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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-164224(P2020-164224A)
(43)【公開日】2020年10月8日
(54)【発明の名称】取出方法及び取出装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 43/18 20060101AFI20200911BHJP
【FI】
   B65B43/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2019-68819(P2019-68819)
(22)【出願日】2019年3月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000222727
【氏名又は名称】東洋自動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】吉兼 徹
【テーマコード(参考)】
3E030
【Fターム(参考)】
3E030AA04
3E030BA02
3E030BB02
3E030BC02
3E030CB01
3E030CC02
3E030DA02
3E030GA05
(57)【要約】
【課題】お互いに積み重ねられている複数のシート状部材から、迅速に、1枚ずつシート状部材を取り出すことができる取出方法及び取出装置を提供する。
【解決手段】最外位置シート状部材B1を複数の保持部11により保持しつつ、最外位置シート状部材B1の少なくとも一部を他のシート状部材B2から離した状態で複数の保持部11を回転させて、最外位置シート状部材B1の少なくとも一部が複数の保持部11間のスペースに配置され且つ各保持部11と他のシート状部材B2との間に最外位置シート状部材B1が配置されないように、最外位置シート状部材B1を曲げる。各保持部11と他のシート状部材B2との間に最外位置シート状部材B1が配置されていない状態で、複数の保持部11から最外位置シート状部材B1をリリースする。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
お互いに積み重ねられている複数のシート状部材のうち、最も外側に位置する最外位置シート状部材の露出面に複数の保持部を接触させつつ、前記最外位置シート状部材を前記複数の保持部によって保持する工程と、
前記最外位置シート状部材を前記複数の保持部により保持しつつ、前記最外位置シート状部材の少なくとも一部を隣接する他のシート状部材から離す工程と、
前記最外位置シート状部材を前記複数の保持部により保持しつつ、前記最外位置シート状部材の少なくとも一部を前記他のシート状部材から離した状態で前記複数の保持部を回転させて、前記最外位置シート状部材の少なくとも一部が前記複数の保持部間のスペースに配置され且つ前記複数の保持部の各々と前記他のシート状部材との間に前記最外位置シート状部材が配置されないように、前記最外位置シート状部材を曲げる工程と、
前記複数の保持部の各々と前記他のシート状部材との間に前記最外位置シート状部材が配置されていない状態で、前記複数の保持部から前記最外位置シート状部材をリリースする工程と、を備える取出方法。
【請求項2】
前記最外位置シート状部材を前記複数の保持部によって保持させる際、前記最外位置シート状部材の前記露出面が拡げられる方向に前記複数の保持部を移動させつつ、前記露出面に前記複数の保持部を接触させる請求項1に記載の取出方法。
【請求項3】
お互いに積み重ねられた複数のシート状部材が収容される収容部と、
前記複数のシート状部材のうち前記収容部において最も外側に位置する最外位置シート状部材の露出面に接触しつつ前記最外位置シート状部材を保持することができる複数の保持部であって、それぞれが回転可能に設けられている複数の保持部と、
前記複数の保持部の各々を回転させる回転駆動部と、
前記複数の保持部の各々を移動させる移動駆動部と、を備え、
前記複数の保持部は、
前記移動駆動部により移動させられて前記収容部に収容されている前記最外位置シート状部材の前記露出面に接触させられ、
前記最外位置シート状部材の前記露出面に接触しつつ前記最外位置シート状部材を保持し、
前記最外位置シート状部材を保持しつつ、前記移動駆動部により移動させられて前記最外位置シート状部材の少なくとも一部を隣接する他のシート状部材から離し、
前記最外位置シート状部材を保持しつつ前記最外位置シート状部材の少なくとも一部を前記他のシート状部材から離した状態で前記回転駆動部により回転させられて、前記最外位置シート状部材の少なくとも一部が前記複数の保持部間のスペースに配置され且つ前記複数の保持部の各々と他のシート状部材との間に前記最外位置シート状部材が配置されないように前記最外位置シート状部材を曲げ、
前記複数の保持部の各々と前記他のシート状部材との間に前記最外位置シート状部材が配置されていない状態で前記最外位置シート状部材をリリースする取出装置。
【請求項4】
前記複数のシート状部材は、鉛直方向と平行な方向に積み重ねられた状態で前記収容部に収容されている請求項3に記載の取出装置。
【請求項5】
前記最外位置シート状部材は、前記複数のシート状部材のうち前記収容部において最も下方に位置するシート状部材である請求項4に記載の取出装置。
【請求項6】
前記収容部は、前記収容部における前記最外位置シート状部材に接触する4つの接触支持部を有し、
前記4つの接触支持部のうちの2つの接触支持部は、相互間の距離が第1距離となる位置に配置され、前記収容部における前記最外位置シート状部材の前記露出面のうちの対角位置に配置される2つの領域にそれぞれ接触し、
前記4つの接触支持部のうちの他の2つの接触支持部は、相互間の距離が前記第1距離よりも小さい第2距離となる位置に配置され、前記収容部における前記最外位置シート状部材の前記露出面のうちの他の対角位置に配置される2つの領域にそれぞれ接触する請求項3〜5のいずれか一項に記載の取出装置。
【請求項7】
前記複数の保持部からリリースされた前記最外位置シート状部材を受け取って移送する移送装置を更に備え、
前記複数の保持部は、前記移送装置の上方において、前記最外位置シート状部材をリリースする請求項3〜6のいずれか一項に記載の取出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状部材を取り出すための取出方法及び取出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空袋等のシート状部材を複数積み重ねてマガジンに収容しておき、マガジンからシート状部材を1枚ずつ取り出して、取り出されたシート状部材を包装処理システム等の後段に設けられる装置に向けて送り出すシステムが知られている。
【0003】
典型的には、お互いに積み重ねられている複数のシート状部材のうち最も外側に位置するシート状部材が、吸盤により吸引保持された状態で吸盤とともに移動させられることによって、シート状部材を1枚ずつ取り出すことができる。例えば特許文献1が開示する装置では、高さ方向に積み重ねられた複数の袋のうち最も下方に位置する袋が、吸着パッド(すなわち吸盤)により吸引保持されて取り出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−80606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように吸盤を使って、お互いに積み重ねられている複数のシート状部材から1枚ずつシート状部材を取り出す場合、取り出されたシート状部材が吸盤から他の装置に受け渡され且つ当該他の装置によって後段に移送された後でなければ、吸盤が次のシート状部材を取り出すための動作を行うことができない場合がある。すなわち取り出されたシート状部材が吸盤から他の装置に受け渡された後であっても、受け渡されたシート状部材が吸盤と次に取り出されるべきシート状部材との間に存在している間は、吸盤は次のシート状部材を取り出すための動作を行うことが難しい。そのような場合、吸盤は、シート状部材を他の装置に受け渡した後も、しばらくの間待機する必要がある。
【0006】
例えば特許文献1が開示する装置では、マガジンに収容されている複数の袋のうち最下位置の袋が、吸着パッドにより吸引保持されて分離され、その後、吸着パッドから袋吸着部に受け渡される。吸着パッドは、袋を袋吸着部に受け渡した後も、当該袋が吸着パッドとマガジンに収容されている次の袋との間に介在している間は、次の袋を取り出すための動作を行うことが難しく、待機する必要がある。
【0007】
上述のような吸盤の待機時間は、システム全体の生産性の向上を阻害しうるボトルネックとなる。
【0008】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、お互いに積み重ねられている複数のシート状部材から、迅速に、1枚ずつシート状部材を取り出すことができる装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、お互いに積み重ねられている複数のシート状部材のうち、最も外側に位置する最外位置シート状部材の露出面に複数の保持部を接触させつつ、最外位置シート状部材を複数の保持部によって保持する工程と、最外位置シート状部材を複数の保持部により保持しつつ、最外位置シート状部材の少なくとも一部を隣接する他のシート状部材から離す工程と、最外位置シート状部材を複数の保持部により保持しつつ、最外位置シート状部材の少なくとも一部を他のシート状部材から離した状態で複数の保持部を回転させて、最外位置シート状部材の少なくとも一部が複数の保持部間のスペースに配置され且つ複数の保持部の各々と他のシート状部材との間に最外位置シート状部材が配置されないように、最外位置シート状部材を曲げる工程と、複数の保持部の各々と他のシート状部材との間に最外位置シート状部材が配置されていない状態で、複数の保持部から最外位置シート状部材をリリースする工程と、を備える取出方法に関する。
【0010】
最外位置シート状部材を複数の保持部によって保持させる際、最外位置シート状部材の露出面が拡げられる方向に複数の保持部を移動させつつ、露出面に複数の保持部を接触させてもよい。
【0011】
本発明の他の態様は、お互いに積み重ねられた複数のシート状部材が収容される収容部と、複数のシート状部材のうち収容部において最も外側に位置する最外位置シート状部材の露出面に接触しつつ最外位置シート状部材を保持することができる複数の保持部であって、それぞれが回転可能に設けられている複数の保持部と、複数の保持部の各々を回転させる回転駆動部と、複数の保持部の各々を移動させる移動駆動部と、を備え、複数の保持部は、移動駆動部により移動させられて収容部に収容されている最外位置シート状部材の露出面に接触させられ、最外位置シート状部材の露出面に接触しつつ最外位置シート状部材を保持し、最外位置シート状部材を保持しつつ、移動駆動部により移動させられて最外位置シート状部材の少なくとも一部を隣接する他のシート状部材から離し、最外位置シート状部材を保持しつつ最外位置シート状部材の少なくとも一部を他のシート状部材から離した状態で回転駆動部により回転させられて、最外位置シート状部材の少なくとも一部が複数の保持部間のスペースに配置され且つ複数の保持部の各々と他のシート状部材との間に最外位置シート状部材が配置されないように最外位置シート状部材を曲げ、複数の保持部の各々と他のシート状部材との間に最外位置シート状部材が配置されていない状態で最外位置シート状部材をリリースする取出装置に関する。
【0012】
複数のシート状部材は、鉛直方向と平行な方向に積み重ねられた状態で収容部に収容されていてもよい。
【0013】
最外位置シート状部材は、複数のシート状部材のうち収容部において最も下方に位置するシート状部材であってもよい。
【0014】
収容部は、収容部における最外位置シート状部材に接触する4つの接触支持部を有し、4つの接触支持部のうちの2つの接触支持部は、相互間の距離が第1距離となる位置に配置され、収容部における最外位置シート状部材の露出面のうちの対角位置に配置される2つの領域にそれぞれ接触し、4つの接触支持部のうちの他の2つの接触支持部は、相互間の距離が第1距離よりも小さい第2距離となる位置に配置され、収容部における最外位置シート状部材の露出面のうちの他の対角位置に配置される2つの領域にそれぞれ接触してもよい。
【0015】
取出装置は、複数の保持部からリリースされた最外位置シート状部材を受け取って移送する移送装置を更に備え、複数の保持部は、移送装置の上方において、最外位置シート状部材をリリースしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、お互いに積み重ねられている複数のシート状部材から、迅速に、1枚ずつシート状部材を取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、第1実施形態に係る取出装置(特に正面構造を示す図)を示す概略図である。
図2図2は、第1実施形態に係る取出装置(特に側方構造を示す図)を示す概略図である。
図3図3は、第1実施形態に係る取出方法を説明するための概略図(特に正面構造を示す図)である。
図4図4は、第1実施形態に係る取出方法を説明するための概略図(特に正面構造を示す図)である。
図5図5は、第1実施形態に係る取出方法を説明するための概略図(特に正面構造を示す図)である。
図6図6は、第1実施形態に係る取出方法を説明するための概略図(特に正面構造を示す図)である。
図7図7は、第1実施形態に係る取出方法を説明するための概略図(特に正面構造を示す図)である。
図8図8は、図1図6に示す取出装置及び取出方法とは異なる方式を採用する取出装置及び取出方法を説明するための概略図である。
図9図9は、図1図6に示す取出装置及び取出方法とは異なる方式を採用する取出装置及び取出方法を説明するための概略図である。
図10図10は、図1図6に示す取出装置及び取出方法とは異なる方式を採用する取出装置及び取出方法を説明するための概略図である。
図11図11は、第2実施形態に係る取出方法を説明するための概略図(特に正面構造を示す図)である。
図12図12は、第2実施形態に係る取出方法を説明するための概略図(特に正面構造を示す図)である。
図13図13は、第2実施形態に係る取出方法を説明するための概略図(特に正面構造を示す図)である。
図14図14は、第2実施形態に係る取出方法を説明するための概略図(特に正面構造を示す図)である。
図15図15は、第2実施形態に係る取出方法を説明するための概略図(特に正面構造を示す図)である。
図16図16は、第2実施形態に係る取出方法を説明するための概略図(特に正面構造を示す図)である。
図17図17は、第3実施形態に係る取出方法を説明するための概略図(特に正面構造を示す図)である。
図18図18は、第3実施形態に係る取出方法を説明するための概略図(特に正面構造を示す図)である。
図19図19は、第3実施形態に係る取出方法を説明するための概略図(特に正面構造を示す図)である。
図20図20は、第1変形例に係る収容部の概略図(特に平面構造を示す図)である。
図21図21は、第1変形例を説明するための袋の平面図である。
図22図22は、第2変形例に係る取出装置の一例(特に1つの保持部の移動の一例)を説明するための概略図(特に側方構造を示す図)である。
図23図23は、第2変形例に係る取出装置の他の例(特に1つの保持部の移動の他の例)を説明するための概略図(特に側方構造を示す図)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の典型的な実施形態に係る装置及び方法を説明する。
【0019】
以下に説明する各実施形態では、シート状部材が柔軟な袋(特に空袋)によって構成される場合について例示する。ただし、シート状部材の具体的な構成、形状、組成及びその他の形態は限定されない。例えば紙片(箱に入れられる説明書(例えば能書)等)によってシート状部材が構成されていてもよい。なお、以下に説明する各実施形態に係る装置及び方法を適用可能なシート状部材は、曲げ可能な柔軟性を有する部材であることが好ましい。そのようなシート状部材は、概ねシート状の形状を有していればよく、折り畳まれていたり、局所的に厚みが厚かったり薄かったりする部分を含んでいたりしていてもよい。
【0020】
以下の説明において「上方」、「下方」及び「上下方向」の用語は、特に断りがない限り、重力が作用する鉛直方向と平行な方向(すなわち高さ方向)を基準としている。また水平方向は、高さ方向と直角を成す方向を指す。
【0021】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る取出装置10(特に正面構造を示す図)を示す概略図である。図2は、第1実施形態に係る取出装置10(特に側方構造を示す図)を示す概略図である。
【0022】
取出装置10は、収容部12、複数の保持部11(図示の例は2つの保持部11)、回転駆動部21及び移動駆動部23を備える。
【0023】
収容部12はお互いに積み重ねられた複数の袋Bが収容される。図示の収容部12は所謂積層型マガジンによって構成されている。本実施形態では、複数の袋Bが、鉛直方向Dvと平行な方向(すなわち高さ方向)に積み重ねられた状態で収容部12に収容されており、収容部12において各袋Bは水平姿勢をとる。図1では、理解を容易にするために、隣り合って配置されている袋Bが相互に離れて示されているが、実際は、隣り合って配置される袋B同士は接触している。袋Bの具体的な積み重ね態様は限定されないが、図示の例では、基本的に、各袋Bの全体が他の袋Bと重なるように(すなわち積み重ね方向に関するそれぞれの袋Bの投影の全体がお互いに重なるように)、収容部12において多数の袋Bが積み重ねられている。
【0024】
本実施形態の収容部12は上方に向かって開放されており、収容部12に収容されている複数の袋Bのうち最上位置に配置される袋Bが外部に露出されている。そして収容部12において最上位置に配置される袋Bが、複数の保持部11によって取り出される。
【0025】
複数の保持部11は、収容部12において最も外側に位置する最外位置袋B1(最外位置シート状部材)の露出面Bs1に接触しつつ、最外位置袋B1を保持することができる。本実施形態の複数の保持部11は、収容部12に収容されている複数の袋Bのうち最上位置に配置される袋Bの露出面Bs1に接触しつつ、最外位置袋B1を保持することができる。また複数の保持部11の各々は、回転可能に設けられている。
【0026】
本実施形態の各保持部11は、真空ポンプ等の吸引圧駆動部(図示省略)に接続されている吸盤を有し、最外位置袋B1の露出面Bs1に接触しつつ外気圧よりも低い圧力を当該露出面Bs1に作用させることによって、最外位置袋B1を吸引保持する。各保持部11が最外位置袋B1の露出面Bs1に作用させる吸引圧は、吸引圧駆動部によって変えられる。
【0027】
回転駆動部21は、複数の保持部11の各々を回転させる。図示の例では、保持部11毎に対応の回転駆動部21が設けられている。各回転駆動部21は回転可能に設けられる回転シャフト21aを有し、各回転シャフト21aには対応の保持部11が固定されている。各回転シャフト21aが回転させられることによって対応の保持部11も回転し、各保持部11は対応の回転シャフト21aを中心に回転する。図示の例のように2つの保持部11が設けられる場合、2つの回転駆動部21によって、2つの保持部11がお互いに逆方向に回転させられる。図示の回転駆動部21は制御部(図示省略)の制御下で駆動するモーターによって構成されているが、回転駆動部21の具体的な構成は限定されず、制御部によって制御されずに駆動してもよい。
【0028】
移動駆動部23は、複数の保持部11の各々を移動させる。図示の例では、回転駆動部21毎に対応の移動ブロック22が設けられており、各回転駆動部21は対応の移動ブロック22上に固定されている。各移動ブロック22は、移動駆動部23により駆動されて移動する。したがって各保持部11は、対応の移動ブロック22及び回転駆動部21とともに、移動駆動部23によって移動させられる。各移動ブロック22の移動方向は限定されないが、本実施形態の各移動ブロック22は、少なくとも高さ方向(すなわち上下方向)に移動可能に設けられている。移動駆動部23は、任意の装置によって構成可能であり、移動駆動部23は例えばエアーシリンダやモーターを有していてもよい。
【0029】
次に、収容部12から袋Bを1枚ずつ取り出す本実施形態の取出方法について説明する。
【0030】
図3図7は、第1実施形態に係る取出方法を説明するための概略図(特に正面構造を示す図)である。
【0031】
本実施形態の取出装置10では、まず、各保持部11を図1に示す状態から図3に示す状態に移行させる。すなわち複数の保持部11は、移動駆動部23により移動させられて収容部12に収容されている最外位置袋B1の露出面Bs1に接触させられ、最外位置袋B1の露出面Bs1に接触しつつ最外位置袋B1を保持する。具体的には、複数の保持部11は、最外位置袋B1の露出面Bs1に向けて下方に移動させられるが、この際、必要に応じて水平方向Dhや斜め方向に移動させられてもよい。
【0032】
特に本実施形態の取出方法では、最外位置袋B1を複数の保持部11によって保持させる際、最外位置袋B1の露出面Bs1が拡げられる方向(すなわち露出面Bs1が延在する方向であって外向きの方向)に複数の保持部11を移動させつつ、露出面Bs1に複数の保持部11を接触させる。これにより、最外位置袋B1を水平方向Dhへ伸ばすように各保持部11が最外位置袋B1に接触し且つ保持することができ、保持の確実性を向上させることができる。最外位置袋B1の露出面Bs1が拡げられる方向への各保持部11の移動は、各保持部11が回転駆動部21によって回転させられることによって行われてもよいし、各保持部11が移動駆動部23によって移動させられることによって行われてもよいし、各保持部11が回転駆動部21による回転駆動及び移動駆動部23による移動駆動の両方を同時的に受けることによって行われてもよい。図示の例では、各保持部11は、回転駆動部21による回転駆動及び移動駆動部23による移動駆動の両方を同時的に受けることによって図1に示す状態から図3に示す状態に移行させられ、高さ方向(特に鉛直方向Dv)の成分及び水平方向Dhの成分を含む方向へ移動させられつつ最外位置袋B1の露出面Bs1に接触する。
【0033】
本実施形態の各保持部11は吸引によって最外位置袋B1を保持するが、各保持部11の吸引タイミングは限定されない。例えば各保持部11が最外位置袋B1に接触する前から各保持部11が吸引を開始していてもよいし、各保持部11が最外位置袋B1に接触するのと同時的に各保持部11が吸引を開始してもよいし、各保持部11が最外位置袋B1に接触した後に各保持部11が吸引を開始してもよい。吸引圧駆動部(図示省略)は、これらのうちのいずれかの吸引開始タイミングに応じて、各保持部11が最外位置袋B1の露出面Bs1に作用させる吸引圧を調整することができる。なお吸引圧駆動部の駆動は、制御部(図示省略)の制御下で行われてもよいし、制御部に制御されることなく行われてもよい。例えば、回転駆動部21及び/又は移動駆動部23によってもたらされる動力に応じて吸引圧駆動部の駆動を行うことにより、各保持部11の動作(すなわち移動及び回転)と関連づけて各保持部11の吸引圧を調整することも可能である。
【0034】
このようにして、お互いに積み重ねられている複数の袋Bのうち最も外側に位置する最外位置袋B1の露出面Bs1に複数の保持部11を接触させつつ、最外位置袋B1を複数の保持部11によって保持することができる。
【0035】
そして図4に示すように、複数の保持部11は、最外位置袋B1を保持しつつ移動駆動部23により移動させられて、最外位置袋B1の少なくとも一部を、隣接する他の袋B(以下、「隣接袋B2」とも称する)から離す。図示の各保持部11は、回転駆動部21による回転駆動及び移動駆動部23による移動駆動の両方を同時的に受けることによって、図3に示す状態から図4に示す状態に移行させられる。すなわち各保持部11は、移動駆動部23によって上方に移動させられつつ、回転駆動部21によって回転させられる。
【0036】
そして複数の保持部11は、最外位置袋B1を保持しつつ最外位置袋B1の少なくとも一部を隣接袋B2から離した状態で回転駆動部21により回転させられる(図4図6参照)。これにより複数の保持部11は、最外位置袋B1の少なくとも一部が複数の保持部11間のスペースに配置され且つ各保持部11と隣接袋B2(特に各保持部11によって接触及び保持される部分)との間に最外位置袋B1が配置されないように、最外位置袋B1を曲げる。より具体的には、最外位置袋B1の露出面Bs1が外側に向けられ且つ最外位置袋B1の背面Bs2が内側に向けられるように、最外位置袋B1は曲げられる。図示の例では、各保持部11の下方領域(具体的には各保持部11の可動範囲R(図6参照))に最外位置袋B1が存在しないように、最外位置袋B1は曲げられる。
【0037】
この際、複数の保持部11による最外位置袋B1の曲げの程度は限定されない。例えば図5に示す状態に最外位置袋B1が曲げられた時点で、後述のように複数の保持部11から最外位置袋B1をリリースしてもよく、最外位置袋B1は図6に示す状態になるまで必ずしも曲げられなくてもよい。
【0038】
図5には、2つの保持部11の吸着部がお互いに対向する位置までそれぞれの保持部11が回転させられた状態(すなわち各保持部11が収容部12に収容されている最外位置袋B1の露出面Bs1に接触した状態(図3参照)から90度だけ回転した状態)が示されている。図6には、各保持部11が図5に示す状態から更に回転した状態(すなわち各保持部11が収容部12に収容されている最外位置袋B1の露出面Bs1に接触した状態(図3参照)から90度よりも大きな角度回転した状態)が示されている。図5に示す状態の保持部11間の水平距離よりも、図6に示す状態の保持部11間の水平距離の方が大きい。そのため、図5に示す状態の最外位置袋B1よりも、図6に示す状態の最外位置袋B1の方が、露出面Bs1を拡げる方向に最外位置袋B1が引っ張られ、露出面Bs1にはより平坦な面が形成されやすい。したがって、後述のように複数の保持部11から受渡装置13に袋B(すなわち最外位置袋B1)を的確に受け渡す観点からは、受渡装置13の保持(特に吸引保持)に適した平坦面が露出面Bs1に形成されることが好ましく、袋Bの曲げの程度は図5に示す状態よりも図6に示す状態の方が好ましい。
【0039】
そして図6に示すように、最外位置袋B1は、複数の保持部11に保持されている状態で、受渡装置13によって保持される。受渡装置13は、任意の構成を有することができ、図示しない移動機構によって移動可能に設けられている。図示の受渡装置13は、吸盤を有し、最外位置袋B1の露出面Bs1に接触しつつ外気圧よりも低い圧力を当該露出面Bs1に作用させることによって、最外位置袋B1を保持する。
【0040】
そして複数の保持部11は、最外位置袋B1が受渡装置13によって保持され且つ各保持部11と隣接袋B2との間に最外位置袋B1が配置されていない状態で、最外位置袋B1をリリースする。そして受渡装置13は、最外位置袋B1を保持しつつ、図示しない移動機構によって移動させられ、最外位置袋B1とともに後段に移動する(図7参照)。後段において受渡装置13は最外位置袋B1をリリースし、後段に設けられた装置(図示省略)に最外位置袋B1を受け渡す。
【0041】
なお各保持部11が最外位置袋B1をリリースする際、各保持部11の吸引は止められ、各保持部11は、外気圧と同等以上の圧力を最外位置袋B1の露出面Bs1に作用させることが好ましい。ただし、各保持部11から受渡装置13に最外位置袋B1を適切に受け渡すことができるのであれば、各保持部11が最外位置袋B1をリリースする際、各保持部11の吸引は止められなくてもよい。この場合、各保持部11から受渡装置13への最外位置袋B1の受け渡しをスムーズに行うために、各保持部11から受渡装置13へ最外位置袋B1を受け渡す際の各保持部11の吸引力は、収容部12から最外位置袋B1を取り出す際の各保持部11の吸引力よりも小さいことが好ましい。例えば、複数の保持部11から最外位置袋B1に作用させる保持力を受渡装置13から最外位置袋B1に作用させる保持力よりも小さくした状態で、受渡装置13を最外位置袋B1とともに移動させることによって、最外位置袋B1を複数の保持部11の保持から解放してもよい。
【0042】
上述の本実施形態の取出装置10及び取出方法によれば、収容部12から取り出された最外位置袋B1を複数の保持部11からリリースする時点で、各保持部11と隣接袋B2との間には最外位置袋B1は存在しない(図6参照)。そのため、各保持部11は最外位置袋B1をリリースした直後から、収容部12に収容されている次の最外位置袋B1(すなわち上述の隣接袋B2)を取り出すための動作を行うことができる。すなわち各保持部11は、最外位置袋B1をリリースした直後から、待機することなく、回転駆動部21によって回転させられ且つ移動駆動部23によって移動させられ、収容部12に収容されている次の最外位置袋B1の露出面Bs1に接触して当該次の最外位置袋B1を保持することができる(図3参照)。
【0043】
このように本実施形態の取出装置10及び取出方法によれば、複数の保持部11は、最外位置袋B1のリリース動作と次の最外位置袋B1の保持動作とを、これらの動作間において待機動作を行うことなく、連続的に行うことができる。そのため、迅速に、お互いに積み重ねられている複数の袋Bから連続的に1枚ずつ袋Bを取り出すことができる。
【0044】
また収容部12において各袋Bを水平姿勢で保持することによって、収容部12から取り出された後に各袋Bの姿勢を変更する必要がないことが多い。そのため、各袋Bの姿勢を変更するための姿勢変更機構(図示省略)を設ける必要がないことが多い。
【0045】
図8図10は、図1図6に示す取出装置10及び取出方法とは異なる方式を採用する取出装置90及び取出方法を説明するための概略図である。
【0046】
図8図10に示す取出装置90も、収容部12に収容されている最外位置袋B1を保持部11により吸引保持して取り出す。しかしながら図8図10に示す取出装置90では、保持部11が最外位置袋B1を保持しつつ保持部11からチャック部材91に最外位置袋B1を受け渡す際、保持部11と隣接袋B2との間には最外位置袋B1が存在する。すなわち最外位置袋B1(例えば開閉可能な口部)がチャック部材91によって保持された状態で保持部11が最外位置袋B1をリリースする際に、保持部11と隣接袋B2との間には最外位置袋B1が存在する(図9参照)。
【0047】
そのため、保持部11が最外位置袋B1をリリースした後、チャック部材91とともに移動する最外位置袋B1が保持部11(特に保持部11の可動範囲R)と隣接袋B2との間に存在しなくなるまで(図9及び図10参照)、保持部11は、次の最外位置袋B1を保持する動作を行うことができず、待機しなければならない。
【0048】
[第2実施形態]
図11図16は、第2実施形態に係る取出方法を説明するための概略図(特に正面構造を示す図)である。
【0049】
本実施形態の取出装置10において、上述の第1実施形態と同一又は類似の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0050】
本実施形態の複数の保持部11は、上述の第1実施形態の複数の保持部11と基本的に同様の動作を行うことによって収容部12から袋Bを1枚ずつ取り出す。また本実施形態の収容部12には、上述の第1実施形態の収容部12と同様に、鉛直方向Dvと平行な方向に積み重ねられた状態の複数の袋Bが収容されている。
【0051】
上述の第1実施形態では、収容部12に収容されている複数の袋Bのうち最上位置に配置される袋Bが最外位置袋B1として複数の保持部11により取り出される。一方、本実施形態では、収容部12に収容されている複数の袋Bのうち収容部12において最も下方に位置する袋Bが最外位置袋B1として複数の保持部11により取り出される。
【0052】
図11図16に示す収容部12は、上方及び下方が開放されている枠部材30と、枠部材30の下方部分に取り付けられた複数の接触支持部31(図示の例では4つの接触支持部31)とを有する。枠部材30は中空形状を有し、枠部材30の中空部分は、各袋Bの平面形状に応じた四角形の平面形状(すなわち四角形の断面形状)を有する。各接触支持部31は、収容部12における最外位置袋B1(本実施形態では、収容部12に収容される複数の袋B(すなわち枠部材30内に配置される複数の袋B)のうち最も下方に位置する袋B)に接触し、且つ、収容部12に収容される複数の袋Bが載せられる。
【0053】
各接触支持部31の具体的な構成は限定されない。図示の各接触支持部31は、回転自在に設けられたローラーにより構成されている。収容部12において最も下方に位置する袋Bの露出面Bs1を4つの領域(特にそれぞれが袋Bの隅部を含む4つの領域(図21の符号「R1」〜「R4」参照)に区分した場合、これらの4つの領域のそれぞれが4つの接触支持部31に接触するように、4つの接触支持部31が配置されている。
【0054】
上述の第1実施形態では、収容部12から取り出された袋B(すなわち最外位置袋B1)は、複数の保持部11から受渡装置13に受け渡される。一方、第2実施形態では、収容部12から取り出された袋B(すなわち最外位置袋B1)は、複数の保持部11から移送装置35(図15及び図16参照)に受け渡される。
【0055】
複数の保持部11は、移送装置35の上方において最外位置袋B1をリリースし、移送装置35は、複数の保持部11からリリースされた最外位置袋B1を受け取って移送する。図示の移送装置35は、水平方向へ間欠的に移動させられる移送ベルト36と、移送ベルト36上に設けられた複数の仕切り37とを有する。複数の保持部11からリリースされた袋Bは、隣接する仕切り37によって区画される移送ベルト36の上方のスペースに向かって落下し、移送ベルト36上に載せられる。
【0056】
本実施形態の取出方法も、上述の第1実施形態の取出方法と同様にして行われる。
【0057】
すなわち複数の保持部11は、回転駆動部21により回転させられつつ移動駆動部23により上方へ移動させられることによって、収容部12に収容されている最外位置袋B1(すなわち収容部12において最も下方に位置する袋B)の露出面Bs1に接触させられ、最外位置袋B1の露出面Bs1に接触しつつ最外位置袋B1を保持する(図11及び図12参照))。
【0058】
そして複数の保持部11は、最外位置袋B1を保持しつつ、移動駆動部23により下方へ移動させられて最外位置袋B1の少なくとも一部を隣接する他の袋B(すなわち隣接袋B2)から離す(図13図15参照)。また複数の保持部11は、最外位置袋B1を保持しつつ最外位置袋B1の少なくとも一部を隣接袋B2から離した状態で回転駆動部21により回転させられて、最外位置袋B1の少なくとも一部が複数の保持部11間のスペースに配置され且つ各保持部11と隣接袋B2との間に最外位置袋B1が配置されないように最外位置袋B1を曲げる。
【0059】
そして複数の保持部11は、各保持部11と隣接袋B2との間に最外位置袋B1が配置されていない状態で最外位置袋B1をリリースする(図15及び図16参照)。複数の保持部11からリリースされた最外位置袋B1は、重力の影響を受けて落下し、移送ベルト36上(特に個別的に割り当てられた移送ベルト36の領域)に載せられる。その後、移送ベルト36は間欠的に走行し、隣接する仕切り37によって区画される移送ベルト36の上方のスペースであって次の袋Bに割り当てられたスペースが、複数の保持部11の下方に配置される。
【0060】
以上説明したように本実施形態の取出装置10及び取り出し方法によれば、下方に向けて収容部12から各袋Bを取り出すことができる。そのため、重力を利用して、各袋Bの取り出し処理を行うことができる。したがって収容部12から取り出され複数の保持部11からリリースされた袋B(すなわち最外位置袋B1)を自然落下させることによって、当該袋Bを複数の保持部11から移送装置35に受け渡すことができる。この場合、複数の保持部11から移送装置35に袋Bを受け渡すために複数の保持部11を待機させることが不要であるため、複数の保持部11から移送装置35に袋Bを迅速に受け渡すことができる。
【0061】
[第3実施形態]
図17図19は、第3実施形態に係る取出方法を説明するための概略図(特に正面構造を示す図)である。
【0062】
本実施形態の取出装置10において、上述の第1実施形態及び第2実施形態と同一又は類似の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0063】
本実施形態の複数の保持部11は、上述の第1実施形態及び第2実施形態の複数の保持部11と基本的に同様の動作を行うことによって、収容部12から袋Bを1枚ずつ取り出す。
【0064】
上述の第1実施形態及び第2実施形態の収容部12には、鉛直方向Dvと平行な方向に積み重ねられた状態の複数の袋Bが水平姿勢で収容されている。一方、第3実施形態の収容部12には、水平方向Dhと平行な方向に積み重ねられた状態の複数の袋Bが起立姿勢で収容されている。
【0065】
図17図19に示す収容部12は、枠部材30、複数の接触支持部(図示の例では4つの接触支持部)31、押圧ブロック41及び押圧駆動部42を有する。
【0066】
枠部材30は、水平方向のうちの特定方向(特に複数の保持部11が設けられる側の側方)が開放されており、内側には複数の袋Bが起立姿勢で収容される。4つの接触支持部31が、枠部材30の水平方向Dhの端部(特に複数の保持部11が設けられる側の側方部)に取り付けられている。各接触支持部31は、収容部12に収容される複数の袋B(すなわち枠部材30内に配置される複数の袋B)のうち水平方向Dhの端部(図17図19の右方端部)に位置する袋Bに接触し、且つ、収容部12に収容される複数の袋Bを支持する。図示の例では、各接触支持部31は回転自在に設けられたローラーによって構成されている。また収容部12において水平方向Dhの端部に位置する袋Bの露出面Bs1を4つの領域(特にそれぞれが袋Bの隅部を含む4つの領域(図21の符号「R1」〜「R4」参照))に区分した場合、これらの4つの領域のそれぞれが4つの接触支持部31に接触するように、4つの接触支持部31が配置されている。
【0067】
押圧ブロック41は、押圧駆動部42によって水平方向Dhに移動可能に駆動され、収容部12に収容されている複数の袋B(すなわち枠部材30内の複数の袋B)を各接触支持部31に向けて押し、収容部12に収容されている複数の袋Bを支持する。すなわち枠部材30内において起立姿勢をとる複数の袋Bは、押圧ブロック41と各接触支持部31とにより挟まれて支持される。これにより、収容部12において水平方向Dhの端部に位置する袋B(すなわち最外位置袋B1)が常に同じ位置に配置される。すなわち、複数の保持部11によって収容部12から袋Bが1枚ずつ取り出されても、収容部12における水平方向Dhの端部に位置する袋B(すなわち最外位置袋B1)は常に同じ位置に配置される。
【0068】
そして本実施形態の取出装置10では、収容部12に収容されている複数の袋Bのうち収容部12において水平方向Dhの端部(図17図19の右方端部)に位置する袋Bが最外位置袋B1として複数の保持部11により取り出される。
【0069】
本実施形態の取出方法も、上述の第1実施形態の取出方法と同様にして行われる。
【0070】
すなわち複数の保持部11は、移動駆動部23により水平方向Dhへ移動させられて収容部12に収容されている最外位置袋B1(すなわち収容部12において水平方向Dhの端部に位置する袋B)の露出面Bs1に接触させられ、最外位置袋B1の露出面Bs1に接触しつつ最外位置袋B1を保持する(図17及び図18参照)。
【0071】
そして複数の保持部11は、最外位置袋B1を保持しつつ、移動駆動部23により水平方向Dhへ移動させられて最外位置袋B1の少なくとも一部を隣接する他の袋B(すなわち隣接袋B2)から離す(図19参照)。また複数の保持部11は、最外位置袋B1を保持しつつ最外位置袋B1の少なくとも一部を隣接袋B2から離した状態で回転駆動部21により回転させられて、最外位置袋B1の少なくとも一部が複数の保持部11間のスペースに配置され且つ各保持部11と隣接袋B2との間に最外位置袋B1が配置されないように最外位置袋B1を曲げる。
【0072】
そして最外位置袋B1は、複数の保持部11に保持されている状態で、受渡装置13によって保持される(図19参照)。そして複数の保持部11は、最外位置袋B1が受渡装置13によって保持され且つ各保持部11と隣接袋B2との間に最外位置袋B1が配置されていない状態で、最外位置袋B1をリリースする。そして受渡装置13は、最外位置袋B1を保持しつつ、図示しない移動機構によって移動させられ、最外位置袋B1とともに後段に移動する。後段において受渡装置13は最外位置袋B1をリリースし、後段に設けられた装置(図示省略)に最外位置袋B1を受け渡す。
【0073】
なお図示の例では、図19に示すように、収容部12から取り出された袋B(すなわち最外位置袋B1)が複数の保持部11から受渡装置13に受け渡されているが、収容部12から取り出された袋Bが複数の保持部11から移送装置35(図15及び図16参照)に受け渡されてもよい。例えば、各保持部11は、各保持部11と隣接袋B2との間に最外位置袋B1が配置されていない状態で最外位置袋B1をリリースし、リリースされた最外位置袋B1を落下させて移送ベルト36上に載せてもよい。
【0074】
[第1変形例]
図20は、第1変形例に係る収容部12の概略図(特に平面構造を示す図)である。図21は、第1変形例を説明するための袋Bの平面図である。
【0075】
第2実施形態及び第3実施形態に係る上述の収容部12は、枠部材30及び4つの接触支持部31を有する。これらの例の収容部12において、枠部材30に対する4つの接触支持部31の取り付け位置は限定されない。ただし典型的には、4つの接触支持部31が対称的な位置に配置され、収容部12に収容される複数の袋B(特に最外位置袋B1)のうちの対称的に位置付けられた4つの部分が、4つの押圧ブロック41によってそれぞれ支持される。
【0076】
本変形例では、図20に示すように、4つの接触支持部のうちの対角位置に配置される2つの接触支持部(すなわち2つの第1接触支持部31a)が、相互間の距離が第1距離Ld1となる位置に配置され、収容部12における最外位置袋B1の露出面Bs1のうちの対角位置に配置される2つの領域(例えば第2領域R2及び第4領域R4)にそれぞれ接触する。また4つの接触支持部のうちの他の対角位置に配置される他の2つの接触支持部(すなわち2つの第2接触支持部31b)は、相互間の距離が第1距離Ld1よりも小さい第2距離Ld2となる位置に配置され、収容部12における最外位置袋B1の露出面Bs1のうちの他の対角位置に配置される2つの領域(例えば第1領域R1及び第3領域R3)にそれぞれ接触する。このように、2つの第1接触支持部31aは相互間の距離が比較的長い距離となるように配置され、また2つの第2接触支持部31bは相互間の距離が比較的短い距離となるように配置される。
【0077】
複数の接触支持部31を有する収容部12から最外位置袋B1を取り出す際、最外位置袋B1は複数の保持部11から力を受けて撓む。最外位置袋B1は、撓んだ状態で複数の保持部11により引っ張られることによって、複数の接触支持部31から解放され、収容部12から取り出される。したがって各袋Bには相応の撓みやすさが求められる。
【0078】
一方、収容部12に収容される複数の袋B(特に最外位置袋B1)は、複数の接触支持部31から力を受けて支持され、収容部12に収容されている間は適切な姿勢を維持しつつ複数の接触支持部31によって適切に支持され続けられることが求められる。したがって各袋Bには相応の剛性(すなわち撓みにくさ)も求められる。
【0079】
このように収容部12に収容されている各袋B(特に最外位置袋B1)には、相応の撓みやすさ且つ相応の撓みにくさが必要とされる。
【0080】
本変形例の収容部12によれば、比較的長い相互間距離を有する2つの第1接触支持部31aによって、収容部12に収容されている複数の袋B(特に最外位置袋B1)には相応の撓みやすさが与えられる。また比較的短い距離を有する2つの第2接触支持部31bよって、収容部12に収容されている複数の袋B(特に最外位置袋B1)には相応の撓みにくさが与えられる。このように本変形例によれば、収容部12に収容されている各袋Bは、相応の撓みやすさを有し且つ相応の撓みにくさを有することができる。
【0081】
なお図示の第1接触支持部31aは回転自在に設けられたローラーにより構成されており、収容部12からの袋B(すなわち最外位置袋B1)の取り出し性能の向上が図られている。一方、図示の第2接触支持部31bは回転不能な平坦面を有する突起体によって構成されており、収容部12における袋B(すなわち最外位置袋B1)の支持性能の向上が図られている。ただし第1接触支持部31a及び第2接触支持部31bの具体的な構成は限定されず、例えば同一構造を有する部材により第1接触支持部31a及び第2接触支持部31bが構成されていてもよい。
【0082】
また最外位置袋B1の露出面Bs1のうち、比較的長い距離を有する2つの第1接触支持部31aにより支持される2つの領域(例えば第2領域R2及び第3領域R3)のそれぞれが、2つの保持部11によって保持されることが好ましい。この場合、収容部12に収容されている最外位置袋B1を2つの保持部11により保持しつつ2つの保持部11を移動させることによって、比較的簡単に、最外位置袋B1を撓ませて収容部12から取り出すことができる。
【0083】
[第2変形例]
図22は、第2変形例に係る取出装置10の一例(特に1つの保持部11の移動の一例)を説明するための概略図(特に側方構造を示す図)である。図23は、第2変形例に係る取出装置10の他の例(特に1つの保持部11の移動の他の例)を説明するための概略図(特に側方構造を示す図)である。図22及び図23において、符号11で示される保持部が複数描かれているが、これらは同一の保持部11が異なる位置に配置されている状態を示す。同様に、図22及び図23において、符号46で示される移動支持部が複数描かれているが、これらは同一の移動支持部46が異なる位置に配置されている状態を示す。
【0084】
上述の第1実施形態では回転駆動部21及び移動駆動部23が別体として設けられているが(図2参照)、本変形例では回転駆動部21及び移動駆動部23が一体的に設けられている。
【0085】
図22に示す例では、回転駆動部21及び移動駆動部23が旋回駆動装置45により構成されている。旋回駆動装置45は、曲線状の軌道T上を往復移動する移動支持部46を複数含む。複数の保持部11は、それぞれ複数の移動支持部46に対して固定的に取り付けられている。
【0086】
図23に示す例では、回転駆動部21及び移動駆動部23が旋回駆動装置45により構成されている。旋回駆動装置45は、ループ状の軌道T上を移動する移動支持部46を複数含む。複数の保持部11は、それぞれ複数の移動支持部46に対して固定的に取り付けられている。
【0087】
図22に示す例及び図23に示す例のいずれにおいても、各保持部11は、対応の移動支持部46の移動位置に応じて向きが変わり、上述の各実施形態の各保持部11と同一又は類似の挙動を示すことが可能である。
【0088】
例えば図22に例示される取出装置10を上述の第2実施形態(図11図16参照)に応用する場合、各保持部11を図22に示す第2移動位置P2から第1移動位置P1に移動させることによって、各保持部11は最外位置袋B1を接触保持することができる(図11及び図12参照)。また各保持部11を図22に示す第1移動位置P1から第2移動位置P2を経て第3移動位置P3に向けて移動させることによって、各保持部11は、最外位置袋B1を隣接袋B2から離して、最外位置袋B1の少なくとも一部が保持部11間のスペースに配置され且つ各保持部11と隣接袋B2との間に最外位置袋B1が配置されないように最外位置袋B1を曲げることができる(図12図15参照)。また各保持部11は、図22に示す第2移動位置P2に配置されている間又は第2移動位置P2から第3移動位置P3に移動する間に、最外位置袋B1をリリースすることができる(図15及び図16参照) 。
【0089】
また図23に例示される取出装置10を上述の第2実施形態(図11図16参照)に応用する場合、各保持部11を図22に示す第4移動位置P4から第1移動位置P1に移動させることによって、各保持部11は最外位置袋B1を接触保持することができる(図11及び図12参照)。また各保持部11を図23に示す第1移動位置P1から第2移動位置P2を経て第3移動位置P3に向けて移動させることによって、各保持部11は、最外位置袋B1を隣接袋B2から離して、最外位置袋B1の少なくとも一部が保持部11間のスペースに配置され且つ各保持部11と隣接袋B2との間に最外位置袋B1が配置されないように最外位置袋B1を曲げることができる(図12図15参照)。また各保持部11は、図23に示す第2移動位置P2に配置されている間又は第2移動位置P2から第3移動位置P3に移動する間に、最外位置袋B1をリリースすることができる(図15及び図16参照)。
【0090】
本変形例によれば、旋回駆動装置45によって回転駆動部21及び移動駆動部23を実現することができるため、制御構成を単純化することが可能である。
【0091】
また図22に示される例では、各保持部11が同一軌道上を往復移動するため、最外位置袋B1を複数の保持部11によって保持させる際に、最外位置袋B1の露出面Bs1が拡げられる方向に複数の保持部11を移動させつつ、最外位置袋B1の露出面Bs1に複数の保持部11を接触させることができる。これにより、最外位置袋B1の露出面Bs1の皺を伸ばしつつ各保持部11を露出面Bs1に接触させることができ、各保持部11によって最外位置袋B1をより確実に保持することができる。
【0092】
また図23に示される例では、各保持部11をループ状の軌道Tに沿って、停止させることなく継続的に移動させることができる。そのため、複数の保持部11を高速に移動させることができ、収容部12からの袋Bの取り出しの速度も速くすることができる。
【0093】
なお図22に示される例及び図23に示される例の各々において、旋回駆動装置45の具体的な構成は限定されない。そのような旋回駆動装置45は、既知のデバイス(例えばモーターやカム機構など)を組み合わせることによって構成可能である。
【0094】
例えば、移動可能に設けられた移動歯車を各移動支持部46に取り付けて、扇形状の平面形状(すなわち扇形状の断面形状)を有し且つ固定的に設けられた固定歯車を移動支持部46毎に設けて、各移動支持部46を、対応の固定歯車の弧に相当する部分に形成された歯車上で転動させてもよい。この場合、各移動歯車が固定歯車の弧に相当する部分に沿って往復移動することにより、対応の移動支持部46及び保持部11が往復移動する。また各移動歯車が固定歯車の歯車上を転動することにより、対応の移動支持部46及び保持部11が回転する。この場合、例えばモーターから伝えられる回転動力を、カム機構等を介して各移動支持部46に伝えることによって、各移動歯車を対応の固定歯車上で往復移動させることが可能である。
【0095】
なお本変形例において、各移動支持部46の軌道Tの具体的な形状は限定されず、軌道Tは円弧又は円の形状を有していてもよいし、他の形状を有していてもよい。例えば収容部12に収容されている最外位置袋B1に対する各保持部11の接触保持性を向上させるために、各移動支持部46の軌道Tの形状を調整し、比較的長い時間、各保持部11が最外位置袋B1の露出面Bs1に対して適切に接触するようにしてもよい。
【0096】
[他の変形例]
本発明は、上述の実施形態及び変形例には限定されない。例えば、上述の実施形態及び変形例の各要素に各種の変形が加えられてもよい。
【0097】
例えば、保持部11の数は限定されず、3以上の保持部11が設けられていてもよい。
【0098】
また各保持部11は、最外位置袋B1の露出面Bs1を保持可能な任意の構成を有することが可能であり、吸盤には限定されない。例えば、各保持部11がゴム等の滑りにくい部材を有し、当該滑りにくい部材の露出面Bs1に対する密着力及び摩擦力を利用して、当該滑りにくい部材を最外位置袋B1の露出面Bs1に接触させつつ各保持部11が最外位置袋B1を保持してもよい。
【0099】
また最外位置袋B1の露出面Bs1のうち複数の保持部11によって保持される部分の具体的な位置は限定されない。ただし、最外位置袋B1のうち露出面Bs1の中心を含む箇所以外の部分が複数の保持部11によって保持されることが好ましい。特に、各保持部11と次の袋Bとの間に最外位置袋B1が配置されないようにする観点からは、最外位置袋B1のうち露出面Bs1の縁部に近い部分が複数の保持部11により保持されることが好ましい。
【0100】
また収容部12における各袋Bの姿勢は限定されず、収容部12に収容されている各袋Bは、高さ方向及び水平方向Dhの各々に対して傾斜した姿勢をとってもよい。
【0101】
また上述の実施形態及び変形例では、収容部12から取り出された袋Bは複数の保持部11から受渡装置13又は移送装置35に受け渡されるが、これらには限定されない。例えば、複数の保持部11によって収容部12から取り出されたシート状部材が、箱等の容器の内側に複数の保持部11から移送されてもよいし、複数の保持部11からリリースされて排出されてもよい。
【0102】
また上述の受渡装置13は吸盤の吸引力を利用して袋Bを保持しているが、他の構成を利用して袋Bを保持してもよい。例えば、受渡装置13は、袋Bを保持可能な回転ローラー及び/又は走行ベルトによって袋Bを挟むことにより、袋Bを保持してもよい。
【0103】
また上述の実施形態では、収容部12から取り出されるシート状部材は空袋であるが、内容物が内側に入れられた袋Bが1枚ずつ収容部12から取り出されてもよい。また袋B以外のシート状部材であっても、上述の取出装置10及び取出方法によれば、収容部12から適切且つ迅速に1枚ずつシート状部材を取り出すことができる。
【0104】
シート状部材の構成材料は限定されないが、複数の保持部11によって適切に保持可能な材料によってシート状部材は構成されることが好ましい。例えば、複数の保持部11によってシート状部材が吸引保持される場合、シート状部材の吸引面(すなわち露出面Bs1)は吸引力を受けるのに適した材料(例えば空気が通過可能な微細孔を含まない材料又はそのような微細孔をあまり含まない材料)によって構成されることが好ましい。またシート状部材が複数の保持部11から摩擦力を受けて保持される場合、シート状部材の保持面(すなわち露出面Bs1)は、複数の保持部11から比較的大きな摩擦力を受けるのに適した材料(例えば比較的大きな摩擦係数を有する材料)によって構成されることが好ましい。
【0105】
また上述の実施形態及び変形例が部分的に組み合わせられてもよい。本発明によって奏される効果も上述の効果には限定されず、具体的な構成に応じた特有の効果が発揮される。
【符号の説明】
【0106】
10 取出装置、11 保持部、12 収容部、13 受渡装置、21 回転駆動部、21a 回転シャフト、22 移動ブロック、23 移動駆動部、30 枠部材、31 接触支持部、31a 第1接触支持部、31b 第2接触支持部、35 移送装置、36 移送ベルト、37 仕切り、41 押圧ブロック、42 押圧駆動部、45 旋回駆動装置、46 移動支持部、90 取出装置、91 チャック部材、B 袋、B1 最外位置袋、B2 隣接袋、Bs1 露出面、Bs2 背面、Dh 水平方向、Dv 鉛直方向、Ld1 第1距離、Ld2 第2距離、P1 第1移動位置、P2 第2移動位置、P3 第3移動位置、P4 第4移動位置、R 可動範囲、R1 第1領域、R2 第2領域、R3 第3領域、R4 第4領域、S 下方領域、T 軌道
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