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特開2020-168215睡眠状態推定装置、睡眠状態推定方法及び睡眠状態推定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-168215(P2020-168215A)
(43)【公開日】2020年10月15日
(54)【発明の名称】睡眠状態推定装置、睡眠状態推定方法及び睡眠状態推定プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/16 20060101AFI20200918BHJP
   A61B 5/113 20060101ALI20200918BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20200918BHJP
   A61B 5/0245 20060101ALI20200918BHJP
【FI】
   A61B5/16 130
   A61B5/113
   A61B5/11 200
   A61B5/0245 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-71657(P2019-71657)
(22)【出願日】2019年4月3日
(71)【出願人】
【識別番号】000003001
【氏名又は名称】帝人株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100196601
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 祐市
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 琢治
(72)【発明者】
【氏名】荒谷 渉
【テーマコード(参考)】
4C017
4C038
【Fターム(参考)】
4C017AA09
4C017AB02
4C017AC01
4C017AC20
4C017AC26
4C017BC07
4C017BC11
4C017BC14
4C017BC16
4C017BC21
4C017BC23
4C017CC01
4C038SS09
4C038SX07
4C038VA04
4C038VA15
4C038VB11
4C038VB33
4C038VC01
(57)【要約】
【課題】睡眠時の呼吸停止又は低呼吸状態の推定精度の高い簡便な睡眠状態推定装置の提供。
【解決手段】睡眠期間を含む所定期間における被験者の拍動間隔データを取得する取得部(221,721)と、拍動間隔データから自律神経指標データを出力する自律神経指標出力部(226,726)と、拍動間隔データ及び自律神経指標データに基づいて、被験者の無呼吸又は低呼吸睡眠状態を推定する呼吸推定部(222,722)と、推定結果を示す無呼吸指標信号を出力する出力部(225,725)と、を有する睡眠状態推定装置(2,7)。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
睡眠期間を含む所定期間における被験者の拍動間隔データを取得する取得部と、
前記拍動間隔データから自律神経指標データを出力する自律神経指標出力部と、
前記拍動間隔データ及び前記自律神経指標データに基づいて、前記被験者の無呼吸又は低呼吸睡眠状態を推定する呼吸推定部と、
前記推定結果を示す無呼吸指標信号を出力する出力部と、
を有する睡眠状態推定装置。
【請求項2】
前記被験者の体動信号を取得して、体動データを出力する体動データ出力部を更に有し、
前記呼吸推定部は、前記拍動間隔データ、前記自律神経指標データ、及び前記体動データに基づいて、前記被験者の無呼吸又は低呼吸睡眠状態を推定する請求項1に記載の睡眠状態推定装置。
【請求項3】
前記呼吸推定部は、
前記拍動間隔データから、周期的心拍変動イベントデータを検出するイベント検出部と、
前記周期的心拍変動イベントデータから拍動間隔が所定範囲内となる期間の周期的心拍変動イベントデータを除外し、且つ、前記周期的心拍変動イベントデータから前記自律神経指標データが所定の自律神経指標閾値未満となる期間の周期的心拍変動イベントデータを除外し、且つ、前記体動データが所定の体動閾値未満となる期間の周期的心拍変動イベントデータを除外するイベント処理部と、
を更に有する請求項2に記載の睡眠状態推定装置。
【請求項4】
前記呼吸推定部は、複数の被験者のデータに基づいて、前記被験者の無呼吸又は低呼吸睡眠状態を推定する、請求項1又は2に記載の睡眠状態推定装置。
【請求項5】
睡眠期間を含む所定期間における被験者の拍動間隔データを取得することと、
前記拍動間隔データから自律神経指標データを出力することと、
前記拍動間隔データ及び前記自律神経指標データに基づいて、前記被験者の無呼吸又は低呼吸睡眠状態を推定することと、
前記推定結果を示す無呼吸指標信号を出力することと、
を含む睡眠状態推定方法。
【請求項6】
コンピュータを動作させるプログラムであって、
睡眠期間を含む所定期間における被験者の拍動間隔データを取得することと、
前記拍動間隔データから自律神経指標データを出力することと、
前記拍動間隔データ及び前記自律神経指標データに基づいて、前記被験者の無呼吸又は低呼吸睡眠状態を推定することと、
前記推定結果を示す無呼吸指標信号を出力することと、を含む睡眠状態推定方法、
をコンピュータに実行させる睡眠状態推定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、睡眠状態推定装置、睡眠状態推定方法及び睡眠状態推定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
睡眠時に呼吸停止又は低呼吸になる疾患である睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep apnea syndrome)が知られている。睡眠時無呼吸症候群の診断方法として、睡眠中の脳波・眼球運動・心電図・筋電図・呼吸曲線・いびき・動脈血酸素飽和度等の生体活動を、一晩にわたって測定する睡眠ポリグラフ検査がある。しかし、装置が大がかりであり多岐にわたる検査のため被験者は入院を必要し、手軽に測定ができないという問題があった。又、医師もしくは臨床検査技師による総合的判断を必要とする。したがって、睡眠時無呼吸症候群の診断を簡便に行うことができる睡眠状態推定装置への必要性は高い。
【0003】
睡眠時に呼吸停止又は低呼吸になった状態と心拍数の変動とが関連することが知られている。睡眠時の心拍数変化を観測すると、正常睡眠時での心拍数の変動に比べ、呼吸停止又は低呼吸になったときは、徐脈と頻脈を交互に繰り返す特徴的な心拍変動、いわゆる周期的心拍変動(CVHR:cyclic variation of heartrate)が発生する。
【0004】
特許文献1は、周期的心拍変動を検出して呼吸停止又は低呼吸になった状態を判定する方法を開示する。更に、呼吸停止又は低呼吸状態の精度を向上するため、被験者のそれぞれの健康状態を反映する指標として交感神経と副交感神経の活動比率の変化を利用することを開示する。
【0005】
又、特許文献2は、心拍間隔から交感神経及び副交感神経の活動比率を求めレム睡眠、ノンレム睡眠等睡眠状態を推定する睡眠状態判定方法を開示する。
【0006】
更に、特許文献3は、睡眠中の脈拍間隔データを使用して被験者の睡眠状態を判定する際に、被験者の体の動きの度合いを示す体動が所定の範囲にあるときは対応する脈拍間隔データを除外する睡眠状態判定方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010-051387号公報
【特許文献2】特開平7-143972号公報
【特許文献3】特開2005-279113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載の検出方法では、検出された周期的心拍変動にレム睡眠状態等を含むことがあり、睡眠時の呼吸停止又は低呼吸の検出精度が低くなる可能性がある。
【0009】
又、特許文献2に記載の推定方法は、レム睡眠、ノンレム睡眠の判定はできるが、睡眠時の呼吸停止又は低呼吸状態の判定について開示してない。
【0010】
更に、被験者の体動の原因としては、被験者の呼吸停止又は低呼吸になったときだけでなく様々な要因があり、特許文献3に開示される体動だけで呼吸停止又は低呼吸になったと判定するのは難しい。
【0011】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、睡眠時の呼吸停止又は低呼吸状態の推定精度の高い簡便な睡眠状態推定装置を提供すること課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係る睡眠状態推定装置は、睡眠期間を含む所定期間における被験者の拍動間隔データを取得する取得部と、拍動間隔データから自律神経指標データを出力する自律神経指標出力部と、拍動間隔データ及び自律神経指標データに基づいて、被験者の無呼吸又は低呼吸睡眠状態を推定する呼吸推定部と、推定結果を示す無呼吸指標信号を出力する出力部と、を有することを特徴とする。
【0013】
更に、本発明に係る睡眠状態推定装置は、被験者の体動信号を取得して、体動データを出力する体動データ出力部を更に有し、呼吸推定部は、拍動間隔データ、自律神経指標データ、及び体動データに基づいて、被験者の無呼吸又は低呼吸睡眠状態を推定することが好ましい。
【0014】
更に、本発明に係る睡眠状態推定装置は、呼吸推定部が、拍動間隔データから、周期的心拍変動イベントデータを検出するイベント検出部と、周期的心拍変動イベントデータから拍動間隔が所定範囲内となる期間の周期的心拍変動イベントデータを除外し、且つ、周期的心拍変動イベントデータから自律神経指標データが所定の自律神経指標閾値未満の周期的心拍変動イベントデータを除外し、且つ、体動データが所定の体動閾値未満の周期的心拍変動イベントデータを除外するイベント処理部と、を更に有することが好ましい。
【0015】
更に、本発明に係る睡眠状態推定装置は、呼吸推定部が、複数の被験者のデータに基づいて、被験者の無呼吸又は低呼吸睡眠状態を推定する、ことが好ましい。
【0016】
本発明に係る睡眠状態推定方法は、睡眠期間を含む所定期間における被験者の拍動間隔データを取得することと、拍動間隔データから自律神経指標データを出力することと、拍動間隔データ及び自律神経指標データに基づいて、被験者の無呼吸又は低呼吸睡眠状態を推定することと、推定結果を示す無呼吸指標信号を出力することと、を含むことを特徴とする。
【0017】
本発明に係る睡眠状態推定プログラムは、コンピュータを動作させるプログラムであって、睡眠期間を含む所定期間における被験者の拍動間隔データを取得することと、拍動間隔データから自律神経指標データを出力することと、拍動間隔データ及び自律神経指標データに基づいて、被験者の無呼吸又は低呼吸睡眠状態を推定することと、推定結果を示す無呼吸指標信号を出力することと、を含む睡眠状態推定方法、をコンピュータに実行させる睡眠状態推定プログラム。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る睡眠状態推定装置によれば、簡便に睡眠時の呼吸停止又は低呼吸状態の推定精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】心臓の拍動を示す心電図と心臓の拍動の時間間隔である心拍間隔を説明する図である。(a)は心電図波形であり、(b)は心拍間隔(RRI)のグラフである。
図2】従来の脈波間隔変動から周期的心拍変動を推定する方法を説明するための図である。
図3】従来の脈波間隔から周期的心拍変動フラグを推定するアルゴリズムの一例を示す図である。
図4】平滑化された脈波間隔と周期的心拍変動イベントとの関連を描いたグラフを示す図である。
図5】自律神経指標(LF/HF)の一例を示す図である。
図6】睡眠状態推定装置の第1実施形態の処理概要の一例を示す図である。
図7】第1実施形態の睡眠状態推定装置の構成の一例を示す図である。
図8】睡眠状態推定処理のフローチャートの一例を示す図である。
図9】睡眠状態推定装置の第2実施形態の処理概要の一例を示す図である。
図10】第2実施形態の睡眠状態推定装置の構成の一例を示す図である。
図11】睡眠状態推定装置7で行われる睡眠計測処理のフローチャートの一例を示す図である。
図12】第3実施形態の睡眠状態推定装置の一例を示す外形斜視図である。(a)は表側からの外形斜視図であり、(b)は裏側からの外形斜視図である。
図13】第3実施形態の睡眠状態推定装置の本体部の構成の一例を示す図である。
図14】本発明による周期的心拍変動検出の効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の一側面に係る睡眠状態推定装置について、図を参照しつつ説明する。但し、本開示の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。なお、以下の説明及び図において、同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0021】
[心臓の拍動と心拍間隔]
図1は、心臓の拍動を示す心電図と心臓の拍動の時間間隔である心拍間隔を説明する図である。(a)は心電図波形であり、(b)は心拍間隔のグラフである。
【0022】
人が横になる等安静にしているときは心臓の拍動が「遅く」なり、運動した時や緊張した時には心臓の拍動が「速く」なることはよく知られている。心臓の拍動が「速い」、「遅い」という現象は、例えば、拍動の一拍と次の一拍の間の時間である心拍間隔により表現できる。心臓の鼓動が速いときは、心拍間隔時間は小さくなり、反対に、心臓の拍動が遅いときは、心拍間隔時間は大きくなる。
【0023】
図1(a)は、心電図と呼ばれる心臓が拍動するときに発生する電気信号を示す図である。心電図の一番鋭いピークであるRは、心臓の心室と呼ばれる部分が急激に収縮して血液を心臓から送り出している時に発生する電気信号であり、R−R間の時間間隔を心拍間隔(RRI;R-R Interval)という。
【0024】
図1(b)は、心拍間隔(RRI)をプロットしたグラフである。心拍間隔(RRI)は常に一定ではなく変動していることがわかる。運動することで心拍数が上昇し心拍間隔(RRI)が変化するだけでなく、じっと安静にしているときや眠っているときでも、心拍間隔(RRI)の変動が観察される。上図では、心拍間隔(RRI)が950ミリ秒から900ミリ秒のあいだで変動している。このような心拍間隔の変動を、心拍変動と呼ぶ。
【0025】
被験者が無呼吸又は低呼吸睡眠状態にあるとき、徐脈と頻脈を交互に繰り返す特徴的な心拍変動、いわゆる周期的心拍変動が起こることが知られている。しかし、周期的な心拍変動には、様々な要因があり、被験者が無呼吸又は低呼吸睡眠状態にあることを簡便に精度よく推定する必要がある。尚、本実施形態では、心拍間隔(RRI)と脈波間隔(PPI)を総称して拍動間隔と呼ぶ。脈波間隔(PPI)は、脈波の最も鋭いピーク間の時間間隔をいう。心電図は心臓の心筋の活動に伴い発生する電位変化をとらえたものに対し、脈波は心臓が拍出した血液が動脈を介し末梢へ流れた血流の変動を測定したものであり、RRIとPPIはそれぞれから取得した情報であるが、睡眠時など比較的安静時にはそれらはほぼ同様な値を示すことが知られている。以降の実施例では脈波間隔に基づき説明する。
【0026】
[従来の脈波間隔変動から周期的心拍変動を検出する方法]
図2は、従来の脈波間隔変動から周期的心拍変動を推定する方法を説明するための図である。
【0027】
図2の上段のグラフは、脈波間隔値を縦軸に睡眠時刻を横軸にして描いたグラフである。実線は実際の脈波間隔を示し、破線は、例えば移動平均により平滑化された脈波間隔である。平滑化された脈波間隔の落ち込みをディップ(dip)という。図2の下段のグラフは、平滑化された脈波間隔から推定される周期的心拍変動フラグを、睡眠時刻を横軸にして描いたグラフである。周期的心拍変動フラグとは、被験者が無呼吸状態にあることを示すフラグである。
【0028】
図3は、従来の脈波間隔から周期的心拍変動フラグを推定するアルゴリズムの一例を示す図である。まず、平滑化された脈波間隔の極小値近傍の形状をディップ候補として抽出する(ST401)。抽出されたディップ形状の判定、例えばディップ形状が所定の放物線形状に類似するかの判定を行う(ST402)。更にディップの深さ、例えば極小値の中心時刻における値と、前後の移動平均の最大値の平均値との差として、個々のディップの深さを算出して閾値判定を行う(ST403)。更にディップの幅の判定、例えば隣接するディップに対して所定範囲内のディップ幅を有しているかの判定を行う(ST404)。
【0029】
更にディップの類似性の判定を行う(ST405)。例えば隣接するディップに対して所定範囲内のディップ幅及び所定範囲内のディップ高さを有し、且つ隣接するディップに対して所定範囲内のディップ幅とディップ高さの比を有しているディップを、類似性を有するディップとして特定する。更にディップの周期性の判定を行う(ST406)。例えば4つの連続するディップのうちの隣接する2つのディップの全てについて、隣接する2つのディップの時刻差が所定時間の範囲内であり、かつ、時刻差の大きさのばらつきが所定範囲内である場合に、その4つのディップは周期性を有するとする。上記条件を全て満たしたディップを周期的心拍変動フラグとして取得する(ST407)。周期的心拍変動フラグは、周期的心拍変動フラグに対応する時刻に被験者は無呼吸状態にあり周期的心拍変動イベントが発生していることを示すものである。
【0030】
図4は、平滑化された脈波間隔と周期的心拍変動イベントとの関連を描いたグラフを示す図である。
【0031】
被験者の平滑化された脈波間隔は、左側部分Aでは安定しているが、右側部分Bでは大きく変動していることがわかる。従来の脈波間隔変動から周期的心拍変動を推定するアルゴリズムによって、左側部分Aで周期的心拍変動フラグc(1、t1)、c(2,t2)、c(3、t3)を取得する。ここで、c(n,tn)は、n番目の周期的心拍変動フラグであり、時刻tnで検出されていることを示す(n:自然数)。更に右側部分Bで周期的心拍変動フラグc(4、t4)、c(5,t5)、c(6、t6)、c(7,t7)、c(8、t8)を取得する。
【0032】
平滑化された脈波間隔の大きく変動している右側部分Bでは、被験者は無呼吸状態ではなく、例えば、レム睡眠等、別の睡眠状態にあることを、発明者は実際の無呼吸状態と検出された周期的心拍変動フラグとを対比することにより知得した。本願発明は、従来の脈波間隔変動から周期的心拍変動を取得するアルゴリズムにより取得された周期的心拍変動フラグから、被験者が無呼吸状態にない周期的心拍変動フラグを除外する。被験者が無呼吸状態にない周期的心拍変動フラグを除外することにより、被験者が無呼吸状態にあり周期的心拍変動イベントが発生していることが精度よく検出される。
【0033】
[自律神経指標の例]
被験者が無呼吸睡眠状態となったとき、被験者の交感神経活動が活性化することが知られている。交感神経活動の活動度については、例えば心拍変動を解析することで把握可能なことが知られている。
【0034】
図5は、自律神経指標(LF/HF)の一例を示す図である。心拍変動の周波数解析を行った結果の一例を示している。例えば心拍間隔(RRI)を所定時間、例えば5分間に亘って、周波数解析した周波数(横軸)とパワー(縦軸)との関係を示すグラフである。低周波数区間(例えば0.05Hz−0.15Hz)のピーク値をLFとし、高周波数区間(例えば0.15Hz−0.4Hz)のピーク値をHFとする。
【0035】
LFは主に交感神経機能の活動度を示し、HFは副交感神経機能の活動度を示す。ただしLFは交感神経だけでなく副交感神経の関与もあるため、LFとHFの比(LF/HF)を交感神経の活性度の指標として使用されることが多く、本発明ではLF/HFを交感神経活性度の指標として使用する。又、ピーク値ではなく、低周波数区間と高周波数区間のパワースペクトル密度の比を自律神経指標(LF/HF)としてもよい。交感神経の活動度を示す自律神経指標(LF/HF)を利用して被験者が無呼吸睡眠状態となったときの推定精度を上げることができる。
【0036】
[睡眠状態推定装置の第1実施形態の処理概要]
図6は、本発明に係る睡眠状態推定装置の第1実施形態の処理概要の一例を示す図である。
【0037】
被験者の手首には、被験者の心臓の拍動状態、例えば脈拍を検出する光学式脈波センサ11を有するリストバンド1が取り付けられている。光学式脈波センサ11は、例えばLEDドライバと緑色検出用フォトダイオードを搭載した光学式脈波センサICを有する。LEDを生体内に向けて照射した時の反射光の強度をフォトダイオードで測定して、脈波信号を得ることができる。脈波センサは光学式だけでなく、例えば脈圧検出式脈波センサでもよい。
【0038】
本実施例では、リストバンド1は被験者の手首に取り付けた状態を示しているが、被験者の他の部位に取り付けてもよい。
【0039】
リストバンド1の脈波センサで検出された拍動信号は、無線通信、例えばWiFi、ブルートゥース(登録商標)により睡眠状態推定装置2に送信される。拍動信号の送信はリアルタイムでなくともよく、例えば、被験者が睡眠から覚醒した後、まとめて睡眠状態推定装置2に送信してもよい。又、リストバンド1から睡眠状態推定装置2に拍動信号を直接無線送信する必要はなく、例えばスマートホン、アクセスポイント経由で睡眠状態推定装置2に送信してもよい。
【0040】
リストバンド1から送信された拍動信号は、睡眠状態推定装置2のアンテナ21で介して通信インターフェース22が受信する。
【0041】
取得部221は、被験者の心臓の拍動状態を示す拍動信号から拍動の間隔、例えば脈波の隣接するピーク値の時間間隔を示す拍動間隔データを取得する。拍動間隔データは呼吸推定部222に入力される。又、拍動間隔データは自律神経指標出力部226に出力される。
【0042】
呼吸推定部222のイベント検出部223は、拍動間隔データを平滑化する。更にイベント検出部223は、図3に示した従来の脈波間隔から周期的心拍変動フラグを推定するアルゴリズムを使用して周期的心拍変動イベントを検出する。検出された周期的心拍変動イベントデータはイベント処理部224に入力される。
【0043】
自律神経指標出力部226は、拍動間隔データに基づき自律神経指標(LF/HF)データを出力する。自律神経指標出力部226から出力される自律神経指標データは、イベント処理部224に入力される。
【0044】
イベント処理部224は、検出された周期的心拍変動イベントデータから、拍動間隔が所定範囲内となる期間に対応する周期的心拍変動イベントデータを除外する。無呼吸に伴う周期的心拍変動では、交感神経が優位となっており、平均的な拍動間隔は短くなる傾向があるが、例えばレム睡眠の場合は周期的心拍変動に類似な心拍変動となるがその平均的な拍動間隔は無呼吸の場合に比べて長い傾向があるため、所定範囲をレム睡眠時の平均的な拍動間隔付近とし、この範囲を除外することで無呼吸であることを示す周期的心拍変動イベントデータのみを選択する。
【0045】
イベント処理部224は、除外処理された無呼吸であることを示す周期的心拍変動イベントデータを、更に、自律神経指標データに基づいてフィルタリングする。フィルタリングは、例えば、自律神経指標が所定の自律神経指標閾値以上であるときの周期的心拍変動イベントデータを無呼吸であることを示す周期的心拍変動イベントデータをとして判定する。自律神経指標(LF/HF)が高いとき、被験者が無呼吸又は低呼吸睡眠状態にある可能性が高いと推定される。
【0046】
イベント処理部224による検出結果に基づき、出力部225は、無呼吸指標として周期的心拍変動イベントデータを出力する。周期的心拍変動イベントデータに代えて、又は周期的心拍変動イベントデータと共に検出単位時間あたりの呼吸指標、例えば1時間あたりの無呼吸と低呼吸を合わせた回数である無呼吸低呼吸指数(AHI:Apnea Hypopnea Index)に相当する値を出力してもよい。
【0047】
無呼吸指標は、睡眠状態推定装置2に内蔵される不図示の表示部に入力され、表示画面上に、例えば、無呼吸低呼吸指数に相当する値が表示される。又、無呼吸指標は、睡眠状態推定装置2に内蔵される不図示のハードディスク、着脱メモリカードに書き込まれてもよい。更に、無呼吸低呼吸指数に相当する値は、睡眠状態推定装置2に接続される、プリンタ、情報端末装置、サーバ装置に出力されてもよい。又、ネットワークを介して、例えば、被験者データベースを有するサーバ装置に送信されてもよい。
【0048】
本実施形態の睡眠状態推定装置2によれば、簡便に睡眠時の呼吸停止又は低呼吸状態の検出精度を向上することができる。
[第1実施形態の睡眠状態推定装置の構成例]
図7は、第1実施形態の睡眠状態推定装置の構成の一例を示す図である。
【0049】
睡眠状態推定装置2は、アンテナ21を介して外部と通信する通信インターフェース22と、通信インターフェース22と接続する制御部24を有する。更に、外部記憶媒体と接続する記憶媒体インターフェース23を有してもよい。例えば、記憶媒体インターフェース23により睡眠状態推定装置2はリストバンド1の記憶媒体に記憶された検出データを読み込むことができる。
【0050】
制御部24は、制御記憶部210と制御処理部220を有する。制御記憶部210は、1又は複数の半導体メモリにより構成される。例えば、RAMや、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の不揮発性メモリの少なくとも一つを有する。制御記憶部210は、制御処理部220による処理に用いられるドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。
【0051】
例えば、制御記憶部210は、ドライバプログラムとして、通信インターフェース22を制御するデバイスドライバプログラムを記憶する。コンピュータプログラムは、例えば、CD−ROM、DVD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて制御記憶部210にインストールされてもよい。また、プログラムサーバ等からダウンロードしてインストールしてもよい。
【0052】
更に、制御記憶部210は、所定の処理に係る一時的なデータを一時的に記憶してもよい。制御記憶部210は、拍動閾値、拍動間隔平均範囲、 自律神経指標閾値、体動閾値等の閾値テーブル211、推定時間、判定時間、自律神経指標算出時間等の時間テーブル212、統計処理のための統計マスタ213等を記憶する。
【0053】
制御記憶部210に記憶される、拍動閾値、拍動間隔平均範囲、自律神経指標閾値、体動閾値等の閾値テーブル211、推定時間、判定時間、自律神経指標出力時間等の時間テーブル212は固有の設定値としてもよい。又、閾値テーブル211、及び時間テーブル212は、複数被験者の無呼吸又は低呼吸睡眠状態の統計を取り、統計値の平均、分散等に基づいて統計的に設定されてもよい。更に、被験者の、生体情報、例えば年齢、性別、体重に応じた設定値を統計マスタ213に記憶して、被験者の無呼吸又は低呼吸睡眠状態の推定に利用してもよい。
【0054】
制御処理部220は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を有する。制御処理部220は、睡眠状態推定装置2の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えば、MCU(Micro Controller Unit)である。
【0055】
制御処理部220は、制御記憶部210に記憶されているプログラム(オペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。また、制御処理部220は、複数のプログラム(アプリケーションプログラム等)を並列に実行してもよい。制御処理部220は、取得部221呼吸推定部222、イベント検出部223、イベント処理部224、出力部225、自律神経指標出力部226等を有する。
【0056】
制御処理部220が有するこれらの各部は、独立した集積回路、回路モジュール、マイクロプロセッサ、又はファームウェアとして制御部24に実装されてもよい。
【0057】
[第1実施形態の睡眠状態推定処理フロー]
図8は、睡眠状態推定装置2で行われる睡眠状態推定処理のフローチャートの一例を示す図である。
【0058】
本例の睡眠状態推定処理フローは、被験者のリストバンド1から被験者の1回の睡眠時間分、例えば7時間分の拍動信号がすでに睡眠状態推定装置2に送信されて、制御記憶部210に記憶されているときの処理であり睡眠推定処理は一括して行うことができる。又、例えば1時間単位で拍動信号を取得して、1時間毎に推定処理を行ってもよい。
【0059】
取得部221は、被験者のリストバンド1から受信された拍動信号を用いて拍動間隔を示す拍動間隔データを取得する(ST801)。
【0060】
自律神経指標出力部226は、拍動間隔データに基づき自律神経指標データを出力するする(ST802)。
【0061】
イベント検出部223は、拍動間隔データを平滑化する(ST803)。更にイベント検出部223は、図3に示した従来の脈波間隔から周期的心拍変動フラグを推定するアルゴリズムを使用して周期的心拍変動イベントを検出する(ST804)。イベント処理部224は、拍動間隔データの移動平均(mv)を算出する(ST805)。イベント処理部224は、所定期間、例えば、1時間ごとの、又は1睡眠期間における拍動間隔データの平均値(An)を算出する(ST806)。
【0062】
イベント処理部224は、周期的心拍変動フラグが検出された時刻tkにおいて拍動間隔データの移動平均(mv)が平均値(An)以下であるかを判定する(ST807)。移動平均(mv)が平均値(An)以下であるとき(ST807:YES)は、イベント処理部224は、時刻tkにおける自律神経指標が所定の自律神経指標閾値Th以上かを判定する(ST808)。移動平均(mv)が平均値(An)を超えるとき(ST807:NO)は、イベント処理部224は、ST807に戻り次の時刻の周期的心拍変動フラグの移動平均(mv)と平均値(An)を比較する。なお、ここでは移動平均(mv)が平均値(An)以下であるときとしたが、この限りでなく、平均値(An)の定数倍(例えば1.1)などでも構わない。またAnは1睡眠期間における平均値としたが、これを睡眠のウルトラディアンリズム内の平均として例えば1.5時間ごとの平均としてもかまわない。
【0063】
時刻tkにおける自律神経指標が所定の自律神経指標閾値Th以上のとき(ST808:YES)は、イベント処理部224は、時刻tkの周期的心拍変動フラグc(k、tk)を周期的心拍変動フラグとして累積する(ST809)。時刻tkにおける自律神経指標が所定の自律神経指標閾値Th未満のとき(ST808:NO)は、イベント処理部224は、ST807に戻り次の時刻の周期的心拍変動データの移動平均(mv)と平均値(An)を比較する。
【0064】
イベント処理部224は、時刻tkが睡眠時間を超えたかを判定する(ST810)。時刻tkが睡眠時間を超えていないとき(ST810:NO)は、ST807に戻る。時刻tkが睡眠時間を超えたとき(ST810;YES)は、出力部225は、累積された周期的心拍変動フラグに基づき無呼吸指標を出力する(ST811)。処理フローは終了する。
【0065】
[睡眠状態推定装置の第2実施形態の処理概要]
第1実施形態では、睡眠中の被験者の拍動間隔データ及び自律神経指標データに基づいて被験者の睡眠状態を推定した。第2実施形態では、更に体動データに基づいて被験者の睡眠状態を推定する。
【0066】
図9は、本発明に係る睡眠状態推定装置の第2実施形態の処理概要の一例を示す図である。
【0067】
被験者の手首には、被験者の心臓の拍動状態、例えば脈拍を検出する光学式脈波センサ61と体動センサ62を有するリストバンド6が取り付けられている。光学式脈波センサ61は、例えばLEDドライバと緑色検出用フォトダイオードを搭載した光学式脈波センサICを有する。LEDを生体内に向けて照射した時の反射光の強度をフォトダイオードで測定して、脈波信号を得ることができる。脈波センサは光学式だけでなく、例えば脈圧検出式脈波センサでもよい。
【0068】
体動センサ62は、例えば加速度センサを有するモーションセンサである。体動センサはジャイロを有するものでもよい。複数の加速度センサにより、3次元の動きベクトル量を検出することができ、更には被験者の手首の移動量を算出することができる。
【0069】
本実施例では、リストバンド6は被験者の手首に取り付けた状態を示しているが、被験者の他の部位に取り付けてもよい。
【0070】
リストバンド6の光学式脈波センサ61で検出された拍動信号と体動センサ62で検出された体動信号は、無線通信、例えばWiFi、ブルートゥース(登録商標)により睡眠状態推定装置7に送信される。拍動信号と体動信号の送信はリアルタイムでなくともよく、例えば、被験者が睡眠から覚醒した後、まとめて睡眠状態推定装置7に送信してもよい。又、リストバンド6から睡眠状態推定装置7に拍動信号と体動信号を直接無線送信する必要はなく、例えばスマートホン、アクセスポイント経由で睡眠状態推定装置7に送信してもよい。
【0071】
リストバンド6から送信された拍動信号と体動信号は、睡眠状態推定装置7のアンテナ71を介して通信インターフェース72が受信する。
【0072】
取得部721は、被験者の心臓の拍動状態を示す拍動信号から拍動の間隔、例えば脈波の隣接するピーク値の時間間隔を示す拍動間隔データを取得する。拍動間隔データは呼吸推定部722に入力される。又、拍動間隔データは自律神経指標出力部726に入力される。
【0073】
自律神経指標出力部726は、拍動間隔データに基づき自律神経指標(LF/HF)データを算出する。自律神経指標出力部726から出力される自律神経指標データは、呼吸推定部722に入力される。
【0074】
体動データ出力部727は、被験者の体動信号を取得して被験者の手首の移動量を示す体動データを出力する。睡眠中に被験者が呼吸停止、低呼吸状態に陥った場合、限界を超えて呼吸を再開する際に体動を伴い瞬間的に覚醒反応を起こし呼吸を再開することが知られている。睡眠中に体動を計測することで無呼吸や低呼吸の発生可能性を判断することができる。
【0075】
呼吸推定部722は、拍動間隔データ、自律神経指標データ、及び体動データを使用して被験者の無呼吸又は低呼吸睡眠状態を推定する。
【0076】
呼吸推定部722のイベント検出部723は、拍動間隔データを平滑化する。更にイベント検出部723は、図3に示した従来の脈波間隔から周期的心拍変動フラグを推定するアルゴリズムを使用して周期的心拍変動イベントを検出する。検出された周期的心拍変動イベントデータはイベント処理部724に入力される。
【0077】
自律神経指標出力部726は、拍動間隔データに基づき自律神経指標(LF/HF)データを出力する。自律神経指標出力部726から出力される自律神経指標データは、イベント処理部724に入力される。
【0078】
イベント処理部724は、検出された周期的心拍変動イベントデータから、拍動間隔が所定範囲内となる期間に対応する周期的心拍変動イベントデータを除外する。無呼吸に伴う周期的心拍変動では、交感神経が優位となっており、平均的な拍動間隔は短くなる傾向があるが、例えばレム睡眠の場合は周期的心拍変動に類似な心拍変動となるがその平均的な拍動間隔は無呼吸の場合に比べて長い傾向があるため、所定範囲をレム睡眠時の平均的な拍動間隔付近とし、この範囲を除外することで無呼吸であることを示す周期的心拍変動イベントデータのみを選択する。
【0079】
イベント処理部724は、除外処理された無呼吸であることを示す周期的心拍変動イベントデータを、更に、自律神経指標データに基づいてフィルタリングする。フィルタリングは、例えば、自律神経指標が所定の自律神経指標閾値以上であるときの周期的心拍変動イベントデータを無呼吸であることを示す周期的心拍変動イベントデータをとして判定する。自律神経指標(LF/HF)が高いとき、すなわち交感神経活性化状態のときは、被験者が無呼吸又は低呼吸睡眠状態にある可能性が高いと推定される。
【0080】
イベント処理部724は、自律神経指標データに基づいてフィルタリングされた周期的心拍変動イベントデータを、更に、体動データに基づいてフィルタリングする。フィルタリングは、例えば、体動量が所定の体動指標閾値以上であるときの周期的心拍変動イベントデータを無呼吸であることを示す周期的心拍変動イベントデータをとして判定する。体動量が大きいとき、被験者は無呼吸反応による瞬間的な覚醒反応を起こしたと推定され、被験者が無呼吸又は低呼吸睡眠状態にある可能性が高いと推定される。
【0081】
イベント処理部724による検出結果に基づき、出力部725は、無呼吸指標として周期的心拍変動イベントデータを出力する。周期的心拍変動イベントデータに代えて、又は周期的心拍変動イベントデータと共に検出単位時間あたりの呼吸指標、例えば1時間あたりの無呼吸と低呼吸を合わせた回数である無呼吸低呼吸指数(AHI:Apnea Hypopnea Index)に相当する値を出力してもよい。
【0082】
無呼吸指標は、睡眠状態推定装置2に内蔵される不図示の表示部に入力され、表示画面上に、例えば、無呼吸低呼吸指数に相当する値が表示される。又、無呼吸指標は、睡眠状態推定装置2に内蔵される不図示のハードディスク、着脱メモリカードに書き込まれてもよい。更に、無呼吸低呼吸指数に相当する値は、睡眠状態推定装置2に接続される、プリンタ、情報端末装置、サーバ装置に出力されてもよい。又、ネットワークを介して、例えば、被験者データベースを有するサーバ装置に送信されてもよい。
【0083】
無呼吸指標は、睡眠状態推定装置7に内蔵される不図示の表示部に入力され、表示画面上に、例えば、無呼吸低呼吸指数の値が表示される。又、無呼吸指標は、睡眠状態推定装置2に内蔵される不図示のハードディスク、着脱メモリカードに書き込まれてもよい。更に、無呼吸指標は、睡眠状態推定装置7に接続される、プリンタ、情報端末装置、サーバ装置に出力されてもよい。又、ネットワークを介して、例えば、被験者データベースを有するサーバ装置に送信されてもよい。
【0084】
本実施形態の睡眠状態推定装置7によれば、簡便に睡眠時の呼吸停止又は低呼吸状態の検出精度をより向上することができる。
【0085】
[第2実施形態の睡眠状態推定装置の構成例]
図10は、第2実施形態の睡眠状態推定装置の構成の一例を示す図である。
【0086】
睡眠状態推定装置7は、アンテナ71を介して外部と通信する通信インターフェース72と、通信インターフェース72と接続する制御部74を有する。更に、外部記憶媒体と接続する記憶媒体インターフェース73を有してもよい。例えば、記憶媒体インターフェース73により睡眠状態推定装置2はリストバンド6の記憶媒体に記憶された検出データを読み込むことができる。
【0087】
制御部74は、制御記憶部710と制御処理部720を有する。制御記憶部710は、1又は複数の半導体メモリにより構成される。例えば、RAMや、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の不揮発性メモリの少なくとも一つを有する。制御記憶部710は、制御処理部720による処理に用いられるドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。
【0088】
例えば、制御記憶部710は、ドライバプログラムとして、通信インターフェース22を制御するデバイスドライバプログラムを記憶する。コンピュータプログラムは、例えば、CD−ROM、DVD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて制御記憶部710にインストールされてもよい。また、プログラムサーバ等からダウンロードしてインストールしてもよい。
【0089】
更に、制御記憶部710は、所定の処理に係る一時的なデータを一時的に記憶してもよい。制御記憶部710は、拍動閾値、自律神経指標閾値、拍動間隔平均範囲、体動閾値等の閾値テーブル711、推定単位時間、自律神経指標出力単位時間等の時間テーブル712、統計処理のための統計マスタ713等を記憶する。
【0090】
制御記憶部710に記憶される、拍動閾値、自律神経指標閾値、拍動間隔平均範囲、体動閾値等の閾値テーブル711、推定時間、判定時間、自律神経指標算出時間等の時間テーブル712は固有の設定値としてもよい。又、閾値テーブル711、及び時間テーブル712は、複数被験者の無呼吸又は低呼吸睡眠状態の統計を取り、統計値の平均、分散等に基づいて統計的に設定されてもよい。更に、被験者の、生体情報、例えば年齢、性別、体重に応じた設定値を統計マスタ713に記憶して、被験者の無呼吸又は低呼吸睡眠状態の推定に利用してもよい。
【0091】
制御処理部720は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を有する。制御処理部720は、睡眠状態推定装置2の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えば、MCUである。
【0092】
制御処理部720は、制御記憶部710に記憶されているプログラム(オペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。また、制御処理部720は、複数のプログラム(アプリケーションプログラム等)を並列に実行してもよい。制御処理部720は、取得部721、呼吸推定部722、イベント検出部723、イベント処理部724、出力部725、自律神経指標出力部726、体動データ出力部727等を有する。
【0093】
制御処理部720が有するこれらの各部は、独立した集積回路、回路モジュール、マイクロプロセッサ、又はファームウェアとして制御部74に実装されてもよい。
【0094】
[第2実施形態の睡眠状態推定処理フロー]
図11は、睡眠状態推定装置7で行われる睡眠計測処理のフローチャートの一例を示す図である。
【0095】
本例の睡眠状態推定処理フローは、被験者のリストバンド6から被験者の1回の睡眠時間分、例えば7時間分の拍動信号及び体動信号がすでに睡眠状態推定装置7に送信されて、制御記憶部710に記憶されているときの処理であり睡眠推定処理は一括して行うことができる。又、例えば1時間単位で拍動信号を取得して、1時間毎に推定処理を行ってもよい。
【0096】
取得部721は、制御記憶部710に記憶されている拍動信号を用いて拍動間隔を示す拍動間隔データを取得する(ST901)。
【0097】
自律神経指標出力部726は、拍動間隔データに基づき自律神経指標データを出力するする(ST902)。
【0098】
体動データ出力部727は、制御記憶部710に記憶されている体動信号に基づきデータを出力するする(ST903)。
【0099】
イベント検出部723は、拍動間隔データを平滑化する(ST904)。更にイベント検出部723は、図3に示した従来の脈波間隔から周期的心拍変動フラグを推定するアルゴリズムを使用して周期的心拍変動イベントを検出する(ST905)。イベント処理部724は、拍動間隔データの移動平均(mv)を算出する(ST906)。イベント処理部724は、所定期間、例えば、1時間ごとの、又は1睡眠期間における平均値(An)を算出する(ST907)。
【0100】
イベント処理部724は、周期的心拍変動フラグが検出された時刻tkにおいて移動平均(mv)が平均値(An)以下であるかを判定する(ST908)。移動平均(mv)が平均値(An)を超えるとき(ST908:NO)は、イベント処理部724は、ST908に戻り次の時刻の周期的心拍変動フラグの移動平均(mv)と平均値(An)を比較する。移動平均(mv)が平均値(An)以下であるとき(ST908:YES)は、イベント処理部224は、時刻tkにおける自律神経指標が所定の自律神経指標閾値Th以上かを判定する(ST909)。
【0101】
自律神経指標が所定の自律神経指標閾値Thを下回るとき(ST909:NO)は、イベント処理部724は、ST908に戻る。時刻tkにおける自律神経指標が所定の自律神経指標閾値Th以上のとき(ST909:YES)は、イベント処理部224は、時刻tkにおける体動量が体動閾値Tb以上であるかを判定する(ST910)。体動量が体動閾値Tb未満であるとき(ST910:NO)は、イベント処理部724は、ST908に戻る。体動量が体動閾値Tb以上であるとき(ST910:YES)は、イベント処理部724は、時刻tkの周期的心拍変動フラグc(k、tk)を周期的心拍変動フラグとして累積する(ST911)。
【0102】
イベント処理部724は、時刻tkが睡眠時間を超えたかを判定する(ST912)。時刻tkが睡眠時間を超えていないとき(ST810:NO)は、ST908に戻る。時刻tkが睡眠時間を超えたとき(ST912;YES)は、出力部725は、累積された周期的心拍変動フラグに基づき無呼吸指標を出力する(ST913)。処理フローは終了する。
【0103】
[睡眠状態推定装置の第3実施形態の概要]
第1、2実施形態では、被験者の手首につけられたリストバンドからのセンサ信号を受信して被験者の睡眠状態を推定する睡眠状態推定装置であった。第3実施形態では、リストバント内に睡眠状態推定装置が組み込まれた、例えばスマートウォッチ型の睡眠状態推定装置を説明する。
【0104】
図12は、第3実施形態の睡眠状態推定装置の一例を示す外形斜視図である。(a)は表側からの外形斜視図であり、(b)は裏側からの外形斜視図である。
【0105】
睡眠状態推定装置9は、本体部91とリストバンド部92を有する。本体部91の表側には表示部93を有し、側面には操作ボタン94を有する。本体部91の裏側には光学式脈波センサ95を有する。不図示の加速度センサ96は、本体部91に内蔵されている。
【0106】
[第3実施形態の睡眠状態推定装置の構成例]
図13は、第3実施形態の睡眠状態推定装置9の本体部の構成の一例を示す図である。
【0107】
本体部91は、表示部93、操作ボタン94、光学式脈波センサ95、加速度センサ96、制御部97、入出力インターフェース98、及びセンサインターフェース99を有する。表示部93及び操作ボタン94は入出力インターフェース98を介して制御部97に接続され、光学式脈波センサ95及び加速度センサ96はセンサインターフェース99を介して、制御部97に接続される。
【0108】
光学式脈波センサ95からの拍動信号及び加速度センサ96からの体動信号はセンサインターフェース99を介して、制御部97に入力され、制御部97は、拍動信号及び体動信号を用いて、睡眠状態推定装置9の装着者である被験者の睡眠状態を推定する。制御部97から出力される無呼吸指標は入出力インターフェース98を介して送られ、表示部93に呼吸指標値を表示する。又、操作ボタン94は、入出力インターフェース98を介して制御部97の動作を操作する。
【0109】
[本発明による周期的心拍変動推定の効果]
図14は、本発明による周期的心拍変動推定の効果を示す図である。
【0110】
図14の上部には、被験者の1睡眠期間、例えば、睡眠時間が7時間のときの脈波間隔(PPI)が示されている。最下段の(i)AHIは、睡眠ポリグラフ装置により計測された、実際の無呼吸又は低呼吸の状態を帯状に示したものである。下から2段目の(ii)CVHR(original)は、従来アルゴリズムを使用して周期的心拍変動イベントが発生したと推定したときの状態を帯状に示している。脈波間隔(PPI)が所定の脈波間隔閾値より大きいとき、周期的心拍変動が発生したと推定したときの状態を帯状に示している。(i)と(ii)を比較すると、(ii)には、実際には無呼吸又は低呼吸の状態でない状態が多く含まれていることがわかる。
【0111】
下から3段目の(iii)CVHR(modified)は、脈波間隔(PPI)の脈波間隔平均値であるDC成分が拍動間隔平均閾値より長い場合を(ii)から除外したときの周期的心拍変動を帯状に示したものである。脈波間隔平均値が長い期間の部分が除外されたことにより、推定が改善されたことがわかる。
【0112】
下から4段目の(iv)LF/HF filter は、水平な太線のうち空隙となっている部分は、体動データが所定の体動閾値以上且つ自律神経指標データが所定の自律神経指標閾値以上となった部分の自律神経指標に対応する部分である。
【0113】
下から5段目の(v)CVHR(modified)+LF/HF filter は被験者の睡眠状態を本願の第1実施形態により推定した効果を示すものである。(iii)に(iv)を考慮した周期的心拍変動を帯状に示したものである。(v)は(i)の実際の無呼吸又は低呼吸の状態により近くなったことがわかる。
【0114】
上述の説明では、被験者の心臓の拍動状態として脈拍を例にとり説明したが、被験者の心臓の拍動状態として心拍を使用してもよい。
【0115】
本発明に係る睡眠状態推定装置は、サーバ装置‐クライアント装置間の連携による実施形態としてもよい。
【0116】
当業者は、本発明の精神及び範囲から外れることなく、様々な変更、置換、及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。
【符号の説明】
【0117】
1、6 リストバンド
2、7、9 睡眠状態推定装置
21、71 アンテナ
22、72 通信インターフェース
23、73 記憶媒体インターフェース
24、74 制御部
210、710 制御記憶部
220、720 制御処理部
221、721 取得部
222、722 呼吸推定部
223、723 イベント検出部
224、724 イベント処理部
225、725 出力部
226、726 自律神経指標出力部
727 体動データ出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14