【実施例】
【0039】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0040】
製造例1
N−メチルエタノールアミンのプロピレンオキサイド1モル付加物の製造
1リットルのオートクレーブにN−メチルエタノールアミン(1.0モル、東京化成工業製)を仕込み、窒素置換、昇温後に95〜105℃でプロピレンオキサイド付加(1.0モル、東京化成工業製)を実施した。プロピレンオキサイド導入後1時間の熟成を行い、目的物を取り上げた。
1H−NMRより構造を決定した。δ=1.1ppm(3H,d),2.3ppm(5H,m),2.5ppm(1H,m),2.6ppm(1H,m),3.6ppm(2H,m),3.8ppm(1H,m).
【0041】
ラウロイルメチルアラニン(川研ファインケミカル社製、アラノンALA)及びラウロイルサルコシン(川研ファインケミカル社製、ソイポンSLA)の水溶液にN−メチルジエタノールアミン(東京化成工業製)、N−メチルエタノールアミンのプロピレンオキサイド1モル付加物をそれぞれ加えて中和し、成分(a)とした。
成分(a)の比較品として、ラウロイルサルコシンとトリエタノールアミン(東京化成工業製)の中和塩、ラウロイルメチルアラニンのナトリウム塩(東京化成工業製のNaOHを使用)を調製した。
【0042】
表1に示した配合数値の毛髪洗浄剤組成物を調製した。表中の配合数値は純分の重量%を示す。各毛髪洗浄剤組成物はクエン酸(東京化成工業製)でpH 6に調整した。
調製した毛髪洗浄剤組成物は下記各種方法により、性能評価した。性能評価結果を表1に示す。
【0043】
[色相安定性]
毛髪洗浄剤組成物を80℃の恒温槽に1週間保存して、色相の変化を目視により観察して評価した。
◎:非常に良好(色相の変化がほとんどない)
○:良好(色相の変化がわずかにある)
△:やや劣る(色相の変化がある)
×:不良(色相の変化がかなりある)
【0044】
[コアセルベート生成濃度評価]
調製した毛髪洗浄剤組成物を精製水で希釈し、目視でコアセルベートが観測された、希釈液の最低濃度をコアセルベート生成濃度とした。評価基準は下記の通りである。
◎:非常に良好(コアセルベートが生成した最低濃度:0.02重量%未満)
〇:良好(コアセルベートが生成した最低濃度:0.02重量%以上0.10重量%未満)
△:やや劣る(コアセルベートが生成した最低濃度:0.10重量%以上0.20重量%未満)
×:不良(コアセルベートが生成した最低濃度:0.20重量%以上)
【0045】
[泡質の細かさ、すすぎ時の指通り性、乾燥後の指通り性の評価]
かもじ(30cm、10g)を4つ束ねたものを十分に濡らし、毛髪洗浄剤組成物を1mL塗布して洗髪し、洗髪時の泡質の細かさ、水道水によるすすぎ時の指通り性、市販のドライヤーで乾燥後の指通り性について、10名の専門パネラーを用いて、官能で評価した。なお、評価基準は下記の通りである。
◎:非常に良好(10人中8〜10名が良いと答えた)
○:良好(10人中6〜7名が良いと答えた)
△:やや劣る(10人中3〜5名が良いと答えた)
×:不良(10人中0〜2名が良いと答えた)
【0046】
【表1】
(*1):カチナール(登録商標)HC−200(東邦化学工業社製)
(*2):MERQUAT(登録商標)550(Lubrizol社製)
(*3):カチナールCG−100(東邦化学工業社製)
(*4):ソフタゾリンCPB(川研ファインケミカル社製)
【0047】
表1の性能評価に関して、本発明の毛髪洗浄剤組成物の範囲内で調製された実施例1〜9は、色相の安定性が高いことが分かる。コアセルベート生成濃度が非常に低く、毛髪すすぎ時にもコアセルベートが生成していると考えられる。また、洗髪時の泡質が細かく、すすぎ時の指通り性が良く、乾燥後の指通り性も良いという結果が得られている。
【0048】
比較例1の毛髪洗浄剤組成物は、色相安定性が悪く、実使用には耐えないものであった。比較例2の毛髪洗浄剤組成物は、コアセルベートが低濃度では生成せず、洗髪時の泡質、すすぎ時の指通り性、乾燥後の指通り性も悪く、実使用には耐えないものであった。
成分(a)が本発明の範囲外となる比較例3の毛髪洗浄剤組成物は、起泡力が低く、洗髪が困難であったため評価を行わなかった。また、比較例4の毛髪洗浄剤組成物は、室温で析出物が見られたため評価を行わなかった。
成分(b)が本発明の範囲外となる比較例5の毛髪洗浄剤組成物は、コアセルベートが低濃度では生成せず、すすぎ時の指通り性、乾燥後の指通り性も悪く、実使用には耐えないものであった。また、比較例6の毛髪洗浄剤組成物は、乾燥後の指通り性が悪く、実使用には耐えないものであった。
成分(c)が本発明の範囲外となる比較例7の毛髪洗浄剤組成物は、コアセルベートが低濃度では生成せず、すすぎ時の指通り性も悪く、実使用には耐えないものであった。また、比較例8の毛髪洗浄剤組成物は、洗髪時の泡質、すすぎ時の指通り性が悪く、実使用には耐えないものであった。
【0049】
更に本発明の範囲内で以下の処方を作成した。実施例に記載の「重量%」は得られた毛髪洗浄剤組成物全体における各成分の含有量であり、純分の重量%である。いずれも、色相安定性が高く、洗髪時の泡質が細かく、低濃度でもコアセルベートを生成し、すすぎ時の毛髪の指通り性が良く、乾燥後まで指通りの良さが継続する毛髪洗浄剤組成物であった。
【0050】
実施例10
ヘアシャンプー
ラウロイルメチルアラニンと製造例1のアルカノールアミンの中和塩 20重量%
ヒドロキシアルキル(C12−14)ヒドロキシエチルサルコシン(脱塩精製品)(*5) 1重量%
ポリクオタニウム−10 0.3重量%
ポリクオタニウム−7 0.4重量%
カチオン化グアーガム 0.3重量%
PEG−2コカミン(*6) 2重量%
クエン酸 pH 6に調整
水 バランス
性能評価結果は、色相安定性◎、コアセルベート生成濃度◎、泡質の細かさ◎、すすぎ時の指通り性◎、乾燥後の指通り性◎であった。
【0051】
実施例11
ヘアシャンプー
ラウロイルサルコシンと製造例1のアルカノールアミンの中和塩 5重量%
ラウラミドプロピルヒドロキシスルタイン(脱塩精製品)(*7) 8重量%
ポリクオタニウム−10 0.05重量%
PPG−2コカミド(*8)2重量%
クエン酸 pH 6に調整
水 バランス
性能評価結果は、色相安定性◎、コアセルベート生成濃度◎、泡質の細かさ◎、すすぎ時の指通り性◎、乾燥後の指通り性◎であった。
【0052】
実施例12
ヘアシャンプー
ココイルメチルアラニン(*9)と製造例1のアルカノールアミンの中和塩 22重量%
オレオイルサルコシン(*10)と製造例1のアルカノールアミンの中和塩 1重量%
ココアンホ酢酸Na(脱塩精製品)(*11) 9重量%
ポリクオタニウム−7 1.8重量%
カチオン化グアーガム 0.2重量%
コカミドMEA(*12) 1重量%
クエン酸 pH 6に調整
水 バランス
性能評価結果は、色相安定性◎、コアセルベート生成濃度◎、泡質の細かさ〇、すすぎ時の指通り性〇、乾燥後の指通り性〇であった。
【0053】
実施例13
ヘアシャンプー
ココイルサルコシン(*13)と製造例1のアルカノールアミンの中和塩 19重量%
ポリクオタニウム−10 0.5重量%
コカミドメチルMEA(*14) 2重量%
クエン酸 pH 6に調整
水 バランス
性能評価結果は、色相安定性◎、コアセルベート生成濃度〇、泡質の細かさ◎、すすぎ時の指通り性◎、乾燥後の指通り性◎であった。
【0054】
実施例14
ヘアシャンプー
ラウロイルメチルアラニンと製造例1のアルカノールアミンの中和塩 12重量%
ラウラミドプロピルアミンオキシド(*15) 5重量%
ポリクオタニウム−10 0.2重量%
ポリクオタニウム−7 1.3重量%
コカミドDEA(*16) 2重量%
PEG−2カプリリルアミン(*17) 0.5重量%
メチルパラベン(*18) 0.2重量%
クエン酸 pH 6.2に調整
水 バランス
性能評価結果は、色相安定性◎、コアセルベート生成濃度◎、泡質の細かさ◎、すすぎ時の指通り性◎、乾燥後の指通り性〇であった。
【0055】
(*5):ソフタゾリンLMEB−R(川研ファインケミカル社製)
(*6):ビスコファインE2C(川研ファインケミカル社製)
(*7):ソフタゾリンLSB−R(川研ファインケミカル社製)
(*8):アミゼット1PC(川研ファインケミカル社製)
(*9):アラノンACA(川研ファインケミカル社製)
(*10):ソイポンSOA(川研ファインケミカル社製)
(*11):ソフタゾリンCH−R(川研ファインケミカル社製)
(*12):アミゾールCME(川研ファインケミカル社製)
(*13):ソイポンSCA(川研ファインケミカル社製)
(*14):アミノーン(登録商標)C−11S(花王社製)
(*15):ソフタゾリンLAO−C(川研ファインケミカル社製)
(*16):アミゾールCDE−G(川研ファインケミカル社製)
(*17):フォーマイト2E8(川研ファインケミカル社製)
(*18):メチルパラベン(東京化成工業社製)
【0056】
以上の様に本発明は、解決の課題としていた、色相安定性に優れ、洗髪時の泡質が細かく、低濃度でもコアセルベートを生成し、すすぎ時の毛髪の指通り性が良く、乾燥後まで指通りの良さが継続する毛髪洗浄剤組成物であることが明らかとなった。