【解決手段】レーザ加工機100は、ワークWに対してレーザビームLを照射するレーザヘッド10と、レーザビームLの経路R上においてワークWの下流に空間Sが設けられるようにワークWを把持するワーク把持装置52を有するワークテーブル50と、空間Sに向けてビームブロック流体BFを噴射する流体噴射装置61を有するビームブロッカ60と、を備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような固体材料を用いるビームブロックは、ビームを確実にさえぎるためにビームの位置に応じて移動される必要がある。ビームブロックを移動する場合には、ビームブロックがレーザ加工機の他の構成要素と接触することを防止するために、複雑な制御が必要となり得る。
【0005】
したがって、本発明は、複雑な制御無しにレーザビームによるレーザ加工機自体の損傷を防止することができるレーザ加工機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、ワークに対してレーザビームを照射し、レーザビームのエネルギでワークを加工するレーザ加工機において、ワークに対してレーザビームを照射するレーザヘッドと、レーザビームの経路上においてワークの下流に空間が設けられるようにワークを把持するワーク把持装置を有するワークテーブルと、上記の空間に向けてビームブロック流体を噴射する流体噴射装置を有するビームブロッカと、を備えるレーザ加工機である。
【0007】
本開示の一態様のレーザ加工機では、ワークを貫通したレーザビームをさえぎるために、ビームブロック流体が使用される。流体がレーザ加工機の構成要素に衝突したとしても、構成要素は損傷されない。したがって、ビームブロック流体がレーザ加工機の構成要素に衝突することを防止するための複雑な制御は必要ない。したがって、複雑な制御無しに、レーザビームによるレーザ加工機自体の損傷を防止することができる。
【0008】
レーザ加工機は、水柱の中をレーザビームが案内されるウォータジェットレーザ加工機であってもよく、水柱を形成するために使用される水が、ビームブロック流体としても使用されてもよく、ビームブロック流体は、水柱を破壊してもよい。ウォータジェットレーザ加工機では、水柱を形成するために水が使用されるため、当該水をビームブロック流体として使用することができる。したがって、新たな流体源を準備する必要がない。よって、レーザ加工機の構成をシンプルにすることができる。
【0009】
流体噴射装置は、ビームブロック流体を噴射する第2のノズルを含んでもよく、第2のノズルは、レーザビームの経路と交差するように、ビームブロック流体を平面状に噴射するように構成されていてもよい。レーザビームの位置はワークにおける加工部位に応じて変わるため、流体噴射装置は、レーザビームの位置に応じてビームブロック流体を噴射する必要がある。本態様では、ビームブロック流体は第2のノズルによって平面状に噴射されるため、例えば線状に噴射されるブロック流体に比して、より広範囲をカバーすることができる。このため、レーザビームの位置に応じてビームブロック流体の噴射方向を変える必要を無くし得る。したがって、流体噴射装置の構成をシンプルにすることができる。
【0010】
ワーク把持装置は、ワークの姿勢を所望の角度に変更するように、ワークを回転するように構成されていてもよい。この場合、ワーク把持装置は回転するため、ワーク把持装置はより広範囲を移動する。したがって、ビームブロック流体は、より高い確率でワーク把持装置に衝突する。しかしながら、本開示のレーザ加工機では、上記のように、ビームブロック流体がワーク把持装置に衝突したとしても、ワーク把持装置は損傷されない。したがって、本開示の技術的効果がより発揮される。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一態様によれば、複雑な制御無しにレーザビームによるレーザ加工機自体の損傷を防止することができるレーザ加工機を提供することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、実施形態に係るレーザ加工機を説明する。同様な又は対応する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。理解を容易にするために、図の縮尺は変更されている場合がある。
【0014】
図1は、一実施形態に係るレーザ加工機を示す概略的な斜視図であり、
図2は、
図1のレーザ加工機を示す概略的な正面図である。
図2を参照して、レーザ加工機100は、ワークWに対してレーザビームLを照射し、レーザビームLのエネルギでワークWを加工する。本実施形態では、レーザ加工機100は、水柱(「水の層流層」とも称され得る)34の中をレーザビームLが案内される、ウォータジェットレーザ加工機である(詳しくは後述)。
【0015】
レーザ加工機100は、レーザヘッド10と、水供給源30と、ワークテーブル50と、ビームブロッカ60と、を備えている。また、
図1を参照して、レーザ加工機100は、カバー102と、操作盤110と、を備えている。さらに、レーザ加工機100は、テレスコピックカバー103の裏側に、不図示のレーザヘッド10の支持機構(例えば、コラム、スライダ及び/又はラム等)及び送り機構等の構成要素を備えている。レーザ加工機100は、他の構成要素を更に備えてもよい。
【0016】
図2を参照して、レーザ加工機100に関する方向について、レーザヘッド10からレーザビームLが照射される方向が、Z方向(上下方向とも称され得る)である。Z方向に対して垂直な方向(すなわち、水平方向)のうち、レーザヘッド10の支持機構とワークテーブル50とが対向する方向が、Y方向(前後方向とも称され得る)である。レーザヘッド10の支持機構に対してワークテーブル50が在る側が前であり、反対側が後である。Z方向に垂直な方向のうち、Y方向に垂直な方向が、X方向(左右方向とも称され得る)である。
【0017】
レーザヘッド10は、ワークWに対してレーザビームLを照射する。例えば、レーザヘッド10は、ワークテーブル50に対して相対的にX、Y及びZ方向に直線的に移動可能である。レーザヘッド10の移動は、例えば操作盤110に組み込まれたNC装置によって制御されることができる。レーザヘッド10では、ハウジング12の外部に(又は内部に)配置されたレーザ発振器40から、レーザビームLが出射される。例えば、レーザ発振器40は、可視光レーザ(例えば、Nd:YAGレーザ)を出射する。レーザビームLは、例えば光ファイバ等の導光部材40aを介して、レーザ照射ヘッド16によって受け取られる。レーザ照射ヘッド16は、レーザビームLをコリメーションレンズ18へ向けて照射する。レーザ照射ヘッド16からのレーザビームLは、コリメーションレンズ18によって平行光線に変換されて、第1のミラー20によって第2のミラー22に向けて反射され、第2のミラー22によってレーザフォーカスレンズ24へ向けて反射される。レーザフォーカスレンズ24によって絞られたレーザビームLは、第1のノズル26のノズル孔26bを通して、ハウジング12の外部に照射される(詳しくは後述)。
【0018】
第1及び第2のミラー20,22は、平面状の反射面を有しており、且つ、ミラー配向変更手段としてそれぞれ第1モータ20a及び第2モータ22aを有している。反射面の配向を第1モータ20a及び第2モータ22aによって調整することにより、レーザビームLの焦点位置をX方向及びY方向に調整することができる。例えば、第1及び第2のミラー20,22、特に、レーザフォーカスレンズ24へ向けてレーザビームLを反射する第2のミラー22は、誘電体多層膜を含んでもよい。誘電体多層膜は、レーザ発振器40から照射されるレーザビームの波長に適合され、レーザビームを反射し、且つ、レーザビームの波長以外の波長の光を透過する。このような誘電体多層膜は、例えば、ガラス板に蒸着によって形成されている。第2のミラー22が誘電体多層膜を含む場合、ノズル孔26bから照射されるレーザビームLとノズル孔26bとの位置関係を、カメラ32によって監視することが可能である。例えば、カメラ32のピントは、ノズル孔26bの開口面と同一レベルのノズルヘッド26aの面に合わせられる。レーザヘッド10の構成要素(例えば、レーザ発振器40、第1モータ20a、第2モータ22a及びカメラ32等)の動作は、例えば操作盤110に組み込まれた機械制御装置によって制御されることができる。
【0019】
第1のノズル26は、ノズルヘッド26aを有している。ノズルヘッド26aは、水供給源30から管路28を介して水の供給を受ける中空状の部材である。レーザフォーカスレンズ24に対面するノズルヘッド26aの上面には、ガラス等の透明な部材から形成された窓26cが設けられている。ノズルヘッド26aには、ノズルヘッド26aとは別体のノズル本体(不図示)が着脱可能に取付けられてもよく、ノズル孔26bは、このノズル本体に設けられていてもよい。この場合、異なる内径のノズル孔26bを有する複数のノズル本体のなかから、加工の条件に応じて、1つのノズル本体を選択することができる。
【0020】
水供給源30は、水柱34を形成するために使用される水(例えば、純水又は純水よりもさらに不純物の少ない超純水)をノズルヘッド26aに供給する。水供給源30は、例えば水道に流体的に繋がれていてもよく、例えば、タンク、ポンプ及びフィルタ等の構成要素を含むことができる。水供給源30から供給された水は、水柱34としてノズル孔26bからワークWに向けてZ方向に沿って噴射される。水柱34の圧力は、水の流量及びノズル孔26bの内径に応じて変化する。例えば、水の流量が20ml/min〜150ml/minで、ノズル孔26bの内径が30μm〜135μmの場合、水柱34の圧力は、概ね50MPa(500bar)〜5MPa(50bar)である。
【0021】
ノズル孔26bからハウジング12の外部に照射されるレーザビームLは、水柱34によって包囲され、水柱34と周囲の空気との間の境界面で全反射しながら進む。したがって、レーザビームLは水柱34に沿って進む。上記のように、ノズル孔26bの内径(すなわち、水柱34の太さに関係する)は例えば約30μm〜135μmと小さいため、レーザヘッド10から外部に照射されるレーザビームLの経路(光軸)Rは、直線状であり且つZ軸に平行と見なすことができる。
【0022】
ワークテーブル50は、基部51と、ワーク把持装置52と、を有している。基部51は、例えば、ベッド(不図示)上に配置され、ワーク把持装置52は、基部51上に配置されている。ワーク把持装置52は、ワークWを把持する。レーザビームLの経路R上においてワーク把持装置52によって把持されたワークWの下流には、ワークWと、レーザ加工機100の構成要素(例えば、基部51)との間に、空間Sが設けられる。ワーク把持装置52は、例えば、ロータリーヘッドを含むことができ、ワークWの姿勢を所望の角度に変更するようにワークWを回転するように構成されている。ワーク把持装置52は、例えば、ワークWを2方向に回転することができる。具体的には、ワーク把持装置52は、Y方向に平行な中心軸線Ob周りのB方向にワークWを回転することができる。
【0023】
図3は、
図1のレーザ加工機を示す概略的な平面図である。なお、
図3では、理解を容易にするために、レーザヘッド10及びワークWは示されていない点に留意されたい。ワーク把持装置52はまた、Z方向に平行な中心軸線Oc周りのC方向にワークWを回転することができる。ワーク把持装置52は、ワークWを把持するためのチャック52aを有している。ワーク把持装置52のB方向の回転及びC方向の回転は、NC装置によって制御されることができる。
【0024】
図2を参照して、ビームブロッカ60は、本実施形態では、レーザヘッド10と独立して配置されている。ビームブロッカ60は、流体噴射装置61と、支持台62と、を有している。流体噴射装置61は、上記の空間Sに向けて、ビームブロック流体BFを噴射する。例えば、流体噴射装置61は、第2のノズル61aと、ホース61bと、管路61cと、ソレノイドバルブ61dと、を含むことができる。
【0025】
第2のノズル61aは、レーザビームLの経路Rと交差するように平面状に、より具体的にはXY平面に沿って水平に、ビームブロック流体BFを噴射するように構成されている。なお、第2のノズル61aは、ビームブロック流体BFが水柱34を破壊できる限りにおいて、上方に又は下方に傾けてビームブロック流体BFを噴射してもよい点に留意されたい。例えば、第2のノズル61aは、1つの直線状のスリットを含んでいてもよく、この場合、ビームブロック流体BFは、一体的に平面状に噴射される。第2のノズル61aは、そのような直線状のスリットを複数含んでもよい。代替的に、第2のノズル61aは、直線状に配列された複数の孔を含んでいてもよく、この場合、ビームブロック流体BFは、分散的に(霧状に)平面状に噴射される。ビームブロック流体BFの圧力及び水量等の物理量は、水柱34を破壊するように適宜調節されることができる。水柱34が破壊されると、レーザビームLは散光する。したがって、レーザビームLがレーザ加工機100の構成要素(例えば、ワークテーブル50の基部51又はベッド等)を損傷することを防止することができる。また、水柱34が破壊されると、水柱34及びビームブロック流体BFの水が外部に飛び散ることがカバー102によって防止される。したがって、安全性を確保することができる。
【0026】
第2のノズル61aは、ホース61bの一方の端部(自由端部)に取り付けられている。ホース61bの他方の端部(固定端部)は、支持台62に取り付けられており、且つ、管路61cを介して水供給源30と流体的に接続されている。したがって、水柱34を形成するために使用される水供給源30の水が、第2のノズル61aから噴射されるビームブロック流体BFとしても使用される。管路61cにはソレノイドバルブ61dが設けられており、ソレノイドバルブ61dを開閉することによって、ビームブロック流体BFの噴射を制御することができる。ソレノイドバルブ61dは、例えば、機械制御装置によって制御されることができる。
【0027】
支持台62は、流体噴射装置61(例えば、ホース61b及び管路61c)を支持している。支持台62は、ワークテーブル50の基部51上に設けられている。したがって、流体噴射装置61は、基部51に対して固定されており、ビームブロック流体BFの噴射範囲も、基部51に対して固定される。なお、ビームブロック流体BFの噴射範囲は、第2のノズル61aの向きを調節することによって調節可能である点に留意されたい。
【0028】
図1を参照して、カバー102は、レーザヘッド10、ワークテーブル50、ビームブロッカ60、及び、その他の不図示の構成要素を包囲している。カバー102は、X方向にスライド可能な安全扉106を有しており、オペレータは、安全扉106を開くことによって、レーザヘッド10、ワークテーブル50及びビームブロッカ60へアクセス可能となる。安全扉106は、安全扉106が閉じていることを検出する開閉検出部(不図示)を備えていてもよい。
【0029】
操作盤110は、例えば、カバー102の外面に取り付けられている。操作盤110は、表示装置112及びボタン114を有している。表示装置112は、例えば、レーザ加工機100の状態及び動作、並びに、オペレータに対する操作方法等を表示することができる。表示装置112は、例えば、タッチパネルであってもよい。操作盤110は、例えば、NC装置及び機械制御装置を組み込んでいてもよく、オペレータからの入力及び/又はメモリ内に記憶されたプログラムに従って、レーザ加工機100を制御する。
【0030】
次に、レーザ加工機100の動作について説明する。
【0031】
図2を参照して、レーザ加工中、ソレノイドバルブ61dは開かれ、水供給源30から管路61c及びホース61bを介して第2のノズル61aに水が供給される。したがって、ワークWの下方の空間Sにビームブロック流体BFが噴射される。ビームブロック流体BFは、ワークテーブル50のワーク把持装置52及び基部51等の構成要素に衝突し得るが、これらの構成要素を損傷しない。ビームブロック流体BFの噴射は、レーザヘッド10からレーザビームLが照射される前に開始されてもよく、又は、レーザビームLがワークWを貫通すると予測される時点よりも前に開始されてもよい。また、ビームブロック流体BFの噴射は、例えば、操作盤110のタッチパネル上のボタン又はボタン114を押すことによって開始されてもよく、又は、プログラムによって開始されてもよい。
【0032】
また、水供給源30から管路28を介してノズルヘッド26aに水が供給され、水柱34がノズル孔26bから噴射される。また、レーザ発振器40からのレーザビームLは、導光部材40a、レーザ照射ヘッド16、コリメーションレンズ18、第1のミラー20、第2のミラー22、及び、レーザフォーカスレンズ24を経て、ノズルヘッド26aに至る。さらに、レーザビームLは、ノズル孔26bの開口面で焦点を結び、水柱34内に進入し、水柱34と周囲の空気との境界面で全反射を繰り返して、ワークWへ照射される。
【0033】
レーザビームLがワークWを貫通すると、水柱34はビームブロック流体BFと衝突し、水柱34が破壊される。したがって、レーザビームLは散光する。この際、水柱34及びビームブロック流体BFの水が外部に飛び散ることがカバー102によって防止される。
【0034】
以上のような本実施形態に係るレーザ加工機100では、ワークWを貫通したレーザビームLをさえぎるために、ビームブロック流体BFが使用される。ビームブロック流体BFがレーザ加工機100の構成要素(例えば、ワーク把持装置52及び基部51等)に衝突したとしても、これらの構成要素は損傷されない。したがって、ビームブロック流体BFがレーザ加工機100の構成要素に衝突することを防止するための複雑な制御は必要ない。したがって、複雑な制御無しに、レーザビームLによるレーザ加工機100自体の損傷を防止することができる。
【0035】
また、レーザ加工機100は、水柱34の中をレーザビームLが案内されるウォータジェットレーザ加工機であり、水柱34を形成するために使用される水が、ビームブロック流体BFとしても使用され、ビームブロック流体BFは、水柱34を破壊する。ウォータジェットレーザ加工機では、水柱34を形成するために水が使用されるため、当該水をビームブロック流体BFとして使用することができる。したがって、新たな流体源を準備する必要がない。よって、レーザ加工機100の構成をシンプルにすることができる。
【0036】
また、レーザ加工機100では、流体噴射装置61は、ビームブロック流体BFを噴射する第2のノズル61aを含み、第2のノズル61aは、レーザビームLの経路Rと交差するように、ビームブロック流体BFを平面状に噴射するように構成されている。レーザビームLの位置はワークWにおける加工部位に応じて変わるため、流体噴射装置61は、レーザビームLの位置に応じてビームブロック流体BFを噴射する必要がある。レーザ加工機100では、ビームブロック流体BFは第2のノズル61aによって平面状に噴射されるため、例えば線状に噴射されるブロック流体に比して、より広範囲をカバーすることができる。このため、レーザビームLの位置に応じてビームブロック流体BFの噴射方向を変える必要を無くし得る。したがって、流体噴射装置61の構成をシンプルにすることができる。
【0037】
また、レーザ加工機100では、ワーク把持装置52は、ワークWの姿勢を所望の角度に変更するように、ワークWを回転するように構成されている。ワーク把持装置52は回転するため、ワーク把持装置52はより広範囲を移動する。したがって、ビームブロック流体BFは、より高い確率でワーク把持装置52に衝突する。しかしながら、レーザ加工機100では、上記のように、ビームブロック流体BFがワーク把持装置52に衝突したとしても、ワーク把持装置52は損傷されない。したがって、本開示の技術的効果がより発揮される。
【0038】
次に、他の実施形態に係るレーザ加工機について説明する。
【0039】
図4は、他の実施形態に係るレーザ加工機を示す概略的な正面図である。レーザ加工機200は、ビームブロッカ60がレーザヘッド10に取り付けられている点で、上記のレーザ加工機100と異なる。このため、ビームブロッカ60は、支持台62を有していない。レーザ加工機200の他の点については、上記のレーザ加工機100のものと同様であってもよい。
【0040】
レーザ加工機200では、ホース61bの固定端部は、レーザヘッド10のハウジング12の外面に取り付けられており、ホース61bは、ハウジング12の外部に延びている。第2のノズル61aは、上記と同様に、レーザビームLの経路Rと交差するように平面状にビームブロック流体BFを噴射するように構成されている。管路61cは、ハウジング12の内部に配置されており、ホース61bの固定端部と、水供給源30及びノズルヘッド26aを繋ぐ管路28と、を流体的に接続している。したがって、レーザ加工機100と同様に、水柱34を形成するために使用される水供給源30の水が、第2のノズル61aから噴射されるビームブロック流体BFとして使用される。ソレノイドバルブ61dは、レーザ加工機100と同様に、管路61cに設けられている。
【0041】
このようなレーザ加工機200では、第2のノズル61aが、レーザヘッド10と一緒に(すなわち、第1のノズル26のノズル孔26bと一緒に)移動する。したがって、第2のノズル61aからのビームブロック流体BFの噴射範囲が、第1のノズル26のノズル孔26bに対して(すなわち、レーザビームLの経路Rに対して)固定される。よって、レーザビームLの位置が移動すると、ビームブロック流体BFの噴射範囲もこの移動を追従するため、ビームブロック流体BFの噴射範囲は、上記のレーザ加工機100と比して狭くてもよい。
【0042】
以上のようなレーザ加工機200は、上記のレーザ加工機100と略同様な効果を奏することができる。特に、レーザ加工機200では、第2のノズル61aがレーザヘッド10と一緒に移動するため、レーザビームLの位置が移動すると、ビームブロック流体BFの噴射範囲もこの移動を追従する。したがって、ビームブロック流体BFの噴射範囲を上記のレーザ加工機100と比して狭くしてもよく、例えばビームブロック流体BFの流量を低減することができる。
【0043】
レーザ加工機の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。当業者であれば、上記の実施形態の様々な変形が可能であることを理解するだろう。また、当業者であれば、1つの実施形態に含まれる特徴は、矛盾が生じない限り、他の実施形態に組み込むことができる、又は、他の実施形態に含まれる特徴と交換可能であることを理解するだろう。
【0044】
例えば、上記の実施形態では、レーザ加工機100は、ウォータジェットレーザ加工機であり、ビームブロック流体BFとして、水柱34を形成するための水供給源30の水が使用されている。しかしながら、他の実施形態では、ビームブロック流体BFとして、他の供給源からの水又は水以外の液体が使用されてもよい。また、レーザ加工機100がウォータジェットレーザ加工機である場合には、水柱34を破壊すればレーザビームLを散光させることができるので、ビームブロック流体BFとして気体が使用されてもよい。
【0045】
また、上記の実施形態では、レーザ加工機100は、ウォータジェットレーザ加工機である。しかしながら、他の実施形態では、レーザ加工機100は、水柱34を使用しないレーザ加工機(ドライレーザ加工機)であってもよい。この場合、ビームブロック流体BFとして、不燃性の液体(例えば、このようなレーザ加工機で使用される冷却用の不燃性の水溶性切削液、又は、水道水などの水 等)を使用することができる。
【0046】
また、上記の実施形態では、流体噴射装置61は、ジェット流としてビームブロック流体BFを噴射するために、第2のノズル61aを含んでいる。しかしながら、水柱34が破壊される限りにおいて、流体噴射装置61は、第2のノズル61aを含まなくてもよく、例えば、整流としてビームブロック流体BFを噴射してもよい。また、上記の実施形態では、流体噴射装置61は、ビームブロック流体BFを平面状に噴射するように構成されている。しかしながら、流体噴射装置61は、レーザビームLをさえぎる限りにおいて(水柱34と衝突する限りにおいて)、ビームブロック流体BFを他の形状(例えば、直線状)に噴射するように構成されていてもよい。