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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-173688(P2020-173688A)
(43)【公開日】2020年10月22日
(54)【発明の名称】レセプト作成支援システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/20 20180101AFI20200925BHJP
【FI】
   G16H40/20
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-76110(P2019-76110)
(22)【出願日】2019年4月12日
(11)【特許番号】特許第6651114号(P6651114)
(45)【特許公報発行日】2020年2月19日
(71)【出願人】
【識別番号】502351659
【氏名又は名称】株式会社医療情報技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100196760
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 浩司
(72)【発明者】
【氏名】姫野 信吉
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】病名エントリーならびに、薬剤、検査、処置の医療行為エントリーを、階層構造を有するツリー状に配置し、共通属性をまとめて適切な階層のエントリーに記録することで、適応病名や適応医療行為に関する記録量を圧縮し、一貫性のある見通しの良い記録を行う。
【解決手段】レセプト作成支援システムにおいて、保険診療で使用が認められている病名のリストと、前記病名ごとに適応が認められている薬剤、検査、処置(以下、医療行為)を記録した病名ごと適応医療行為記録手段を備える。さらに、ある患者の限定期間内の病名と医療行為のリスト(以下、レセプトまたは診療報酬請求明細書)に対して、リストされている医療行為ごとに、当該医療行為が適応であると認められている病名があるかどうかを検索し、もし無ければ、警告を発する医療行為適応病名検証手段を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保険診療で使用が認められている病名のリストと、
前記病名ごとに適応が認められている薬剤、検査、処置(以下、医療行為)を記録した病名ごと適応医療行為記録手段を備え、
ある患者の限定期間内の病名と医療行為のリスト(以下、レセプトまたは診療報酬請求明細書)に対して、リストされている医療行為ごとに、当該医療行為が適応であると認められている病名があるかどうかを検索し、もし無ければ、警告を発する医療行為適応病名検証手段を備えていることを特徴とするレセプト作成支援システム。
【請求項2】
前記医療行為(薬剤、検査、処置)ごとに適応が認められている病名のリストを記録した医療行為ごと適応病名記録手段を備え、
前記医療行為適応病名検証手段で適応病名不存在が指摘された医療行為に対して、適応病名のリストを提示する医療行為適応病名提示手段を備えていることを特徴とする請求項1記載のレセプト作成支援システム。
【請求項3】
医療行為ごと適応病名記録手段を用いて、レセプト上の病名リストと医療行為リストの突合を行い、対応する医療行為が存在しない病名があれば、当該病名の削除を提案する病名削除提案手段を備えていることを特徴とする請求項2記載のレセプト作成支援システム。
【請求項4】
前記病名ごと適応医療行為記録手段は、病名ないし病名をまとめた分類名からなる病名エントリーから成り、
前記病名エントリーは、
(1)当該病名ないし病名をまとめた分類名に関する適応医療行為を含む属性を記録する病名エントリー属性記録手段、
(2)前記病名エントリー間の親子関係を規定する病名エントリー親子関係リンク手段、
(3)前記病名エントリー親子関係リンク手段を介して親の病名エントリー属性記録手段に記録されている属性を子の病名エントリー属性記録手段に継承する病名エントリー属性記録親子継承手段を有する、階層構造を有する病名ごと適応医療行為記録備えていることを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載のレセプト作成支援システム。
【請求項5】
前記医療行為ごと適応病名記録手段は、医療行為ないし医療行為をまとめた分類名からなる医療行為エントリーから成り、
前記医療行為エントリーは、
(1)当該医療行為ないし医療行為をまとめた分類名に関して適応病名を含む属性を記録する医療行為エントリー属性記録手段、
(2)前記医療行為エントリー間の親子関係を規定する医療行為エントリー親子関係リンク手段、
(3)前記医療行為エントリー親子関係リンク手段を介して親の医療行為エントリー属性記録手段に記録されている属性を子の医療行為エントリー属性記録手段に継承する医療行為エントリー属性記録親子継承手段を有する、階層構造を有する医療行為ごと適応病名記録手段を備えていることを特徴とする請求項2ないし3いずれか記載のレセプト作成支援システム。
【請求項6】
前記ある患者のレセプトも限定期間として6か月ないしそれ以上を設定したことを特徴とする請求項1ないし5いずれか記載のレセプト作成支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院や診療所で行われた医療行為に対して発生する報酬を支払基金に請求する診療報酬明細書(レセプト)の発行に際して、適切な病名の付与を支援するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療現場では患者の診察や検査などで病気の種類を判断し(病名の付与)、必要な薬剤を内服や点滴などで投与、手術や包帯交換、リハビリなどの処置を行うなどの医療行為を行い、治療を進めてゆく。月初めには、前月に行われた医療行為のリスト、病名のリストをレセプトと呼ばれる文書にまとめて支払基金に請求する。支払基金では、病名と医療行為の対応などを精査し、医療行為の不適切部分を減額(査定)した上で、医療機関に診療報酬を支払う。査定額が大きいと医療機関の経営を直撃することになる。
【0003】
医療行為ごとに診療報酬支払の対象となる病名(適応病名)が決まっている。同様に、ある病名で診療報酬の対象(適応)となる医療行為も定められている。
【0004】
レセプトの作成に当たっては、病名と対応する医療行為の関係を精査し、必要な病名をもれなく付与する、また、既に治療が終了して対応する医療行為が無くなっている病名を削除するなどの病名管理が不可欠である。
この出願に関連する先行技術文献としては次のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-068628号公報
【特許文献2】特開2008-226123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
医療行為ごとに定められている適応病名は多数に上り、また、病名ごとに適応のある医療行為も多岐にわたる。両者を突合して、レセプト上のすべての医療行為に関して適応病名を整備するのは容易ではない。
実際、レセプト作成期間は、医事課職員を中心に大量の残業が発生するのが普通である。
このようにしてさえも、実施された医療行為に対応する適応病名が漏れていて、査定を受けることが少なくない。
また、逆に、既に治療が終了し、対応する医療行為が無いにもかかわらず古い病名が残っているレセプトが少なくない。
レセプト作成支援システムによる高速な突合作業が望まれる所以である。
医療行為ごとの適応病名のリスト、病名ごとに適応のある医療行為のリストは膨大である。しかも、重複が多く、制度改定などで一部修正が生じると、その影響は散在している重複部分全体に及ぶため、一貫した整合性の保持には大変な労力を要する。
【0007】
本発明はかかる従来の問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、病名エントリーならびに、薬剤、検査、処置の医療行為エントリーを、階層構造を有するツリー状に配置し、共通属性をまとめて適切な階層のエントリーに記録することで、適応病名や適応医療行為に関する記録量を圧縮し、一貫性のある見通しの良い記録を行うこと(階層構造を有する病名ごと適応医療行為記録手段、階層構造を有する医療行為ごと適応病名記録手段)。前記階層構造を有する病名ごと適応医療行為記録手段、階層構造を有する医療行為ごと適応病名記録手段を用いて、レセプト内の病名リストと医療行為リストの突合を効率的かつ自動的に行い、病名漏れの医療行為の検出(医療行為適応病名検証手段)、検出された病名漏れの医療行為に対する適応病名リストの提示(医療行為適応病名提示手段)、さらに、既に治療が終了し対応する医療行為が無くなっている病名を検出し削除する病名削除提案手段を備えることで、査定のリスクの少ないレセプト作成を支援するシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するための手段として、請求項1記載のレセプト作成支援システムでは、保険診療で使用が認められている病名のリストと、前記病名ごとに適応が認められている薬剤、検査、処置(以下、医療行為)を記録した病名ごと適応医療行為記録手段を備え、ある患者の限定期間内の病名と医療行為のリスト(以下、レセプトまたは診療報酬請求明細書)に対して、リストされている医療行為ごとに、当該医療行為が適応であると認められている病名があるかどうかを検索し、もし無ければ、警告を発する医療行為適応病名検証手段を備えていることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載のレセプト作成支援システムでは、請求項1記載のレセプト作成支援システムにおいて、前記医療行為(薬剤、検査、処置)ごとに適応が認められている病名のリストを記録した医療行為ごと適応病名記録手段を備え、前記医療行為適応病名検証手段で適応病名不存在が指摘された医療行為に対して、適応病名のリストを提示する医療行為適応病名提示手段を備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載のレセプト作成支援システムでは、請求項2記載のレセプト作成支援システムにおいて、医療行為ごと適応病名記録手段を用いて、レセプト上の病名リストと医療行為リストの突合を行い、対応する医療行為が存在しない病名があれば、当該病名の削除を提案する病名削除提案手段を備えていることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載のレセプト作成支援システムでは、請求項1ないし3いずれか記載のレセプト作成支援システムにおいて、前記病名ごと適応医療行為記録手段は、病名ないし病名をまとめた分類名からなる病名エントリーから成り、前記病名エントリーは、(1)当該病名ないし病名をまとめた分類名に関する適応医療行為を含む属性を記録する病名エントリー属性記録手段、(2)前記病名エントリー間の親子関係を規定する病名エントリー親子関係リンク手段、(3)前記病名エントリー親子関係リンク手段を介して親の病名エントリー属性記録手段に記録されている属性を子の病名エントリー属性記録手段に継承する病名エントリー属性記録親子継承手段を有する、階層構造を有する病名ごと適応医療行為記録備えていることを特徴とする。
【0012】
請求項5記載のレセプト作成支援システムでは、請求項2ないし3いずれか記載のレセプト作成支援システムにおいて、前記医療行為ごと適応病名記録手段は、医療行為ないし医療行為をまとめた分類名からなる医療行為エントリーから成り、前記医療行為エントリーは、(1)当該医療行為ないし医療行為をまとめた分類名に関して適応病名を含む属性を記録する医療行為エントリー属性記録手段、(2)前記医療行為エントリー間の親子関係を規定する医療行為エントリー親子関係リンク手段、(3)前記医療行為エントリー親子関係リンク手段を介して親の医療行為エントリー属性記録手段に記録されている属性を子の医療行為エントリー属性記録手段に継承する医療行為エントリー属性記録親子継承手段を有する、階層構造を有する医療行為ごと適応病名記録手段備えていることを特徴とする。
【0013】
請求項6記載のレセプト作成支援システムでは、請求項1ないし5いずれか記載のレセプト作成支援システムにおいて、前記ある患者のレセプトも限定期間として6か月ないしそれ以上を設定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載のレセプト作成支援システムでは、病名のリストを備えているので、医療行為ごとに診療報酬請求が認められている適応病名が記録される。
適応医療行為記録手段を備えているので、病名ごとに適応が認められている薬剤、検査、処置(以下、医療行為)が記録される。
医療行為適応病名検証手段を備えているので、患者の限定期間内の病名と医療行為のリスト(以下、レセプトまたは診療報酬請求明細書)に対して、リストされている医療行為ごとに、当該医療行為が適応であると認められている病名があるかどうかを検索し、もし無ければ、警告を発する。
【0015】
請求項2記載のレセプト作成支援システムでは、適応病名記録手段を備えているので、医療行為(薬剤、検査、処置)ごとに適応が認められている病名のリストが記録される。
医療行為適応病名提示手段を備えているので、医療行為適応病名検証手段で適応病名不存在が指摘された医療行為に対して、適応病名のリストを提示する。
【0016】
請求項3記載のレセプト作成支援システムでは、病名削除提案手段を備えているので、医療行為ごと適応病名記録手段を用いて、レセプト上の病名リストと医療行為リストの突合を行い、対応する医療行為が存在しない病名があれば、当該病名の削除を提案する。
【0017】
請求項4記載のレセプト作成支援システムでは、階層構造を有する病名ごと適応医療行為記録において、病名エントリーを備えているので、病名ないし病名が分類して記録される。
病名エントリー属性記録手段を備えているので、病名ないし病名をまとめた分類名に関する適応医療行為を含む属性が記録される。
病名エントリー親子関係リンク手段を備えているので、病名エントリー間の親子関係が規定される。
病名エントリー属性記録親子継承手段を備えているので、病名エントリー親子関係リンク手段を介して親の病名エントリー属性記録手段に記録されている属性を子の病名エントリー属性記録手段に継承する。
【0018】
請求項5記載のレセプト作成支援システムでは、階層構造を有する医療行為ごと適応病名記録手段において、医療行為エントリーを備えているので、医療行為ないしまとめた医療行為が分類して記録される。
医療行為エントリー属性記録手段を備えているので、医療行為ないし医療行為をまとめた分類名に関して適応病名を含む属性が記録される。
医療行為エントリー親子関係リンク手段を備えているので、医療行為エントリー間の親子関係が規定される。
医療行為エントリー属性記録親子継承手段を備えているので、医療行為エントリー親子関係リンク手段を介して親の医療行為エントリー属性記録手段に記録されている属性を子の医療行為エントリー属性記録手段に継承する。
【0019】
請求項6記載のレセプト作成支援システムでは、患者のレセプトは6か月ないしそれ以上の期間に対応可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明のレセプト作成支援システムの全体構造の説明図である。
図2】病名ごと適応医療行為記録手段の説明図である。
図3】医療行為ごと適応病名記録手段の説明図である。
図4】階層構造を持つ病名ごと適応医療行為記録手段の説明図である。
図5】階層構造を持つ医療行為ごと適応病名記録手段(薬剤関連部分)の説明図である。
図6】医療行為適応病名検証手段の説明図である。
図7】病名削除提案手段の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明のレセプト作成支援システムの全体構造の説明図である。
レセプトには、ID番号や氏名性別、生年月日などの患者ID情報に続き、当月の治療対象となった病名のリストが続く。
その後、医療行為の明細が記載される。
投与された薬剤のリスト、診断や治療方針を決め、経過を見てゆくための検査類、さらに、リハビリや手術、包帯交換などの処置のリストが記載される。
本発明のレセプト作成支援システムでは、病名ごと適応医療行為記録手段で、病名ごとに保険診療の適応があり診療報酬を請求できる医療行為のリストを、医療行為ごと適応病名記録手段で、医療行為ごとに診療報酬請求が認められている適応病名のリストが記録されている。
【0022】
レセプト作成支援システムは、前記病名ごと適応医療行為記録手段、医療行為ごと適応病名記録手段の記録を用いて、レセプトの内容を精査し、レセプトにリストアップされている医療行為ごとに対応する適応病名がリストアップされているか(医療行為適応病名検証手段)を検証し、もし対応する適応病名がリストアップされていなければ当該医療行為の適応病名のリストを提示し適切な病名の付与を支援する(医療行為適応病名提示手段)。
治療期間が長くなると、既に治癒して医療行為が要らなくなった病名が出てくる。
このような不要病名が多くなると見通しが悪くなるので、不要となった病名を挙げて担当医に提案し(病名削除提案手段)たうえで、当該レセプトの病名リストから削除する病名整理を行う。
【0023】
図2は、病名ごと適応医療行為記録手段の説明図である。
病名ごとに(病名エントリー)、診療報酬請求が認められている(適応がある)医療行為(適応医療行為)が、適応薬剤、適応検査、適応処置などの医療行為ごとに病名エントリー属性記録として記録されている。
【0024】
図3は、医療行為ごと適応病名記録手段の説明図である。
医療行為ごとに(医療行為エントリー)、診療報酬請求が認められている(適応がある)病名(適応病名)が、医療行為エントリー属性記録として記録されている。
【0025】
図2にしても、図3にしても、個々の病名ごとの適応医療行為、医療行為ごとの適応病名には、エントリー属性の記録内容には、相互に多量の重複があることがわかる。
このままでは、属性記録が嵩張るだけでなく、見通しが悪く、さらに一部に修正が生じた際には、散在している該当部分をすべて修正しないと記録の整合性が保てなくなる。
これらは、保守コストの増大につながることは言うまでもない。
【0026】
図4(a)は、肺炎、誤嚥性肺炎、肺結核を例にとり、病名ごと適応医療行為記録手段の記録内容を示した説明図である。大量の重複がある。
これに対して、図4(b)は図4(a)の内容を、階層構造を持つ病名ごと適応医療行為記録手段を用いて表現した説明図である。
肺炎、誤嚥性肺炎、肺結核をまとめて「呼吸器感染症」の分類エントリーを立て、下部の共通属性を括りだし、「呼吸器感染症」の属性記録としている。
親である「呼吸器感染症」と子である肺炎、誤嚥性肺炎、肺結核は、病名エントリー親子関係リンク手段で連結されており、前記括りだされた共通属性は、病名エントリー属性記録親子継承手段により子に継承されるため、子である肺炎、誤嚥性肺炎、肺結核では、共通属性を記録する必要がない。
これにより、大幅な記録量削減が可能となり見通しが良くなる。
【0027】
修正が行われた際は、その修正された内容は自動的に子の属性記録に継承されるため、1か所修正すれば良く、整合性の維持が容易である。
誤嚥性肺炎では、継承されてきた属性に、適応薬剤としてユナシンが推奨特記として、適応検査として嚥下検査、適応処置として嚥下訓練が追加されている。
肺結核においては、継承されてきた属性記録のうち、適応薬剤が、抗結核剤に置き換えられている。
その他の適応検査や適応処置は継承されてきた属性記録のままなので追加記録はない。
このように、病名エントリー属性記録親子継承手段によって属性が継承されるが、病名エントリー固有の特記事項や追加記録、置換え記録を用いることで、最小限の記録量で固有の属性を表現できる。
追加、置き換えられた病名エントリー属性記録は、その孫の病名エントリー属性記録に継承されてゆく。
【0028】
図5(a)図5(b)は、階層構造を有する医療行為ごと適応病名記録手段(薬剤関連部分)の説明図である。
図5(a)では、階層構造を持たない、医療行為(ここでは薬剤)の適応病名を並列に記録している。大量の重複がある。
これに対して、図5(b)は図5(a)の内容を、階層構造を有する医療行為ごと適応病名記録手段を用いて表現した説明図である。
メロペネム、セファメジン、ユナシンをまとめて「抗菌薬」、INHは「抗結核剤」の分類エントリーを立て、下部の共通属性を括りだし、「抗菌薬」、「抗結核剤」の属性記録としている。
さらに「抗菌薬」、「抗結核剤」をまとめて「微生物に作用する薬」の上位分類エントリーを設けている。
親である「微生物に作用する薬」と子である「抗菌薬」、「抗結核剤」、さらにその孫であるメロペネム、セファメジン、ユナシンないしINHは、医療行為エントリー親子関係リンク手段で連結されており、前記括りだされた共通属性は、医療行為エントリー属性記録親子継承手段により子や孫に継承されるため、子であるメロペネム、セファメジン、ユナシンないしINHでは、共通属性を記録する必要がない。
【0029】
これにより、大幅な記録量削減が可能となり見通しが良くなる。
修正が行われた際は、その修正された内容は自動的に子の属性記録に継承されるため、1か所修正すれば良く、整合性の維持が容易である。
ユナシンでは、継承されてきた属性に、適応病名として誤嚥性肺炎が推奨特記として追加記録されている。
抗結核剤においては、親から継承されてきた属性記録のままなので追加記録はない。
このように、医療行為エントリー属性記録親子継承手段によって属性が継承されるが、医療行為エントリー固有の特記事項や追加記録、置換え記録を用いることで、最小限の記録量で固有の属性を表現できる。
追加、置き換えられた医療行為エントリー属性記録は、その孫の医療行為エントリー属性記録に継承されてゆく。
図5では、医療行為のうちの薬剤を例示したが、適応検査や適応処置についても、各々同様に階層構造を有する医療行為ごと適応病名記録手段を整備することにより、大幅な記録量削減が可能となり見通しが良くなる。
修正が行われた際は、その修正された内容は自動的に子の属性記録に継承されるため、1か所修正すれば良く、整合性の維持が容易である。
【0030】
図6は、医療行為適応病名検証手段の説明図である。
病名ごと適応医療行為記録手段により、レセプトに挙げられている病名(図では肺炎、変形性脊椎症)ごとに適応医療行為をレセプトに記載されている医療行為を突合し、適応として対応関係にある病名と医療行為をリストアップしてゆく。
万一、適応病名のとして病名がない医療行為が発見された場合は、病名漏れとして警告を発する。
医師は、当該医療行為に対応する適応病名を付与する。
この際に、医療行為ごと適応病名記録手段の記録内容を用いて、当該行為に対して適応が認められている病名を医師などに提示すると(医療行為適応病名提示手段)有用である。
なお、ここでは病名ごと適応医療行為記録手段を用いて病名との対応を検証しているが、逆に、医療行為ごと適応病名記録手段を用いて検証してもよい。
しかし、病名リストに比して医療行為リストは長大なので、前記病名ごと適応医療行為記録手段を用いた場合に比べて、病名と医療行為の突合が激増するため、好ましいとは言えない。
【0031】
図7は病名削除提案手段の説明図である。
病名(1)〜(3)、医療行為イ〜ホの適応関係を図6で検証する。
ここでは病名(2)が、対応する医療行為が見当たらないので、当該病名に対する治療は終了している可能性があるとして、医師らに病名削除を提案する(病名削除提案手段)。
医療行為の中には、数か月ごとに1回行われるものもあるので、自動削除は好ましいとは言えず、医師への確認が必要である。
説明の便宜上、レセプトは1か月分のみを挙げているが、医療行為の中には、数か月ごとに1回行われるものもあるので、6〜8か月のレセプトを通覧して検証することも有用である。
【0032】
以上、実施例を説明したが、本発明の具体的な構成は前記実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、図の表示や内容は概念説明の便宜のために例示したもので、実用の際には、教科書や論文などに基づき正確に記録すればよい。
本明細書では、薬剤、疾患、症状所見に関しツリー構造の記録手段を設けているが、用途に応じて、一部ないし全部のエントリーを階層構造でない並列とすることもあって良い。
また、部位に関する情報などを別のエントリー群として併用してもよい。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2019年12月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保険診療で使用が認められている病名のリストと、
前記病名ごとに適応が認められている薬剤、検査、処置(以下、医療行為)を記録した病名ごと適応医療行為記録手段を備え、
ある患者の限定期間内の病名と医療行為のリスト(以下、レセプトまたは診療報酬請求明細書)に対して、リストされている医療行為ごとに、当該医療行為が適応であると認められている病名があるかどうかを検索し、もし無ければ、警告を発する医療行為適応病名検証手段を備え、
前記病名ごと適応医療行為記録手段は、病名ないし病名をまとめた分類名からなる病名エントリーから成り、
前記病名エントリーは、
(1)当該病名ないし病名をまとめた分類名に関する適応医療行為を含む属性を記録する病名エントリー属性記録手段、
(2)前記病名エントリー間の親子関係を規定する病名エントリー親子関係リンク手段、
(3)前記病名エントリー親子関係リンク手段を介して親の病名エントリー属性記録手段に記録されている属性を子の病名エントリー属性記録手段に継承する病名エントリー属性記録親子継承手段を有する、階層構造を有する病名ごと適応医療行為記録備えたことを特徴とするレセプト作成支援システム。
【請求項2】
保険診療で使用が認められている病名のリストと、
前記病名ごとに適応が認められている薬剤、検査、処置(以下、医療行為)を記録した病名ごと適応医療行為記録手段を備え、
ある患者の限定期間内の病名と医療行為のリスト(以下、レセプトまたは診療報酬請求明細書)に対して、リストされている医療行為ごとに、当該医療行為が適応であると認められている病名があるかどうかを検索し、もし無ければ、警告を発する医療行為適応病名検証手段を備え、
前記医療行為(薬剤、検査、処置)ごとに適応が認められている病名のリストを記録した医療行為ごと適応病名記録手段を備え、
前記医療行為適応病名検証手段で適応病名不存在が指摘された医療行為に対して、適応病名のリストを提示する医療行為適応病名提示手段を備え、
前記医療行為ごと適応病名記録手段は、医療行為ないし医療行為をまとめた分類名から
なる医療行為エントリーから成り、
前記医療行為エントリーは、
(1)当該医療行為ないし医療行為をまとめた分類名に関して適応病名を含む属性を記録
する医療行為エントリー属性記録手段、
(2)前記医療行為エントリー間の親子関係を規定する医療行為エントリー親子関係リン
ク手段、
(3)前記医療行為エントリー親子関係リンク手段を介して親の医療行為エントリー属性
記録手段に記録されている属性を子の医療行為エントリー属性記録手段に継承する医療行
為エントリー属性記録親子継承手段を有する、階層構造を有する医療行為ごと適応病名記
録手段を備えていることを特徴とするレセプト作成支援システム。
【請求項3】
医療行為ごと適応病名記録手段を用いて、レセプト上の病名リストと医療行為リストの突合を行い、対応する医療行為が存在しない病名があれば、当該病名の削除を提案する病名削除提案手段を備えていることを特徴とする請求項2記載のレセプト作成支援システム。
【請求項4】
前記ある患者のレセプトも限定期間として6か月ないしそれ以上を設定したことを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載のレセプト作成支援システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
前記目的を達成するための手段として、請求項1記載のレセプト作成支援システムでは、保険診療で使用が認められている病名のリストと、
前記病名ごとに適応が認められている薬剤、検査、処置(以下、医療行為)を記録した病名ごと適応医療行為記録手段を備え、
ある患者の限定期間内の病名と医療行為のリスト(以下、レセプトまたは診療報酬請求明細書)に対して、リストされている医療行為ごとに、当該医療行為が適応であると認められている病名があるかどうかを検索し、もし無ければ、警告を発する医療行為適応病名検証手段を備え、
前記医療行為(薬剤、検査、処置)ごとに適応が認められている病名のリストを記録した医療行為ごと適応病名記録手段を備え、
前記医療行為適応病名検証手段で適応病名不存在が指摘された医療行為に対して、適応病名のリストを提示する医療行為適応病名提示手段を備え、
前記医療行為ごと適応病名記録手段は、医療行為ないし医療行為をまとめた分類名から
なる医療行為エントリーから成り、
前記医療行為エントリーは、
(1)当該医療行為ないし医療行為をまとめた分類名に関して適応病名を含む属性を記録
する医療行為エントリー属性記録手段、
(2)前記医療行為エントリー間の親子関係を規定する医療行為エントリー親子関係リン
ク手段、
(3)前記医療行為エントリー親子関係リンク手段を介して親の医療行為エントリー属性
記録手段に記録されている属性を子の医療行為エントリー属性記録手段に継承する医療行
為エントリー属性記録親子継承手段を有する、階層構造を有する医療行為ごと適応病名記
録手段を備えていることを特徴とする
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
請求項2記載のレセプト作成支援システムでは、保険診療で使用が認められている病名のリストと、
前記病名ごとに適応が認められている薬剤、検査、処置(以下、医療行為)を記録した病名ごと適応医療行為記録手段を備え、
ある患者の限定期間内の病名と医療行為のリスト(以下、レセプトまたは診療報酬請求明細書)に対して、リストされている医療行為ごとに、当該医療行為が適応であると認められている病名があるかどうかを検索し、もし無ければ、警告を発する医療行為適応病名検証手段を備え、
前記医療行為(薬剤、検査、処置)ごとに適応が認められている病名のリストを記録した医療行為ごと適応病名記録手段を備え、
前記医療行為適応病名検証手段で適応病名不存在が指摘された医療行為に対して、適応病名のリストを提示する医療行為適応病名提示手段を備え、
前記医療行為ごと適応病名記録手段は、医療行為ないし医療行為をまとめた分類名から
なる医療行為エントリーから成り、
前記医療行為エントリーは、
(1)当該医療行為ないし医療行為をまとめた分類名に関して適応病名を含む属性を記録
する医療行為エントリー属性記録手段、
(2)前記医療行為エントリー間の親子関係を規定する医療行為エントリー親子関係リン
ク手段、
(3)前記医療行為エントリー親子関係リンク手段を介して親の医療行為エントリー属性
記録手段に記録されている属性を子の医療行為エントリー属性記録手段に継承する医療行
為エントリー属性記録親子継承手段を有する、階層構造を有する医療行為ごと適応病名記
録手段を備えていることを特徴とする
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
請求項4記載のレセプト作成支援システムでは、請求項1ないし3いずれか記載のレセプト作成支援システムにおいて、前記ある患者のレセプトも限定期間として6か月ないしそれ以上を設定したことを特徴とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
請求項1記載のレセプト作成支援システムでは、階層構造を有する病名ごと適応医療行為記録において、病名エントリーを備えているので、病名ないし病名が分類して記録される。
病名エントリー属性記録手段を備えているので、病名ないし病名をまとめた分類名に関する適応医療行為を含む属性が記録される。
病名エントリー親子関係リンク手段を備えているので、病名エントリー間の親子関係が規定される。
病名エントリー属性記録親子継承手段を備えているので、病名エントリー親子関係リンク手段を介して親の病名エントリー属性記録手段に記録されている属性を子の病名エントリー属性記録手段に継承する。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
請求項2記載のレセプト作成支援システムでは、階層構造を有する医療行為ごと適応病名記録手段において、医療行為エントリーを備えているので、医療行為ないしまとめた医療行為が分類して記録される。
医療行為エントリー属性記録手段を備えているので、医療行為ないし医療行為をまとめた分類名に関して適応病名を含む属性が記録される。
医療行為エントリー親子関係リンク手段を備えているので、医療行為エントリー間の親子関係が規定される。
医療行為エントリー属性記録親子継承手段を備えているので、医療行為エントリー親子関係リンク手段を介して親の医療行為エントリー属性記録手段に記録されている属性を子の医療行為エントリー属性記録手段に継承する。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
請求項4記載のレセプト作成支援システムでは、患者のレセプトは6か月ないしそれ以上の期間に対応可能である。