【解決手段】実施形態の通信装置は、送信端末から送信される第1信号を受信する受信部と、第1信号の前に受信部が受信した過去信号の信号強度の平滑化のための演算結果を表した第1過去信号強度情報を記憶する記憶部と、受信部が受信した第1信号の信号強度と、記憶部に記憶されていた第1過去信号強度情報と、を用いて、第1信号の信号強度に対して平滑化のための演算を行う演算処理部と、演算処理部による演算結果に基づいた、第1信号の信号強度を平滑化した値を出力する出力部と、を備え、記憶部は、さらに、第1信号の信号強度の平滑化のための演算処理部による演算結果を表した第2過去信号強度情報を記憶し、演算処理部は、さらに、受信部が1信号の後に受信した第2信号の信号強度と、第2過去信号強度情報と、を用いて、第2信号に対して平滑化のための演算を行う。
前記演算処理部は、前記第1信号の信号強度に対して平滑化のための演算を行う際に、前記記憶部に記憶されていた前記第1過去信号強度情報に対して乗算するゲインを、所定の条件に基づいて切り替える、
請求項1乃至3のいずれか一つに記載の通信装置。
前記演算処理部は、前記所定の条件として、前記第1信号を送信する前記送信端末の移動速度が、所定の速度より大きいか否かに基づいて、前記第1過去信号強度情報に対して乗算するゲインを切り替える、
請求項4に記載の通信装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、実施形態の通信装置、通信方法、プログラム、及び通信システムについて詳細に説明する。以下に示す実施形態の通信装置、通信方法、プログラム、及び通信システムは、利用者が携帯したタグに基づいて、利用者の位置を精度よく検出する位置検出システムに適用された例について説明するが、検出対象を利用者に制限するものではなく、他の生物等であってもよい。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る位置検出システム1を示す図である。第1の実施形態に係る位置検出システム1は、複数のビーコン10と、ゲートウェイ20と、固定通信装置30と、算出装置40と、を備える。
【0013】
ビーコン10は、送信信号を送信する送信端末として機能している。使用者により持ち運び可能である。例えば、ビーコン10は、ネックストラップ等に取り付けられ、使用者により首から下げて持ち運ばれる。また、ビーコン10は、カード等に一体的に組み込まれて使用者により持ち運ばれてもよい。ビーコン10は、通信機能等を有する。
【0014】
本実施形態は、送信端末をビーコン10に制限するものではなく、送信信号を送信する機能を有していればよく、例えば、ノート型のコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話機または専用の情報端末等であってもよい。
【0015】
ビーコン10は、一定周期ごとに、ビーコン10を識別する識別情報を含んだ送信信号を電波として出力する。本実施形態のビーコン10が送信する送信信号としては、例えばBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)通信機能が用いられることが考えられるが、無線通信機能であればどのような通信手法でもよい。
【0016】
ゲートウェイ20A〜20Cは、Wi−Fi通信機能と、BLE通信機能と、を備え、BLE通信機能でビーコン10から送信信号を受信した際に、Wi−Fi通信機能を用いて、受信したビーコン10に関する情報を、固定通信装置30に送信する。複数のゲートウェイ20A〜20Cは、屋内または地下等における互いに異なる予め定められた位置に配置される。以下に示す例では、ゲートウェイ20A〜20Cの各々に共通する構成については、ゲートウェイ20とも称している。
【0017】
図2は、本実施形態にかかる複数のゲートウェイ20A〜20Cと、ビーコン10の位置関係を例示した図である。
図2に例示されるように、複数のゲートウェイ20A〜20Cは、ビーコン10の位置を検出する対象領域を囲むように配置される。複数のゲートウェイ20A〜20Cは、例えば屋内または地下等の天井、壁または柱等に設置される。これによって、複数のゲートウェイ20A〜20Cの各々は、ビーコン10からの無線信号を受信できる。そして、複数のゲートウェイ20A〜20Cが受信した無線信号の信号強度に応じてビーコン10の位置を特定できる。
【0018】
図1に戻り、本実施形態のゲートウェイ20は、ビーコン10から受信した無線信号の信号強度について平滑化処理を行う。そして、ゲートウェイ20は、自装置(ゲートウェイ20)を識別するゲートウェイIDと、ビーコン10を識別するビーコンIDと、平滑化処理された信号強度と、を含む情報を、受信したビーコン10に関する情報として、固定通信装置30に送信する。
【0019】
固定通信装置30は、ゲートウェイ20とWi−Fi通信機能で無線通信可能な情報処理端末である。本実施形態の固定通信装置30は、無線ルータとしての機能を有し、公衆ネットワークを介して算出装置40にアクセスできる。
【0020】
本実施形態の固定通信装置30は、ゲートウェイ20から受信したビーコン10に関する情報(ゲートウェイIDと、ビーコン10を識別するビーコンIDと、平滑化処理された信号強度と、を対応付けた情報)を、算出装置40に送信する。
【0021】
算出装置40は、固定通信装置30とネットワークを介して接続される情報処理装置である。例えば、算出装置40は、一般的なコンピュータまたはサーバであってよい。また、算出装置40は、1台のコンピュータであってもよいし、クラウドシステムのように複数台のコンピュータで構成されてもよい。
【0022】
算出装置40は、ビーコン10に関する情報(ゲートウェイIDと、ビーコン10を識別するビーコンIDと、平滑化処理された信号強度と、を対応付けた情報)に基づいて、ビーコン10の位置情報を算出する。
【0023】
算出装置40は、ビーコン10に関する情報に含まれている、平滑化処理された信号強度に基づいて、ビーコン10に関する情報に含まれているゲートウェイIDで識別されるゲートウェイ20からビーコン10までの距離を算出する。なお、信号強度に基づいた距離の算出手法は、従来からの手法を問わず、どのような手法を用いてもよい。
【0024】
また、算出装置40は、ゲートウェイ20を識別するゲートウェイIDと、当該ゲートウェイ20の位置情報とを、対応付けて記憶している。そして、算出装置40は、ゲートウェイ20の位置情報と、複数のゲートウェイ20の各々からのビーコンの距離と、に基づいてビーコン10の位置情報を算出する。なお、本実施形態は、位置情報の算出手法を制限するものではなく、3点測位の手法を問わず、どのような手法を用いてもよい。
【0025】
なお、本実施形態は、ビーコン10とゲートウェイ20との間をBLE通信機能で通信し、ゲートウェイ20と固定通信装置30との間をWi−Fi通信機能で通信する例について説明するが、装置間で通信する通信機能を制限するものではない。例えば、ビーコン10とゲートウェイ20との間を、ZigBee(登録商標)で通信し、ゲートウェイ20と固定通信装置30との間をBLE通信機能で通信してもよい。
【0026】
次に、ゲートウェイ20の具体的な構成について説明する。
図3は、本実施形態のゲートウェイ20の機能構成を例示したブロック図である。
図3に示されるように、ゲートウェイ20は、受信処理部301と、平滑化処理部302と、送信処理部303と、を備えている。
【0027】
本実施形態のゲートウェイ20は、CPUと、ROMと、RAMと、で構成されている。そして、ゲートウェイ20のCPUは、ROMに格納されているプログラムを実行することで、
図3で示す各構成が実現される。
【0028】
受信処理部301は、BLE通信機能を用いて、ビーコン10から送信される無線信号(電波)を受信する。そして、受信処理部301は、無線信号に含まれていたビーコン10を識別するビーコンIDを送信処理部303に出力し、無線信号の信号強度とビーコンIDとを平滑化処理部302に出力する。
【0029】
平滑化処理部302は、無線信号の信号強度の平滑化を行う。本実施形態の平滑化処理部302は、平滑化手法として、IIR(Infinite Impulse Response)フィルタを用いる。本実施形態の平滑化処理部302は、受信処理部301が受信した無線信号の信号強度についてIIRフィルタで平滑化処理を行うために、加算器311と、演算器312と、記憶部313と、演算器314と、を備えている。
【0030】
記憶部313は、今回受信した無線信号の前に、受信処理部301が受信した前回(過去)の無線信号の信号強度の平滑化のための演算結果を表した過去信号強度情報を記憶する。なお、過去信号強度情報に対して、演算器314でゲイン“b0”が乗算されると、前回(過去)の無線信号が平滑化された信号強度となる。
【0031】
本実施形態の記憶部313は、過去信号強度情報を一時的に記憶し、演算器312に過去信号強度情報を送信することで、ディレイ回路として機能する。
【0032】
演算器312は、記憶部313から出力された値に対して、ゲイン“a1”を乗算し、出力する。なお、ゲイン“a1”は、実施態様に応じて設定される値であって、例えば、利用者の移動速度等に基づいて設定される。
【0033】
加算器311は、今回受信した無線信号の信号強度に、演算器312から入力された値(ゲイン“a1”に過去信号強度情報を乗算した値)を加算する。
【0034】
演算器314は、加算器311から出力された値に、ゲイン“b0”を乗算して、今回受信した無線信号を平滑化した信号強度を示す値を出力する。なお、ゲイン“b0”は、実施態様に応じて設定される値とする。
【0035】
記憶部313は、すでに記憶されていた、前回の無線信号の信号強度に関する過去信号強度情報を、今回の無線信号の平滑化のための加算器311による加算結果(次回の無線信号の際の過去信号強度情報)で更新される。これによって、受信処理部301が次回の無線信号を受信した場合に、今まで平滑化してきた無線信号の受信強度を考慮した平滑化処理を実現できる。
【0036】
このように、本実施形態は、無線信号の信号強度の平滑化を行うための値として、過去のビーコン10ごとに一つの過去信号強度情報を記憶しておけばよい。このため、従来のようRSSI値を複数記憶しておく必要がないため、記憶容量を削減することができる。
【0037】
本実施形態の加算器311と、演算器312と、演算器314と、を組み合わせることで、受信処理部301が受信した今回の無線信号の信号強度と、記憶部313に記憶されていた過去信号強度情報と、を用いて、今回の無線信号の信号強度に対して平滑化のための演算を行う演算処理部320が実現される。つまり、記憶部313に記憶された過去信号強度情報RSSIxy(t−1)とした場合、演算処理部320は、下記の式(1)で表した処理を実行できる。なお、時刻tは、受信処理部301が今回受信した時刻を示し、時刻t−1は、受信処理部301が前回受信した時刻を示している。
【0038】
RSSIy(t)=(RSSIx(t)+a1*RSSIxy(t−1))*b0……(1)
【0039】
なお、本実施形態では、信号強度RSSIx(t)が時刻tにおける無線信号の信号強度の入力値であり、信号強度RSSIy(t)が時刻tにおける無線信号の平滑化された信号強度の出力値であり、信号強度RSSIxy(t)が時刻tにおける無線信号の平滑化された信号強度の中間値である。なお、中間値RSSIxy(t)にゲインb0を乗算することで、出力値RSSIy(t)が算出される。
【0040】
そして、演算処理部320によって算出された今回の無線信号の平滑化された信号強度RSSIy(t)が送信処理部303に出力される。
【0041】
送信処理部303は、平滑化処理部302から出力された平滑化された信号強度RSSIy(t)を、受信処理部301から出力されたビーコンIDと、自装置であるゲートウェイ20を識別するゲートウェイIDと、を対応付けて、固定通信装置30に送信(出力)する。なお、本実施形態は、固定通信装置30に送信する例について説明するが、送信先を固定通信装置30に制限するものではなく、ビーコン10(送信端末)の位置情報を特定可能な構成であればよい。例えば、位置情報を算出する構成への送信(出力)等でもよい。
【0042】
これによって、最終的に算出装置40は、ゲートウェイ20の各々から送信された、ビーコン10の平滑化された信号強度に基づいて、ビーコン10の位置情報を算出できる。
【0043】
上述したように、記憶部313は、今回の無線信号の平滑化のための加算器311による加算結果を、次回の無線信号の際の過去信号強度情報として更新されている。これにより受信処理部301が、ビーコン10から次回の無線信号を受信した場合に、演算処理部320が、当該次の無線信号の信号強度と、記憶部313に記憶されている過去信号強度情報と、を用いて次回の無線信号に対して平滑化のための演算を実現できる。
【0044】
本実施形態においては、平滑化処理を行うことで、ビーコン10(送信端末)から自受信した無線信号の信号強度が周囲の環境の変動に応じて大きく変化することを抑止することができる。さらには、平滑化処理をするためには、ビーコン10ごとに一つの過去信号強度情報を記憶しておけばよいため、記憶容量を削減できる。記憶容量を削減する結果、コストを削減することができる。
【0045】
(第2の実施形態)
第1の実施形態は、記憶部313には、加算器311による加算結果を記憶する例について説明した。しかしながら、記憶部313に記憶させる情報は、信号強度に対して平滑化のための演算結果であればよい。そこで、第2の実施形態では、記憶部313が、送信処理部303により送信される、平滑化された信号強度を記憶する例について説明する。なお、ゲートウェイ以外の構成は第1の実施形態と同様として説明を省略する。また、第2の実施形態においては、第1の実施形態と同様の構成については同一符号を割り当て、説明を省略する。
【0046】
図4は、第2の実施形態のゲートウェイ400の機能構成を例示したブロック図である。
図4に示されるように、ゲートウェイ400は、受信処理部301と、平滑化処理部401と、送信処理部303と、を備えている。
【0047】
平滑化処理部401は、受信処理部301が受信した無線信号の信号強度についてIIRフィルタで平滑化処理を行うために、加算器311と、演算器314と、記憶部412と、演算器411と、を備えている。
【0048】
記憶部412は、演算器314から出力された(換言すれば送信処理部303から送信される)、前回の無線信号を平滑化した信号強度を示す値(RSSIy(t−1))を記憶する。
【0049】
演算器411は、記憶部412から出力された値に対して、ゲイン“a1/b0”を乗算し、出力する。なお、ゲイン“a1/b0”は、第1の実施形態の演算器312のゲイン“a1”を、第1の実施形態の演算器314のゲイン“b0”で除算した結果である。これにより、第2の実施形態は、第1の実施形態と同様の信号強度RSSIy(t)を送信できる。
【0050】
本実施形態の加算器311と、演算器411と、演算器314と、を組み合わせることで、演算処理部420が実現される。演算処理部420は、受信処理部301が受信した今回の無線信号の信号強度と、記憶部313に過去信号強度情報として記憶されていた、前回の無線信号を平滑化した信号強度を示す値(RSSIy(t−1))と、を用いて、今回の無線信号の信号強度に対して平滑化のための演算を行う。つまり、演算処理部420は、下記の式(2)の処理を実行する。
【0051】
RSSIy(t)=(RSSIx(t)+a1/b0*RSSIy(t−1))*b0……(2)
【0052】
これにより、本実施形態は、第1の実施形態と同様の効果が得られる。さらに、本実施形態の記憶部412は、送信処理部303が送信する、無線信号を平滑化した信号強度を示す値(RSSIy(t−1))を記憶することで、様々な処理に用いることができる。例えば平滑化処理部401が、記憶部412に記憶された無線信号を平滑化した信号強度を示す値(RSSIy(t−1))を、当該無線信号を受信した時刻と対応付けて、ゲートウェイ400に接続された外部記憶媒体に書き込むことで、信号強度の履歴を生成できる。
【0053】
(第3の実施形態)
上述した実施形態は検出対象となるビーコン10を一つに制限するものではない。そこで、第3の実施形態は、複数のビーコンの各々について、過去信号強度情報を記憶する例について説明する。なお、ゲートウェイ以外の構成は第1の実施形態と同様として説明を省略する。また、第3の実施形態においては、第2の実施形態と同様の構成については同一符号を割り当て、説明を省略する。
【0054】
図5は、第3の実施形態のゲートウェイ500の機能構成を例示したブロック図である。
図5に示されるように、ゲートウェイ500は、受信処理部301と、平滑化処理部501と、送信処理部303と、を備えている。
【0055】
受信処理部301は、複数のビーコン(送信端末)10の各々から送信される無線信号を受信する。本実施形態では、N個のビーコン(送信端末)10から無線信号を受信する例とする。なお、Nは、2以上の自然数であればよい。
【0056】
平滑化処理部501は、受信処理部301が受信した無線信号の信号強度についてIIRフィルタで平滑化処理を行うために、加算器311と、演算器314と、演算器411と、記憶部511_1〜511_Nと、判別部512と、を備えている。
【0057】
記憶部511_1〜511_Nは、N個のビーコン10の各々に対応する、過去信号強度情報を記憶している。例えば、記憶部511_1は、N個のビーコン10のうち第1のビーコン10の過去信号強度情報を記憶し、記憶部511_2は、第2のビーコン10の過去信号強度情報を記憶し、記憶部511_Nは、第Nのビーコン10の過去信号強度情報を記憶する。
【0058】
判別部512は、N個のビーコン10の各々を識別するビーコンIDと、記憶部511_1〜511_Nと、を対応付けた情報を保持している。そして、判別部512は、受信処理部301が受信したビーコン10のビーコンIDから、過去信号強度情報の読み出し先となる記憶部511_1〜511_Nを特定する。
【0059】
そして、加算器311が、判別部512により特定された、記憶部511_1〜511_Nのうちいずれか一つから読み出された過去信号強度情報に、受信処理部301が受信した無線信号の信号強度を加算する。
【0060】
そして、演算器314から出力された(換言すれば送信処理部303から送信される)、今回の無線信号を平滑化した信号強度を示す値(RSSIy(t−1))は、判別部512により特定された、記憶部511_1〜511_Nのうちいずれか一つに書き込まれる。
【0061】
本実施形態では、加算器311と、演算器411と、演算器314と、判別部512とを組み合わせることで演算処理部520を実現する。演算処理部520は、受信処理部301が受信した、N個のビーコン10のうちいずれか一つの無線信号の信号強度と、N個のビーコン10のうちいずれか一つに対応する、過去信号強度情報と、を用いて、N個のビーコン10のうちいずれか一つの無線信号の信号強度に対する平滑化処理を実行する。
【0062】
図5に示される例では、記憶部511_1〜511_Nへの接続先を、判別部512による判別結果を切り替える例として表した。本実施形態は、このような例に制限するものではなく、記憶部が、ビーコンIDと、過去信号強度情報と、を対応付けたテーブルを保持し、受信した無線信号のビーコンIDと対応付けられた過去信号強度情報を読み出すようにしてもよい。
【0063】
本実施形態は、上述した構成を備えることで、複数のビーコン10の各々について平滑化された信号強度に基づいて、位置情報を算出することが可能となる。
【0064】
従来は、複数のビーコン10の各々について平滑化する場合に、複数の送信端末(例えばビーコン)毎に過去の信号強度を複数保持する必要があった。この場合、複数の信号強度の群を、複数記憶しておく必要があるため、記憶容量が大きくなっていた。
【0065】
これに対して、本実施形態では、ビーコン10毎に、1個の過去信号強度情報を記憶すればよい。このため、複数のビーコン10の信号強度を平滑化したい場合に、記憶容量の削減が可能となる。
【0066】
(第4の実施形態)
上述した実施形態においては、過去信号強度情報に乗算されるゲイン“a1”を変更しない例について説明した。しかしながら、様々な条件に応じて、過去信号強度情報に乗算されるゲインを切り替えてもよい。そこで、第4の実施形態では、過去信号強度情報に乗算されるゲインを切り替える例について説明する。なお、ゲートウェイ以外の構成は第1の実施形態と同様として説明を省略する。また、第4の実施形態においては、第3の実施形態と同様の構成については同一符号を割り当て、説明を省略する。
【0067】
図6は、第4の実施形態のゲートウェイ600の機能構成を例示したブロック図である。
図6に示されるように、ゲートウェイ600は、受信処理部301と、平滑化処理部601と、送信処理部303と、を備えている。
【0068】
平滑化処理部601は、受信処理部301が受信した無線信号の信号強度についてIIRフィルタで平滑化処理を行うために、加算器311と、演算器314と、記憶部511_1〜511_Nと、演算器611と、演算器612と、判別部613と、を備えている。
【0069】
判別部613は、過去信号強度情報の読み出し先となる記憶部511_1〜511_Nを特定する他に、所定の条件に応じて、記憶部511_1〜511_Nから読み出された過去信号強度情報の出力先を、演算器611及び演算器612のうちいずれか一つに切り替える。
【0070】
演算器611は、記憶部313から出力された値に対して、ゲイン“a1/b0”を乗算し、演算器612は、記憶部313から出力された値に対して、ゲイン“a2/b0”を乗算する。このように、演算器611及び演算器612でゲインを異ならせている。
【0071】
これにより、本実施形態の判別部512は、所定の条件に応じて過去信号強度情報に乗算するゲインを切り替えることができる。
【0072】
例えば、ビーコン10を備えている対象物の移動速度が遅い場合もあれば、移動速度が速い場合も存在する。本実施形態におけるIIRフィルタによる平滑化処理では、現在の無線信号の信号強度に、所定のゲインを乗算した過去の無線信号の信号強度を用いて平滑化処理を行っている。このため、過去の無線信号の信号強度に乗算するゲインは、利用者の移動速度に応じて切り替えるのが好ましい。
【0073】
そこで、本実施形態の判別部512は、所定の条件に応じてゲインを切り替えることとした。ゲインを切り替える条件としては、ビーコン10を携帯している利用者の移動速度に応じて切り替えることが考えられる。
【0074】
例えば、算出装置40が、算出したビーコン10毎の位置の履歴から、ビーコン10毎の移動速度を算出する。そして、算出装置40は、ビーコン10毎に算出された移動速度が所定の速度以上か否かに応じて、ビーコン10毎に使用するゲインを切り替える指示を、ゲートウェイ600に送信する。そして、ゲートウェイ600は、ビーコン10に毎にゲインを切り替える指示を受信した場合、判別部613は、当該指示に基づいて、ビーコン10毎に、演算器611及び演算器612から出力先を切り替える。なお、ゲイン“a1/b0”、及びゲイン“a2/b0”は、実施の態様に応じて適切な値が設定されるものとする。
【0075】
さらに他の例としては、判別部512は、ビーコン10を備えている対象物が、利用者か物品か(対象物が頻繁に移動するか否か)に応じて、過去信号強度情報の出力先を、演算器611及び演算器612から切り替えてもよい。
【0076】
本実施形態では、加算器311と、演算器314と、演算器611、演算器612と、判別部613と、を組み合わせることで演算処理部620を実現できる。演算処理部620は、無線信号の信号強度に対して平滑化のための演算を行う際に、過去信号強度情報に対して乗算するゲインを、所定の条件に基づいて切り替えることができる。
【0077】
これによって、ビーコン10(送信端末)を備えた人又は物の状態(例えば移動速度)に応じて、適切な平滑化処理が可能となる。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。