【解決手段】実施形態に係る充電制御装置は、車両に搭載される充電制御装置であって、充電制御部を備える。充電制御部は、充電装置に対する車両の所定の接続状態が確保されたことが検知された場合に、充電の開始のトリガとなる開始指示を充電装置へ送信する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する充電制御装置、充電システムおよび充電方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
また、以下では、実施形態に係る充電制御装置が、車両Vに搭載されるECU(Electronic Control Unit)10である場合を例に挙げて説明を行う。また、以下では、実施形態に係る充電スタンドである充電装置100が、接触式であるものとする。
【0013】
まず、実施形態に係る充電方法の概要について、
図1Aおよび
図1Bを用いて説明する。
図1Aは、比較例に係る充電方法の概要説明図である。また、
図1Bは、実施形態に係る充電方法の概要説明図である。
【0014】
図1Aに示すように、比較例に係る充電方法を適用した充電システム1’では、ユーザUは、車両Vを充電装置100’の近傍の所定位置に停車させた後、降車して、車両Vから延びる充電ケーブルCの先端部に設けられたコネクタ部50を車両Vのインレット部3へコネクタ接続する(ステップS1’)。
【0015】
そして、ユーザUは、たとえば充電装置100’の操作パネルを介して充電の開始操作を行う(ステップS2’)。これに応じ、充電装置100’は、充電開始のトリガとなる開始指示を車両Vへ送信する(ステップS3’)。
【0016】
かかる開始指示を受け付けた車両Vでは、ECU10’が、同図に示すようにインレット部3におけるコネクタ部50の接続状態や、車両状態等を確認する。そして、かかる確認の結果、NGの状況があれば充電は停止され、ユーザUはその原因を確認して除去するために車両Vへ戻る必要がある。
【0017】
したがって、ユーザUは、同図に示すように充電が実際に開始されるまでは、充電装置100’および車両Vのそばを離れることができない。
【0018】
そこで、実施形態に係る充電方法では、充電装置100’側が主導して充電を開始させるのではなく、車両V側が主導して充電を開始させることとした。
【0019】
具体的には、
図1Bに示すように、実施形態に係る充電方法を適用した充電システム1では、ユーザUは、車両Vを充電装置100の近傍の所定位置に停車させた後、降車して、車両Vから延びる充電ケーブルCの先端部に設けられたコネクタ部50を車両Vのインレット部3へコネクタ接続する(ステップS1)。この点は、上述のステップS1’と同様である。
【0020】
つづいて、実施形態に係る充電システム1では、同図に示すように、車両Vに搭載されたECU10が、かかるコネクタ接続が行われたことを検知する(ステップS2)。そして、ECU10は、かかるコネクタ接続が行われたことを検知した場合に、接続状態を確認し、かかる接続状態を充電装置100へ送信する(ステップS3)。
【0021】
充電装置100は、かかる接続状態が正常であれば、充電装置100側で充電の開始に必要な準備(絶縁チェック等)を行う。また、接続状態が異常であれば、充電装置100は、操作パネル等を介してかかる異常をユーザUへ報知し、たとえばユーザUへ再度コネクタ接続を行わせる。
【0022】
一方、ECU10は、接続状態の送信後、充電に関する各種設定状態や、電池の状態、その他車両状態といった、車両V側における各種の状態確認を行う(ステップS4)。
【0023】
そして、ECU10は、かかる状態確認の結果に応じた車両状態、および、充電の開始指示を充電装置100へ送信する(ステップS5)。そして、充電装置100は、かかるステップS5で受け取った車両状態および開始指示に基づいて、充電を開始する。
【0024】
なお、上述の充電に関する各種設定状態には、たとえば充電開始時刻といったタイマー設定の内容等を含むことができる。また、ステップS5の車両状態および開始指示の送信を、たとえばユーザUの携帯するスマートフォンを介する等して、リモート操作で行うこともできる。
【0025】
このような実施形態に係る充電方法によれば、ユーザUは、コネクタ接続後、任意のタイミングで充電装置100へ充電の開始を指示することができる。したがって、実施形態に係る充電方法によれば、充電が開始されるまで充電装置100および車両Vのそばに待機する必要がない。
【0026】
すなわち、ユーザUは、充電が完了するまでの待ち時間を食事や買い物で有意義に過ごせるように、コネクタ接続後、充電の開始を待つことなく早くに車両Vのそばを離れることができる。したがって、実施形態に係る充電方法によれば、利便性に優れた車両Vの充電を実現することができる。
【0027】
以下、上述した実施形態に係る充電方法を適用した充電システム1の構成例について、より具体的に説明する。
【0028】
図2は、実施形態に係る充電システム1の構成例を示すブロック図である。なお、
図2では、実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0029】
換言すれば、
図2に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0030】
また、
図2を用いた説明では、既に説明済みの構成要素については、説明を簡略するか、省略する場合がある。
【0031】
図2に示すように、実施形態に係る充電システム1は、操作部2と、インレット部3と、蓄電池4と、各種センサ5と、ECU10と、コネクタ部50と、充電装置100とを含む。
【0032】
操作部2は、ユーザUの操作を入力可能な操作部品である。操作部2は、たとえば車両Vに設けられた操作スイッチや操作ボタン、GUI部品が配置されたタッチパネル等である。また、操作部2は、たとえばユーザUの携帯するスマートフォン等の情報端末である。
【0033】
インレット部3は、充電装置100のコネクタ部50との接続インタフェース部分であって、車両Vの充電ポートを有する。蓄電池4は、インレット部3に接続されたコネクタ部50を介して送電される電力を蓄電する。各種センサ5は、車両Vに搭載された各種のセンサ類であり、車両Vの各種の状態を検知する。
【0034】
ECU10は、記憶部11と、制御部12とを備える。記憶部11は、たとえば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現され、
図2の例では、設定情報11aを記憶する。
【0035】
設定情報11aは、車両Vの充電に関する各種設定を含み、たとえば上述の充電開始時刻といったタイマー設定の内容等を含む。なお、充電開始時刻は、たとえば任意の時刻を一意に指定するものであってもよいし、IGオフから何分後といった、基準となるイベント発生時刻からの相対的な経過時間を指定するものであってもよい。
【0036】
制御部12は、コントローラ(controller)であり、たとえば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、ECU10内部の記憶デバイスに記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部12は、たとえば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現することができる。
【0037】
制御部12は、受付部12aと、取得部12bと、状態判定部12cと、充電制御部12dとを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0038】
受付部12aは、操作部2を介したユーザUの操作を受け付ける。ユーザUの操作は、たとえば設定情報11aへの設定内容の入力である。また、ユーザUの操作は、たとえばスマートフォンを介して充電の開始指示を充電装置100へ送信する操作である。
【0039】
取得部12bは、インレット部3、蓄電池4、各種センサ5および設定情報11aから、各種の車両状態を取得する。状態判定部12cは、取得部12bによって取得された情報に基づいて、各種の車両状態を判定する。
【0040】
状態判定部12cは、たとえばインレット部3へコネクタ部50が接続されたこと、すなわちコネクタ接続を判定し、検知する。かかる場合、状態判定部12cは、後述する充電制御部12dに、インレット部3におけるコネクタ部50の接続状態を充電装置100へ送信させる。
【0041】
また、状態判定部12cは、蓄電池4の充電状態や電圧状態、設定情報11aの設定状態、その他の車両状態といった、充電を開始させるにあたっての各種の状態確認を行う。また、状態判定部12cは、かかる状態確認の結果に基づいて、車両Vが充電開始可能な状態にあるか否かを判定する。
【0042】
充電制御部12dは、状態判定部12cによってコネクタ接続が検知された場合に、インレット部3を介して、コネクタ部50の接続状態を充電装置100へ送信する。また、充電制御部12dは、状態判定部12cによって車両Vが充電開始可能であると判定された場合に、設定情報11aの設定状態を含む、状態判定部12cの状態確認の結果とともに、充電の開始指示を充電装置100へ送信する。
【0043】
また、充電制御部12dは、かかる開始指示に基づき、充電装置100からの送電が開始された場合に、インレット部3を介してこれを受電し、蓄電池4へ蓄電する。なお、充電装置100からの送電を受けている間、状態判定部12cはインレット部3および蓄電池4を監視する。
【0044】
充電制御部12dは、かかる状態判定部12cによって充電の完了が検知された場合に、完了通知を充電装置100へ送信する。
【0045】
つづいて充電装置100について説明する。充電装置100は、電源部101と、制御部102とを備える。電源部101は、車両Vへ送電する電力の電力源である。
【0046】
制御部102は、上述した制御部12と同様に、コントローラであり、たとえば、CPUやMPU等によって、充電装置100内部の記憶デバイスに記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部102は、たとえば、ASICやFPGA等の集積回路により実現することができる。
【0047】
制御部102は、受付部102aと、状態判定部102bと、送電制御部102cとを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0048】
受付部102aは、ECU10から送信されたコネクタ部50の接続状態を受け付ける。また、受付部102aは、ECU10から送信された車両Vの車両状態および充電の開始指示を受け付ける。
【0049】
状態判定部102bは、受付部102aによって受け付けられたコネクタ部50の接続状態を判定する。ここで、接続状態が正常である場合、状態判定部102bは、絶縁チェック等、送電開始の前準備となる状態確認を行う。また、接続状態が異常である場合、状態判定部102bは、操作パネル等を介してかかる異常をたとえばユーザUへ報知する。
【0050】
送電制御部102cは、受付部102aによって受け付けられた車両Vの車両状態および充電の開始指示に基づいて、車両Vへの送電を開始する。また、送電制御部102cは、ECU10から完了通知が通知されるまでの間、送電を継続し、完了通知が通知されたならば、送電を停止する。
【0051】
次に、実施形態に係るECU10と充電装置100との間の処理シーケンスについて、
図3を用いて説明する。
図3は、実施形態に係るECU10と充電装置100との間の処理シーケンスを示す図である。
【0052】
図3に示すように、まずステップS11においてコネクタ接続がなされると、ECU10はこれを検知して(ステップS12)、充電装置100へその接続状態を送信する(ステップS13)。
【0053】
充電装置100は、かかる接続状態を受信し、正常であれば充電装置100側で必要となる絶縁チェック等の前準備を実施する(ステップS14)。
【0054】
一方で、ECU10は、接続状態の送信後、車両V側の各種の車両状態を状態確認する(ステップS15)。そして、ECU10は、かかる状態確認の結果である車両状態とともに充電の開始指示を充電装置100へ送信する(ステップS16)。
【0055】
充電装置100は、かかる車両状態および開始指示に基づき、たとえばタイマー設定されているならかかるタイマー設定によって定められるタイミングで車両Vへ送電を開始する(ステップS17)。
【0056】
そして、充電装置100から車両Vへ送電が行われる間(ステップS18)、ECU10はインレット部3および蓄電池4の状態を監視し(ステップS19)、充電が完了したならば充電装置100へ完了通知を送信する(ステップS20)。
【0057】
そして、充電装置100は完了通知を受け取り、送電を停止する(ステップS21)。後は、ユーザUがコネクタ解除を行うこととなる(ステップS22)。かかる
図3に示すように、実施形態に係る充電システム1によれば、充電に関し、ユーザUが主に行う操作は、インレット部3へのコネクタ部50の接続および解除のみとなる。したがって、実施形態に係る充電システム1によれば、利便性に優れた車両Vの充電を実現することができる。
【0058】
次に、実施形態に係るECU10が実行する処理手順について、
図4を用いて説明する。
図4は、実施形態に係るECU10が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0059】
まず、状態判定部12cが、インレット部3へのコネクタ部50の接続を検知する(ステップS101)。すると、充電制御部12dは、その接続状態を充電装置100へ送信する(ステップS102)。
【0060】
一方で、取得部12bは、車両V側の各種状態を取得する(ステップS103)。そして、状態判定部12cが、取得された各種状態に基づいて、車両Vが充電開始可能であるか否かを判定する(ステップS104)。
【0061】
ここで、車両Vが充電開始可能でない場合(ステップS104,No)、ユーザUがその原因を確認して除去する。そして、原因が除去された場合(ステップS105,Yes)、ステップS103からの処理が繰り返される。
【0062】
また、車両Vが充電開始可能である場合(ステップS104,Yes)、充電制御部12dが、車両V側の車両状態とともに充電の開始指示を充電装置100へ送信する(ステップS106)。
【0063】
ステップS106に基づいて充電装置100からの送電が開始されたならば、ECU10は、インレット部3を介してこれを受電し(ステップS107)、蓄電池4へ蓄電させる。
【0064】
そして、状態判定部12cは充電が完了したか否かを判定し、完了していなければ(ステップS108,No)ステップS107からの処理が繰り返される。充電が完了すれば(ステップS108,Yes)、充電制御部12dが充電装置100へ完了通知を送信して処理を終了する。後は、ユーザUによりインレット部3へのコネクタ部50の接続が解除される。
【0065】
なお、ここまでは、充電装置100が接触式である場合を例に挙げて説明してきたが、充電装置100が非接触式である場合にも、上述した実施形態を適用することができる。かかる場合、充電装置100側は無線式の送電部を備えるとともに、車両V側は無線式の受電部を備えておき、かかる送電部および受電部の間で送受電が可能な所定位置に車両Vが停車した場合に、状態判定部12cが、上記「コネクタ接続」されたと検知すればよい。すなわち、充電制御部12dは、充電装置100に対する車両Vの所定の接続状態が確保されたことが検知された場合に、充電の開始のトリガとなる開始指示を充電装置100へ送信すればよい。
【0066】
上述してきたように、実施形態に係るECU(「充電制御装置」の一例に相当)10は、車両Vに搭載されるECUであって、充電制御部12dを備える。充電制御部12dは、充電装置100に対する車両Vの所定の接続状態が確保されたことが検知された場合に、充電の開始のトリガとなる開始指示を充電装置100へ送信する。
【0067】
したがって、実施形態に係るECU10によれば、利便性に優れた車両Vの充電を実現することができる。なお、充電装置100が接触式であるか非接触式であるかを問わない。
【0068】
また、充電制御部12dは、充電装置100から延びる充電ケーブルCが車両Vの充電ポートへ接続されたことが検知された場合に、充電装置100へ充電ケーブルCの接続状態を送信するとともに、車両Vの充電に関する車両状態および上記開始指示を充電装置100へ送信し、かかる開始指示に基づいて充電装置100に送電を開始させる。
【0069】
したがって、実施形態に係るECU10によれば、充電装置100側ではなく、車両V側の主導で充電を開始させることができ、利便性に優れた車両Vの充電を実現することができる。
【0070】
また、上記車両状態は、車両Vの充電開始時刻を指定するタイマー設定の内容を含み、充電制御部12dは、上記開始指示に基づいて上記充電開始時刻に充電が開始されるように充電装置100に送電を開始させる。
【0071】
したがって、実施形態に係るECU10によれば、たとえばユーザUによって指定された任意のタイミングで、車両V側の主導で充電を開始させることができる。
【0072】
また、充電制御部12dは、ユーザUの携帯するスマートフォン(「情報端末」の一例に相当)を介して受け付けられた上記開始指示を充電装置100へ送信し、かかる開始指示に基づいて充電が開始されるように充電装置100に送電を開始させる。
【0073】
したがって、実施形態に係るECU10によれば、たとえばユーザUのスマートフォンを介したリモート操作によって、車両V側の主導で充電を開始させることができる。
【0074】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。