特開2020-168110(P2020-168110A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2020-168110電気筋肉刺激装置およびその制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-168110(P2020-168110A)
(43)【公開日】2020年10月15日
(54)【発明の名称】電気筋肉刺激装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20200918BHJP
【FI】
   A61N1/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-70156(P2019-70156)
(22)【出願日】2019年4月1日
(71)【出願人】
【識別番号】503227025
【氏名又は名称】クルールラボ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100163511
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 啓太
(72)【発明者】
【氏名】建矢 眞克
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053JJ03
4C053JJ05
4C053JJ24
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電極の電気特性の劣化を抑制できる電気筋肉刺激装置およびその制御方法を提供する。
【解決手段】人体に当接する電極11a、11bを介して、電気刺激を前記人体の筋肉に与える電気筋肉刺激装置であって、電気刺激を人体の筋肉に与えるための複数のパルス信号からなる基本波形の電気信号を、人体に当接する電極11a、11bへ印加するパルス発生回路15と、基本波形の電気信号を所定の周期でパルス発生回路15に電極11a、11bへ印加させる制御回路16とを備え、制御回路16は、基本波形の電気信号が前記電極へ印加されるごとに、基本波形の電気信号の最後のパルス信号と極性の異なるパルス信号を、パルス発生回路15に電極11a、11bへ印加させる、電気筋肉刺激装置である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体に当接する電極を介して、電気刺激を前記人体の筋肉に与える電気筋肉刺激装置であって、
前記電気刺激を前記人体の筋肉に与えるための複数のパルス信号からなる基本波形の電気信号を、前記電極へ印加するパルス発生回路と、
前記基本波形の電気信号を所定の周期で前記パルス発生回路に前記電極へ印加させる制御回路とを備え、
前記制御回路は、前記基本波形の電気信号が前記電極へ印加されるごとに、前記基本波形の電気信号の最後のパルス信号と極性の異なるパルス信号を、前記パルス発生回路に前記電極へ印加させる、電気筋肉刺激装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電気筋肉刺激装置において、
前記制御回路は、前記基本波形の電気信号の最後のパルス信号の極性と、前記最後のパルス信号の1つ前のパルス信号の極性とが異なる場合、前記最後のパルス信号のパルス幅の10−50%のパルス幅を有し、前記最後のパルス信号と極性の異なるパルス信号を、前記パルス発生回路に前記電極へ印加させる、電気筋肉刺激装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電気筋肉刺激装置において、
前記制御回路は、前記基本波形の電気信号が、同じ極性のパルス信号が複数連続して終了する場合、該連続する複数のパルス信号のパルス幅の合計の10−50%のパルス幅を有し、前記最後のパルス信号と極性の異なるパルス信号を、前記パルス発生回路に前記電極へ印加させる、電気筋肉刺激装置。
【請求項4】
人体に当接する電極を介して、電気刺激を前記人体の筋肉に与える電気筋肉刺激装置の制御方法であって、
前記電気刺激を前記人体の筋肉に与えるための複数のパルス信号からなる基本波形の電気信号を、所定の周期で前記電極へ印加するステップと、
前記基本波形の電気信号が前記電極へ印加されるごとに、前記基本波形の電気信号の最後のパルス信号と極性の異なるパルス信号を、前記電極へ印加するステップと、を含む制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体に当接する電極を介して、電気刺激を人体の筋肉に与える電気筋肉刺激装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人体に当接する電極(パッド電極)に電気パルス信号を印加し、電気刺激を筋肉に与えて、筋肉を伸縮させることで、運動効果を得る電気筋肉刺激装置(EMS(Electrical Muscle Stimulation)装置)がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−152328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した電気筋肉刺激装置のパッド電極には、コストおよび材質の安定性の観点から、銀(Ag)をベースにした材質が広く使われている。ここで、電気筋肉刺激装置の使用に伴い、パッド電極が黒く変色し、電極の電気特性が劣化することがある。このような電極の電気特性の劣化は、運動効果の低減、消費電力の増大などを招いてしまう。
【0005】
上記のような問題点に鑑みてなされた本発明の目的は、電極の電気特性の劣化を抑制することができる電気筋肉刺激装置およびその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る電気筋肉刺激装置は、人体に当接する電極を介して、電気刺激を前記人体の筋肉に与える電気筋肉刺激装置であって、前記電気刺激を前記人体の筋肉に与えるための複数のパルス信号からなる基本波形の電気信号を、前記電極へ印加するパルス発生回路と、前記基本波形の電気信号を所定の周期で前記パルス発生回路に前記電極へ印加させる制御回路とを備え、前記制御回路は、前記基本波形の電気信号が前記電極へ印加されるごとに、前記基本波形の電気信号の最後のパルス信号と極性の異なるパルス信号を、前記パルス発生回路に前記電極へ印加させる。
【0007】
また、本発明に係る電気筋肉刺激装置において、前記制御回路は、前記基本波形の電気信号の最後のパルス信号の極性と、前記最後のパルス信号の1つ前のパルス信号の極性とが異なる場合、前記最後のパルス信号のパルス幅の10−50%のパルス幅を有し、前記最後のパルス信号と極性の異なるパルス信号を、前記パルス発生回路に前記電極へ印加させることが好ましい。
【0008】
また、本発明に係る電気筋肉刺激装置において、前記制御回路は、前記基本波形の電気信号が、同じ極性のパルス信号が複数連続して終了する場合、該連続する複数のパルス信号のパルス幅の合計の10−50%のパルス幅を有し、前記最後のパルス信号と極性の異なるパルス信号を、前記パルス発生回路に前記電極へ印加させることが好ましい。
【0009】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る電気筋肉刺激装置の制御方法は、人体に当接する電極を介して、電気刺激を前記人体の筋肉に与える電気筋肉刺激装置の制御方法であって、前記電気刺激を前記人体の筋肉に与えるための複数のパルス信号からなる基本波形の電気信号を、所定の周期で前記電極へ印加するステップと、前記基本波形の電気信号が前記電極へ印加されるごとに、前記基本波形の電気信号の最後のパルス信号と極性の異なるパルス信号を、前記電極へ印加するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る電気筋肉刺激装置およびその制御方法によれば、電極の電気特性の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る電気筋肉刺激装置の構成例を示す図である。
図2A図1に示すパルス発生回路が出力する電気信号の一例を示す図である。
図2B図1に示すパルス発生回路が出力する電気信号の他の一例を示す図である。
図3図1に示す電気筋肉刺激装置の動作の一例を説明するための図である。
図4図1に示す電気筋肉刺激装置の動作の他の一例を説明するための図である。
図5図1に示す電気筋肉刺激装置の動作のさらに別の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る電気筋肉刺激装置10の構成例を示す図である。本実施形態に係る電気筋肉刺激装置10は、電気刺激を筋肉に与えて筋肉を伸縮させることで、運動効果を得るものである。
【0014】
図1に示す電気筋肉刺激装置10は、電極11(電極11a,11b)と、操作部12と、通知部13と、電源回路14と、パルス発生回路15と、制御回路16とを備える。
【0015】
電極11は、使用時には、人体(使用者)に当接し、後述するパルス発生回路15から出力される電気信号の印加により、人体の筋肉に刺激を与えて、筋肉を伸縮させるためのものである。電極11は、銀導電性インクなどの銀(Ag)をベースにした材質で構成されるパッド電極である。電気筋肉刺激装置10は、使用時には、使用者の腹、腰、腕など体の所定の部位に電極11が当接するようにして保持される。
【0016】
操作部12は、使用者による操作入力を受け付け、入力された操作に応じた信号を制御回路16に出力する。操作部12は、例えば、押しボタンスイッチである。
【0017】
通知部13は、制御回路16の制御に従い、音、光の点灯、点滅、文字・映像の表示などにより、電気筋肉刺激装置10の動作状態などを使用者に通知する。通知部13は、例えば、ブザー、LED(Light Emitting Diode)、LCD(Liquid Crystal Display)などである。
【0018】
電源回路14は、パルス発生回路15および制御回路16に電力を供給する。
【0019】
パルス発生回路15は、制御回路16の制御に従い、電気信号を電極11に出力(印加)する。
【0020】
制御回路16は、操作部12への操作入力に応じて、電気筋肉刺激装置10全体の動作を制御する。例えば、制御回路16は、電気筋肉刺激装置10の動作を開始させる、あるいは、停止させる操作入力に応じて、パルス発生回路15による電極11への電気信号の出力を制御する。また、制御回路16は、通知部13を制御して、電気筋肉刺激装置10の動作状態などを使用者に通知する。
【0021】
次に、本実施形態に係る電気筋肉刺激装置10の動作について説明する。
【0022】
図2Aは、パルス発生回路15が出力する電気信号の波形の一例を示す図である。
【0023】
図2Aに示すように、パルス発生回路15は、所定の周期Tで、電気刺激を与えるための所定の波形の電気信号を出力する。以下では、電気刺激を与えるために電極11に繰り返し印加される電気信号を、基本波形の電気信号と称する。
【0024】
基本波形の電気信号は、図2Aに示すように、正極性のパルス信号と、負極性のパルス信号とからなる。図2Aにおいては、基本波形の電気信号は、1つの正極性のパルス信号と、1つの負極性のパルス信号とからなる例を示しているが、これに限られるものではない。基本波形の電気信号は、複数の正極性のパルス信号と、複数の負極性のパルス信号とから構成されてもよい。また、図2Aにおいては、基本波形の電気信号は、正極性のパルス信号と、負極性のパルス信号とからなる例を用いて説明したが、これに限られるものではない。基本波形の電気信号は、同じ極性の複数のパルス信号から構成されてもよい。また、図2Aにおいては、正極性のパルス信号と、負極性のパルス信号とが、所定の周期Tに対して短い間隔で出力される例を示しているが、これに限られるものではない。例えば、図2Bに示すように、正極性のパルス信号と、負極性のパルス信号とが、所定の周期T内において等間隔(周期2/T)で出力されてもよい。正極性のパルス信号と負極性のパルス信号との切り替えは、電極11aおよび電極11bのいずれを正側/負側とするかの切り替えにより制御することができる。
【0025】
基本波形の電気信号が印加される周期Tは、例えば、2Hz〜100Hz程度である。また、パルス信号の電圧vは、〜150V程度である。また、パルス信号のパルス幅は、50μs〜500μs程度である。
【0026】
上述したように、電気筋肉刺激装置10の使用に伴い、電極11が黒色に変色することがある。本願発明者らが電極11の黒色に変色した部分の成分を分析した結果、塩化銀(AgCl)が検出された。一般に、電気筋肉刺激装置10の使用時には、水分を含んだ粘着性のシートである導電性ゲルパッドにより、電極11を人体に当接して使用される。電極11で検出された塩化銀は、電極11に含まれる銀と、人体から生じた汗あるいは導電性ゲルパッドに含まれる塩素(Cl)とが結びついたことにより生成されたものと考えられる。
【0027】
また、本願発明者らが鋭意検討した結果、電気筋肉刺激装置10の使用に伴う電極11の黒色の変色は、基本波形の電気信号の最後のパルス信号の印加の際に正側となる電極11で生じることが分かった。最後のパルス信号の印加の際に正側となる電極11で黒色の変色が生じる原因としては、正電圧の印加による電気分解により電極11に含まれる銀がイオン化(Ag+)し、汗の成分である塩素と結びついて塩化銀が生成される、あるいは、正電圧が印加される電極11に、汗に含まれる塩素イオン(Cl−)が引き付けられ、電極11に含まれる銀と結びついて塩化銀が生成されるといった原因が考えられる。
【0028】
そこで、本実施形態においては、制御回路16は、基本波形の電気信号が印加されるごとに、図3に示すように、基本波形の電気信号の最後のパルス信号と極性の異なる(極性が反転した)パルス信号である劣化抑制用パルス信号を電極11に印加する。こうすることで、基本波形の電気信号の最後のパルス信号の印加の際に正側であった電極11における塩化銀の生成による黒色の変色の進捗度合いを抑制し、電極11の電気特性の劣化を抑制することができる。なお、図2Bに示すように、複数のパルス信号が比較的長い時間間隔で出力される場合、制御回路16は、各パルス信号の後に、そのパルス信号と極性の異なる劣化抑制用パルス信号を電極11に印加してもよい。
【0029】
図3に示すように、基本波形の電気信号の最後のパルス信号の極性と、最後のパルス信号の1つ前のパルス信号の極性とが異なる場合、制御回路16は、最後のパルス信号のパルス幅の10−50%のパルス幅の劣化抑制用パルス信号を、パルス発生回路15に電極11a,11bへ印加させる。
【0030】
なお、図3においては、基本波形の電気信号は、1つの正極性のパルス信号と、1つの負極性のパルス信号とからなる例を用いて説明したが、これに限られるものではない。基本波形の電気信号は、複数の正極性のパルス信号と、複数の負極性のパルス信号とから構成されてもよい。例えば、図4に示すように、正極性のパルス信号と負極性のパルス信号とが交互に複数回繰り返されてもよい。図4に示す基本波形の電気信号においても、基本波形の電気信号の最後のパルス信号の極性と、最後のパルス信号の1つ前のパルス信号の極性とが異なるため、制御回路16は、最後のパルス信号のパルス幅の10−50%のパルス幅の劣化抑制用パルス信号を、パルス発生回路15に電極11a,11bへ印加させる。
【0031】
また、基本波形の電気信号は、図5に示すように、同じ極性のパルス信号が複数連続してもよい。図5においては、4つの連続する正極性のパルス信号と、4つの連続する負極性のパルス信号とが繰り返される例を示している。図5に示すように、基本波形の電気信号の最後に同じ極性のパルス信号が複数連続する場合、制御回路16は、基本波形の電気信号の最後に連続する複数のパルス信号のパルス幅の合計の10−50%のパルス幅を有し、基本波形の電気信号の最後のパルス信号と極性の異なる劣化抑制用パルス信号を、パルス発生回路15に電極11へ印加させる。
【0032】
次に、本実施形態に係る電気筋肉刺激装置10の制御方法について、制御回路16の動作を中心に説明する。
【0033】
制御回路16は、電気刺激を人体の筋肉に与えるために、正極性のパルス信号と、負極性のパルス信号とからなる基本波形の電気信号を、パルス発生回路15に電極11へ印加させる。
【0034】
そして、制御回路16は、基本波形の電気信号が電極へ印加されるごとに、基本波形の電気信号の最後のパルス信号と極性の異なるパルス信号を、パルス発生回路15に電極11へ印加させる。
【0035】
すなわち、本実施形態に係る電気筋肉刺激装置10の制御方法は、電気刺激を人体の筋肉に与えるための複数のパルス信号からなる基本波形の電気信号を、電極11へ印加するステップと、基本波形の電気信号が電極11へ印加されるごとに、基本波形の電気信号の最後のパルス信号と極性の異なるパルス信号を、電極11へ印加するステップとを含む。
【0036】
このように本実施形態においては、電気筋肉刺激装置10は、電気刺激を人体の筋肉に与えるための複数のパルス信号からなる基本波形の電気信号を、電極11へ印加するパルス発生回路15と、基本波形の電気信号を所定の周期でパルス発生回路15に電極11へ印加させる制御回路16とを備える。制御回路16は、基本波形の電気信号が電極11へ印加されるごとに、基本波形の電気信号の最後のパルス信号と極性の異なるパルス信号を、パルス発生回路15に電極11へ印加させる
【0037】
基本波形の電気信号が印加されるごとに、基本波形の電気信号の最後のパルス信号と極性の異なるパル信号を電極11へ印加することで、最後のパルス信号の印加の際に正側であった電極11における塩化銀の生成を抑制することができる。その結果、電極11の電気特性の劣化を抑制することができる。
【0038】
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本発明の趣旨および範囲内で、多くの変更および置換が可能であることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形および変更が可能である。例えば、実施形態の構成図に記載の複数の構成ブロックを1つに組み合わせたり、あるいは1つの構成ブロックを分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0039】
10 電気筋肉刺激装置
11a,11b 電極
12 操作部
13 通知部
14 電源回路
15 パルス発生回路
16 制御回路
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5