(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-172466(P2020-172466A)
(43)【公開日】2020年10月22日
(54)【発明の名称】近赤外線防御剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/81 20060101AFI20200925BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20200925BHJP
【FI】
A61K8/81
A61Q17/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】4
(21)【出願番号】特願2019-74670(P2019-74670)
(22)【出願日】2019年4月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000135324
【氏名又は名称】株式会社ノエビア
(72)【発明者】
【氏名】松本 尚樹
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AD091
4C083AD092
4C083CC19
4C083DD16
4C083EE07
4C083EE17
(57)【要約】
【課題】
本発明は、優れた近赤外線防御効果を発揮する近赤外線防御剤を提供することを課題とする。
【解決手段】
本発明は、ポリアクリル酸アルキルを有効成分とする、近赤外線防御剤を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアクリル酸アルキルを有効成分とする、近赤外線防御剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた近赤外線防御効果を発揮する近赤外線防御剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、紫外線(100nm〜400nm)による皮膚への悪影響を防御するため、様々な紫外線防御化粧料が開発されている(特許文献1)。近年では、近赤外線(800nm〜2500nm)による皮膚への悪影響にも注目が集まり、近赤外線防御に対するニーズが高まっている。近赤外線防御に有効な成分として、酸化チタンや酸化亜鉛などが知られており、これらを配合する化粧料などが開発されている(特許文献2)が、近赤外線防御効果を高めるためには酸化チタンや酸化亜鉛などを高配合する必要があり、皮膚に塗布した際に白くなり、きしみやべたつきといった使用感上の課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018−177689号公報
【特許文献2】特開2017−95361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、優れた近赤外線防御効果を発揮する近赤外線防御剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ポリアクリル酸アルキルを有効成分とする、近赤外線防御剤を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の近赤外線防御剤は優れた近赤外線防御効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、ポリアクリル酸アルキルの近赤外線透過率が低いことを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下本発明を実施するための形態を説明する。
【0009】
本発明で使用するポリアクリル酸アルキルは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステルの1種類以上を構成モノマーとして含んでいてもよい。また、ポリアクリル酸アルキルは、(メタ)アクリル酸エステル以外の炭素−炭素不飽和結合を有する炭化水素系モノマーを構成モノマーとして含んでいてもよい。具体的な炭素−炭素不飽和結合を有する炭化水素系モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレン、イソプレン、ブタジエン、アクロレイル、アクリルアミド、アリルアルコール、ビニルピリジン、安息香酸ビニル、安息香酸アリルなどが挙げられる。なお、ポリアクリル酸アルキルを含むモノマーは、1種類に限られず、2種類以上を構成モノマーとして含んでいてもよい。
【0010】
ポリアクリル酸アルキルは、架橋構造を有するものと、架橋構造を有さないものがあるが、架橋構造を有するものが好ましい。架橋構造はポリアクリル酸アルキル系の重合体に用いられる公知の方法を適宜利用することで調整できる。なお、架橋剤としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジメタクリル酸エチレン、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレン、メタクリル酸アリル、トリメタクリル酸トリメチロールプロパンなどが挙げられる。
【0011】
ポリアクリル酸アルキルとしては、架橋型のポリメタクリル酸メチル(メタクリル酸メチルクロスポリマーともいう)が特に好ましい。なお、メタクリル酸メチルクロスポリマーの粉体は市販されているものがあり、例えば、マツモトマイクロスフェアー(登録商標)MHB−R,マツモトマイクロスフェアー(登録商標)M−305,マイクロスフェアー(登録商標)M−306,マツモトマイクロスフェアー(登録商標)M−503B(いずれも松本油脂製薬株式会社製)、ガンツパールGMP−0800,ガンツパールGMX−0610,ガンツパールGMX0810(いずれもアイカ工業株式会社製)、テクポリマーMBX−8C(積水化成品工業株式会社製)などが挙げられる。
【0012】
ポリアクリル酸アルキルの粒子径としては、顕微鏡観察による平均一次粒子径が、1μm〜50μmであることが好ましく、5μm〜30μmであることがより好ましい。
【0013】
ポリアクリル酸アルキルの形状としては、特に限定されず、例えば、球状、板状、針状、紡錘状、半球状、おわん状などが挙げられる。球状が好ましい。
【実施例】
【0014】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これにより本発明の範囲が限定されるものではない。
【0015】
[近赤外線透過率測定]
近赤外線防御剤0.3mg/cm
2を石英すりガラス基板(4cm×5cm)に指サックを用いて均一に塗布させ、測定用の試料とした。測定用試料及び無塗布の石英すりガラスそれぞれについて分光光度計(株式会社島津製作所製UV−3150、積分球モード)にて800〜2500nmの透過率を測定した。測定の際には、積分球の開口部に石英すりガラス基板の塗工面が入射光側になるように固定した。測定用試料の透過率を無塗布の場合の透過率で除した値を透過率とした。
【0016】
[実施例1]
実施例1として、メタクリル酸メチルクロスポリマーのマツモトマイクロスフェアー(登録商標)M-306(粒子径5〜15μm、表面平滑球状)を用いた。
【0017】
[実施例2]
実施例2として、メタクリル酸メチルクロスポリマーのマツモトマイクロスフェアー(登録商標)MHB-R(粒子径5〜25μm、中空多孔質球状)を用いた。
【0018】
[比較例1]
比較例1として、低吸油性の真球状多孔質シリカ(粒子径3〜5μm)を用いた。
【0019】
[比較例2]
比較例2として、真球状多孔質中空シリカ(粒子径2〜3μm)を用いた。
【0020】
図1に示す通り、比較例1及び比較例2と比較して、実施例1及び実施例2は近赤外線の透過率が減少している。したがって、実施例1及び実施例2が高い近赤外線防御効果を発揮することが分かる。