特開2020-172582(P2020-172582A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2020-172582湿式摩擦材用接着剤組成物および湿式摩擦板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-172582(P2020-172582A)
(43)【公開日】2020年10月22日
(54)【発明の名称】湿式摩擦材用接着剤組成物および湿式摩擦板
(51)【国際特許分類】
   C09J 161/10 20060101AFI20200925BHJP
   C09J 129/14 20060101ALI20200925BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20200925BHJP
【FI】
   C09J161/10
   C09J129/14
   C09J163/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-74570(P2019-74570)
(22)【出願日】2019年4月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕司
【テーマコード(参考)】
4J040
【Fターム(参考)】
4J040DD071
4J040EB051
4J040EC001
4J040EC061
4J040EC071
4J040EC121
4J040JA02
4J040JB02
4J040KA16
4J040LA06
4J040MA02
4J040NA15
4J040NA16
4J040PA30
(57)【要約】
【課題】接着強度に優れるとともに、作業性、塗工性が良好な湿式摩擦材用接着剤組成物を提供する。
【解決手段】レゾール型フェノール樹脂と、ポリビニルブチラールと、エポキシ樹脂と、を含む湿式摩擦材用接着剤組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レゾール型フェノール樹脂と、
ポリビニルブチラールと、
エポキシ樹脂と、を含む湿式摩擦材用接着剤組成物。
【請求項2】
前記エポキシ樹脂が、2官能以上のエポキシ樹脂を含む、請求項1に記載の湿式摩擦材用接着剤組成物。
【請求項3】
前記エポキシ樹脂が、当該湿式摩擦材用接着剤組成物の固形分全体に対して、5質量%以上50質量%以下の量である、請求項1または2に記載の湿式摩擦材用接着剤組成物。
【請求項4】
ニッケルおよびコバルトのいずれも実質的に含まない、請求項1〜3のいずれかに記載の湿式摩擦材用接着剤組成物。
【請求項5】
メタノールトレランス(25℃)が1000%以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の湿式摩擦材用接着剤組成物。
【請求項6】
金属基材と、
前記金属基材に、請求項1〜5のいずれかに記載の湿式摩擦材用接着剤組成物を介して接着された摩擦材と、を備える湿式摩擦板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿式摩擦材用接着剤組成物および湿式摩擦板に関する。
【背景技術】
【0002】
オートマチック車等の自動変速機には、発進、停止、変速時にエンジンの力をトランスミッションに伝えたり遮断したりするために、エンジンとトランスミッション(変速機)の間にクラッチが取り付けられている。摩擦材は、当該クラッチが適切に機能するために用いられるが、一般に、オイルを使用する「湿式摩擦材」と、オイルを使用しない「乾式摩擦材」とに分けられる。湿式摩擦材は、オイルを使用することにより、摩擦熱の上昇を抑制することができる。湿式摩擦材は、コアプレートと呼ばれる金属に接着剤を塗布し、フェノール樹脂等からなる摩擦部材と接着することにより製造される。
【0003】
クラッチやブレーキ等の摩擦材を作製する際に使用される接着剤には、機械的特性、電気的特性および接着性に優れた樹脂材料であるレゾール型フェノール樹脂が一般に使用されている。そのため、レゾール型フェノール樹脂については、得られる湿式摩擦材の摩擦特性や耐摩耗特性を改善するため、および接着強度等の硬化特性を改善するために、従来から種々の検討がなされてきた。
【0004】
湿式摩擦材に用いられるレゾール型フェノール樹脂として、例えば、特許文献1および特許文献2記載のものがある。特許文献1には、短い硬化時間で高い耐熱性を有する摩擦材用接着剤として、レゾール型フェノール樹脂と、ポリビニルブチラール樹脂と、多価の金属塩である酢酸ニッケルまたは酢酸コバルトと、亜硝酸の金属塩または亜硝酸のエステルとを含む接着剤組成物が開示されている。
【0005】
特許文献2には、優れた接着強度を示す、レゾール型フェノール樹脂と、硝酸塩又は硝酸とを含む湿式摩擦板用接着剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−24881号公報
【特許文献2】特開2006−83892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、湿式摩擦材用の接着剤に対する要求はますます高くなっている。本発明は、これらの要求に応えるべく開発されたものであり、優れた接着強度を有するとともに、作業性および塗工性(取扱い性)が良好な湿式摩擦材用接着剤組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、フェノール樹脂を含む樹脂組成物に、エポキシ樹脂を配合することにより、優れた接着力を有するとともに、使用時の取扱い性に優れ、湿式摩擦材用途に好適に使用できる接着剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明によれば、
レゾール型フェノール樹脂と、
ポリビニルブチラールと、
エポキシ樹脂と、を含む湿式摩擦材用接着剤組成物が提供される。
【0010】
また本発明によれば、
金属基材と、
前記金属基材に、上記湿式摩擦材用接着剤組成物を介して接着された摩擦材と、を備える湿式摩擦板が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、優れた接着強度を有するとともに、作業性および塗工性が良好な湿式摩擦材用接着剤組成物、およびこれを用いて作製された湿式摩擦板が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本実施形態の湿式摩擦材用接着剤組成物(以下、「接着剤組成物」とも称する)は、レゾール型フェノール樹脂と、ポリビニルブチラールと、エポキシ樹脂とを含む。以下に、各成分について説明する。
【0013】
(レゾール型フェノール樹脂)
本実施形態の接着剤組成物に用いられるレゾール型フェノール樹脂は、フェノール樹脂とアルデヒド類とを塩基性触媒の存在下で反応させて得られるレゾール型フェノール樹脂である。
【0014】
本実施形態で用いられるレゾール型フェノール樹脂の合成のために使用されるフェノール類としては、フェノール;o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等のクレゾール類;o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール等のエチルフェノール類;イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール等のブチルフェノール類;p−tert−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−クミルフェノール等のアルキルフェノール類;フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノール等のハロゲン化フェノール類;p−フェニルフェノール、アミノフェノール、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール等の1価フェノール置換体:1−ナフトール、2−ナフトール等の1価のフェノール類;およびレゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシナフタリン等の多価フェノール類等が挙げられる。これらは、単独でかまたは2種以上混合して使用できる。
【0015】
本実施形態で用いられるレゾール型フェノール樹脂の合成のために使用されるアルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、テトラオキシメチレン、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種類以上組み合わせて使用してもよい。また、これらのアルデヒド類の前駆体あるいはこれらのアルデヒド類の溶液を使用することもできる。中でも、製造コストの観点から、ホルムアルデヒド水溶液を使用することが好ましい。
【0016】
本実施形態で用いられるレゾール型フェノール樹脂の合成のために使用される塩基性触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩;石灰等の酸化物;亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩;リン酸ナトリウム等のリン酸塩;アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ヘキサメチレンテトラミン、ピリジン等のアミン類等が挙げられる。
【0017】
本実施形態で用いられるレゾール型フェノール樹脂の合成のために使用される反応溶媒としては、水が一般的であるが、有機溶媒を使用してもよい。このような有機溶媒の具体例としては、アルコール類、ケトン類、芳香族類等が挙げられる。またアルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。芳香族類の具体例としては、トルエン、キシレン等が挙げられる。
【0018】
レゾール型フェノール樹脂の形態としては、固形、水溶液、溶剤溶液、および水分散液が挙げられる。中でも、作業性が良好となる点から、メタノール、エタノール、メチルエチルケトン、およびアセトンの溶剤溶液であることが好ましい。
【0019】
(ポリビニルブチラール)
本実施形態の接着剤組成物に用いられるポリビニルブチラールは、酸触媒の存在下、ポリビニルアルコールをブチルアルデヒドでブチラール化することにより得られるエラストマーである。ポリビニルブチラールの重量平均分子量は、特に限定されないが、ポリビニルブチラールの取り扱い性等の観点から、好ましくは1.0×10〜1.0×10であり、より好ましくは2.0×10〜8.0×10であり、さらに好ましくは3.3×10〜5.5×10である。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定されたポリスチレン換算によるものをいう。
【0020】
ポリビニルブチラールの重合度は、200〜3000のものが好ましい。重合度を200以上とすることにより、得られる接着剤組成物は摩擦材用として使用するのに十分な接着強度を有し、重合度を3000以下とすることにより、得られる接着剤組成物の溶融時の粘度を低く抑えることができ、これにより、金属基材に塗布する際の取扱い性が良好となるとともに、金属基材と摩擦材とを強固に接着することができる。
【0021】
ポリビニルブチラールの含有量は、レゾール型フェノール樹脂100重量部に対し、好ましくは、1重量部以上50重量部以下であり、より好ましくは、5重量部以上30重量部以下である。ポリビニルブチラールの含有量を下限値以上とすることにより、得られる接着剤組成物は摩擦材用として使用するのに十分な接着強度を有し、上限値以下とすることにより、接着剤組成物の溶融時の粘度を低く抑えることができ、塗布性や作業性を改善できる。
【0022】
(エポキシ樹脂)
本実施形態の接着剤組成物は、エポキシ樹脂を含む。本実施形態で用いられるエポキシ樹脂として、1分子中に2つ以上のエポキシ基を有する、換言すると、2官能以上のエポキシ樹脂を用いることが好ましい。このようなエポキシ樹脂を用いることにより、優れた接着性を有する接着剤組成物を得ることができる。
【0023】
2官能以上のエポキシ樹脂としては、例えば、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂等のゴム変性エポキシ樹脂;ε−カプロラクトン変性エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂;о−クレゾールノボラック型等のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂;環状脂肪族多官能エポキシ樹脂、グリシジルエステル型多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型多官能エポキシ樹脂、複素環式多官能エポキシ樹脂、ビスフェノール変性ノボラック型エポキシ樹脂、多官能変性ノボラック型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物型エポキシ樹脂、フルオレン骨格を含有するエポキシ樹脂、アダマンタン骨格を導入したエポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに限定されない。これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
接着剤組成物中のエポキシ樹脂の含有量は、接着剤組成物の固形分全体に対して、5質量%以上50質量%以下であり、好ましくは、10質量%以上40質量%以下であり、より好ましくは、15質量%以上35質量%以下である。エポキシ樹脂を上記範囲内の量で用いることにより、優れた接着性を有するとともに、湿式摩擦材用接着剤として使用するのに適切な溶剤溶解性を有する接着剤組成物を得ることができる。
【0025】
実施形態の接着剤組成物は、従来の接着剤に接着性の改善のために使用されていたニッケルやコバルトといった環境負荷の高い物質を実質的に含まない。このような本実施形態の接着剤組成物は、これを用いて作製される摩擦板の制動時に発生する摩耗粉にこれらの環境負荷の高い物質が含まれないため、環境汚染の虞がない。また、本実施形態の接着剤組成物は、エポキシ樹脂を含むことにより、ニッケルやコバルトを含まなくても、高い接着性を備え得る。
【0026】
本実施形態の接着剤組成物は、上記成分に加え、本発明の効果を損なわない範囲で、ニトリルブタジエンゴムおよびスチレンブタジエンゴム等のエラストマー、界面活性剤、難燃剤、酸化防止剤、着色剤、シランカップリング剤等の添加剤を含んでもよい。
【0027】
(接着剤組成物の製造)
本実施形態に係る接着剤組成物は、上述した成分を、公知の方法により混合することにより得られる。接着剤組成物は、取扱い性の観点から、好ましくは、有機溶媒に溶解された溶液形態で提供される。用いられ得る有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系有機溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系有機溶媒、トルエン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒、およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
本実施形態の接着剤組成物は、上記成分を含むことにより、優れた接着性を有するとともに、溶剤溶解性に優れる。本実施形態の接着剤組成物は、溶解性の指標としてのメタノールトレランス(25℃)が1000%以上である。そのため、使用時の作業性および塗工性に優れる。なお、メタノールトレランスの値が高いほど、メタノールに対する溶解性が高いことを示し、湿式摩擦材用接着剤の用途においては、100%以上が求められる。
なお、メタノールトレランスは、以下のようにして測定できる。
まず、500mlのメスシリンダーに10mlの接着剤組成物を測り取り、25℃に保ち撹拌しながら、徐々にメタノールを添加して行う。接着剤組成物とメタノールの混合溶液が白濁した時点のメタノールの添加量(体積)から次式により算出する。
メタノールトレランス(%)=(メタノール添加量(ml)/接着剤組成物10ml)×100
【0029】
また、本実施形態の接着剤組成物の粘度は、例えば、300mPa以上、10000mPa以下であり、好ましくは450mPa以上、8000mPa以下であり、より好ましくは、600mPa以上、6000mPa以下である。このような範囲の粘度を有する接着剤組成物は、高い接着強度を有するとともに、作業性および塗工性において優れる。
なお、粘度は、JIS Z8803に準拠して、E型粘度計(東機産業社製)を用いて測定される。
【0030】
本実施形態の接着剤組成物は、湿式摩擦板を作製するために好適に使用される。湿式摩擦板は、金属基材(鋼板)と摩擦板とを、本実施形態の接着剤組成物を用いて接着することにより作製される。より詳細には、湿式摩擦板は、金属基材に本実施形態の接着剤組成物を塗布し、この金属基材の接着剤組成物が塗布された面上に、摩擦材を配置して接着させることにより製造される。本実施形態の接着剤組成物は、塗工性および作業性に優れるため、上記の工程が首尾よく実施できる。またこのようにして得られた湿式摩擦板は、摩擦板と金属基材とが強固に接着されているため、優れた強度を有する。
【0031】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【実施例】
【0032】
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】
(実施例1)
[レゾール型フェノール樹脂の合成]
撹拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置に、フェノール100重量部、37%ホルマリン水溶液117重量部(フェノール/ホルマリンのモル比=1.2)、30%アンモニア水溶液4重量部を添加し、還流条件下で40分間反応させた。その後、91kPaの減圧条件下で脱水を行いながら系内の温度が70℃に達したところでメタノールを20重量部加えて、80℃で1時間反応させた。次いで、メタノールを80重量部を加えることにより、不揮発分50%のレゾール型フェノール樹脂を得た。
【0034】
[接着剤組成物の調製]
得られたレゾール型フェノール樹脂100重量部と、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)13重量部と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂16重量部と、メタノール15重量部を溶解させて混合し、固形分全体に対してエポキシ樹脂を20質量%含む接着剤組成物を得た。
【0035】
(実施例2)
実施例1で得られたレゾール型フェノール樹脂100重量部と、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)13重量部と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂27重量部と、メタノール15重量部を溶解させて混合し、固形分全体に対してエポキシ樹脂を30質量%含む接着剤組成物を得た。
【0036】
(実施例3)
実施例1で得られたレゾール型フェノール樹脂100重量部と、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)13重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂16重量部と、メタノール15重量部を溶解させて混合し、固形分全体に対してエポキシ樹脂を20質量%含む接着剤組成物を得た。
【0037】
(実施例4)
実施例1で得られたレゾール型フェノール樹脂100重量部と、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)13重量部と、ノボラック型エポキシ樹脂16重量部と、メタノール15重量部を溶解させて混合し、固形分全体に対してエポキシ樹脂を20質量%含む接着剤組成物を得た。
【0038】
(比較例1)
得られたレゾール型フェノール樹脂100重量部と、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)12重量部と、メタノール12重量部を溶解させて混合し、接着剤組成物を得た。
【0039】
実施例および比較例で得られた接着剤組成物を、以下の項目について評価した。
【0040】
・接着剤組成物の溶剤への溶解性:接着剤組成物の溶剤への溶解性は、メタノールトレランスを指標として評価した。メタノールトレランスは、500mlのメスシリンダーに10mlの接着剤組成物を測り取り、25℃に保ち撹拌しながら、徐々にメタノールを添加し、接着剤組成物とメタノールの混合溶液が白濁した時点のメタノールの添加量(体積)から、次式により算出した。結果を表1に示す。
メタノールトレランス(%)=(メタノール添加量(ml)/接着剤組成物(10ml))×100
【0041】
・塗工性(粘度):接着剤組成物の塗工性は、粘度を指標として評価した。樹脂組成物の粘度は、JIS Z8803に準拠して、E型粘度計(東機産業社製)を用いて測定した。結果を表1に示す。
【0042】
・接着強度(非剥離面積率):酸洗鋼板に、上述の接着剤組成物を塗布し、アラミド基材にフェノール樹脂を含浸・硬化させて作製した含浸紙を熱プレス(250℃、10MPa)で接着し、90℃折り曲げた時に接着面が剥離していない面積を測定し、折り曲げる前の接着面積に対する割合(%)を算出した。なお、非剥離面積率が高い程、接着強度が高いことを示し、剥離面積率が80%以上であれば、摩擦材用の接着剤として問題なく使用できる。結果を表1に示す。
【0043】
・作業性:接着剤組成物をステンレスバットに入れ、メタノールでステンレスバットを洗浄した際の洗浄作業性を、以下の基準に従って評価した。結果を表1に示す。
◎:洗浄作業性が非常に良好。
○:洗浄作業性が良好。
×:ステンレスバット内に付着物が見られ洗浄性が悪かった。
【0044】
【表1】
【0045】
実施例の接着剤組成物は、高い接着強度を有するとともに、作業性においても優れており、湿式摩擦材用の接着剤として好適に使用できるものであった。