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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-167975(P2020-167975A)
(43)【公開日】2020年10月15日
(54)【発明の名称】餅製造用の板材、餅の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20200918BHJP
【FI】
   A23L7/10 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-72683(P2019-72683)
(22)【出願日】2019年4月5日
(71)【出願人】
【識別番号】391003794
【氏名又は名称】押尾産業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】598082776
【氏名又は名称】城北麺工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】鍋田 総一郎
(72)【発明者】
【氏名】峯田 吉男
【テーマコード(参考)】
4B023
【Fターム(参考)】
4B023LE23
4B023LP20
4B023LT22
(57)【要約】
【課題】補強部が本体部から剥離することが抑制された包装袋を提供する。
【解決手段】餅の製造装置に適用され、餅をプレスする際に餅の表面に接触させて使用する餅製造用の板材20であって、少なくとも一方の主面21には、複数の凸部22が全体に亘って形成されており、前記凸部22の高さは0.1〜5mmであり、隣り合う前記凸部22同士の間隔は、10mm以下である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
餅の製造装置に適用され、餅をプレスする際に餅の表面に接触させて使用する餅製造用の板材であって、
少なくとも一方の主面には、複数の凸部が全体に亘って形成されており、
前記凸部の高さは0.1〜5mmであり、
隣り合う前記凸部同士の間隔は、10mm以下であることを特徴とする板材。
【請求項2】
餅の製造装置に適用され、餅をプレスする際に餅の表面に接触させて使用する餅製造用の板材であって、
少なくとも一方の主面には、複数の凹部が全体に亘って形成されており、
前記凹部の深さは0.1〜5mmであり、
隣り合う前記凹部同士の間隔は、10mm以下であることを特徴とする板材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の板材を用いて餅をプレスするプレス工程を備えた餅の製造方法であって、
前記プレス工程では、一対の板状部材で餅を挟んでプレスし、
前記一対の板状部材の少なくとも一方に前記板材を使用することを特徴とする餅の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、餅製造用の板材、及び餅の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
餅の製造方法として、搗き立ての餅を一対の板材で挟んで加圧することにより所定の厚さの伸餅とした後、所定の大きさに切り分けて切り餅として得る方法が知られている。特許文献1には、伸餅の製造装置に係る発明が記載されている。ここで開示される製造装置では、コンベアに載置した餅を順次間欠搬送しながら、計量、加圧した後、周縁をトリミングして成形して伸餅を製造している。餅の計量値によって加圧時の加圧杆のストローク量を調節することで、伸餅のトリミング時の屑量を調整することが可能であるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−7465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、餅を焼き網等に載せて加熱すると、餅に含まれる水分や空気が膨張することで餅が膨張、変形し、膨出した餅成分が焼き網等に付着してしまう場合がある。しかし、餅の変形や膨出する位置、形状を予測することは難しく、加熱時に焼き網等に付着しにくい餅を成形する観点からの改良はなかなか進んでいないのが現状である。
【0005】
本発明は、こうした従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、焼いたときに焼き網等に付着しにくい餅の製造用板材、餅の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するための餅製造用の板材は、餅の製造装置に適用され、餅をプレスする際に餅の表面に接触させて使用する餅製造用の板材であって、少なくとも一方の主面には、複数の凸部が全体に亘って形成されており、前記凸部の高さは0.1〜5mmであり、隣り合う前記凸部同士の間隔は、10mm以下である。
【0007】
上記の課題を解決するための餅製造用の板材は、餅の製造装置に適用され、餅をプレスする際に餅の表面に接触させて使用する餅製造用の板材であって、少なくとも一方の主面には、複数の凹部が全体に亘って形成されており、前記凹部の深さは0.1〜5mmであり、隣り合う前記凹部同士の間隔は、10mm以下である。
【0008】
上記の各構成によれば、餅の主面に微細な凹凸形状が形成され、餅に形成された凹部からは餅内部の水分が蒸気となって外部に放出されやすい。そのため、餅の予期せぬ形状での変形が抑制され、餅の一部から餅成分が過度に膨出することが抑制される。また、凸部又は凹部の間隔が10mm以下であることにより、餅の主面全体には適度な数の凹部又は凸部が形成される。これにより、餅の一部のみが変形して餅成分が過度に膨出することが抑制され、焼き網等への餅成分の付着が抑制される。
【0009】
上記の課題を解決するための餅の製造方法は、上記の構成の板材を用いて餅をプレスするプレス工程を備えた餅の製造方法であって、前記プレス工程では、一対の板状部材で餅を挟んでプレスし、前記一対の板状部材の少なくとも一方に上記の構成の板材を使用することが好ましい。
【0010】
上記の構成によれば、凹凸形状が形成された板材でプレスするプレス工程により、餅の主面に微細な凹凸形状を容易に形成することができる。焼き網等に付着しにくい餅を容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、焼いたときに焼き網等に付着しにくい餅の製造用板材、餅の製造方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態の板材を使用して製造した餅の斜視図。
図2】(a)は本実施形態の板材の斜視図、(b)は板材の部分拡大図。
図3】餅の製造装置及び製造方法について説明する図。
図4】餅の製造装置の下板供給部について説明する図であり、(a)は枠体の斜視図、(b)は枠体に下板を載置した状態を示す斜視図。
図5】餅の製造装置のプレス部について説明する図。
図6】プレス工程を経た餅の状態について説明する図。
図7】餅の製造装置の成形部について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1図7に基づいて説明する。
まず、本発明の餅製造用の板材が適用される製造装置を用いて製造された餅について、図1に基づいて説明する。
【0014】
図1に示すように、餅10は、後に説明する製造方法によっていわゆる伸餅13として成形され、伸餅13を所定形状に切り分けることによって得られる。餅10は、従来周知のいわゆる切り餅の大きさである。例えば、長辺が約4〜10cm、短辺が約1〜6cm、厚みが約0,5〜3cmの直方体形状であることが好ましく、調理のし易さ、食感等を考慮すると、長辺が約5〜9cm、短辺が約3〜5cm、厚みが約1〜2cmの直方体形状であることがより好ましい。本実施形態の餅10は、長辺が約7cm、短辺が約5cm、厚みが約1cmとされている。なお、以下の各図は模式図であって、その寸法等は実際のものとは異なっている。
【0015】
餅10の一対の主面11には、複数の微細な凹部12が形成されており、主面11全体が凹凸形状をなしている。ここで主面11とは、餅10を焼き網等で焼く際に、焼き網等に載置する載置面となる面を言うものとする。餅10を焼き網等に載せて焼く際には、餅10内部の水分が蒸気となって外部に放出されるとともに餅成分が膨出するが、餅10の主面11に複数の微細な凹部12が形成されていることにより、餅10内部の水分が蒸気となって凹部12から外部に放出されやすく、餅10の予期せぬ形状での変形が抑制される。これにより、内部の餅成分が餅10の一部から過度に膨出することが抑制されて、焼き網等への付着が抑制される。
【0016】
複数の凹部12は、餅10の主面11において、それぞれの長辺及び短辺に対して約45゜の角度で交差する直線状に延びるように、所定間隔を有して規則的に形成されている。凹部12は、後に説明する餅製造用の板材20の主面21に形成された凸部22が転写されることによって餅10の主面11に形成されるものであり、その形状、大きさ、形成される間隔等は、凸部22の形状、大きさ、形成される間隔等によって決定される。つまり、凹部12の形状、大きさ、形成される間隔等は、凸部22のそれらとほぼ同一である。
【0017】
次に、餅製造用の板材20について、図2に基づいて説明する。
図2(a)に示す板材20は、後に説明する製造装置30のプレス部Dでのプレス工程に適用され、伸餅13を製造するための製造方法に使用される。板材20は、厚みが約5mmで、一辺が所定の長さに適宜切断された正方形状の薄板である。製造装置30のプレス部Dでのプレス工程に適用される板材20としては、後に説明するように、搗き立ての餅14の下側に配置される板材20と上側に配置される板材20がある。以下では、餅14の下側に配置される板材20を下板20a、餅14の上側に配置される板材20を上板20bと言うものとする。下板20a及び上板20bは、それぞれの一辺の長さが異なっているのみであり、以下では、両者に共通する事項について説明する場合には、単に板材20と言うものとする。本実施形態では、下板20aは一辺の長さが約40cm、上板20bは一辺の長さが約45cmとされている。板材20の材質は特に限定されるものではないが、例えば、従来周知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、金属等が挙げられる。
【0018】
図2(a)及び(b)に示すように、板材20の一対の主面21には、複数の微細な凸部22が形成されており、主面21全体が凹凸形状をなしている。凸部22は上面視円形状の円筒形状に形成され、複数の凸部22はすべて同形状で同一の大きさに形成されている。そして、板材20の主面21には、こうした凸部22が、板材20の長辺及び短辺に対して約45゜の角度で交差する直線状に延びるように、所定間隔を有して規則的に形成されている。
【0019】
凸部22の直径は、約0.3〜4mmであることが好ましく、約0.5〜2mmであることがより好ましい。また、凸部22の高さは、約0.1〜5mmであることが好ましく、約0.2〜4mmであることがより好ましい。凸部22の直径、高さがこうした数値範囲であると、製造された餅10では、形成された凹部12から内部の水分が蒸気となって外部に放出されやすく、内部の餅成分が餅10の一部から過度に膨出することが抑制される。これにより、餅10の予期せぬ形状での変形が抑制されるとともに、焼き網等への餅成分の付着が抑制される。本実施形態の板材20では、凸部22の直径は約1mm、高さは約2mmとされており、一対の主面21の両面に凸部22が形成されている。
【0020】
また、隣り合う凸部22同士の間隔は、約10mm以下であることが好ましく、約8mm以下であることがより好ましい。隣り合う凸部22同士の間隔がこうした数値範囲であると、製造された餅10では、その主面11全体に適度な数の凹部12が形成される。適度な数の凹部12が規則的に形成されることにより、餅10を焼き網等に載せて焼く際に均等に変形、膨出し易くなり、餅10の一部が過度に変形して膨出することが抑制される。本実施形態の板材20では、隣り合う凸部22同士の間隔は約3mmとされている。
【0021】
また、凸部22は、板材20の面積の約10〜70%の面積を占めるように形成されていることが好ましく、30〜50%の面積を占めるように形成されていることがより好ましい。具体的には、板材20を上面視したときの円形状の凸部22の総面積が、一方の主面21の面積に対して上記数値範囲であることが好ましい。凸部22の占める割合がこの数値範囲であると、餅10の表面に適度な凹凸形状が形成されて、餅10全体に均等に熱が伝わりやすく、餅10の予期せぬ変形、膨出が抑制される。
【0022】
次に、餅製造用の板材20が適用される製造装置30を用いて餅10を製造する製造方法について、図3図7に基づいてその作用とともに説明する。
餅10の製造方法は、伸餅13を製造する工程と、伸餅13を切り分けて切り餅としての餅10を製造する工程とに分けられる。ここでは、伸餅13を製造する工程について主に説明する。
【0023】
図3に示すように、伸餅13を製造する工程は、ベルトコンベア31の進行方向に沿って一連の手段が順次配置された製造装置30を使用して行われる。製造装置30には、ベルトコンベア31の上流側から順に、下板供給部A、餅供給部B、上板供給部C、プレス部D、上下反転部E、枠体除去部F、及び成形部Gが配置され、ベルトコンベア31の最下流側には収納庫32が配置されて構成されている。
【0024】
下板供給部Aでは、ベルトコンベア31上に枠体33を載置するとともに、枠体33上に下板20aとしての板材20を載置する。
図4(a)に示すように枠体33は、一辺が約45cm、厚みが約1cmの板材で形成され、中央部に、下板20aの一辺の長さより僅かに長い一辺を有し、板材20の厚みより僅かに深い深さを有する上面視正方形状の凹部33aが凹設されている。そのため、図4(b)に示すように、枠体33上に下板20aを載置すると、下板20aは枠体33の凹部33a内に収容される。
【0025】
図3に示すように、餅供給部Bでは、製造装置30の上に設けられた供給ノズル34から搗き立ての餅14が下板20a上に供給される。供給ノズル34から供給される餅14は、常に一定量となるように調整されている。
【0026】
上板供給部Cでは、餅14の上に上板20bとしての板材20を載置する。上板20bは、一辺の長さが約45cmであり、枠体33とほぼ同じ大きさに形成されている。上板20bは、上板20bの周縁と枠体33の周縁とが合致するように載置する。このとき、載置した上板20bの上を手で押さえ付けて、下板20a及び上板20bと餅14とをよく馴染ませる。下板20a及び上板20bが餅14の粘りによって餅14の主面に張り付くとともに、下板20a及び上板20bの主面21に形成された凸部22が餅14の表面に食い込んだ状態となって、上板20bが餅14の上に保持される。
【0027】
図3及び図5に示すようにプレス部Dでは、ベルトコンベア31上に設けられたプレス装置35を下降させて、枠体33及び下板20a上の餅14を、上板20bを介して加圧するプレス工程を行う。プレス装置35のプレス面35aは枠体33より少し大きな平面として形成されており、プレス装置35による加圧によって餅14は上板20b側から全体に均等に圧が加わるようにしてプレスされる。図6に示すように、プレス部Dでのプレス工程を経た餅14は、厚みが約1cmであり、下板20aよりやや大きく伸ばされた状態となる。ここでは説明の便宜上、プレス部Dでのプレス工程を経た餅14、枠体33、下板20a及び上板20bが一体になったものを中間体41と言うものとする。
【0028】
図3に示すように上下反転部Eでは、ベルトコンベア31上に載せられた中間体41を上下反転させる。これにより、中間体41は、上から順に枠体33、下板20a、餅14、上板20bが積層された状態でベルトコンベア31上を搬送されることになる。
【0029】
続いて枠体除去部Fでは、中間体41から枠体33を取り外す。このとき、下板20aよりやや大きく伸ばされた餅14は、上側に位置する下板20aの周縁から少しはみ出た状態となっている。
【0030】
図3及び図7に示すように成形部Gでは、下板20aの周縁からはみ出た部分を切断治具36で切り落として餅14を成形する。切断治具36での切り落としは、下板20aに対して直交するとともに、下板20aの周縁に沿うように行うことにより、成形部Gでの成形工程を経た餅14は、下板20aとほぼ同じ大きさの伸餅13となる。ここでは説明の便宜上、成形工程後の伸餅13、下板20a及び上板20bが一体になったものを中間体42と言うものとする。伸餅13の周縁は、切断治具36によって下板20aに対して直交するように切り落とされるが、中間体42では、餅成分の柔軟性によって伸餅13の周縁はやや丸みを帯びた形状に変形し、下板20aの周縁からやや外方に突出している。
【0031】
図3に示すように、成形部Gでの成形工程を経た伸餅13は、中間体42の形でベルトコンベア31の最下流側に配置された収納庫32内に収納される。収納庫32内に所定量の中間体42が収納されると、収納庫32は所定温度に設定された図示しない冷凍庫内で所定時間保管され、伸餅13は中間体42の形で冷凍される。
【0032】
伸餅13を切り分けて切り餅としての餅10を製造する工程では、収納庫32を冷凍庫から搬出し、収納庫32内から中間体42を取り出す。続いて、中間体42から下板20a及び上板20bを取り外し、冷凍された状態の伸餅13を所定の大きさに切り分けて餅10を得る。得られた餅10は、適宜個包装して製品となる。
【0033】
次に、上記実施形態の効果について説明する。
(1)上記実施形態の板材20の主面21には、複数の凸部22が全面に亘って形成されており、凸部22の高さは0.1〜5mmである。餅10を焼き網等に載せて焼く際には、餅10内部の水分が蒸気となって外部に放出されるとともに、餅成分が膨出するが、凸部22の高さがこうした数値範囲の板材20を使って製造された餅10では、その主面11に形成された凹部12から餅10内部の水分が蒸気となって外部に放出されやすく、餅10の予期せぬ形状での変形が抑制される。そのため、内部の餅成分が餅10の一部から過度に膨出することが抑制されて、焼き網等への付着が抑制される。
【0034】
(2)板材20に形成された凸部22の間隔は、約10mm以下である。そのため、板材20を使って製造された餅10では、餅10内部の水分が放出される凹部12が、その主面11全体に適度な数形成される。これにより、餅10の一部のみが変形して餅成分が膨出することが抑制され、焼き網等への餅成分の付着が抑制される。
【0035】
(3)板材20に形成された凸部22は規則的に形成されている。そのため、餅10を焼き網等に載せて焼く際に均等に膨張、変形し易くなり、餅10の一部が過度に変形して膨出することが抑制される。
【0036】
(4)凸部22を上面視したときの総面積は、板材20の一方の主面21の面積の約10〜70%を占めるように形成されている。そのため、板材20を使って製造された餅10では、その表面に適度な凹凸形状が形成されて、餅10全体に均等に熱が伝わりやすい。
【0037】
(5)伸餅13の製造は、ベルトコンベア31の進行方向に沿って一連の手段が順次配置された製造装置30を用いて行われる。そのため、製造効率に優れている。
(6)伸餅13の製造方法は、複数の微細な凸部22が形成された板材20で餅14を挟んでプレスするプレス工程を備えている。そのため、餅14の主面に微細な凹凸形状を容易に形成することができ、焼き網等に付着しにくい餅10を容易に製造することができる。
【0038】
(7)プレス部Dでは、プレス面35aが枠体33より少し大きな平面として形成されたプレス装置35を下降させてプレス成形を行う。そのため、搗き立ての餅14には、餅14の上に載置された上板20b側から全体に均等に圧が加わるようにしてプレスされる。伸餅13の厚さを均一にすることができる。また、凹部12を均等に形成することができる。
【0039】
なお、上記実施形態は、以下のような別の実施形態に変更してもよい。また、上記実施形態及び以下の変更例は技術的に矛盾しない範囲で適宜組み合わせて実施することができる。
【0040】
・上記実施形態の板材20では、凸部22が板材20の両方の主面21に形成されているが、一方の主面21のみに形成されていてもよい。
・上記実施形態の板材20では、複数の微細な凸部22が形成されているが、板材20に形成される凹凸形状はこれに限定されない。上面視円形状の複数の微細な凹部が形成されていてもよい。この場合も上記実施形態の凸部22と同様、凹部の直径は、約0.3〜4mmであることが好ましく、約0.5〜2mmであることがより好ましい。また、凹部の深さは、約0.1〜5mmであることが好ましく、約0.2〜4mmであることがより好ましい。さらに、隣り合う凹部同士の間隔は、約10mm以下であることが好ましく、約8mm以下であることがより好ましい。こうした数値範囲であることにより、餅10の主面11は、複数の微細な凸部が形成された凹凸形状となり、上記実施形態の餅10と同様の効果を有する。
【0041】
・板材20の凸部22は上面視円形状でなくてもよい。例えば、上面視三角形状、矩形状等の多角形状であってもよく、上面視楕円形状であってもよく、上面視不定形状であってもよい。この場合、凸部22を上面視したときに中心となる位置を通る最大長さが、約0.3〜4mmであることが好ましく、約0.5〜2mmであることがより好ましい。
【0042】
・板材20の凸部22は高さ方向に径が変化しない円筒形状であるが、これに限定されない。例えば、先端ほど細くなる円錐形状であってもよい。これは、上面視円形状でない凸部22においても同様であり、例えば、先端ほど細くなる角錐形状であってもよい。
【0043】
・板材20の凸部22は規則的に形成されていなくてもよい。
・板材20の凸部22は板材20の長辺及び短辺に対して約45゜の角度で交差する直線状に延びるように形成されているものでなくてもよい。例えば、長辺及び短辺に沿って延びるように形成されていてもよく、曲線状に延びるように形成されていてもよく、所定径の複数の円弧状に形成されていてもよい。
【0044】
・伸餅13を製造する際、下板20a及び上板20bの少なくともいずれか一方のみに板材20を使用してもよい。他方は表面に凸部22が形成されていない平坦面の板状部材を使用してもよい。この場合、製造された餅10は、一方の主面11のみに凹部12が形成されることになるが、凹部12が形成された面を焼き網等とは反対側となる上側の面として加熱すれば、上側の凹部12から餅成分が膨出して、下側の面からの餅成分の膨出が抑制される。これにより、焼き網等への付着が抑制される。
【0045】
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)餅の製造装置に適用され、餅をプレスする際に餅の表面に接触させて使用する餅製造用の板材であって、少なくとも一方の主面には、複数の凸部が全体に亘って規則的に形成されており、前記凸部の高さは0.1〜5mmであり、隣り合う前記凸部同士の間隔は、10mm以下である。
【0046】
(ロ)餅の製造装置に適用され、餅をプレスする際に餅の表面に接触させて使用する餅製造用の板材であって、少なくとも一方の主面には、複数の凸部が全体に亘って形成されており、前記凸部の高さは0.1〜5mmであり、隣り合う前記凸部同士の間隔は、10mm以下であり、前記凸部を上面視したときの総面積は、前記主面の面積の10〜70%である。
【符号の説明】
【0047】
10…餅、11…主面、12…凹部、13…伸餅(餅)、20…板材、20a…下板(板材)、20b…上板(板材)、21…主面、22…凸部、30…製造装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7