特開2020-164686(P2020-164686A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 積水化成品工業株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-164686(P2020-164686A)
(43)【公開日】2020年10月8日
(54)【発明の名称】発泡シート及び発泡容器
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/14 20060101AFI20200911BHJP
   B65D 65/02 20060101ALI20200911BHJP
【FI】
   C08J9/14
   B65D65/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-67586(P2019-67586)
(22)【出願日】2019年3月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100106057
【弁理士】
【氏名又は名称】柳井 則子
(72)【発明者】
【氏名】川守田 祥介
(72)【発明者】
【氏名】加藤 治
【テーマコード(参考)】
3E086
4F074
【Fターム(参考)】
3E086BA16
3E086BB90
3E086CA01
3E086CA32
4F074AA66
4F074AB01
4F074AB03
4F074BA37
4F074BA38
4F074BA95
4F074BB10
4F074BC12
4F074CA22
4F074CC06X
4F074DA02
4F074DA03
4F074DA08
4F074DA23
4F074DA24
4F074DA34
(57)【要約】
【課題】優れた突き刺し強度及び生分解性を有する発泡シート及び発泡容器を提供する。
【解決手段】重量平均分子量15万〜40万の生分解性ポリエステル系樹脂を含む発泡層を有する発泡シート及び発泡容器。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量平均分子量15万〜40万の生分解性ポリエステル系樹脂を含む発泡層を有する発泡シート。
【請求項2】
前記生分解性ポリエステル系樹脂が生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂である、請求項1に記載の発泡シート。
【請求項3】
前記生分解性ポリエステル系樹脂の結晶化発熱量が60〜90J/gである、請求項1又は2に記載の発泡シート。
【請求項4】
前記生分解性ポリエステル系樹脂の融点が80〜120℃である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発泡シート。
【請求項5】
前記生分解性ポリエステル系樹脂がポリブチレンサクシネートである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発泡シート。
【請求項6】
重量平均分子量15万〜40万の生分解性ポリエステル系樹脂を含む発泡層を有する発泡容器。
【請求項7】
前記生分解性ポリエステル系樹脂が生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂である、請求項6に記載の発泡容器。
【請求項8】
前記生分解性ポリエステル系樹脂の結晶化発熱量が60〜80J/gである、請求項6又は7に記載の発泡容器。
【請求項9】
前記生分解性ポリエステル系樹脂の融点が80〜120℃である、請求項6〜8のいずれか1項に記載の発泡容器。
【請求項10】
前記生分解性ポリエステル系樹脂がポリブチレンサクシネートである、請求項6〜9のいずれか1項に記載の発泡容器。
【請求項11】
さらに前記発泡層の少なくとも一方の表面に位置する非発泡層を有する、請求項6〜10のいずれか1項に記載の発泡容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡シート及び発泡容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリエステル系樹脂の発泡体は、軽量で緩衝性に優れており、しかも、多様な形状に成形加工が容易であることから包装材などに多用されている。
近年、山野、河川又は海岸のような場所において、不法に投棄された包装材で環境破壊が起きているといった問題に対する対策が求められるようになってきており、自然環境下で分解可能な生分解性の脂肪族ポリエステル系樹脂の発泡体が包装材などに利用されるようになってきている。
【0003】
特許文献1には、重量平均分子量が5000以上140000以下であり、発泡倍率が10倍以上60倍以下、10%圧縮応力が0.02MPa以上0.15MPa以下であるポリ乳酸系樹脂発泡体が記載されている。
特許文献2には、表裏2層の表面層と、上記表面層の間に配置された中間層との生分解性脂肪族ポリエステルからなる積層体であって、上記中間層が発泡倍率1.1〜30倍、平均気泡径が30〜300μmの生分解性樹脂発泡層からなることを特徴とする生分解性積層発泡シートが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5365940号公報
【特許文献2】特開2006−168321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載されたポリ乳酸系樹脂発泡体は、ビーズ法発泡スチロールと同等の圧縮強度を得ているが、真空成形で用いる場合、強度が低く、成形できない可能性がある。また、特許文献2に記載された生分解性積層発泡シートは、表面層を表裏2層とすることで強度及び成形性を確保しているが、表面層を表裏いずれか1層にしたり、無くしたりした場合には、成形できない可能性がある。
【0006】
本発明は、優れた突き刺し強度及び生分解性を有する発泡シート及び発泡容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1] 重量平均分子量15万〜40万の生分解性ポリエステル系樹脂を含む発泡層を有する発泡シート。
[2] 上記生分解性ポリエステル系樹脂が生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂である、[1]に記載の発泡シート。
[3] 上記生分解性ポリエステル系樹脂の結晶化発熱量が60〜90J/gである、[1]又は[2]に記載の発泡シート。
[4] 上記生分解性ポリエステル系樹脂の融点が80〜120℃である、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の発泡シート。
[5] 上記生分解性ポリエステル系樹脂がポリブチレンサクシネートである、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の発泡シート。
[6] 重量平均分子量15万〜40万の生分解性ポリエステル系樹脂を含む発泡層を有する発泡容器。
[7] 前記生分解性ポリエステル系樹脂が生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂である、[6]に記載の発泡容器。
[8] 前記生分解性ポリエステル系樹脂の結晶化発熱量が60〜90J/gである、[6]又は[7]に記載の発泡容器。
[9] 前記生分解性ポリエステル系樹脂の融点が80〜120℃である、[6]〜[8]のいずれか1つに記載の発泡容器。
[10] 前記生分解性ポリエステル系樹脂がポリブチレンサクシネートである、[6]〜[9]のいずれか1つに記載の発泡容器。
[11] さらに前記発泡層の少なくとも一方の表面に位置する非発泡層を有する、[6]〜[10]のいずれか1つに記載の発泡容器。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、優れた突き刺し強度及び生分解性を有する発泡シート及び発泡容器を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
「〜」を用いて表される数値範囲は、両端の値を含むものとする。
「生分解性」とは、微生物によって完全に消費され、二酸化炭素、水、メタン等の自然的副産物のみを生じる性質をいう。
【0010】
[発泡シート]
本発明の発泡シートは、生分解性ポリエステル系樹脂(X)の発泡層(A)を有する。
本発明の発泡シートは、さらに、発泡層(A)の少なくとも一方の表面に位置する非発泡層(B)を有してもよい。
【0011】
<生分解性ポリエステル系樹脂(X)>
(生分解性ポリエステル系樹脂(X)の種類)
生分解性ポリエステル系樹脂(X)の種類は、生分解性のポリエステル系樹脂であれば特に限定されないが、例えば、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(カプロラクトン/ブチレンサクシネート)(PCLBS)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)(PBSA)、ポリ(ブチレンサクシネート/カーボネート)(PEC)、ポリ(エチレンテレフタレート/サクシネート)(PETS)、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)(PBAT)、ポリ(テトラメチレンアジペート/テレフタレート)(PTMT)及びポリエチレンサクシネート(PES)が挙げられる。
生分解性ポリエステル系樹脂(X)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0012】
生分解性ポリエステル系樹脂(X)としては、比較的に強度に優れることから、生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(X’)が好ましい。生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(X’)の具体例は、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(カプロラクトン/ブチレンサクシネート)(PCLBS)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)(PBSA)、ポリ(ブチレンサクシネート/カーボネート)(PEC)及びポリエチレンサクシネート(PES)である。生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(X’)としては、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)及びポリエチレンサクシネート(PES)からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、土壌中での分解速度の点から、ポリブチレンサクシネートが特に好ましい。
生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(X’)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0013】
(生分解性ポリエステル系樹脂(X)の重量平均分子量)
生分解性ポリエステル系樹脂(X)の重量平均分子量は、15×10〜40×10であり、15×10〜30×10が好ましく、15×10〜25×10がより好ましい。生分解性ポリエステル系樹脂(X)の重量平均分子量がこの範囲内であると、突き刺し強度が優れる。
生分解性ポリエステル系樹脂(X)としては、重量平均分子量が15×10未満の生分解性ポリエステル系樹脂を架橋して分子量を増大し、重量平均分子量を15×10〜40×10の範囲内としたものも用いることができる。
【0014】
生分解性ポリエステル系樹脂(X)の重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定した、標準ポリスチレン(PS)換算重量平均分子量である。
具体的な測定方法は、以下のとおりである。
生分解性ポリエステル系樹脂(X)の15mgをクロロホルム6mLに溶解する(浸透時間:6.0±1.0hr(完全溶解))。クロロホルム溶液をフィルター(非水系0.45μmシリンジフィルター、島津ジーエルシー社製)で濾過して測定サンプルとする。発泡シート又は発泡容器に含まれる生分解性ポリエステル系樹脂(X)の重量平均分子量を測定するには、発泡シート又は発泡容器のから切り取った試料をクロロホルムに溶解して用いる。
標準ポリスチレンを以下の測定条件により分析し、標準ポリスチレン検量線を作成する。
次の測定条件にて測定サンプルを測定し、予め作成しておいた標準ポリスチレン検量線により、生分解性ポリエステル系樹脂(X)の重量平均分子量を算出する。
【0015】
・測定条件
測定装置:
ゲル浸透クロマトグラフ(RI検出器・UV検出器内蔵)(HLC−8320GPC EcoSEC、東ソー社製)
カラム構成:
サンプル側
ガードカラム TSKgel guardcolumn HXL−H(東ソー社製;6.0mmI.D.×4cm)×1本
測定カラム TSKgel GMHXL(7.8mmI.D.×30cm)×2本直列
リファレンス側
抵抗管(内径0.1mm×2m)×2本直列
カラム温度:40℃
移動相:クロロホルム
移動相流量:
サンプル側 1.0mL/分
リファレンス側 0.5mL/分
検出器:示差屈折率(RI)検出器
標準試料:検量線用標準ポリスチレン試料
試料注入量:50μL
測定時間:26分
サンプリングピッチ:500m秒
【0016】
検量線用標準ポリスチレン試料は、STANDARD SM−105(昭和電工社製)及びSTANDARD SH−75(昭和電工社製)で、重量平均分子量(Mw)が5620000、3120000、1250000、442000、151000、53500、17000、7660、2900、1320のポリスチレン(PS)を用いる。
【0017】
以下の方法によって検量線を作成する。
検量線用標準ポリスチレンを、Aグループ(Mw=5620000のPS、Mw=1250000のPS、Mw=151000のPS、Mw=17000のPS、Mw=2900のPS)とBグループ(Mw=3120000のPS、Mw=442000のPS、Mw=53500のPS、Mw=7660のPS、Mw=1320のPS)にグループ分けする。
Aグループから、Mw=5620000のPSを2mg、Mw=1250000をPSの3mg、Mw=151000のPSを4mg、Mw=17000のPSを4mg、Mw=2900のPSを4mg、それぞれ秤量し、クロロホルム30mLに全量を溶解する。
Bグループから、Mw=3120000のPSを3mg、Mw=442000のPSを4mg、Mw=53500のPSを4mg、Mw=7660のPSを4mg、Mw=1320のPSを4mg、それぞれ秤量し、クロロホルム30mLに全量を溶解する。
標準ポリスチレン検量線は、Aグループ及びBグループの溶解液を50μL注入して測定後に得られた保持時間から校正曲線(3次式)を作成することにより得る。
【0018】
(生分解性ポリエステル系樹脂(X)の融点)
生分解性ポリエステル系樹脂(X)の融点は、80〜120℃が好ましく、100〜120℃がより好ましく、105〜120℃がさらに好ましい。融点がこの範囲内であると、耐熱性と成形性のバランスがより良好になる。
生分解性ポリエステル系樹脂(X)の融点の測定は、JIS K 7121:2012「プラスチックの転移温度測定方法」に準じて行う。具体的には、示差走査熱量測定(DSC)装置を用いて、以下に記載する測定方法によって測定する。
【0019】
DSC装置(DSC7000X AS−3、日立ハイテクサイエンス社製)の一方の容器ホルダーに、生分解性ポリエステル系樹脂(X)の試験片を5.5mg充填したアルミニウム製容器(容器本体:日立ハイテクサイエンス(株)製、商品コード:GAA−0065 蓋:日立ハイテクサイエンス(株)製、商品コード:GAA−0064)を装着し、他方の容器ホルダーに、基準物質としてアルミナを5.5mg充填したアルミニウム製容器を装着する。
窒素ガス流量20mL/分下において、昇温速度5℃/分及び降温速度5℃/分で、試験片を、常温から−80℃まで降温(一次降温)した後15分間保持し、−80℃から200℃まで昇温(一次昇温)し、10分間保持後200℃から−80℃まで降温(二次降温)し、20分間保持後−80℃から200℃まで昇温(二次昇温)して、DSC装置にDSC曲線を描かせる。
JIS K 7121:2012の「融解温度の求め方」に従って、生分解性ポリエステル系樹脂(X)の融解温度(融点)を求める。
【0020】
(生分解性ポリエステル系樹脂(X)の結晶化温度)
生分解性ポリエステル系樹脂(X)の結晶化温度は、特に限定されないが、70〜110℃が好ましく、80〜105℃がより好ましく、80〜100℃がさらに好ましい。結晶化温度がこの範囲内であると、発泡シートの2次成形時の成形時間を早くしたり、発泡シートの製造が安定化させたりできる。
生分解性ポリエステル系樹脂(X)の結晶化温度の測定は、JIS K 7121:2012「プラスチックの転移温度測定方法」に準じて行う。具体的には、示差走査熱量測定(DSC)装置を用いて、以下に記載する測定方法によって測定する。
【0021】
上述した生分解性ポリエステル系樹脂(X)の融点の測定方法と同様にして、DSC装置にDSC曲線を描かせる。
JIS K 7121:2012の「結晶化温度の求め方」に従って、生分解性ポリエステル系樹脂(X)の結晶化温度を求める。
【0022】
(生分解性ポリエステル系樹脂(X)の結晶化発熱量)
生分解性ポリエステル系樹脂(X)の結晶化発熱量は、特に限定されないが、60〜90J/gが好ましく、60〜75J/gがより好ましい。結晶化発熱量がこの範囲内であると、結晶の凝集力が適度であり、熱成形性と耐熱性のバランスがより良好になる。
生分解性ポリエステル系樹脂(X)の結晶化発熱量の測定は、JIS K 7122:2012「プラスチックの転移熱測定方法」に準じて行う。具体的には、示差走査熱量測定(DSC)装置を用いて、以下に記載する測定方法によって測定する。
【0023】
上述した生分解性ポリエステル系樹脂(X)の融点の測定方法と同様にして、DSC装置にDSC曲線を描かせる。
JIS K 7122:2012の「転移熱の求め方」に従って、生分解性ポリエステル系樹脂(X)の転移熱(結晶化熱)を求める。
【0024】
<発泡層(A)>
発泡層(A)は、生分解性ポリエステル系樹脂(X)を含む発泡体である。
発泡層(A)は、生分解性ポリエステル系樹脂(X)を含む発泡体の単層構造又は複層構造であり得る。
【0025】
(発泡層(A)の厚み)
発泡層(A)の厚みは、特に限定されないが、0.5〜5mmが好ましく、0.5〜3mmがより好ましく、1〜2mmがさらに好ましい。発泡層(A)の厚みがこの範囲内であると、成形品の強度がより優れる。
本発明の発泡シートが発泡層(A)のみからなる場合は、発泡層(A)の厚みが発泡シートの厚みとなる。
発泡層(A)の厚みは、以下の方法によって測定できる。
発泡シートの幅方向(製造時の押出方向に直交する方向)の両端20mmを除き、幅方向50mm間隔の位置を測定点とし、ダイヤルゲージSM−112(テクロック社製)を用い、測定点を最小単位0.01mmで測定する。この測定値の平均値を、発泡層(A)の厚み(mm)とする。
【0026】
(発泡層(A)の坪量)
発泡層(A)の坪量は、特に限定されないが、100〜650g/mが好ましく、250〜650g/mがより好ましく、300〜600g/mがさらに好ましい。
発泡層(A)の坪量がこの範囲内であると、成形性や成形品の強度がより優れる。
本発明の発泡シートが発泡層(A)のみからなる場合は、発泡層(A)の坪量が発泡シートの坪量となる。
発泡層(A)の坪量は、発泡層(A)の幅方向の両端20mmを除いた部分を、幅方向に等間隔に10cm×10cmに切り取り、各切片の質量〔g〕を0.01g単位まで測定し、各切片の質量(g)の平均値を平米当たりの質量に換算した値を、発泡層の坪量(g/m)とする。
【0027】
(発泡層(A)の平均気泡径)
発泡層(A)の平均気泡径は、特に限定されないが、100〜700μmが好ましい。発泡層(A)の平均気泡径がこの範囲内であると、成形品の外観がより美麗となる。
本発明の発泡シートが発泡層(A)のみからなる場合は、発泡層(A)の平均気泡径が発泡シートの平均気泡径となる。
【0028】
発泡層(A)の平均気泡径は、ASTM D2842−69の試験方法に準拠して測定する。具体的には、以下に記載する測定方法によって測定する。
【0029】
発泡層(A)をMD方向(押出し方向)及びTD方向(押出し方向に直交する方向)に沿って切断し、それぞれの切断面の中央部を走査型電子顕微鏡で拡大して撮影する。
撮影した画像をA4用紙上に印刷し、MD方向に沿って切断した切断面の画像においては、押出方向に平行な長さ60mmの直線を一本描き、この直線上に存在する気泡数を数え、下記式(1)に基づいて押出方向の平均弦長(t)を算出する。
平均弦長(t)=60/(気泡数×写真の倍率) ・・・(1)
同様に、TD方向に沿って切断した切断面の画像においては、押出方向に直交する方向に平行な長さ60mmの直線を一本、描き、この直線上に存在する気泡数を数え、上記式(1)に基づいて押出方向に直交する方向の平均弦長(t)を算出する。
MD方向、TD方向それぞれにおいては、この60mmの直線上に気泡数が10〜20個程度並ぶように上記電子顕微鏡での撮影における拡大倍率を調整する。
また、直線を描くにあたっては、できるだけ直線が気泡に点接触することなく貫通した状態となるようにし、一部の気泡が直線に点接触してしまう場合には、この気泡も気泡数に含め、さらに、直線の両端部が気泡を貫通することなく、気泡内に位置した状態となる場合には、直線の両端部が位置している気泡も気泡数に含める。
そして、算出した各方向における平均弦長(t)をそれぞれMD方向の気泡径(DMD)(μm)及びTD方向の気泡径(DTD)(μm)とし、下記式(2)に示す相加平均によって平均気泡径(DAVG)(μm)を算出する。
平均気泡径:DAVG=(DMD+DTD)/2 ・・・(2)
【0030】
(発泡層(A)の突き刺し強度)
発泡層(A)の突き刺し強度は、特に限定されないが、6〜25Nが好ましく、7〜23Nがより好ましく、8〜21Nがさらに好ましい。突き刺し強度がこの範囲内であると、発泡シートを成形した発泡容器の内容物保持性がより優れる。
本発明の発泡シートが発泡層(A)のみからなる場合は、発泡層(A)の突き刺し強度が発泡シート及び発泡容器の突き刺し強度となる。
【0031】
発泡層(A)の突き刺し強度の測定は、JIS Z 1707:1997「食品包装用プラスチックフィルム通則」の「試験方法」の「突き刺し強さ試験」に準じて行う。具体的には、テンシロン万能試験機を用いて、以下に記載する測定方法によって測定する。
【0032】
発泡層(A)のみからなる発泡シートを製造する。発泡シートから、流れ方向(MD)及び幅方向(TD)に沿って、52mm(幅)×52mm(長さ)の正方形のシートを各5枚切り出して、試験片として用いる。試験片は、温度23±2℃、相対湿度50±5%において、24時間以上状態調節する。
試験片をテンシロン万能試験機(RTG−1310、エーアンドデー社製)に固定し、直径1.0mm、先端形状半径0.5mm半円形の針(突き刺し冶具TKS−20N、イマダ社製)を50mm/分の速度で突き刺し、針が貫通するまでの最大応力(最大点荷重)を測定する。試験片の最大点荷重の相加平均を発泡層(A)の突き刺し強度とする。
【0033】
(発泡層(A)の製造方法)
発泡層(A)の製造方法においては、生分解性ポリエステル系樹脂(X)を含む発泡層形成用樹脂組成物を用いることが好ましい。本発明の発泡シートが発泡層(A)のみからなる場合は、発泡層(A)の製造方法が本発明の発泡シートの製造方法となる。
【0034】
発泡層形成用樹脂組成物を用いて発泡層(A)を製造する製造方法について説明する。
発泡層(A)の製造方法においては、押出機と、その押出機の先端に取りつけたダイとを用い、発泡層形成用樹脂組成物を上記押出機において溶融混練し、上記ダイの吐出口からシート状に押出発泡させる方法を採用することができる。
発泡層(A)の製造に際しては、上記ダイとしてサーキュラーダイ又はフラットダイを用いて上記発泡層形成用樹脂組成物をシート状に押出発泡させることができる。上記ダイとして、サーキュラーダイを用いることが好ましい。また、サーキュラーダイから吐出される際のせん断速度は1.5×10〜1.0×10−1であることが好ましい。
上記せん断速度は、単位時間当たりにダイから吐出される発泡層形成用樹脂組成物の体積と、ダイの開口面積等から算出することができる。具体的な求め方を以下に説明する。
サーキュラーダイの吐出口における剪断速度γは、下記の計算式により算出される。
せん断速度γ(秒−1)=(6×Q)/(W×t
ただし、Q(cm/秒)は、単位時間当たりに押し出される発泡層形成用樹脂組成物の体積であり、W(cm)は吐出口の円周、t(cm)は吐出口の開口幅である。
ダイにおける剪断速度以外の押出条件については、通常の押出発泡と同様の条件とすることができる。
【0035】
・発泡層形成用組成物
上記発泡層形成用組成物は、生分解性ポリエステル系樹脂(X)を含む。
上記発泡層形成用組成物は、生分解性ポリエステル系樹脂(X)の他に、さらに、生分解性充填剤(Y)、結晶化促進剤、発泡剤及び気泡調整剤からなる群から選択される1種以上を含んでもよい。
【0036】
・生分解性充填剤(Y)
生分解性充填剤(Y)としては、例えば、デンプン、米粉、セルロース及びリグニン等が挙げられる。
生分解性充填剤(Y)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0037】
上記発泡層形成用樹脂組成物が生分解性充填剤(Y)を含む場合の、上記発泡層形成用樹脂組成物中の生分解性ポリマー(Y)の含有量は、本発明の効果を妨げない範囲であれば特に限定されないが、生分解性ポリエステル系樹脂(X)の100質量部に対して、0.1〜50質量部が好ましく、0.5〜30質量部がより好ましく、0.5〜20質量部がさらに好ましい。
【0038】
・結晶化促進剤
上記結晶化促進剤としては、無機系結晶化促進剤及び有機系結晶化促進剤からなる群から選択される1種以上を使用してもよい。
上記無機系結晶化促進剤としては、ケイ酸塩、炭素及び金属酸化物等が挙げられる。上記炭素の具体例は、カーボンブラック、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、活性炭、グラファイト、グラフェン、コークス、メソポーラスカーボン、ガラス状炭素、ハードカーボン及びソフトカーボンである。上記カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック及びサーマルブラックが挙げられる。上記金属酸化物の具体例は、酸化亜鉛及び酸化チタンである。
上記有機系結晶化促進剤としては、脂肪族カルボン酸及びその塩等が挙げられる。脂肪族カルボン酸及びその塩の具体例は、ステアリン酸、モンタン酸、ステアリン酸ナトリウム及びモンタン酸ナトリウムである。
【0039】
上記発泡層形成用樹脂組成物が上記結晶化促進剤を含む場合の、上記発泡層形成用樹脂組成物中の上記結晶化促進剤の含有量は、特に限定されないが、上記発泡層形成用樹脂組成物の総質量に対して0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜3質量%がより好ましい。結晶化促進剤の含有量がこの範囲内であると、耐熱性により優れた発泡容器を得やすく、発泡シートにおける密度及び厚みのばらつきを小さくしやすい。
【0040】
・発泡剤
上記発泡剤としては、揮発性発泡剤及び分解型発泡剤からなる群から選択される1種以上を使用することが好ましい。揮発性発泡剤は、常温・常圧で気体になりやすい発泡剤である。分解型発泡剤は、熱分解によって気体を発生する発泡剤である。
上記揮発性発泡剤としては、例えば、不活性ガス、脂肪族炭化水素及び脂環式炭化水素が挙げられる。上記不活性ガスの具体例は、炭酸ガス及び窒素ガスである。上記脂肪族炭化水素の具体例は、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタンである。上記脂環式炭化水素の具体例は、シクロペンタン及びシクロへキサンである。上記揮発性発泡剤は、脂肪族炭化水素が好ましく、なかでも、ブタン又はイソブタンが好ましい。
上記分解型発泡剤としては、例えば、アゾジカーボンアミド(ADCA)、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)及び4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)等の有機系熱分解型発泡剤、並びに炭酸水素塩、炭酸塩及び炭酸水素塩と有機酸塩の混合物等の無機系熱分解型発泡剤が挙げられる。
発泡剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0041】
上記発泡層形成用樹脂組成物が上記発泡剤を含む場合の、上記発泡層形成用樹脂組成物中の上記発泡剤の含有量は、特に限定されないが、生分解性ポリエステル系樹脂(X)の100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜7質量部がより好ましく、0.5〜5質量部がさらに好ましい。
【0042】
・気泡調整剤
上記気泡調整剤としては、例えば、タルク、ポリテトラフルオロエチレン、水酸化アルミニウム及びシリカが挙げられる。上記分解型発泡剤は、上記揮発性発泡剤と併用することによって、発泡状態を調整することができ、上記気泡調整剤として用いることができる。
気泡調整剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0043】
上記発泡層形成用樹脂組成物が上記気泡調整剤を含む場合の、上記発泡層形成用樹脂組成物中の上記気泡調整剤の含有量は、特に限定されないが、生分解性ポリエステル系樹脂(X)の100質量部に対して、0.1〜3質量部が好ましく、0.1〜2質量部がより好ましく、0.5〜2質量部がさらに好ましい。
【0044】
・その他の添加剤
上記発泡層形成用樹脂組成物は、本発明の効果を妨げない限り、無機充填剤、滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤等の従来公知の添加剤を含んでもよい。
【0045】
<非発泡層(B)>
本発明の発泡シート及び発泡容器は、発泡層(A)の少なくとも一方の表面に位置する非発泡層(B)を有していてもよい。非発泡層(B)を有することにより、発泡容器の強度が向上し、熱によって変形しにくくなる。
非発泡層(B)は、二層以上としてもよい。二層の非発泡層(B)の間にさらに印刷層を挟み、積層した構造としてもよい。このような構成とすることにより、発泡容器表面を着色及び装飾できるため、意匠性が向上する。
非発泡層(B)は、生分解性ポリエステル系樹脂(X)を用いてもよいし、生分解性ポリエステル系樹脂(X)以外の樹脂を用いてもよい。非発泡層(B)に使用できるポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレンフラノエート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、テレフタル酸とエチレングリコールとシクロヘキサンジメタノールの共重合体等が挙げられる。ポリエステル系樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
非発泡層(B)は、生分解性充填剤(Y)を含んでもよいし、無機充填剤を含んでもよい。非発泡層(B)に使用できる無機充填剤としては、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、硫酸バリウム及びゼオライト等が挙げられる。生分解性充填剤(Y)及び無機充填剤は、それぞれ、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0046】
[発泡容器]
本発明の発泡容器は、重量平均分子量15万〜40万の生分解性ポリエステル系樹脂を含む発泡層を有する。
本発明の発泡容器は、上述した本発明の発泡シートを成形して製造できる。以下に、本発明の発泡容器の製造方法を説明する。
【0047】
<発泡容器の製造方法>
本発明の発泡容器の製造方法としては、従来公知の製造方法が挙げられる。
例えば、発泡容器は、発泡シートを予備加熱する予熱工程、及び上記予熱工程後、発泡シートを金型で挟み、加熱成形する成形工程を含む製造方法で製造することができる。さらに、上記成形工程後、成形された上記発泡シートを冷却する冷却工程を含んでいてもよい。発泡シートが発泡層だけではなく、非発泡層を有している場合も、発泡容器の製造方法に大きな変更はない。
【0048】
<発泡容器の用途>
本発明の発泡容器は、家電包装容器、機械部品包装容器、食品包装容器等の容器として使用することが好ましい。
【実施例】
【0049】
以下では、本発明を実施例によってより具体的に説明する。本発明は、以下に記載する実施例に限定されず、本発明の要旨を変更しない限り、種々の変形が可能である。
【0050】
[実施例1〜4]
原料として、あらかじめ80℃で4時間除湿乾燥した生分解性ポリエステル系樹脂(ポリブチレンサクシネート、BioPBS FZ91PM、PTT MCC BIOCHEM社製、重量平均分子量=18×10)100質量部及び気泡調整剤(タルク、SG−95、日本タルク社製)0.5質量部とをドライブレンドして混合ペレットとした。混合ペレットを2台の押出機が接続されたタンデム押出機(上流側の第1押出機はφ55mmの単軸押出機、下流側の第2押出機はφ65mmの単軸押出機)の第1押出機のホッパーに供給し、最高温度が230℃になるように第1押出機内で溶融混練しつつ、ブタンガス(イソブタンとノルマルブタンの混合ブタンガス)を発泡シートが所定の厚みになるように圧入し溶融混錬物を得た。
溶融混錬物を第2押出機に移送し、溶融混錬物を130℃以下に冷却した。第2押出機の先端に装着された口径φ60mmのサーキュラーダイから押出発泡して円筒状の発泡体を形成した。その際の、吐出量は30kg/hrとした。
円筒状の発泡体の内方側及び外方側に冷却空気を吹きつけ、次いで、所定のマンドレルの外周面に円筒状の発泡体の内面を摺接させ、円筒状の発泡体の内面から冷却した。その後円筒状の発泡体の1箇所を押出方向に沿って連続的に切断し長尺帯状の発泡シートを得、ロール状に巻取りを行った。
【0051】
発泡シートを構成する生分解性ポリエステル系樹脂の特性(重量平均分子量、融点、結晶化温度及び結晶化発熱量)及び発泡層の特性(厚み、坪量、平均気泡径及び突き刺し強度)を、上述した方法によって評価した。表1に結果を示す。
【0052】
発泡層の耐熱性は、以下の基準によって評価した。表1に結果を示す。
原料の樹脂の融点が80℃以上である・・・○(耐熱性あり)
原料の樹脂の融点が80℃未満である・・・×(耐熱性なし)
【0053】
発泡層の生分解性は、以下の基準によって評価した。表1に結果を示す。
原料に生分解性材料を使用している ・・・○(生分解性あり)
原料に生分解性材料を使用していない・・・×(生分解性なし)
【0054】
[実施例5]
原料として、前もって80℃で4時間除湿乾燥した生分解性ポリエステル系樹脂(ポリブチレンサクシネート、BioPBS FZ71PM、PTT MCC BIOCHEM社製、重量平均分子量=13×10)100質量部と架橋剤(カヤカルボンBIC−75、化薬アクゾ社製)0.5質量部をドライブレンドして混合ペレットとした。混合ペレットを、φ57mmの二軸押出機のホッパーに供給し、樹脂温度が280℃となるように溶融混練して、改質樹脂を得た。改質樹脂を二軸押出機先端に装着されたストランドダイより吐出量35kg/hrでストランド状に押出した改質樹脂を水槽で冷却し、ペレタイザーでペレット状に裁断することで改質ペレットを得た。
改質ペレットを80℃で4時間除湿乾燥した。除湿乾燥した改質ペレット100質量部及び気泡調整剤(タルク、SG−95、日本タルク社製)0.5質量部をドライブレンドして混合ペレットとした。混合ペレットを2台の押出機が接続されたタンデム押出機(上流側の第1押出機はφ55mmの単軸押出機、下流側の第2押出機はφ65mmの単軸押出機)の第1押出機のホッパーに供給し、最高温度が230℃になるように第1押出機内で溶融混練しつつ、ブタンガス(イソブタンとノルマルブタンの混合ブタンガス)を発泡シートが所定の厚みになるように圧入し溶融混錬物を得た。
溶融混錬物を第2押出機に移送し、溶融混錬物を130℃以下に冷却した。第2押出機の先端に装着された口径φ60mmのサーキュラーダイから押出発泡して円筒状の発泡体を形成した。その際の、吐出量は30kg/hrとした。
円筒状の発泡体の内方側及び外方側に冷却空気を吹きつけ、ついで所定のマンドレルの外周面に円筒状の発泡体の内面を摺接させ、円筒状の発泡体の内面から冷却した。その後円筒状の発泡体の1箇所を押出方向に沿って連続的に切断し長尺帯状の発泡シートを得、ロール状に巻取りを行った。
【0055】
実施例1と同様にして、発泡シートを構成する生分解性ポリエステル系樹脂の特性(重量平均分子量、融点、結晶化温度及び結晶化発熱量)及び発泡層の特性(厚み、坪量、平均気泡径、突き刺し強度、耐熱性及び生分解性)を、上述した方法によって評価した。表1に結果を示す。
【0056】
[比較例1]
原料として、あらかじめ100℃で4時間除湿乾燥した生分解性ポリエステル系樹脂生分解性ポリエステル系樹脂(ポリブチレンサクシネート、BioPBS FZ71PM、PTT MCC BIOCHEM社製、重量平均分子量=13×10)100質量部及び気泡調整剤(タルク、SG−95、日本タルク社製)0.5質量部を準備した。これらの原料を2台の押出機が接続されたタンデム押出機(上流側の第1押出機はφ55mmの単軸押出機、下流側の第2押出機はφ65mmの単軸押出機)に入れて溶融混練し、所定の位置でブタンガス(イソブタンとノルマルブタンの混合ブタンガス)を圧入し混練した。その後、口径φ60mmのサーキュラーダイから押出したが発泡シートは得られなかった。
【0057】
【表1】
【0058】
「発泡層形成用樹脂組成物」の欄の各成分の配合量は質量部で表し、「−」はその成分を配合していないことを表す。
比較例1の「ND」は評価しなかったことを表す。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の発泡シートは突き刺し強度に優れ、この発泡シートを成形した発泡容器も突き刺し強度に優れる。本発明の発泡容器は、家電包装容器、機械部品包装容器、食品包装容器等の容器として好適である。