【解決手段】実施形態の光無線通信機の設置支援装置は、少なくとも、光無線通信を行う第1光無線通信機と第2光無線通信機の各々の設置位置と、第1光無線通信機と第2光無線通信機とを結ぶ光軸中心線の水平線に対する傾きを表す仰角と、の入力を受け付ける入力受付部と、入力された第1光無線通信機と第2光無線通信機の各々の設置位置と、入力された仰角と、光無線通信機に影響を及ぼす太陽光の入射角の最大値を表す影響角度と、通年に亘る太陽位置とに基づいて、第1光無線通信機と第2光無線通信機の各々が太陽光の影響を受けるか否かを判定する影響判定部と、影響判定部による判定結果を表示装置に表示させる表示制御部と、を備える。
前記表示制御部は、前記第1光無線通信機と前記第2光無線通信機の少なくとも一方が太陽光の影響を受けると判定された場合、太陽光の影響を受ける日時帯を前記表示装置に表示させることを特徴とする請求項1に記載の光無線通信機の設置支援装置。
前記第1光無線通信機と前記第2光無線通信機の各々の設置位置の入力は、前記表示装置に表示された地図上で位置を指定することにより行われることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光無線通信機の設置支援装置。
入力された前記第1光無線通信機と前記第2光無線通信機の各々の設置位置に基づいて、前記第1光無線通信機と前記第2光無線通信機との間の距離を算出するとともに、算出した距離が予め定めた適正通信距離の範囲内か否かを判定する距離算出部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記距離算出部が算出した距離および該距離が前記適正通信距離の範囲内か否かの判定結果を前記表示装置にさらに表示させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光無線通信機の設置支援装置。
前記表示制御部は、入力された前記第1光無線通信機と前記第2光無線通信機の各々の設置位置を表す位置情報と、前記第1光無線通信機と前記第2光無線通信機とを結ぶ光軸中心線が指し示す方角と、を前記表示装置にさらに表示させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光無線通信機の設置支援装置。
前記入力受付部は、前記第1光無線通信機と前記第2光無線通信機の周辺で太陽光を反射する反射面の位置と、該反射面の地面と垂直な方向に対する傾きと、の入力をさらに受け付け、
前記影響判定部は、入力された前記反射面の位置および前記傾きにさらに基づいて、前記第1光無線通信機と前記第2光無線通信機の各々が太陽光の影響を受けるか否かを判定することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光無線通信機の設置支援装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら、実施形態の光無線通信機の設置支援装置、設置支援方法およびプログラムについて詳細に説明する。本実施形態は、光を用いて双方向通信を行う一対の光無線通信機の設置を支援するものであり、特に、光無線通信機を設置する際に太陽光の影響を定量的に判断できるようにするものである。
【0010】
図1は、本実施形態の設置支援装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。本実施形態の設置支援装置10は、例えば
図1に示すように、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ11と、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリ12と、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などのストレージデバイス13と、液晶ディスプレイなどの表示装置14と、タッチパネルやマウス、キーボードなどの入力装置15と、装置外部と通信を行う通信I/F16とを備えた一般的なコンピュータシステムとしてのハードウェア構成を有する端末装置を用いて実現することができる。
【0011】
このような端末装置としては、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ノート型PC(パーソナルコンピュータ)、デスクトップ型PCなどが挙げられる。本実施形態の設置支援装置10は、このような端末装置のハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される。以下では、本実施形態の設置支援装置10のハードウェアとしてスマートフォンを用いることを想定するが、タブレット端末、ノート型PC、デスクトップ型PCなどの他の端末装置を用いてもよい。
【0012】
図2は、本実施形態の設置支援装置10を実現するソフトウェアの階層構造の一例を示す図である。本実施形態の設置支援装置10の各機能は、例えば
図2に示すように、OS(Operating System)21上で稼働するWebブラウザ22の機能を利用して設置支援プログラム23を実行することにより実現される。設置支援プログラム23は、例えばJavaScript(登録商標)で記述されて所定のWebサイト上で管理され、通信I/F16を用いてWebブラウザ22がこのWebサイトにアクセスすることで設置支援装置10内に読み込み、Webブラウザ22上で実行することができる。なお、設置支援プログラム23は、アプリ提供サイトから提供されるアプリケーションソフトとして開発され、設置支援装置10が通信I/F16を用いてアプリ提供サイトから設置支援プログラム23をダウンロードし、ストレージデバイス13などにインストールできる形態であってもよい。
【0013】
図3は、本実施形態の設置支援装置10の機能的な構成の一例を示すブロック図である。本実施形態の設置支援装置10は、例えば、Webブラウザ22の機能を利用して提供されるUI(ユーザインタフェース)画面40を通じて、設置支援装置10のユーザによる入力を受け付け、各種情報をユーザに提示する。本実施形態ではスマートフォンへの適用を想定するため、UI画面40は、例えば、表示装置14と入力装置15とが一体となったタッチパネル式液晶ディスプレイに表示される。
【0014】
また、この設置支援装置10は、例えばプロセッサ11がメモリ12を利用しながら設置支援プログラム23を実行することで実現される機能的な構成要素として、
図3に示すように、入力受付部31と、影響判定部32と、距離算出部33と、表示制御部34と、保存部35と、読込部36とを備える。
【0015】
まず、UI画面40について説明する。
図4は、UI画面40の一例を示す図である。このUI画面40は、Webブラウザ22が設置支援プログラム23を実行することにより表示装置14に表示される。このUI画面40は、
図4に示すように、地図表示領域41と、ボタン配置領域42と、ユーザ入力領域43と、結果表示領域44とを含む。
【0016】
地図表示領域41は、ユーザが一対の光無線通信機の設置位置を指定(入力)するための地図を表示する領域である。ユーザは、例えば地図表示領域41内の「検索」入力ボックス45に任意の住所あるいは施設名などのキーワードを入力することで、任意の地図を地図表示領域41に表示させることができる。地図表示領域41に表示される地図は、例えば所定の地図提供サイトから取得される。地図表示領域41に表示される地図は、例えば地図表示領域41内でのピンチイン・ピンチアウト操作により任意の縮尺に縮小・拡大することができる。また、地図表示領域41に表示される地図は、例えば地図表示領域41内でのスワイプ操作やフリック操作によりスクロールさせることができる。また、
図4に示す例のように、地図表示領域41内に「地図/航空写真」ボタン46を設け、この「地図/航空写真」ボタン46の操作により地図表示と写真表示とを切り替えられるようにしてもよい。
【0017】
ユーザは、この地図表示領域41に表示されている地図上で、一対の光無線通信機を設置しようとしている位置を例えばタップ操作などにより順次指定することにより、一対の光無線通信機の設置位置を入力することができる。ここで、一対の光無線通信機のうち、先に設置位置が指定される光無線通信機を通信機1(第1光無線通信機)とし、次に設置位置が指定される光無線通信機を通信機2(第2光無線通信機)とする。地図上で指定された通信機1および通信機2の設置位置には、マーカ47が各々重畳される。マーカ47内の数値により、その設置位置が通信機1か通信機2かが識別される。
【0018】
ボタン配置領域42は、ユーザが操作可能なボタンが配置される領域である。例えば、「実行」ボタン48、「消去」ボタン49、「保存」ボタン50、「読込」ボタン51、「地図保存」ボタン52の各種ボタンが、ボタン配置領域42に配置される。
【0019】
「実行」ボタン48は、設置支援装置10に対して演算の実行を指示する際に操作されるボタンである。「消去」ボタン49は、地図上で指定した通信機1や通信機2の設置位置を無効化する際に操作されるボタンである。この「消去」ボタン49が操作されると、地図上のマーカ47が消去される。
【0020】
「保存」ボタン50は、結果表示領域44に表示されている情報をファイルとして保存する際に操作されるボタンである。「読込」ボタン51は、ファイルとして保存されている情報を読み込んで結果表示領域44に表示する際に操作されるボタンである。「読込」ボタン51の操作に応じて結果表示領域44に情報が表示されると、その情報に対応する通信機1および通信機2の設置位置にマーカ47が重畳された地図が地図表示領域41上で復元される。「地図保存」ボタン52は、地図表示領域41に表示されている地図をファイルとして保存する際に操作されるボタンである。ボタン配置領域42に配置されるこれらの各種ボタンは、例えば、各々のボタンの表示位置に対するタップ操作によって操作することができる。
【0021】
ユーザ入力領域43は、ユーザが数値を入力するための領域である。このユーザ入力領域43には、例えば、後述の仰角を入力するための「仰角」入力ボックス53と、後述の影響角度を入力するための「影響角度」入力ボックス54とが設けられている。また、ユーザ入力領域43には、通信機1および通信機2の設置が完了した後に利用されるものとして、通信機1および通信機2の各々の受信信号強度を示すRSSI(Received Signal Strength Indicator)が入力される「RSSI」入力ボックス55が設けられている。これらの入力ボックスへの数値の入力は、例えば、入力ボックスの表示位置をタップすることで画面上に現れるテンキーなどを用いて行うことができる。
【0022】
結果表示領域44は、設置支援装置10による演算結果を含む各種情報を表示する領域である。各々の情報は、項目とそれに対応する値の組合せとして結果表示領域44に表示される。例えば、「住所」の項目に対応する値として、地図表示領域41に表示されている地図上で指定された通信機1の設置位置(通信機1に対応するマーカ47が重畳された位置)の住所が表示される。また、「通信機1」の項目に対応する値として、地図上で指定された通信機1の設置位置(地図上のマーカ47の位置)の緯度および経度が表示され、「通信機2」の項目に対応する値として、地図上で指定された通信機2の設置位置(地図上のマーカ47の位置)の緯度および経度が表示される。また、「方角」の項目に対応する値として、通信機1の設置位置から通信機2の設置位置に向かう方角と、通信機2の設置位置から通信機1の設置位置に向かう方角とが表示される。
【0023】
また、「通信距離」の項目に対応する値として、通信機1の設置位置と通信機2の設置位置との間の距離と、その距離に応じたRSSIの目安と、その距離が予め定めた適正通信距離の範囲内か否かの判定結果(OK/NG)とが表示される。また、「影響日時」の項目に対応する値として、通信機1および通信機2が太陽光の影響を受けるか否かの判定結果が表示される。太陽光の影響を受けるか否かの判定結果は、影響を受けないとの判定結果であれば、例えば「太陽光の影響はありません」といったメッセージが表示され、影響を受けるとの判定結果であれば、太陽光の影響を受ける日時帯が表示される。
【0024】
本実施形態の設置支援装置10では、ユーザがUI画面40を利用して、地図表示領域41に表示されている地図上で通信機1の設置位置および通信機2の設置位置を指定(入力)し、「仰角」入力ボックス53に仰角、「影響角度」入力ボックス54に影響角度をそれぞれ入力して、「実行」ボタン48を操作することにより、各種の演算が行われる。そして、この演算結果を含む各種情報がUI画面40の結果表示領域44に表示される。
【0025】
なお、UI画面40は、例えば地図表示領域41外でのピンチイン・ピンチアウト操作により、画面全体を任意の大きさに縮小・拡大して表示装置14に表示することができる。また、UI画面40は、例えば地図表示領域41外でのスワイプ操作やフリック操作によりスクロールさせることができる。これにより、表示装置14の表示サイズの制約によりUI画面40が見づらくなることを抑制できる。
【0026】
次に、
図3に示す設置支援装置10の機能的な各部について説明する。入力受付部31は、UI画面40を利用したユーザによる入力を受け付ける。具体的には、入力受付部31は、地図表示領域41上での通信機1および通信機2の各々の設置位置の入力、ユーザ入力領域43での仰角、影響角度の入力などを受け付ける。入力受付部31が受け付けたユーザの入力は、影響判定部32に渡される。
【0027】
仰角は、
図5に示すように、通信機1と通信機2とを結ぶ光軸中心線L1の水平線L2に対する傾きθ1を表す角度である。つまり、仰角は通信機1から見た通信機2の高度に相当する。通信機1よりも通信機2が高い位置にある場合、仰角は正の値をとり、通信機1よりも通信機2が低い位置にある場合、仰角は負の値をとる。
【0028】
影響角度は、
図6に示すように、光無線通信機(通信機1および通信機2)に影響を及ぼす太陽光の入射角(光無線通信機の光軸中心線L1に対する入射光の傾き)の最大値θ2を表す。つまり、通信機1や通信機2に対する太陽光の入射角が影響角度以下であれば通信機1や通信機2は太陽光の影響を受け、通信機1や通信機2に対する太陽光の入射角が影響角度よりも大きければ通信機1や通信機2は太陽光の影響を受けないと判断する。本実施形態では、光無線通信機の構造によって影響角度が異なることを考慮して、影響角度をユーザが入力できるようにしているが、影響角度を例えば10度などの固定の値としてもよい。この場合、ユーザは仰角の入力を行わないため、UI画面40の「影響角度」入力ボックス54は不要となる。
【0029】
影響判定部32は、ユーザによる「実行」ボタン48の操作に応じて起動し、ユーザにより入力された通信機1および通信機2の各々の設置位置、仰角、影響角度と、通年に亘る太陽位置とに基づいて、通信機1と通信機2の各々が太陽光の影響を受けるか否かを判定する。
【0030】
具体的には、影響判定部32は、まず、ユーザにより入力された通信機1および通信機2の各々の設置位置の緯度・経度を抽出する。そして、通信機1の設置位置の緯度・経度と通信機2の設置位置の緯度・経度をもとに、通信機1の設置位置から通信機2の設置位置に向かう方角と、通信機2の設置位置から通信機1の設置位置に向かう方角とをそれぞれ算出する。通信機1の設置位置から通信機2の設置位置に向かう方角は、
図7中の角度θ3で表され、通信機2の設置位置から通信機1の設置位置に向かう方角は、
図7中の角度θ4で表される。
【0031】
次に、影響判定部32は、通信機1の設置位置から通信機2の設置位置に向かう方角と、仰角と、影響角度とに基づいて、通信機1の影響範囲R1を算出する。また、影響判定部32は、通信機2の設置位置から通信機1の設置位置に向かう方角と、仰角と、影響角度とに基づいて、通信機2の影響範囲R2を算出する。通信機1,2の影響範囲R1,R2は、
図6に示すように、通信機1,2の光軸中心線L1から影響角度の範囲を、通信機1,2の光軸中心線L1に対して垂直な平面に投射したときの円の領域である。
【0032】
通信機1の影響範囲R1は、例えば
図9に示すように、方位(単位は度)をX軸、高度(単位は度)をY軸とした2次元座標上で、通信機1の設置位置から通信機2の設置位置に向かう方角をxの値、仰角をyの値とする座標点を中心とし、影響角度を半径とする円として考えることができる。同様に、通信機2の影響範囲R2は、通信機1の影響範囲R1と方位(単位は度)をX軸、高度(単位は度)をY軸とした2次元座標上で、通信機2の設置位置から通信機1の設置位置に向かう方角をxの値、仰角をyの値とする座標点を中心とし、影響角度を半径とする円として考えることができる。
【0033】
通信機1の影響範囲R1および通信機2の影響範囲R2がそれぞれ算出されると、影響判定部32は、通信機1の設置位置と通信機2の設置位置の各々を基準とした場合の太陽位置を、例えば15分刻みなどの所定の時間間隔で通年に亘って(つまり365日分)順次計算する。そして、太陽位置が通信機1の影響範囲R1内に入る場合があれば、通信機1は太陽光の影響を受けると判断する。また、太陽位置が通信機2の影響範囲R2内に入る場合があれば、通信機2は太陽光の影響を受けると判断する。
【0034】
太陽位置は、ある地点(観測点)におけるある時刻での太陽の位置を示し、太陽高度hと太陽方位角Aとにより定められる。太陽高度hは、
図8に示すように、ある観測点Qと太陽を結ぶ直線と、その直線を地表面へ投射したときの投射線とがなす角(仰角)として定義される。太陽方位角Aは、ある観測点Qと太陽を結ぶ直線の地表面への投射線と正南方向とがなす角として定義される。
【0035】
任意の観測点における任意時刻の太陽高度hと太陽方位角Aは、例えば、理科年表に掲載されている値を用いて、下記式(1)乃至式(3)により計算することができる。
cos(h)sin(A)=−cos(δ)sin(H) ・・・(1)
cos(h)cos(A)=cos(φ)sin(δ)−sin(φ)cos(δ)cos(H) ・・・(2)
sin(h)=sin(φ)sin(δ)+cos(φ)cos(δ)cos(H) ・・・(3)
ここで、δは太陽の視赤緯、Hは時角、φは観測点の緯度である。
【0036】
太陽高度hと太陽方位角Aを求める時刻から標準時(日本の場合は9
h)を差し引いた時刻をt、観測地点の経度(経度は、東経をプラス、西経をマイナスで表し、15で除算して時間の単位にする)をλ、世界時0
hのグリニジ視恒星時をθ
0、太陽の視赤経をαとすると、時角Hは下記式(4)により表される。
H=θ
0+t×1.0027379+λ−α ・・・(4)
ここで、Hの値が負になれば24
hを加え、Hの値が24
hを超えれば24
hを引く。
【0037】
なお、理科年表に掲載されている太陽の視赤緯δおよび視赤経αは世界時0
hの値であるが、上記の時刻tと、観測日における太陽の視赤緯δおよび視赤経αの年表掲載値δ
0,α
0と、観測日の翌日における太陽の視赤緯δおよび視赤経αの年表掲載値δ
1,α
1とを用い、下記式(5)および式(6)により、上記の式に代入する太陽の視赤緯δおよび視赤経αを求めることができる。
δ=(δ
1−δ
0)×t/24+δ
0 ・・・(5)
α=(α
1−α
0)×t/24+α
0 ・・・(6)
【0038】
なお、以上で説明した太陽位置の計算方法は一例であり、本実施形態に適用可能な計算方法はこれに限らない。本実施形態では、通信機1,2の設置位置を観測点として所定の時間間隔で通年に亘る太陽位置を計算可能なあらゆる計算方法を適用することができる。例えば、理科年表に掲載された値を用いずに太陽位置を計算することも可能である。
【0039】
通信機1の設置位置と通信機2の設置位置の各々を観測点として順次計算される太陽位置は、例えば
図9に示す2次元座標(X軸が方位、Y軸が高度)上の点として捉えることができる。影響判定部32は、例えば15分刻みで計算した365日分の太陽位置が通信機1の影響範囲R1内に入ることがなければ、通信機1は太陽光の影響を受けないと判断し、通信機1の影響範囲R1内に太陽位置が入ることがあれば、通信機1は太陽光の影響を受けると判断する。そして、通信機1が太陽光の影響を受けると判断した場合、影響判定部32は、太陽位置が通信機1の影響範囲R1内に入る日時の範囲を、通信機1が太陽光の影響を受ける日時帯として求める。
【0040】
また、影響判定部32は、例えば15分刻みで計算した365日分の太陽位置が通信機2の影響範囲R2内に入ることがなければ、通信機2は太陽光の影響を受けないと判断し、通信機2の影響範囲R2内に太陽位置が入ることがあれば、通信機2は太陽光の影響を受けると判断する。そして、通信機2が太陽光の影響を受けると判断した場合、影響判定部32は、太陽位置が通信機2の影響範囲R2内に入る日時の範囲を、通信機2が太陽光の影響を受ける日時帯として求める。
【0041】
影響判定部32による判定結果(通信機1,2が太陽光の影響を受けるか否か、影響を受ける場合はその日時帯)は、通信機1,2の設置位置の緯度・経度および通信機1,2の方角(通信機1の設置位置から通信機2の設置位置に向かう方角と、通信機2の設置位置から通信機1の設置位置に向かう方角)とともに、表示制御部34に渡される。また、通信機1,2の設置位置の緯度・経度は、距離算出部33にも渡される。
【0042】
距離算出部33は、ユーザによる「実行」ボタン48の操作に応じて起動し、通信機1,2の設置位置の緯度・経度を影響判定部32から取得して、通信機1と通信機2との間の距離を算出する。そして、距離算出部33は、算出した通信機1と通信機2との間の距離が、予め定めた適正通信距離の範囲(例えば20m〜100m)内か否かを判定する。距離算出部33が算出した通信機1と通信機2との間の距離と、この距離が適正通信距離の範囲内か否かの判定結果は、表示制御部34に渡される。
【0043】
表示制御部34は、影響判定部32および距離算出部33から取得した各種の情報を、UI画面40の結果表示領域44における各項目に対応する値として、表示装置14に表示させる。なお、「住所」の項目に対応する値は、例えば所定の地図提供サイトから取得した地図データに含まれる、通信機1の設置位置(通信機1に対応するマーカ47が重畳された位置)の住所を表示する。また、「通信距離」の項目のRSSIの目安の値は、上述の適正通信距離の範囲を複数の距離範囲に区分してそれぞれの距離区分ごとに想定されるRSSIの値を事前に定めておき、これら距離区分ごとに定めたRSSIの値のうち、距離算出部33から取得した通信機1と通信機2との間の距離が属する距離区分に対応するRSSIの値を表示する。
【0044】
図4に示したUI画面40の例では、距離算出部33により算出された通信機1と通信機2との間の距離が23.654mであり、この距離は適正通信距離の範囲内であるため、「通信距離」の項目の通信機間の値として“23.654m”、判定の値として“OK”がそれぞれ表示されている。また、RSSIの目安の値として、23.654mが属する距離区分に対応する値として事前に定めた“3.85v以上”が表示されている。ユーザは、この表示を参照することで、地図表示領域41の地図上で指定した通信機1,2の設置位置であれば、通信機1,2間で適正に通信が可能であることを認識できる。また、RSSIの目安の値は、地図表示領域41の地図上で指定した通信機1,2の設置位置に実際に通信機1,2を設置する際の光軸合わせに利用できる。つまり、RSSIの目安の値が“3.85v以上”であれば、通信機1,2の双方で3.85v以上のRSSIが得られるように両者の相対的な向きを調整することで、通信機1,2の光軸合わせを効率よく行うことができる。
【0045】
また、
図4に示したUI画面40の例では、影響判定部32により通信機1,2の双方が太陽光の影響を受けると判定されたため、「影響日時」の項目の通信機1の値と通信機2の値との双方に、それぞれが太陽光の影響を受ける日時帯が表示されている。具体的には、通信機1は2月24日から4月5日までの期間に朝方の5:45から6:45まで太陽光の影響を受け、9月8日から10月20日までの期間に朝方の5:30から6:15まで太陽光の影響を受けることが示されている。また、通信機2は3月14日から4月26の期間に夕方の17:30から18:15まで太陽光の影響を受け、8月16日から9月30日の期間に夕方の17:15から18:15まで太陽光の影響を受けることが示されている。
【0046】
ユーザは、この表示を参照することで、地図表示領域41の地図上で指定した通信機1,2の設置位置では、通信機1は朝方、通信機2は夕方にそれぞれ太陽光の影響を受けることがあることを認識できる。そして、例えば、太陽光の影響を受ける時間帯に通信を行うことがなければ、地図表示領域41の地図上で指定した設置位置に通信機1,2を設置しても問題ないと判断することができ、また、太陽光の影響を受ける時間帯に通信を行うことがあれば、通信機1,2の設置位置を再検討する必要があると判断できる。通信機1,2の設置位置を再検討する必要があると判断した場合、ユーザは、UI画面40のボタン配置領域42に配置されている「消去」ボタン49を操作して地図上のマーカ47を消去し、通信機1,2の各々の設置位置を地図上で新たに指定することができる。また、「消去ボタン」49を操作することなく、地図上のマーカ47の位置をドラッグ&ドロップ操作などにより移動させることで、通信機1,2の各々の設置位置を地図上で新たに指定するようにしてもよい。
【0047】
図10は、
図4に示したUI画面40においてユーザが「消去」ボタン49を操作して地図上のマーカ47を消去し、地図を縮小した上で通信機1,2の設置位置を新たに指定し、「実行」ボタン48を操作した場合のUI画面40の例である。ここでは、仰角や影響角度は
図4に示したUI画面40で入力した値に変更はなく、その値が維持されているものとする。
【0048】
図10に示すUI画面40の例では、距離算出部33により算出された通信機1と通信機2との間の距離が60.716mであり、この距離は適正通信距離の範囲内であるため、「通信距離」の項目の通信機間の値として“60.716m”、判定の値として“OK”がそれぞれ表示されている。また、RSSIの目安の値として、60.716mが属する距離区分に対応する値として事前に定めた“3.55v以上”が表示されている。ユーザは、この表示を参照することで、地図表示領域41の地図上で新たに指定した通信機1,2の設置位置であれば、3.55v以上のRSSIが得られれば通信機1,2間で通信が可能であることを認識できる。
【0049】
また、
図10に示したUI画面40の例では、影響判定部32により通信機1,2の双方が太陽光の影響を受けないと判定されたため、「影響日時」の項目の通信機1の値と通信機2の値との双方に、それぞれ“太陽光の影響はありません”といったメッセージが表示されている。ユーザは、この表示を参照することで、地図表示領域41の地図上で新たに指定した通信機1,2の設置位置であれば、通信機1,2間で太陽光の影響を受けずに適切に通信を行うことができ、地図表示領域41の地図上で新たに指定した設置位置に通信機1,2を設置しても問題ないと判断することができる。
【0050】
なお、
図4および
図10に例示したUI画面40は一例であり、UI画面40の構成は適宜変更してもよい。例えば、
図4および
図10に例示したUI画面40では、結果表示領域44に地図の中心の住所、通信機1,2の各々の設置位置の緯度・経度および方角などを表示しているが、これらの情報は内部で保持し、結果表示領域44には表示しない構成としてもよい。また、
図4および
図10に例示したUI画面40では、ユーザ入力領域43に「RSSI」入力ボックス55が設けられているが、この「RSSI」入力ボックス55は、通信機1,2の設置が完了した後に実際に通信機1,2の双方でRSSIを測定した実測値を入力するものであり、通信機1,2の設置位置を検討する際の有用性は低いため、ユーザ入力領域43に「RSSI」入力ボックス55を設けない構成であってもよい。
【0051】
保存部35は、ユーザによる「保存」ボタン50の操作に応じて起動し、「保存」ボタン50が操作された時点でUI画面40の結果表示領域44に表示されている各種情報を、例えばcsvファイルの形式で保存する。このとき、ユーザ入力領域43の「RSSI」入力ボックス55に通信機1,2のRSSIの実測値が入力されている場合には、これら通信機1,2のRSSIの実測値も併せて保存される。また、保存部35は、ユーザによる「地図保存」ボタン52の操作に応じて起動し、「地図保存」ボタン52が操作された時点でUI画面40の地図表示領域41に表示されている地図を保存する。これら各種情報や地図の保存先は、設置支援装置10の内部であっても外部であってもよい。
【0052】
読込部36は、ユーザによる「読込」ボタン51の操作に応じて起動し、保存部35が所定の保存先に保存した各種情報や地図のうち、ユーザにより選択されたものを読み込んで結果表示領域44や地図表示領域41に表示させる。すなわち、ユーザにより「読込」ボタン51が操作されると、読込部36は、まず、所定の保存先にファイルとして保存されている各種情報や地図の一覧をUI画面40上に表示する。そして、この一覧の中からユーザによって任意のファイルが選択されると、その選択されたファイルを保存先から読み込んで展開し、結果表示領域44に各種情報を表示したり、地図表示領域41に地図を表示したりする。選択されたファイルに通信機1,2のRSSIの実測値も併せて保存されている場合は、これら通信機1,2のRSSIの実測値も表示する。
【0053】
本実施形態の設置支援装置10では、これら保存部35および読込部36を備えることにより、ユーザ操作に応じた過去の演算結果などをログとして残したり再現したりすることが可能となっている。また、ユーザは、通信機1,2の設置が完了した後に「RSSI」入力ボックス55に通信機1,2のRSSIの実測値を入力し、「保存」ボタン50を操作すれば、通信機1,2の設置作業の実績として残すこともできる。
【0054】
次に、以上のように構成される本実施形態の設置支援装置10の動作について説明する。まず、
図11を参照して、ユーザが通信機1,2の設置位置を検討する際に設置支援装置10に対して行う操作について説明する。
図11は、UI画面40を用いたユーザの操作手順を説明するフローチャートである。
【0055】
本実施形態の設置支援装置10が動作を開始すると、表示装置14にUI画面40が表示される。ユーザは、このUI画面40の地図表示領域41に所望の地図を表示させ、設置しようとしている通信機1と通信機2の各々の設置位置を地図上で指定する(ステップS101)。
【0056】
次に、ユーザは、UI画面40のユーザ入力領域43に設けられている「仰角」入力ボックス53に所望の仰角を入力し(ステップS102)、「影響角度」入力ボックス54に、通信機1,2の構造に依存する影響角度を入力する(ステップS103)。そして、ユーザは、UI画面40のボタン配置領域42に配置されている「実行」ボタン48を操作する(ステップS104)。
【0057】
これらUI画面40を用いたユーザの操作は、入力受付部31により受け付けられる。そして、「実行」ボタン48の操作が入力受付部31により受け付けられた時点で影響判定部32および距離算出部33が起動し、影響判定部32および距離算出部33により各種の演算が行われる。
【0058】
次に、
図12を参照して、「実行」ボタン48が操作された後の影響判定部32および表示制御部34の動作について説明する。
図12は、影響判定部32および表示制御部34の処理手順を説明するフローチャートである。
【0059】
影響判定部32は、「実行」ボタン48の操作に応じて起動すると、まず、地図上で設置位置が指定された通信機1と通信機2の各々の緯度・経度を抽出する(ステップS201)。そして、影響判定部32は、これら通信機1と通信機2の各々の緯度・経度をもとに、通信機1と通信機2の各々の方角を算出する(ステップS202)。通信機1の方角は、通信機1の設置位置から通信機2の設置位置に向かう方角であり、通信機2の方角は、通信機1の設置位置から通信機2の設置位置に向かう方角である。
【0060】
次に、影響判定部32は、ステップS202で算出した通信機1と通信機2の各々の方角と、ユーザにより入力された仰角と、ユーザにより入力された影響角度とに基づいて、通信機1と通信機2の各々の影響範囲R1,R2を算出する(ステップS203)。また、影響判定部32は、通信機1の設置位置を観測点とした通年に亘る太陽位置と、通信機2の設置位置を観測点とした通年に亘る太陽位置とを算出する(ステップS204)。
【0061】
通年に亘る太陽位置は、例えば15分刻みなどの所定間隔で、通信機1,2の設置位置を観測点としたときの上述の太陽高度hと太陽方位角Aとを365日分算出する。すなわち、1月1日の0:00からスタートし、12月31日の23:45まで、通信機1,2の設置位置を観測点としたときの上述の太陽高度hと太陽方位角Aとを順次算出する。なお、日没から日の出までの時間帯が把握できれば、これらの時間帯における計算をスキップして太陽位置の算出は省略するようにしてもよい。
【0062】
次に、影響判定部32は、ステップS203で算出した通信機1の影響範囲R1内にステップS204で算出した太陽位置が入ることがあるかどうかを確認する(ステップS205)。そして、通信機1の影響範囲R1内に太陽位置が入ることがあれば(ステップS205:Yes)、影響判定部32は、通信機1が太陽光の影響を受けると判断し、通信機1が太陽光の影響を受ける旨の判定結果と、通信機1が太陽光の影響を受ける日時帯(太陽位置が通信機1の影響範囲R1内に入る日時の範囲)を表示制御部34に渡す。この場合、表示制御部34は、UI画面40の結果表示領域44における「影響日時」の項目の通信機1の値として、通信機1が太陽光の影響を受ける日時帯を表示させる(ステップS206)。
【0063】
一方、通信機1の影響範囲R1内に太陽位置が入ることがなければ(ステップS205:No)、影響判定部32は、通信機1が太陽光の影響を受けないと判断し、通信機1が太陽光の影響を受けない旨の判定結果を表示制御部34に渡す。この場合、表示制御部34は、UI画面40の結果表示領域44における「影響日時」の項目の通信機1の値として、通信機1が太陽光の影響を受けない旨のメッセージ、例えば“太陽光の影響はありません”といったメッセージを表示させる(ステップS207)。
【0064】
同様に、影響判定部32は、ステップS203で算出した通信機2の影響範囲R2内にステップS204で算出した太陽位置が入ることがあるかどうかを確認する(ステップS208)。そして、通信機2の影響範囲R2内に太陽位置が入ることがあれば(ステップS208:Yes)、影響判定部32は、通信機2が太陽光の影響を受けると判断し、通信機2が太陽光の影響を受ける旨の判定結果と、通信機2が太陽光の影響を受ける日時帯(太陽位置が通信機2の影響範囲R2内に入る日時の範囲)を表示制御部34に渡す。この場合、表示制御部34は、UI画面40の結果表示領域44における「影響日時」の項目の通信機2の値として、通信機2が太陽光の影響を受ける日時帯を表示させる(ステップS209)。
【0065】
一方、通信機2の影響範囲R2内に太陽位置が入ることがなければ(ステップS208:No)、影響判定部32は、通信機2が太陽光の影響を受けないと判断し、通信機2が太陽光の影響を受けない旨の判定結果を表示制御部34に渡す。この場合、表示制御部34は、UI画面40の結果表示領域44における「影響日時」の項目の通信機2の値として、通信機2が太陽光の影響を受けない旨のメッセージ、例えば“太陽光の影響はありません”といったメッセージを表示させる(ステップS210)。
【0066】
次に、
図13を参照して、「実行」ボタン48が操作された後の距離算出部33および表示制御部34の動作について説明する。
図13は、距離算出部33および表示制御部34の処理手順を説明するフローチャートである。
【0067】
距離算出部33は、「実行」ボタン48の操作に応じて起動すると、地図上で設置位置が指定された通信機1と通信機2の各々の緯度・経度を影響判定部32から取得して、これら通信機1と通信機2との間の距離を算出する(ステップS301)。このとき、ユーザにより入力された仰角が所定値を超える場合は、この仰角の値も考慮して、通信機1と通信機2との間の距離をより正確に算出するようにしてもよい。
【0068】
次に、距離算出部33は、ステップS301で算出した距離が予め定めた適正通信距離の範囲内か否かを判定する(ステップS302)。そして、ステップS301で算出した距離が適正通信距離の範囲内であれば(ステップS302:Yes)、距離算出部33は、ステップS301で算出した距離と判定結果:OKとを表示制御部34に渡す。この場合、表示制御部34は、UI画面40の結果表示領域44における「通信距離」の項目の通信機間の値としてステップS301で算出された距離、判定の値として“OK”、RSSIの目安の値として、ステップS301で算出された距離が属する距離区分に対応するRSSIの値を表示させる(ステップS303)。
【0069】
一方、ステップS301で算出した距離が適正通信距離の範囲外であれば(ステップS302:No)、距離算出部33は、ステップS301で算出した距離と判定結果:NGとを表示制御部34に渡す。この場合、表示制御部34は、UI画面40の結果表示領域44における「通信距離」の項目の通信機間の値としてステップS301で算出された距離、判定の値として“NG”を表示させる(ステップS304)。
【0070】
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態の設置支援装置10によれば、設置しようとしている一対の光無線通信機である通信機1および通信機2の各々の設置位置、仰角および影響角度の入力を受け付け、これら通信機1,2の設置位置、仰角および影響角度と通年に亘る太陽位置とに基づいて、通信機1,2が太陽光の影響を受けるか否かを判定し、その判定結果を表示させるようにしている。したがって、ユーザは、本実施形態の設置支援装置10を用いることで、光無線通信機を設置する際に太陽光の影響を定量的に判断することができ、太陽光の影響を考慮した通信機1,2の適切な設置位置を検討することができる。
【0071】
また、本実施形態の設置支援装置10によれば、通信機1,2が太陽光の影響を受けると判定した場合は太陽光の影響を受ける日時帯を表示させるようにしているので、ユーザは、その日時帯に通信機1,2が通信を行うかどうかによって、通信機1,2が太陽光の影響を受けることで問題が生じるかどうかを判断することができる。
【0072】
また、本実施形態の設置支援装置10によれば、地図上での位置の指定により通信機1,2の設置位置を入力できるようにしているので、ユーザは直感的に通信機1,2の設置位置を入力することができる。
【0073】
また、本実施形態の設置支援装置10によれば、入力された通信機1,2の設置位置をもとにこれら通信機1と通信機2との間の距離を算出し、算出した距離と、この距離が予め定めた適正通信距離の範囲内かどうかの判定結果をさらに表示させるようにしているので、ユーザは、入力した設置位置に通信機1,2を実際に設置した場合に適正な通信が可能かどうかを事前に認識することができる。
【0074】
また、本実施形態の設置支援装置10によれば、太陽光の影響の判定結果を含む各種情報(結果情報)をファイルとして保存し、保存したファイルを適宜読み出して表示できるようにしているので、ユーザ操作に応じた過去の演算結果などをログとして残したり再現したりすることが可能となる。
【0075】
<変形例>
なお、上述の実施形態では、通信機1,2の影響範囲R1,R2に太陽位置が入ることがあるかどうかにより通信機1,2が太陽光の影響を受けるか否かを判定したが、さらに、通信機1,2の設置位置周辺の壁などの構造物での反射光も考慮して、通信機1,2が太陽光の影響を受けるか否かを判定する構成としてもよい。
【0076】
図14は、本変形例におけるUI画面40の一例を示す図である。本変形例では、UI画面40の地図表示領域41の近傍に、この地図表示領域41に表示されている地図上で通信機1,2の設置位置を指定する場合に操作される「通信機」ボタン56と、壁などの構造物の位置を指定する際に操作される「壁」ボタン57とが追加されている。また、UI画面40のユーザ入力領域43に、壁などの構造物の傾斜角を入力する「壁の傾斜角」入力ボックス59が追加されている。
【0077】
本変形例では、地図表示領域41に表示されている地図上で通信機1,2の設置位置を指定する場合、ユーザは、「通信機」ボタン56をタップ操作などにより操作した後、地図表示領域41に表示されている地図上で、通信機1,2を設置しようとしている位置をタップ操作などにより順次指定する。また、地図表示領域41に表示されている地図上で壁などの構造物の位置を指定する場合、ユーザは、「壁」ボタン57をタップ操作などにより操作した後、地図表示領域41に表示されている地図上で、壁などの構造物の両端部の位置をタップ操作などにより順次指定する。地図上で指定された壁などの構造物の両端部の位置にはポインタ58a,58bが各々重畳され、これらポインタ58a,58bを結ぶ直線が壁位置58として強調表示される。
【0078】
また、地図表示領域41に表示されている地図上で壁などの構造物の位置を指定した場合、ユーザは、さらにユーザ入力領域43に設けられた「壁の傾斜角」入力ボックス59に、壁などの構造物の傾斜角を入力することができる。この傾斜角は、例えば
図15に示すように、地面に垂直な垂線L3に対する構造物60の側面(反射面)の傾きθ5を表す角度である。
【0079】
本変形例では、ユーザが構造物60の位置および傾斜角を入力すると、これらの入力が入力受付部31によってさらに受け付けられる。そして、影響判定部32は、上述の太陽位置に基づく太陽光の影響有無の判定に加えて、構造物60での反射光(正反射光)による影響有無も判定する。具体的には、影響判定部32は、
図15に示すように、通信機1,2の設置位置と構造物60の位置および傾斜角θ5とに基づいて、通年に亘って順次計算された太陽位置のそれぞれについて、太陽光が構造物60の側面(反射面)で正反射して通信機1,2に入射する際の入射角θ6を算出する。そして、構造物60の側面(反射面)で正反射する太陽光の入射角θ6が通信機1,2の影響角度θ2以下となることがあれば、太陽位置が通信機1,2の影響範囲R1,R2内に入ることがない場合であっても、通信機1,2は太陽光の影響を受けるものと判断する。
【0080】
このように、本変形例によれば、通信機1,2の設置位置周辺の壁などの構造物での反射光も考慮して、通信機1,2が太陽光の影響を受けるか否かを判定できるようにしているので、上述の実施形態よりもさらに高精度に太陽光の影響有無を判定することができる。
【0081】
以上、本発明の具体的な実施形態について説明したが、上述した実施形態は本発明の一適用例を示したものである。本発明は、上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を加えて具体化することができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。