生分解性樹脂と発泡剤とを含有する樹脂組成物を押出機で溶融混練し、該溶融混練がされた溶融状態の前記樹脂組成物を円環状の吐出口を有するサーキュラーダイから押出すとともに発泡させて筒状発泡シートを形成させる押出発泡工程、
前記吐出口よりも径大な冷却用マンドレルの外周面を前記筒状発泡シートの内面に摺接させて前記筒状発泡シートを拡径しつつ内側から冷却する拡径工程、
該拡径工程で拡径された筒状発泡シートを押出方向に沿って切断して展開することで平坦な帯状発泡シートとする展開工程、とを実施して生分解性樹脂発泡シートを製造する生分解性樹脂発泡シートの製造方法であって、
前記吐出口から吐出されて5秒経過した位置における前記筒状発泡シートの外面の温度が50℃以上70℃以下となるように前記筒状発泡シートを冷却する生分解性樹脂発泡シートの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
まず、本実施形態に係る生分解性樹脂発泡シートの製造方法に用いられる押出設備について説明する。
図1は、押出設備の構成を示す図であり、
図2は、この
図1に破線Aで示した領域の端面図を示すものである。
【0011】
この図にも示されているように、本実施形態の生分解性樹脂発泡シートの製造方法においては、生分解性樹脂と発泡剤とを含有する樹脂組成物を溶融混練するための押出機としてタンデム押出機70を備えた設備が使用される。
該タンデム押出機70の先端部には、前記溶融混練によって得られた溶融状態の前記樹脂組成物を大気中に押出すとともに発泡させて筒状発泡シートFBを形成させるための円環状の吐出口(以下「ダイスリット111」ともいう)を有するサーキュラーダイ100が装着されている。
【0012】
前記押出設備には、サーキュラーダイ100の前面において開口している円環状の前記ダイスリット111から筒状に吐出された前記筒状発泡シートFBを内面側から冷却するための冷却マンドレル200が備えられている。
【0013】
前記押出設備には、前記冷却マンドレル200によって冷却される前の発泡シート(筒状発泡シート)に対して外側から風を吹き付けて前記筒状発泡シートを外側から冷却する冷却装置CRがさらに備えられている。
【0014】
前記タンデム押出機70は、上流側押出機70aと下流側押出機70bの2台の押出機が連結されたものであり、上流側押出機70aには、生分解性樹脂発泡シートの形成材料を投入するためのホッパー71と、ガス供給装置80から炭化水素などの発泡剤をシリンダー内に供給するためのガス導入部72とが設けられている。
そして、下流側押出機70bには、円環状のダイスリット111が形成された前記サーキュラーダイ100が装着されている。
【0015】
前記サーキュラーダイ100は、前記下流側押出機70bで混練された溶融状態の前記樹脂組成物の通り道となる円筒状の第1内部流路101と、該第1内部流路101に続く第2内部流路102とを有している。
前記第1内部流路101は、前記ダイスリット111よりも径小であり、前記第2内部流路102は前記第1内部流路101の末端より外広がりにラッパ状に広がってその末端において前記ダイスリット111を構成している。
前記サーキュラーダイ100は、その前方に設置された冷却マンドレル200に向けて押出機で溶融混練された樹脂組成物を発泡状態で押出すべく構成されており、前記冷却マンドレル200は、前記サーキュラーダイ自体よりも径大な円柱形状を有しており、その外周面をサーキュラーダイ100から押出された筒状発泡シートFBの内面に摺接させて該筒状発泡シートFBを内側から冷却しうるように備えられている。
【0016】
前記サーキュラーダイ100と前記冷却マンドレル200とは、該冷却マンドレル200の円柱形状の中心軸を延長した延長線上に、サーキュラーダイ100の前面において開口している円環状のダイスリット111の中心が位置するようにして備えられている。
本実施形態の押出設備は、このことによってサーキュラーダイ100から冷却マンドレル200までの間の筒状発泡シートFBがサーキュラーダイ100から冷却マンドレル200に向けて略均等に拡径されるようになっている。
【0017】
この冷却マンドレル200の下流側には筒状の筒状発泡シートFBに左右一対の切り込みを入れるための切断刃CTが取り付けられている。
本実施形態における押出設備には、前記切断刃CTによって押出方向に沿って切断されて上下に二分割された筒状発泡シートFBをそれぞれ平坦なシート状に展開するためのローラ91と、この展開された生分解性樹脂発泡シート1を上ロールURと下ロールLRとの2本の原反ロールとして巻き取るための巻取りローラ92が備えられている。
【0018】
本実施形態においては、前記サーキュラーダイ100から前記冷却マンドレル200に至るまでに前記筒状発泡シートFBを外側から冷却するための前記冷却装置CRは、扁平なドーナッツ状の中空板である冷却リングCR1を有している。
該冷却リングCR1は、その内周が前記ダイスリット111よりも僅かに径大な円形となっており、内周部には空気を吹出させるための吹出口301が形成されており、該吹出口301は、前記冷却リングCR1の内周縁に沿って円環状に形成されている。
この冷却リングCR1には前記のように内周に沿って吹出口301が開口していることから当該吹出口301が前記ダイスリット111の外側に僅かな距離を隔てて開口しており、前記冷却機構は、押出された直後の筒状発泡シートFBに対して風を吹付け得るように構成されている。
【0019】
上記のような押出設備を用いて生分解性樹脂発泡シートを製造する際には、
(A)生分解性樹脂と発泡剤とを含有する樹脂組成物を前記タンデム押出機70で溶融混練し、該溶融混練がされた溶融状態の前記樹脂組成物をサーキュラーダイ100の前記ダイスリット111から押出すとともに発泡させて筒状発泡シートFBを形成させる押出発泡工程、
(B)前記ダイスリット111よりも径大な冷却用マンドレル200の外周面を前記筒状発泡シートFBの内面に摺接させて前記筒状発泡シートFBを拡径しつつ内側から冷却する拡径工程、
(C)該拡径工程で拡径された筒状発泡シートFBを前記切断刃CTによって押出方向に沿って切断して前記ローラ91で展開させることによって平坦な帯状発泡シートとする展開工程、とが実施されて単層構造を有する生分解性樹脂発泡シート1が製造される。
【0020】
本実施形態においては、前記冷却リングCR1によって前記筒状発泡シートFBを強冷却する。
具体的には、本実施形態においては、前記冷却リングCR1を使って、前記吐出口から吐出されて5秒経過した位置における前記筒状発泡シートFBの外面の温度が50℃以上70℃以下となるように前記筒状発泡シートFBを冷却する。
【0021】
ここで筒状発泡シートFBの外面の温度は、非接触式の温度計で測定される。
尚、前記巻取りローラ92での生分解性樹脂発泡シート1の引取速度をV(m/min)とした場合、ダイスリット111から冷却用マンドレル200の前端まで筒状発泡シートFBが拡径されている間においても、原則的には水平方向での移動速度は引取速度と同じV(m/min)となる。
従って、前記吐出口から吐出されてから経過時間をt(秒)における位置とは、ダイスリット111から水平方向に下記の距離D(mm)離れた地点としてみなすことができる。
D(mm)= (1000×V×t)/60
即ち、「吐出口から吐出されて5秒経過した位置」とは前記ダイスリット111から水平方向に「500V/6(mm)」の距離を隔てて前記ダイスリット111と平行する仮想平面VPが前記筒状発泡シートFBと交わる位置を意味する。
従って、「吐出口から吐出されて5秒経過した位置の温度」とは、前記仮想平面VPと前記筒状発泡シートFBの外表面と交差してできる円周上における点を測定点MPに設定して計測することができる。
【0022】
前記温度は、具体的には、前記円周上の表面温度を上下左右の約90度ずつずらした4箇所において測定し、4つの測定値の算術平均を算出することで求めることができる。
測定は、例えば、生分解性樹脂発泡シートから約5cm離れた距離にて赤外線放射温度計(例えば、アズワン社製、品番「ST653」)を用いて放射率1.0に設定して実施すればよい。
【0023】
尚、前記冷却リングCRによって筒状発泡シートFBが押出直後の早い段階で急冷されることになるため、通常の条件で押出発泡工程が実施される場合に比べて発泡不足となり易い。
そのことを防止すべく押出機で溶融混練を実施する際には発泡剤を多めに配合しておくことが好ましい。
また、吐出口から吐出されて5秒経過した位置での前記温度は、55℃以上とすることが好ましく、60℃以上とすることがより好ましい。
【0024】
上記のようにして作製される押出発泡シート1は、生分解性樹脂の結晶化が抑制された状態になるため、熱成形などによって3次元的な形状を賦与する際に良好な成形性を発揮し得る。
【0025】
該生分解性樹脂発泡シートの厚さは、0.2mm以上であることが好ましく、0.5mm以上であることがより好ましく、1.0mm以上であることがさらに好ましい。
前記生分解性樹脂発泡シートの厚さは、6mm以下であることが好ましく、5mm以下であることがより好ましく、4mm以下であることがさらに好ましい。
【0026】
前記生分解性樹脂発泡シートの厚さは、例えば、無作為に選択した10箇所以上の測定点において測定された厚さの平均値として求めることができる。
【0027】
前記生分解性樹脂発泡シートは、坪量が200g/m
2以上であることが好ましく、250g/m
2以上であることがより好ましく、300g/m
2以上であることがさらに好ましい。
前記生分解性樹脂発泡シートの坪量は、750g/m
2以下であることが好ましく、650g/m
2以下であることがより好ましい。
【0028】
前記生分解性樹脂発泡シートの坪量は、例えば、100cm
2以上のサンプルを複数枚(例えば10枚)切り取り、それぞれの質量と面積とを測定し次式により求めることができる。
坪量(g/m
2)=10000×試験片質量(g)/試験片面積(cm
2)
【0029】
上記のような生分解性樹脂発泡シートの密度(見掛け密度)については、特に限定されるものではなく、150kg/m
3以上であることが好ましく、200kg/m
3以上であることがより好ましい。
該見掛け密度は、1000kg/m
3以下であることが好ましく、800kg/m
3以下であることがより好ましく、600kg/m
3以下であることがさらに好ましい。
【0030】
生分解性樹脂発泡シートの見掛け密度は、JIS K7222:1999「発泡プラスチックおよびゴム−見掛け密度の測定」に記載される方法により測定され、具体的には下記のような方法で測定される。
(見掛け密度測定方法)
発泡シートから、100cm
3以上の試料を元のセル構造を変えないように切断し、この試料をJIS K7100:1999の記号23/50、2級環境下で16時間状態調節した後、その寸法、質量を測定して、密度を下記式により算出する。
見掛け密度(kg/m
3)=試料の質量(kg)/試料の体積(m
3)
なお、試料の寸法測定には、例えば、(株)ミツトヨ製「DIGIMATIC」CD−15タイプを用いることができる。
【0031】
前記生分解性樹脂発泡シートは、良好な成形性を発揮させる上において、連続気泡率が、25%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく15%以下であることがさらに好ましい。
該連続気泡率は、通常、1%以上である。
【0032】
前記生分解性樹脂発泡シートは、次のようにして測定できる。
<生分解性樹脂発泡シートの連続気泡率>
生分解性樹脂発泡シートから、縦25mm、横25mmのシート状サンプルを複数枚切り出し、切り出したサンプルを隙間があかないようにして重ね合わせて厚み25mmの測定用試料とし、この測定用試料の外寸を(株)ミツトヨ製「デジマチックキャリパ」を使用して1/100mmまで測定し、見掛けの体積(cm
3)を求める。
次に空気比較式比重計1000型(東京サイエンス(株)製)を使用して、1−1/2−1気圧法により測定用試料の体積(cm
3)を求める。
これらの求めた値と下記式とにより連続気泡率(%)を計算し、試験数5個の平均値を求める。
なお、測定は、測定用試料をJIS K7100−1999 記号23/50、2級の環境下で16時間状態調節した後、JIS K7100−1999 記号23/50、2級の環境下で行う。
また、空気比較式比重計は、標準球(大28.9cc 小8.5cc)にて補正を行う。
連続気泡率(%)=
(見掛け体積−空気比較式比重計での測定体積)/見掛け体積 ×100(%)
【0033】
前記生分解性樹脂発泡シートは、成形型の表面(成形面)に対して過度な密着性を示してしまうと成形面で滑りにくくなってかえって成形性を低下させる要因ともなり得る。
そのような点において生分解性樹脂発泡シートは、少なくとも片面において表面粗さ(Ra)が3μm以上であることが好ましく、両面とも表面粗さ(Ra)が3μm以上であることがより好ましい。
前記表面粗さ(Ra)は、6μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。
【0034】
前記生分解性樹脂発泡シートの表面粗さ(算術平均粗さ:Ra)は、JIS B0601「表面粗さの定義および表示」に則って測定できる。
即ち、生分解性樹脂発泡シートをJIS K7100:1999の記号23/50、2級環境下で16時間状態調節した後、下記の装置、測定条件下にて測定することができる。
(測定条件)
装置: 東京精密社製 ハンディサーフ E−35A
カットオフ(λc):0.80
評価長さ(L):4.0mm
尚、測定は、生分解性樹脂発泡シートの表裏両面のTD方向(押出方向と直交する方向、幅方向)をそれぞれ5回測定し、それら各面の算術平均粗さRaの平均値を発泡シートの各面における表面粗さとする。
【0035】
前記生分解性樹脂発泡シートは、平均気泡径が0.6mm以下であることが好ましく平均気泡径が0.5mm以下であることがより好ましい。
前記平均気泡径は、通常、0.05mm以上となる。
【0036】
前記生分解性樹脂発泡シートの平均気泡径は、次のようにして求めることができる。
<生分解性樹脂発泡シートの平均気泡径の測定>
生分解性樹脂発泡シートの幅方向中央部からMD方向(押出方向)、及び、TD方向(幅方向)に沿って生分解性樹脂発泡シートの表面に垂直に切リ出した断面を(株)日立ハイテクノロジーズ製「SU1510」走査電子顕微鏡を用いて、100倍に拡大して撮影する。
このとき、顕微境画像は、横向きのA4用紙1枚に縦横2画像(合計4画像)並んだ状態で印刷した際に所定の倍率となるように撮影する。
具体的には、上記のように印刷した画像上に、MD、TDの各方向に平行する60mmの任意の直線、及び、各方向に直交する方向(厚さ方向、VD方向ともいう)に60mmの直線を描いた際に、この直線上に存在する気泡の数が3〜10個程度となるように電子顕微鏡での撮影倍率を調整する。
MD方向に沿って切断した断面(以下、MD断面という)、及び、TD方向に沿って切断した断面(以下、TD断面という)のそれぞれに対し、2視野ずつ合計4視野の顕微鏡画像を撮影し、上記のようにA4用紙に印刷する。
MD断面の2つの画像のそれぞれにMD方向に平行な3本の任意の直線(長さ60mm)を描くと共に、TD断面の2つの画像のそれぞれにTD方向に平行な3本の任意の直線(長さ60mm)を描く。
また、MD断面の1つの画像とTD断面の1つの画像とにVD方向に平行な3本の直線(60mm)を描き、MD方向、TD方向、及び、VD方向に平行な60mmの任意の直線を各方向6本ずつ描く。
なお、任意の直線はできる限り気泡が接点でのみ接しないようにし、接してしまう場合には、この気泡も数に加える。
MD方向、TD方向、VD方向の各方向の6本の任意の直線について数えた気泡数Dを算術平均し、各方向の気泡数とする。
気泡数を数えた画像倍率とこの気泡数から気泡の平均弦長tを次式より算出する。
平均弦長 t(mm)=60/(気泡数×画像倍率)
画像倍率は、画像上のスケールバーを株式会社ミツトヨ製「デジマチックキャリパ」にて1/100mmまで計測し、次式により求める。
画像倍率=スケールバー実測値(mm)/スケールバーの表示値(mm)
そして次式により各方向における気泡径を算出する。
気泡径D(mm)=t/0.616
さらにそれらの積の3乗根を平均気泡径とする。
平均気泡径(mm)=(D
MD×D
TD×D
VD)
1/3
D
MD:MD方向の気泡径(mm)
D
TD:TD方向の気泡径(mm)
D
VD:VD方向の気泡径(mm)
【0037】
本実施形態の生分解性樹脂発泡シートは、上記のように生分解性樹脂を主成分として含有する樹脂組成物が発泡剤とともに押出機で溶融混練された後に押出機の先端に装着されたダイを通じて大気中に押出されることによって作製されたものである。
【0038】
本実施形態の前記樹脂組成物は、生分解性樹脂以外に添加剤等を含有してもよい。
本実施形態に係る生分解性樹脂としては、生分解性ポリエステル系樹脂が挙げられる。
該生分解性ポリエステル系樹脂としては、例えば、グリコールと脂肪族ジカルボン酸との重縮合などにより得られる脂肪族ポリエステル系樹脂などが挙げられ、ジカルボン酸とジオールとが構成単位となっていることが好適である。
【0039】
該脂肪族ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンオキザレート、ポリブチレンオキザレート、ポリネオペンチルオキザレート、ポリエチレンセバケート、ポリブチレンセバケート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネートカーボネート等が挙げられる。
【0040】
本実施形態に係る生分解性ポリエステル系樹脂は、例えば、ポリグリコール酸やポリ乳酸などのようなポリ(α−ヒドロキシ酸)またはこれらの共重合体、ポリ(ε−カプロラクトン)やポリ(β−プロピオラクトン)のようなポリ(ω−ヒドロキシアルカノエート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシバリレート)、ポリ(3−ヒドロキシカプロレート)、ポリ(3−ヒドロキシヘプタノエート)、ポリ(3−ヒドロキシオクタノエート)のようなポリ(β−ヒドロキシアルカノエート)及びポリ(4−ヒドロキシブチレート)などの脂肪族ポリエステル系樹脂であってもよい。
【0041】
上記の生分解性ポリエステル系樹脂は、必要に応じて分岐構造や架橋構造を形成させるような改質を施してもよい。
生分解性ポリエステル系樹脂への分岐構造や架橋構造の導入には、カルボジイミドなどの鎖伸長剤などが用いられ得る。
鎖伸長剤による改質は、アクリル系有機化合物、エポキシ系有機化合物、イソシアネート系有機化合物など、生分解性ポリエステル系樹脂の分子構造中に存在する水酸基やカルボキシル基と縮合反応させることが可能な官能基を1又は複数有する化合物を用いて行うことができる。
即ち、前記改質は、アクリル系有機化合物、エポキシ系有機化合物、イソシアネート系有機化合物などを反応によって生分解性ポリエステル系樹脂に結合させる方法で実施することができる。
【0042】
架橋構造や分岐構造による生分解性ポリエステル系樹脂の改質は、例えば、ラジカル開始剤によって生分解性ポリエステル系樹脂の分子どうしを反応させる方法などによって行うことができる。
このような反応は、二軸押出機などの押出機を用いて実施することができる。
【0043】
上記の改質方法の中では、改質後に他の成分が含有することを抑制できる点において生分解性ポリエステル系樹脂の分子どうしをラジカル開始剤で反応させることが好ましい。
尚、適度な反応性を有するラジカル開始剤を使って生分解性ポリエステル系樹脂の分子どうしを反応させると、押出機内での生分解性ポリエステル系樹脂の分解起点が前記ラジカル開始剤によって発生させたフリーラジカルによってアタックされ、当該箇所が架橋点(分岐点)となって安定化され得る。
生分解性ポリエステル系樹脂は、このような改質がなされることで熱安定性が増して押出機を通過する際に低分子量化され難くなる。
【0044】
前記ラジカル開始剤としては、例えば、有機過酸化物、アゾ化合物、ハロゲン分子などが挙げられる。
これらの中では有機過酸化物が好ましい。
本実施形態で用いられる該有機過酸化物としては、例えば、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシケタール、及び、ケトンパーオキサイド等が挙げられる。
【0045】
前記パーオキシエステルとしては、例えば、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,5−ジメチル2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、及び、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート等が挙げられる。
【0046】
前記ハイドロパーオキサイドとしては、例えば、パーメタンハイドロパーオキシド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、及び、t−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
【0047】
前記ジアルキルパーオキサイドとしては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、及び、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキシン−3等が挙げられる。
【0048】
前記ジアシルパーオキサイドとしては、例えば、ジベンゾイルパーキサイド、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド、及び、ジ(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド等が挙げられる。
【0049】
前記パーオキシジカーボネートとしては、例えば、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等が挙げられる。
【0050】
前記パーオキシケタールとしては、例えば、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ブタン、n−ブチル4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)バレレート、及び、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等が挙げられる。
【0051】
前記ケトンパーオキシドとしては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等が挙げられる。
【0052】
前記有機過酸化物は、パーオキシエステルであることが好ましい。
また、パーオキシエステルの中でも生分解性ポリエステル系樹脂の改質に用いられる有機過酸化物は、パーオキシカーボネート系有機過酸化物であることが好ましい。
本実施形態において生分解性ポリエステル系樹脂の改質に用いられる有機過酸化物は、パーオキシカーボネート系有機過酸化物の中でもパーオキシモノカーボネート系有機過酸化物であることが好ましく、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートであることが特に好ましい。
【0053】
上記のような有機過酸化物は、その分子量などにもよるが、通常、改質をする生分解性ポリエステル系樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上の割合で用いられる。
有機過酸化物の使用量は、0.2質量部以上であることが好ましく、0.3質量部以上であることが特に好ましい。
有機過酸化物の使用量は、2.0質量部以下であることが好ましく、1.5質量部以下であることがより好ましく、1.0質量部以下であることが特に好ましい。
このような割合で有機過酸化物を用いて生分解性ポリエステル系樹脂を改質することで改質後の生分解性ポリエステル系樹脂を発泡に適したものにすることができる。
【0054】
上記のような有機過酸化物は、その使用量が0.1質量部以上とされることにより、生分解性ポリエステル系樹脂に対して改質による効果をより確実に発揮させ得る。
また、有機過酸化物は、その使用量が2.0質量部以下とされることで、改質後の生分解性ポリエステル系樹脂に多くのゲルが混在することを抑制し得る。
【0055】
前記生分解性ポリエステル系樹脂としては、長鎖分岐を有していないものが好ましい。
本実施形態の生分解性ポリエステル系樹脂は、生分解性の観点から脂肪族ポリエステル系樹脂であることが好ましい。
前記樹脂組成物に含有される全ての生分解性ポリエステル系樹脂を100質量%とした場合、脂肪族ポリエステル系樹脂の割合は、85質量%以上とされることが好ましく、90質量%以上とされることがより好ましく、95質量%以上とされることがさらに好ましい。
前記樹脂組成物に含有される全ての生分解性ポリエステル系樹脂が脂肪族ポリエステル系樹脂であることがとりわけ好ましい。
【0056】
本実施形態で用いる生分解性ポリエステル系樹脂は、これらのなかでもポリブチレンサクシネートが特に好ましい。
前記樹脂組成物に含有される全ての生分解性ポリエステル系樹脂を100質量%とした場合、ポリブチレンサクシネートの割合は、85質量%以上とされることが好ましく、90質量%以上とされることがより好ましく、95質量%以上とされることがさらに好ましい。
前記樹脂組成物に含有される全ての生分解性ポリエステル系樹脂がポリブチレンサクシネートであることがとりわけ好ましい。
【0057】
なお、本実施形態においては、上記例示の生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂の内の一種類を選択して用い得る他に、上記例示の生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂の内の複数を混合して用いることもでき、上記例示以外の生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂も使用可能である。
【0058】
前記樹脂組成物に含有させる添加剤としては、生分解性樹脂以外のポリマーや、無機フィラーなどの無機物、各種ゴム・プラスチック薬剤などが挙げられる。
【0059】
生分解性樹脂以外に前記樹脂組成物に含有され得るポリマーとしては、高分子型帯電防止剤、気泡調整剤として用いられるフッ素系樹脂、ゴム系改質剤などが挙げられる。
【0060】
生分解性樹脂発泡シートに優れた生分解性を発揮させる上において、樹脂組成物に含有される全てのポリマーに占める生分解性樹脂の割合は、85質量%以上とされることが好ましく、90質量%以上とされることがより好ましく、95質量%以上とされることがさらに好ましい。
【0061】
生分解性樹脂発泡シートに優れた生分解性を発揮させる上において、樹脂組成物に含有される全ての生分解性樹脂に占める生分解性ポリエステル系樹脂の割合は、85質量%以上とされることが好ましく、90質量%以上とされることがより好ましく、95質量%以上とされることがさらに好ましい。
【0062】
前記樹脂組成物は、その発泡成形性をより向上させる目的で収縮防止剤等の添加剤を任意に含有できる。
添加量としては生分解性樹脂100質量部に対する割合が0.05質量部以上5質量部以下の範囲内となるように前記樹脂組成物に含有される。
【0063】
該収縮防止剤の具体例としては、例えば、ラウリン酸モノグリセライド、パルミチン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド、ペンタエリスリットモノカプレート、ペンタエリスリットモノオレエート、ペンタエリスリットモノラウレート、ジペンタエリスリットジステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキ糖油脂肪酸エステル、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、マンニタンモノオレエート、マンニタンモノラウレートなどの多価アルコールと高級脂肪酸のエステルの他、高級アルキルアミン、脂肪酸アミド、高級脂肪酸の完全エステルなどを挙げることができる。
【0064】
収縮防止剤は、上記例示のものの内の一種類を選択して用い得る他に、上記例示の収縮防止剤の内の複数を混合して用いることもでき、上記例示以外のもので従来収縮防止剤として公知のものも採用が可能である。
その中でもステアリン酸モノグリセライドが特に好ましい。
【0065】
前記樹脂組成物は、発泡時に良好な気泡構造とする目的で、一般的に使用される気泡調整剤を使用することができる。
気泡調整剤は例えば、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂の微粉末、タルク、水酸化アルミニウム、シリカなどが挙げられる。
更に後述する分解型発泡剤は、揮発性発泡剤と併用することで発泡状態を調整することができ、気泡調整剤として用いることもできる。
【0066】
前記樹脂組成物に用いられる発泡剤としては、一般的な常温、常圧において気体となる揮発性発泡剤や、熱分解によって気体を発生させる分解型発泡剤を採用することができ前記揮発性発泡剤としては、例えば不活性ガス、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素等が採用可能である。
前記不活性ガスとしては、例えば、二酸化炭酸、窒素等が挙げられ、脂肪族炭化水素としては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン等が挙げられ、前記脂環族炭化水素としては、例えば、シクロペンタン、シクロへキサン等が挙げられる。
【0067】
前記樹脂組成物に含有される生分解性樹脂100質量部に対して前記押出発泡に際して使用される前記発泡剤の割合は、0.1質量部以上であることが好ましく0.3質量部以上であることがより好ましく、0.6質量部以上であることが特に好ましい。
前記発泡剤の割合は、2質量部以下であることが好ましく、1.5質量部以下であることがより好ましく、1.2質量部以下であることがさらに好ましい。
【0068】
前記分解型発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、重炭素ナトリウム又はクエン酸のような有機酸もしくはその塩と重炭酸塩との混合物などが挙げられる。
【0069】
押出発泡に供する樹脂組成物には、前記生分解性樹脂とともに結晶核剤と結晶化促進剤とを含有させてもよい。
【0070】
前記結晶核剤としては、例えば、有機結晶核剤や無機結晶核剤などが挙げられる。
前記結晶核剤としては、有機結晶核剤と無機結晶核剤との内の一方のみを採用してもよく、有機結晶核剤と無機結晶核剤とを併用してもよい。
また、前記結晶核剤として無機結晶核剤だけを用いる場合、無機結晶核剤の内の1種だけを結晶核剤として採用してもよく、無機結晶核剤の内の2種以上を併用してもよい。
同様に前記結晶核剤として有機結晶核剤だけを用いる場合、有機結晶核剤の内の1種だけを結晶核剤として採用してもよく、有機結晶核剤の内の2種以上を併用してもよい。
前記結晶核剤としては、有機結晶核剤と無機結晶核剤とを併用する場合、いずれか一方、又は、両方に複数種類のものが採用されてもよい。
【0071】
前記無機結晶核剤としては、例えば、タルク、酸化スズ、スメクタイト、ベントナイト、ドロマイト、セリサイト、長石粉、カオリン、マイカ、モンモリロナイト等が挙げられる。
これらの中でも、結晶化速度向上、耐熱性、耐久性などの観点から前記無機結晶核剤としては、タルクあるいは酸化スズであることが好ましい。
【0072】
前記有機結晶核剤としては、例えば、有機アミド化合物、有機ヒドラジド化合物、カルボン酸エステル系化合物、有機スルホン酸塩、フタロシアニン系化合物、メラミン系化合物、および有機ホスホン酸塩などが挙げられる。
【0073】
有機スルホン酸塩としては、スルホイソフタル酸塩など、種々のものを用いることができるが、中でも、5−スルホイソフタル酸ジメチル金属塩が、結晶化促進効果の点から好ましい。
さらに、バリウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、ナトリウム塩などが好ましい。
【0074】
前記有機アミド化合物としては、例えば、N,N’,N”−トリシクロヘキシルトリメシン酸アミド、N,N’−エチレンビス(12−ヒドロキシステアリン酸)アミドなど挙げられる。
【0075】
前記結晶核剤は、例えば、前記樹脂組成物に含有される前記生分解性樹脂の含有量を100質量部としたときに0.5質量部以上となる割合で前記樹脂組成物に含有させ得る。
前記結晶核剤は、0.6質量部以上の割合で前記樹脂組成物に含有されることが好ましく、0.7質量部以上の割合で前記樹脂組成物に含有されることがより好ましい。
前記結晶核剤は、例えば、前記樹脂組成物に含有される前記ポリ乳酸樹脂の含有量を100質量部としたときに3.0質量部未満となる割合で前記樹脂組成物に含有させ得る。
前記結晶核剤は、2.5質量部以下の割合で前記樹脂組成物に含有されることが好ましく、2.2質量部以下の割合で前記樹脂組成物に含有されることがより好ましい。
【0076】
前記結晶化促進剤としては、例えば、ジ−n−オクチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジウンデシルフタレート等のフタル酸誘導体、ジオクチルイソフタレート等のイソフタル酸誘導体、ジ−n−ブチルアジペート、ジオクチルアジペート等のアジピン酸誘導体、ジ−n−ブチルマレエート等のマレイン酸誘導体、トリ−n−ブチルシトレート等のクエン酸誘導体、モノブチルイタコネート等のイタコン酸誘導体、ブチルオレート等のオレイン酸誘導体、グリセリンモノリシノレート等のリシノール酸誘導体、トリクレジルフォスフェート、トリキシレニルフォスフェート等のリン酸エステル、ポリエチレンアジペート、ポリアクリレートアセチルクエン酸トリブチル等のヒドロキシ多価カルボン酸エステル類、グリセリントリアセテート、グリセリントリプロピオネート等の多価アルコールエステル類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール誘導体、ベンジル・2−(2−メトキシエトキシ)エチル・アジパート、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0077】
前記結晶化促進剤としては、ポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。
前記ポリグリセリン脂肪酸エステル類としては、例えば、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ポリグリセリンリシノール酸エステル、ポリグリセリンラウリン酸エステル、ポリグリセリンステアリン酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルなどが挙げられる。
これらのなかで前記結晶化促進剤としては、ポリグリセリンステアリン酸エステルを採用することが好ましい。
【0078】
前記結晶化促進剤は、例えば、前記樹脂組成物に含有される前記生分解性樹脂の含有量を100質量部としたときに0.5質量部以上となる割合で前記樹脂組成物に含有させ得る。
前記結晶化促進剤は、0.6質量部以上の割合で前記樹脂組成物に含有されることが好ましく、0.7質量部以上の割合で前記樹脂組成物に含有されることがより好ましい。
前記結晶化促進剤は、例えば、前記樹脂組成物に含有される前記ポリ乳酸樹脂の含有量を100質量部としたときに5.0質量部未満となる割合で前記樹脂組成物に含有させ得る。
前記結晶化促進剤は、4.0質量部以下の割合で前記樹脂組成物に含有されることが好ましく、3.5質量部以下の割合で前記樹脂組成物に含有されることがより好ましい。
【0079】
前記添加剤として前記樹脂組成物に含有させ得る成分としては、例えば、滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤、無機充填剤等が挙げられる。
また、前記樹脂組成物には、これら以外の添加剤も適宜含有させ得る。
尚、本発明は、これまでに述べた例示には何等限定されるものではなく、上記例示に適宜変更を加え得るものである。
【実施例】
【0080】
以下に、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが本発明は以下の例示にも何等限定されるものではない。
【0081】
(実施例1)
生分解性ポリエステル系樹脂(PTT MCC Biochem社製、商品名「BioPBS FZ91PM」)100質量部と、気泡調整剤(松村産業(株)製「クラウンタルク」)1.0質量部とをドライブレンドして、生分解性樹脂発泡シートを作製するための樹脂組成物を調製した。
口径φ50mmの第1押出機(上流側)及び口径φ65mmの第2押出機(下流側)を備えたタンデム押出機において、口径φ50mmの第1の押出機に、得られた樹脂組成物をホッパーを通じて供給し、加熱溶融させた。
その後、発泡剤としてイソブタン0.8質量%を第1押出機に圧入し、前記樹脂組成物とともに溶融混練させた。
次いで、この溶融混練によって得られた溶融状態の樹脂組成物を口径65mmの第2の押出機に移送して押出発泡に適した温度に均一に冷却した後、口径70mmのサーキュラーダイから吐出量30kg/hで押出発泡させて、円筒状の筒状発泡シートを得た。
得られた筒状発泡シートを内部が約20℃の水で冷却されているφ206mmのマンドレル上を沿わせ、またその外面をその径よりも大きいエアリングによりエアーを吹き付けることにより冷却成形し、円周上の1点でカッターにより切開して、帯状の生分解性樹脂発泡シートを得た。
また、吐出口から吐出されて5秒経過した位置における筒状発泡シートの外表面の温度は68.7℃であった。
【0082】
(実施例2)
生分解性樹脂発泡シート製造方法において、吐出量を37kg/hとした以外、実施例1と同様の方法で発泡シートを作製した。
なお、吐出口から吐出されて5秒経過した位置における筒状発泡シートの外表面の温度は68℃であった。
【0083】
(比較例1)
生分解性樹脂発泡シート製造方法において、筒状発泡シート表面温度(吐出口から吐出されて5秒経過した位置における温度)を80.7℃とし、発泡剤量を1.0質量%とした以外は実施例1と同様の方法で生分解性樹脂発泡シートを作製した。
【0084】
(比較例2)
生分解性樹脂発泡シート製造方法において、筒状発泡シート表面温度(吐出口から吐出されて5秒経過した位置における温度)を76.8℃とした以外は実施例1と同様の方法で生分解性樹脂発泡シートを作製した。
【0085】
<成形性評価>
生分解性樹脂発泡シートを熱成形して、容器内底部のもっとも深い部分から、容器開口部までの高さ4.9cm、容器開口部の内側の直径15.7cm、容器底部の内側の直径底面口径14.5cmの丼形状の容器を作製した。
上記容器底面の厚みと側壁の厚みをそれぞれ測定し、その差を確認した。
成形性の判断は下記の通り行った。
○:底面と側壁の肉厚の差が30%以内の差に収まっている
×:底面と側壁の肉厚の差が30%以上の差となっている
以上の評価結果を表1に示す。
【0086】
【表1】
【0087】
上記のようなことからも本発明によれば所定の形状を保持し易い樹脂成形品が得られることがわかる。