特開2020-163940(P2020-163940A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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  • 特開2020163940-空気入りタイヤ 図000007
  • 特開2020163940-空気入りタイヤ 図000008
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-163940(P2020-163940A)
(43)【公開日】2020年10月8日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 15/06 20060101AFI20200911BHJP
   B60C 13/00 20060101ALI20200911BHJP
【FI】
   B60C15/06 C
   B60C15/06 B
   B60C13/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-64944(P2019-64944)
(22)【出願日】2019年3月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木出嵜 崇司
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BA01
3D131BA05
3D131BB01
3D131BC02
3D131BC13
3D131CA03
3D131GA19
3D131HA33
3D131HA38
(57)【要約】
【課題】乾燥路面での操縦安定性能を向上させつつ転がり性能を向上させることができる空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】空気入りタイヤ10は、トレッド部1の両側にそれぞれ配置されたサイドウォール部2と、各サイドウォール部2のタイヤ径方向内側にそれぞれ配置されたビード部3と、トレッド部1からサイドウォール部2を介してビード部3に至りビード部3にて端部がタイヤ幅方向外側に折り返されたカーカス層4と、カーカス層4がビードコア5の位置でタイヤ幅方向外側に折り返されることにより形成された空間に配置されたビードフィラー6と、ビードフィラー6のタイヤ幅方向外側に配置されたリムクッションゴム11と、を備え、リム径の測定点を基準とするビードフィラー6の高さHfとリムクッションゴム11の高さHrとタイヤ断面高さSHとが、Hf<Hr<SH×0.5の関係を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド部と、
前記トレッド部の両側にそれぞれ配置されたサイドウォール部と、
各前記サイドウォール部のタイヤ径方向内側にそれぞれ配置されたビード部と、
前記トレッド部からサイドウォール部を介して前記ビード部に至り前記ビード部にて端部がタイヤ幅方向外側に折り返されたカーカス層と、
前記カーカス層がビードコアの位置でタイヤ幅方向外側に折り返されることにより形成された空間に配置されたビードフィラーと、
前記ビードフィラーのタイヤ幅方向外側に配置されたリムクッションゴムと、
を備え、
リム径の測定点を基準とする前記ビードフィラーの高さHfと前記リムクッションゴムの高さHrとタイヤ断面高さSHとが、Hf<Hr<SH×0.5の関係を有する空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記リムクッションゴムの高さHrの90%の位置において、前記サイドウォール部のゴム厚さGs_90%と、前記リムクッションゴムの厚さGr_90%との関係がGr_90%<Gs_90%であり、かつ、前記リムクッションゴムの高さHrの10%の位置において、前記サイドウォール部のゴム厚さGs_10%と、前記リムクッションゴムの厚さGr_10%との関係がGr_10%>Gs_10%である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記ビードフィラーの高さHfと前記タイヤ断面高さSHとの比Hf/SHが0.2以上0.4以下である請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記リムクッションゴムの高さHrと前記ビードフィラーの高さHfとの比Hr/Hfが1.2以上3.5以下である請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記ビードコアのタイヤ径方向外側端の位置を基準とする前記ビードフィラーの高さHfaと前記タイヤ断面高さSHとの比Hfa/SHが0.10以上0.35以下である請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記サイドウォール部のゴムのタイヤ径方向内側端の位置を位置Psとし、前記リムクッションゴムのタイヤ径方向外側端の位置を位置Prとし、前記位置Psから前記位置Prまでのタイヤ径方向に沿った高さHfrの25%の高さ0.25Hfrの位置から、位置Prまでの範囲は、前記リムクッションゴムの厚みが薄い薄肉領域と定義した場合に、
前記薄肉領域においては、前記サイドウォール部のゴム厚さGsに対する、前記リムクッションゴムのゴム厚さGrとの比Gr/Gsが0.15以上0.60以下である請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
前記リムクッションゴムの高さHrの90%の位置における前記サイドウォール部のゴム厚さGs_90%に対する、前記高さ0.25Hfrの位置における前記サイドウォール部のゴム厚さGs_25%の比(Gs_25%/Gs_90%)は、0.8以上1.2以下である請求項6に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤの重量を軽減してもビード部の耐久性を維持するようにした空気入りタイヤが特許文献1に開示されている。特許文献1に開示の空気入りタイヤは、ビードフィラーのタイヤ幅方向外側にアブレージョンゴム(リムクッションゴム)を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−286211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の空気入りタイヤについては、乾燥路面での操縦安定性能および転がり性能を向上させる点について改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は乾燥路面での操縦安定性能を向上させつつ転がり性能を向上させることができる空気入りタイヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のある態様による空気入りタイヤは、トレッド部と、前記トレッド部の両側にそれぞれ配置されたサイドウォール部と、各前記サイドウォール部のタイヤ径方向内側にそれぞれ配置されたビード部と、前記トレッド部からサイドウォール部を介して前記ビード部に至り前記ビード部にて端部がタイヤ幅方向外側に折り返されたカーカス層と、前記カーカス層がビードコアの位置でタイヤ幅方向外側に折り返されることにより形成された空間に配置されたビードフィラーと、前記ビードフィラーのタイヤ幅方向外側に配置されたリムクッションゴムと、を備え、リム径の測定点を基準とする前記ビードフィラーの高さHfと前記リムクッションゴムの高さHrとタイヤ断面高さSHとが、Hf<Hr<SH×0.5の関係を有する空気入りタイヤである。
【0007】
前記リムクッションゴムの高さHrの90%の位置において、前記サイドウォール部のゴム厚さGs_90%と、前記リムクッションゴムの厚さGr_90%との関係がGr_90%<Gs_90%であり、かつ、前記リムクッションゴムの高さHrの10%の位置において、前記サイドウォール部のゴム厚さGs_10%と、前記リムクッションゴムの厚さGr_10%との関係がGr_10%>Gs_10%であることが好ましい。
【0008】
前記ビードフィラーの高さHfと前記タイヤ断面高さSHとの比Hf/SHが0.2以上0.4以下であることが好ましい。
【0009】
前記リムクッションゴムの高さHrと前記ビードフィラーの高さHfとの比Hr/Hfが1.2以上3.5以下であることが好ましい。
【0010】
前記ビードコアのタイヤ径方向外側端の位置を基準とする前記ビードフィラーの高さHfaと前記タイヤ断面高さSHとの比Hfa/SHが0.10以上0.35以下であることが好ましい。
【0011】
前記サイドウォール部のゴムのタイヤ径方向内側端の位置を位置Psとし、前記リムクッションゴムのタイヤ径方向外側端の位置を位置Prとし、前記位置Psから前記位置Prまでのタイヤ径方向に沿った高さHfrの25%の高さ0.25Hfrの位置から、位置Prまでの範囲は、前記リムクッションゴムの厚みが薄い薄肉領域と定義した場合に、前記薄肉領域においては、前記サイドウォール部のゴム厚さGsに対する、前記リムクッションゴムのゴム厚さGrとの比Gr/Gsが0.15以上0.60以下であることが好ましい。
【0012】
前記リムクッションゴムの高さHrの90%の位置における前記サイドウォール部のゴム厚さGs_90%に対する、前記高さ0.25Hfrの位置における前記サイドウォール部のゴム厚さGs_25%の比(Gs_25%/Gs_90%)は、0.8以上1.2以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、乾燥路面での操縦安定性能を向上させつつ転がり性能を向上させることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。
図2図2は、図1の空気入りタイヤのビード部の付近を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の各実施形態の説明において、他の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。各実施形態により本発明が限定されるものではない。また、各実施形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。この実施形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。また、発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0016】
[空気入りタイヤ]
図1は、本発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。図1は、タイヤ径方向の片側領域の断面図を示している。また、図1は、空気入りタイヤの一例として、乗用車用ラジアルタイヤを示している。
【0017】
以下の説明において、タイヤ径方向とは、空気入りタイヤ10の回転軸(図示せず)と直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向において回転軸に向かう側、タイヤ径方向外側とはタイヤ径方向において回転軸から離れる側をいう。また、タイヤ周方向とは、上記回転軸を中心軸とする周り方向をいう。また、タイヤ幅方向とは、上記回転軸と平行な方向をいう。タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLに向かう側、タイヤ幅方向外側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから離れる側をいう。タイヤ赤道面CLとは、空気入りタイヤ10の回転軸に直交するとともに、空気入りタイヤ10のタイヤ幅の中心を通る平面である。タイヤ幅は、タイヤ幅方向の外側に位置する部分同士のタイヤ幅方向における幅、つまり、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから最も離れている部分間の距離である。タイヤ赤道線とは、タイヤ赤道面CL上にあって空気入りタイヤ10のタイヤ周方向に沿う線をいう。本実施形態では、タイヤ赤道線にタイヤ赤道面と同じ符号「CL」を付す。
【0018】
同図において、タイヤ子午線方向の断面とは、タイヤ回転軸(図示省略)を含む平面でタイヤを切断したときの断面をいう。また、符号CLは、タイヤ赤道面であり、タイヤ回転軸方向にかかるタイヤの中心点を通りタイヤ回転軸に垂直な平面をいう。また、タイヤ幅方向とは、タイヤ回転軸に平行な方向をいい、タイヤ径方向とは、タイヤ回転軸に垂直な方向をいう。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤ10は、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、トレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2、2と、これらサイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3、3とを備えている。
【0020】
一対のビード部3、3間にはカーカス層4が装架されている。このカーカス層4は、タイヤ径方向に延びる複数本の補強コードを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りにタイヤ幅方向内側から外側へ折り返されている。つまり、カーカス層4の端部は、トレッド部1からサイドウォール部2を介してビード部3に至り、ビード部3にてタイヤ幅方向外側に折り返されている。
【0021】
ビード部3のビードコア5の外周上には断面三角形状のゴム組成物からなるビードフィラー6が配置されている。ビードフィラー6は、カーカス層4がビードコア5の位置でタイヤ幅方向外側に折り返されることにより形成された空間に配置されている。ビードフィラー6のタイヤ幅方向外側には、リムクッションゴム11が配置されている。リムクッションゴム11は、リムフランジに対するビード部3の接触面を構成する。さらに、ビード部3にはチェーファー12が配置されている。チェーファー12は、ビード部3のタイヤ幅方向内側の内腔側からビードトウ13を経てリム(図示せず)との接触面を覆い、リムとの摩擦からこれらを保護する補強層である。
【0022】
一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層のベルト層7が埋設されている。これらベルト層7はタイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。ベルト層7において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10度〜40度の範囲に設定されている。ベルト層7の補強コードとしては、スチールコードが好ましく使用される。ベルト層7の外周側には、高速耐久性の向上を目的として、補強コードをタイヤ周方向に対して例えば5度以下の角度で配列してなる少なくとも1層のベルトカバー層8が配置されている。ベルトカバー層8の補強コードとしては、ナイロンやアラミド等の有機繊維コードが好ましく使用される。
【0023】
なお、上述したタイヤ内部構造は空気入りタイヤにおける代表的な例を示すものであるが、これに限定されるものではない。
【0024】
[ビード部]
図2は、図1の空気入りタイヤのビード部3の付近を拡大して示す図である。図2において、リム径の測定点を基準とするビードフィラー6の高さHfと、リム径の測定点を基準とするリムクッションゴム11の高さHrと、タイヤ断面高さSHとが、Hf<Hr<SH×0.5の関係を有することが好ましい。リムクッションゴム11がビードフィラー6の高さHfより高い位置にあることにより、サイドウォール部2の周剛性向上による操縦安定性の向上が期待できる。また、一般的にサイドゴムより発熱の高いリムクッションゴム11の高さがタイヤ断面高さSHの50%未満であることにより、転がり抵抗性能の悪化を抑制できる。
【0025】
ここで、タイヤ断面高さSHは、タイヤ外径とリム径との差の1/2の距離であり、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に無負荷状態として測定される。規定リムとは、JATMAに規定される「適用リム」、TRAに規定される「Design Rim」、あるいはETRTOに規定される「Measuring Rim」をいう。また、規定内圧とは、JATMAに規定される「最高空気圧」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「INFLATION PRESSURES」をいう。また、規定荷重とは、JATMAに規定される「最大負荷能力」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「LOAD CAPACITY」をいう。ただし、JATMAにおいて、乗用車用タイヤの場合には、規定内圧が空気圧180[kPa]であり、規定荷重が最大負荷能力の88[%]である。
【0026】
また、リム径の測定点を基準とするリムクッションゴム11の高さHrの90%の位置(0.9Hr)において、サイドウォール部2のゴム厚さGs_90%と、リムクッションゴム11の厚さGr_90%との関係がGr_90%<Gs_90%であることが好ましい。さらに、リム径の測定点を基準とするリムクッションゴム11の高さHrの10%の位置(0.1Hr)において、サイドウォール部2のゴム厚さGs_10%と、リムクッションゴム11の厚さGr_10%との関係がGr_10%>Gs_10%であることが好ましい。これらの関係を満たすことにより、リムクッションゴム11の上端部が細長く延在し、転がり抵抗性能の悪化を抑制できる。
【0027】
ビードフィラー6の高さHfとタイヤ断面高さSHとの比Hf/SHが0.2以上0.4以下であることが好ましい。比Hr/SHが0.2未満の場合、サイドウォール部2の剛性が不十分であり、操縦安定性の悪化が懸念されるため、好ましくない。比Hr/SHが0.4を超える場合、転がり抵抗の悪化が懸念されるため、好ましくない。比Hf/SHは、0.25以上0.35以下であることがより好ましい。
【0028】
リムクッションゴム11の高さHrとビードフィラー6の高さHfとの比Hr/Hfが1.2以上3.5以下であることが好ましい。比Hr/Hfが1.2未満の場合、サイドウォール部2の剛性向上の効果が不十分であるため、好ましくない。比Hr/Hfが3.5を超える場合、Hf<Hr<SH×0.5の関係を満たさず、比Hf/SHが0.2以上0.4以下の関係を満たさない。比Hr/Hfは、1.5以上3.0以下であることがより好ましい。
【0029】
さらに、ビードコア5のタイヤ径方向外側端の位置を基準とするビードフィラーの高さHfaとタイヤ断面高さSHとの比Hfa/SHが0.10以上0.35以下であることが好ましい。比Hfa/SHが0.10未満の場合、サイドウォール部2の剛性が不十分であり、操縦安定性の悪化が懸念されるため、好ましくない。比Hfa/SHが0.35を超える場合、転がり抵抗の悪化が懸念されるため、好ましくない。
【0030】
ここで、リムクッションゴム11のタイヤ径方向内側端(下端)の位置をPdとする。位置Pdは、ビードコア5の重心PGよりもタイヤ幅方向外側かつタイヤ径方向内側の領域にあることが好ましい。すなわち、図2において、重心PGからタイヤ径方向内側に延びる仮想線L1と、重心PGからタイヤ幅方向外側に延びる仮想線L2との間の範囲内に、位置Pdが存在していることが好ましい。
【0031】
[薄肉領域]
サイドウォール部2のゴムのタイヤ径方向内側端(下端)の位置を位置Psとする。また、リムクッションゴム11のタイヤ径方向外側端(上端)の位置を位置Prとする。位置Psから位置Prまでのタイヤ径方向に沿った高さHfrの25%の高さ0.25Hfrの位置から、位置Prまでの範囲は、リムクッションゴム11の厚みが薄い領域(以下、薄肉領域と呼ぶ)である。薄肉領域は、リムクッションゴム11の上端側(タイヤ径方向外側)の領域である。
【0032】
薄肉領域においては、カーカス層4の外面からサイドウォール部2の外面までの幅のうち、サイドウォール部2のゴム厚さGsに対する、リムクッションゴム11のゴム厚さGrとの比Gr/Gsが0.15以上0.60以下であることが好ましい。比Gr/Gsがこの範囲の値であれば、発熱しやすいリムクッションゴム11を薄くすることができ、空気入りタイヤ10の熱耐久性を高めることができる。
【0033】
また、リムクッションゴム11の高さHrの90%の位置におけるサイドウォール部2のゴム厚さGs_90%に対する、高さ0.25Hfrの位置におけるサイドウォール部2のゴム厚さGs_25%の比(Gs_25%/Gs_90%)は、0.8以上1.2以下であることが好ましい。
【0034】
なお、リムクッションゴム11の高さHrの90%の位置におけるサイドウォール部2のゴム厚さGs_90%は、1.0[mm]以上4.0[mm]以下であることが好ましい。リムクッションゴム11の高さ0.25Hfrの位置におけるサイドウォール部2のゴム厚さGs_25%は、1.0[mm]以上4.0[mm]以下であることが好ましい。
【0035】
[各ゴムの物性]
リムクッションゴム11の硬度Krは、65以上75以下であることが好ましい。リムクッションゴム11の硬度Krと、サイドウォール部2のゴムの硬度Ksとの差Kr−Ksが1以上20以下であることが好ましい。硬度Krと硬度Ksとの差Kr−Ksが1未満である場合、サイドウォール部の剛性の向上が不十分であるため、好ましくない。硬度Krと硬度Ksとの差Kr−Ksが20を超える場合、サイドウォール部2のゴムとリムクッションゴム11との硬度の差が大きくなりすぎ、荷重耐久性能が低下するため、好ましくない。
【0036】
ビードフィラー6のゴムの硬度Kfとリムクッションゴム11の硬度Krとの差Kf−Krが1以上30以下であることが好ましい。
【0037】
ビード部3のビードトウ13のゴムの硬度Ktは、60以上80以下であることが好ましい。ビードフィラー6のゴムの硬度Kfは、60以上100以下であることが好ましい。
【0038】
なお、上記における各硬度はJIS−A硬さであり、JIS K−6253に準拠して、Aタイプのデュロメータを用いて温度20℃の条件にて測定されるデュロメータ硬さである。
【0039】
サイドウォール部2のゴムの60℃におけるtanδの値Tsと、リムクッションゴム11の60℃におけるtanδの値Trとを比較すると、値Trよりも値Tsの方が小さいことが好ましい。上記の関係を満たすことで走行時の転がり抵抗の悪化を抑制することができる。
【0040】
リムクッションゴム11の60℃におけるtanδの値Trと、ビードフィラー6のゴムの60℃におけるtanδの値Tfとを比較すると、値Trよりも値Tfの方が大きいことが好ましい。上記の関係を満たすことで走行時の転がり抵抗の悪化を抑制することができる。
【0041】
サイドウォール部2のゴムの60℃におけるtanδの値Tsと、ビードフィラー6のゴムの60℃におけるtanδの値Tfとを比較すると、値Tsよりも値Tfの方が大きいことが好ましい。上記の関係を満たすことで走行時の転がり抵抗の悪化を抑制することができる。
【0042】
なお、上記におけるtanδは、JIS−K6394に準拠して、粘弾性スペクトロメーター(東洋精機製作所製)を用い、周波数20Hz、初期歪み10%、動歪み±2%、温度60℃の条件にて測定されるものである。
【0043】
[実施例]
表1から表4は、本発明にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す表である。この性能試験では、相互に異なる空気入りタイヤについて、本実施例では、条件が異なる複数種類の空気入りタイヤについて、乾燥路面での操縦安定性能(ドライ操縦安定性能)および転がり抵抗性能に関する評価が行われた。これらの性能試験では、タイヤサイズ155/65R14 75S(タイヤ断面高さSH=100mm)の空気入りタイヤ(試験タイヤ)を、14×4.5Jの正規リムに組み付け、全輪に正規内圧(240kPa)を充填し、排気量660ccの軽自動車(試験車両)に装着した。
【0044】
ドライ操縦安定性能に関する試験は、試験車両が平坦な周回路を有するドライ路面のテストコースを60[km/h]〜100[km/h]で走行して行った。そして、テストドライバーがレーチェンジ時およびコーナリング時における操舵性ならびに直進時における安定性について官能評価を行った。この評価は従来例を基準(100)とした指数評価により行われ、その数値が大きいほど好ましい。
【0045】
転がり抵抗に関する試験は、室内のドラム試験機(ドラム径:1707mm)を使用し、ISO28580に準拠し荷重4.8kN、速度80km/hの条件における転がり抵抗係数を算出した。その結果を、後述する従来例の転がり抵抗係数の逆数を基準(100)とする指数で示した。この指数が大きいほど転がり抵抗が低いことを示している。
【0046】
実施例1から実施例22の空気入りタイヤは、リム径の測定点を基準とするビードフィラーの高さHfとリムクッションゴムの高さHrとタイヤ断面高さSHとが、Hf<Hr<SH×0.5の関係を有する空気入りタイヤである。
【0047】
従来例の空気入りタイヤは、リムクッシヨンゴムの高さHrが30[mm]、ビードフィラーの高さHfが45[mm]で、Hf<Hr<SH×0.5の関係を有し、高さHr×90%位置においてGr<Gsで、かつ、高さHr×10%位置においてGr>Gsであり、比Hf/SHが0.45、比Hr/Hfが0.7、比Hfa/SHが0.4のタイヤである。
【0048】
また、比較のため、比較例1、比較例2の空気入りタイヤを用意した。比較例1の空気入りタイヤは、リムクッシヨンゴムの高さHrが40[mm]、ビードフィラーの高さHfが45[mm]で、Hf<Hr<SH×0.5の関係を有し、高さHr×90%位置においてGr<Gsで、かつ、高さHr×10%位置においてGr>Gsであり、比Hf/SHが0.45、比Hr/Hfが0.9、比Hfa/SHが0.4のタイヤである。比較例2の空気入りタイヤは、リムクッシヨンゴムの高さHrが40[mm]、ビードフィラーの高さHfが45[mm]で、Hf<Hr<SH×0.5の関係を有し、高さHr×90%位置においてGr=Gsで、かつ、高さHr×10%位置においてGr>Gsであり、比Hf/SHが0.45、比Hr/Hfが0.9、比Hfa/SHが0.4のタイヤである。
【0049】
これらの空気入りタイヤについて、上記の評価方法により、ドライ操縦安定性能および転がり抵抗性能を評価し、その結果を表1から表4に併せて示した。
【0050】
表1から表4に示すように、Hf<Hr<SH×0.5の関係を有する場合、高さHrの90%の位置においてGr<Gsかつ高さHrの10%の位置においてGr>Gsである場合、ビードフィラーの高さHfとタイヤ断面高さSHとの比Hf/SHが0.2以上0.4以下である場合、リムクッションゴムの高さHrとビードフィラーの高さHfとの比Hr/Hfが1.5以上3.5以下である場合、ビードフィラーの高さHfaとタイヤ断面高さSHとの比Hfa/SHが0.10以上0.35である場合、薄肉領域において、比Gr/Gsが0.15以上0.60以下である場合、比(Gs_25%/Gs_90%)は、0.8以上1.2以下である場合に、ドライ操縦安定性能および転がり抵抗性能について良好な結果が得られた。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【符号の説明】
【0055】
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 ベルトカバー層
10 タイヤ
11 リムクッションゴム
12 チェーファー
13 ビードトウ
CL タイヤ赤道面
PG 重心
図1
図2