【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的は、請求項1に従うホルマリン非含有固定用組成物、生物学的細胞含有サンプルの処理および/もしくは貯蔵のための上記組成物の使用、ならびに細胞含有液体サンプルの処理のための方法(ここで集められた液体サンプルは、上記固定組成物と少なくとも部分的に接触させられ、混合される)を提供することによって満たされる。上記固定用組成物および必要に応じて上記処理法を行うために適したさらなる手段は、キット中に提供され得る。このような調製されたサンプルは、次いで、例えば、任意の公知の方法による生体分子単離、サンプル/細胞染色またはサンプル包埋もしくは浸透のために使用され得る。
【0017】
本発明によれば、細胞形態および生体分子が保存されるという点で、細胞、例えば、腫瘍細胞、全血および種々の他の細胞タイプのような、細胞の混合物を含む液体生物学的サンプルの固定および保存のための組成物が記載される。さらに、上記液体生物学的サンプルは、固形組織の小片を含み得る。
【0018】
さらに、方法は、従来の診断ワークフローに干渉せずに、細胞学的染色および生体分子精製のための液体細胞含有サンプル、例えば、細針吸引標本を固定するために上記組成物をどのように使用するかに関して記載される。例示されるワークフローは、上記組成物で満たされた収集デバイスの使用を含めて記載される。
【0019】
本発明のさらなる局面は、加工処理方法においてこのように調製されたサンプルの使用、細胞学的染色のために、またはその固定されたサンプルからの生体分子、例えば、核酸の抽出のために、アリコートをどのように使用するかに言及する。
【0020】
本発明に従うホルマリン非含有固定用組成物は、以下:
i)エタノールもしくはイソプロパノールから選択される、30〜70容積%のアルコール、
ii)2〜15%の有機酸、
iii)i)とは異なる10〜30%のヒドロキシル化合物、
iv)少なくとも10容積%、好ましくは少なくとも15容積%の水、
を含み、2〜5の範囲のpHを有する組成物によって表される。
【0021】
好ましくは、上記組成物は、ホルマリンもしくはホルムアルデヒドをいかなる他の形態においても含まないのみならず、一般に、架橋性の固定剤をも含まない。さらに、上記組成物はさらに、アセトンも含まない。その最も容易な実施形態において、上記組成物は、上記成分i)〜iv)からなっている。しかし、いずれにしても、アルカリ化合物もしくは緩衝剤は、pH調節のために(必要に応じて、化合物i)〜iv)に加えて)使用され得る。
【0022】
化合物i)は、アルコールであり、ここで上記アルコールは、エタノールもしくはイソプロパノールから選択される。両方の上記アルコールは、例えば、メタノールより、上記細胞の微量の収縮を生じることが見出された。上記アルコールは、30〜70容積%の量で含まれ、ここでアルコールの両方のタイプが使用される場合、これは、その合わせた量を表している。好ましくは、上記アルコールは、40〜60容積%の量で、より好ましくは、50%の量で含まれる。好ましいアルコールは、エタノールである。
【0023】
本願の中で、範囲が与えられる場合(例えば、「30〜70容積%」)、それは、これが上記範囲内の任意の量を意味し、同様に開示されている(これは、31容積%、32容積%、33容積%、34容積%、35容積%、36容積%、37容積%、38容積%、39容積%、40容積%、41容積%、42容積%、43容積%、44容積%、45容積%、46容積%、47容積%、48容積%、49容積%、50容積%、51容積%、52容積%、53容積%、54容積%、55容積%、56容積%、57容積%、58容積%、59容積%、60容積%、61容積%、62容積%、63容積%、664容積%、65容積%、66容積%、67容積%、68容積%および69容積%である)ことが理解されるものとする。
【0024】
化合物ii)は、有機酸であり、好ましくは、弱い有機酸である。本発明に従う弱い有機酸とは、好ましくは、2〜12、より好ましくは3.5〜8、最も好ましくは4〜7.5のpKa値を有する酸を意味する。より好ましくは、上記有機酸は、アミノ酸、もしくはカルボン酸(モノ−、ビ−、トリ−、ポリカルボン酸)の群(例えば、ギ酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、最も好ましくは酢酸もしくはプロピオン酸)に属し、ここで酢酸は、特に好ましい。上記有機酸は、2〜15%の量において(これは、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%もしくは14%の量において、またはその間の量において、もまた意味する)、好ましくは、4〜15%、より好ましくは、4〜10%の量において、および最も好ましくは、6〜10%の量において、上記組成物に含まれる。有機酸の1より多くのタイプが使用される場合、その言及される量は、合計量である。上記与えられる量が、%(v/v)単位にある(液体成分が使用される場合、例えば、氷酢酸(glacial acid))か、または%(wt/v)単位にある(固体化合物が添加される場合)かのいずれかであることは、理解されるものとする。
【0025】
化合物iii)は、ヒドロキシル化合物であり、これは、少なくとも1個の遊離ヒドロキシル基を有する化合物を意味するが、上記化合物が糖ではなく、特に、トレハロースでないことは、好ましい。好ましくは、化合物iii)は、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(DEGMEA)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジオールもしくはトリオールであり、ここでジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(DEGMEA)は特に好ましい。
【0026】
ジオールもしくはトリオールの例は、以下である:1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、2,2−ジメチル(diemthyl)−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ジヒドロキシアセトン(dihydroxyaceton)、2,2−ジブチル−1,3−プロパンジオール、3−メトキシ−1,3−プロパンジオール、3−メトキシ−1,2−プロパンジオール、3−メトキシ−2,3−プロパンジオール、2−メトキシメチル−1,3−プロパンジオール、3−エトキシ−1,3−プロパンジオール、3−エトキシ−1,2−プロパンジオール、3−エトキシ−2,3−プロパンジオール、3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオール、2,3−ブタンジオール、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,3−ヘキサンジオール、2,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3,4−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,3−ヘプタンジオール、1,4−ヘプタンジオール、1,5−ヘプタンジオール、1,6−ヘプタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,3−オクタンジオール、1,4−オクタンジオール、1,5−オクタンジオール、1,6−オクタンジオール、1,7−オクタンジオール、1,2−ノナンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,2−デカンジオール、1,2−ウンデカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,2−ドデカンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、テトラプロピレングリコール、ペンタエチレングリコール、ペンタプロピレングリコール、ヘキサエチレングリコール(hexaethylenglycol)、ヘキサプロピレングリコール(hexaapropylenglycol)、ヘプタエチレングリコール(heptaethylen−glycol)、ヘプタプロピレングリコール、オクタエチレングリコール、オクタプロピレングリコール、ノナ−エチレングリコール、ノナプロピレングリコール、デカエチレングリコール、デカプロピレングリコール、cis−もしくはtrans−1,2−シクロ(cylo)ペンタンジオール、cis−もしくはtrans−1,3−シクロペンタンジオール、cis−もしくはtrans−1,2−シクロヘキサンジオール、cis−もしくはtrans−1,3−シクロヘキサンジオール、cis−もしくはtrans−1,4−シクロヘキサンジオール、cis−もしくはtrans−1,2−シクロヘプタンジオール、cis−もしくはtrans−1,3−シクロヘプタンジオール、cis−もしくはtrans−1,4−シクロヘプタンジオール、1,2,3−シクロペンタントリオール、1,2,4−シクロペンタントリオール、1,2,3−シクロヘキサントリオール、1,2,4−シクロヘキサントリオール、1,2,3−シクロヘプタントリオール、1,2,4−シクロヘプタントリオール、1,2,3−プロパントリオール、3−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2−ヒドロキシメチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ヒドロキシメチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、2−メチル−1,2,3−ブタントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、2,3,4−ペンタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、3−メチル−1,3,5−ペンタントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,4−ヘキサントリオール、1,2,5−ヘキサントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、2,3,4−ヘキサントリオール、2,3,5−ヘキサントリオール、1,2,3−ヘプタントリオール、1,2,7−ヘプタントリオール、1,2,3−オクタントリオール、1,2,8−オクタントリオール、1,2,3−ノナントリオール、1,2,9−ノナントリオール、1,2,3−デカントリオール、1,2,10−デカントリオール、1,2,3−ウンデカントリオール、1,2,11−ウンデカントリオール、1,2,3−ドデカントリオール、1,1,12−ドデカントリオール、2,2,−ビス(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、1,2,3,4−ブタンテトラオール、1,2,3,4−ペンタンテトラオール、1,2,3,5−ペンタンテトラオール、1,2,3,4−ヘキサンテトラオール、1,2,3,6−ヘキサンテトラオール、1,2,3,4−ヘプタンテトラオール、1,2,3,7−ヘプタンテトラオール、1,2,3,4−オクタンテトラオール、1,2,3,8−オクタンテトラオール、1,2,3,4−ノナンテトラオール、1,2,3,9−ノナンテトラオール、1,2,3,4−デカンテトラオール、1,2,3,10−デカンテトラオール、トリメチロールプロパノール、ペンタエリスリトール、糖様マンニット、ソルビトールもしくはアラビトール、ヘキサンヘキサオール(hexanehexol)、1,2,3,4,5−ペンタンペンタオール(pentanepentol)および1,2,3,4,5,6−ヘキサンヘキサオール。最も好ましいさらなる成分は、以下のようなジオールおよび/もしくはトリオールである:1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、3−メチル−1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、グリコール;およびポリエチレングリコール(PEG)。上記PEGは、好ましくは、周囲温度より低い融点を有する。それは、約800ダルトンもしくはより小さい、好ましくは、約600ダルトンもしくはより小さい、より好ましくは、約400ダルトンもしくはより小さい、およびさらにより好ましくは、約300ダルトンもしくはより小さい平均分子量を有し得る;上記平均分子量は、0〜約800ダルトンの間、約100〜約600ダルトンの間、もしくは約200ダルトン〜約400ダルトンの間であり得る。用語「約(about)」とは、PEGの平均分子量に言及する場合、10ダルトン、25ダルトンもしくは50ダルトンの変動が許容可能であることを意味する。より高い分子量のPEG(例えば、1000の平均分子量もしくはより高い)は好ましくないが、それらは、分子量分布のうちの5%、10%もしくは20%未満の量で存在してもよい。PEG 400の融点は、約4℃〜約8℃であり、PEG 600は、約20℃〜約25℃である。上記組成物中で使用されるPEGの融点は、37℃もしくはより低くても、32℃もしくはより低くても、27℃もしくはより低くても、22℃もしくはより低くても、15℃もしくはより低くても、10℃もしくはより低くても、または5℃もしくはより低くてもよく;融点が低いほど好ましい。
【0027】
化合物iii)を表す好ましい化合物は、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(DEGMEA)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコール、またはジオールもしくはトリオールであり、上記ジオールもしくはトリオールは、好ましくは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセロール、ヘキサントリオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、およびジプロピルグリコールから選択され、ここでジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(DEGMEA)は、特に好ましい。
【0028】
上記組成物中の成分iii)の合計量は、10〜30%(11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%を含む)であり、ここで先に言及される化合物の組み合わせが使用され得る。化合物iii)の好ましい量は、15〜30%であり、特に好ましいのは、20%である。その与えられる量が、%(v/v)単位にある(液体成分が使用される場合)か、または%(w/v)単位にある(固体化合物が添加される場合)かのいずれかであることは、理解されるものとする。
【0029】
化合物iv)として、上記組成物は、水、特に、蒸留水もしくは再蒸留(dd)水またはウルトラクリーン水(ultraclean water)を含む。「ウルトラクリーン」とは、水が、RNAsesおよび上記生物学的物質の細胞もしくは生物学的(高)分子の安定性に影響を及ぼす他の残余物を、本質的に含まない、好ましくは完全に含まないことを意味する。「本質的に含まない」とは、0.1%より少ない、好ましくは、0.01%より少ない、より好ましくは、0.001%より少ない、および特に好ましくは、0.0001%より少ない(wt/vもしくはv/v)夾雑物が水の中に含まれることを意味する。
【0030】
上記水は、上記組成物に、少なくとも10容積%、好ましくは、少なくとも15容積%、さらにより好ましくは、少なくとも20容積%の量で添加され、最も好ましくは、水は、100%になるまで帳尻を合わせた量で、上記組成物に添加される。
【0031】
その最終組成物のpH値は、pH2〜pH5の範囲に(範囲、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9を含む)、(好ましくはpH2〜pH4、より好ましくは、pH2.1〜3および特に好ましくは、pH2.2〜2.5の範囲に)あるものとする。上記pHは、多量の酸に起因して、化合物i)〜iv)の組み合わせによって得られるか、またはさらなる酸もしくは適切な塩基性化合物(例えば、NaOH)の添加によって調節され得るかのいずれかである。さらに、上記pHは、望ましいpH範囲において緩衝化する、上記組成物に含まれる適切な緩衝剤(例えば、酢酸Na)によって調節され得る。
【0032】
最も単純な実施形態において、上記組成物は、ここまでで述べられるように、さらに多くの成分を含まず、従って、上記組成物は、成分(i)〜iv)および必要に応じてpH調節因子から本質的になる。「本質的になる」とは、0.1%未満、好ましくは、0.01%未満、より好ましくは、0.001%未満、および特に好ましくは、0.0001%(wt/vもしくはv/v)未満のさらなる成分もしくは夾雑物が、上記組成物中に含まれることを意味する。
【0033】
上記固定用組成物は、生物学的細胞含有サンプルの、特に、液体サンプルに関しての、処理および/もしくは貯蔵のために使用され得る。このようなサンプルは、水性溶液、例えば、緩衝液または細胞培養培地中に細胞を含む液体サンプル;任意の体液もしくは体液の混合物、例えば、血液(全血もしくは選択的に精製された血液部分)、血清、血漿、脳脊髄液(分泌液(liquor))、尿、精液(sperm)、リンパ液、涙液、唾液、痰、滲出液、腹水、または任意の固形組織(すなわち、腫瘍組織)から解離された細胞;環境水サンプル;食品もしくは飲料サンプルあるいは類似物であり得る。本発明によれば、目的のサンプルは、細胞、特に、ヒトもしくは動物の細胞、例えば、哺乳動物もしくは昆虫の細胞;植物細胞;微生物(例えば、細菌、酵母、原生生物、藻類もしくは真菌)を含むそのようなサンプルである。
【0034】
好ましい生物学的サンプルは、生体分子、例えば、核酸(例えば、RNA、特に、mRNA、siRNA、miRNA、snRNA、tRNA、hnRNAもしくはリボザイム、DNA、特に、ゲノムDNA、プラスミドもしくはオルガネラのDNA、合成もしくは改変の核酸あるいはPNA(ペプチド核酸));タンパク質もしくはオリゴペプチド、特に、酵素、ホルモン、増殖因子;あるいは他の目的の生体分子を含む細胞を含むそのようなものから選択される。
【0035】
上記サンプルはさらに、ウイルス、ウイロイド、プリオン、脂質、炭水化物、オリゴサッカリド、ポリサッカリド、プロテオグリカン(proteoglucanes)、糞便物質、ふけ、毛髪、皮膚断片、代謝生成物、オルガネラ、例えば、クロロプラストもしくはミトコンドリア、小胞もしくは類似物を含み得る。
【0036】
細胞は、単一の細胞、細胞凝集物としてサンプル中に、または組織/組織断片、もしくはそれらのうちのいずれかの混合物中に含まれ得る。好ましいサンプルは、細胞懸濁物および/もしくは小さな組織断片、例えば、器官の吸引に由来する細針吸引物、もしくは体腔の洗浄物を含むそのようなものである。上述のように、細針吸引は、液体および組織/細胞の生物学的サンプルを調査するために使用される侵襲性の低い診断手順である。この技術において、細い中空のニードルが、細胞をサンプリングするために、上記塊の中に挿入される。細針吸引物はしばしば、小さな組織サンプルおよびリンパ液もしくは血液のような体液中の単一の細胞の混合物からなる。細針吸引によって得られ得る任意のサンプルは、本発明によれば好ましく、ここで哺乳動物の身体のサンプルは、特に好ましい。このようなサンプルとしては、以下が挙げられ得るが、これらに限定されない:甲状腺、リンパ節、膵臓、乳房、肺、肝臓、表在性の(皮膚直下の)しこりもしくは塊、分泌液、脳、脾臓、胃、心臓、腸、胆嚢、膀胱、腎臓、筋組織、結合組織のサンプル。細針吸引の全ての一般的な取り扱い工程もしくは特徴(例えば、本願の導入部分において上記で説明されるもの)は、本発明に従って行われ得る。
【0037】
細胞は、酵素および/もしくは機械による離解によって単離され得る。保存および/もしくは貯蔵の前に、維持もしくは増殖のために、生きている細胞として培養された細胞懸濁物が、使用され得る。固定溶液と接触させる前に、上記サンプルの細胞は、例えば、ペレットへと遠心分離することによって、または任意の他の一般に公知の手段によって、洗浄および/もしくは集められ得、それらは、スライドもしくは他の基材上に集められ得る。
【0038】
血液および他の単一細胞懸濁物に関しては、細胞は、沈降法もしくは密度勾配遠心分離法、被覆されたもしくは被覆されていないプラスチックプレート上でのパニング、またはこれらの組み合わせによって、濃縮もしくは集められ得る。好ましくは、上記細胞は、細針吸引物中に含まれるヒトもしくは動物の身体の細胞であり、これは、疾患に罹患しているかもしくはその疑いのある(正常もしくは病的な)動物もしくはヒト被験体から得られる、癌性の(良性もしくは悪性)または前癌性のものであってもよいし、他の病状に罹患していてもよい。従って、特に、安定化されるか、貯蔵されるか、そして/または処理されることになっている上記細胞は、好ましくは、それらが採取される身体に主に由来する。しかし、これは、それらが採取される身体以外の他の供給源に由来する、上記サンプル中にさらに含まれる細胞が存在し得る(例えば、微生物もしくはウイルス)ことを排除しない。上記細胞は、剖検もしくは生検(例えば、カテーテル法もしくは瀉血)または他の流体収集によって得られ得る。細胞(特に、予め収集されるか、もしくは上記サンプル内になおあるかのいずれか)は、好ましくは、上記固定用組成物と、身体から取り出された後の1〜30分以内でもしくはインビトロ培養で接触させられるが、この時間は、それらを氷上で冷却することによって延ばされ得る。さらに、保存および/もしくは貯蔵された細胞が使用され得るが、これは、あまり望ましくない。
【0039】
上記固定用組成物と接触させる前もしくは固定後のいずれか、またはその両方で上記サンプルの一部は、細胞学のために加工処理され得る。固定前に、上記サンプルの一部は、スライド上に塗抹され得、染色ありもしくはなしで、顕微鏡検査され得る。検出可能である比色定量部分、酵素部分、蛍光部分、ルミネッセント部分、磁性部分、もしくは放射性部分で直接的にもしくは間接的に標識された抗原もしくは抗体は、上記固定用組成物との接触後ですら、上記サンプル細胞と接触させられ得る。細胞は、上記固定用組成物との接触前もしくは接触後に、抗体パニングもしくはソーティング、または他のアフィニティークロマトグラフィーによって抗原発現に従って同定および/もしくは単離され得る。サイトメーターは、DNA/RNA含有量、サイズ、生存性、蛍光標識抗体の結合、またはこれらの組み合わせによって、このような細胞を分析し得るか、またはセルソーターは、上述のものによって、このような細胞を分離し得る。磁石は、抗体被覆磁性ビーズを結合する細胞をアフィニティー精製し得る。細胞は、細胞周期、分裂、増殖、もしくはオルガネラによって特徴付けられ得る。負の選択もしくは正の選択(例えば、アフィニティーもしくはソーティング技術)は、細胞集団を単離するために使用され得る。
【0040】
上記細胞はさらに、上記固定組成物との接触後に、上記サンプル中に貯蔵され得る。上記細胞は、その細胞形態および生体分子の内容物の本質的な分解なしに、数時間もしくはさらには数日間にわたって貯蔵され得る。上記固定されたサンプルの貯蔵は、室温(20℃±3℃)において1時間より長く約7日間まで、もしくは低温(例えば、10〜4℃)で14日間まで、行われ得る。
【0041】
従って、本発明によれば、細胞含有液体サンプルの処理のための方法が提供され、上記方法は、以下の工程を包含する:
a)液体サンプルを集める工程、
b)上記液体サンプルのうちの少なくとも一部と、先に記載されるとおりの固定用組成物とを接触させる工程、
c)上記工程b)のサンプルを混合する工程、
d)必要に応じて、上記サンプルを貯蔵する工程。
【0042】
この方法によって、上記液体サンプルに含まれる細胞は固定され、従って、上記細胞の細胞形態、ならびにそれらの内容物および上記含まれる生体分子の完全性を維持する。
【0043】
工程a)において、上記液体サンプルが集められる。上記収集は、当該分野で公知の任意の方法によって行われ得るが、好ましくは、上記液体サンプルをシリンジもしくはピペットの中へと引くことによって行われる。
【0044】
工程a)と工程b)との間に、上記サンプルの一部は、放出され得(例えば、上記サンプルは、分割される)、例えば、スライド上に塗抹され得るか、または上記サンプル内容物のさらなる試験のために、別の容器に移され得る。
【0045】
工程b)において、上記液体サンプルの少なくとも一部、例えば、残りは、上記のとおりの固定用組成物と接触させられる。これは、例えば、上記サンプルを、容器の中に含まれる上記固定用組成物へと注入することによって行われ得る。
【0046】
上記液体サンプル中の細胞を固定するために、上記液体サンプルは、上記固定用組成物と、1:10〜1:1000の比で接触させられ、ここで上記引用される範囲内の任意の比が使用され得る(例えば、1:20、1:30、1:40、1:50、1:60、1:70、1:80、1:90、1:100、1:125、1:50、1:175、1:200、1:250、1:300、1:400、1:500、1:600、1:700、1:800、1:900もしくはその間の比)。好ましい範囲は、1:20〜1:50である。
【0047】
よって、上記最終サンプル組成物(上記液体サンプルおよび上記固定用組成物の組み合わせ)中の成分i)〜iv)の濃度は、少なくとも27,3%の上記アルコール 成分i)、少なくとも1,82%の上記酸 成分ii)、少なくとも9%の上記ヒドロキシル化合物 iii)および少なくとも15%の水であることが好ましい。上記成分の各々の濃度は、上記成分の各々に関して上記で定義される濃度範囲および上記液体サンプルと上記固定用組成物とを合わせるための比を考慮することによって計算され得る。
【0048】
工程c)において、上記最終サンプル組成物は、混合される。上記混合する工程は、例えば、上記組成物を含む容器を転倒混和(turning)することによって、またはボルテックスし、ピペットで吸引排出することによって、もしくは振盪することによって行われ得るが、これらに限定されない。
【0049】
工程d)によれば、上記最終サンプル組成物は、必要に応じて、上記で記載されるとおり、室温(20℃±3℃)において数分間、数時間にわたって、もしくは7日まで、または低温(例えば、10〜4℃)で、貯蔵され得る。上記最終サンプル組成物は、上記含まれる細胞の中の細胞形態および生体分子の内容物の本質的な分解なしに、数時間、もしくはさらには数日間にわたって、貯蔵され得る。
【0050】
上記最終サンプル組成物を混合した直ぐ後もしくは貯蔵した後のいずれかに、上記サンプル中に含まれる細胞を、さらに処理もしくは調査し得る。従って、工程c)もしくは工程d)の後の上記最終サンプル組成物のうちの少なくとも一部は、以下の方法:細胞学的調査、生体分子単離および/もしくは包埋物質での上記細胞の包埋、のうちの少なくとも1つによってさらに処理される。細胞学的調査は、セルソーティング、細胞遠心分離、塗抹法、膜濾過、細胞染色、解剖、ハイブリダイゼーションもしくは免疫組織化学および顕微鏡検査を含み得る;生体分子単離は、核酸、タンパク質、ペプチドもしくはペプチド−核酸のうちの少なくとも1つの単離を包含し得、ここで上記示される生体分子のうちの1種は、混合物としてもしくは別個に単離され得る(例えば、核酸は、DNAおよびRNAの混合物として単離され得るか、またはDNAおよびRNAは、別個に単離され得、さらに1つの核酸の種々の種が、より大きなRNAから小さなRNAのように、分離され得る);上記細胞の浸透もしくは包埋は、上記細胞と、パラフィン、鉱油、非水溶性ワックス、セロイジン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、アガー、ゼラチン、ニトロセルロース、メタクリレート樹脂、エポキシ樹脂、もしくは他のプラスチック媒体のうちの少なくとも1つとを接触させることによって行われ得る。これら方法全てに関して、上記細胞は、所望であれば、処理前に、例えば、遠心分離もしくは濾過によって、濃縮もしくは集められ得る。
【0051】
本発明の方法の好ましい実施形態において、上記処理もしくは調査法のうちの1つより多くが、上記サンプルのアリコートで行われる。例えば、上記目的の細胞を含む最終サンプル組成物は、いくつかのアリコートに分割され得、1つのアリコートが、任意の一般に公知の細胞学的方法によって調査され、さらなるアリコートは、目的の生体分子の単離のために使用され、第3のアリコートは、適切な包埋物質中に上記細胞を包埋するために使用される。当然のことながら、その上、1つもしくは2つのアリコートのみが、さらなる試験のために取り出されてもよく、ここで上記最終サンプル組成物のうちの残余物は、貯蔵される。上記最終サンプル組成物のさらなる処理を含む、集められたサンプルの処理のための例示的方法は、
図1に示される。
【0052】
前述の処理もしくは調査法に関しては、任意の公知の方法が、本発明を限定することなく使用され得る。例えば、任意の適切な細胞染色剤は、上記細胞を染色するために使用され得、任意の適切な核酸プローブもしくは任意の抗体が、ハイブリダイゼーションもしくは免疫組織化学(immuno−histchemistry)のために使用され得、任意の公知の核酸単離法が行われ得、そして/または上記サンプルの細胞の包埋もしくは浸透に適した任意の技術が、使用され得る。
【0053】
本発明によれば、本明細書で記載される方法において使用できる溶液、組成物、手段および/もしくはデバイスを含むキットが提供され得る。
【0054】
よって、このようなキットは、少なくとも上記で記載されるとおりの固定用組成物を含む。さらに、上記キットは、以下の成分のうちの少なくとも1つを含み得る:
A)液体サンプルを集めるための手段、好ましくは、シリンジ、チューブ、容器、カップ、ニードル、穿刺もしくは吸引デバイス、
B)上記サンプル中に含まれる細胞の調査のための手段、好ましくは、スライド、ピペット、膜、フィルタ、
C)生体分子単離のための手段および/もしくは溶液、
D)細胞染色のための手段および/もしくは溶液、
E)サンプル包埋もしくは浸透のための手段および/もしくは溶液。
【0055】
これら任意選択のさらなる成分から、A)液体サンプルを集めるための任意の手段、が上記キットの中に含まれることは、特に好ましい。
【0056】
C)に従う生体分子単離のための手段もしくは溶液は、例えば、上記サンプルの細胞を溶解するための溶解溶液、上記サンプルの所望の生体分子もしくは望ましくない残余物のいずれかを結合するための固体支持物質、上記サンプル中の望ましい/望ましくない化合物を上記固体支持物質に結合させるためのサンプル状態の適応を可能にする結合溶液、望ましい生体分子を洗浄するための洗浄溶液または任意の他の適切な手段であり得る。
【0057】
D)に従う細胞染色のための手段もしくは溶液は、特に、染色のために上記細胞を予備処理するための溶液および/もしくは染色溶液、すなわち、従来の細胞学的染色のための色素もしくは免疫細胞化学(immuncytochemistry)染色のための抗体である。
【0058】
E)に従うサンプル包埋もしくは浸透のための手段もしくは溶液は、特に、上述のとおりの包埋物質(例えば、パラフィン、鉱油、非水溶性ワックス、セロイジン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、アガー、ゼラチン、ニトロセルロース、メタクリレート樹脂、エポキシ樹脂、もしくは他のプラスチック媒体のうちの少なくとも1つなど)、および必要に応じて、所望の形状を形成するための型である。
【0059】
他方で、上記手段B)、C)、D)およびE)は同様に、本発明のキットの外側にあってもよいが、上記手段は、それぞれ、本発明の固定剤もしくは固定された生物学的サンプルと組み合わせて使用される。例えば、生体分子単離のための手段および/もしくは溶液C)、または細胞染色のための手段および/もしくは溶液D)は、いくつか公知であり得、上記単離もしくは染色法に関して市場で提供され得る。
【0060】
よって、本発明の固定用組成物で固定されたサンプルが、さらなる調査、例えば、生体分子単離、サンプル/細胞染色またはサンプル包埋もしくは浸透のために使用されることは、本発明の中に同様に包含されることは、理解されるものとする。これら方法において、生体分子単離のための、サンプル/細胞染色、包埋もしくは浸透のための手段/溶液として働くのに適した任意の手段もしくは溶液は、上記サンプルのさらなる処理のために使用され得る。本発明の固定用溶液と先に接触させたサンプルを使用する任意のこのようなさらなる処理は、本発明の中に包含されると見做される。生体分子単離のための、細胞染色のための、および/またはサンプル包埋もしくは浸透のためのキットもしくは溶液は、非常に多くのおよび種々の実施形態において、市場に提供され、本発明のサンプルのさらなる処理のために使用され得る。
【0061】
本明細書中上記で記載される物質および方法は全て、同じサンプルから出発して少なくとも1つ、好ましくは1つより多くの分析法によって、生体の外側で任意の生物学的物質を分析するために適している。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される:
(項目1)
ホルマリン非含有固定用組成物であって、前記組成物は、
i)エタノールもしくはイソプロパノールから選択される、30〜70容積%のアルコール、
ii)2〜15%の有機酸、
iii)i)とは異なる10〜30%のヒドロキシル化合物
iv)少なくとも10容積%の水、
を含み、2〜5の範囲のpHを有する、固定用組成物。
(項目2)
成分i)〜iv)および必要に応じてpH調節因子から本質的になる、項目1に記載の固定用組成物。
(項目3)
前記化合物iii)は、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(DEGMEA)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコール、またはジオールもしくはトリオールであり、前記ジオールもしくはトリオールは、好ましくは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセロール、ヘキサントリオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、およびジプロピルグリコールから選択される、項目1または2に記載の固定用組成物。
(項目4)
ii)前記有機酸は、酢酸もしくはプロピオン酸である、項目1〜3のいずれかに記載の固定用組成物。
(項目5)
前記組成物は、
ii)40〜60容積% エタノールもしくはイソプロパノール、好ましくはエタノール、
iii)4〜10%の有機酸、好ましくは酢酸、
iv)i)とは異なる15〜30%のヒドロキシル化合物、
v)少なくとも10容積%、好ましくは少なくとも20容積%の水、
を含むか、好ましくは、これらからなる、2〜5の範囲のpHを有する、項目1〜4のいずれかに記載の固定用組成物。
(項目6)
生物学的細胞含有サンプル、好ましくは液体細胞含有サンプル、特に、細針吸引サンプルの処理および/もしくは貯蔵のための、項目1〜5のいずれかに記載の固定用組成物の使用。
(項目7)
細胞含有液体サンプルの処理のための方法であって、前記方法は、
a)液体サンプルを集める工程、
b)前記液体サンプルのうちの少なくとも一部と、項目1〜5のいずれかに記載の固定用組成物とを接触させる工程、
c)工程b)の前記サンプルを混合する工程、
d)必要に応じて、前記サンプルを貯蔵する工程、
を包含する、方法。
(項目8)
工程c)の後もしくは工程d)の後の前記サンプルもしくは前記サンプルのうちの少なくとも一部は、以下の方法:細胞学的調査、生体分子単離、濾過・浸透および/もしくは包埋物質での前記細胞の包埋、のうちの少なくとも1つによってさらに処理される、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記方法のうちの1種より多くが、同じサンプルのアリコートで行われる、項目8に記載の方法。
(項目10)
以下の特徴:
i)前記細胞学的調査は、セルソーティング、細胞遠心分離、塗抹法もしくは膜濾過、細胞染色、解剖、ハイブリダイゼーション法もしくは免疫組織化学法および顕微鏡検査のうちの少なくとも1つ
を含む;
ii)前記生体分子単離は、核酸、タンパク質、ペプチド、ペプチド−核酸のうちの少なくとも1つの単離を含む;
iii)前記浸透もしくは包埋物質は、パラフィン、鉱油、非水溶性ワックス、セロイジン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、アガー、ゼラチン、ニトロセルロース、メタクリレート樹脂、エポキシ樹脂、もしくは他のプラスチック媒体から選択される、
のうちの1つもしくはより多くによって特徴付けられる、項目8または9に記載の方法。
(項目11)
前記細胞含有液体サンプルは、水性溶液、好ましくは緩衝液もしくは細胞培養培地;任意の体液、好ましくは血液、血清、血漿、脳脊髄液、尿、精液、リンパ液、涙液、唾液、痰、滲出液、腹水;環境水サンプル;食品もしくは飲料サンプル中の細胞を含み、最も好ましいサンプルは、細針吸引物である、項目6に記載の使用または項目7〜10のいずれかに記載の方法。
(項目12)
前記細胞は、ヒトもしくは動物、特に、哺乳動物もしくは昆虫細胞;植物細胞;または微生物、特に、細菌、酵母、原生生物、藻類もしくは真菌に由来する、項目6に記載の使用または項目7〜11のいずれかに記載の方法。
(項目13)
細胞含有液体サンプルの保存のためのキットであって、前記キットは、項目1〜5に記載の固定用組成物、および必要に応じてさらに、以下のさらなる成分:
A)液体サンプルを集めるための手段、好ましくはシリンジ、チューブ、容器、カップ、ニードル、穿刺もしくは吸引デバイス、
B)前記サンプル中に含まれる細胞の調査のための手段、好ましくはスライド、ピペット、膜、フィルタ、
C)生体分子単離のための手段および/もしくは溶液、
D)細胞染色のための手段および/もしくは溶液、
E)サンプル包埋のための手段および/もしくは溶液、
のうちの少なくとも1つを含み、ここでさらなる成分としてA)が好ましい、キット。
(項目14)
生体分子単離、サンプル/細胞染色またはサンプル包埋もしくは浸透のための、項目1〜5のいずれかに記載の固定用組成物との接触後の、または項目7〜11のいずれかに記載の方法で処理された、生物学的サンプルの使用。
(項目15)
生体の外側にある生物学的物質の分析のための方法であって、ここで項目1〜5のいずれかに記載の組成物、項目7〜12のいずれかに記載の方法、または項目13に記載のキットが使用される、方法。