【解決手段】ウェアラブルデバイスは、作業者の身体の一部に装着され、前記作業者の生体情報を検出するセンサと、該センサにより検出した生体情報に基づき疲労値を特定する特定部と、特定した前記疲労値が所定レベルを超えた場合に、周囲が認識可能な情報を出力する出力部とを備える。
作業者の身体の一部に装着され、前記作業者の生体情報を検出するセンサ、該センサにより検出した生体情報に基づき疲労値を特定する特定部、及び特定した前記疲労値が所定レベルを超えた場合に周囲が認識可能な情報を出力する出力部を備えるウェアラブルデバイスと、前記ウェアラブルデバイスを装着して作業する作業者とを対応付けて記憶し、
前記疲労値に関する情報を取得する
作業管理方法。
作業者の身体の一部に装着され、前記作業者の生体情報を検出するセンサ、該センサにより検出した生体情報に基づき疲労値を特定する特定部、及び特定した前記疲労値が所定レベルを超えた場合に周囲が認識可能な情報を出力する出力部を備えるウェアラブルデバイスと、前記ウェアラブルデバイスを装着して作業をする作業者とを対応付けて記憶する記憶部と、
前記疲労値に関する情報を取得する取得部と
を備える情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
本発明をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。
【0013】
図1は、作業管理システム100の概要を示す図である。第1実施形態では、作業管理者が、就業中の作業者の疲労値に関する情報に応じて作業効率の管理を行う作業管理システム100について説明する。作業管理システム100は、ウェアラブルデバイス1、情報処理装置2を含む。
【0014】
ウェアラブルデバイス1は、作業者の身体の一部に装着される端末装置である。後述するプログラムにより、取得する作業者の生体情報に基づき前記作業者の疲労値を特定する。ウェアラブルデバイス1と情報処理装置2とはネットワークNを介して通信接続されており、前記疲労値を含む各種の情報の送受信を行う。
【0015】
情報処理装置2は、作業管理者が管理するサーバコンピュータである。後述するサーバプログラムにより、取得する作業者の生体情報等に関する様々の対応方法及び情報の提示等を行い、作業管理を実現する。なお、情報処理装置2は複数のコンピュータからなるマルチコンピュータであってもよく、ソフトウェアによって仮想的に構築された仮想マシンであってもよく、クラウドサーバを用いてもよい。
【0016】
ネットワークNは、公衆網N1、及びキャリアネットワークN2を含む。公衆網N1は所謂インターネットである。キャリアネットワークN2は、次世代又は次々世代高速携帯通信規格等の規格に基づく無線通信を実現する通信キャリアが提供するネットワークである。公衆網N1はアクセスポイントAPを含む。キャリアネットワークN2は基地局BSを含む。ウェアラブルデバイス1は無線通信機能により、アクセスポイントAP又は基地局BSにより、公衆網N1に接続される情報処理装置2との通信接続が可能である。
【0017】
図2は、第1実施形態に係るウェアラブルデバイス1を説明する説明図である。第1実施形態では、一例として眼鏡型の形状を有するウェアラブルデバイス1を説明する。ウェアラブルデバイス1は、就労する作業者に装着され生体情報の検出等を行う。ウェアラブルデバイス1は、フレーム部51、テンプル部52,52、レンズ部53,53から構成され、センサ3及び表示部(出力部)4を備える。
【0018】
フレーム部51は、レンズ部53,53を夫々作業者の右眼及び左眼の眼前に位置するよう支持している。なお、レンズ部53,53は必須ではない。フレーム部51には、ウェアラブルデバイス1の装着状態において作業者の鼻に当接する位置に鼻当て部54,54が設けられている。フレーム部51の両端からは、図示しないヒンジ等の接続部材を介して後方につる状に延びる左右のテンプル部52,52が形成されている。該テンプル部52及び鼻当て部54によって作業者の頭部にウェアラブルデバイス1が保持される。
【0019】
ウェアラブルデバイス1には作業者の生体情報を検出するためのセンサ3が配されている。センサ3の第一例は脈波センサであり、作業者の脈波を検出する。センサ3の第二例は脳波センサであり、作業者の脳波を検出する。センサ3の第三例はイメージセンサであり、作業者の視線の動き等を検出する。なお、センサ3は上記の例に限定されるものではなく、例えば温度センサ、圧力センサ等のセンサを備えていてよい。また、センサ3は複数のセンサが組み合わせられて構成されていてよい。
【0020】
テンプル部52,52は、例えば作業者の側頭部及び耳たぶ等の身体の各部に接触するよう構成されている。センサ3に脈波センサ及び脳波センサ等を用いる場合においては、テンプル部52と作業者の身体の接触箇所にセンサを配し、計測を行うとよい。なおテンプル部52,52は、さらに後頭部に接触するベルトが連結され、ベルトと頭部の接触箇所にセンサを配し生体情報の検出を行う構成であってよい。センサ3にイメージセンサを用いる場合においては、センサ3はフレーム部51に配されてよく、鼻当て部54,54に配されていてもよい。
【0021】
第1実施形態においては、センサ3に脈波センサを用いて生体情報の検出を行う例を説明する。センサ3は、テンプル部52,52と作業者の側頭部との接触位置に配置されている。
【0022】
フレーム部51の端部には、作業者の疲労を周囲に通知する表示部4が設けられている。表示部4は、例えば発光ダイオード等の発光素子を用いて、後述のプログラムによりウェアラブルデバイス1を装着している作業者の疲労値が所定レベルを超えた場合に、点灯することで周囲に情報を出力する。なお表示部の構成は発光素子に限定されない。
【0023】
本実施形態では、ウェアラブルデバイス1は眼鏡型を有する例を説明したが、形状は限定されるものではなく、例えば腕時計型、指輪型、帽子型等のその他の形状であってよい。
【0024】
図3は、作業管理システム100の構成を示すブロック図である。ウェアラブルデバイス1は、制御部11、記憶部12、通信部13、及び入出力部14を備える。制御部11は、CPU(Central Processing Unit )、GPU(Graphical Processing Unit )等のプロセッサと、メモリ等を含む。制御部11は、プロセッサ、メモリ、記憶部12、通信部13を集積した1つのハードウェア(SoC:System On a Chip)として構成されていてもよい。制御部11は、記憶部12に記憶されているプログラム1Pを読み出して実行することにより、ウェアラブルデバイス1に係る種々の情報処理、制御処理等を行う。
【0025】
記憶部12は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含む。記憶部12は、プログラム1P及び疲労値DB121のほか、予め設定される設定情報を記憶する。プログラム1Pは、記憶媒体に記憶されたプログラム19Pを、制御部11が通信部13によって読み出して記憶部12にインストールしたものであってもよい。プログラム1Pは、任意の情報処理装置がネットワークNを介して配信するプログラム(図示せず)を制御部11が通信部13により受信して記憶部12にインストールしたものであってもよい。なお記憶部12はウェアラブルデバイス1に接続された外部記憶装置であってもよい。
【0026】
通信部13は、通信に関する処理を行うための処理回路等を含む。制御部11は通信部13により、ネットワークNを介したウェアラブルデバイス1との間の情報の送受信が可能である。
【0027】
入出力部14は、センサ3及び表示部4に接続される。制御部11は、入出力部14によって例えば点灯等の所定情報を示す信号を表示部4に出力する。また制御部11は、センサ3から得られる生体情報を示す信号を取得する。
【0028】
なお、本実施形態においてウェアラブルデバイス1は上記の構成に限られず、例えばスピーカ及びマイクロフォン等を含む音声入出力部等を備えていてよい。
【0029】
情報処理装置2は、制御部21、記憶部22、通信部23、及び表示部24を備える。制御部21は、一又は複数のCPU、GPU等のプロセッサであり、内蔵する揮発性メモリ、クロック等を含む。制御部21は、記憶部22に記憶されているサーバプログラム2Pを読み出して実行することにより、情報処理装置2に係る種々の情報処理、制御処理等を行う。
【0030】
通信部23は、通信に関する処理を行うための処理回路等を含む。制御部21は通信部23により、ネットワークNを介したウェアラブルデバイス1との間の情報の送受信が可能である。
【0031】
表示部24は、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示装置であり、制御部21から与えられた各種データを表示する。
【0032】
記憶部22は、ハードディスクを用いてサーバプログラム2P、作業者DB221、及び作業履歴DB222のほか、予め設定される設定情報を記憶する。なおサーバプログラム2Pは、通信部23によって外部から取得して記憶部22に記憶したものであってもよい。また記憶部22は情報処理装置2に接続された外部記憶装置であってもよい。
【0033】
図4は、作業者DB221のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。作業者DB221は、作業者識別情報列、WD識別情報列を含む。作業者識別情報列は、各作業者を識別するための作業者IDを記憶している。WD識別情報列は作業者識別情報と対応付けて、作業者に装着されるウェアラブルデバイス1の識別情報を記憶している。作業者情報として作業者の氏名、年齢、住所、連絡先、勤務予定等を作業者識別情報に対応付けて記憶していてもよい。なお、
図4は一例であって、記憶される作業者情報は限定されるものではない。
【0034】
図5は、作業履歴DB222のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。作業履歴DB222は、作業者の作業内容に関する情報を記憶しているデータベースであり、これらの情報は情報処理装置2の制御部21により収集される。作業履歴DB222は、作業者ID列、作業日時列、作業時間列、作業内容列、生体情報列、疲労値列、アラート発生時間列、作業者列、グループ列、相互評価列、及び報酬列を含む。作業日時列、作業時間列、作業内容列はそれぞれ、作業者IDと対応付けて、作業を行った日時、作業時間、作業の内容を記憶している。生体情報列は、作業者IDと対応付けてセンサ3の検出情報のログを記憶している。疲労値列は、作業者IDと対応付けてセンサ3の検出情報から特定される疲労値を記憶している。アラート発生時間列は、作業者IDと対応付けてアラート発生の有無及び発生時間を記憶している。作業者列及びグループ列は、作業者IDと対応付けて、複数人のグループで作業を行った場合の他の作業者ID及びグループを識別するためのグループ識別情報を記憶している。相互評価列は、作業者IDと対応付けて、複数人で作業を行った場合の他の作業者からの評価を記憶している。報酬列は、作業者IDと対応付けて作業に対する報酬額を記憶している。なお、
図5は一例であって、記憶される作業者履歴の内容は限定されるものではない。また
図5に示すデータの持ち方は一例であり、データ間の関係が維持されていれば他の記憶形態であってもよい。
【0035】
作業管理システム100においては、ウェアラブルデバイス1の制御部11が、センサ3の検出値に基づいて作業者の疲労値を特定する。ここで疲労値とは、作業者の作業中に作業効率を妨げるおそれのある健康状態を表すものであり、例えば作業者の疲労、眠気、痛み、及び脱水症状等である。これらの状態は、脈波、脳波、及び視線の動き等の変化と関連があるという知見が得られているため、これらの生体情報を検出することで、疲労値を得ることができる。
【0036】
第1実施形態においては、センサ3は脈波センサであり、作業者の脈波に基づいて疲労値を特定する例を説明する。制御部11は、脈波から得られる検出結果と疲労値とを対応付けた疲労値DB121に基づいて疲労値を特定する。脈波と疲労状態の関係について、例えば作業者が疲労やストレスを感じる場合には、低周波成分(LF)と高周波成分(HF)との比、すなわちLF/HF値が上昇するという知見が得られている。これらの知見に基づき、センサ3から得られる検出信号からLF/HF値を算出し、算出したLF/HF値から疲労値の特定を行う。
【0037】
LF/HF値の算出は公知の方法を用いて行うとよい。例えば、脈波センサから得られる出力波形を基に、脈波の波形からR−R間隔(R-R interval:RRI)変動の解析を行った後に、RRI変動を等時間間隔データに変換するため所定の再サンプリング周波数でスプライン補間を行い、統計解析を行うことにより、心拍数及びRRI変動係数を算出する。さらに周波数スペクトル解析として高速フーリエ変換法によりRRI変動のパワースペクトル密度を解析して、低周波成分(LF)、高周波成分(HF)、及びLF/HF値を算出する。算出されるLF/HF値により疲労値が特定される。
【0038】
図6は、疲労値DB121のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。疲労値DB121は、検出結果列及び疲労値列を含む。検出結果列は、作業者の生体情報の検出結果を識別するための情報を含んでいる。
図6の例では、検出結果はLF/HF値である。疲労値列は、例えば疲労値がレベル1〜5の5段階にレベル分けされ記憶されている。LF/HF値が0.0〜1.9の場合は疲労値レベル1、LF/HF値が2.0〜3.4の場合は疲労値レベル2、LF/HF値が3.5〜4.5の場合は疲労値レベル3、LF/HF値が4.6〜4.9の場合は疲労値レベル4、LF/HF値が5.0以上の場合は疲労値レベル5に対応する。疲労値がレベル4を超えた場合には、作業者は疲労状態にあるおそれがあると判定される。なお、
図6は一例であって、記憶される疲労値の内容は限定されるものではない。
【0039】
上記ではLF/HF値に基づいて疲労値を特定する例を説明したが、疲労値の特定方法は限定されるものでない。疲労等がある場合においては不整脈が起こりやすくなるため、脈波センサで脈拍を計測し、脈拍の変化で疲労度を特定してもよい。
【0040】
また、センサで検出される生体情報は脈波に限られない。例えば脳波センサを用いて脳波を検出し疲労値を特定してもよい。この場合には、疲労等を感じる場合においては脳から特定の周波数の脳波が多く検出されるという知見に基づき、特定周波数(例えばα波)の脳波の波長変化と疲労レベルとを対応付けて疲労値DB121に記憶しておき、脳波センサの出力結果に基づき疲労値を特定するとよい。
【0041】
またイメージセンサを用いて視線の動き、瞼の動きを検出し眠気等の疲労値を特定してもよい。人が疲労等に状態にある場合には、平常時に比べ視線の動きが不規則になり易い。また瞼の開閉回数、閉時間が増え易い。これらを基に、例えば視線の動き、瞼の開閉の回数等と疲労レベルとを対応付けて疲労値DB121に記憶しておき、イメージセンサの画像解析結果に基づき疲労値を特定するとよい。
【0042】
さらにまた、センサで検出される生体情報は一つに限られず、作業者の体温、水分量その他各種の生体情報を取得してよい。この場合には複数の情報を組み合わせた検出値と疲労レベルとを対応付けて疲労値DB121に記憶しておき、疲労値を特定するとよい。さらに、作業者の平常時の生体情報を予め測定しておき、各作業者に応じた平常時の生体情報を含んだ疲労値レベルが設定されてもよい。
【0043】
制御部11は、その他機械学習モデルにより疲労値を推定してもよい。制御部11は、脈波センサから取得する出力信号を入力した場合に疲労値を示す情報を出力する学習モデルを予め作成して記憶部12に記憶しておき、この学習モデルにより疲労値を特定してもよい。
【0044】
図7は、予め作成される学習モデル1Mの内容例を示す図である。学習モデル1Mは、深層学習を含む機械学習の学習モデルであり、例えばニューラルネットワークにより構成されている。学習モデル1Mは生体情報(
図7では脈波センサから取得する出力信号)を入力とし、生体情報から推定される疲労値レベルを出力とする。学習モデル1Mは、疲労等の状態にある場合には脈波が変化し易いという知見に基づき、脈波センサから取得する出力信号と疲労値レベルとを対応付けた教師データを作成して学習される。学習モデル1Mは、生体情報に時系列データを取得した場合にはリカレントニューラルネットを用いてよい。また、生体情報の出力信号を画像データで取得した場合には、CNN(Convolution Neural Network)であってよい。
【0045】
作業管理システム100においては、作業管理者は、ウェアラブルデバイス1を装着した作業者の疲労値を検出し作業管理を行う。
図8は、作業管理システム100が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。
図8に基づき、作業管理システム100の処理内容について説明する。ここでは以下の処理をウェアラブルデバイス1の制御部11及び情報処理装置2の制御部21が実行する例を説明するが、一部の処理を作業管理者が実行してもよい。第1実施形態では、第1作業者及び第2作業者が、それぞれ別に仕事を行っている場合を説明する。
【0046】
各作業者は、就労前にウェアラブルデバイス1を装着してから就労にあたる。ウェアラブルデバイス1の制御部11は、第1作業者のウェアラブルデバイス1の装着時に、作業者情報を受け付け(ステップS101)、装着者の本人認証を行う(ステップS102)。本人認証の方法は限定されるものではないが、例えばウェアラブルデバイスに備えられるマイクロフォンを用いた音声認証、イメージセンサを用いた顔認証、虹彩認証等の生体認証による。制御部11は、予め取得される第1作業者の認証データと照合し、ウェアラブルデバイス1を装着して作業を行おうとしている作業者が本人であるか否かの認証を行う(ステップS103)。なお本人認証は、情報処理装置2の制御部21が通信部23を介して行ってもよい。
【0047】
制御部11は、第1作業者が本人と認められない場合(S103:NO)、第1作業者の作業不可として処理を終了する。本人の認証が行われた場合(S103:YES)、制御部11は、作業者情報及びウェアラブルデバイス1情報を通信部13により情報処理装置2へ送信する(ステップS104)。
【0048】
情報処理装置2の制御部21は、通信部23により作業者情報及びウェアラブルデバイス1情報を取得する(ステップS201)。制御部21は、取得した情報を作業者DB221に記憶する(ステップS202)。作業者DB221には、第1作業者及び第1作業者の装着するウェアラブルデバイス1の識別情報が対応付けて記憶される。制御部21はまた、作業開始日時及び作業内容等の情報を作業履歴DB222に記憶する。なお、作業内容等の情報は、予め作業管理者等により入力され記憶部22に記憶している情報を読み出して取得してもよい。
【0049】
第1作業者がウェアラブルデバイス1を装着し作業が開始されると、生体情報を検知したセンサ3により測定が開始される。センサ3は第1作業者の側頭部の脈波を測定し、信号を出力する。制御部11は、センサ3からの検出結果を入出力部14によって取得する(ステップS105)。制御部11は、疲労値DB121を参照し、取得した検出結果に基づいて疲労値を特定する(ステップS106)。制御部11は、特定した疲労値が所定レベル以上であるか否かを判断する(ステップS107)。例えば、脈波の測定結果からLF/HF値が4.2と検出される場合には疲労値はレベル3と特定され、設定レベル(例えばレベル4)を超えないと判断する。疲労値が所定レベルを超えないと判断した場合(S107:NO)、制御部11は処理をステップS105へ戻し、引き続きセンサ3の検出結果を取得する。
【0050】
一方、疲労値が所定レベルを超えると判断した場合(S107:YES)、制御部11は情報処理装置2にアラート情報を出力する(ステップS108)。またウェアラブルデバイス1の表示部4に入出力部14を介して情報を表示する(ステップS109)。ウェアラブルデバイス1の表示部4は、例えばライトの点灯により、第1作業者が疲労等の状態であるということを、周囲の作業者に視認可能に知らせる。複数作業者がいる場合には、周囲の作業者は疲労状態の作業者に注意を払うことが可能となる。なお、周囲への通知方法はライトの点灯以外の方法であってもよい。例えば他の作業者のウェアラブルデバイス1への振動、音声による出力、あるいは作業管理者の端末への出力等の方法であってもよい。
【0051】
情報処理装置2の制御部21は、通信部23によりアラート情報を受信する(ステップS203)。制御部21は、アラート発生時間の情報を作業履歴DB222に記憶する。制御部21は、疲労が検出された第1作業者に代わり作業を行うことができる交代可能者を特定する(ステップS204)。交代可能者の特定は、例えば予め記憶される他の作業者の作業予定、又は他の作業者のウェアラブルデバイス1からの検出情報等を基に特定されてよい。制御部21は、特定した交代可能な第2作業者へ、支援要請を出力する(ステップS205)。交代要請は、例えば第2作業者の所持する携帯端末等へ通知される。通知を受けた第2作業者は、ウェアラブルデバイス1を装着し、作業を開始する。第2作業者の装着するウェアラブルデバイス1では、ステップS101の処理が開始される。
【0052】
また制御部21は、疲労が検出された第1作業者本人へ、注意喚起又は作業中止等の通知を出力する(ステップS206)。通知内容は、第2作業者への支援要請がなされたことを報知する情報を含んでもよい。通知の出力は、例えば第1作業者の携帯端末等へ通知してもよく、ウェアラブルデバイス1にスピーカ等を備えることで通知してもよい。
【0053】
ウェアラブルデバイス1の制御部11は、センサ3による測定が終了したか否かを判断する(ステップS110)。測定が終了していないと判断される場合には(S110:NO)、処理をステップS105へ戻し、引き続きセンサ3の検出結果を取得する。その後の作業形態は様々であるが、例えば第1作業者は、第2作業者が到着するとその後の作業を複数人で作業を行う。第1作業者の負担を減らし、また交代要員を確保することで所定の作業を完了させることが可能となる。
【0054】
また第1作業者は、第2作業者と交代し作業を終了してもよい。第1作業者の疲労を悪化させることなく、また交代する第2作業者が作業を行うことで所定の作業を完了させることが可能となる。第1作業者は作業を終了し、ウェアラブルデバイス1が第1作業者から取り外される。センサ3は、生体情報の検知終了に伴い測定を終了する。制御部11は、センサ3による測定が終了したと判断される場合には(S110:YES)、通信部13により生体情報及び疲労値の作業履歴を情報処理装置2の制御部21に送信する(ステップS111)。
【0055】
情報処理装置2の制御部21は、通信部23により作業履歴を受信する(ステップS207)。制御部21は、受信した生体情報及び疲労値と共に作業終了日時、作業時間、算出される報酬等の作業履歴情報を作業履歴DB222に記憶し(ステップS208)、一連の処理を終了する。
【0056】
上記の構成によれば、ウェアラブルデバイス1によって作業者の生体情報に基づいて疲労値がリアルタイムで検出されるため、作業管理者は作業者の疲労値を管理することができる。また作業者の疲労値が所定レベルを超えた場合に、ウェアラブルデバイス1から情報が出力されるため、作業者の疲労悪化を進めることなく、また交代可能な作業員に要請をすることで、相互支援により作業を完了させることが可能となる。
【0057】
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1作業者及び第2作業者を含む複数の作業者が、グループで作業を行う。また各作業者は端末を用いてウェアラブルデバイス1及び情報処理装置2と情報の送受信を行う。
【0058】
図9は、第2実施形態における作業管理システム200の構成を示すブロック図である。第2実施形態における作業管理システム200は、ウェアラブルデバイス1、情報処理装置2、端末6を含む。第1実施形態と共通する構成については第1実施形態と同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0059】
端末6は、スマートフォン、タブレット端末等である。作業者は端末6を用いてネットワークNを介しウェアラブルデバイス1及び情報処理装置2との間で情報の送受信が可能である。
【0060】
端末6は、制御部61、記憶部62、通信部63、表示部64、及び操作部65を備える。制御部61は、CPU、GPU等のプロセッサと、メモリ等を含む。制御部61は、プロセッサ、メモリ、記憶部62、通信部63を集積した1つのハードウェア(SoC)として構成されていてもよい。制御部61は、記憶部62に記憶されているプログラム6Pを読み出して実行することにより、端末6に係る種々の情報処理、制御処理等を行う。
【0061】
記憶部62は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含む。記憶部62は、制御部61が処理を実行するために必要なプログラム6P、その他のデータを記憶している。プログラム6Pは、通信部63によって外部から取得して記憶部62に記憶したものであってもよい。
【0062】
通信部63は、通信に関する処理を行うための通信モジュールである。制御部61は通信部63により、ネットワークNを介した通信が可能である。
【0063】
表示部64は、液晶パネルまたは有機ELディスプレイ等のディスプレイ装置を含む。操作部65は、ユーザの操作を受け付けるインタフェースであり、物理ボタン、ディスプレイ内蔵のタッチパネルデバイスを含む。操作部65は、物理ボタンまたはタッチパネルにて表示部64で表示している画面上における操作を受け付けることが可能である。
【0064】
第2実施形態における情報処理装置2の記憶部22には、作業者DB221及び作業履歴DB222に加え、作業状況DB223が記憶されている。作業状況DB223は、複数人の作業者がグループで作業する場合の、各作業者の作業状況を記憶している。
【0065】
図10は、作業状況DB223のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。制御部21は、各作業者の作業状況を収集し作業状況DB223に記憶する。作業者の作業状況は、作業者が端末6を用いて入力し、情報処理装置2の制御部21が入力された情報を収集してもよいし、ウェアラブルデバイス1の装着状況を基に情報処理装置2が作業状況を特定してもよい。
【0066】
図10に示すように、作業状況DB223は、作業者ID列、作業状況列、及び相互評価列を含む。作業者ID列は、各作業者を識別するための作業者識別情報を記憶している。作業状況列は、作業者IDと対応付けて作業者の作業状況(作業中、休憩中、帰宅等)を記憶している。相互評価列は、作業者IDと対応付けて作業者の相互評価を記憶している。相互評価は、複数人のグループで作業を行った場合において、作業後に作業者同士で行われる各作業者に対する相互評価の結果を収集した情報である。
図10の例では相互評価列には、収集された相互評価結果の平均点が格納されている。なお、相互評価の収集結果は作業履歴DB222に記憶されている。
図10の例では、作業者ID「001」の作業者は、作業状況は「作業中」、相互評価は「5」が記憶されている。なお、
図10は一例であって、記憶される作業状況の情報は限定されるものではない。
【0067】
図11及び
図12は、第2実施形態における作業管理システム200が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。
図8と同一の処理については、同一のステップ番号を付し、詳細な説明を省略する。ここでは以下の処理をウェアラブルデバイス1の制御部11、情報処理装置2の制御部21、及び端末6の制御部61が実行する例を説明するが、一部の処理を作業管理者が実行してもよい。
【0068】
各作業者は、それぞれウェアラブルデバイス1を装着してから就労にあたる。ウェアラブルデバイス1の制御部11は、ウェアラブルデバイス装着時に作業者情報を受け付け(ステップS101)、装着者の本人認証を行う(ステップS102)。
【0069】
制御部11は、本人の認証が行われない場合(S103:NO)、作業者の作業不可として処理を終了する。本人の認証が行われた場合(S103:YES)、制御部11は、各作業者情報及びウェアラブルデバイス1情報を通信部13により情報処理装置2へ送信する(ステップS104)。
【0070】
情報処理装置2の制御部21は、通信部23により作業者情報及びウェアラブルデバイス1情報を取得し(ステップS201)、作業者DB221に記憶する(ステップS202)。作業者DB221には、各作業者及び各作業者の装着するウェアラブルデバイス1の識別情報が記憶される。制御部21はまた、作業開始日時、作業内容、作業者、及び作業グループ等の情報を作業履歴DB222に記憶する。さらに制御部21は作業状況等を作業状況DB223に記憶する。
【0071】
各作業者がウェアラブルデバイス1を装着し作業が開始されると、生体情報を検知したセンサ3により測定が開始される。制御部11は、センサ3からの検出結果を入出力部14によって取得し(ステップS105)、疲労値DB121を参照して疲労値を特定する(ステップS106)。制御部11は、特定した疲労値が所定レベル以上であるか否かを判断する(ステップS107)。疲労値が所定レベルを超えないと判断した場合(S107:NO)、制御部11は処理をステップS105へ戻し、引き続きセンサ3の検出結果を取得する。
【0072】
一方、疲労値が所定レベルを超えると判断した場合(S107:YES)、制御部11は情報処理装置2にアラート情報を出力する(ステップS108)。またウェアラブルデバイス1の表示部4に入出力部14を介して情報を表示する(ステップS109)。作業グループでは、例えば第1作業者のウェアラブルデバイス1が点灯し、周囲の他の作業者に第1作業者の疲労状態が認識される。なお制御部11は、アラート情報を第1作業者以外の作業者の端末6に通信部13を介して出力してもよい。端末6の制御部61は、通信部63によりアラート情報を受信し、表示部64に表示させる。グループ内の他の作業者は、表示画面にて第1作業者の疲労状態を認識することができる。
【0073】
情報処理装置2の制御部21は、通信部23により第1作業者に関するアラート情報を受信する(ステップS203)。制御部21は、アラート発生時間の情報を作業履歴DB222に記憶する。制御部21は、疲労が検出された第1作業者に代わり作業を行うことができる交代可能者を特定する(ステップS204)。制御部21は、作業状況DB223を参照し、他の作業者の作業状況から同一グループ内の交代可能者を特定するとよい。制御部21は、作業状況が「休憩中」の作業者IDを作業状況DB223から抽出する。この場合においては、制御部21は作業者間の相互評価を基にマッチングを行い、相互評価の高い作業者から優先的に交代可能者を特定する。
【0074】
制御部21は、通信部23により特定した交代可能な第2作業者の端末6等へ作業指示を出力する(ステップS221)。通知を受けた第2作業者は、作業シフトを変更し作業を開始する。第2作業者の装着するウェアラブルデバイス1では、ステップS101の処理が開始される。
【0075】
また制御部21は、通信部23により疲労が検出された第1作業者の端末6へ、注意喚起又は作業中止等の通知を出力する(ステップS206)。端末6の制御部61は、通信部63により注意喚起又は作業中止等の通知を受信する(ステップS501)。通知内容は、第2作業者への交代要請がなされたことを報知する情報を含んでもよい。第1作業者は自身の疲労状態を認識し、以降の作業を行う又は作業を中止することができる。
【0076】
ウェアラブルデバイス1の制御部11は、センサ3による測定が終了したか否かを判断する(ステップS110)。測定が終了していないと判断される場合には(S110:NO)、処理をステップS105へ戻し、引き続きセンサ3の検出結果を取得する。測定が終了したと判断される場合には(S110:YES)、制御部11は通信部13により作業履歴を情報処理装置2の制御部21に送信する(ステップS111)。
【0077】
情報処理装置2の制御部21は、通信部23により生体情報及び疲労値等の作業履歴を受信する(ステップS207)。制御部21は、生体情報及び疲労値と共に作業終了日時、作業時間等の作業履歴情報を作業履歴DB222に記憶する(ステップS208)。
【0078】
ついで、第2実施形態においては、制御部21は作業終了後に各作業者からグループ内の作業者間の相互評価の取得を行う。制御部21は、相互評価入力を受け付けるための相互評価入力画面情報を作成し、作成した相互評価入力画面情報を通信部23により端末6へ出力する(ステップS222)。
【0079】
端末6の制御部61は、通信部63により相互評価入力画面情報を取得する(ステップS502)。制御部61は、取得した相互評価入力画面情報を表示部64に表示させる(ステップS503)。作業者は作業時の作業態度、作業効率等を基にグループで作業を行った他の作業者についての相互評価の入力を行う。制御部61は、操作部65の操作により相互評価情報を取得する(ステップS504)。制御部61は、通信部63により相互評価情報を情報処理装置2に送信する(ステップS505)。
【0080】
情報処理装置2の制御部21は、通信部23により相互評価情報を取得する(ステップS223)。制御部21は、相互評価の情報を作業履歴DB222に記憶し(ステップS224)、一連の処理を終了する。
【0081】
図13は、相互評価の入力を受け付ける画面の一例を示す図である。端末6の制御部61は、通信部63により、相互評価入力を受け付けるための相互評価入力画面情報を受信する。画面情報は、端末6の表示部64に表示される。入力画面641には、終了した作業の内容がテキストで表示され、同グループで作業を行った作業者の情報と、該作業者に対する評価を受け付ける評価選択アイコン542が含まれる。相互評価は、例えば5段階で入力され、作業を行いやすいと感じた作業者には評価「5」を評価選択アイコン542で入力する。作業が行いにくいと感じた作業者には評価「1」を評価選択アイコン542で入力する。作業者は操作部65の操作により入力を行う。制御部61は、取得した相互評価情報を情報処理装置2へ送信する。
【0082】
第2実施形態によれば、作業履歴DB222には、作業履歴情報として各作業者の作業実績と共に作業者間の相互評価が記憶される。データベースに記憶される情報は、表示部24により表示される。作業管理者は表示される内容を基に、作業に関する様々な情報を管理する。例えば作業者のアラート発生状況等を参照して、各作業者に好適な作業内容を特定することが可能となる。
【0083】
さらに、複数の作業者がグループで作業を行う場合においては、複数の作業者の相互評価情報及び前記履歴に基づき、作業内容を決定することが好ましい。作業履歴DB222に記憶される作業者の作業量、作業者間の相互評価等を含む履歴情報に基づき、複数作業者間のマッチングを行い、作業内容を特定することが可能となる。
【0084】
また、作業履歴情報は報酬の決定にも利用が可能である。履歴情報に基づき、疲労が検出された作業者及び交代作業者間の報酬の傾斜配分を算出し、報酬の分配を行うとよい。例えば、疲労が検出された作業者には報酬単価を下げ、下げた分の報酬単価が交代で作業を行った作業者に増加されるように傾斜配分を行うとよい。また、作業者間の相互評価に基づき報酬の配分を算出してもよい。相互評価に対応した報酬単価を設定し、作業時間と報酬単価とにより報酬が算出されるとよい。
【0085】
なお、以上の実施形態においては、第1作業者の疲労値が所定レベルを超えた場合には、ウェアラブルデバイス1の制御部11は情報処理装置2へアラートを出力し、情報処理装置2の制御部21は交代可能者を特定する構成としたが、情報処理装置2へアラートを出力せず、ウェアラブルデバイス1の表示部4に表示のみ行う構成であってもよい。周囲の作業者へ第1作業者の疲労状態を通知することで、作業者同士で補助を行いながら第1作業者の作業を完了させることができる。
【0086】
またアラート情報を出力する疲労値は、閾値が複数設定される構成であってもよい。ウェアラブルデバイス1は、疲労値が所定レベルを超えた場合に出力されるアラート情報の前に、疲労注意情報が出力されてもよい。疲労注意情報は、例えば疲労値が所定レベルの8割を超えた場合に出力される。周囲の作業者が、疲労注意情報が出力されている作業者に注意を促すことで、疲労を悪化させることなく作業者が作業することができる。
【0087】
また、ウェアラブルデバイス1の表示部4からは疲労値以外の情報も出力されてよい。例えば、記憶部12はデータベースに作業者の作業内容と作業時間の目安とを対応付けて記憶しておく。制御部11は、データベースを参照し、作業者の作業時間が目安を超えると表示部4から時間超過の情報を出力するとよい。この場合にはウェアラブルデバイス1の表示部4からは、疲労値を表示する点灯色とは異なる色を用いて目安時間超過に関する情報が出力されるよう構成されるとよい。
【0088】
以上の実施形態によれば、作業者間の相互支援による作業管理が可能となる。個々では作業の信頼性が確保できない人材であっても、相互支援体制が管理されることで就業の可能性が広がり、新たな人材確保につながる。
【0089】
なお、上述のように開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。