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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-17203(P2020-17203A)
(43)【公開日】2020年1月30日
(54)【発明の名称】気流幕発生システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20191227BHJP
   G08B 23/00 20060101ALI20191227BHJP
   F24F 9/00 20060101ALI20191227BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20191227BHJP
【FI】
   G08B17/00 E
   G08B23/00 530E
   F24F9/00 E
   F24F9/00 H
   F24F7/06 D
   F24F9/00 J
   F24F9/00 Z
   F24F9/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-141429(P2018-141429)
(22)【出願日】2018年7月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000111074
【氏名又は名称】ニッタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 竜一
【テーマコード(参考)】
3L058
5C087
5G405
【Fターム(参考)】
3L058BG03
3L058BG04
5C087BB03
5C087BB32
5C087DD04
5C087DD20
5C087FF01
5C087FF03
5C087FF04
5C087GG52
5C087GG64
5G405AA01
5G405AA03
5G405AA06
5G405BA01
5G405CA27
5G405DA21
(57)【要約】      (修正有)
【課題】避難する人が煙を吸い込みにくくする気流幕発生システムを提供する。
【解決手段】気流幕発生システムにおいて気流幕発生装置50は、通路の側壁から通路に向けて空気を放出する空気放出口51と、通路を挟んで空気放出口に対向する位置において、通路内の空気の少なくとも一部を吸入する空気吸入口52と、通路を有する建物内で火災が発生したことを感知する火災感知器が火災発報したことに応じて、空気放出口からの空気の放出を開始させ、かつ、空気吸入口からの空気の吸入を開始させる制御部56と、を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通路の側壁から前記通路に向けて空気を放出する空気放出口と、
前記通路を挟んで前記空気放出口に対向する位置において、前記通路内の空気の少なくとも一部を吸入する空気吸入口と、
前記通路を有する建物内で火災が発生したことを感知する火災感知器が火災発報したことに応じて、前記空気放出口からの空気の放出を開始させ、かつ前記空気吸入口からの空気の吸入を開始させる制御部と、
を有する気流幕発生システム。
【請求項2】
前記空気放出口と前記空気吸入口とが、前記通路の床面から同一の高さに設けられている、
請求項1に記載の気流幕発生システム。
【請求項3】
前記空気吸入口が吸入した空気を前記空気放出口に移動させる風力を発生するファンをさらに有する、
請求項1又は2に記載の気流幕発生システム。
【請求項4】
前記空気吸入口が吸入した空気から煙成分の少なくとも一部を除去するフィルタをさらに有し、
前記空気放出口は、前記フィルタを通過した後の空気を放出する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の気流幕発生システム。
【請求項5】
前記空気放出口が放出する空気を前記通路以外の場所から取得する空気取得口と、
前記空気吸入口が吸入した空気を前記通路以外の場所に放出する空気排出口と、
をさらに有する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の気流幕発生システム。
【請求項6】
前記空気放出口は、前記通路の床面に対して斜め上方に向けて空気を放出する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の気流幕発生システム。
【請求項7】
前記制御部は、火災発報した前記火災感知器の位置に基づいて、前記空気放出口からの空気の放出、及び前記空気吸入口からの空気の吸入を開始するか否かを決定する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の気流幕発生システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内空間に気流幕を発生する気流幕発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、火災が発生した際に煙を排出する設備が知られている。特許文献1には、火災感知器が発報すると、発報した火災感知器の近くに設置された防排煙端末を制御して煙の拡散を防ぐ設備が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−352343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建物内に防排煙端末が設置されていることにより、煙が建物内に滞留しづらくすることはできる。しかしながら、煙の発生場所から防排煙端末まで煙が移動する通路には煙が充満し、煙が充満した通路を通って避難する人が煙を吸い込んでしまうという問題が生じていた。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、避難する人が煙を吸い込みにくくする気流幕発生システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の気流幕発生システムは、通路の側壁から前記通路に向けて空気を放出する空気放出口と、前記通路を挟んで前記空気放出口に対向する位置において、前記通路内の空気の少なくとも一部を吸入する空気吸入口と、前記通路を有する建物内で火災が発生したことを感知する火災感知器が火災発報したことに応じて、前記空気放出口からの空気の放出を開始させ、かつ前記空気吸入口からの空気の吸入を開始させる制御部と、を有する。前記空気放出口と前記空気吸入口とは、例えば前記通路の床面から同一の高さに設けられている。
【0007】
前記気流幕発生システムは、前記空気吸入口が吸入した空気を前記空気放出口に移動させる風力を発生するファンをさらに有してもよい。
【0008】
前記空気吸入口が吸入した空気から煙成分の少なくとも一部を除去するフィルタをさらに有し、前記空気放出口は、前記フィルタを通過した後の空気を放出してもよい。
【0009】
前記空気放出口が放出する空気を前記通路以外の場所から取得する空気取得口と、前記空気吸入口が吸入した空気を前記通路以外の場所に放出する空気排出口と、をさらに有してもよい。
前記空気放出口は、前記通路の床面に対して斜め上方に向けて空気を放出してもよい。
【0010】
前記制御部は、火災発報した前記火災感知器の位置に基づいて、前記空気放出口からの空気の放出、及び前記空気吸入口からの空気の吸入を開始するか否かを決定してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、避難する人が煙を吸い込みにくくすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】防災システムの概要を示す図である。
図2】気流幕発生システムの概要を説明するための図である。
図3】複数の気流幕発生装置のA−A線断面図である。
図4】気流幕発生装置の断面図である。
図5】気流幕発生装置の機能構成図である。
図6】気流幕発生システムの変形例の構成を示す図である。
図7】気流幕発生装置の第1変形例の構成を示す図である。
図8】気流幕発生装置の第2変形例の構成を示す図である。
図9】気流幕発生システムの変形例の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[防災システムSの概要]
図1は、防災システムSの概要を示す図である。防災システムSは、火災を感知した場合に火災が発生したことを報知するとともに、煙が通路Cの下方に滞留しづらくするための気流幕を発生する機能を有する。気流幕は、空気が一定の方向に流れる層である。通路Cに気流幕が形成されることにより、気流幕の上方と下方との間で空気が流れにくくなり、煙が通路Cの下方に滞留しづらくなる。その結果、避難する人が身をかがめることで、避難する人の視界を確保するとともに、避難する人が煙を吸わないで避難することが可能になる。なお、通路Cは、廊下又は居室等のように、建物内の人が通行できる任意の場所である。
【0014】
防災システムSは、火災感知器1と、受信機2と、中継器3と、排煙装置4と、気流幕発生システム5とを備える。火災感知器1と、受信機2と、中継器3との間は、受信機2から火災感知器1及び中継器3に電力を供給する電源線P、及び信号を伝送するための信号線Sにより接続されている。なお、信号線Sが電源線Pを兼ねていてもよい。
【0015】
火災感知器1は火災を感知するセンサーを有する。火災感知器1は、火災を感知すると、受信機2との間で接続された信号線Sを介して、火災を感知したことを示す火災信号を受信機2に送信する。受信機2は、複数の火災感知器1の少なくともいずれかから火災信号を受信した場合に、信号線Sを介して制御信号を中継器3に送信することにより、火災を感知した火災感知器1の位置に対応する排煙装置4及び気流幕発生システム5を動作させる。
【0016】
排煙装置4は、中継器3からの指示に基づいて排煙を開始する。また、気流幕発生システム5は、中継器3からの指示に基づいて通路Cの所定の高さにおいて水平方向の気流幕の発生を開始することで、煙が通路Cの下方に充満することを防ぐように動作する。所定の高さは、人がかがんだ状態で歩行することができる高さに基づいて決定された高さであり、例えば80cm以上150cm以下の間の高さである。気流幕発生システム5は、例えば、火災感知器1が火災を感知した区画内においては気流幕を発生させず、火災感知器1が火災を感知した区画に隣接する区画と非常口との間の区画において気流幕を発生させる。このようにすることで、床面付近で火災が発生した区画において、煙が通路Cの下方に滞留することを防ぐとともに、火災が発生した区画以外において煙が通路Cの上方に滞留するようにすることができる。
【0017】
なお、本実施の形態においては、防災システムSが、信号線Sを介して火災感知器1と受信機2とが接続されているR型システムを例示するが、防災システムSはP型システム等の他の形態であってもよい。例えば、受信機2は、中継器3を介することなく気流幕発生システム5を直接制御してもよい。
【0018】
[気流幕発生システム5の概要]
図2は、気流幕発生システム5の概要を説明するための図である。図2(a)は、気流幕発生システム5が備える複数の気流幕発生装置50(気流幕発生装置50R、50L)が設置された通路Cを手前から見た状態を示す透視図である。図2(b)は、気流幕発生システム5の機能について説明するための図であり、気流幕発生装置50R及び気流幕発生装置50Lが設置された通路Cを手前から見た状態の模式図である。図2に示す例においては、通路Cの左側壁に気流幕発生装置50Lが設置され、通路Cの右側壁に気流幕発生装置50Rが設置されている。図2(a)及び図2(b)における矢印は、気流幕発生装置50L及び気流幕発生装置50Rにより発生した気流幕の向きを示している。
【0019】
図2に示すように、気流幕発生システム5は、通路Cを挟んで対向する位置に複数の空気放出口51と複数の空気吸入口52とを有している。空気放出口51は、通路Cの側壁から通路Cに向けて空気を放出する開口である。空気吸入口52は、通路Cを挟んで空気放出口51に対向する位置において、通路C内の空気の少なくとも一部を吸入する開口である。
【0020】
空気放出口51と空気吸入口52とは、通路Cの床面から同一の高さに設けられている。したがって、気流幕発生装置50Lの空気放出口51が放出する空気は略水平方向に気流幕発生装置50Rの空気吸入口52に向かって流れて、図2(b)の矢印が示すような気流幕が形成される。その結果、比較的温度が高く通路Cの上方の領域(図2(b)における斜線領域)に滞留している煙の温度が低下しても、気流幕発生装置50L及び気流幕発生装置50Rにより形成された気流幕の下方まで到達しづらい。したがって、避難する人は、気流幕発生装置50L及び気流幕発生装置50Rが設置された位置よりも低い位置まで身をかがめることで、煙を吸うことなく避難することが可能になる。
【0021】
なお、「同一の高さ」は、空気放出口51から放出された空気の少なくとも一部の空気が、天井面又は壁面で反射されずに空気吸入口52に直接吸入される限りにおいて、空気放出口51と空気吸入口52との間に差がある状態を含む。
【0022】
図3は、図2(b)に示した気流幕発生装置50L及び気流幕発生装置50RのA−A線断面図である。図3に示す例においては、気流幕発生装置50L及び気流幕発生装置50Rが通路Cの長手方向における同一の位置に設けられている。
【0023】
図3に示すように複数の気流幕発生装置50Lと複数の気流幕発生装置50Rとが配置されている場合、気流幕発生装置50Lの空気放出口51から放出した空気が、対向する位置の気流幕発生装置50Rの空気吸入口52において吸入され、気流幕発生装置50Rの空気放出口51から放出した空気が、対向する位置の気流幕発生装置50Lの空気吸入口52において吸入される。そして、気流幕発生装置50L及び気流幕発生装置50Rのそれぞれの内部空間において、空気吸入口52において吸入された空気が空気放出口51まで移動し、空気放出口51から放出される。このように、気流幕発生システム5が、空気吸入口52において吸入された空気が空気放出口51から放出されるように構成されていることで、空気を吸入する開口及び空気を放出する開口を側壁に形成することなく、気流幕を発生させることが可能になる。
【0024】
図4は、気流幕発生装置50の断面図である。図5は、気流幕発生装置50の機能構成図である。図4及び図5に示すように、それぞれの気流幕発生装置50は、空気放出口51と、空気吸入口52と、放出ファン53と、吸入ファン54と、通信部55と、制御部56とを有する。
【0025】
放出ファン53は、空気放出口51から空気を放出するための風力を発生する。吸入ファン54は、空気吸入口52から空気を吸入するための風力を発生する。放出ファン53及び吸入ファン54は、空気吸入口52が吸入した空気を空気放出口51に移動させる風力を発生するファンとしても機能する。図4及び図5においては、気流幕発生装置50が放出ファン53及び吸入ファン54を有する例を示しているが、気流幕発生装置50が放出ファン53及び吸入ファン54のいずれか一方のみを有してもよい。
【0026】
通信部55は、中継器3から制御信号を受信する通信インターフェースである。通信部55は、例えばLAN(Local Area Network)コントローラ又はSPI(Serial Peripheral Interface)等であり、中継器3から受信した制御信号を制御部56に通知する。
【0027】
制御部56は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を有している。CPUは、ROMに記憶されたプログラムを実行することにより、中継器3を介して受信機2から受信した制御信号に基づいて放出ファン53及び吸入ファン54を制御する。具体的には、制御部56は、通路Cを有する建物内で火災が発生したことを感知する火災感知器1が火災発報したことに応じて、空気放出口51からの空気の放出を開始させ、かつ空気吸入口52からの空気の吸入を開始させる。
【0028】
制御部56は、例えば、火災が発生したことを示す制御信号を受信したことに応じて、放出ファン53及び吸入ファン54の回転を開始させる。制御部56がこのように動作することで、火災が発生して煙が通路Cに充満する前に気流幕発生装置50L及び気流幕発生装置50Rにより気流幕が発生するので、煙が通路Cの下方に充満することを防止できる。なお、制御部56は、火災の発生によらず放出ファン53及び吸入ファン54を常に回転させるように動作してもよい。この場合、制御部56は、火災が発生したことを示す制御信号を受信したことに応じて、放出ファン53及び吸入ファン54の回転速度を増加させてもよい。
【0029】
制御部56は、火災発報した火災感知器1の位置に基づいて、空気放出口51からの空気の放出、及び空気吸入口52からの空気の吸入を開始するか否かを決定してもよい。制御部56は、例えば気流幕発生装置50が設置されている区画内、又は当該区画から所定の距離以内の区画の火災感知器1が火災の発生を感知した場合、放出ファン53及び吸入ファン54を停止した状態にして気流幕を発生させない。また、制御部56は、気流幕発生装置50が設置されている区画外、又は当該区画から所定の距離より遠い区画の火災感知器1が火災の発生を感知した場合、放出ファン53及び吸入ファン54を回転させることにより気流幕を発生させる。このようにすることで、気流幕発生システム5は、気流幕発生装置50の近傍に煙の発生源がある場合に気流幕を発生させないことにより、煙が下方に滞留することを防ぐことができる。
【0030】
[気流幕発生システム5による効果]
以上説明したように、気流幕発生システム5は、通路Cの側壁から通路Cに向けて空気を放出する空気放出口51と、通路Cを挟んで空気放出口51に対向する位置において、通路C内の空気の少なくとも一部を吸入する空気吸入口52と、を有する。そして、制御部56は、火災感知器1が火災発報したことに応じて、空気放出口51からの空気の放出を開始させ、かつ空気吸入口52からの空気の吸入を開始させる。このような気流幕発生システム5が建物内に設置されていることで、避難する人が身をかがめることで、避難する人の視界を確保するとともに、避難する人が煙を吸わないで避難することが可能になる。また、気流幕発生システム5が気流幕を発生することで、避難している人が、どの高さまでかがめば安全であるかを把握することもできる。
【0031】
[気流幕発生システム5の変形例]
図6は、気流幕発生システム5の変形例である気流幕発生システム5Aの構成を示す図である。図3に示した気流幕発生システム5においては、気流幕発生装置50Lと気流幕発生装置50Rとが通路Cの長手方向における同一の位置で対向するように設けられており、対向する気流幕発生装置50Lと気流幕発生装置50Rとの間で空気が循環するように構成されていた。これに対して、図5に示す気流幕発生システム5Aは、気流幕発生装置50Lと気流幕発生装置50Rとが、通路Cの長手方向において異なる位置に設けられているという点で図3に示した気流幕発生システム5と異なる。
【0032】
具体的には、気流幕発生システム5Aにおいては、複数の気流幕発生装置50R及び複数の気流幕発生装置50Lにより、以下のように空気が流れる。気流幕発生装置50R−1の空気吸入口52は、気流幕発生装置50R−1の空気放出口51が噴出する空気を通路C以外の場所から取得する空気取得口として機能する。気流幕発生装置50R−1の空気吸入口52が吸入した空気は、気流幕発生装置50R−1の空気放出口51から放出される。気流幕発生装置50R−1の空気放出口51から放出された空気は、気流幕発生装置50L−1の空気吸入口52により吸入される。
【0033】
気流幕発生装置50L−1の空気吸入口52が吸入した空気は、気流幕発生装置50L−1の空気放出口51から放出される。気流幕発生装置50L−1の空気放出口51から放出された空気は、気流幕発生装置50R−2の空気吸入口52により吸入される。気流幕発生装置50R−2の空気吸入口52により吸入された空気は、気流幕発生装置50R−2の空気放出口51から放出された後に、気流幕発生装置50L−2、気流幕発生装置50R−3及び気流幕発生装置50L−3を順次移動し、気流幕発生装置50R−4の空気吸入口52により吸入される。気流幕発生装置50R−4の空気吸入口52により吸入された空気は、気流幕発生装置50R−4の空気放出口51から放出される。気流幕発生装置50R−4の空気放出口51は、気流幕発生装置50R−4の空気吸入口52が吸入した空気を、気流幕発生システム5Aが設置された通路C以外の場所に放出する空気放出口として機能する。
【0034】
このように、気流幕発生システム5Aにおいては、気流幕発生装置50R−1の空気吸入口52が外部から空気を取り込み、取り込まれた空気は、複数の気流幕発生装置50R及び複数の気流幕発生装置50Lを移動した後に気流幕発生装置50R−4の空気放出口51から外部に放出される。したがって、気流幕発生装置50に煙が入り込んだとしても、煙が気流幕発生装置50内に蓄積されない。その結果、気流幕発生システム5Aによれば、通路Cの下方に煙がない状態を維持しやすくなる。
【0035】
[気流幕発生装置50の第1変形例]
図7は、気流幕発生装置50の第1変形例である気流幕発生装置50Aの構成を示す図である。図7に示す気流幕発生装置50Aは、フィルタ57をさらに有する点で、図4に示した気流幕発生装置50と異なり、他の点で同じである。フィルタ57は、空気吸入口52が吸入した空気から煙成分の少なくとも一部を除去する。フィルタ57は、例えば煙に含まれる有毒な成分を除去するための活性炭層又は繊維層を有する。気流幕発生装置50Aにおいては、フィルタ57を通過した空気が空気放出口51から放出される。したがって、空気吸入口52が吸入した空気に有毒な成分が含まれていても、空気放出口51から放出される空気に含まれる有毒な成分の量を低減することができる。
【0036】
[気流幕発生装置50の第2変形例]
図8は、気流幕発生装置50の第2変形例である気流幕発生装置50Bの構成を示す図である。気流幕発生装置50Bの空気放出口51は、通路Cの床面に対して斜め上方に向けて空気を放出するという点で、図2(b)に示した気流幕発生装置50と異なり、他の点で同じである。気流幕発生装置50Bの空気放出口51は、例えば通路Cの床面に対して斜め上方に向けて空気を放出する方向に設けられている。
【0037】
この場合、図8に示すように、空気放出口51から放出された空気が斜め上方に向かって上昇した後に、気流幕発生装置50Bに対向する位置に設置された気流幕発生装置50Rの空気吸入口52により吸入される。空気放出口51から放出された空気が斜め上方に向かって上昇することにより、気流幕発生装置50Rの空気吸入口52の近傍の煙が上方に押しのけられるので、空気吸入口52が煙を吸入しにくくなる。その結果、空気吸入口52が吸入した空気を空気放出口51から放出する場合に、空気放出口51から放出される空気に煙の有毒な成分が含まれにくくなる。
【0038】
[気流幕発生システム5及び気流幕発生装置50の変形例]
図9は、気流幕発生システム5の変形例である気流幕発生システム5Bの構成を示す図である。気流幕発生システム5Bにおいては、気流幕発生装置50の変形例である空気放出装置60及び空気吸入装置70が対向する位置に設けられている。
【0039】
空気放出装置60は、複数の空気放出口51を有しており、空気吸入口52を有していない。空気吸入装置70は、複数の空気吸入口52を有しており、空気放出口51を有していない。空気放出装置60は、複数の空気放出口51から空気を放出するための放出ファン61と、外部から空気を取得する空気取得口62とを有する。空気吸入装置70は、複数の空気吸入口52から空気を吸入するための吸入ファン71と、外部に空気を排出するための空気排出口72とを有する。
【0040】
このように、気流幕発生システム5Bにおいては、通路Cから吸入した空気を通路Cに排出しない。したがって、気流幕発生システム5Bは、吸入した空気に煙の有毒な成分が含まれていても、有毒な成分が通路Cに放出されないので、発生した気流幕の近傍に煙が到達したとしても、気流幕の下方に有毒な成分が滞留することを防止することができる。
【0041】
[その他の変形例]
上記の説明においては、気流幕発生装置が通路Cの側壁の内側に設置されている構成を例示したが、側壁に空気放出口及び空気吸入口が形成され、気流幕発生装置が通路Cの側壁に埋め込まれた状態で設置されていてもよい。
【0042】
また、上記の説明においては、気流幕発生装置50が制御部56を有する構成を例示したが、気流幕発生装置50が制御部56を有しておらず、気流幕発生装置50の外部に、複数の気流幕発生装置50が有する放出ファン53及び吸入ファン54を制御する制御部が設けられていてもよい。また、中継器3が、複数の気流幕発生装置50が有する放出ファン53及び吸入ファン54を直接制御してもよい。
【0043】
また、上記の説明においては、空気を放出又は吸入するためにファンを用いる構成を例示したが、空気を放出又は吸入する方法はファンに限らない。例えば空気圧縮機から圧縮空気を放出することにより、空気放出口から空気を放出するようにしてもよい。
【0044】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
【符号の説明】
【0045】
1 火災感知器
2 受信機
3 中継器
4 排煙装置
5 気流幕発生システム
50 気流幕発生装置
51 空気放出口
52 空気吸入口
53、61 放出ファン
54、71 吸入ファン
55 通信部
56 制御部
57 フィルタ
60 空気放出装置
62 空気取得口
70 空気吸入装置
72 空気排出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9