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特開2020-167879バッテリ制御装置およびバッテリ制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-167879(P2020-167879A)
(43)【公開日】2020年10月8日
(54)【発明の名称】バッテリ制御装置およびバッテリ制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20200911BHJP
   B60L 1/00 20060101ALI20200911BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20200911BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20200911BHJP
【FI】
   H02J7/00 P
   B60L1/00 L
   H01M10/48 P
   H01M10/44 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-68371(P2019-68371)
(22)【出願日】2019年3月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三宅 隆資
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA04
5G503BA02
5G503BB02
5G503EA05
5G503FA06
5G503GB03
5G503GD02
5G503GD06
5G503HA00
5H030AA01
5H030AS06
5H030AS08
5H030BB10
5H030FF22
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H125AA01
5H125AC12
5H125BC25
5H125EE48
5H125EE70
(57)【要約】
【課題】電力供給の精度および品質を確保すること。
【解決手段】実施形態に係るバッテリ制御装置は、補機用のバッテリと、接続制御部と、算出部と、均等化制御部とを備える。補機用のバッテリは、リチウムイオン二次電池からなり、車両の補機電力線に対し接続または切り離し可能に設けられる。接続制御部は、所定の車両状態時に、上記バッテリを補機電力線から切り離す。算出部は、接続制御部によって上記バッテリが切り離された場合に、当該バッテリの充電状態を算出する。均等化制御部は、接続制御部によって上記バッテリが切り離された場合に、当該バッテリのセルの充電量の均等化を実行させる。
【選択図】図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムイオン二次電池からなり、車両の補機電力線に対し接続または切り離し可能に設けられた補機用のバッテリと、
所定の車両状態時に、前記バッテリを前記補機電力線から切り離す接続制御部と、
前記接続制御部によって前記バッテリが切り離された場合に、当該バッテリの充電状態を算出する算出部と、
前記接続制御部によって前記バッテリが切り離された場合に、当該バッテリのセルの充電量の均等化を実行させる均等化制御部と
を備えることを特徴とするバッテリ制御装置。
【請求項2】
前記接続制御部は、
前記車両のイグニッションがオン状態であり、かつ、車速が0である場合に、前記バッテリを前記補機電力線から切り離し、前記算出部による前記充電状態の算出、および、前記均等化制御部の制御によるセルの充電量の均等化を実行させる
ことを特徴とする請求項1に記載のバッテリ制御装置。
【請求項3】
前記補機電力線は、
メインバッテリからコンバータを介して降圧された電力が供給されており、
前記接続制御部は、
前記車両のイグニッションがオン状態からオフ状態へ移行した場合に、前記コンバータが停止する前に、前記バッテリを前記補機電力線から切り離し、前記算出部による前記充電状態の算出、および、前記均等化制御部の制御によるセルの充電量の均等化を実行させる
ことを特徴とする請求項1または2に記載のバッテリ制御装置。
【請求項4】
前記接続制御部は、
前記算出部による前記充電状態の算出、および、前記均等化制御部の制御によるセルの充電量の均等化が完了した後、前記バッテリを前記補機電力線へ接続する
ことを特徴とする請求項1、2または3に記載のバッテリ制御装置。
【請求項5】
リチウムイオン二次電池からなり、車両の補機電力線に対し接続または切り離し可能に設けられた補機用のバッテリを備えるバッテリ制御装置を用いたバッテリ制御方法であって、
所定の車両状態時に、前記バッテリを前記補機電力線から切り離す接続制御工程と、
前記接続制御工程によって前記バッテリが切り離された場合に、当該バッテリの充電状態を算出する算出工程と、
前記接続制御工程によって前記バッテリが切り離された場合に、当該バッテリのセルの充電量の均等化を実行させる均等化制御工程と
を含むことを特徴とするバッテリ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、バッテリ制御装置およびバッテリ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、HEV(Hybrid Electric Vehicle)やEV(Electric Vehicle)に搭載される高圧バッテリの電力を、DCDCコンバータを介して降圧して鉛バッテリへ蓄電し、かかる鉛バッテリを補機用バッテリとして用いる電力供給系が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、近年、欧州では、欧州連合(EU)による電子・電気機器における特定有害物質の使用制限についての指令であるRoHS(Restriction of Hazardous Substances)指令によって、鉛等の数種類の物質が有害物質と指定され、使用が規制されている。
【0004】
また、使用済み車両に関する環境規制「ELV指令(End-of Life Vehicles Directive)」によれば、2022年1月から新型車を対象に鉛バッテリが搭載できなくなる可能性があると言われている。
【0005】
そこで、近年、上述の電力供給系においては、補機用バッテリを鉛バッテリからリチウムイオン二次電池(LiB:Lithium-Ion rechargeable Battery)へ置き換えることが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−231324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、補機用バッテリを鉛バッテリからLiBへ置き換えるにあたっては、電力供給の精度および品質を確保するという点で課題がある。
【0008】
具体的には、LiBを用いる場合、電力供給系からLiBを切り離した状態において、たとえばOCV(Open Circuit Voltage)によるLiBの充電状態(SOC:State Of Charge)の算出や、LiBの電池パック内で直列に接続された複数のセルのエネルギー容量を均等化する必要がある。
【0009】
ただし、補機用バッテリとしてLiBを用いる場合、暗電流が必要なため、LiBはDCDCコンバータからの供給系に常時接続しておかねばならない。すると、上述したSOCの算出や、セルの充電量の均等化は行えないこととなり、SOCの誤差の蓄積や、セル間のエネルギー容量のバラツキ等が生じることが課題となる。
【0010】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、電力供給の精度および品質を確保することができるバッテリ制御装置およびバッテリ制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態の一態様に係るバッテリ制御装置は、補機用のバッテリと、接続制御部と、算出部と、均等化制御部とを備える。前記補機用のバッテリは、リチウムイオン二次電池からなり、車両の補機電力線に対し接続または切り離し可能に設けられる。前記接続制御部は、所定の車両状態時に、前記バッテリを前記補機電力線から切り離す。前記算出部は、前記接続制御部によって前記バッテリが切り離された場合に、当該バッテリの充電状態を算出する。前記均等化制御部は、前記接続制御部によって前記バッテリが切り離された場合に、当該バッテリのセルの充電量の均等化を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
実施形態の一態様によれば、電力供給の精度および品質を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A図1Aは、実施形態に係るバッテリ制御方法の概要説明図(その1)である。
図1B図1Bは、実施形態に係るバッテリ制御方法の概要説明図(その2)である。
図2A図2Aは、実施形態に係る電力供給システムのブロック図である。
図2B図2Bは、実施形態に係る電池パックの制御部のブロック図である。
図3図3は、実施形態に係るバッテリ制御装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本願の開示するバッテリ制御装置およびバッテリ制御方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
また、以下では、実施形態に係るバッテリ制御方法を適用したバッテリ制御装置BCが、車両に搭載される電池パック10(図2A参照)およびその上位ECU(Electronic Control Unit)6から構成される場合を例に挙げて説明する。
【0016】
まず、実施形態に係るバッテリ制御方法の概要について、図1Aおよび図1Bを用いて説明する。図1Aおよび図1Bは、実施形態に係るバッテリ制御方法の概要説明図(その1)および(その2)である。
【0017】
図1Aに示すように、比較例に係る電力供給システム1’があるものとする。電力供給システム1’は、高圧バッテリ2と、DCDCコンバータ3と、鉛バッテリ4と、補機類5とを含む。
【0018】
高圧バッテリ2は、HEVやEV等に搭載されるメインバッテリであり、走行用モータ(図示略)を動力源として用いている間、高電圧の電力をインバータ(図示略)を介して走行用モータへ供給する。
【0019】
また、高圧バッテリ2は、車両の制動時や減速時に走行用モータが発電機として機能する場合、発電された電力をインバータを介して入力し、蓄電する。DCDCコンバータ3は、高圧バッテリ2から供給される電力を、補機類5を動作させる補機用電力供給系に応じて低電圧(たとえば12V)へ降圧する。
【0020】
鉛バッテリ4は、補機用バッテリであり、DCDCコンバータ3によって降圧された電力を蓄電する。鉛バッテリ4へ蓄電された電力は、DCDCコンバータ3から出力される電力とともに補機類5へ供給される。補機類5は、車両に搭載された各種電装品や、電動パワーステアリング(EPS:Electric Power Steering)等を含む。
【0021】
ところで、昨今、EUのRoHS指令やELV指令の影響を受けて、図1Aに示すように、鉛バッテリ4をLiB14へ置き換える動きがある。ただし、同図に示すように、LiB14を補機用バッテリとして用いる場合、常時接続が必要であり、それゆえにSOC算出やセル均等化に制限があるという問題が生じる。
【0022】
そこで、実施形態に係るバッテリ制御方法では、図1Bに示すように、鉛バッテリ4に替わり補機用バッテリとして用いるLiB14を設けたうえで、かかるLiB14を所定の車両状態時に切り離すこととした。なお、ここに言う「所定の車両状態時」は、たとえば車両が走行可能時で、かつ、車両の動作に悪影響を与えない所定のタイミングであり、一例として、IG(イグニッション)オンの状態であり、かつ、車速が0であるタイミングである。
【0023】
そのうえで、実施形態に係るバッテリ制御方法では、同図に示すように、かかるLiB14の切り離し時にSOC算出およびセル均等化を実施することとした。
【0024】
これにより、実施形態に係るバッテリ制御方法によれば、SOC算出やセル均等化の未実施によるSOCの誤差蓄積や、セル間のエネルギー容量のバラツキ等を防ぐことができる。すなわち、実施形態に係るバッテリ制御方法によれば、電力供給の精度および品質を確保することができる。
【0025】
以下、上述した実施形態に係るバッテリ制御方法を適用したバッテリ制御装置BCを含む電力供給システム1の構成例について、さらに具体的に説明する。
【0026】
図2Aは、実施形態に係る電力供給システム1のブロック図である。また、図2Bは、実施形態に係る電池パック10の制御部11のブロック図である。なお、図2Aおよび図2Bでは、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを機能ブロックで表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0027】
換言すれば、図2Aおよび図2Bに図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各機能ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0028】
図2Aに示すように、電力供給システム1は、高圧バッテリ2と、DCDCコンバータ3と、補機類5と、バッテリ制御装置BCとを含む。高圧バッテリ2、DCDCコンバータ3および補機類5については既に説明済みのため、ここでは主にバッテリ制御装置BCの構成例について説明する。
【0029】
バッテリ制御装置BCは、上位ECU6と、電池パック10とを含む。電池パック10は、制御部11と、スイッチ部12と、電流センサ13と、LiB14と、セルバランスIC(Integrated Circuit)15とを備える。
【0030】
上位ECU6は、電池パック10の上位のECUであり、車両に搭載された各種センサ等から車両状態を随時取得し、かかる車両状態に応じて電池パック10を制御する。
【0031】
上位ECU6は、車両状態に応じ、たとえば上述の「所定の車両状態時」に、スイッチ部12へオフ許可を出す。また、上位ECU6は、これに応じ、制御部11へスイッチ部12をオフさせる。
【0032】
また、上位ECU6は、かかる「所定の車両状態時」に制御部11によりスイッチ部12がオフされた後、制御部11によるSOC算出およびセル均等化の完了通知を受け付けたならば、スイッチ部12へオン許可を出す。また、上位ECU6は、これに応じ、制御部11へスイッチ部12をオンさせる。
【0033】
また、上位ECU6は、たとえば上述の「所定の車両状態時」以外においては、制御部11へスイッチ部12のオン状態を確保させる。
【0034】
また、上位ECU6は、制御部11からLiB14に関する情報を取得する。LiB14に関する情報は、たとえば制御部11により推定されるSOC等を含む。
【0035】
スイッチ部12は、たとえばリレー回路であり、DCDCコンバータ3から延びる補機電力線LとLiB14との間に接続される。また、スイッチ部12は、制御部11によって接続状態(オン/オフ)が制御される。
【0036】
電流センサ13は、スイッチ部12とLiB14との間に接続され、LiB14の電流値を検出して制御部11へ出力する。LiB14は、リチウムイオン二次電池であって、上述のように補機用バッテリとして用いられる。また、LiB14は、セル電圧およびセル温度を制御部11へ出力する。
【0037】
セルバランスIC15は、制御部11からの指示に基づいて、LiB14内に直列に接続された複数のセルのエネルギー容量を均等化するセルバランス処理を実行する。
【0038】
つづいて、制御部11について説明する。制御部11は、コントローラ(controller)であり、たとえば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、電池パック10内部の記憶デバイス(図示略)に記憶されている各種プログラムがRAM(Random Access Memory)を作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部11は、たとえば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現することができる。
【0039】
図2Bに示すように、制御部11は、取得部11aと、接続制御部11bと、SOC算出部11cと、均等化制御部11dとを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0040】
取得部11aは、上位ECU6から車両状態を随時取得する。接続制御部11bは、取得部11aによって取得された車両状態に基づき、たとえば上述の「所定の車両状態時」に、スイッチ部12へオフ操作信号を出力してスイッチ部12をオフさせ、LiB14を補機電力線Lから切り離す。
【0041】
また、接続制御部11bは、LiB14を補機電力線Lから切り離した後、後述するSOC算出部11cによるSOC算出、および、均等化制御部11dの制御によるセル均等化を実行させる。そして、接続制御部11bは、かかるSOC算出およびセル均等化が実行されたならば、スイッチ部12へオン操作信号を出力してスイッチ部12をオンさせ、LiB14を補機電力線Lへ接続する。
【0042】
また、接続制御部11bは、たとえば上述の「所定の車両状態時」以外においては、スイッチ部12のオン状態を確保して、LiB14の補機電力線Lへの接続を継続する。
【0043】
なお、既に、「所定の車両状態時」として、車両がIGオンの状態であり、かつ、車速が0のタイミングを例に挙げたが、かかるIGオンの状態においては、DCDCコンバータ3が駆動中であるため、補機電力線LにはDCDCコンバータ3から電力が供給中となる。したがって、LiB14を補機電力線Lから支障なく切り離すことができる。
【0044】
また、車速がある(0を上回る)場合は、たとえばEPSの動作により、急激な電圧変動が発生する可能性がある。かかる際、LiB14は、電圧変動を緩衝するバッファとして機能する必要があるため、接続制御部11bは、車速が0を上回る場合にはスイッチ部12をオフさせることなく、スイッチ部12のオン状態を確保する。これにより、LiB14を補機電力線Lから切り離すと支障がある場合には、スイッチ部12のオン状態を確保することができる。
【0045】
また、「所定の車両状態時」の別の一例として、ユーザの操作により、車両がIGオンからIGオフの状態へ移行したタイミングを挙げることができる。かかる場合、接続制御部11bは、車両終了シーケンスの中でまだDCDCコンバータ3が駆動中である間に、スイッチ部12へオフ操作信号を出力してスイッチ部12をオフさせ、LiB14を補機電力線Lから切り離す。
【0046】
そのうえで、接続制御部11bは、DCDCコンバータ3が駆動中である間に、SOC算出部11cによるSOC算出、および、均等化制御部11dの制御によるセル均等化を実行させる。そして、かかるSOC算出およびセル均等化が実行された後、接続制御部11bは、スイッチ部12へオン操作信号を出力してスイッチ部12をオンさせ、LiB14を補機電力線Lへ接続し、たとえば上位ECU6がDCDCコンバータ3を停止させる。
【0047】
SOC算出部11cは、接続制御部11bによってLiB14が補機電力線Lから切り離された後、電流センサ13の検出値およびOCVに基づく所定のアルゴリズムを用いてSOCを算出し、算出結果を上位ECU6へ出力する。なお、SOC算出ための所定のアルゴリズムについては公知であるため、ここでの詳細な説明は省略する。また、SOC算出部11cは、SOC算出後、かかるSOC算出の完了通知を上位ECU6へ通知する。
【0048】
均等化制御部11dは、接続制御部11bによってLiB14が補機電力線Lから切り離され、SOC算出部11cによってSOCが算出された後、セルバランスIC15にLiB14のセル均等化を実施させる。また、均等化制御部11dは、セル均等化後、かかるセル均等化の完了通知を上位ECU6へ通知する。
【0049】
次に、実施形態に係るバッテリ制御装置BCが実行する処理手順について、図3を用いて説明する。図3は、実施形態に係るバッテリ制御装置BCが実行する処理手順を示すフローチャートである。なお、同図に示す処理手順の「スタート」の時点において、LiB14は補機電力線Lへ接続された状態であるものとする。
【0050】
図3に示すように、まず取得部11aが、上位ECU6を介して車両状態を取得する(ステップS101)。そして、取得された車両状態がIGオンかつ車速0の状態である場合(ステップS102,Yes)、接続制御部11bが、補機電力線LからLiB14を切り離す(ステップS103)。
【0051】
そして、補機電力線LからLiB14が切り離された後、SOC算出部11cが、SOC算出を行う(ステップS104)。また、均等化制御部11dが、セルバランスIC15にセル均等化を行わせる(ステップS105)。
【0052】
そして、SOC算出およびセル均等化が行われた後、接続制御部11bが、補機電力線LへLiB14を接続し(ステップS106)、ステップS101からの処理が繰り返される。
【0053】
また、ステップS102で車両状態がIGオンかつ車速0の状態でない場合(ステップS102,No)、車両状態が、ユーザの操作により、IGオンからIGオフの状態へ移行したタイミングであるか否かが判定される(ステップS107)。
【0054】
ここで、当該タイミングである場合(ステップS107,Yes)、DCDCコンバータ3が停止される前に、接続制御部11bが、補機電力線LからLiB14を切り離す(ステップS108)。
【0055】
そして、補機電力線LからLiB14が切り離された後、SOC算出部11cが、SOC算出を行う(ステップS109)。また、均等化制御部11dが、セルバランスIC15にセル均等化を行わせる(ステップS110)。
【0056】
そして、SOC算出およびセル均等化が行われた後、接続制御部11bが、補機電力線LへLiB14を接続し(ステップS111)、上位ECU6がDCDCコンバータ3を停止させて(ステップS112)、処理を終了する。
【0057】
また、ステップS107で、車両状態がIGオンからIGオフの状態へ移行したタイミングでない場合(ステップS107,No)、接続制御部11bは、補機電力線LへのLiB14の接続を確保し(ステップS113)、ステップS101からの処理が繰り返される。
【0058】
上述してきたように、実施形態に係るバッテリ制御装置BCは、LiB14(「補機用のバッテリ」の一例に相当)と、接続制御部11bと、SOC算出部11c(「算出部」の一例に相当)と、均等化制御部11dとを備える。LiB14は、リチウムイオン二次電池からなり、車両の補機電力線Lに対し接続または切り離し可能に設けられる。接続制御部11bは、所定の車両状態時に、LiB14を補機電力線Lから切り離す。SOC算出部11cは、接続制御部11bによってLiB14が切り離された場合に、当該LiB14のSOC(「充電状態」の一例に相当)を算出する。均等化制御部11dは、接続制御部11bによってLiB14が切り離された場合に、当該LiB14のセルの充電量の均等化を実行させる。
【0059】
したがって、実施形態に係るバッテリ制御装置BCによれば、SOCの精度向上およびLiB14の性能向上に資することができ、電力供給の精度および品質を確保することができる。
【0060】
また、接続制御部11bは、車両のイグニッションがオン状態であり、かつ、車速が0である場合に、LiB14を補機電力線Lから切り離し、SOC算出部11cによるSOCの算出、および、均等化制御部11dの制御によるセルの充電量の均等化を実行させる。
【0061】
したがって、実施形態に係るバッテリ制御装置BCによれば、車両動作に影響を与えないタイミングで支障なくLiB14を切り離し、SOC算出およびセル均等化を行うことができる。
【0062】
また、補機電力線Lは、高圧バッテリ2からDCDCコンバータ3を介して降圧された電力が供給されており、接続制御部11bは、車両のイグニッションがオン状態からオフ状態へ移行した場合に、DCDCコンバータ3が停止する前に、LiB14を補機電力線Lから切り離し、SOC算出部によるSOCの算出、および、均等化制御部11dの制御によるセルの充電量の均等化を実行させる。
【0063】
したがって、実施形態に係るバッテリ制御装置BCによれば、車両終了シーケンスにおいてDCDCコンバータ3が停止する前のタイミングで確実にSOC算出およびセル均等化を行うことができる。
【0064】
また、接続制御部11bは、SOC算出部11cによるSOCの算出、および、均等化制御部11dの制御によるセルの充電量の均等化が完了した後、LiB14を補機電力線Lへ接続する。
【0065】
したがって、実施形態に係るバッテリ制御装置BCによれば、SOC算出およびセル均等化の完了後には確実にLiB14を補機電力線Lへ接続することで、電力供給の精度および品質を確保することができる。
【0066】
なお、上述した実施形態では、バッテリ制御装置BCが、上位ECU6と電池パック10とから構成される場合を例に挙げたが、この限りではない。たとえば、電池パック10単体で、実施形態に係るバッテリ制御装置BCを構成することとしてもよい。また、上位ECU6と電池パック10とが別体でなく、一体でバッテリ制御装置BCを構成することとしてもよい。また、バッテリ制御装置BCは、車両全体の電力供給システム1を統合して制御する統合制御装置として構成されてもよい。
【0067】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 電力供給システム
2 高圧バッテリ
3 DCDCコンバータ
4 鉛バッテリ
5 補機類
6 上位ECU
10 電池パック
11 制御部
11a 取得部
11b 接続制御部
11c SOC算出部
11d 均等化制御部
12 スイッチ部
13 電流センサ
14 LiB
15 セルバランスIC
BC バッテリ制御装置
図1A
図1B
図2A
図2B
図3