特開2020-164323(P2020-164323A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シンフォニアテクノロジー株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2020164323-ボウルフィーダ 図000003
  • 特開2020164323-ボウルフィーダ 図000004
  • 特開2020164323-ボウルフィーダ 図000005
  • 特開2020164323-ボウルフィーダ 図000006
  • 特開2020164323-ボウルフィーダ 図000007
  • 特開2020164323-ボウルフィーダ 図000008
  • 特開2020164323-ボウルフィーダ 図000009
  • 特開2020164323-ボウルフィーダ 図000010
  • 特開2020164323-ボウルフィーダ 図000011
  • 特開2020164323-ボウルフィーダ 図000012
  • 特開2020164323-ボウルフィーダ 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-164323(P2020-164323A)
(43)【公開日】2020年10月8日
(54)【発明の名称】ボウルフィーダ
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/14 20060101AFI20200911BHJP
【FI】
   B65G47/14 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-68944(P2019-68944)
(22)【出願日】2019年3月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】迎 邦暁
【テーマコード(参考)】
3F080
【Fターム(参考)】
3F080AA13
3F080BA02
3F080BC01
3F080BC07
3F080CB02
3F080CB08
3F080CB11
3F080DA01
3F080DA02
3F080DA07
3F080DA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ワークの層規制を適正に行いつつ、ボウルフィーダの搬送能力が低下するのを抑制する。
【解決手段】ボウルフィーダ1はワークを収容するボウル11と、ボウル11を振動させるボウル側振動源とを備え、ボウル11はその周縁部から上傾斜する壁面11bを有し、壁面11bは周方向に形成された螺旋状の搬送溝12と、螺旋状の搬送溝12の一部の外側において螺旋状の搬送溝12の一部に沿って形成された複数の層規制用搬送溝60とを備え、平面視で層規制用搬送溝60の搬送方向下流側の端部において、螺旋状の搬送溝12の底部の位置は層規制用搬送溝60の底部の位置まで径方向外側に切り替えられる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物を収容するボウルと、前記ボウルを振動させる振動源とを備え、
前記ボウルは、その周縁部から上傾斜する壁面を有し、
前記壁面は、
周方向に形成された螺旋状の搬送溝と、
前記螺旋状の搬送溝の一部の外側において前記螺旋状の搬送溝の一部に沿って形成された1または複数の層規制用搬送溝とを備え、
平面視で前記層規制用搬送溝の搬送方向下流側の端部において、前記螺旋状の搬送溝の底部の位置は、前記層規制用搬送溝の底部の位置まで径方向外側に切り替えられることを特徴とするボウルフィーダ。
【請求項2】
前記層規制用搬送溝の少なくとも一部の搬送方向に沿った勾配は、前記螺旋状の搬送溝の搬送方向に沿った勾配より小さいことを特徴とする請求項1に記載のボウルフィーダ。
【請求項3】
前記螺旋状の搬送溝の底部と前記層規制用搬送溝の底部との距離は、搬送方向上流側から搬送方向下流側に向かって徐々に小さくなることを特徴とする請求項1または2に記載のボウルフィーダ。
【請求項4】
前記層規制用搬送溝の搬送方向上流側の端部において前記螺旋状の搬送溝と前記層規制用搬送溝との間に、段部が形成され、
前記段部の高さは、搬送方向下流側に向かうにつれて低くなり、
前記層規制用搬送溝の搬送方向下流側の端部において前記螺旋状の搬送溝の走行面と前記層規制用搬送溝の走行面とが同一平面上に配置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のボウルフィーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動により被搬送物を搬送するボウルフィーダに関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品等の被搬送物(ワーク)を搬送するためにパーツフィーダが用いられるが、このパーツフィーダでは、搬送経路を構成する搬送溝に振動が加えられることにより、搬送溝に沿ってワークを搬送できる。パーツフィーダとして、例えば、ワークを収容できるボウルを有するボウルフィーダがある。このボウルフィーダでは、ボウルの周縁部に上傾斜する壁面が形成されており、その壁面には、周方向に形成された螺旋状の搬送溝(部品供給路)が形成される。そのため、供給手段からボウルに供給されたワークは、その螺旋状の搬送溝に沿って1列に配列された状態で搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−284336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ボウルフィーダにおいて、ワークがボウル内の螺旋状の搬送溝に沿って搬送されるときに、2つのワークが上下2層に重なった状態になる場合がある。ボウルフィーダにおけるワークの層規制(上下2層に重なった2つのワークを重なってない状態にする)を行う方法として、図9に示すように、層規制を行うための層規制用搬送溝160を螺旋状の搬送溝112の外側に形成することが考えられる。層規制用搬送溝160は、螺旋状の搬送溝112の外側にワークの1個分以上の距離を隔てて形成した後、螺旋状の搬送溝112との距離を徐々に小さくして、螺旋状の搬送溝112に合流するように形成される。
【0005】
図10(a)〜図10(c)は、ボウル111における層規制用搬送溝160の入口部近傍、中間部近傍、層規制用搬送溝160より搬送方向下流側の断面図である。具体的には、図10(a)〜図10(c)は、それぞれ、図9のAA1-AA1線、AA2-AA2線、AA3-AA3線における断面図である。
【0006】
図10(a)〜図10(c)に示すように、螺旋状の搬送溝112及び層規制用搬送溝160は、縦断面でV字状に形成される。図10(a)に示すように、層規制用搬送溝160の入口部近傍(図9のAA1-AA1線断面)において、螺旋状の搬送溝112の底部112tと層規制用搬送溝160の底部160tとは、略同一の高さに配置される。螺旋状の搬送溝112の底部112tの高さは、層規制用搬送溝160の入口部から中間部(図9のAA2-AA2線断面)、出口部(図9のAA2-AA2線断面とAA3-AA3線断面の間)に向かって緩やかに高くなるように変化する。
【0007】
図10(b)に示すように、層規制用搬送溝160の中間部近傍では、層規制用搬送溝160の底部160tが、螺旋状の搬送溝112の底部112tより高くなる。その後、層規制用搬送溝160が螺旋状の搬送溝112に合流すると、図10(c)に示すように、螺旋状の搬送溝112のみが形成される。
【0008】
このように、螺旋状の搬送溝112の外側に層規制用搬送溝160を形成することにより、図11(a)に示すように、螺旋状の搬送溝112において2つのワークが上下2層に重なっている場合に、図11(b)及び図11(c)に示すように、上側のワークが、層規制用搬送溝160に移動し、その後、図11(d)に示すように、層規制用搬送溝160を搬送された後、螺旋状の搬送溝112に合流することで、図11(e)に示すように、ワークが重なってない状態にすることが可能である。
【0009】
上述のようにして、ボウルフィーダにおけるワークの層規制を行うことが可能であるが、層規制用搬送溝160は、螺旋状の搬送溝112に対して登らせる高さが大きいため、層規制用搬送溝160の搬送方向に沿った勾配は、螺旋状の搬送溝112の搬送方向に沿った勾配より大きくなる。そのため、層規制用搬送溝160を移動するワークの搬送速度が、螺旋状の搬送溝112を移動するワークの搬送速度と比べて遅くなる。螺旋状の搬送溝112と層規制用搬送溝160とが合流する場合において、螺旋状の搬送溝112を移動するワークの搬送速度と、層規制用搬送溝160を移動するワークの搬送速度とが異なる場合、ボウルフィーダにおける搬送能力は、遅い方の搬送速度に依存することから、ボウルフィーダの搬送能力が低下してしまう。
【0010】
そこで本発明は、ワークの層規制を適正に行いつつ搬送能力の低下を抑制可能なボウルフィーダを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0012】
すなわち、本発明に係るボウルフィーダは、被搬送物を収容するボウルと、前記ボウルを振動させる振動源とを備え、前記ボウルは、その周縁部から上傾斜する壁面を有し、前記壁面は、周方向に形成された螺旋状の搬送溝と、前記螺旋状の搬送溝の一部の外側において前記螺旋状の搬送溝の一部に沿って形成された1または複数の層規制用搬送溝とを備え、平面視で前記層規制用搬送溝の搬送方向下流側の端部において、前記螺旋状の搬送溝の底部の位置は、前記層規制用搬送溝の底部の位置まで径方向外側に切り替えられることを特徴とする。
【0013】
これにより、本発明に係るボウルフィーダでは、層規制用搬送溝が螺旋状の搬送溝の外側に形成されているが、層規制用搬送溝の搬送方向に沿った勾配を螺旋状の搬送溝の搬送方向に沿った勾配より大きくする必要がない。そのため、ワークの層規制を適正に行いつつ、ボウルフィーダの搬送能力が低下するのを抑制可能である。
【0014】
本発明に係るボウルフィーダにおいて、前記層規制用搬送溝の搬送方向に沿った勾配は、前記螺旋状の搬送溝の搬送方向に沿った勾配より小さいことを特徴とする。
【0015】
これにより、本発明に係るボウルフィーダでは、層規制用搬送溝を移動するワークの搬送速度が、螺旋状の搬送溝を移動するワークの搬送速度より速くなるため、層規制用搬送溝を形成したことにより、ボウルフィーダの搬送能力が低下するのを抑制可能である。
【0016】
本発明に係るボウルフィーダにおいて、前記螺旋状の搬送溝の底部と前記層規制用搬送溝の底部との距離は、搬送方向上流側から搬送方向下流側に向かって徐々に小さくなることを特徴とする。
【0017】
これにより、本発明に係るボウルフィーダでは、ワークの層規制を行った後、層規制用搬送溝を搬送されるワークと螺旋状の搬送溝を搬送されるワークとを適正に合流させることが可能である。
【0018】
本発明に係るボウルフィーダにおいて、前記層規制用搬送溝の搬送方向上流側の端部において前記螺旋状の搬送溝と前記層規制用搬送溝との間に、段部が形成され、前記段部の高さは、搬送方向下流側に向かうにつれて低くなり、前記層規制用搬送溝の搬送方向下流側の端部において前記螺旋状の搬送溝の走行面と前記層規制用搬送溝の走行面とが同一平面上に配置されることを特徴とする。
【0019】
これにより、本発明に係るボウルフィーダでは、ワークの層規制を行った後、層規制用搬送溝を搬送されるワークと螺旋状の搬送溝を搬送されるワークとを適正に合流させることが可能である。
【発明の効果】
【0020】
以上説明した本発明によれば、ワークの層規制を適正に行いつつ、搬送能力が低下するのを抑制可能なボウルフィーダを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係るパーツフィーダを示す斜視図である。
図2図1のパーツフィーダにおけるボウルフィーダの下流端部分とリニアフィーダの上流端部分を示す要部拡大斜視図である。
図3図1のパーツフィーダにおけるボウルフィーダの下流端部分とリニアフィーダの上流端部分を示す要部拡大側面図である。
図4図4(a)は、出口ブロックを上方から見た斜視図であり、図4(b)は、出口ブロックを下方から見た斜視図である。
図5図5(a)は、出口ブロックの概略側面図であり、図5(b)は、図5(a)のA-A直線における断面図である。
図6】ボウルフィーダのボウルの部分平面図である。
図7図7(a)〜図7(c)は、図6のボウルフィーダのボウルにおける層規制用搬送溝の入口部近傍、中間部近傍、出口部近傍の断面図である。
図8図6のボウルフィーダにおけるワークの層規制を説明する図である。
図9】従来のボウルフィーダのボウルの部分平面図である。
図10図10(a)〜図10(c)は、図9のボウルにおける層規制用搬送溝の入口部近傍、中間部近傍、層規制用搬送溝より搬送方向下流側の断面図である。
図11図9のボウルフィーダにおけるワークの層規制を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、上流及び下流とは、パーツフィーダにおける被搬送物(ワーク)の搬送方向(ボウルフィーダ1からリニアフィーダ4に向かって搬送される方向)を基準とした表現である。
【0023】
図1に示すように、本実施形態のパーツフィーダ100は、例えばICチップ、微小なコイル等のワークを整列させるボウルフィーダ1と、ボウルフィーダ1により搬送されてきたワークを、さらに一定方向に搬送するリニアフィーダ4とを備える。ボウルフィーダ1及びリニアフィーダ4は、台座5上に配置されている。
【0024】
ボウルフィーダ1は、図示しない供給手段から供給されたワークを収容できるボウル11と、ボウル11の下方に位置する振動源としてのボウル側振動源16とを備える。ボウル11は、中央が膨出した平面視円形の底部11aと、底部11aの周縁部から上傾斜する壁面11bとを有する。本実施形態では、例えば略直方体のワークを搬送する場合について説明する。
【0025】
壁面11bには、周方向に形成された螺旋状の搬送溝12が形成される。搬送溝12は、搬送方向下流端(リニアフィーダ4近傍の端部)において、図2に示すように縦断面でV字状に形成される。搬送溝12は、緩斜面である走行面12aと、急斜面である壁面12bとにより形成される。壁面12bは、走行面12aの幅方向端部(図2の右側端縁部)に対し直交する面である。そのため、搬送溝12に沿って搬送されるワークは、走行面12a及び壁面12bに当接した状態で、壁面12bに案内されつつ走行面12a上を移動する。
【0026】
ボウル側振動源16は、電磁石と、ボウル11を下方から支持する板ばねとを有し、電磁石の励磁によりボウル側振動源16からボウル11に振動が伝達され、ボウル11がねじり振動する。ボウル側振動源16を駆動させてボウル11を振動させることにより、ワークが周方向に順次搬送される。
【0027】
ボウル11の搬送方向下流端には、ボウルフィーダ1の一部としての出口ブロック3が接続される。出口ブロック3は、ボウル11の搬送方向下流端に対して着脱可能である。図2に示すように、出口ブロック3は、ボウル11にボルト固定されており、ボウル側振動源16によりボウル11と共に振動させられる。出口ブロック3のリニアフィーダ4に対する位置の調節は、ボウル11及び出口ブロック3を台座5に対して移動させることでなされる。
【0028】
出口ブロック3の上部には、略水平方向に延びる搬送溝31が形成されている。搬送溝31は、図2図5に示すように縦断面でV字状に形成される。搬送溝31は、ボウル11の搬送溝12と同様、緩斜面である走行面31aと、急斜面である壁面31bとにより形成される。壁面31bは、走行面31aの幅方向端部(図2の右側端縁部)に対し直交する面であり、走行面31aと壁面31bとにより搬送溝31の底部31tが形成される。そのため、搬送溝31に沿って搬送されるワークは、走行面31a及び壁面31bに当接した状態で、壁面31bに案内されつつ走行面31a上を移動する。
【0029】
リニアフィーダ5は、ボウルフィーダ1の搬送方向下流側に配置されており、ワークは、ボウル11から出口ブロック3を介してリニアフィーダ4のトラフ41へと水平方向に移送される。リニアフィーダ5は、搬送方向に沿って直線状に延びるトラフ51と、トラフ51の下方に位置する振動源(ボウル側振動源16とは異なる振動源である)としてのリニア側振動源56とを有する。トラフ51の搬送方向上流側の端部51aは、出口ブロック3に対して、振動が伝達されないような間隔をおいて隣接している。
【0030】
トラフ51の上部には、略水平方向に延びる搬送溝52が形成されている。搬送溝52は、図2に示すように縦断面でV字状に形成される。搬送溝52は、ボウル11の搬送溝12及び出口ブロック3の搬送溝31と同様、緩斜面である走行面52aと、急斜面である壁面52bとにより形成される。壁面52bは、走行面52aの幅方向端部(図2の右側端縁部)に対し直交する面である。そのため、搬送溝52に沿って搬送されるワークは、走行面52a及び壁面52bに当接した状態で、壁面52bに案内されつつ走行面52a上を移動する。
【0031】
リニア側振動源56は、電磁石と、トラフ51を支持する板ばねとを有し、電磁石の励磁によりリニア側振動源56からトラフ51に振動が伝達され、トラフ51が往復振動する。リニア側振動源56を駆動させてトラフ51を振動させることにより、出口ブロック3から移送されたワークが、搬送方向下流側に順次搬送される。
【0032】
出口ブロック3の搬送方向下流端には、リニアフィーダ5側に突出する端部32が形成される。端部32は、走行面31aの搬送方向下流端に配置された板状部32aと、壁面31bの搬送方向下流端に配置された板状部32bとを有している。板状部32aは、トラフ51の走行面52aにオーバーラップするように上方(鉛直上方)に位置し、板状部32bは、トラフ51の壁面52bにオーバーラップするように位置する。そのため、端部32の搬送方向下流側端部における搬送溝31の底部31tに対応した部分は、トラフ51にオーバーラップするように上方(鉛直上方)に位置する。板状部32aは、トラフ51の走行面52aの搬送方向上流端の上方に隙間を隔てて配置される。そのため、出口ブロック3の端部32とリニアフィーダ5のトラフ51との間で振動が絶縁される。つまり、ボウル11及び出口ブロック3のボウル側振動源16の振動は、トラフ51に伝達されず、リニア側振動源56の振動は、ボウル11及び出口ブロック3に伝達されない。これにより、例えば振動が干渉してワークの搬送に支障が生じたり、応力の集中によりパーツフィーダ100の故障を招いたりする可能性を小さくできる。
【0033】
端部32の板状部32a及び板状部32bにおける搬送溝31の底部31tに対応した部分(端部32の搬送方向下流側端部における搬送溝31の底部31tに対応した部分)の厚さは、底部31tに対応した部分の周囲の厚さより小さい。すなわち、底部31tに対応した部分の周囲とは、底部31tに対応した部分の搬送方向に垂直な方向にある部分や、底部31tに対応した部分の搬送方向上流側にある部分である。本実施形態において、端部32の搬送方向に垂直な断面の厚さは、搬送溝31の底部31tに対応した部分に向かって徐々に小さくなる。すなわち、板状部32a及び板状部32bの厚さは、図4(a)及び図4(b)に示すように、搬送溝31の底部31tに対応した部分に向かって徐々に小さくなる。また、端部32の搬送方向に平行な断面の厚さは、端部32の先端に向かって徐々に小さくなる。すなわち、搬送溝31の底部31tに対応した部分の厚さは、図5(a)のA-A線における断面である図5(b)に示すように、端部32の先端に向かって徐々に小さくなる。よって、端部32の板状部32a及び板状部32bは、搬送溝31の底部31tに対応した部分に向かって厚さが小さくなるようにテーパ状にそれぞれ形成される。
【0034】
上述したように、ボウルフィーダ1において、ボウル11の壁面11bには、周方向に形成された螺旋状の搬送溝12が形成されているが、図6に示すように、螺旋状の搬送溝12の外側(径方向外側)には、複数の層規制用搬送溝60が形成されている。複数の層規制用搬送溝60は、螺旋状の搬送溝12に沿って離れた複数個所に形成されているが、図6は、螺旋状の搬送溝12の一部の外側に形成された1つの層規制用搬送溝60が図示されている。
【0035】
本実施形態では、螺旋状の搬送溝12の外側に層規制用搬送溝60を形成することにより、ボウルフィーダ1において、ワークがボウル11内の螺旋状の搬送溝12に沿って搬送されるときに、2つのワークが上下2層に重なった状態になった場合に、ボウルフィーダ1におけるワークの層規制(上下2層に重なった2つのワークを重なってない状態にする)を行うことが可能である。
【0036】
層規制を行うための層規制用搬送溝60は、螺旋状の搬送溝12の外側において螺旋状の搬送溝12の一部に沿って形成される。層規制用搬送溝60は、螺旋状の搬送溝12の外側にワークの1個分以上の距離を隔てて形成された後、螺旋状の搬送溝12との距離が徐々に小さくなる。層規制用搬送溝60は、その搬送方向上流側の端部近傍から搬送方向下流側の端部近傍まで全域にわたって、搬送方向下流側に向かって徐々に高くなるように傾斜して、層規制用搬送溝60の搬送方向下流側の端部において、螺旋状の搬送溝12と合流する。
【0037】
図7(a)〜図7(c)は、ボウル11における層規制用搬送溝60の入口部近傍、中間部近傍、出口部近傍の断面図である。具体的には、図7(a)〜図7(c)は、それぞれ、図6のA1-A1線、A2-A2線、A3-A3線における断面図である。
【0038】
層規制用搬送溝60は、螺旋状の搬送溝12と同様に、図7(a)〜図7(c)に示すように、縦断面でV字状に形成される。層規制用搬送溝60は、緩斜面である走行面60aと、急斜面である壁面60bとにより形成される。壁面60bは、走行面60aの幅方向端部(図7の右側端縁部)に対し直交する面である。そのため、層規制用搬送溝60に沿って搬送されるワークは、走行面60a及び壁面60bに当接した状態で、壁面60bに案内されつつ走行面60a上を移動する。
【0039】
図7(a)に示すように、層規制用搬送溝60の入口部近傍(図6のA1-A1線断面)において、層規制用搬送溝60の底部60tは、螺旋状の搬送溝12の底部12tより低い位置に配置される。そのため、層規制用搬送溝60の搬送方向上流側の端部において、螺旋状の搬送溝12と層規制用搬送溝60との間に、段部61が形成される。段部61は、層規制用搬送溝60の走行面60aと螺旋状の搬送溝12の走行面12aとが接続される部分であり、螺旋状の搬送溝12の走行面12aに対して層規制用搬送溝60の走行面60aが上方に突出する部分である。螺旋状の搬送溝12の底部12tの高さは、図7(b)及び図7(c)に示すように、層規制用搬送溝60の入口部から中間部(図6のA2-A2線断面)、出口部(図6のA3-A3線断面)に向かって緩やかに高くなるように変化する。
【0040】
螺旋状の搬送溝12の底部12tと層規制用搬送溝60の底部60tとの距離は、搬送方向上流側から搬送方向下流側に向かって徐々に小さくなる。層規制用搬送溝60の底部60tの高さは、層規制用搬送溝60の全域にわたって、搬送方向上流側から搬送方向下流側に向かって徐々に高くなる。層規制用搬送溝60の少なくとも一部の搬送方向に沿った勾配は、螺旋状の搬送溝12の搬送方向に沿った勾配より小さい。層規制用搬送溝60の底部60tと螺旋状の搬送溝12の底部12tとの距離は、層規制用搬送溝60の入口部から、層規制用搬送溝60の中間部、出口部に向かって徐々に小さくなり、螺旋状の搬送溝12と層規制用搬送溝60との間の段部61の高さが徐々に低くなる。そのため、層規制用搬送溝60の搬送方向下流側の端部近傍において、螺旋状の搬送溝12と層規制用搬送溝60との間の段部61がなくなり(段部61の高さが0になり)、螺旋状の搬送溝12の走行面12aと層規制用搬送溝60の走行面60aとが同一平面上に配置される。
【0041】
このように、螺旋状の搬送溝12の外側に層規制用搬送溝60を形成することにより、図8(a)に示すように、螺旋状の搬送溝12において2つのワークが上下2層に重なっている場合に、図8(b)及び図8(c)に示すように、上側のワークが、層規制用搬送溝60に移動し、その後、図8(d)に示すように、層規制用搬送溝60を搬送されるにつれて、螺旋状の搬送溝12と層規制用搬送溝60との間の段部61の高さが低くなり、螺旋状の搬送溝12の走行面12aと層規制用搬送溝60の走行面60aとが同一平面上に配置されると、螺旋状の搬送溝12を搬送されるワークが、その外側の層規制用搬送溝60に移動する。
【0042】
平面視で層規制用搬送溝60の搬送方向下流側の端部において、螺旋状の搬送溝12の底部12tの位置は、層規制用搬送溝60の底部60tの位置まで径方向外側に切り替えられる。すなわち、層規制用搬送溝60の搬送方向下流側の端部より搬送方向下流側においては、層規制用搬送溝60の底部60tを搬送方向下流側に延長した部分に、螺旋状の搬送溝12の底部12tが配置される。そのため、螺旋状の搬送溝12を搬送されるワークと層規制用搬送溝60を搬送されるワークとが合流すると、螺旋状の搬送溝12上において、図8(e)に示すように、ワークが重なった状態が解消されて、ワークが重なってない状態となる。
【0043】
本実施形態のボウルフィーダ1は、ワークを収容するボウル11と、ボウル11を振動させるボウル側振動源16とを備え、ボウル11は、その周縁部から上傾斜する壁面11bを有し、壁面11bは、周方向に形成された螺旋状の搬送溝12と、螺旋状の搬送溝12の一部の外側において螺旋状の搬送溝12の一部に沿って形成された複数の層規制用搬送溝60とを備え、平面視で層規制用搬送溝60の搬送方向下流側の端部において、螺旋状の搬送溝12の底部12tの位置は、層規制用搬送溝60の底部60tの位置まで径方向外側に切り替えられる。
【0044】
これにより、本実施形態のボウルフィーダ1では、層規制用搬送溝60が螺旋状の搬送溝12の径方向外側に形成されているが、層規制用搬送溝60の搬送方向に沿った勾配を螺旋状の搬送溝12の搬送方向に沿った勾配より大きくする必要がない。そのため、ワークの層規制を適正に行いつつ、ボウルフィーダ1の搬送能力が低下するのを抑制可能である。
【0045】
本実施形態のボウルフィーダ1において、層規制用搬送溝60の少なくとも一部の搬送方向に沿った勾配は、螺旋状の搬送溝12の搬送方向に沿った勾配より小さい。
【0046】
これにより、本実施形態のボウルフィーダ1では、層規制用搬送溝60を移動するワークの搬送速度が、螺旋状の搬送溝12を移動するワークの搬送速度より速くなるため、層規制用搬送溝60を形成したことにより、ボウルフィーダ1の搬送能力が低下するのを抑制可能である。
【0047】
本実施形態のボウルフィーダ1において、螺旋状の搬送溝12の底部12tと層規制用搬送溝60の底部60tとの距離は、搬送方向上流側から搬送方向下流側に向かって徐々に小さくなる。
【0048】
これにより、本実施形態のボウルフィーダ1では、ワークの層規制を行った後、層規制用搬送溝60を搬送されるワークと螺旋状の搬送溝12を搬送されるワークとを適正に合流させることが可能である。
【0049】
本実施形態のボウルフィーダ1において、層規制用搬送溝60の搬送方向上流側の端部において螺旋状の搬送溝12と層規制用搬送溝60との間に、段部61が形成され、段部61の高さは、搬送方向下流側に向かうにつれて低くなり、層規制用搬送溝60の搬送方向下流側の端部において螺旋状の搬送溝12の走行面12aと層規制用搬送溝60の走行面60aとが同一平面上に配置される。
【0050】
これにより、本実施形態のボウルフィーダ1では、ワークの層規制を行った後、層規制用搬送溝60を搬送されるワークと螺旋状の搬送溝12を搬送されるワークとを適正に合流させることが可能である。
【0051】
なお、具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0052】
上記実施形態において、ボウル11の壁面11bには、複数の層規制用搬送溝60が螺旋状の搬送溝12に沿って離れた複数個所に形成されているが、螺旋状の搬送溝12の内側に形成される層規制用搬送溝60の数は任意である。
【符号の説明】
【0053】
1 ボウルフィーダ
11 ボウル
11b 壁面
12 螺旋状の搬送溝
12a 螺旋状の搬送溝の走行面
12t 螺旋状の搬送溝の底部
16 ボウル側振動源(振動源)
60 層規制用搬送溝
60a 層規制用搬送溝の走行面
60t 層規制用搬送溝の底部
61 段部
100 パーツフィーダ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11