特開2020-172460(P2020-172460A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-172460(P2020-172460A)
(43)【公開日】2020年10月22日
(54)【発明の名称】メイクアップ化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20200925BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20200925BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20200925BHJP
【FI】
   A61K8/81
   A61Q1/00
   A61Q1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-74236(P2019-74236)
(22)【出願日】2019年4月9日
(71)【出願人】
【識別番号】000135324
【氏名又は名称】株式会社ノエビア
(72)【発明者】
【氏名】新間 優子
(72)【発明者】
【氏名】丹後 弘隆
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA082
4C083AA122
4C083AB032
4C083AB132
4C083AB232
4C083AB432
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC242
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC611
4C083AC612
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD352
4C083CC11
4C083CC14
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】
化粧持ちが良好であるにもかかわらず、クレンジング料で容易に除去することができるメイクアップ化粧料を提供することを課題とする。
【解決手段】
(A)〜(C)を含有するメイクアップ化粧料を提供する。
(A)(メタ)アクリル酸アルキル共重合体エマルション
(B)アクリレーツコポリマーAMP、(アクリル酸ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMPおよび(ジアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)コポリマーからなる群より選択される1種又は2種以上である溶液系高分子
(C)N−ビニルピロリドンと分子内に二重結合を有する単量体との共重合体
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)〜(C)を含有するメイクアップ化粧料。
(A)(メタ)アクリル酸アルキル共重合体エマルション
(B)アクリレーツコポリマーAMP、(アクリル酸ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMPおよび(ジアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)コポリマーからなる群より選択される1種又は2種以上である溶液系高分子
(C)N−ビニルピロリドンと分子内に二重結合を有する単量体との共重合体
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メイクアップ化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、メイクアップ化粧料、特にアイメイクアップ化粧料において、塗布後の耐水性、耐摩擦性などの化粧持ちが優れているものが好まれており、その機能を発揮する主要原料である皮膜形成剤を含有するメイクアップ化粧料について様々な改良の検討がなされている。
【0003】
特許文献1には、アクリル酸アルキル共重合体エマルションと、溶液系高分子とを含有するメイクアップ化粧料において、化粧持ちが良好であることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018−188396号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1に記載されたメイクアップ化粧料を、クレンジング料を用いて除去する際に、水にも油脂にも不溶性のコンプレックスを形成し、クレンジングが困難になるという課題があった。
そのため本発明においては、化粧持ちが良好であるにもかかわらず、クレンジング料で容易に除去することができるメイクアップ化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(A)〜(C)を含有するメイクアップ化粧料を提供する。
(A)(メタ)アクリル酸アルキル共重合体エマルション
(B)アクリレーツコポリマーAMP、(アクリル酸ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMPおよび(ジアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)コポリマーからなる群より選択される1種又は2種以上である溶液系高分子
(C)N−ビニルピロリドンと分子内に二重結合を有する単量体との共重合体
【発明の効果】
【0007】
本発明のメイクアップ化粧料は、化粧持ちが良好であるにもかかわらず、クレンジング料で容易に除去することができるという効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下本発明を実施するための形態を説明する。
【0009】
本発明のメイクアップ化粧料は下記(A)〜(C)を必須成分として含有する。
(A)(メタ)アクリル酸アルキル共重合体エマルション
(B)アクリレーツコポリマーAMP、(アクリル酸ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMPおよび(ジアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)コポリマーからなる群より選択される1種又は2種以上である溶液系高分子
(C)N−ビニルピロリドンと分子内に二重結合を有する単量体との共重合体
【0010】
本発明に配合する(A)(メタ)アクリル酸アルキル共重合体エマルションは、化粧料に配合し得るものであれば特に限定されず、メタクリル酸及び/又はアクリル酸モノマーと、メタクリル酸アルキルモノマー及び/又はアクリル酸アルキルモノマーとを含んでなる単量体混合物を主成分とし、これらが乳化重合されて得られた共重合体からなるものが好ましい。(A)としては、このような共重合体と水とを含むエマルションの形態を有するものを使用することができる。市販品例としては、ヨドゾールGH34F、ヨドゾールGH800F、ヨドゾールGH256F、ヨドゾールGH810F(以上アクゾノーベル社製)、ダイトゾール5000AD、ダイトゾール5000SJ(以上大東化成工業社製)等が挙げられる。
【0011】
(A)は、1種又は2種以上を用いることができ、カール効果の付与、化粧持ちに優れる点から、含有量は、全組成中に固形分として、1質量%以上であり、4質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。そして、カール効果の付与、化粧持ちに優れる点から、固形分として、30質量%以下であり、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。また、成分(A)の含有量は、全組成中に固形分として、1〜30質量%であり、4〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。
【0012】
本発明に配合する(B)アクリレーツコポリマーAMP、(アクリル酸ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMPおよび(ジアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)コポリマーからなる群より選択される1種又は2種以上である溶液系高分子は、化粧料に配合し得るものであれば特に限定されない。例えば、主としてアクリル酸アルキル(C1〜C4、C8)、メタクリル酸アルキル(C1〜C4、C8)、アクリル酸又はメタクリル酸の中の2種類以上のモノマーからなる共重合体で、AMPの塩を使用できる。なお、「AMP」とは、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールを示す。(B)溶液系高分子は、これらの高分子を化粧料に使用可能な適宜の溶媒、通常、水、エタノール、プロピレングリコール又はこれらの混液、あるいは変性アルコールなどに溶解して溶液系高分子として用いることが好ましいが、特に、本発明の効果を確実に得るためには、エタノールに溶解したAMPの塩であることがより好ましい。(B)溶液系高分子としては、市販品を用いることが可能であり、市販品の例としては、例えば、P−7279A(アクリレーツコポリマーAMP:大同化成株式会社製)、ダイナミクス(アクゾノーベル株式会社製)、プラスサイズL−3200B(互応化学工業株式会社製)、プラスサイズL−53P(互応化学工業株式会社製)、プラスサイズL−6010(互応化学工業株式会社製)、プラスサイズL−2700(互応化学工業株式会社製)等を挙げることができる。
【0013】
さらにまた、本発明におけるメイクアップ化粧料において、前記(B)溶液系高分子の含有量としては、例えば、アクリレーツコポリマーAMPの固形換算として1.0〜5.0質量%含有することが好ましく、1.5〜3.5質量%含有することがより好ましい。1.0質量%より少ない含有量であると化粧もち効果はあるものの、実感を感じ難くなるおそれがあり、5.0質量%より多い含有量であるとクレンジングしにくくなる懸念があるため好ましくない。
【0014】
本発明に配合する(C)N−ビニルピロリドンと分子内に二重結合を有する単量体との共重合体は、皮膜形成能を有するもので、通常化粧料に使用されるものであれば、いずれのものも使用することができる。例えば、N−ビニルピロリドンとスチレンやカルボン酸のビニルエステル等の非水溶性単量体との共重合体が好ましく、特に、スチレンや酢酸ビニルとN−ビニルピロリドンとで構成される共重合体が好ましい。具体的には、例えば、N−ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体、N−ビニルピロリドン・スチレン共重合体、N−ビニルピロリドン・ヘキサデセン共重合体、N−ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩等が挙げられる。また、これらの共重合体を水性分散物あるいは水溶液として用いることができる。これらの市販品としては、PVP/VA−S630(ISPヴァンダイク社製)、エタノール溶液としてアコーンKS(大阪有機化学工業社製)、PVP/VAE−735(ISPヴァンダイク社製)、水性分散物としてANTARA430(ISPヴァンダイク社製)等が挙げられる。これらの(C)は必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
【0015】
(C)の含有量は、特に限定されないが、メイクアップ化粧料全量に対し、0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは1〜10質量%である。この範囲であれば、効果の持続性、クレンジング性の点で満足のいくものが得られる。
【0016】
本発明のメイクアップ化粧料は、必要に応じて着色料を配合することが出来る。かかる着色料としては、カーボンブラック、紺青、群青、黒酸化鉄、黄酸化鉄、ベンガラ、酸化チタン、酸化亜鉛、炭、雲母チタン、赤色228号、赤色226号、黄色205号Alレーキ、青色404号等が挙げられる。これらの着色料は、シリコーン化合物、金属石けん類、高級脂肪酸、アミノ酸化合物、フッ素化合物などを用いて公知の方法にて表面処理を施した粉体を用いることも出来る。
【0017】
本発明のメイクアップ化粧料は、油剤を含まない水性化粧料であっても、油剤を含有する水中油型乳化化粧料であってもよい。
【0018】
本発明のメイクアップ化粧料の用途は特に限定されないが、その効果の点から、マスカラ、アイライナー、アイブロウに好適である。
【0019】
本願発明のメイクアップ化粧料は、上記必須成分の他に、必要に応じて通常化粧料に配合される、水性成分、保湿剤、油性成分、界面活性剤、紫外線吸収剤、増粘剤、美容成分、香料、高分子物質、防菌防微剤、アルコール類、粉体、スクラブ剤、生体由来成分等を適宜配合することができる。
【実施例】
【0020】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これにより本発明の範囲が限定されるものではない。なお、配合量は特に断りのない限り質量%である。
【0021】
表1に示す処方を用い、定法により実施例及び比較例にかかるマスカラを調製し、使用試験に供した。なお、アクリル酸アルキル共重合体エマルジョンとして商品名ダイトゾール5000−SJ(大東化成工業社製)を、アクリル樹脂アルカノールアミン液として商品名プラスサイズ L−9540B(互応化学工業株式会社製)を、酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体としてPVP/VA S−630(ISPヴァンダイク社製)をそれぞれ用いた。
【0022】
使用試験の評価方法を示す。
化粧料の官能評価専門員3名が実施例及び比較例にかかるマスカラ、アイライナーを実際に使用し、下記の基準で合議により評価を行った。
[なめらかさ]
○:なめらかに塗布することができる
△:あまりなめらかに塗布することができない
×:なめらかに塗布することができない
[乾燥速度]
○:乾燥速度が速い
△:乾燥速度は標準的である
×:乾燥速度が遅い
[密着性]
○:密着感が良好である
△:密着感は標準的である
×:密着感が悪い
[化粧持ち]
朝塗布した後、夕方のマスカラ、アイライナーの残り具合を目視で確認した。
○:マスカラ、アイライナーがしっかり残っている
△:少しマスカラ、アイライナーが少しはげている
×:マスカラ、アイライナーが残っていない
[お湯落ち性]
○:お湯で容易に洗い流せる
△:お湯で洗い流せる
×:お湯で洗い流せない
[クレンジングオイル落ち性]
表2に示した処方によりクレンジングオイルを調製し、クレンジングを行った。
○:不溶性のコンプレックスを形成しない
△:僅かに不溶性のコンプレックスを形成する
×:不溶性のコンプレックスを形成する
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
表1に示した通り、本発明の実施例にかかるマスカラは、なめらかな使用感で乾燥速度も速く、密着性、化粧持ちに優れ、お湯落ち性が良好で、クレンジングオイルを使用しても不溶性のコンプレックスを形成しない、良好な使用感であった。これに対し、(B)アクリル樹脂アルカノールアミン液と(C)酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体を配合していない比較例1は、なめらかさ、化粧持ちがあまり良くなく、クレンジングオイルを使用すると不溶性のコンプレックスを形成した。(B)アクリル樹脂アルカノールアミン液を配合していない比較例2は、乾燥速度と密着性においてあまり良好な結果が得られず、クレンジングオイルを使用すると僅かに不溶性のコンプレックスを形成した。さらに、(C)酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体を配合していない比較例3は、あまりなめらかな使用感ではなく、クレンジングオイルを使用すると不溶性のコンプレックスを形成した。
【0026】
表3にマスカラにかかる実施例3を、表4にアイライナーにかかる実施例4を示す。
【0027】
【表3】
【0028】
【表4】