジダイザアーム3302の開口である対応する開口3308を通ってループ状になる。また、この例は、対応する下側取り付け機能部3250に対して解放可能に取り付けられるクリップ3314の一部を通ってループ状になることにより下側取り付け機能部3250に接続される少なくとも1つの下側ストラップ3312も示す。
【0167】
図3nは、患者1000に保持される典型的な患者インタフェース3000の他の正面図を描く。この図における患者インタフェース3000は、上側ストラップ3310及び下側ストラップ3312によって患者1000の顔面に当て付けられた状態に保たれているのが分かる。上側ストラップ3310はリジダイザアーム3302に取り付けられ、また、下側ストラップ3312は、クリップ3314によって下側取り付け機能部3250に取り付けられる。この例においても、鼻クッション3112が患者1000の鼻に対してシールするとともに、口クッション3110が患者1000の口に対してシールするのが分かる。この図には分離構造体3106が示され、また、分離構造体3106の側部3106.3も見ることができる。
【0168】
図3oは、患者インタフェース3000の他の側面図を描く。この図において、患者インタフェース3000は、ヘッドギアストラップ3306によって患者1000の顔面に当て付いた状態に保持される。上側ストラップ3310は、鼻クッション3112を鼻に押し付けるべくリジダイザアーム3302接続され、また、下側ストラップ3312は、口クッション3110を患者1000の口に押し付けるべくフェースプレート3204に接続される。この図では、下側ストラップ3312が患者1000の耳よりも下側で延在しているのが分かり、また、上側ストラップ3310が患者の耳よりも上側で且つ眼よりも下側で延在しているのが分かる。前述したように、リジダイザアーム3302は、ナイロンなどの比較的剛性が高い材料から形成されてもよい。したがって、リジダイザアーム3302は、それらが患者1000の顔面に擦れる及び/又は顔面と直接に接触する場合には、患者の顔面に炎症を引き起こす場合がある。そのため、
図3oは、患者1000の顔面に対するリジダイザアームの緩衝を行うようにリジダイザアーム3302を取り囲むことができるシース3316も描く。また、この図は、分離構造体3106の位置も描く。シースが加えられる代わりに、リジダイザアーム3302が顔パッド3305を組み込んでもよく或いはリジダイザアーム3302に顔パッド3305が形成されてもよい。
【0169】
図3pは、典型的な患者インタフェース3000の他の平面図を示す。この図において、患者インタフェース3000は、ヘッドギアストラップ3306によって患者1000の顔面に当て付いた状態に保持され得る。上側ストラップ3310がリジダイザアーム3302のそれぞれの開口3308に接続されているのが分かり、また、下側ストラップ3312がクリップ3314によって下側取り付け機能部3250に接続されているのが分かる。
【0170】
一例において、本技術の患者インタフェース3000のシール形成構造体3100は、使用時に位置決め安定化構造体3300によってシール位置に保持される。
【0171】
本技術の1つの形態において、前述したリジダイザアーム3302は、位置決め安定化構造体3300の構成要素として備えられてもよい。或いは、リジダイザアーム3302は、患者インタフェース3000の構成要素として備えられてもよい。
【0172】
位置決め安定化構造体3300がヘッドギアストラップ3306を備えてもよい。ヘッドギアは、上側サイドストラップ3310、下側サイドストラップ3312、及び、後部を少なくとも含んでもよい。また、ヘッドギアストラップ3306は、柔軟な可撓性がある材料の一体複合体を備えてもよい。ヘッドギアの1つの層、例えば着用されるときに患者の皮膚と接触しない外層が、上側及び下側サイドストラップ3310、3312のそれぞれの端部に固定される材料のタブに接続してもよい。この接続がフック−アンド−ループ接続を含んでもよく、また、外層がループ材料を備えてもよい。この接続は、ヘッドギアストラップ3306を介して患者インタフェースを患者の頭部に対して解放可能に及び/又は調整可能に保持するべくサイドストラップ3310、3312が患者インタフェース3000の取り付け機能部を通ってループ状になることができるようにしてもよい。他の接続は、フック−アンド−ループではないラダーロック又はスライダを含んでもよい。
【0173】
患者インタフェース3000にリジダイザアーム3302を含ませるとともに該リジダイザアームをトッププレート3206により鼻プレナムチャンバ3202に取り付けることによって、位置決め安定化構造体3300の上側ストラップ3310を有利に位置決めできてもよい。前述したように、患者の鼻を効果的にシールするために、鼻クッション3112を略上向きで鼻の下面に対して押し付けることが望ましい場合がある。リジダイザアーム3302は、位置決め安定化構造体3300の上側ストラップ3310によって生み出される引張力ベクトルをストラップ3310が患者の眼を横切って通過しないように適切に方向付けることができるようにする一方で、これらのストラップ3310を鼻プレナムチャンバ3202から分離できるようにしてもよい。言い換えると、十分に剛性が高いリジダイザアーム3302は、位置決め安定化構造体3300の上側ストラップ3310が鼻クッション3112を患者の鼻に当て付けるように効果的に引っ張ることができるようにする一方で、患者が更に快適となることができ、眼鏡を着用でき、更に容易に見えることができるように、ストラップ3310を患者の顔面から離れるように位置決めする。
【0174】
図15a〜
図15eは、本技術の例に従った様々なトッププレート3206及びリジダイザアーム3302のシール形成構造体3100に対する接続を描く。
【0175】
図15aは、シール形成構造体3100を点刻状態で示す。描かれた例によれば、リジダイザアーム3302及びトッププレート3206が一体部品である。取り付け機能部3252及び接続機能部3304が示されていないことが分かる。したがって、トッププレート3206とリジダイザアーム3302との間の接続部は、位置決め安定化構造体3300からの張力に起因してリジダイザアーム3302が撓むことができるように可撓性を有してもよい。また、この例によれば、トッププレート3206は、この例では、シール形成構造体3100に対して恒久的に接続される。
【0176】
恒久的な接続によって、トッププレート3206が鼻プレナムチャンバ3202に結合されてもよく及び/又はフェースプレート3204が口プレナムチャンバ3200に結合されてもよいことが理解されるべきである。恒久的な接続は、機械的な連結を形成するべく成形によって容易にされてもよく、或いは、構成要素が化学結合によって結合されてもよい。恒久的な接続は、構成要素をそれらの接続状態に戻すことができないように構成要素の取り外しが不可逆的である接続を意味すると理解されてもよい。そのような恒久的な接続の取り外しは、例えば、構成要素のうちの1つ以上を動作できる態様で再び接続できないように引き裂く、損傷させる、或いは、破壊することを伴ってもよい。
【0177】
或いは、非恒久的な接続によって、トッププレート3206が鼻プレナムチャンバ3202に結合されてもよく及び/又はフェースプレート3204が口プレナムチャンバ3200に結合されてもよい。非恒久的な接続は、可逆的な態様で構成要素を互いに取り外して再び取り付けることができる接続を備えてもよい。言い換えると、接続の分離は、例えば、構成要素のうちの1つ以上を動作できる態様で再び接続できないように引き裂く、損傷させる、或いは、破壊することを必要としない。非恒久的な接続では、取り外された構成要素が再び取り付けられると、装置が動作可能な状態に戻される。
【0178】
図15bは、
図15aと同様の例を示す。この例において、トッププレート3206は、柔軟な接続領域3130において硬質−軟質間接続によりシール形成構造体3100に接続できてもよい。言い換えると、トッププレート3206及びリジダイザアーム3302は取り外し可能である。
【0179】
図15cは、
図15aに示される例の他の変形を示す。
図15cにおいて、この例は、トッププレート3206に取り付け機能部3252を含み、リジダイザアーム3302に接続機能部3304を含む。したがって、トッププレート3206はシール形成構造体3100に恒久的に固定されるが、リジダイザアーム3302は、回転可能であってもよく、トッププレート3206から取り外されてもよい。
【0180】
図15dは、
図15bと同様の一例を示す。この例では、硬質な接続領域3132に対するトッププレート3206の硬質−硬質間接続が存在する。
【0181】
図15eは、硬質な接続領域3132に対するトッププレート3206の硬質−硬質間接続を含む一例を示す。また、この例も、トッププレート3206に取り付け機能部3252を含み、リジダイザアーム3302に接続機能部3304を含む。したがって、トッププレート3206はシール形成構造体3100から取り外しできるが、リジダイザアーム3302は、回転可能であってもよく、トッププレート3206から取り外されてもよく或いは分離されてもよい。
【0182】
本技術の他の例は、国際特許出願公開第PCT/AU2014/000021号明細書に記載される例などの磁性であってリビングヒンジに設けられる下側取り付け機能部3250を含んでもよい。リビングヒンジは、1つの平面(例えば、患者の横断面と平行な平面)内での下側取り付け機能部3250の動きを可能にし、また、その動きの方向は1つの軸線周りであってもよい。そのような構成は、下側取り付け機能部3250に対する位置決め安定化構造体3300の取り付けの更に大きな度合いの制御をもたらしてもよく、また、患者の顔面に対する口クッション3110のシールに関してより大きな安定性を与えてもよい。
【0183】
図17a〜
図17f及び
図19a〜
図19hは、本技術の他の例に係るリジダイザアームアセンブリ3301の構成要素を示す。リジダイザアームアセンブリ3301がトッププレート3206から取り外し可能であってもよい。これらの例のリジダイザアームアセンブリ3301の接続機能部3304は、上側取り付け機能部3252のうちの対応する上側取り付け機能部に適合するように形成される穴を備えてもよい。
【0184】
リジダイザアームアセンブリ3301が2つの構成要素を備えてもよい。リジダイザアーム3302とトッププレートカバー3303とが一体を成して形成されてもよく、そこには接続機能部3304及び開口3308も同様に成形される。リジダイザアーム3302及びトッププレートカバー3303を形成するためにナイロン又はHytrel(登録商標)が使用されてもよい。各リジダイザアーム3302上にはパッド3305も同様にオーバーモールドされてもよい。パッド3305が熱可塑性エラストマーから形成されてもよい。パッド3305は、リジダイザアーム3302に対する患者の顔面(例えば頬)の緩衝を行ってもよく、また、患者インタフェース3000が数時間(例えば治療中)にわたって着用されるときの患者の皮膚のマーキングを防止してもよい。
【0185】
例えば
図19dにおいて分かるように、リジダイザアーム3302は楕円の湾曲を伴って形成されてもよい。また、リジダイザアーム3302は、患者の前頭面(
図2e参照)と平行な方向でのみ、例えば患者の顔面に対して内側及び外側でのみ可撓性を有するような構造とされてもよい。言い換えると、リジダイザアーム3302は、実質的に患者の横断面と平行な単一の平面内で可撓性があってもよい。これは、リジダイザアーム3302が様々な患者顔面幅を受け入れることができるようにしてもよい。更に、リジダイザアーム3302は、それらのそれぞれの長手方向軸線に沿う伸長に抵抗してもよい。また、リジダイザアーム3302は、それらのそれぞれの長手方向軸線周りのねじれに抵抗してもよい。加えて、リジダイザアーム3302は、患者の顔面に対する例えば上向き又は下向きでの上方曲げ或いは下方曲げに抵抗してもよい。これらの方向での変形に対するリジダイザアーム3302の耐性は、患者インタフェースが患者により着用されるときの患者インタフェース3000の安定性にとって有益であるかもしれない。
【0186】
本技術の例によれば、トッププレート3206とリジダイザアームアセンブリ3301とが互いに係合するときのこれらの間の相対運動を最小限に抑えるようにリジダイザアームアセンブリ3301がトッププレート3206に固定されるようにすることが有利な場合がある。トッププレート3206とリジダイザアームアセンブリ3301との間の相対運動が適切に制御されるようにするために、これらの構成要素は、少なくとも3つのポイントで互いに係合するような構造とされてもよい。接続機能部3304が2つの接触ポイントを備えてもよく、また、接続機能部3304間でリジダイザアームアセンブリ3301上に位置する他の構造体が第3の接触ポイントを備えてもよい。
【0187】
図19d及び
図19eは、リジダイザアームアセンブリ3301がリブ3307を含んでもよいことも示す。リジダイザアームアセンブリ3301がトッププレート3206に取り付けられると、リブ3307は、リジダイザアームアセンブリ3301と係合した際のトッププレート3206と鼻クッション3112との間の相対運動を減少させるのに役立ってもよい。リブ3307は、リジダイザアームアセンブリ3301をトッププレート3206との係合状態へと案内するために形状が三角形の断面外形を有してもよい。また、リブ3307は、リジダイザアームアセンブリ3301とトッププレート3206とが係合するときのそれらの間の屈曲及び/又はねじれを減少させるのに役立ってもよい。このように、リブ3307及び接続機能部3304は、トッププレート3206と係合する3つの接触ポイントをリジダイザアームアセンブリ上に与えてもよい。
【0188】
本技術の更なる例によれば、接続機能部に加えて、第3の接触ポイントのためにリブ3307以外の構造体が設けられてもい。例えば、トッププレート3206及びリジダイザアームアセンブリ3301は、ロッドが穴内に挿入される第3の接触ポイントで係合してもよい。
【0189】
図19f〜
図19hはリジダイザアームアセンブリ3301の他の例を示す。この例によれば、トッププレートカバー3303が各リジダイザアーム3302と出会う場所付近でリジダイザアームアセンブリ3301の後側に爪3309が設けられてもよい。爪3309は、リジダイザアームアセンブリ3301を鼻クッション3112に固定するために対応する側部支持体3207と係合してもよい。
【0190】
図29a〜
図29fは、本技術の他の例の図を示す。これらの図は、
図17a〜
図17fに示される特徴に類似する特徴を示す。しかしながら、
図29a〜
図29fには分離構造体3500が描かれていない。しかし、本明細書中の他の場所に記載される分離構造体3500が接続ポート3600に取り付けられてもよいことが理解されるべきである。
【0191】
5.3.3.1 トッププレート及びフェースプレート
前述したフェースプレート3204及びトッププレート3206に関しては、シリコンなどの可撓性材料から形成されてもよい例えば鼻クッション3112よりも相対的に硬質の材料を選択することが有利な場合がある。相対的に硬質な材料の選択は、位置決め安定化構造体3300が所定の位置でシール形成構造体3100に取り付くことができるように位置決め安定化構造体3300(例えばリジダイザアーム3302)のための効果的な固定ポイントをもたらしてもよい。シリコンなどの比較的可撓性がある材料から形成されてもよいシール形成構造体3100に対して位置決め安定化構造体3300が直接に接続されるようになっている場合、この構成は、患者により着用されるときに口及び鼻クッション3110、3112の望ましくない変形を引き起こす場合があり、位置決め安定化構造体3300によって張力が印加される。張力は、特に前/後方向で印加される場合がある。位置決め安定化構造体3300の例は、Breathe-O-Prene(商標)、Soft Edge(商標)、及び/又は、弾性布から形成されてもよい。
【0192】
また、比較的硬質の材料からフェースプレート3204及びトッププレート3206を形成することにより、これらの構成要素を患者の顔面とほぼ同じ曲率を有するように形成することができ、そのため、シール形成構造体3100を適切に支持することにより更に良好なシールを確保できる。また、これにより、位置決め安定化構造体3300が
図3oに示されるフランクフォート水平面に対して略平行な引張力ベクトルVを発生させるときに患者の気道に対する効果的なシールが確保されてもよい。
【0193】
比較的硬質の材料からフェースプレート3204及びトッププレート3206を形成することは、外周が顔面へ向けて内側に折れ曲がるポイントまでシール形成構造体3100の外側部分が変形することをそのような比較的硬質の材料が防止できるという点において有益な場合もある。この構成は、シール形成構造体3100によってシール圧が患者の顔面上にわたって均一に印加されるようにするのに役立ってもよい。位置決め安定化構造体3300のヘッドギアストラップ3306は、患者の顔面に対してシール形成構造体3100をシールするための張力ベクトルを生み出してもよいが、フェースプレート3204及びトッププレート3206は、これらのシール力を口クッション3110及び鼻クッション3112にわたって広げるのに役立ってもよい。これらのシール力をより広い領域にわたって広げることにより、圧力及び/又は変形が、例えばヘッドギアストラップ3306が接続される場所付近で、口クッション3110及び鼻クッション3112の特定の領域に局部集中されない。
【0194】
また、比較的硬質の材料からトッププレート3206を形成することにより、これは、患者インタフェース3000が着用されるときに、リジダイザアーム3302の望ましくない垂直屈曲を防止してもよいが、患者の前頭面と平行な平面内でのリジダイザアーム3302の回動を依然として許容し得る。僅かな垂直屈曲が許容されてもよいことが理解されるべきである。
【0195】
また、比較的硬質の材料からフェースプレート3204を形成することにより、位置決め安定化構造体3300の下側ストラップ3312を取り付けることが患者にとって更に容易となり得る。これは、患者インタフェース3000が患者により着用されるときに下側取り付け機能部3250を比較的固定された位置で保持できるからである。
【0196】
また、位置決め安定化構造体3300がシール形成構造体3100に対して直接に接続されない場合には、患者インタフェース3000及び位置決め安定化構造体3300の(例えば洗浄目的のための)分解及び組み立てが患者にとって更に容易となり得る。
【0197】
トッププレート3206及びフェースプレート3204を通り抜ける上側ストラップ3310及び下側ストラップ3312に別個の取り付けポイントを設けることにより、鼻に対する鼻クッション3112のシールをより良く制御することができる。例えば、鼻クッション3112を分離することにより、上側ストラップ3310は、鼻の下面に対して上向きに及び/又は顔面に対して内向きに目標圧力を与えることができてもよい。また、鼻に対する鼻クッション3112の高さ及び鼻クッションの横方向位置(例えば、左対右)を制御できてもよい。また、鼻に対する鼻クッション3112の回転及びトッププレート3206の長手方向軸線と平行な軸線周りの鼻クッション3112の回転を制御できてもよい。これらの特徴は、位置決め安定化構造体3300のストラップの全てが1つの共通のフロントプレートに接続されるときに不可能な場合があるこれらの利点を与え得る。したがって、本明細書中に開示される例は、患者の鼻の周囲でより効果的な安定したシールをもたらすことができる。また、分離構造体3106によって鼻プレナムチャンバ3202を口プレナムチャンバ3200に接続することにより、口クッション3110の相対的な高さが位置決め安定化構造体3300の上側ストラップ3310によって制御されてもよいことも理解されるべきである。
【0198】
本技術の例では、本明細書中に記載される典型的な患者インタフェース3000と共に様々なヘッドギア形態が使用されてもよい。本技術の1つの例は、米国特許出願公開第2012/0138061号明細書に開示されるヘッドギアと同様のヘッドギアを利用してもよい。更なる変形は、リジダイザアーム3302に対するそれらの接続のおかげにより前述した公開公報に開示される上側ストラップよりも短い上側ストラップ3310を含んでもよい。
【0199】
本技術の更なる例において、位置決め安定化構造体3300は、国際特許出願公開第PCT/AU2013/000830号明細書又は米国特許出願公開第2014/0026890号明細書に開示される特徴を含んでもよい。この文献に開示される位置決め安定化構造体3300は、上側ストラップ3310として使用されてもよい。下側ストラップ3312は、ネオプレンCommonLineヘッドギアストラップであってもよい。
【0200】
本技術の更なる例によれば、トッププレート3206及びフェースプレート3204の1つのサイズがシール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200の様々なサイズのために使用されてもよい。これは、様々な患者の頭部/顔面サイズを受け入れるべく患者インタフェース3000を製造するために形成されるべき必要がある部品の数を減少させるのに有利となり得る。したがって、本技術のこの例によれば、シール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200のみを異なるサイズで成形すれば済む。
【0201】
図18a〜
図18f、
図21a〜
図21e、
図22a〜22e、及び、
図28a〜
図28eは、本技術の更なる例に係るトッププレート3206及びフェースプレート3204の例を示す。
図18a〜
図18fは、鼻プレナムチャンバ3202及び口プレナムチャンバ3200にそれぞれ取り付けられるトッププレート3206及びフェースプレート3204を示す。本技術の一例によれば、トッププレート3206及びフェースプレート3204は、シリコンと比べて相対的に硬質な材料から形成されてもよい。トッププレート3206及びフェースプレート3204は、鼻プレナムチャンバ3202及び口プレナムチャンバ3200をトッププレート3206及びフェースプレート3204に対してオーバーモールドすることにより、鼻プレナムチャンバ3202及び口プレナムチャンバ3200にそれぞれ結合されてもよい。鼻プレナムチャンバ3202、鼻クッション3112、口プレナムチャンバ3200、口クッション3110、及び、分離構造体3106がシリコンから一体部品として成形されてもよい。
【0202】
図18a、
図18b、
図18c、
図18fは、トッププレートバッファ3214及びフェースプレートバッファ3215も示す。トッププレートバッファ3214は、鼻プレナムチャンバ3202と一体に形成されてもよく、シリコンから形成されてもよい。鼻プレナムチャンバ3202がトッププレート3206上へオーバーモールドされるときには、
図21a〜
図21eにおいて分かるように、トッププレートバッファ3214を形成するべくシリコンが穴3217を通過してトッププレート3206のコアアウト3216に入る或いはコアアウト3216を通過してもよい。穴3217及びコアアウト3216は、共同して、シリコンがトッププレート3206上へオーバーモールドされる際にシリコンのための滑らかな流路をもたらしてもよい。或いは、コアアウト3216は、オーバーモールド中にシリコン流のための通路をもたらすべく開放していなくてもよく、代わりに、コアアウト3216は、機械的連結を形成して緩衝作用を与えるべくシリコンが充填され得る凹状ポケットを備えてもよい。トッププレートバッファ3214は、リジダイザアームアセンブリ3301がトッププレート3206に結合されるときにトッププレートカバー3303の後側に押し付けられてもよい。トッププレート3206及びトッププレートカバー3303よりも相対的に柔軟な材料、例えばシリコンから形成されているトッププレートバッファ3214は、これらの構成要素のガタツキ音を減少させる或いは排除するために硬質−硬質間接続部を制振してもよい。
【0203】
鼻プレナムチャンバ3202と一体に形成されてトッププレート3206の穴3217を通じて接続するトッププレートバッファ3214は、トッププレート3206を鼻プレナムチャンバ3206に対して所定位置に保持するための保持機能を与えてもよい。
【0204】
リブ3307は、トッププレート3206とリジダイザアームアセンブリ3301との間の係合の制振及び/又は保持を行うべくトッププレートバッファ3214と協働してもよい。リブ3307とトッププレートバッファ3215及びトッププレート3206との係合が制振及び/又は保持をもたらしてもよく、また、これらの構成要素の相対的な寸法は、所望のレベルの制振及び/又は保持を確保するように選択されてもよい。
【0205】
フェースプレートバッファ3215は、口プレナムチャンバ3200の外周から前方向に延在してもよい。フェースプレートバッファ3215が口プレナムチャンバ3200と一体に形成されてもよい。フェースプレートバッファ3215がシリコンから形成されてもよい。フェースプレートバッファ3215は、接続に起因する場合があるガタツキ音を減少させる或いは排除するためにフェースプレート3204とフレーム3251との間の硬質−硬質間接続部を制振してもよい。
【0207】
トッププレート3206の上側取り付け機能部3252は、
図17a〜
図17fに示されるように、リジダイザアームアセンブリ3301を接続機能部3304で接続してもよい。これらの例の上側取り付け機能部3252は、リジダイザアームアセンブリ3301を取り付けるべくそれぞれの接続機能部3304と係合する硬質ポケット及び/又はアンダーカットを備えてもよい。
【0208】
フェースプレート3204は、フレーム3251をフェースプレートに接続するために切り欠き3213を両側に含んでもよい。各切り欠き3213はフェースプレート3204から側方に延在してもよい。切り欠き3213は、フェースプレート3204とフレーム3251との間の(例えば、2つの比較的硬質な構成要素間の)硬質−硬質間接続を容易にしてもよい。硬質−硬質間接続は、スナップ嵌合の形態を成してもよく、また、フレーム3251がフェースプレート3204に取り付けられるときに聞き取れるクリック音を引き起こしてもよい。また、接続ポート3600がフェースプレート3204に形成されているのが分かる。
図17a〜
図17fでは、フレーム3251がフェースプレート3204の周囲に取り付けられているのが分かる。
【0209】
図28a〜
図28eは、
図21a〜
図21eに示される図に類似するトッププレート3206の他の例を示す。しかしながら、
図28a〜
図28eに示される例は、トッププレートの後側で各コアアウト3216に凹部3219が設けられてもよいことを示す。凹部3219は、トッププレート3206に対するシール形成構造体3100及びプレナムチャンバ3200の成形中にシリコン流のための更に大きな深さを与えてもよい。凹部3219は、半球であってもよく、したがって、トッププレート3206に対するシリコンの付着のためのより大きな表面積をもたらしてもよく、シリコンは、本技術の一例によれば、粘着液体シリコンゴム(LSR)であってもよい。
【0210】
図27a〜
図27fは、本技術の他の例を示す。これらの図において、シール形成構造体3100は、フェースプレート3204及びトッププレート3206を伴って示される。これらの図に示される例は、シール形成構造体3100がシリコンから形成されてもよく且つトッププレート3206及びフェースプレート3204に対してこれらの構成要素を結合するべくオーバーモールドされてもよいという点において
図18a〜
図18fに示される例に類似している。
図27a〜
図27fは、トッププレート3206がシール形成構造体3100中にほぼ完全に埋め込まれてもよいという点において別の例を示す。言い換えると、シール形成構造体3100は、トッププレート3206に対してオーバーモールドされるときに、トッププレート3206の最小量が露出されるようにトッププレート3206を完全に取り囲んでもよい。また、延在部3218がトッププレート3206から延在するように形成されてもよく、この延在部はシール形成構造体3100と一体に形成されてもよい。延在部3218は、リジダイザアームアセンブリ3301がトッププレート3206に結合されるときにトッププレートバッファ3214と同様の緩衝及び/又は制振機能を果たしてもよい。また、延在部3218には鉤形状が形成されてもよく、したがって、延在部が保持機能を果たしてもよい。
【0211】
更なる別の例では、延在部3218がトッププレート3206と一体に形成されてもよい。この例において、延在部3218の鉤形状は、保持機能を果たしてもよいが、トッププレート3206の同じ比較的硬質の材料から形成されることに起因して、緩衝及び/又は制振機能を果たさなくてもよい。このように、トッププレート3206を実質的に取り囲むシール形成構造体3100のオーバーモールドされたシリコンは、緩衝及び/又は制振機能を果たしてもよい。
【0213】
フレーム3251は、フェースプレート3204に対する取り付けを容易にするべく切り欠き3213のうちの対応する切り欠きと係合するためのキャッチ3253を両側に含んでもよい。キャッチ3253と切り欠き3213との係合は、フレームをフェースプレート3204に対して保持するフープ応力をフレーム3251で生み出してもよい。下側取り付け機能部3250がフレーム3251に形成されてもよい。例えば
図20fに示されるように、下側取り付け機能部3250がそれぞれ嵌め合い面3254を含んでもよく、該嵌め合い面3254には各クリップ3314が結合される。
図20gは、各嵌め合い面3254が下側取り付け機能部3252の嵌め合い部3255上にあってもよいことを示す。それぞれの下側取り付け機能部3250は、フレーム3251を各嵌め合い部3255に結合するために翼部3257を含んでもよい。
【0214】
翼部3257は、機械的連結が形成されるようにフレームのフレーム延在部3259上へ翼部3257をオーバーモールドすることによってフレーム3251に結合されてもよい。このとき、フレーム延在部3259は、翼部3257のそれぞれの凹部3258内へ延在してもよい。嵌め合い部3255は、機械的連結が翼部3257と嵌め合い部3255との間にも形成されるように同時オーバーモールドによって翼部3257に結合されてもよい。したがって、嵌め合い部延在部3256が翼部3257の凹部3258内へと延在してもよい。
【0215】
翼部3257が熱可塑性エラストマーから形成されてもよい。翼部3257は、下側取り付け機能部3250がリビングヒンジとして機能するように可撓性があってもよい。言い換えると、下側取り付け機能部3250は、着用時にストラップ3306の張力により下側取り付け機能部が屈曲して患者インタフェース3000を患者に対して保持するように、それらの可撓性に起因して前/後方向に移動できてもよい。嵌め合い部3255も熱可塑性エラストマーから形成されてもよい。
【0216】
クリップ3314がバー3315を含んでもよく、クリップ3314を下側ストラップ3312に取り付けるためにバー3315の周囲でストラップ3312がループ状にされる。
【0217】
クリップ3314を下側取り付け機能部3250に結合するために、磁気接続部が設けられてもよい。各クリップ3314にはクリップポケット3317内にクリップ磁石3260が設けられてもよく、また、下側取り付け機能部3250の各嵌め合い部3255には嵌め合い部ポケット3262内に嵌め合い部磁石3261が設けられてもよい。各クリップ磁石3260及び各嵌め合い部磁石3261の磁極は、クリップ3314を下側取り付け機能部3250に対して引き付けて保持するべくこれらの磁石間に磁気吸引力が発生されるように位置合わせされてもよい。これらの取り付け構成の更なる例は、参照によりその全体が本願に組み入れられる国際特許出願公開第PCT/AU2014/000021号明細書に開示される。
【0218】
また、これらの例の嵌め合い部3255は、クリップ3314をそれが取り付けられるにつれて位置決めするために案内面3263と突出部3264とを含んでもよい。また、各クリップ3314は、それぞれの案内面3263と係合するための受け入れ面3319と、それぞれの突出部3264と係合するための切り欠き3318とを含んでもよい。クリップ3314が下側取り付け機能部3250のそれぞれの嵌め合い部3255に取り付けられる際、切り欠き3318と突出部3264との係合は、下側取り付け機能部3250の嵌め合い部3255に対するクリップ3314の回転を防止してもよい。これは、患者インタフェース3000が患者により着用されるときに下側ストラップ3312の張力ベクトルが適切に位置合わせされた状態となってそれを保持するようにするのに役立ってもよい。
【0219】
案内面3263が湾曲形状を有してもよい。案内面3263が張り出し部を形成するように成形されてもよい。受け入れ面3319は、案内面3263の形状に対応するように形成されてもよい。案内面3263の形状は、案内機能及び/又は保持機能を有してもよい。案内面3263の湾曲形状及び傾きにより、突出部3264が切り欠き3318と係合するように受け入れ面3319が案内面3263に沿って所定位置へとスライドできてもよい。これは、患者インタフェース3000が着用されているときに患者がクリップ3314を下側取り付け機能部3250と位置合わせさせることが困難となる場合があることから、有利となり得る。また、患者は、暗い環境内にいる場合があり、限られた触覚能力を有する場合があり、及び/又は、クリップ3314を下側取り付け機能部3250と位置合わせさせるのに限られた視力を有する場合がある。したがって、案内面3263が受け入れ面3315を案内するように、ひいては、案内面3263がクリップ3314を所定位置へと案内するように案内面3263を構造化することは、患者インタフェース3000の適切で確実な嵌合を確保するのに役立ってもよい。
【0220】
図20nは、フレーム3251及び下側取り付け機能部3250の後面図を示す。この例によれば、下側取り付け機能部3250のそれぞれは、この図では厚さ減少部分3266として描かれる屈曲点を備えてもよい。下側取り付け機能部3250は、位置決め安定化構造体3300の下側サイドストラップ3312による張力に晒されると、屈曲点で後方向に変形されて屈曲されてもよい。下側取り付け機能部が熱可塑性エラストマーを備えてもよい。
【0221】
図20q〜
図20sは、フレーム3251及び下側取り付け機能部3250の平面図により本技術の更なる例を示す。
図20qは、各下側取り付け機能部3250の前側にある屈曲点における切り欠き3265を示す。
図20qにおける切り欠き3265は、下側取り付け機能部3250が切り欠き3265を通じて前方に屈曲できるようにしてもよい。
図20rは、各下側取り付け機能部3250の後側にある屈曲点における切り欠き3265を示す。
図20rにおける切り欠き3265は、下側取り付け機能部3250が切り欠き3265を通じて後方に屈曲できるようにしてもよい。本技術の更なる例によれば切り欠き3265が各下側取り付け機能部3250の後側及び前側に設けられてもよいことが理解されるべきである。
【0222】
図20sは、本技術の一例に係るフレーム3251及び下側取り付け機能部3250の他の平面図を示す。この例によれば、屈曲点は、下側取り付け機能部が両方向で屈曲できるようにするために下側取り付け機能部3250の厚さを後側及び前側から減少させる厚さ減少部分3266を備えてもよい。
【0223】
図20o及び
図20pは、
図20g及び
図20hと同様の特徴を描く分解図を示す。しかしながら、
図20o及び
図20pは嵌め合い部磁石受け入れ部3267も示す。各嵌め合い部磁石受け入れ部3267は、対応する嵌め合い部磁石3261を受けるような構造とされてもよい。
図23g〜
図23mも嵌め合い部磁石受け入れ部3267を描く。
【0224】
図20p及び
図25g〜
図25lは、クリップ3314がクリップ磁石受け入れ部3321とクリップ磁石3260をクリップ3314内に固定するためのクリップ磁石カバー3320とを含んでもよいことも示す。クリップ磁石カバー3320は、クリップ磁石3260をクリップ磁石受け入れ部3321内にスナップ嵌合により固定してもよい。
【0225】
5.3.4 ベント、チューブ分離構造体、接続ポート、及び、窒息防止弁
1つの形態において、患者インタフェース3000は、吐き出される二酸化炭素の流出を可能にするように構成されて配置されるベント3400を含む。
【0226】
本技術に係るベント3400の1つの形態は、複数の穴、例えば約20〜約80個の穴、又は、約40〜約60個の穴、又は、約45〜約55個の穴を備える。80個を超える穴も想起される。
【0227】
一例では、ベント3400がプレナムチャンバ3200に位置する。或いは、ベント3400は、チューブ分離構造体3500、例えばスイベル3510に位置する。
【0228】
本技術の他の例では、ベント3400がトッププレート3206及び/又はフェースプレート3204に位置する。そのような例では、チューブ分離構造体3500がベントを含まなくてもよい。
【0229】
ベント3400は、レーザーカットされてもよく、或いは、メッシュ材料又は直線状の配列から形成されてもよい。また、ベント3400は、交絡プラスチック繊維の材料又は布から形成されてもよい。交絡プラスチック繊維の材料は、ポリカーボネート、ナイロン、ポリエチレン、及び、好ましくはポリプロピレンを含む熱可塑性高分子である。具体的には、布は、SEFAR材料Tetex Mono 05-1010-K 080織りポリプロピレン材料であってもよい。布は
、一般に、ロール又はリボンの形態を成して設けられる。布の織り方は好ましくは繻子織である。しかしながら、平織、逆平畳織、及び、斜文織を含む他の織り方が想定される。繊維の織りによって布を貫いて画定される空隙又は穴は、必ずしも均一な寸法を有さない。これは、布の織りにおいて繊維の位置決め、間隔、及び、圧縮の間に何らかの変化があるからである。空隙は、好ましくは、穴を貫いて直線状ではなく、むしろ、布の厚さにわたって隣り合う繊維間に曲がりくねった空気流路を画定する。曲がりくねった空気流路は、空気流をかなり拡散し、それにより、雑音を減少させる。空隙が穴を貫通して直線状であった場合には、布の繊維が網状格子の形態を成して配置されてもよい。
【0230】
1つの例では、布のベント部の気流速度が最初に気流計器によって測定される。測定された気流速度と所望の気流速度との間に差があるかどうかに関して決定がなされる。ベント部を通じた気流速度が所定の範囲を超える場合には、ベント部の気孔率の大きさが選択的に減少される。望ましい所定の範囲は、20cmH2O圧で約42〜約59リットル/分であり、好ましくは20cmH2O圧で約47〜約53リットル/分である。例えば、SEFAR材料Tetex Mono 05-1010-K 080織りポリプロピレン材料を通じた気流速度は、20cmH2O圧で約37〜約64リットル、好ましくは20cmH2O圧で約42〜約58リットルであってもよい。SEFAR布の長さにわたる変化は、布リボンの長さにわたって正弦波的であってもよい。最初に布製造業者から受けられるときのSEFAR布の異なる領域は、異なる気流速度を示す。気孔率が減少されてしまった後、それが現時点で所定範囲内にあることを確かめる検証のために、気流速度が再び測定される。空隙の開口の平均直径は、好ましくは0.1mm未満であり、好ましくはベントの表面積の約1%〜10%の総開口面積を与える。例えば、総開口面積は、ベントの表面積が240mm2である場合には、22mm2であってもよい。
【0231】
望ましい気流速度が布に存在する場合には、随意的に、所望のベント部の外周縁領域の穴が塞がれる。ベント部の外周縁領域はトッププレート3206及び/又はフェースプレート3204に対してオーバーモールドされる。外周縁領域に存在した穴が塞がれてしまっているため、オーバーモールド後にベント部の気流速度は異ならないはずである。
【0232】
幾つかの例では、ベント部が布からカットされた後に気流速度が測定されてもよく、また、ベントは、トッププレート3206及び/又はフェースプレート3204に対してオーバーモールドされた後に測定されてもよい。これにより、各ステップ後に、気流速度を知ることができるとともに、気流速度が望ましい所定の範囲内にあると決定することができる。これにより、部品が望ましい所定の範囲内にないことが分かると直ぐに部品が廃棄されるような無駄を防止できる。
【0233】
ベント部の気孔率は、熱かしめ、圧縮による塑性変形、超音波溶着、封止材(例えばホットメルト接着剤)の塗布、及び、薄膜の塗布を含む幾つかの方法によって減らすことができる。好ましくは、高い精度、布における穴の閉塞の高い確実性、製造速度、熱かしめ後の良好な視覚的訴求、及び、付加材料が必要とされないことに起因して、気孔率を減らすために、かしめパンチによる熱かしめが使用される。熱可塑性物質を加熱する際には、過剰な材料がベントの形状のための特定の物理的寸法を取り囲むことによりもたらされる何らかの材料収縮が起こる。ベント部の気孔率は、ベント部の穴を部分的に塞ぐことによって或いは完全に塞ぐことによって減少される。
【0234】
ベント部の任意の部位又は領域が気孔率を減少させるべく選択されてもよい。好ましくは、ベント部の連続的な外周縁領域の気孔率が減少される。この領域は、ベント部がトッププレート3206及び/又はフェースプレート3204に対してオーバーモールドされる場所と隣り合う或いは該場所にあるため、良好な視覚的訴求を与える。ベント部の連続的な外周縁領域と残りの領域との間の任意の視覚的な違いは、この場所で人の目をあまり引かないかもしれない。これは、その場所がベント3400を受けるためのトッププレート3206及び/又はフェースプレート3204の画定された縁部であるように見える場合があるからである。或いは、気孔率減少のための部位は、視覚的影響を高めてブランド認知を向上させるために、ベントの中心領域でキャラクタ/文字又はロゴの形態を成してもよい。
【0235】
ベント3400を通過する吐き出された二酸化炭素により引き起こされる音は、患者が自分の鼻から息を吐いて二酸化炭素がベントを通じて流出するときに二酸化炭素が特に鼻枕における布を通過するにつれて大きくなる空気拡散に起因して、最小限に抑えられる。吐き出される二酸化炭素の拡散は、ベント方向及び睡眠姿勢に応じてベッドパートナー又は患者への直接的な或いは集中的な空気流を回避する。
【0236】
患者インタフェースのベントは、洗浄が簡単である。ベントを洗浄するために低刺激性の洗浄溶液又は石鹸水を使用できる。洗浄のために熱水を使用してベントに流通させることもできる。ベントをトッププレート3206及び/又はフェースプレート3204から分解することなく手洗いして濯ぐことができる。これは、ベントがトッププレート3206及び/又はフェースプレート3204に対して取り外し不能に接続される、例えばオーバーモールドされ得るからである。患者インタフェースのための取り外しできる部品が少ないと、個々の部品を紛失する可能性が避けられるとともに、各部品を互いから取り外して再び組み付ける必要がないことにより洗浄時間が減少する。ベントがプラスチック繊維によって形成されるため、ベントの耐久性は、他のあまり耐久性がない材料、例えば織布から形成されるベントとは異なり、繰り返しの洗浄後であっても維持される。
【0237】
ベントは静かである。吐き出される二酸化炭素によって発生される音響エネルギーは均一に広げられる。トッププレート3206及び/又はフェースプレート3204と接触する吐き出された二酸化炭素により引き起こされる振動は、トッププレート3206及び/又はフェースプレート3204の振動をもたらす。そのような振動はベントによって制振されてもよい。
【0238】
1つの形態おいて、患者インタフェース3000は、少なくとも1つのチューブ分離構造体3500、例えばスイベルや、ボール及びソケットを含む。チューブ分離構造体3500はエルボー機能部を含んでもよい。チューブ分離構造体3500がホースと口との間で分割されてもよい。
【0239】
接続ポート3600が空気回路4170への接続を可能にしてもよい。空気回路4170は、長いチューブに接続される短いチューブを含んでもよい。チューブの例は、国際特許出願公開第PCT/AU2013/000830号明細書に開示されるチューブ特徴を含んでもよい。短いチューブと長いチューブとを接続するために回転可能なアダプタが含まれてもよい。
【0240】
1つの形態では、患者インタフェース3000が窒息防止弁3800を含む。
【0241】
図3gは、本技術に係る患者インタフェース3000の他の正面斜視図を示す。この図は、
図3aに示される特徴に類似する特徴を描くが、この図は、患者インタフェース3000をPAP装置4000に接続するための特徴も含む。これらの付加的に描かれる特徴は、ポート3600の周囲で径方向に配置される少なくとも1つのベント3400を含む。描かれる例において、ベント3400は、ポート3600の周囲に複数のベント穴を備える。ベント3400の特徴については以下で更に詳しく説明される。また、この図には、空気回路4170を患者インタフェース3000のフェースプレート3204上のポート3600に接続するためのチューブ分離構造体3500も示される。チューブ分離構造体3500がエルボーであってもよく、また、チューブ分離構造体は、チューブ分離構造体3500と空気回路4170とがポート3600の周りで患者インタフェース3000に対して回転できるようにするために、スイベル3510を含んでもよい。この図におけるチューブ分離構造体3500は、以下で更に詳しく説明される窒息防止弁3800も含む。また、
図3gは、空気回路4170が該空気回路を分離構造体3500に取り付けるためのカフ4172を含んでもよいことを示す。
【0242】
図3hは、
図3cに類似する典型的な患者インタフェース3000の特徴を後面図で描く。しかしながら、
図3hは、患者インタフェース3000がポート3600の周囲で径方向に配置される複数のベント穴の形態を成すベント3400を含んでもよいことも示す。カフ4172及び空気回路4170も見ることができる。この図には、分離構造体3106の位置が、口クッション3110と鼻クッション3112との接続領域3106.2と共に示される。
【0243】
図3iは、
図3bに類似する典型的な患者インタフェース3000の正面図を示す。また、
図3iには、患者インタフェース3000のフェースプレート3204上のポート3600に接続されるチューブ分離構造体3500も示される。また、この図は、ポート3600の周囲で径方向に配置される複数のベント穴の形態を成すベント3400も示す。窒息防止弁3800がチューブ分離構造体3500上にあるのが分かる。カフ4172及び空気回路4170がチューブ分離構造体3500に接続されていることも分かる。この図には分離構造体3106が示され、また、分離構造体3106の側部3106.3も見ることができる。
【0244】
図3jは、
図3dに示される特徴に類似する特徴を伴う典型的な患者インタフェース3000の平面図を示す。
図3dは、ポート3600の周囲に配置される複数のベント穴の形態を成すベント3400を更に描く。ポート3600から延在しているのは窒息防止弁3800が配置されて成るチューブ分離構造体3500である。
【0245】
図3kは、典型的な患者インタフェース3000の底面図を示す。この図は、
図3eと同様でおり、したがって同様の特徴を描く。また、この図は、ポート3600の周囲で径方向に配置される複数のベント穴を備えるベント3400を描く。チューブ分離構造体3500はポート3600から延在して示される。カフ4172及び空気回路4170も見ることができる。
【0246】
図3lは、
図3fに示される図に類似する典型的な患者インタフェース3000の側面図を示す。したがって、
図3lは、
図3fに示される特徴と類似する特徴を描く。しかしながら、
図3lは、ポート3600の周囲で径方向に配置される複数のベント穴を含むベント3400も示す。チューブ分離構造体3500は、一端がポート3600に接続されるとともに他端がカフ4172を介して空気回路4170に接続されて示される。また、この図は、分離構造体3106の位置、及び、分離構造体の側部3106.3のうちの1つも描く。鼻プレナムチャンバ3202と口プレナムチャンバ3200との間の隙間3106.1も示され、該隙間は、これらの構成要素が屈曲できる或いは互いの方へ向けて移動できるようにする。
【0247】
図17a〜
図17f及び
図26a〜
図26dに示される例によれば、分離構造体3500がフェースプレート3204及び接続ポート3600に結合されてもよい。これらの例では、ベント3400がチューブ分離構造体3500に形成されてもよい。これらの例において、チューブ分離構造体3500は、接続ポート3600との接続部で回転できるエルボーを備えてもよい。分離構造体3500は、空気回路4170に接続するためのスイベル3510を含んでもよい。分離構造体3500は、PAP装置4000からの加圧ガスの流路をベント3400を通じて出る患者からの呼気ガス(例えばCO2)の流路から分離するためのバッフル3520を含んでもよい。これらの流路を分離することにより、バッフル3520は呼気ガス(例えばCO2)の流出を向上させることができる。チューブ分離構造体3500は、患者がチューブ分離構造体3500をフェースプレート3204上の接続ポート3600に容易に取り付け、且つ接続ポート3600から容易に取り外すことができるようにする急速解放機構3530を含んでもよい。また、急速解放機構3530は、接続ポート3600とチューブ分離構造体3500との間でスナップ嵌合接続を行うような構造とされてもよく、また、その係合は、接続が行われたことを患者に保証する聞き取れるクリック音をもたらしてもよい。チューブ分離構造体3500が窒息防止弁3800を含んでもよい。
【0248】
5.4 用語解説
本技術の特定の形態では、以下の定義のうちの1つ以上が適用される場合がある。本技術の他の形態では、別の定義が適用される場合がある。
【0249】
5.4.1 総則
空気:空気は、呼吸用ガス、例えば酸素補給を伴う空気を含むように解釈される。
【0250】
持続的気道陽圧(CPAP):CPAP処置は、大気に対して持続的にプラスで且つ好ましくは患者の呼吸サイクルにわたってほぼ一定である圧力で所定量の空気又は呼吸用ガスを気道への入口に印加することを意味するべく解釈される。幾つかの形態において、気道への入口における圧力は、単一の呼吸サイクル内で数センチメートルの水の分だけ変化し、例えば吸気中において高く、呼気中において低い。幾つかの形態において、気道への入口における圧力は、呼気中においては僅かに高く、吸気中においては僅かに低い。幾つかの形態において、圧力は、患者の異なる呼吸サイクル間で変化し、例えば、部分上気道閉塞の兆候の検出に応じて増大され、また、部分上気道閉塞の兆候がない場合には減少される。
【0251】
5.4.2 PAP装置の態様
空気回路:使用時に所定量の空気又は呼吸用ガスをPAP装置と患者インタフェースとの間で送出するように構成されて配置される導管又はチューブ。特に、空気回路は、空気圧ブロックの出口及び患者インタフェースと流体接続してもよい。空気回路が空気送出チューブと称されてもよい。ある場合には、吸気及び呼気のための回路の別個の肢が存在してもよい。他の場合には、単一の肢が使用される。
【0253】
ブロワ又はフロージェネレータ:周囲圧力を上回る圧力の空気流を送出する装置。
【0254】
コントローラ:入力に基づいて出力を調整する装置又は装置の一部。例えば、コントローラの1つの形態は、装置への入力を構成する制御下の変数−制御変数−を有する。装置の出力は、制御変数の現在の値の関数、及び、変数のための設定点である。サーボ換気装置は、入力としての換気、設定点としての目標換気量、及び、出力としての圧力サポートレベルを有するコントローラを含んでもよい。他の形態の入力は、酸素飽和度(SaO2)、二酸化炭素の分圧(PCO2)、動作、フォトプレチスモグラフからの信号、及び、ピーク流量のうちの1つ以上であってもよい。コントローラの設定点は、固定、可変、又は、学習のうちの1つ以上であってもよい。例えば、換気装置における設定点は、患者の測定された換気量の長期平均値であってもよい。他の換気装置は、時間に伴って変化する換気量設定点を有してもよい。圧力コントローラは、特定の圧力の空気を送出するためにブロワ又はポンプを制御するように構成されてもよい。
【0255】
治療:本文脈における治療は、陽圧療法、酸素療法、二酸化炭素療法、死腔の制御、及び、薬剤の投与のうちの1つ以上であってもよい。
【0256】
気道陽圧(PAP)装置:陽圧の所定量の空気を気道へ供給するための装置。
【0257】
5.4.3 顔面の生体構造
鼻翼(ala):各鼻孔の外側の外壁又は「翼」(複数形:alae)
【0258】
鼻翼角:下方から見た、鼻翼間に画定される角度
【0259】
鼻翼最外点(alare):鼻翼の最も外側にある点。
【0260】
鼻翼湾曲(又は鼻翼頂部)点:頬との鼻翼の結合により形成される折れ目で見出される各鼻翼の湾曲ベースラインにおける最も後側の点。
【0261】
耳介(auricula)又は耳介(pinna):耳の視認できる全体の外側部分。
【0262】
(鼻)骨格:鼻の骨格は、鼻骨、上顎骨前頭突起、及び、前頭骨の鼻部を備える。
【0263】
(鼻)軟骨骨格:鼻の軟骨骨格は、鼻中隔、側鼻軟骨、大鼻翼軟骨、及び、小鼻翼軟骨を備える。
【0264】
鼻柱:鼻孔を分離するとともに鼻尖から上唇まで延びる皮膚片。
【0265】
鼻柱角度:鼻孔開口の中点を通って引かれるラインと鼻棘を横切りつつフランクフォート水平面に対して垂直に引かれるラインとの間の角度。
【0266】
フランクフォート水平面:眼窩縁の最下点から左耳珠点まで延在するライン。耳珠点は、耳介の耳毛よりも上側の切痕における最深点である。
【0267】
眉間:軟組織上に位置する、額の正中矢状面内の最隆起点。
【0268】
側鼻軟骨:軟骨の略三角形プレート。その上縁は鼻骨及び上顎骨前頭突起に取り付けられ、また、その下縁は大鼻翼軟骨に接続される。
【0269】
下唇(下唇中点):下唇の唇紅と皮膚との境界が正中矢状面によって横切られる点。
【0270】
上唇(上唇中点):唇紅と皮膚との境界を横切って引かれるライン上の正中矢状面内に位置する上唇上の点。
【0271】
大鼻翼軟骨:外側鼻軟骨の下側に位置する軟骨のプレート。大鼻翼軟骨は、鼻孔の前部の周囲で湾曲される。大鼻翼軟骨の後端は、鼻翼の3つ或いは4つの小軟骨を含む頑丈な線維膜によって上顎骨前頭突起に接続される。
【0272】
鼻孔(鼻の穴):鼻腔への入口を形成する略楕円形の開口。鼻孔(nares)の単数形は鼻孔(naris(nostril))である。鼻孔は、鼻中隔によって分離される。
【0273】
鼻唇溝(Naso-labial sulcus)又は鼻唇溝(Naso-labial fold):頬を上唇から分離する、鼻の両側から口の角まで延びる皮膚の襞又は溝。
【0274】
鼻唇角:鼻棘を横切る状態での鼻柱と上唇との間の角度。
【0275】
下耳底:顔面の皮膚に対する耳介の取り付け最下点。
【0276】
上耳底:顔面の皮膚に対する耳介の取り付け最上点。
【0277】
鼻尖:頭部の一部の残りの側面図で特定され得る鼻の最突出点又は頂点。
【0278】
人中:鼻中隔の下縁から上唇領域の唇の上端まで延びる正中溝。
【0279】
ポゴニオン:軟組織上に位置する、顎の最前中点。
【0280】
稜部(鼻堤):鼻堤は、鼻根から鼻尖まで延在する鼻の正中突起。
【0281】
矢状面:身体を右半分と左半分とに分ける前(正面)から後(背面)まで通り過ぎる垂直面。
【0282】
鼻根:軟組織上に位置する、前頭鼻骨縫合の領域上に横たわる最凹点。
【0283】
中隔軟骨(鼻中隔軟骨):鼻中隔軟骨は、中隔の一部を形成するとともに、鼻腔の前部を分ける。
【0284】
鼻翼最下点:鼻翼基部が上(上側)唇の皮膚と結合する鼻翼基部の下縁点。
【0285】
鼻棘点:軟組織上に位置する、鼻柱が正中矢状面内で上唇と合流する点。
【0286】
スプラメンターレ:下唇中点と軟組織ポゴニオンとの間の下唇の中線における最凹点。
【0287】
5.4.4 頭蓋骨の生体構造
前頭骨:前頭骨は、額として知られる領域に対応する、大垂直部、すなわち、前頭鱗を含む。
【0288】
下顎:下顎は下側の顎を形成する。オトガイ隆起は、頤を形成する顎の骨隆起である。
【0289】
上顎:上顎は、上側の顎を形成するとともに、下顎よりも上側及び眼窩よりも下側に位置する。上顎骨前頭突起は、鼻の側面によって上方へ突出するとともに、鼻の側面境界の一部を形成する。
【0290】
鼻骨:鼻骨は、異なる個体でサイズ及び形状が異なる2つの小さい楕円形の骨であり、鼻骨は、顔面の中央部及び上部に並んで配置されるとともに、それらの接合によって鼻の「梁」を形成する。
【0291】
ナジオン:前頭骨と2つの鼻骨との交わりであり、眼と鼻梁の上部とのちょうど間にある陥凹領域である。
【0292】
後頭骨:後頭骨は頭蓋の後下部に位置する。後頭骨は、楕円開口、すなわち、大後頭孔を含み、この大後頭孔を通じて頭蓋腔が脊柱管と連通する。大後頭孔の背後の湾曲板が後頭鱗である。
【0293】
頭頂骨:頭頂骨は、互いに接合されるときに頭蓋の天盤及び側面を形成する骨である。
【0294】
側頭骨:側頭骨は、頭蓋骨の基部及び側部に位置するとともに、こめかみとして知られる顔面の部分を支持する。
【0295】
頬骨:顔面は、顔面の上部及び側部に位置して頬の隆起を形成する2つの頬骨を含む。
【0296】
5.4.5 呼吸器系の構造
横隔膜:胸郭の底部を横切って延在する筋層。横隔膜は、心臓、肺、肋骨を収容する胸腔を腹腔から分離する。横隔膜が収縮すると、胸腔の容積が増大して、空気が肺内へ引き込まれる。
【0297】
喉頭:喉頭又は発声器は、声帯を収容するとともに、咽頭の下部(下咽頭)を気管と接続する。
【0298】
肺:人の呼吸器。肺の伝導領域は、気管、気管支、細気管支、及び、終末細気管支を含む。呼吸器領域は、呼吸細気管支、肺胞管、及び、肺胞を含む。
【0299】
鼻腔:鼻腔(nasal cavity)(又は鼻腔(nasal fossa))は、顔面の中央の鼻の上後
にある大きい空気充填空間である。鼻腔は、鼻中隔と呼ばれる垂直ひれによって2つに分けられる。鼻腔の両側には、鼻甲介(conchae)(単数形「concha」)又は鼻甲介(turbinate)と呼ばれる3つの水平な延出部がある。鼻腔の前方には、背部が後鼻孔を介して鼻咽頭へと一体化する鼻がある。
【0300】
咽頭:鼻腔の真下(下方)に位置するとともに食道及び喉頭の上に位置する咽喉の一部。喉頭は、通常、3つの部分、すなわち、鼻咽頭(上咽頭)と、中咽頭(oropharynx)(中咽頭(mesopharynx))と、咽喉頭(下咽頭)とに分けられる。
【0301】
5.4.6 材料
シリコン又はシリコンエラストマー:合成ゴム。この明細書において、シリコンへの言及は、液状シリコンゴム(LSR)又は圧縮成形シリコンゴム(CMSR)への言及である。市販のLSRの1つの形態は、Dow Corningにより製造されるSILASTIC(この商標の下で販売さ
れる一連の製品に含まれる)である。LSRの他の製造業者はWackerである。正反対のことが別段に明示されなければ、LSRの好ましい形態は、ASTM D2240を使用して測定される約35〜約45の範囲内のショアA(又はタイプA)圧入硬度を有する。
【0302】
ポリカーボネート:ビスフェノールAカーボネートの一般的に透明な熱可塑性高分子。
【0303】
5.4.7 患者インタフェースの態様
窒息防止弁(AAV):フェイルセーフ態様で大気へ開放することによって患者による過剰なCO2再呼吸の危険を減らすマスクシステムの構成要素又はサブアセンブリ。
【0304】
エルボー:所定の角度にわたって方向を変えるべく空気流の軸線を方向付ける導管。1つの形態では、角度が約90°であってもよい。他の形態では、角度が90°未満であってもよい。導管が略円形断面を有してもよい。他の形態では、導管が楕円又は長方形の断面を有してもよい。
【0305】
フレーム:フレームは、ヘッドギアとの2つ以上の接続点間の張力負荷を支持するマスク構造体を意味するように解釈される。マスクフレームは、マスクにおける気密でない負荷支持構造体であってもよい。しかしながら、マスクフレームの幾つかの形態が気密であってもよい。
【0306】
機能的なデッドスペース:機能的なデッドスペースとは、呼吸回路内の正常なガス流が呼吸回路からの呼気を効果的に洗い流すことができないように患者の呼気が集まり得る呼吸回路内の少なくとも1つの領域のことである。
【0307】
ヘッドギア:ヘッドギアは、頭部上で用いるようになっている位置決め安定化構造体の一形態を意味するように解釈される。好ましくは、ヘッドギアは、呼吸療法を与えるために患者インタフェースを患者の顔面上の所定位置に位置決めして保持するように構成される1つ以上の支柱、紐、補強材の集合体を備える。幾つかの紐は、発泡体と布との積層複合体などの柔軟な可撓性の弾性材料から形成される。
【0308】
膜:膜は、好ましくは曲げ耐性を実質的に有さないが伸長耐性を有する一般的に薄い要素を意味するように解釈される。
【0309】
プレナムチャンバ:マスクプレナムチャンバは、所定容積の空間を取り囲む壁を有する患者インタフェースの部分を意味するように解釈され、前記容積は、使用時に大気圧を上回って加圧される空気を内部に有する。外殻がマスクプレナムチャンバの壁の一部を形成してもよい。1つの形態では、患者の顔面の一領域がプレナムチャンバの壁のうちの1つを形成する。
【0310】
シール:名詞形(「シール」)は、2つの表面の界面を通じた空気の流れに意図的に抵抗する構造体又は障壁を意味するように解釈される。動詞形(「シールする」)は、空気の流れに抵抗することを意味するように解釈される。
【0311】
外殻:好ましくは、外殻は、曲げ剛性、引張剛性、及び、圧縮剛性を有する湾曲構造体、例えばマスクの湾曲構造壁を形成するマスクの部分を意味するように解釈される。好ましくは、外殻は、その全体の寸法と比べて比較的薄い。幾つかの形態では、外殻が面取りされてもよい。好ましくは、そのような壁が気密であるが、幾つかの形態では、それらの壁が気密でなくてもよい。
【0312】
補強材:補強材は、他の構成要素の曲げ抵抗を少なくとも1つの方向で高めるようになっている構造的な構成要素を意味するように解釈される。
【0313】
支柱:支柱は、他の構成要素の圧縮抵抗を少なくとも1つの方向で高めるようになっている構造的な構成要素であるように解釈される。
【0314】
スイベル:(名詞)好ましくは低トルク下で、好ましくは独立に、共通の軸線の周りで回転するように構成される構成要素のサブアセンブリ。1つの形態において、スイベルは、少なくとも360°の角度にわたって回転するように構成されてもよい。他の形態において、スイベルは、360°未満の角度にわたって回転するように構成されてもよい。構成要素のサブアセンブリは、空気回路との関連で使用されるときには、好ましくは、円筒状の導管の適合された対を備える。好ましくは、使用時にスイベルからの空気流の漏れが殆どない或いは全くない。
【0315】
紐:紐は、張力に抵抗するようになっている構造的な構成要素であると解釈される。
【0316】
ベント:(名詞)吐き出された二酸化炭素(CO2)の流出及び酸素(O2)の供給を可能にするための、マスクの内部からの空気の意図的な制御された割合の漏れを許容する構造体、又は、外気への導管。
【0317】
5.4.8 患者インタフェースに関して使用される用語
(表面の)曲率:1つの方向で上方に曲がるとともに異なる方向で下方に曲がるサドル形状を有する表面の領域は、マイナスの曲率を有するように解釈される。2つの主方向で同じように曲がるドーム形状を有する表面の領域は、プラスの曲率を有するように解釈される。平坦な表面は、ゼロ曲率を有するように解釈される。
【0318】
軟質:以下の特徴の組み合わせである材料、構造体、又は、複合体の品質。
指圧に容易に順応する。
その自重を支えさせられるときにその形状を保つことができない。
硬質ではない
僅かな労力で弾性的に伸長され得る或いは曲げられ得る
【0319】
軟質であるという品質が関連する方向を有してもよく、したがって、特定の材料、構造体、又は、複合体は、第1の方向で軟質であってもよいが、第2の方向で、例えば第1の方向と垂直な第2の方向で高剛性又は硬質であってもよい。
【0320】
弾性:1秒などの比較的短い時間内で、ほぼ弾力的に変形できるとともに、荷重除去時にエネルギーのほぼ全てを解放できる。
【0321】
硬質:指圧に応じて、及び/又は、患者インタフェースを患者の気道への入口とのシール関係に設定して維持するときに一般に直面される張力又は負荷に応じて、容易に変形しない。
【0322】
半硬質:気道陽圧治療中に一般に印加される機械的な力の作用下で実質的に歪まないように十分に硬質であることを意味する。
【0323】
5.5 他の所見
別段に定義されなければ、本明細書中で使用される全ての技術用語及び科学用語は、この技術が属する技術分野における当業者により一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書中に記載される方法及び材料と同様又は等価な任意の方法及び材料を本技術の実施又は試験で使用することもできるが、本明細書中には、限られた数の典型的な方法及び材料が記載される。
【0324】
本明細書中において及び添付の特許請求の範囲において使用される単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び、「その(the)」は、文脈が別段に明確に指示しなければ、それらの複数の等価物を含むことが留意されなければならない。
【0325】
また、開示内容を解釈する際、全ての用語は、文脈と一致する最も広い妥当な態様で解釈されるべきである。特に、「備える(comprises)」及び「備えている(comprising)」という用語は、非排他的態様で要素、構成要素、又は、ステップに言及しているとして、したがって、言及された要素、構成要素、又は、ステップが、存在し又は利用されてもよく、或いは、明確に言及されない他の要素、構成要素、又は、ステップと組み合わされてもよいことを示唆しているとして解釈されるべきである。
【0326】
本明細書中の技術を特定の実施例に関連して説明してきたが、これらの実施例が本技術の原理及び用途の単なる例示にすぎないことが理解されるべきである。ある場合には、専門用語及び記号が、本技術を実施するために必要とされない特定の詳細を示唆する場合がある。例えば、「第1」及び「第2」という用語が使用される場合があるが、別段に明記されなければ、それらの用語は、任意の順序を示すように意図されず、別個の要素間を区別するために利用される場合がある。また、方法論におけるプロセスステップが所定の順序で説明され或いは図示される場合があるが、そのような順序付けは必要とされない。当業者であれば分かるように、そのような順序付けが変更されてもよく、及び/又は、その態様が同時に或いは更には同期して行われてもよい。
【0327】
したがって、本技術の思想及び範囲から逸脱することなく、例示された実施例に対して多数の変更が成されてもよく、また、他の構成が考え出されてもよいことが理解されるべきである。