【解決手段】力覚センサ(1)は、外力により変形するアーム部(113a)を有する起歪体(11)と、アーム部(113a)に実装された歪ゲージ(12a1〜12a4)と、を備えている。起歪体(11)には、アーム部(113a)から、アーム部(113a)の長手方向と交差する方向に突出した突出部(116a1,116a2)が設けられている。
前記起歪体は、コア部と、前記コア部を取り囲むフレーム部であって、フレクシャを含むフレーム部と、前記コア部と前記フレクシャとを連結するアーム部と、を有しており、
前記変形部は、前記アーム部及び前記フレクシャの一方又は両方である、
ことを特徴とする請求項1に記載の力覚センサ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1〜2に記載の6軸力覚センサにおいては、(1)コア部(中央部又は受力部とも呼ばれる)と、(2)コア部を取り囲むフレーム部であって、フレクシャを含むフレーム部(枠部又は固定部とも呼ばれる)と、(3)コア部とフレクシャとを連結するアーム部とを有する起歪体が用いられている。そして、この6軸力覚センサにおいては、コア部に外力が働いたときに変形するアーム部及びフレクシャに複数の歪ゲージを実装し、これらの歪ゲージを用いて外力の6成分を検出している。
【0005】
このような力覚センサにおいては、これらの歪ゲージを導線等により互いに接続することにより、ブリッジ回路を構成する必要がある。ところが、これらの歪ゲージは、細身の構造体であるアーム部及びフレクシャなどに設けられる。このため、これらの歪ゲージを導線に接続するための電極が密集してしまい、その結果、半田付けなどの配線作業が困難になるという問題がある。
【0006】
また、このような力覚センサにおいては、ブリッジ回路における抵抗バランスを調整するために、薄膜抵抗を歪ゲージの近傍に実装することがある。しかしながら、薄膜抵抗など、変形により特性が変化する素子をアーム部やフレクシャに実装すると、起歪体に外力が作用したときに素子の特性が変化してしまい、その結果、力覚センサの精度が低下するという問題がある。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、歪ゲージに接続された電極や素子などを好適に実装することが可能な起歪体、及び、そのような起歪体を備えた力覚センサを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様1に係る力覚センサは、外力により変形する変形部を有する起歪体と、該変形部に実装された歪ゲージと、を備えた力覚センサであって、以下の構成が採用されている。すなわち、前記起歪体は、前記変形部から、前記変形部の長手方向と交差する方向に突出した突出部を有している、構成が採用されている。
【0009】
上記の構成によれば、前記突出部は、前記変形部に近接し、且つ、前記変形部が変形しても変形し難い。したがって、上記の構成によれば、前記歪ゲージに接続された電極や抵抗素子などを前記突出部に好適に実装することができる。
【0010】
本発明の態様2に係る力覚センサにおいては、態様1に係る力覚センサの構成に加えて、以下の構成が採用されている。すなわち、前記起歪体は、コア部と、前記コア部を取り囲むフレーム部であって、フレクシャを含むフレーム部と、前記コア部と前記フレクシャとを連結するアーム部と、を有しており、前記変形部は、前記アーム部及び前記フレクシャの一方又は両方である、構成が採用されている。
【0011】
上記の構成によれば、前記突出部は、前記アーム部又はフレクシャに近接し、且つ、前記アーム部又はフレクシャが変形しても変形し難い。したがって、上記の構成によれば、前記歪ゲージに接続された電極や抵抗素子などを前記突出部に好適に実装することができる。
【0012】
本発明の態様3に係る力覚センサにおいては、態様1に係る力覚センサの構成に加えて、以下の構成が採用されている。すなわち、前記起歪体は、コア部と、前記コア部を取り囲むフレーム部と、前記コア部と前記フレーム部とを連結するアーム部と、を有しており、前記変形部は、前記アーム部である、構成が採用されている。
【0013】
上記の構成によれば、前記突出部は、前記アーム部に近接し、且つ、前記アーム部が変形しても変形し難い。したがって、上記の構成によれば、前記歪ゲージに接続された電極や抵抗素子などを前記突出部に好適に実装することができる。
【0014】
本発明の態様4に係る力覚センサは、態様1〜3の何れかに係る力覚センサの構成に加えて、以下の構成が採用されている。すなわち、前記突出部には、前記歪ゲージに接続された電極又は抵抗素子が実装されている、構成が採用されている。
【0015】
上記の構成によれば、前記突出部に前記電極が実装されている場合、配線作業を容易にすることができる。また、上記の構成によれば、前記突出部に前記抵抗素子が実装されている場合、前記抵抗素子の特性変化に伴う力覚センサの精度低下を抑えることができる。
【0016】
本発明の態様5に係る力覚センサは、態様1〜4の何れかに係る力覚センサの構成に加えて、以下の構成が採用されている。すなわち、前記突出部は、首部と、前記首部よりも幅の広い頭部と、を有し、前記首部の一端は、前記変形部に連結されており、前記首部の他端は、前記頭部に連結されている、構成が採用されている。
【0017】
上記の構成によれば、変形部が変形した際に生じ得る前記突出部の変形を更に抑制することができる。
【0018】
本発明の態様6に係る力覚センサは、態様1〜5の何れかに係る力覚センサの構成に加えて、以下の構成が採用されている。すなわち、前記突出部と前記変形部との接合幅は、前記変形部の長さの1/2以下である、構成が採用されている。
【0019】
上記の構成によれば、変形部が変形した際に生じ得る前記突出部の変形を更に抑制することができる。
【0020】
本発明の態様7に係る起歪体は、外力により変形する変形部を有する起歪体であって、態様1に係る力覚センサと同様、以下の構成が採用されている。すなわち、前記起歪体は、前記変形部から、前記変形部の長手方向と交差する方向に突出した突出部を有している、構成が採用されている。
【0021】
上記の構成によれば、前記突出部は、前記変形部に近接し、且つ、前記変形部が変形しても変形し難い。したがって、上記の構成によれば、前記変形部に実装された素子(例えば、歪ゲージ)に接続された電極や素子(例えば、抵抗素子)などを前記突出部に好適に実装することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、歪ゲージに接続される素子を起歪体に好適に実装することが可能な力覚センサを実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
〔力覚センサの構成〕
本発明の一実施形態に係る力覚センサ1の構成について、
図1〜
図3を参照して説明する。
【0025】
力覚センサ1は、6軸力覚センサであり、起歪体11と、24個の歪ゲージからなる歪ゲージ群12と、48個の電極からなる電極群13と、24個の抵抗素子からなる抵抗素子群14と、6個のブリッジ回路からなるブリッジ回路群15と、を備えている。ここで、6軸力覚センサとは、外力のx軸方向成分、y軸方向成分、z軸方向成分、x軸周りのモーメント成分、y軸周りのモーメント成分、及びz軸周りのモーメント成分を検出することが可能な力覚センサのことを指す。なお、起歪体11は、2つの主面がxy平面と平行になるように配置されているものとし、起歪体11のz軸正方向側の主面を「表面」、起歪体11のz軸負方向側の主面を「裏面」と呼ぶ。
【0026】
図1は、力覚センサ1が備える起歪体11の斜視図である。起歪体11は、ばね性を有する材料により構成された構造体であり、
図1に示すように、コア部111と、コア部111を取り囲むフレーム部112と、コア部111とフレーム部112とを連結するアーム部113a〜113cと、を備えている。起歪体11の材料としては、例えば、アルミニウム合金、合金鋼、ステンレス鋼などが挙げられる。また、起歪体11の加工方法としては、例えば、NC(Numerical Control)加工などが挙げられる。なお、フレーム部112が固定された状態でコア部111に外力が作用すると、アーム部113a〜113cにその外力に応じた歪が生じる。このため、コア部111は、「受力部」と呼ばれることがあり、フレーム部112は、「固定部」と呼ばれることがある。
【0027】
コア部111の形状は特に限定されないが、本実施形態においては、コア部111の形状として、底面が略六角形である柱形状(すなわち、略六角柱形状)を採用している。また、フレーム部112の形状は特定に限定されないが、本実施形態においては、フレーム部112の形状として、底面が略円形から略六角形をくり抜いた形状である筒形状を採用している。コア部111は、コア部111の6つの側面111a〜111fが、それぞれ、フレーム部112の6つの内側面112a〜112fと対向するように、フレーム部112に収められている。
【0028】
また、アーム部113a〜113cの形状は特に限定されないが、本実施形態においては、アーム部113a〜113cの形状として、底面が略長方形である柱形状(すなわち、略四角柱形状)を採用している。また、アーム部113a〜113cの個数は、特に限定されないが、本実施形態においては、アーム部113a〜113cの個数を3としている。アーム部113aは、コア部111からy軸負方向に延出し、コア部111の側面111aとフレーム部112の内側面112aとを連結する。また、アーム部113bは、xy平面内においてy軸負方向から−120°(時計周りに120°)の方向に延出し、コア部111の側面111bとフレーム部112の内側面112bとを連結する。また、アーム部113cは、コア部111からxy平面内においてy軸負方向から+120°(反時計周りに120°)の方向に延出し、コア部111の側面111cとフレーム部112の内側面112cとを連結する。
【0029】
フレーム部112には、z軸方向にフレーム部112を貫通する貫通孔114a〜114cが形成されている。貫通孔114aは、アーム部113aとフレーム部112との連結点近傍において、貫通孔114aの長手方向がアーム部113aの延在方向と直交するように形成されている。また、貫通孔114bは、アーム部113bとフレーム部112との連結点近傍において、貫通孔114bの長手方向がアーム部113bの延在方向と直交するように形成されている。また、貫通孔114cは、アーム部113cとフレーム部112との連結点近傍において、貫通孔114cの長手方向がアーム部113cの延在方向と直交するように形成されている。これにより、アーム部113a〜113cに外力に応じた歪を生じさせることが可能になる。
【0030】
以下、フレーム部112のうち、貫通孔114aの内周側においてアーム部113aと連結される領域のことを、フレクシャ115aと呼ぶ。また、フレーム部112のうち、貫通孔114bの内周側においてアーム部113bと連結される領域のことを、フレクシャ115bと呼ぶ。フレーム部112のうち、貫通孔114cの内周側においてアーム部113cと連結される領域のことを、フレクシャ115cと呼ぶ。
【0031】
図2の(a)は、アーム部113aの表面の一部(
図1に示す円周αの内部)を示す平面図である。アーム部113aの表面には、
図2の(a)に示すように、4個の歪ゲージ12a1〜12a4が実装されている。歪ゲージ12a1〜12a4としては、例えば、導体薄膜(例えば、Cu−Ni系合金薄膜やNi−Cr系合金薄膜などの金属薄膜)又は半導体薄膜を絶縁体フィルム(例えば、ポリイミドフィルムやエポキシフィルムなどの樹脂フィルム)で覆ったものを用いることができる。歪ゲージ12a1〜12a4の実装方法としては、接着法、真空蒸着法、スパッタ法などが挙げられる。
【0032】
これら4つの歪ゲージ12a1〜12a4のうち、表面内周側(コア部111側)の2個の歪ゲージ12a1,12a2は、それぞれ、xy平面内において長手方向がアーム部113aの延在方向と平行になるように配置さている。一方、表面外周側(フレーム部112側)の2個の歪ゲージ12a3,12a4は、それぞれ、xy平面内において長手方向がアーム部113の延在方向と45°を成すように配置されている。
【0033】
歪ゲージ12a1には、2つの電極13a1,13a2が接続されている。歪ゲージ12a1と電極13a2との間の配線には、抵抗素子14a1が挿入されている(AとBとの間の配線に抵抗素子が挿入されるとは、その配線がA側とB側とに分かれており、抵抗素子の一端がA側の配線に接続され、抵抗素子の他端がB側の配線に接続されることを指す。以下同様である)。また、歪ゲージ12a2には、2つの電極13a3,13a4が接続されている。歪ゲージ12a2と電極13a4との間の配線には、抵抗素子14a2が挿入されている。また、歪ゲージ12a3には、2つの電極13a5,13a6が接続されている。歪ゲージ12a3と電極13a5との間の配線には、抵抗素子14a3が挿入されている。また、歪ゲージ12a4には、2つの電極13a7,13a8が接続されている。歪ゲージ12a4と電極13a7との間の配線には、抵抗素子14a4が挿入されている。したがって、アーム部113aの表面には、4個の歪ゲージ12a1〜12a4に加えて、8個の電極13a1〜13a8と、4個の抵抗素子14a1〜14a4と、が実装されている。なお、電極13a1〜13a8、抵抗素子14a1〜14a4、及び、これらを接続する配線パターンの実装方法としては、例えば、スパッタ法が挙げられる。
【0034】
図2の(b)は、アーム部113aの裏面の一部(
図1に示す円周βの内部)を示す平面図である。アーム部113aの裏面には、
図2の(b)に示すように、4個の歪ゲージ12a5〜12a8が実装されている。歪ゲージ12a5〜12a8としては、歪ゲージ12a1〜12a4と同様、導体薄膜又は半導体薄膜を絶縁体フィルムで覆ったものを用いることができる。歪ゲージ12a5〜12a8の実装方法としては、歪ゲージ12a1〜12a4の実装方法と同様、接着法、真空蒸着法、スパッタ法などが挙げられる。
【0035】
これら4つの歪ゲージ12a5〜12a8のうち、裏面内周側の2個の歪ゲージ12a5,12a6は、それぞれ、xy平面内において長手方向がアーム部113aの延在方向と平行になるように実装されており、表面内周側に実装された2個の歪ゲージ12a1,12a2と共にブリッジ回路を構成する。一方、裏面外周側の2個の歪ゲージ12a7,12a8は、それぞれ、xy平面内において長手方向がアーム部113aの延在方向と45°を成すように実装されており、表面外周側に実装された2個の歪ゲージ12a3,12a4と共にブリッジ回路を構成する。
【0036】
歪ゲージ12a5には、2つの電極13a9,13a10が接続されている。歪ゲージ12a5と電極13a10との間の配線には、抵抗素子14a5が挿入されている。また、歪ゲージ12a6には、2つの電極13a11,13a12が接続されている。歪ゲージ12a6と電極13a12との間の配線には、抵抗素子14a6が挿入されている。また、歪ゲージ12a7には、2つの電極13a13,13a14が接続されている。歪ゲージ12a7と電極13a13との間の配線には、抵抗素子14a7が挿入されている。また、歪ゲージ12a8には、2つの電極13a15,13a16が接続されている。歪ゲージ12a8と電極13a15との間の配線には、抵抗素子14a8が挿入されている。したがって、アーム部113aの裏面には、4個の歪ゲージ12a5〜12a8に加えて、8個の電極13a9〜13a16と、4個の抵抗素子14a5〜14a8と、が実装されている。なお、電極13a9〜13a16、抵抗素子14a5〜14a8、及び、これらを接続するための配線パターンの実装方法としては、例えば、スパッタ法が挙げられる。
【0037】
このように、アーム部113aには、表面及び裏面のそれぞれに4個の歪ゲージと8個の電極と4個の抵抗素子とが設けられている。アーム部113bにも、アーム部113aと同様、表面及び裏面のそれぞれに4個の歪ゲージと8個の電極と4個の抵抗素子とが設けられている。また、アーム部113cにも、アーム部113aと同様、表面及び裏面のそれぞれに4個の歪ゲージと8個の電極と4個の抵抗素子とが設けられている。したがって、起歪体11には、計24個の歪ゲージと計48個の電極と計24個の抵抗素子群が含まれることになる。上述した歪ゲージ群12とは、これら24個の歪ゲージの集合のことを指し、上述した電極群13とは、これら48個の電極の集合のことを指し、上述した抵抗素子群とは、これら24個の抵抗素子の集合のことを指す。
【0038】
図3の(a)は、アーム部113aの表面内周側に実装された2個の歪ゲージ12a1,12a2と、アーム部113aの裏面内周側の2個の歪ゲージ12a5,12a6と、を含んで構成されるブリッジ回路15a1の回路図である。ブリッジ回路15a1は、以下の電極を導線等により接続することにより実現される。
【0039】
・歪ゲージ12a1の電極13a1と歪ゲージ12a6の電極13a11、
・歪ゲージ12a2の電極13a3と歪ゲージ12a5の電極13a9、
・歪ゲージ12a1の電極13a2と歪ゲージ12a5の電極13a10、
・歪ゲージ12a2の電極13a4と歪ゲージ12a6の電極13a12。
【0040】
ブリッジ回路15a1においては、
図3の(a)に示すように、A点とB点との間に基準電圧Vrefを印加したときのC点とD点との間の電圧Voが出力電圧となる。ここで、A点とは、歪ゲージ12a1の電極13a1と歪ゲージ12a6の電極13a11との中間点のことを指す。また、B点とは、歪ゲージ12a2の電極13a3と歪ゲージ12a5の電極13a9との中間点のことを指す。また、C点とは、歪ゲージ12a1の電極13a2と歪ゲージ12a5の電極13a10との中間点のことを指す。また、D点とは、歪ゲージ12a2の電極13a4と歪ゲージ12a6の電極13a12との中間点のことを指す。ブリッジ回路15a1に含まれる抵抗素子14a1,14a2,14a5,14a6は、ブリッジ回路15a1の抵抗バランスの調整に利用される。
【0041】
図3の(b)は、アーム部113aの表面外周側に実装された2個の歪ゲージ12a3,12a4と、アーム部113aの裏面内周側の2個の歪ゲージ12a7,12a8と、を含んで構成されるブリッジ回路15a2の回路図である。ブリッジ回路15a2は、以下の電極を導線等により接続することにより実現される。
【0042】
・歪ゲージ12a3の電極13a5と歪ゲージ12a8の電極13a15、
・歪ゲージ12a4の電極13a7と歪ゲージ12a7の電極13a13、
・歪ゲージ12a7の電極13a14と歪ゲージ12a8の電極13a16、
・歪ゲージ12a3の電極13a6と歪ゲージ12a4の電極13a8。
【0043】
ブリッジ回路15a2においては、
図3の(b)に示すように、E点とF点との間に基準電圧Vrefを印加したときのG点とH点との間の電圧Voが出力電圧となる。ここで、E点とは、歪ゲージ12a3の電極13a5と歪ゲージ12a8の電極13a15との中間点のことを指す。また、F点とは、歪ゲージ12a4の電極13a7と歪ゲージ12a7の電極13a13との中間点のことを指す。また、G点とは、歪ゲージ12a7の電極13a14と歪ゲージ12a8の電極13a16との中間点のことを指す。また、H点とは、歪ゲージ12a3の電極13a6と歪ゲージ12a4の電極13a8との中間点のことを指す。ブリッジ回路15a2に含まれる抵抗素子14a3,14a4,14a7,14a8は、ブリッジ回路15a2の抵抗バランスの調整に利用される。
【0044】
このように、アーム部113aに設けられた4個の歪ゲージ、8個の電極、及び4個の抵抗素子は、2個のブリッジ回路を構成する。アーム部113bに設けられた4個の歪ゲージ8個の電極、及び4個の抵抗素子も、アーム部113aに設けられた4個の歪ゲージ、8個の電極、及び4個の抵抗素子と同様、2個のブリッジ回路を構成する。また、アーム部113cに設けられた4個の歪ゲージ、8個の電極、及び4個の抵抗素子も、アーム部113aに設けられた4個の歪ゲージ、8個の電極、及び4個の抵抗素子と同様、2個のブリッジ回路を構成する。したがって、起歪体11には、計6個のブリッジ回路が含まれることになる。上述したブリッジ回路群15とは、これら6個のブリッジ回路の集合のことを指す。なお、ブリッジ回路群15を構成する各ブリッジ回路における抵抗バランスの調整が不要な場合には、抵抗素子群14を省略することができる。
【0045】
〔力覚センサの特徴〕
力覚センサ1の特徴について、再び
図1及び
図2を参照して説明する。
【0046】
力覚センサ1において特徴的な点は、起歪体11が突出部を有していることである。突出部は、起歪体11においてコア部111に外力が働いた際に変形が生じる部分(以下、「変形部」とも記載する)から、xy平面内において変形部の長手方向と交差する方向に突出するように形成される。このような突出部は、変形部に隣接している。このため、変形部に実装される素子(例えば、歪ゲージ)に接続される素子(例えば、電極及び抵抗素子)を実装するためのスペースとして好適に利用することができる。また、このような突出部は、変形部と隣接しているにも関わらず、変形部と比べて変形が生じ難い。このため、変形部に実装される素子(例えば、歪ゲージ)に接続される素子であって、変形によって特性が変化する素子(例えば、抵抗素子)を実装するスペースとして特に好適に利用することができる。
【0047】
本実施形態に係る力覚センサ1において、上述した変形部に該当する部分は、アーム部113a〜113c、及び、フレクシャ115a〜115cである。このため、本実施形態に係る力覚センサ1の起歪体11は、
図1に示すように、アーム部113a〜113cから突出する突出部116a1〜116c2、及び、フレクシャ115a〜115cから突出する突出部117a1〜117c4を備えている。
【0048】
アーム部113aから突出する突出部116a1,116a2について、
図2を参照して説明する。
【0049】
突出部116a1は、アーム部113aの中央部からx軸負方向へ突出した部分であり、突出部116a1の突出方向(x軸負方向)は、アーム部113aの長手方向(y軸方向)と交差(図示した例では、直交)している。突出部116a2は、アーム部113aの中央部からx軸正方向へ突出した部分であり、突出部116a2の突出方向(x軸正方向)は、アーム部113aの長手方向(y軸方向)と交差(図示した例では、直交)している。突出部116a1,116a2は、それぞれ、首部116a11,116a21と頭部116a12,116a22と、を有している。首部116a11,116a21の一端は、それぞれ、アーム部113aに連結され、首部116a11,116a21の他端は、それぞれ、頭部116a12,116a22に連結されている。首部116a11,116a21の幅(アーム部113aの長手方向に沿って測った幅)は、頭部116a12,116a22の幅(アーム部113aの長手方向に沿って測った幅)よりも狭くなっている。これにより、アーム部113aの変形が生じても、突出部116a1,116a2(特に、頭部116a12,116a22)の変形は更に生じ難くなる。
【0050】
突出部116a1の表面には、
図2の(a)に示すように、歪ゲージ12a1に接続された電極13a2及び抵抗素子14a1、並びに、歪ゲージ12a3に接続された電極13a5及び抵抗素子14a3が実装される。また、突出部116a1の裏面には、
図2の(b)に示すように、歪ゲージ12a6に接続された電極13a12及び抵抗素子14a6、並びに、歪ゲージ12a8に接続された電極13a15及び抵抗素子14a8が実装される。一方、突出部116a2の表面には、
図2の(a)に示すように、歪ゲージ12a2に接続された電極13a4及び抵抗素子14a2、並びに、歪ゲージ12a4に接続された電極13a7及び抵抗素子14a4が実装される。また、突出部116a2の裏面には、
図2の(b)に示すように、歪ゲージ12a5に接続された電極13a10及び抵抗素子14a5、並びに、歪ゲージ12a7に接続された電極13a13及び抵抗素子14a7が実装される。
【0051】
このように、本実施形態に係る力覚センサ1においては、電極13a1〜13a16の一部を突出部116a1,116a2に実装することができる。このため、電極13a1〜13a16の密集度が下がる。したがって、電極13a1〜13a16への配線作業(例えば、半田付け作業)が容易になるという効果が得られる。また、本実施形態に係る力覚センサ1においては、抵抗素子14a1〜14a8を突出部116a1,116a2に実装することができる。このため、アーム部113aの変形に起因する抵抗素子14a1〜14a8の抵抗値の変化が抑えられる。したがって、抵抗素子14a1〜14a8の抵抗値の変化に起因する力覚センサ1の精度の低下が抑えられるという効果が得られる。
【0052】
なお、突出部116a1,116a2の首部116a11,116a21の幅(アーム部113aの長手方向に沿って測った幅)は、アーム部113aの長さLの1/2以下であることが好ましい。
【0053】
フレクシャ115aから突出する突出部117a1〜117a4について、
図2を参照して説明する。
【0054】
突出部117a1,117a2は、フレクシャ115aからy軸正方向へ突出した部分であり、突出部117a1,117a2の突出方向(y軸正方向)は、フレクシャ115aの長手方向(x軸方向)と交差(図示した例では、直交)している。突出部117a1の突出起点は、アーム部113aよりもx軸負方向側であり、突出部117a2の突出起点は、アーム部113aよりもx軸正方向側である。突出部117a1,117a2は、それぞれ、首部117a11,117a21と頭部117a12,117a22と、を有している。首部117a11,117a21の一端は、それぞれ、フレクシャ115aに連結され、首部117a11,117a21の他端は、それぞれ、頭部117a12,117a22に連結されている。首部117a11,117a21の幅は、頭部117a12,117a22の幅よりも狭くなっている。これにより、フレクシャ115aの変形が生じても、突出部117a1,117a2(特に、頭部117a12,117a22)の変形は更に生じ難くなる。
【0055】
突出部117a3,117a4は、フレクシャ115aからy軸負方向へ突出した部分であり、突出部117a3,117a4の突出方向(y軸負方向)は、フレクシャ115aの長手方向(x軸方向)と交差(図示した例では、直交)している。突出部117a3の突出起点は、アーム部113aよりもx軸負方向側であり、突出部117a4の突出起点は、アーム部113aよりもx軸正方向側である。突出部117a3,117a4は、それぞれ、首部117a31,117a41と頭部117a32,117a42と、を有している。首部117a31,117a41の一端は、それぞれ、フレクシャ115aに連結され、首部117a31,117a41の他端は、それぞれ、頭部117a32,117a42に連結されている。首部117a31,117a41の幅は、頭部117a32,117a42の幅よりも狭くなっている。これにより、フレクシャ115aの変形が生じても、突出部117a3,117a4(特に、頭部117a32,117a42)の変形は更に生じ難くなる。
【0056】
フレクシャ115aには、歪ゲージが実装されることがある。この場合、歪ゲージに接続される電極の一部を突出部117a1〜117a4に実装することができる。また、この場合、歪ゲージに接続される抵抗素子を突出部117a1〜117a4に実装することができる。したがって、アーム部113aに突出部116a1,116a2を設けることで得られる効果と同様の効果が、フレクシャ115aに突出部117a1〜117a4を設けることでも得られる。
【0057】
なお、本実施形態においては、突出部を設ける変形部がアーム部113a〜113c及びフレクシャ115a〜115cの両方である構成を採用しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、突出部を設ける変形部がアーム部113a〜113c及びフレクシャ115a〜115cの一方である構成、すなわち、突出部を設ける変形部がアーム部113a〜113cのみである構成、又は、突出部を設ける変形部がフレクシャ115a〜115cのみである構成を採用してもよい。また、フレクシャ115a〜115cは、省略することも可能である。この場合、突出部を設ける変形部は、アーム部113a〜113cのみとなる。
【0058】
〔起歪体に生じる応力の分布〕
コア部に外力を作用させたときに、起歪体に生じる応力の分布について、
図4〜
図7を参照して説明する。ここでは、φ55力覚センサの起歪体について、3DCADを用いたシミュレーションの結果を示す。
【0059】
図4は、実施例とした起歪体の各部の寸法を示す平面図である。この起歪体から突出部を省略したものを比較例とする。
【0060】
図5は、実施例に係る起歪体の応力分布を示す図である。
図5の(a)は、コア部に対してx軸正方向を向いた外力Fx+が作用したときに、実施例に係る起歪体に生じる応力の分布を示している。
図5の(b)は、コア部に対してy軸正方向を向いた外力Fy+が作用したときに、実施例に係る起歪体に生じる応力の分布を示している。
図5の(c)は、コア部に対してz軸正方向を向いた外力Fz+が作用したときに、実施例に係る起歪体に生じる応力の分布を示している。
図5の(d)は、コア部に対してx軸まわりのモーメントMx+が作用したときに、実施例に係る起歪体に生じる応力の分布を示している。
図5の(e)は、コア部に対してy軸まわりのモーメントMy+が作用したときに、実施例に係る起歪体に生じる応力の分布を示している。
図5の(f)は、コア部に対してz軸まわりのモーメントMz+が作用したときに、実施例に係る起歪体に生じる応力の分布を示している。
【0061】
図6は、比較例に係る起歪体の応力分布を示す図である。
図6の(a)は、コア部に対してx軸正方向を向いた外力Fx+が作用したときに、比較例に係る起歪体に生じる応力の分布を示している。
図6の(b)は、コア部に対してy軸正方向を向いた外力Fy+が作用したときに、比較例に係る起歪体に生じる応力の分布を示している。
図6の(c)は、コア部に対してz軸正方向を向いた外力Fz+が作用したときに、比較例に係る起歪体に生じる応力の分布を示している。
図6の(d)は、コア部に対してx軸まわりのモーメントMx+が作用したときに、比較例に係る起歪体に生じる応力の分布を示している。
図6の(e)は、コア部に対してy軸まわりのモーメントMy+が作用したときに、比較例に係る起歪体に生じる応力の分布を示している。
図6の(f)は、コア部に対してz軸まわりのモーメントMz+が作用したときに、比較例に係る起歪体に生じる応力の分布を示している。
【0062】
図5を参照することにより、以下のことが確かめられる。すなわち、各突出部には、応力が発生しないか、又は、応力が発生したとしても十分に小さい。これは、各突出部は、コア部に外力が作用しても、各突出部に変形は生じないか、又は、生じたとしても十分に小さいことを意味する。これにより、突出部は、変形により特性が変化する素子(例えば、抵抗素子)を実装するためのスペースとして好適であることが確かめられた。
【0063】
また、
図5と
図6とを比較することにより、以下のことが確かめられる。すなわち、突出部を設けても、アーム部及びフレクシャに生じる応力は、変化しないか、又は、変化したとしても、その変化量は十分に小さい。これにより、突出部を設けることで、力覚センサの精度低下は生じないか、又は、生じたとしても、その低下量は十分に小さいことが確かめられた。
【0064】
次に、コア部に対してx軸正方向を向いた外力Fx+が作用したときにアーム部に生じる応力の分布が、突出部とアーム部との接合幅W(
図4参照)にどのように依存するかを調べた。
図7は、その結果を示す図である。
【0065】
図7の(a)は、比較例に係る起歪体のアーム部に生じる応力の分布を示している。
図7の(b)は、接合幅Wを0.5mmとした実施例に係る起歪体において、アーム部に生じる応力の分布を示している。
図7の(c)は、接合幅Wを1.0mmとした実施例に係る起歪体において、アーム部に生じる応力の分布を示している。
図7の(d)は、接合幅Wを1.5mmとした実施例に係る起歪体において、アーム部に生じる応力の分布を示している。
図7の(e)は、接合幅Wを2.0mmとした実施例に係る起歪体において、アーム部に生じる応力の分布を示している。
図7の(f)は、接合幅Wを2.5mmとした実施例に係る起歪体において、アーム部に生じる応力の分布を示している。
図7の(g)は、接合幅Wを3.0mmとした実施例に係る起歪体において、アーム部に生じる応力の分布を示している。
図7の(h)は、接合幅Wを3.5mmとした実施例に係る起歪体において、アーム部に生じる応力の分布を示している。
図7の(i)は、接合幅Wを4.0mmとした実施例に係る起歪体において、アーム部に生じる応力の分布を示している。なお、シミュレーションの都合上、接合幅Wが2.5mm以上となる起歪体においては、突出部に幅の狭い首部と幅の広い頭部とを設けずに、突出部の幅を一律とした。
【0066】
図7を参照することにより、以下のことが確かめられる。第1に、接合幅Wが4.0mm以下の場合、換言すれば、接合幅Wがアーム部の長さ(8mm)の1/2以下である場合、突出部には応力が生じない部分が存在することが確かめられる。したがって、突出部を変形により特性が変化する素子(例えば、抵抗素子)を実装するためのスペースとして突出部を利用する場合、アーム部と突出部との接合幅Wは、アーム部の長さの1/2以下であることが好ましい。第2に、接合幅Wが1.0mm以下の場合、換言すれば、接合幅Wがアーム部の長さ(8mm)の1/8以下である場合、アーム部に生じる応力は突出部がない場合と殆ど変らないことが確かめられる。したがって、力覚センサ1に極めて高い精度が要求される場合、アーム部と突出部との接合幅Wは、アーム部の長さの1/8以下であることが好ましい。
【0067】
〔抵抗素子の構成例〕
抵抗素子群14に属する各抵抗素子の構成例について、
図8〜
図13を参照して説明する。
【0068】
図8の(a)及び(b)は、それぞれ、抵抗素子の第1の構成例を示す平面図(左)及び側面図(右)である。
【0069】
本構成に係る抵抗素子は、平面視形状が四角形(図示した例では長方形)の薄膜抵抗21により構成されている。この抵抗素子における抵抗値の調整は、薄膜抵抗21の上面を削り、薄膜抵抗21の厚みを薄くことによって行われる。
図8の(a)は、調整前の抵抗素子を示し、
図8の(b)は、調整後の抵抗素子を示す。この調整により、薄膜抵抗21の断面積が減少するので、抵抗値は上昇する。なお、抵抗値をどの程度上昇させるかは、薄膜抵抗21を削る厚みを変更することにより適宜調整することが可能である。
【0070】
図9の(a)及び(b)は、それぞれ、抵抗素子の第2の構成例を示す平面図(左)及び側面図(右)である。
【0071】
本構成例に係る抵抗素子は、第1の構成例に係る抵抗素子と同様、平面視形状が四角形(図示した例では長方形)の薄膜抵抗21により構成されている。この抵抗素子における抵抗値の調整は、薄膜抵抗21の上面に導体層22を形成することによって行われる。
図9の(a)は、調整前の抵抗素子を示し、
図9の(b)は、調整後の抵抗素子を示す。この調整により、薄膜抵抗21の実効的な長さが減少するので、抵抗値は低下する。なお、抵抗値をどの程度低下させるかは、導体層22の長さを変更することにより適宜調整することが可能である。
【0072】
図10の(a)及び(b)は、それぞれ、抵抗素子の第3の構成例を示す平面図である。
【0073】
本構成例に係る抵抗素子は、(1)第1の帯状薄膜導体24aと、(2)第1の帯状薄膜導体24aと平行に配置された第2の帯状薄膜導体24bと、(3)一端が第1の帯状薄膜導体24aに接続され、他端が第2の帯状薄膜導体24bに接続された複数の帯状薄膜抵抗25と、により構成されている。この抵抗素子における抵抗値の調整は、帯状薄膜抵抗25の幾つかを切断することによって行われる。
図10の(a)は、調整前の抵抗素子を示し、
図10の(b)は、調整後の抵抗素子を示す。この調整により、第1の帯状薄膜導体24aと第2の帯状薄膜導体24bとの間に介在する帯状薄膜抵抗25の本数が減るので、抵抗値は上昇する。なお、抵抗値をどの程度上昇させるかは、切断する帯状薄膜抵抗25の本数を変更することにより適宜調整することが可能である。
【0074】
図11の(a)及び(b)は、それぞれ、抵抗素子の第4の構成例を示す平面図である。
【0075】
本構成例に係る抵抗素子は、(1)第1の帯状薄膜導体24aと、(2)第1の帯状薄膜導体24aと平行に配置された第2の帯状薄膜導体24bと、(3)一端が第1の帯状薄膜導体24aに接続され、他端が第2の帯状薄膜導体24bに接続された複数の帯状薄膜抵抗25と、(4)一端が開放され、他端が第2の帯状薄膜導体24bに接続された複数の帯状薄膜抵抗26と、により構成されている。この抵抗素子における抵抗値の調整は、帯状薄膜抵抗26の幾つかを、半田等により第1の帯状薄膜導体24aに接続することによって行われる。
図11の(a)は、調整前の抵抗素子を示し、
図11の(b)は、調整後の抵抗素子を示す。この調整により、第1の帯状薄膜導体24aと第2の帯状薄膜導体24bとの間に介在する帯状薄膜抵抗26の本数が増えるので、抵抗値は低下する。なお、抵抗値をどの程度低下させるかは、第1の帯状薄膜導体24aに接続する帯状薄膜抵抗26の本数を変更することにより適宜調整することが可能である。
【0076】
図12の(a)及び(b)は、それぞれ、抵抗素子の第5の構成例を示す平面図である。
【0077】
本構成例に係る抵抗素子は、(1)第1の電極27と、(2)第2の電極28と、(3)一端が第1の電極27に接続され、他端が第2の電極28に接続されたチップ抵抗29aと、により構成されている。この抵抗素子における抵抗値の調整は、(a)チップ抵抗29aを取り外し、(b)チップ抵抗29aとは抵抗値の異なる他のチップ抵抗29bを取り付ける(一端を第1の電極27に接続し、他端を第2の電極28に接続する)ことによって行われる。
図12の(a)は、調整前の抵抗素子を示し、
図12の(b)は、調整後の抵抗素子を示す。新しいチップ抵抗29bの抵抗値が古いチップ抵抗29aの抵抗値よりも大きい場合、この調整により、抵抗値は上昇する。逆に、新しいチップ抵抗29bの抵抗値が古いチップ抵抗29aの抵抗値よりも小さい場合、この調整により、抵抗値は低下する。
【0078】
図13の(a)及び(b)は、それぞれ、抵抗素子の第6の構成例を示す平面図である。
【0079】
本構成例に係る抵抗素子は、(1)電極31と、(2)一端が電極31に接続された帯状薄膜抵抗32と、により構成されている。電極31は、素子が接続されている電極33と並んで配置され、帯状薄膜抵抗32は、一端が電極33に接続された帯状薄膜導体34と並んで配置される。この抵抗素子における抵抗値の調整は、(a)帯状薄膜抵抗32と帯状薄膜導体34とを半田等により短絡し、(b)素子を電極33から取り外し、(c)その素子を電極31に取り付けることによって行われる。
図13の(a)は、調整前の抵抗素子を示し、
図13の(b)は、調整後の抵抗素子を示す。この調整により、帯状薄膜導体34と素子との間に帯状薄膜抵抗32が介在することになるので、抵抗値は上昇する。なお、抵抗値をどの程度上昇させるかは、帯状薄膜抵抗32と帯状薄膜導体34とを短絡する箇所を変更することにより適宜調整することが可能である。
【0080】
〔付記事項〕
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。上述した実施形態に含まれる個々の技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。