特開2020-166023(P2020-166023A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-166023(P2020-166023A)
(43)【公開日】2020年10月8日
(54)【発明の名称】吸音装置
(51)【国際特許分類】
   G10K 11/16 20060101AFI20200911BHJP
   G10K 11/168 20060101ALI20200911BHJP
【FI】
   G10K11/16 140
   G10K11/168
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-63591(P2019-63591)
(22)【出願日】2019年3月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】宮瀬 文裕
(72)【発明者】
【氏名】宇野 昌利
(72)【発明者】
【氏名】三原 泰司
(72)【発明者】
【氏名】谷川 将規
(72)【発明者】
【氏名】西村 晋一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 豊
【テーマコード(参考)】
5D061
【Fターム(参考)】
5D061AA23
5D061CC01
(57)【要約】
【課題】より容易に且つ効果的に騒音を低減することが可能な吸音装置を提供する。
【解決手段】板紙製または段ボール製の複数の吸音ボックス2を備え、複数の吸音ボックス2の内部が連通するとともに、少なくとも一つの吸音ボックス2に外部と内部を連通させる導入孔3を貫通形成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板紙製または段ボール製の複数の吸音ボックスを備え、
前記複数の吸音ボックスの内部が連通するとともに、少なくとも一つの吸音ボックスに外部と内部を連通させる導入孔が貫通形成されていることを特徴とする吸音装置。
【請求項2】
前記吸音ボックスは、前記板紙または前記段ボールを不織布で挟んだ積層構造体であることを特徴とする請求項1に記載の吸音装置。
【請求項3】
前記不織布は、パルプを含有していることを特徴とする請求項2に記載の吸音装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸音装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、山岳トンネル工事などで発破作業を行う際には、切羽部で生じる発破音がトンネル外部に伝播することを防止するために種々の対策が講じられてきた。例えば、代表的な対策としては、トンネル坑口付近に防音扉を設置するものが挙げられる。鋼鉄製やコンクリート製の剛性、質量が大きい防音扉によってトンネル坑口を塞ぐことにより、優れた遮音効果を得ることができる。また、鋼管を隙間なく多数並行配置して防音壁を形成することも提案され、この防音壁では、鋼管の長手方向の剛性が従来の防音パネルよりも格段に向上し、発破音に含まれる低周波音によって防音壁が共鳴することを防止できる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
さらに、トンネルの坑口ないし坑内を隔壁(防音壁)で閉塞することに加え、一端がトンネル坑内に開口し他端が閉塞した経路長の異なる複数の管体を、隔壁より切羽部側に設置する対策も提案されている。そして、複数周波数音の1/4波長の経路長で管体を形成することにより、発破音、特に低周波音を効果的に消音/吸音することができる(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−107672号公報
【特許文献2】特開2011−256609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の鋼管を用いた防音壁においては、鋼管を並行配置してトンネル坑口を塞ぐようにしているため、設置できる鋼管の数は限られ、これにより、鋼管による発破音低減効果にも限りがある。
【0006】
また、経路長が異なる複数の管体を隔壁(防音壁)より切羽部側に設置する対策においては、トンネル断面の大部分を管体によって覆う構造であり、また、大規模であるため、重機の往来の支障になるなど、トンネル坑内の作業性の悪化を招くおそれがある。さらに、1/4波長の経路長で管体を形成し、この管体で生成した逆位相の音波によって元の音波を打ち消すサイドブランチ型の吸音機構を利用しているため、低周波音を低減させるためには、長い管体が必要になり、さらに大規模になってしまう。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、より容易に且つ効果的に騒音を低減することが可能な吸音装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0009】
本発明に係る吸音装置は、板紙製または段ボール製の複数の吸音ボックスを備え、前記複数の吸音ボックスの内部が連通するとともに、少なくとも一つの吸音ボックスに外部と内部を連通させる導入孔が貫通形成されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の吸音装置においては、前記吸音ボックスが、前記板紙または前記段ボールを不織布で挟んだ積層構造体であってもよい。
【0011】
さらに、本発明の吸音装置においては、前記不織布が、パルプを含有していてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の吸音装置によれば、従来と比較し、より容易に且つ効果的に騒音を低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る吸音装置及び吸音ボックスを示す図であり、(a)は吸音装置の分解斜視図、(b)は吸音装置の断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る吸音装置の吸音ボックスを示す図であり、(a)は展開図、(b)は組立途中の斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る吸音装置の吸音ボックスを折り畳んだ状態を示す図である。
図4図2(a)のA−A線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1から図4を参照し、本発明の一実施形態に係る吸音装置について説明する。
【0015】
本実施形態の吸音装置1は、図1に示すように、段ボール製の複数の吸音ボックス2を組み合わせて構成されている。
【0016】
段ボール製の吸音ボックス2は、2層、3層の平板状の段ボールを用いて形成すれば、風雨・湿潤下でも1年程度の耐久性を確保できることが実験で確認されている。具体的には、図2図4に示すように、本実施形態の吸音ボックス2は、段ボール6をパルプ不織布7,7で挟んだ積層構造になっている。段ボール6には、三層段ボールを用いることが好ましい。このように積層構造で構成された吸音ボックス2は、吸音・遮音効果に優れているとともに、断熱性能も優れている。また、吸音ボックス2は、再利用できなくなった際に、可燃物として廃棄処理も可能である。
【0017】
また、吸音ボックス2の単体を作製するには、パルプ不織布7で段ボール6の両面を挟持した状態でワンタッチジョイントを用いて積層構造体を容易に作ることができる。つまり、吸音ボックス2は、施工現場においても簡単に作製することができる。なお、段ボール6を両面から挟む部材(被覆部材)については、高い吸音性能を有するものであればパルプ不織布7でなくてもよい。その際、段ボール6と被覆部材とが接着剤や糊などで接着できる場合は、ワンタッチジョイントを用いなくてもよい。
【0018】
さらに、吸音ボックス2の段ボール6として三層段ボールを採用することにより、一層や二層の段ボールと比較して強度が高く、遮音性にも優れている。また、パルプを含有したパルプ不織布7を採用することにより、吸音性に優れ、可燃物として廃棄可能である。
【0019】
図1に戻り、本実施形態の吸音装置1は、大きさ(高さt1×幅t2×奥行きt3)が略同等の矩形箱状の吸音ボックス2を複数用いて構成されている。吸音装置1は、隣り合う吸音ボックス2の奥行き方向の前端面と後端面の位置をそれぞれ合わせ、対向する側面同士を貼り合わせて一体化されている(本実施形態では、3個の吸音ボックス2を一体化している。)。
【0020】
さらに、これら複数の吸音ボックス2は、その内部が連通している。
具体的には、本実施形態の吸音装置1において、最後端部に設けられる吸音ボックス2(2a)を除く全ての吸音ボックス2は、空気や音波を内部に導入する導入孔3と、内部から空気や音波を導出する導出孔4とが貫通形成されている。そして、側面同士を貼り合わせた状態で隣り合う吸音ボックス2の導入孔3と導出孔4が連通するように、各吸音ボックス2が形成されている。
【0021】
図1(b)に示すように、複数の吸音ボックス2を一体化した際に、吸音ボックス2の内部空間、および導入孔3と導出孔4とで空気や音波のルートRが形成されるが、当該ルートRを蛇行させることにより音の減衰効果を向上させることができる。なお、ルートRについては、音の減衰効果が得られるのであれば本実施形態と異なるルートで構成されていてもよい。
【0022】
また、最前端部の吸音ボックス2(2b)は、外部で発生した音波(騒音)や空気が内部に好適に導入されるように導入孔3が例えば幅方向の一方の側面に形成されている。最後端部の吸音ボックス2(2a)は、導出孔4がなく、導入孔3から導入された音波や空気が外部に出ないようになっている。
【0023】
外部からの音を取り込む最前端部の吸音ボックス2(2b)の導入孔3は円形の開口形状となっている。また、隣り合う吸音ボックス2同士を連通させる導入孔3および導出孔4は矩形の開口形状となっている。なお、導入孔3および導出孔4の開口形状は、本実施形態と異なる開口形状であってもよい。
【0024】
さらに、本実施形態の吸音装置1は、図2図3に示すように、各吸音ボックス2がのりしろ5を備え、展開して平板状あるいは折り畳んだ状態で製造、保管、搬送可能とされ、現地で接着材を用いて接着して各吸音ボックス2を矩形箱状にし、隣り合う吸音ボックス2同士を接着して形成される。なお、吸音ボックス2の形状、大きさ、数などは、吸収/減衰させる音波の波長、強度などに応じて適宜設定される。また、導入孔3および導出孔4は、工場において吸音ボックス2の製造時に予め形成してもよいし、施工現場において形成してもよい。
【0025】
上記構成からなる本実施形態の吸音装置1では、外部で発生した騒音の音波や空気が最前端部の吸音ボックス2(2b)の導入孔3から内部に導入され、順次最前端部から最後端部の吸音ボックス2(2a)の内部に伝搬、流通する。このとき、伝搬する音波や空気が内部で反射したり、音波や空気の流通力が段ボールの素材に吸収されたり、干渉するなどして順次減衰する。これにより、効果的に騒音を低減することが可能になる。また、このように段ボールを用いて構成した吸音装置1は特に低周波音の低減置効果に優れていることが確認されている。
【0026】
そして、このような本実施形態の吸音装置1においては、まず、段ボールの折り方、接着方法の工夫によって空気漏れのない構造にすることが可能である。
【0027】
また、コンパネの1/3程度の重量で非常に軽量であるため、取扱性、運搬性を大幅に向上させることが可能になる。
【0028】
さらに、段ボールは、大きさ、形状が自由であり、容易に設置場所に適した仕様にすることができる。
【0029】
さらに、奥行き方向の長さが必要な場合、吸音ボックス2の数を適宜増やすことで容易に対応できる。
【0030】
よって、本実施形態の吸音装置1においては、従来と比較し、優れた騒音低減効果を発揮するだけでなく、取扱性、運搬性、ひいては汎用性に優れた吸音装置1を実現、提供することが可能になる。
【0031】
以上、本発明に係る吸音装置の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0032】
本実施形態では、三層の段ボール6を採用した事例で説明したが、一層や二層の段ボールでもよい。
【0033】
また、本実施形態では、段ボール6を採用した事例で説明したが、代わりに板紙を用いてもよい。
【0034】
また、本実施形態では、パルプ不織布7を段ボール6の両面に積層した事例で説明したが、パルプ不織布7はいずれか一方の面にのみ積層されていてもよいし、パルプ不織布7は無くてもよい。なお、パルプ不織布7をいずれか一方の面に積層する際は、吸音ボックス2の内側の面に積層することが好ましい。また、段ボール6を被覆する材料は、パルプ不織布以外のものであってもよい。
【0035】
そして、本実施形態では、三層の段ボール6の両面をパルプ不織布7で挟持した構成を採用したが、例えば、折り曲げる部分にはパルプ不織布7を貼着しなくてもよい。また、折り曲げる部分の段ボール6に切れ目を入れておいてもよい。このように構成することで、吸音ボックス2の製作が容易になる。
【符号の説明】
【0036】
1 吸音装置
2 吸音ボックス
3 導入孔
4 導出孔
5 のりしろ
6 段ボール
7 パルプ不織布(不織布)
図1
図2
図3
図4