【解決手段】本発明の保護素子100は、第1の電極部1と、第1の電極部1と離間して配置する第2の電極部2と、第1の電極部1に接続する第1の端部3Aと、第2の電極部2に接続する第2の端部3Bと、第1の端部3Aと第2の端部3Bとの間に配置する切断部3Cとを備え、バネ性を有するヒューズエレメント部3と、ヒューズエレメント部3の少なくとも一部を収容するケース4(第1ケース部4A、第2ケース部4B)と、を有し、ヒューズエレメント部3は、その切断時に切断部3Cの両切断端同士が引き離されるように撓ませた状態でケース4内に保持されている。
前記切断部の両切断端同士が引き離されるように撓ませるために、前記ヒューズエレメント部の一方の面を押圧しながら当接する第1の固定部と、前記ヒューズエレメントの他方の面を押圧しながら当接する第2の固定部と、を備える、請求項1に記載の保護素子。
前記切断部は、複数の穿孔を有すると共に、前記第1の端部及び前記第2の端部に比べて幅狭であるか、及び/又は、薄肉厚である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の保護素子。
前記発熱素子を発熱させると、前記切断部の前記低融点金属が溶融し前記切断部が軟化して、前記ヒューズエレメント部が前記撓わせた状態から解放されて、前記切断部が物理的に切断される、請求項9又は10のいずれかに記載の保護素子。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本実施形態について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0027】
(第1実施形態)
図1(a)は、第1実施形態に係る保護素子の斜視模式図であり、
図1(b)は(a)で示した保護素子において、ケースを外した状態の斜視模式図であり、
図1(c)は、ヒューズエレメント部の切断部の近傍を拡大した正面模式図であり、
図1(d)は、(c)で図示した切断部が切断された直後の様子を示す模式図である。
図1に示す保護素子100は、第1の電極部1と、第1の電極部1と離間して配置する第2の電極部2と、第1の電極部1に接続する第1の端部3Aと、第2の電極部2に接続する第2の端部3Bと、第1の端部3Aと第2の端部3Bとの間に配置する切断部3Cとを備え、バネ性を有するヒューズエレメント部3と、ヒューズエレメント部3の少なくとも一部を収容するケース4(第1ケース部4A、第2ケース部4B)と、を有し、ヒューズエレメント部3は、その切断時に切断部3Cの両切断端3Ca、3Cb(
図1(d)参照)同士が引き離されるように撓ませた状態でケース4内に保持されている。
【0028】
図1に示す保護素子100では、第1の電極部1、第2の電極部2、及び、ヒューズエレメント部3とは単一の板状部材によって構成されているが、それぞれ別個の部材によって構成されてもよい。別個の部材によって構成される場合は公知の方法によって互いに接続することができる。例えば、はんだによって接続することができる。
【0029】
<第1の電極部、第2の電極部>
第1の電極部1及び第2の電極部2は互いに離間して配置する。
第1の電極部1及び第2の電極部2はそれぞれ、ヒューズエレメント部3の第1の端部3A、第2の端部3Bに電気的に接続されている。
【0030】
第1の電極部1及び第2の電極部2としては、公知の電極材料のものを用いることができる。例えば、金属(合金を含む)であり、具体的な材料としては、銅、黄銅、ニッケル、ステンレス、42アロイなどが挙げられる。
【0031】
図1に示す保護素子100では、第1の電極部1及び第2の電極部2はヒューズエレメント部3と単一の板状部材によって構成されており、バネ性を有する材料からなる。この場合、低抵抗で板バネ材料に適した金属材料(合金を含む)であることが好ましく、具体的な材料としては、りん青銅、銅合金、チタン銅、コルソン合金、ベリリウム銅などが挙げられる。
【0032】
第1の電極部1及び第2の電極部2の形状は、
図1に示すものは平面視で全体として長方形であるが、本発明の効果を奏する限り、いかなる形状も使用することができる。
【0033】
第1の電極部1及び第2の電極部2はそれぞれ、外部端子孔1a、外部端子孔2aを備えている。
一対の外部端子孔1a、2aのうち、一方の外部端子孔は電源側へ接続するために用いることができ、他方の外部端子孔は負荷側へ接続するために用いることができる。
【0034】
第1の電極部1及び第2の電極部2の厚みとしては、限定するものではないが、その目安を言えば、0.05〜0.5mmとすることができる。
【0035】
<ヒューズエレメント部>
ヒューズエレメント部3は、第1の電極部1に接続する第1の端部3Aと、第2の電極部2に接続する第2の端部3Bと、第1の端部3Aと第2の端部3Bとの間に配置する切断部3Cとを備えている。ヒューズエレメント部3はバネ性を有するものであり、その切断時に切断部3Cの両切断端3Ca、3Cb(
図3(b)参照)同士が引き離されるように撓ませた状態で保持されている。
「切断時に切断部の両切断端同士が引き離されるように撓ませた状態」とは、ヒューズエレメント部の切断の際に切断部の両切断端同士が引き離されるように、ヒューズエレメント部が弾性復元力を蓄えつつ撓ませた状態をいう。
図1に示すヒューズエレメント部3は切断部が一つであるが、複数備えてもよい。
【0036】
ここで、本明細書において、「バネ性」とは、力が加わると変形し、力を除くと元に戻る性質をいう。具体的には、バネ性を有するヒューズエレメント部3は、切断時に切断部3Cの両切断端3Ca、3Cb同士が引き離されるように撓ませた状態で保持されており、過電流時にヒューズエレメント部3が加熱されると、撓ませた状態から解放されて、切断部3Cを物理的に切断することができる。
【0037】
図1に示す保護素子100においては、一例として、第1の端部3A及び第2の端部3Bが互いに逆向きにS字状に撓ませた状態で保持されているが、切断部3Cにおいて切断端同士が引き離されるような弾性復元力が付与されるのであれば、ヒューズエレメント部3の撓ませ方に制限はない。
【0038】
図1に示す保護素子100においては、切断部3Cはヒューズエレメント部3の中央変曲部に配置されている例を例示したが、これに限定されない。
【0039】
ヒューズエレメント部3の材料としては、バネ性を有する導電性材料からなる。低抵抗で板バネ材料に適した金属材料(合金を含む)であることが好ましく、具体的な材料としては、りん青銅、銅合金、チタン銅、コルソン合金、ベリリウム銅などが挙げられる。
図1に示す保護素子100のように、第1の電極部1及び第2の電極部2とヒューズエレメント部3と単一の部材によって構成されている場合には、弾性復元力を担わせるための変形が始まっている箇所から、ヒューズエレメント部3とする。
【0040】
切断部3Cは、第1の端部3A及び第2の端部3Bに比べて、物理的に切断されやすい構成を有することが好ましい。この場合、ヒューズエレメント部3は、第1の端部3Aと、第2の端部3Bと、第1の端部3Aと第2の端部3Bとの間に配置すると共に、第1の端部3A及び第2の端部3Bに比べて物理的に切断されやすい構成を有する切断部3Cと、からなる。
図1に示す保護素子100においては、切断部3Cは、幅方向に並ぶ3個の穿孔3Ccと、両側端のそれぞれに切り欠き3Cdとを有する構成を例示している。両側端のそれぞれに切り欠き3Cdを備え、切断部3Cの穿孔3Ccを除く総幅すなわち、隣接する穿孔3Cc間の距離(幅)と、外側の穿孔3Ccと切り欠き3Cdとの間の距離(幅)とを加え合わせた総距離(総幅)w
1(w
11×4)は第1の端部3A及び第2の端部3Bの幅w
0より幅狭に形成されている(
図1(b)及び(c)参照)。
図1(b)及び(c)では、w
1が穿孔3Ccを除く切断部3Cの総幅であるため、点線とした。
穿孔の数や配置には特に制限はない。切断部3Cは、穿孔を有すると共に、その厚みが第1の端部3A及び第2の端部3Bの厚みよりも薄くてもよい。また、切断部3Cは、穿孔を有すると共に、その厚みが第1の端部3A及び第2の端部3Bの厚みよりも薄く、かつ、その幅が第1の端部3A及び第2の端部3Bの幅より幅狭であってもよい。
かかる構成とすることによって、局所的に発熱し、物理的に切断しやすくなる。
【0041】
図2は、
図1に示した保護素子100において、第1ケース部4Aを外した分解斜視図である。また、
図3は、
図1に示した保護素子100について、(a)は、ヒューズエレメント部3が切断される前の状態の断面模式図であり、(b)は、ヒューズエレメント部3が切断された直後の状態の断面模式図であり、(c)は、ヒューズエレメント部3が切断された後の状態の断面模式図である。
図3(a)において、xで示す方向は第1の電極部、ヒューズエレメント部、及び、第2の電極部が並ぶ方向、yで示す方向はそれらの部材の幅方向、zで示す方向は、方向x及び方向yに直交する方向である。
【0042】
切断部3Cにおいて切断端同士が引き離されるような弾性復元力を付与する方法に特に制限はないが、切断部3Cにおいて弾性復元力を常時付与するために、切断部3Cにおいて、第1の端部3A側からと第2の端部3B側からとで互いに逆向きの力成分を有する弾性力を常時付与する構成とすることができる。
【0043】
<第1の固定部、第2の固定部>
図2及び
図3にその一例を示すと、保護素子100は、切断部3Cにおいて切断端同士が引き離されるような弾性復元力を付与するために、ヒューズエレメント部3の一方の面(おもて側の面)3aを押圧しながら当接する第1の固定部5Bと、他方の面(裏側の面)3bを押圧しながら当接する第2の固定部5Aと、を備えている。
【0044】
第1の固定部5A及び第2の固定部5Bは、例えば、エンジニアリングプラスチック、アルミナ、ガラスセラミックス、ムライト、ジルコニアなどの絶縁性を有する材料によって形成することができる。後述するケース4の材料と同様の材料で形成されたものを用いることができる。
【0045】
図1〜
図3に示した例のヒューズエレメント部3の撓ませた状態について詳細に説明する。
図2及び
図3に示す第1の固定部5A及び第2の固定部5Bは、半円柱状の形状をなし、その直径はケース4の内部の高さ(底面4bと天井面4aとの距離(z方向の距離))とほぼ同じ寸法を有する。第1の固定部5A及び第2の固定部5Bは、ケース4内において、半円柱のz方向の下端5Aa及び上端5Abを結ぶ直径を含む平面5Aabと下端5Ba及び上端5Bbを結ぶ直径を含む平面5Babとが互いに平行であり、かつ、それぞれが半円柱の柱の延在方向がy方向に平行になるように配置する。
ヒューズエレメント部3の第1の端部3Aのうち、第1の電極部1側の部分3Aaはその裏側の面を、半円柱状の第1の固定部5Aの外側面5AAによって+z方向に押圧されている。部分3Aaは、外側面5AAの上端5Abとケース4内部の天井面4aとの間で挟まれ、その挟まれた位置から、−z方向に折り曲げられている部分が部分3Abであり、第1の端部3Aはこのように撓ませた状態となっている。ヒューズエレメント部3はバネ性を有するため、第1の端部3Aでは、部分3Abがケース4内部の天井面4a側へ向かうように弾性復元力が作用している。
また、ヒューズエレメント部3の第2の端部3Bのうち、第2の電極部2側の部分3Baはそのおもて側の面を、半円柱状の第2の固定部5Bの外側面5BBによって−z方向に押圧されている。部分3Baは、外側面5BBの下端5Baとケース4内部の底面4bとの間で挟まれ、その挟まれた位置から、部分3Baと同程度の曲率で+z方向に折り曲げられている部分が部分3Bbであり、第1の端部3Aはこのように撓ませた状態となっている。ヒューズエレメント部3はバネ性を有するため、第2の端部3Bでは、部分3Bbがケース4内部の底面4b側へ向かうように弾性復元力が作用している。
ヒューズエレメント部3はこのように撓ませた状態とされているため、第1の端部3Aのうちの第1の電極部1側の部分3Aa、及び、第2の端部3Bのうちの第2の電極部2側の部分3Baには互いに逆向きの力成分を有する弾性復元力が印加されている。そのため、切断部3Cで切断が生じた際に、それぞれの切断端3Ca、3Cb(
図3(b)参照)が互いに引き離されることになる。
【0046】
図2及び
図3に示した状態において、過電流が流れて、ヒューズエレメント部の温度が保護素子を備える装置が通常の作動中の通電による温度よりも高くなり、その結果、ヒューズエレメント部が柔らかくなると、あるいは、半溶融すると、
図3(b)、(c)に示すように、撓ませた状態が解放されて切断部3Cが物理的に切断され、回路電流が遮断される。ここで、ヒューズエレメント部が柔らかくなる、あるいは、半溶融する状態は、固相と液相が混在あるいは共存する状態と言える。
このように、保護素子100においては、ヒューズエレメント部自体を物理的に切断する点で、ヒューズエレメント部とバネとの接合を切り離す上述のバネ利用タイプの保護素子とは異なる。
アーク放電は、距離に反比例する電界強度に依存するが、保護素子100では、切断されたヒューズエレメント部の切断面同士の距離は、第1の端部3A及び第2の端部3Bに蓄えられていた弾性復元力によって急速に大きくなるので、アーク放電を速やかに止めることができる。
また、保護素子100では、ヒューズエレメント部が溶融状態に至る前の柔らなくなる温度すなわち、溶融状態に至る温度よりも低温で、ヒューズエレメント部を切ることができるので、アーク放電の発生リスクを低減できる。
【0047】
<ケース>
ケース4は、例えば、エンジニアリングプラスチック、アルミナ、ガラスセラミックス、ムライト、ジルコニアなどの絶縁性を有する材料によって形成することができる。
ケース4は、アルミナ等の熱伝導率が高いセラミックス材料によって形成されていることが好ましい。ヒューズエレメント部が過電流により発熱した熱を効率的に外部に放熱し、中空で保持されたヒューズエレメント部を局所的に加熱、溶断させることが可能となる。
【0048】
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態に係る保護素子の主要部の模式図であり、(a)は
図2に対応する斜視模式図であり、(b)は
図3(a)に対応する断面模式図である。第1実施形態と同じ符号を用いた部材は同じ構成を有するものであり、説明を省略する。また、第1実施形態と符号が異なっていても機能が同じ部材については説明を省略する場合がある。
【0049】
第2実施形態に係る保護素子は、第1実施形態に係る保護素子と比較して、第1の電極部及び第2の電極部の厚み方向に、第1の電極部及び第2の電極部それぞれの外部との接続のための剛性を補強し、電気抵抗を低減する端子部材が重なるように接続されている点が主な差異である。
【0050】
具体的には、
図4に示す保護素子200は、
図1で示した保護素子100に比べて、第1の電極部1に第1の端子部材11が接続され、第2の電極部2に第2の端子部材12が接続されている。
図4に示す保護素子200では、第1の端子部材11及び第2の端子部材12がそれぞれ、電極部に接続されている面は異なっているが、同じ面に接続された構成でもよい。
第1の端子部材11は、第1の電極部1が備える外部端子孔1aに対応する位置に外部端子孔を有する。また、第2の端子部材12は、第2の電極部2が備える外部端子2aに対応する位置に外部端子孔を有する。
【0051】
<第1の端子部材、第2の端子部材>
第1の端子部材、及び、第2の端子部材の材料としては、例えば、銅や黄銅などが挙げられる。
そのうち、剛性強化の観点では、黄銅が好ましい。
そのうち、電気抵抗低減の観点では、銅が好ましい。
第1の端子部材、及び、第2の端子部材の材料は、同じでも異なっていてもよい。
【0052】
第1の端子部材、及び、第2の端子部材を、第1の電極部、第2の電極部に接続する方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、溶接による接合、リベット接合やネジ接合などの機械的接合及びはんだ接続などが挙げられる。
【0053】
第1の端子部材、及び、第2の端子部材の厚みとしては、限定するものではないが、目安を言えば、0.3〜1.0mmとすることができる。
第1の端子部材、及び、第2の端子部材の厚みは、同じでも異なっていてもよい。
【0054】
(第3実施形態)
図5は、第3実施形態に係る保護素子の主要部の模式図であり、(a)は
図2に対応する斜視模式図であり、(b)は
図3(a)に対応する断面模式図である。上記実施形態と同じ符号を用いた部材は同じ構成を有するものであり、説明を省略する。また、上記実施形態と符号が異なっていても機能が同じ部材については説明を省略する場合がある。
【0055】
第3実施形態に係る保護素子は、ヒューズエレメント部の切断部が、第1の端部及び前記第2の端部の材料に比べて低融点の材料からなる点が主な特徴である。
第3実施形態に係る保護素子の切断部は、第1実施形態に係る保護素子の切断部と同様に物理的に切断されやすい構造を有していて、かつ、その材料が低融点の材料であってもよい。
【0056】
具体的には、
図5に示す保護素子300は、
図1で示した保護素子100に比べて、ヒューズエレメント部13において、第1の端部3Aと第2の端部3Bとの間に配置する切断部13Cが、第1の端部3A及び第2の端部3Bの材料に比べて低融点の材料からなる。
ここで、第1の端部3A及び第2の端部3Bと切断部13Cとは公知の方法で接続することができ、例えば、はんだによって接続することができる。
【0057】
第1の端部3A及び第2の端部3Bの材料に比べて低融点の材料としては、例えば、Pb合金を挙げることができる。
【0058】
また、
図5に示す保護素子300において、切断部13Cを、低融点金属を内層とし、低融点金属よりも高融点の高融点金属を外層とする積層体としてもよい。
ここで、第1の端部3A及び第2の端部3Bと積層体とは公知の方法で接続することができ、例えば、はんだによって接続することができる。
【0059】
切断部13Cが高融点金属層と低融点金属層とを含む積層体からなる構成の場合、高融点金属層によって切断部13Cの剛性をしつつ、低融点金属層を備えることでより低温で切断部13Cを柔らかくして、あるいは、半溶融して、切断部13Cを切断可能にする。
【0060】
低融点金属層に用いられる低融点金属としては、Snを主成分とするPbフリーはんだなどのはんだを用いることが好ましい。Snは融点217℃であるため、Snを主成分とするはんだは低融点であり、低温で柔らかくなるからである。
高融点金属層に用いられる高融点金属としては、Ag、Cu又はこれらを主成分とする合金などを用いることが好ましい。例えば、Agは融点962℃であるため、Agを主成分とする合金からなる高融点金属層は低融点金属層が柔らかくなる温度では剛性を維持できるからである。
【0061】
(第4実施形態)
図6は、第4実施形態に係る保護素子の主要部の模式図であり、(a)は
図3(a)に対応する断面模式図であり、(b)はヒューズエレメント部の平面模式図であり、(c)は、第1の端部及び第2の端部が切断部を挟み込む構成の部分のy方向から見た側面模式図であり、(d)は(c)で示した構成において切断部が切断された後のy方向から見た側面模式図である。上記実施形態と同じ符号を用いた部材は同じ構成を有するものであり、説明を省略する。また、上記実施形態と符号が異なっていても機能が同じ部材については説明を省略する場合がある。
【0062】
第4実施形態に係る保護素子は、第3実施形態に係る保護素子と比較して、ヒューズエレメント部の切断部が第1の端部及び第2の端部が備える爪部によって挟み込まれている点が主な差異である。切断部は、爪部によって安定に支持される。
【0063】
具体的には、
図6に示す保護素子400は、ヒューズエレメント部23が、爪部23Aa及び爪部23Abを備えた第1の端部23Aと、爪部23Ba及び爪部23Bbを備えた第2の端部23Bと、爪部23Aa及び爪部23Abと、爪部23Ba及び爪部23Bbとによって挟み込まれた切断部23Cとからなる。
【0064】
各爪部は、切断部23Cをより安定に支持するために先端に折れ曲がった屈曲部を備えるのが好ましい。
図6(c)に、爪部23Aaの屈曲部23Aaa、及び、爪部23Baの屈曲部23Baaを示す。
【0065】
図6(c)及び
図6(d)で示す通り、爪部23Aa及び爪部23Abはz方向において、切断部23Cの切断前は撓んだ状態でS−S面よりも上側に位置していたが(
図6(c)参照)、切断部23Cの切断後は撓んだ状態が解放されてS−S面よりも下側に位置している(
図6(c)参照)。換言すると、爪部23Aa及び爪部23Abは、撓ませる力がない状態ではS−S面よりも下側に位置するものであるものであったが、切断部23Cを上から押圧するように撓ませられていた。爪部23Aa及び爪部23Abは、切断部23Cの切断によって撓ませる力がなくなって、弾性復元力によって元の状態に戻ったものである。
同様に、爪部23Ba及び爪部23Bbはz方向において、切断部23Cの切断前はS−S面よりも下側に位置していたが(
図6(c)参照)、切断部23Cの切断後はS−S面よりも上側に位置している(
図6(d)参照)。換言すると、爪部23Ba及び爪部23Bbは、撓ませる力がない状態ではS−S面よりも上側に位置するものであるものが、切断部23Cを下から押すように撓ませられていた。爪部23Ba及び爪部23Bbは、切断部23Cの切断によって撓ませる力がなくなって、弾性復元力によって元の状態に戻ったものである。
図6(d)における符号23C’は、切断後に残った部分を示すものである。
【0066】
(第5実施形態)
図7は、第5実施形態に係る保護素子の主要部の模式図であり、(a)は
図5(a)に対応する斜視模式図であり、(b)は
図5(b)に対応する断面模式図である。上記実施形態と同じ符号を用いた部材は同じ構成を有するものであり、説明を省略する。また、上記実施形態と符号が異なっていても機能が同じ部材については説明を省略する場合がある。
【0067】
第5実施形態に係る保護素子は、切断部が内層を低融点金属、外層を高融点金属とする積層体である場合であって、第3実施形態に係る保護素子と比較して、ヒューズエレメント部の切断部を加熱する発熱素子を備える点が異なる。
【0068】
また、第5実施形態に係る保護素子では、第3実施形態に係る保護素子と比較してさらに、第3の電極を備え、発熱体は一端が第3の電極に接続され、他端がヒューズエレメント部、第1の電極及び第2の電極のうち、少なくとも1つに接続されている点が異なる。
【0069】
具体的には、
図7に示す保護素子500は、
図5で示した保護素子300に比べて、ヒューズエレメント部13の切断部13Cを加熱する発熱素子40を備え、さらに、第3の電極8を備え、発熱素子40が備える発熱体41は一端が第3の電極8に電気的に接続され、他端がヒューズエレメント部、第1の電極及び第2の電極のうち、少なくとも1つに電気的に接続されている。また、切断部13Cは、内層を低融点金属、外層を高融点金属とする積層体である。
【0070】
図8は、発熱素子40の一例の構成の模式図であり、(a)は積層方向から見た平面模式図であり、(b)は断面模式図である。
発熱素子40は、発熱体41を有し、さらに、ヒューズエレメント部13の切断部13C側の表面に、発熱体41に電気的に接続された電極層42を有する。
【0071】
発熱素子40はさらに、発熱体41が形成された絶縁基板43と、発熱体41を覆う絶縁層44と、絶縁基板43の両端に形成された発熱体電極45a、45bとを備える。
【0072】
発熱体41は、通電すると発熱する導電性を有する材料、例えばニクロム、W、Mo、Ru等、又は、これらを含む材料からなる。発熱体41は、これらの合金あるいは組成物、化合物の粉状体を樹脂バインダ等と混合して、ペースト状にしたものを絶縁基板43上にスクリーン印刷技術を用いてパターン形成して、焼成する等によって形成する。
【0073】
絶縁基板43は、たとえば、アルミナ、ガラスセラミックス、ムライト、ジルコニアなどの絶縁性を有する基板である。
【0074】
絶縁層44は、発熱体41の保護及び絶縁を図ると共に、発熱体41が発熱した熱を効率よく、ヒューズエレメント部3に伝えるために設けられる。
【0075】
図7に示す保護素子500においては、発熱体41は電極層42を介してヒューズエレメント部13の切断部13Cに接続されている。また、第3の電極8は、接続導体31を介して、発熱素子40の発熱体電極45aに電気的に接続されている。
【0076】
図7に示す保護素子500においては、外部回路の電流経路を遮断する必要が生じた場合に、外部回路に設けられた電流制御素子によって発熱体41に通電される。これによって、ヒューズエレメント部13の切断部13Cは発熱体41の発熱を受けて柔らかくなり、あるいは、半溶融し、切断部13Cが切断される。切断部13Cが切断されることによって、外部回路の電流経路が遮断されると共に、発熱体41への給電も遮断される。
【0077】
切断部が高融点金属層と低融点金属層との積層体からなる場合、発熱素子による加熱によって、低融点金属層が溶融して、高融点金属層を浸食しながら、濡れ性が高い第1及び第2の電極部並びに電極層42側に引き寄せられていく。
低融点金属層が溶融し、切断部全体として外力により変形する程度に柔らかくなると(軟化すると)、第1の端部3A及び第2の端部3Bに蓄えられていた弾性復元力によって切断部が切断される。