【課題】従来の装置は、多量に混合ガスを発生させるには全体の構造が大掛りとなりやすく、コンパクトにしようとすればガスの発生効率が低下し、複数の電極板を配設した場合は、それぞれの電極を電源に接続する必要があり、配線が複雑であった。
【解決手段】電解液タンクと電解室とを隣接して互いに電解液を流通自在とし、電解室内には陽極板と陰極板とを対向配置すると共に、各電極板の間には一定の間隔を保持して多数のコモン電極板を対向配置し、各電極板の間及びコモン電極板と陰陽極板との間にはそれぞれ非電導部材からなる所定厚みのパッキンを密着状に挟持し、パッキン中央には電解液貯留用の大径穴を形成すると共に、コモン電極板には電解液循環用往路小孔と電解液循環用復路小孔とを挟持パッキンの大径穴に連通状態で穿孔し、電解室で生成した水素と酸素の混合ガスを電解液タンクから導出して電解液タンク外の所定の燃料燃焼室に噴霧自在とした。
コモン電極板に穿設した電解液循環用往路小孔と電解液循環用復路小孔は、電解液循環用往路小孔をコモン電極板下部に、電解液循環用復路小孔をコモン電極板上部にそれぞれ左右互い違いに配設すると共に、隣接する各コモン電極板にもそれぞれ左右互い違いに配設したことを特徴とする請求項1に記載の水素ガス等の発生装置。
電解液タンクの天井部近傍には当該電解液タンク内周面と邪魔板周縁との間に一定の間隙を形成する邪魔板を配設し、邪魔板周縁の間隙をガス流通空間としたことを特徴とする請求項2に記載の水素ガス等の発生装置。
電解室に隣接する電解液タンク側壁には電解室内の各電極板に設けた電解液循環用往路小孔と電解液循環用復路小孔にそれぞれ連通する電解液タンク用往路小孔と電解液タンク用復路小孔を穿設したことを特徴とする請求項5に記載の水素ガス等の発生装置。
電解液タンクの外部には邪魔板のガス流通空間から電解液タンク外に導出する混合ガスを浄化するための整水部とフィルター部を配設したことを特徴とする請求項6に記載の水素ガス等の発生装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に係る水素ガス等の発生装置は、一対の陽極電極と陰極電極を電解液タンクの中に電解機構として内蔵したものであるため、多量に混合ガスを発生させるには全体の構造が大掛りとなりやすく、逆に、コンパクトにしようとすれば電極板の面積を縮小せざるをえず、当該ガスの発生効率が低下し短時間で充分な水素と酸素の混合ガスを生成することが困難であった。
【0008】
特許文献2に記載の水素発生装置は、電気分解槽内には、プラス電極とマイナス電極の対ごとに不導体の材料、例えばプラスチック製の板部材で形成された中仕切り部材が水平方向に着脱可能に配置されている。中仕切り部材、側面部、正面部、背面部、そして蓋部材が形成する直方体形状の空間領域は、電気分解槽内におけるHHOガスのガス収集室を形成し、それぞれのプラス電極とマイナス電極は、電源に電気的に接続されているものであるために、それぞれの電極を直流電源に接続する必要があり、配線が複雑であった。
また、プラス電極とマイナス電極の対ごとに中仕切り部材を必要とし、かつ、それを各電極の対ごとに挿入する必要があるため、構造が複雑であった。
【0009】
特許文献3に記載の水素発生装置は、電気分解槽に水溶液を収容し、複数の炭素繊維電極を水溶液に浸漬されて配置し、プラス電極とマイナス電極は電源に対し、例えば直流24Vの電源に電気的に接続されているため、それぞれのプラス電極とマイナス電極を電源に接続する必要があり、配線が複雑であった。
そこで、かかる問題点を解決するために小型軽量かつ構造が簡単で当該ガスを効率よく生成することができる水素ガス等の発生装置が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、電解液タンクと電解室とを隣接して互いに電解液を流通自在とし、電解室内には陽極板と陰極板とを対向配置すると共に、各電極板間には一定の間隔を保持して多数のコモン電極板を対向配置し、各電極板の間及びコモン電極板と陰陽極板との間にはそれぞれ非電導部材からなる所定厚みのパッキンを密着状に挟持し、パッキン中央には電解液貯留用の大径穴を形成すると共に、コモン電極板には電解液循環用往路小孔と電解液循環用復路小孔とを挟持パッキンの大径穴に連通状態で穿孔し、電解室で生成した水素と酸素の混合ガスを電解液タンクから導出して、電解液タンク外の所定の燃料燃焼室に噴霧自在としたことを特徴とする。
【0011】
また、コモン電極板に穿設した電解液循環用往路小孔と電解液循環用復路小孔は、電解液循環用往路小孔をコモン電極板下部に、電解液循環用復路小孔をコモン電極板上部にそれぞれ左右互い違いに配設すると共に、隣接する各コモン電極板にもそれぞれ左右互い違いに配設したことを特徴とする。
【0012】
また、電解液タンクの天井部近傍には当該電解液タンク内周面と邪魔板周縁との間に一定の間隙を形成する邪魔板を配設し、邪魔板周縁の間隙をガス流通空間としたことを特徴とする。
【0013】
また、電極板間に密着介在したパッキンよりも上方に突出したコモン電極板上部を電解液冷却用の冷却フィンとしたことを特徴とする。
【0014】
また、陽極板と陰極板と各コモン電極板は、電解液タンクから突出した連結ボルトにより互いに密着連結したことを特徴とする。
【0015】
また、電解室に隣接する電解液タンク側壁には電解室内の各電極板に設けた電解液循環用往路小孔と電解液循環用復路小孔にそれぞれ連通する電解液タンク用往路小孔と電解液タンク用復路小孔を穿設したことを特徴とする。
【0016】
また、電解液タンクの外部には邪魔板のガス流通空間から電解液タンク外に導出する混合ガスを浄化するための整水部とフィルター部を配設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、電解液タンクと電解室とを隣接して互いに電解液を流通自在とし、電解室内には陽極板と陰極板とを対向配置すると共に、各電極板間には一定の間隔を保持して多数のコモン電極板を対向配置し、各電極板の間及びコモン電極板と陰陽極板との間にはそれぞれ非電導部材からなる所定厚みのパッキンを密着状に挟持し、パッキン中央には電解液貯留用の大径穴を形成すると共に、コモン電極板には電解液循環用往路小孔と電解液循環用復路小孔とを挟持パッキンの大径穴に連通状態で穿孔し、電解室で生成した水素と酸素の混合ガスを電解液タンクから導出して電解液タンク外の所定の燃料燃焼室に噴霧自在としている。これにより、電解室内に対向配置した陽極板と陰極板との間に印加された所定の電圧は、一定の間隔を保持して対向配置された多数のコモン電極板同士で分圧され、それぞれのコモン電極板同士間で電気分解を行うため、電極の実効面積を大きくすることができ、小さい容積の電解室で多量の電気分解による水素ガス等を効率よく発生させることができる。また、コモン電極板を図示しない電源装置に接続するための配線が不要となり、コストを低減することができる。
その結果、小型軽量で安価な水素ガス等の発生装置を提供することができる。
【0018】
請求項2の発明によれば、コモン電極板に穿設した電解液循環用往路小孔と電解液循環用復路小孔は、電解液循環用往路小孔をコモン電極板下部に、電解液循環用復路小孔をコモン電極板上部にそれぞれ左右互い違いに配設すると共に、隣接する各コモン電極板にもそれぞれ左右互い違いに配設したことにより、電解液の流通路を、各コモン電極板の配列方向に沿ってそれぞれ左右互い違いにとることになるため、電解液が満遍なく循環するよう構成することができる。これにより、電解液が局所的に電気分解されることがなく、電解液全体を電気分解に使用することができ、少ない電解液の液量で効率よく電気分解を行うことができる。
【0019】
請求項3の発明によれば、電解液タンクの天井部近傍には当該電解液タンク内周面と邪魔板周縁との間に一定の間隙を形成する邪魔板を配設し、邪魔板周縁の間隙をガス流通空間としたことにより、電気分解によって温度が上昇し、湯気となった電解液タンク内の電解液は、当該邪魔板に接触して凝縮し、電解液タンクの液槽へ滴下して戻っていくため、電解液の消耗を防ぐことができる。
【0020】
また、電解液タンクの天板に配設された純水注入口から給水する際は、給水された純水は、当該邪魔板に当たって邪魔板周縁と電解液タンク内周面との間に形成された一定の間隙から電解液タンク内に注水されるため、電解液タンクへ直接注水されることがない。このため電気分解により生成された水素ガス等の微小気泡が、注水により攪拌されることなく電解液内に自然に浮上して水素ガス等を分離することができる。
【0021】
また、本水素ガス等の発生装置を車両や小型船舶等に搭載すると、車両の走行や小型船舶の航行に伴う揺動により電解液の液面が前後左右に上下し、場合によっては、電解液が電解液タンクの天面まで達する虞がある。そこで、当該邪魔板を配設することによって天面に達することを防止することができる。
【0022】
請求項4の発明によれば、電極板間に密着介在したパッキンよりも上方に突出したコモン電極板上部を電解液冷却用の冷却フィンとしたことにより、冷却ファンを使用することなくコモン電極板上部から電解液の発生熱を放散することができる。また、仮に、電解液の温度が高い場合は、温度センサによって電解液温度を計測して冷却ファンを稼働させるように構成した場合においても、電解液の温度が下がれば冷却ファンの稼働を停止させることができるため、省エネルギー化を図ることができる。
【0023】
請求項5の発明によれば、陽極板と陰極板と各コモン電極板は、電解液タンクから突出した連結ボルトにより互いに密着連結したことにより、電解室は、陽極板と陰極板と各コモン電極板を、電解液タンクから突出した連結ボルトにコモン電極板とパッキンを交互に所定の枚数を密着連結して挿入し、ナットを締める構造とすることができるため、組立が簡単で、かつ、コモン電極板同士を絶縁するとともに、スペーサ等を使用しなくてもコモン電極板同士の間隔を均一にすることができ、間隔調整が不要となりコストを低減することができる。
【0024】
請求項6の発明によれば、電解室に隣接する電解液タンク側壁には電解室内の各電極板に設けた電解液循環用往路小孔と電解液循環用復路小孔にそれぞれ連通する電解液タンク用往路小孔と電解液タンク用復路小孔を穿設したことにより、電解室と電解液タンクとを連結する配管が不要となり、小型化を実現することができる。また、電解液タンク用往路小孔と電解液タンク用復路小孔により電解液を自然循環させることができ、常時ウォーターポンプにより電解液を循環させる必要がなく、省エネルギーを実現することができる。
【0025】
請求項7の発明によれば、電解液タンクの外部には邪魔板のガス流通空間から電解液タンク外に導出する混合ガスを浄化するための整水部とフィルター部を配設したことにより、混合ガスを、整水部に通過させることで、混合ガスに含まれている不純物を取り除くことができ、フィルター部を通過させることで、混合ガスに含まれている水分を取り除くことができる。
【0026】
当該不純物及び水分を取り除いた混合ガスは、図示しないエンジンの燃料燃焼室に噴霧自在となっており、例えば、ディーゼルエンジンの吸気系統から吸入する空気に当該混合ガスを注入して当該エンジンのシリンダー内で軽油燃料と共に爆発させ、動力源とするとともに、エンジン内で燃料と吸入した空気及び混合ガスの酸素とを燃焼させる。
さらに、これに加えて、当該混合ガス中の水素ガスと酸素ガスとを燃焼させることによりエンジン内での完全燃焼を図ることができる。また、完全燃焼化を実現することにより、不完全燃焼に伴って発生するエンジン内のカーボンなどの汚れを除去し、排気ガスの清浄化と化石燃料の使用量を削減し、燃費を改善することができるため、環境保護に貢献することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
この発明の要旨は、電解液タンクと電解室とを隣接して互いに電解液を流通自在とし、電解室内には陽極板と陰極板とを対向配置すると共に、各電極板の間には一定の間隔を保持して多数のコモン電極板を対向配置し、各電極板の間及びコモン電極板と陰陽極板との間にはそれぞれ非電導部材からなる所定厚みのパッキンを密着状に挟持し、パッキン中央には電解液貯留用の大径穴を形成すると共に、コモン電極板には電解液循環用往路小孔と電解液循環用復路小孔とを挟持パッキンの大径穴に連通状態で穿孔し、電解室で生成した水素と酸素の混合ガスを電解液タンクから導出して電解液タンク外の所定の燃料燃焼室に噴霧自在としたこと、また、コモン電極板に穿設した電解液循環用往路小孔と電解液循環用復路小孔は、電解液循環用往路小孔をコモン電極板下部に、電解液循環用復路小孔をコモン電極板上部にそれぞれ左右互い違いに配設すると共に、隣接する各コモン電極板にもそれぞれ左右互い違いに配設したこと、また、電解液タンクの天井部近傍には当該電解液タンク内周面と邪魔板周縁との間に一定の間隙を形成する邪魔板を配設し、邪魔板周縁の間隙をガス流通空間としたこと、また、電極板間に密着介在したパッキンよりも上方に突出したコモン電極板上部を電解液冷却用の冷却フィンとしたこと、また、陽極板と陰極板と各コモン電極板は、電解液タンクから突出した連結ボルトにより互いに密着連結したこと、また、電解室に隣接する電解液タンク側壁には電解室内の各電極板に設けた電解液循環用往路小孔と電解液循環用復路小孔にそれぞれ連通する電解液タンク用往路小孔と電解液タンク用復路小孔を穿設したこと、また、電解液タンクの外部には邪魔板のガス流通空間から電解液タンク外に導出する混合ガスを浄化するための整水部とフィルター部を配設したこと等を特徴とする。
【0029】
以下、本発明の水素ガス等の発生装置100に関する実施例を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明に係る水素ガス等の発生装置100の側面図、
図2は、本発明に係る水素ガス等の発生装置100の要部、特に電解室2の各電極板に関する分解説明図、
図3は、本発明に係る水素ガス等の発生装置100の平面図を示す。
【0030】
電解液タンク1と電解室2とは、
図1乃至
図3に示すように、隣接密着して互いに電解液3を流通自在としている。
すなわち、電解液タンク1は、
図1乃至
図3に示すように、略方形状のステンレス鋼板で形成された内部に電解液3を収容する外周を溶接して形成された密閉状の箱体である。電解液タンク1の左側面には、
図1に示すように、電解液3の液位を見るための液面計31が取り付けられている。液面計31は、その表示する液位と同じ高さに電解液タンク1内の電解液3があることを示すものであり、電解液タンク1内に電解液3が所定の容量入っているか否かを確認するものである。
【0031】
電解液タンク1の右側面には、電解室2を構成するための、例えば、4本の連結ボルト21が右方向に突出している。また、右側面の上下2個所には電解室2と電解液タンク1を連通するための電解液タンク用往路小孔13Lと電解液タンク用復路小孔13Uが、左右に所定の間隔だけずらせて上下に穿設されている。なお前記右側面の4本の連結ボルト21及び上下2個所の電解液タンク用往路小孔13Lと電解液タンク用復路小孔13Uの詳細については後述する。
【0032】
電解液タンク1の背面下方には、
図3及び
図7に示すように、電解液循環装置40に連結する電解液出口14が設けられている。
電解液循環装置40は、ウォーターポンプ4、バイオグラス5及び冷却ファン6から構成された電解液3の循環冷却装置である。具体的には、電解液タンク1内の電解液3の温度が、所定の温度、例えば、45℃に達したときに、ウォーターポンプ4を起動し、前記電解液出口14から電解液3を吸入し、バイオグラス5に送出する。
【0033】
バイオグラス5は、電解液3を浄化する装置であり、同時に冷却ファン6により電解液3を冷却する。そして浄化され、冷却された電解液3は、
図7に示すように、後述する電解液タンク1の天面に設けた循環液戻り口15を介して再び電解液タンク1に戻ってくる。
電解液循環装置40は、以上のようにして、電解液3の温度が所定の値に達したときに作動し、電解液3をバイオグラス5で浄化するとともに冷却ファン6で冷却して再び電解液タンク1に戻すものである。
【0034】
電解液タンク1の天面には、
図3に示すように、前記循環液戻り口15、純水注入口16、温度センサ17、安全弁18及びガス排出継手19の取付け用の丸穴が穿設され、それぞれに循環液戻り口15、純水注入口16、温度センサ17、安全弁18及びガス排出継手19が取り付けられている。
純水注入口16は、電解液3を補充するための純水の注入口である。前記液面計31の液位が所定の高さを下回ったときに注水する。
【0035】
温度センサ17は、電解液3の温度を計測するためのセンサであり、例えば、測温抵抗体が使用される。測温抵抗体は、銅又は白金の抵抗値が所定の温度係数を有し、温度に対応してほぼ直線的に変化する特性を利用して、銅又は白金の細線で形成された抵抗器の抵抗値を、図示しないコントローラにより計測することにより温度を計測するものである。前記抵抗器はステンレス製の棒体内に収納されており、当該測温抵抗体の当該棒体部分を電解液3内に挿入して温度計測を行う。
【0036】
安全弁18は、電解液タンク1の圧力が所定の圧力を超えたときに弁を開放して電解液タンク1内を減圧し、爆発事故等の発生を防止するものである。
【0037】
循環液戻り口15は、先述のとおり、前記電解液循環装置40により浄化、冷却された電解液3の戻り口である。当該電解液3は、循環液戻り口15から電解液タンク1に注入され、電解液タンク1内の上部に配設された邪魔板11に当たって電解液タンク1の内周面方向に流れ、当該内周面と邪魔板11周縁との間に形成された一定の間隙から電解液3の液面に滴下する。このようにして、電解液3は浄化、冷却されて循環する。
【0038】
電解室2における電気分解により陽極板22には酸素ガス、陰極板23には水素ガスがモル比で2対1の割合で生成され、生成された水素ガス等は電解液タンク1の上部に配設された邪魔板11上の空間に充満する。
【0039】
ガス排出継手19は、当該邪魔板11上に充満した水素ガス等を外部に排出するための配管の継手である。すなわち、ガス排出継手19は、
図7に示すように、整水部7と配管接続される。なお、詳細は後述する。
【0040】
次に、電解室2について説明する。
電解室2は、
図1及び
図2に示すように、電解液タンク1の右側面の右方向に突出された4本の連結ボルト21を用いて構成される。
具体的には、
図2に示すように、電解室2には、その左右両端に陽極板22と陰極板23とを対向配置しており、当該陽極板22と陰極板23との間には、所定の枚数のパッキン26とコモン電極板24が交互に挿入されている。そして、これらを前記右方向に突出された4本の連結ボルト21が貫通してナット締めされることにより電解液3を収容する密閉空間を構成している。
【0041】
陽極板22は、
図4(a)に示すように、図示しない所定の電源装置、例えば、DC24Vバッテリの陽極側に接続される電気分解の陽極側の電極である。陽極板22はステンレス鋼板で形成された略縦長の長方形の板であり、前記4本の連結ボルト21を貫通するための挿通孔29が、4個所に穿設されている。
【0042】
陰極板23は、
図4(b)に示すように、前記陽極板22と同様に、図示しない、例えば、DC24Vバッテリの陰極側に接続される電気分解の陰極側の電極である。陰極板23はステンレス鋼板で形成された略縦長の長方形の板であり、前記4本の連結ボルト21を貫通するための挿通孔29が前記陽極板22と同様、4個所に穿設されている。また、前記4本の連結ボルト21を貫通するための挿通孔29で構成される枠内の、中心線から左右にずらせた上下の位置に、後述する電解液循環用往路小孔12Lと電解液循環用復路小孔12Uがそれぞれ穿設されている。
【0043】
前記陽極板22と陰極板23との間には、
図1に示すように、一定の間隔を保持して多数のコモン電極板24を対向配置している。
コモン電極板24は、電気分解を行う電極板である。コモン電極板24は、前記陽極板22と陰極板23との間に複数枚配設されており、図示しない、例えば、DC24Vバッテリの電圧を各電極板で分圧し、それぞれの電極板間で電気分解を行う。
【0044】
コモン電極板24は、
図5(a)及び(b)に示すように、ステンレス鋼板で形成された前記陽極板22よりやや縦方向が短い略長方形の板であり、前記4本の連結ボルト21を貫通するための挿通孔29が前記陽極板22と同様、4個所に穿設されている。また、
図5(a)及び(b)に示すように、前記4本の連結ボルト21を貫通するための挿通孔29で構成される枠内の、中心線から左右互い違いにずらせた上下の位置に、後述する電解液循環用往路小孔12Lと電解液循環用復路小孔12Uがそれぞれ穿設されている。
なお、
図5(b)の形状は、
図5(a)を裏返した形状であるため、
図5(a)の形状に加工されたものを裏返して使用することで、
図5(b)に示すコモン電極板24となる。
【0045】
パッキン26は、前記陽極板22、陰極板23及びコモン電極板24との間に挿入される非電導部材、すなわち絶縁物であり各電極板間を電気的に絶縁するものである。パッキン26は、前記絶縁物、例えば、ネオプレンで形成された略縦長の所定の厚みを有する長方形の板であり、
図6に示すように、前記4本の連結ボルト21を貫通するための挿通孔29が前記陽極板22と同様、四隅の4個所に穿設されている。
【0046】
そして、パッキン26の中央に、
図2及び
図6に示すように、電解液貯留用の大径穴27を形成すると共に、コモン電極板24には、
図6に示すように、電解液循環用往路小孔12Lと電解液循環用復路小孔12Uとを挟持パッキン26の大径穴27に連通状態で穿孔している。
コモン電極板24に穿設した電解液循環用往路小孔12Lと電解液循環用復路小孔12Uは、
図2に示すように、電解液循環用往路小孔12Lをコモン電極板24下部に、電解液循環用復路小孔12Uをコモン電極板24上部にそれぞれ左右互い違いに配設している。
【0047】
電解室2に隣接する電解液タンク1の右側壁には、
図2に示すように、電解室2内の電極板に設けた電解液循環用往路小孔12Lと電解液循環用復路小孔12Uにそれぞれ連通する電解液タンク用往路小孔13Lと電解液タンク用復路小孔13Uを穿設している。
したがって、電解室2内の電解液3は、左右互い違いに配設された電解液循環用復路小孔12U及び電解液タンク用復路小孔13Uを通って電解液タンク1内に流入する。また、電解液タンク1内の電解液3は、電解液タンク1の右側面下方に配設された電解液タンク用往路小孔13L及び左右互い違いに配設された電解液循環用往路小孔12Lを通って電解室2内に流入する。
このようにして、電解液3は電解室2と電解液タンク1との間を循環する。
【0048】
前記陽極板22と陰極板23と各コモン電極板24は、
図1乃至
図3に示すように、電解液タンク1から突出した4本の連結ボルト21に互いに密着連結されている。具体的には、陽極板22、陰極板23、各コモン電極板24及び各パッキン26は次のように組み立てられている。
【0049】
電解液タンク1から突出した4本の連結ボルト21は、先端の雄ネジ部分を除き、
図2に示すように、それぞれナイロンチューブ28で被覆されて電気的に絶縁されている。そこでまず、最初にパッキン26を連結ボルト21に挿入し、次に陰極板23を挿入し、次にパッキン26を挿入し、次にコモン電極板24を
図5(a)の状態で挿入し、次にパッキン26を挿入し、次にコモン電極板24を
図5(b)の状態で挿入する。以下同様にしてコモン電極板24とパッキン26を交互に挿入し、所定の枚数、例えば、陰極板23を1枚、コモン電極板24を7枚及びパッキン26を9枚、交互に挿入した後、最後に陽極板22を挿入する。
【0050】
そして、前記4本のそれぞれの連結ボルト21と、陽極板22に穿設した挿通孔29の内周面との隙間に絶縁用のシールパッキン32を挿入する。これにより前記各電極板は、4本の連結ボルト21及び締結用ナット33と電気的に絶縁される。次に、連結ボルト21に平ワッシャ34を挿入し、バネ座金35を挿入してナット33を締める。以上のようにして電解室2を構成することができる。
【0051】
電解室2は、以上のように構成されており、左側面は陰極板23で囲われて、左側に隣接する電解液タンク1とパッキン26を介して密着接続されているため水密構造が維持される。
右側面は陽極板22で囲われており、かつ、電解液タンク1から突出した4本の連結ボルト21は、前記シールパッキン26の4個の挿通孔29を貫通し、コモン電極板24と密着することにより水密構造が維持される。
また、電解室2の前後、上下方向は、パッキン26の内周面に囲われており、かつ、コモン電極板24とは前記4本の連結ボルト21により密着して締結されているため水密構造が維持されて、全体として密閉された水密状態の電解液槽を形成する。
【0052】
コモン電極板24上部は、
図1に示すように、当該コモン電極板24間に密着介在したパッキン26よりも所定の長さだけ上方に突出した構成としている。このため、当該コモン電極板24の上方への突出部分は電解液冷却用の冷却フィン25を形成する。すなわち、電気分解に伴い電解液3の温度が上昇し、これに連動して前記コモン電極板24の温度が上昇するが、発生した熱は当該冷却フィン25を介して大気中に放出され、電解液3の温度上昇を抑制することができる。
【0053】
したがって、冷却ファン6を使用することなくコモン電極板24上部から電解液3の発生熱を放散することができる。また、電解液3の温度が高い場合は、温度センサ17により電解液3の温度を計測して冷却ファン6を稼働させるよう構成した場合においても、電解液3の温度が下がれば冷却ファン6の稼働を停止させることができるため、省エネルギー化を図ることができる。
【0054】
本発明の水素ガス等の発生装置100の実施例は上記のように構成されており、かかる装置を用いて水素と酸素の混合ガスを生成する過程を説明する。
前記陽極板22、陰極板23及びコモン電極板24は、
図1に示すように、それぞれ非電導部材、すなわち絶縁物からなる所定厚みのパッキン26を密着状に挟持しており、電気的には、前記絶縁物を前記陽極板22、陰極板23及びコモン電極板24の相互間に挟んで形成された対向電極の直列回路を形成する。
【0055】
例えば、陽極板22と陰極板23の間に印加される電圧をV0とし、前記陽極板22と陰極板23の間に使用するパッキン26の枚数をn枚とすると、これにより直列接続されたn個の対向電極が形成され、各パッキン26の電気的物性的特性が均一であるとすれば、対向する各電極板間に印加される電圧Vは、V=V0/nとなる。
【0056】
したがって、電解室2内に対向配置した陽極板22と陰極板23との間に印加された、例えば、DC24V電圧は、一定の間隔を保持して対向配置された多数のコモン電極板24同士間でほぼ均等に分圧され、それぞれの対向するコモン電極板24同士が陽極板と陰極板からなる対向電極を構成し、当該コモン電極板24同士間において電気分解を行うことができる。
【0057】
このように構成することにより、電極板の実効面積を大きくすることができ、かつ、電極板同士の間隔を狭くすることができるため電解液3で形成される陽極板22と陰極板23間の電気抵抗が減少し、その分、多くの電流を流すことができるため、小さい容積の電解室2で多量の電気分解による水素ガス等を効率よく発生させることができる。その結果、小型軽量で安価な水素ガス等の発生装置100を提供することができる。
【0058】
具体的には、コモン電極板24と隣接するコモン電極板24により挟持されたパッキン26の電解液貯留用の大径穴27は、左右の各電極板で閉じられた一定の空間を形成する。そして、前記コモン電極板24と隣接するコモン電極板24間には、挟持されたパッキン26が非導電材であるため、例えば、DC24Vの印加電圧が分圧されて所定の電圧が印加され、前記電解液貯留用の大径穴27内における左右のコモン電極板24同士間において電気分解が行われる。
【0059】
電解室2における電気分解により、陽極側に面した電極板の表面には酸素ガスの微小気泡が、陰極側に面した電極板の表面には水素ガスの微小気泡が、両電極板の接する電解液3中に次々と発生する。
発生した当該水素ガス等の微小気泡は、水よりも軽いために電解液3中において上方に浮上していき、前記パッキン26の電解液貯留用の大径穴27の上方に集まってくる。当該大径穴27の上方には、電解液循環用復路小孔12Uが穿孔されているため、上方に浮上してきた水素ガス等の微小気泡は、次第に集まって水素と酸素の混合ガスを生成しながら、左右互い違いに配設された当該電解液循環用復路小孔12Uを通って電解液タンク1へ流入する。
【0060】
電解液タンク1へ流入して生成された水素と酸素の混合ガスは、電解液タンク1の上部空間に集まってくる。
電解液タンク1の天井部近傍には、
図1に示すように、当該電解液タンク内1の周面と邪魔板11周縁との間に、一定の間隙を形成するよう邪魔板11を配設し、邪魔板11周縁の間隙をガス流通空間としている。このため、集まってきた水素と酸素の混合ガスは、邪魔板11の上方に配設された空間に貯留される。
【0061】
電解液タンク1の邪魔板11の上方に配設された空間に前記混合ガスが貯留されるに伴い、貯留された混合ガスの圧力も加わって、電解液タンク1内の電解液3は、電解液タンク1の右側面下方に配設された電解液タンク用往路小孔13L及び左右互い違いに配設された電解液循環用往路小孔12Lを通って電解室2内に流入する。
また、電解室2内の電解液3、水素ガスや酸素ガスの微小気泡及びこれらの混合ガスは、左右互い違いに配設された電解液循環用復路小孔12U及び電解液タンク用復路小孔13Uを通って電解液タンク1内に流入する。
このようにして、電解液3は電解液タンク1と電解室2との間を循環する。
【0062】
電解液タンク1の前記空間に貯留された前記混合ガスは、
図7に示すように、電解液タンク1の上面の天板に配設された前記ガス排出継手19の配管を経由して、整水部7に流入する。整水部7は、前記混合ガスを浄化する装置である。整水部7の内部にはスチールウレタンと純水が入っており、前記混合ガスをスチールウレタンと純水中に通すことにより、混合ガス中に含まれている不純物を除去する。
【0063】
整水部7を通過して不純物が取り除かれた前記混合ガスは、さらにフィルター部8に送出される。フィルター部8は、混合ガス中に含まれている水分を除去するものである。
すなわち、混合ガスに含まれている不純物を整水部7で除去し、当該不純物を取り除いた混合ガスに含まれている水分をフィルター部8で取り除く。
【0064】
当該不純物及び水分を取り除いた混合ガスは、図示しないエンジンの燃料燃焼室に噴霧自在となっており、例えば、ディーゼルエンジンの吸気系統から吸入する空気に当該混合ガスを注入して当該エンジンのシリンダー内で軽油燃料と共に爆発させ、動力源とするとともに、エンジン内で燃料と吸入した空気及び混合ガスの酸素とを燃焼させる。さらに、これに加えて、当該混合ガス中の水素ガスと酸素ガスとを燃焼させることによりエンジン内での完全燃焼を図ることができる。また、完全燃焼化を実現することにより、不完全燃焼に伴って発生するエンジン内のカーボンなどの汚れを除去し、排気ガスの清浄化と化石燃料の使用量を削減し、燃費を改善することができるため、環境保護に貢献することができる。
【0065】
本発明に係る水素ガス等の発生装置100は、以上のように構成されているために、陽極板22、陰極板23のみならず、コモン電極板24同士間でも電気分解を行う。
すなわち、陰極板23の方向に面したコモン電極板24の表面は陽極として作用するために、当該表面には酸素ガスの微小気泡が発生し、陽極板22の方向に面したコモン電極板24の表面は陰極として作用するために、当該表面には水素ガスの微小気泡が発生する。これにより、電極の実効面積を大きくすることができ、小さい容積の電解室2で多量の電気分解による水素ガス等を効率よく発生させることができる。また、コモン電極板を図示しない電源装置に接続するための配線が不要となり、コストを低減することができる。
その結果、小型軽量で安価な水素ガス等の発生装置100を提供することができる。
【0066】
また、隣接する各コモン電極板24にも電解液循環用往路小孔12L及び電解液循環用復路小孔12Uをそれぞれ左右互い違いに配設したことにより、電解液3の流通路を、各コモン電極板24の配列方向に沿ってそれぞれ左右互い違いにとることになるため、電解液3が満遍なく循環するよう構成することができる。これにより、電解液3が局所的に電気分解されることがなく、電解液3全体を電気分解に使用することができ、少ない電解液3の液量で効率よく電気分解を行うことができる。
【0067】
また、邪魔板11周縁の間隙をガス流通空間としたことにより、電気分解によって温度が上昇し、湯気となった電解液タンク1内の電解液3は、当該邪魔板11に接触して凝縮し、電解液タンク1の液槽へ滴下して戻っていくため、電解液3の消耗を防ぐことができる。
【0068】
また、電解液タンク1の天板に配設された純水注入口16から給水する際は、給水された純水は、当該邪魔板11に当たって邪魔板11周縁と電解液タンク1内周面との間に形成された一定の間隙から電解液タンク1に注水されるため、直接電解液タンク1へ注水されることがない。このため電気分解により生成された水素ガス等の微小気泡が、注水により攪拌されることなく電解液3内に自然に浮上して水素ガス等を分離することができる。
【0069】
また、本水素ガス等の発生装置100を、車両や小型船舶等に搭載すると、車両の走行や小型船舶の航行に伴う揺動により電解液3の液面が前後左右に上下し、場合によっては、電解液3が電解液タンク1の天面まで達する虞がある。そこで、当該邪魔板11を配設することによって天面に達することを防止することができる。
【0070】
また、パッキン26よりも上方に突出したコモン電極板24上部を電解液3冷却用の冷却フィン25としたことにより、冷却ファン6を使用することなくコモン電極板24上部から電解液3の発生熱を放散することができる。また、仮に、電解液3の温度が高い場合は、温度センサ17によって電解液3の温度を計測して冷却ファン6を稼働させるように構成した場合においても、電解液3の温度が下がれば冷却ファン6の稼働を停止させることができるため、省エネルギー化を図ることができる。
【0071】
また、電解室2は、陽極板22と陰極板23と各コモン電極板24を、電解液タンク1から突出した連結ボルト21にコモン電極板24とパッキン26を交互に所定の枚数を密着連結して挿入し、ナット33を締める構造とすることができるため、組立が簡単で、かつ、コモン電極板同士を絶縁するとともに、スペーサ等を使用しなくてもコモン電極板同士の間隔を均一にすることができ、間隔調整が不要となりコストを低減することができる。
【0072】
また、電解室2に隣接する電解液タンク1の側壁には電解室2内の各電極板に設けた電解液循環用往路小孔12Lと電解液循環用復路小孔12Uにそれぞれ連通する電解液タンク用往路小孔13Lと電解液タンク用復路小孔13Uを穿設したことにより、電解室2と電解液タンク1とを連結する配管が不要となり、小型化を実現することができる。また、電解液タンク用往路小孔13Lと電解液タンク用復路小孔13Uにより電解液3を自然循環させることができ、常時ウォーターポンプ4により電解液3を循環させる必要がなく、省エネルギーを実現することができる。
【0073】
また、電解液タンク1の外部には邪魔板11のガス流通空間から電解液タンク1の外に導出する混合ガスを浄化するための整水部7とフィルター部8を配設したことにより、混合ガスを、整水部7に通過させることで、混合ガスに含まれている不純物を取り除くことができ、フィルター部8を通過させることで、混合ガスに含まれている水分を取り除くことができる。
【0074】
当該不純物及び水分を取り除いた混合ガスは、図示しないエンジンの燃料燃焼室に噴霧自在となっており、例えば、ディーゼルエンジンの吸気系統から吸入する空気に当該混合ガスを注入して当該エンジンのシリンダー内で軽油燃料と共に爆発させ、動力源とするとともに、エンジン内で燃料と吸入した空気及び混合ガスの酸素とを燃焼させる。
さらに、これに加えて、当該混合ガス中の水素ガスと酸素ガスとを燃焼させることによりエンジン内での完全燃焼を図ることができる。また、完全燃焼化を実現することにより、不完全燃焼に伴って発生するエンジン内のカーボンなどの汚れを除去し、排気ガスの清浄化と化石燃料の使用量を削減し、燃費を改善することができるため、環境保護に貢献することができる。
【0075】
以上の実施形態において説明した本発明に係る水素ガス等の発生装置は、上述した実施形態に限られず、上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更した構成、公知発明及び上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更した構成等も含まれる。また、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物にまで及ぶものである。
【0076】
例えば、本発明の実施形態では、電解液タンク1や電解室2を構成する材料をステンレス鋼板であるとして説明したが、ステンレス鋼板に限定されるものではない。
【0077】
また、コモン電極板24を構成する材料をステンレス鋼板であるとして説明したが、ステンレス鋼板に限定されるものではなく、例えば、マグネシウムやチタンを使用しても差し支えない。特に、マグネシウムは汚れが少なくなるという効果を奏する。
【0078】
また、本発明の実施形態では、
図2、
図4乃至
図6に示すように、電解液循環用往路小孔12Lと電解液循環用復路小孔12U及び電解液タンク用往路小孔13Lと電解液タンク用復路小孔13Uを丸孔であるとして説明したが、特段丸孔に限定されるものではなく、四角孔や六角孔であっても半円形であっても何ら差し支えない。
また、これらの孔径についても必要に応じて任意の大きさにしてもよい。
この点については、パッキン26の電解液貯留用の大径穴27においても同様である。
【0079】
また、電解液循環用往路小孔12Lと電解液循環用復路小孔12U及び電解液タンク用往路小孔13Lと電解液タンク用復路小孔13Uの孔径の大きさを変えてもよい。例えば、復路小孔12U、13Uは主として混合ガスを主体とする気体が通過するために、気体の通過しやすいように、往路小孔12L、13Lよりも大きな孔径としてもよい。
【0080】
また、陽極板22と陰極板23の間に印加される所定の電圧を、例えば、DC24Vであるとして説明したが、特段DC24Vに限定されるものではなく、何ボルトであっても差し支えない。また、直流電圧に限定されるものではなく、交流電圧であっても差し支えない。
【0081】
また、電解液3の温度を計測するための温度センサ17は、測温抵抗体を使用した場合について説明したが、特段測温抵抗体に限定されるものではなく、熱電対やサーミスタなどを使用しても何ら差し支えない。
【0082】
また、電解液3の温度が高い場合は、陽極板22と陰極板23の間に印加される所定の電圧値または両電極間に通電する電流値を低減することによって電解液3の発熱を抑制し、電解液3の温度が低い場合は、陽極板22と陰極板23の間に印加される所定の電圧または両電極間に通電する電流値を増加させ、電解液3の発熱を許容して電気分解を促進させるようにすることもできる。これにより、冷却ファン6を使用しない構成とすることもできる。