【解決手段】魚の養殖装置は、海水又は淡水の養殖水を蓄えている魚の養殖池1と、養殖池1の養殖水9を浄化する光触媒の浄化材2とを備えている。浄化材2は、流紋岩が破砕され、かつ焼成された酸化チタンを含有する焼成破砕流紋岩3、又は表面に複数の切削溝を設けてなる焼成された焼成溝付き流紋岩の何れか又は両方としている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明を詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、及びそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一もしくは同等の部分又は部材を示す。
さらに以下に示す実施形態は、本発明の技術思想の具体例を示すものであって、本発明を以下に限定するものではない。また、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また、一の実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。また、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。
【0011】
本発明の第1の発明にかかる魚の養殖装置は、海水又は淡水の養殖水を蓄えている魚の養殖池と、養殖池の養殖水を浄化する光触媒の浄化材とを備える。浄化材は、破砕され、かつ焼成された酸化チタンを含有する焼成破砕流紋岩、又は表面に複数の切削溝を設けてなる焼成された焼成溝付き流紋岩の何れか又は両方である。
【0012】
以上の養殖装置は、破砕され、かつ焼成された酸化チタンを含有する流紋岩からなる焼成破砕流紋岩や、焼成溝付き流紋岩で養殖水を殺菌するので、極めて簡単な構造としながら、長期間にわたって養殖水を魚の成育に最適な環境に保持して魚を元気に養殖できる特徴を実現する。酸化チタンを含有する流紋岩は、焼成することで水に浸漬する状態での殺菌性が著しく向上する。焼成された流紋岩は、含有する酸化チタンが光触媒の作用で養殖水を殺菌することに加えて、多孔質となって吸水性が向上し、内部に水が速やかに透過できる状態となって、内部に棲息する微生物が養殖水を殺菌して浄化するからである。焼成された流紋岩が含有する酸化チタンの光触媒は、それ自体は酸化も還元もしないが、太陽や蛍光灯等の紫外線照射ランプから照射される紫外線で化学反応を促進して養殖水を殺菌する。酸化チタンの光触媒は、それ自体が変化しないので効果は半永久で長期間にわたって優れた殺菌性を実現する。光触媒は、水と酸素から活性酸素とOHラジカルを発生し、酸化、還元反応によって有機物である細菌、ウイルス、汚れ、臭気、カビ、有害物質を二酸化炭素と水に分解する。焼成された流紋岩に含有される酸化チタンの光触媒は、オゾンや塩素よりも強力で、しかも強力な殺菌力のあるオゾンよりも強力な酸化分解作用があり、さらに有害物質を発生させたり、オゾンや塩素のように残留して魚の成育環境を阻害することがなく、高い安全性を保障しながら養殖水を効果的に殺菌して、長期間にわたって魚を快適な状態に保持する。
【0013】
さらに、焼成されて多孔質となった流紋岩は、紫外線が照射されない領域では微生物が棲息して、微生物が養殖水に含まれる有機物を分解して浄化して清澄な状態に保持する。養殖池の底に焼成破砕流紋岩を敷設すると、上層部の焼成破砕流紋岩には紫外線が照射される。したがって、上層部の焼成破砕流紋岩が酸化チタンの光触媒作用で養殖水を殺菌して浄化する。上層部に敷設される焼成破砕流紋岩は、表面に紫外線が照射されて、表面の光触媒作用で養殖水を浄化する。多孔質な焼成破砕流紋岩は、内部に微細な空隙があるが、内部の微細な空隙には微生物が棲息して、微生物が有機物を分解して養殖水を浄化して清澄な状態に保持する。粒径の大きい焼成破砕流紋岩は、表面には紫外線が照射されて光触媒作用で養殖水を浄化するが、内部までは紫外線が照射されず、内部の微細な空隙には微生物が棲息する。内部に棲息する微生物は、内部に浸入する養殖水を浄化する。
【0014】
さらに、流紋岩は、焼成されて多孔質となって吸水性が向上することに加えて、焼成されない流紋岩に比較して硬くなって物理的な耐久性が著しく向上する。養殖水を浄化して清澄な状態に保持する焼成された流紋岩は、洗浄することなく長期間にわたって優れた浄化作用を実現するが、多量の魚を成育する環境にあっては、定期的に洗浄することで、より優れた浄化作用を実現する。焼成破砕流紋岩は、逆洗し、あるいは撹拌して付着する異物を除去できるが、焼成して硬くなった流紋岩は、この工程での破損を防止できる。洗浄工程で撹拌しても破損しない流紋岩は、洗浄工程での養殖水の濁りが少なく、また、流紋岩が破砕しての摩耗を防止できる。洗浄工程で破損しない焼成破砕流紋岩は、洗浄を繰り返しても摩耗することがなく、また形状が崩れることがないので、長期間にわたって養殖水をスムーズに透過させて効率よく浄化できる。
【0015】
本発明の第2の発明にかかる魚の養殖装置は、養殖池の底に敷かれた無数の焼成破砕流紋岩を浄化材としている。
以上の養殖装置は、養殖池の底に無数の焼成破砕流紋岩を敷設するので、広い面積わたって配置される焼成破砕流紋岩に効率よく紫外線を照射して、光触媒の作用で養殖水を殺菌できる。
【0016】
本発明の第3の発明にかかる魚の養殖装置は、無数の焼成破砕流紋岩を通水性の袋に充填して浄化材としている。
以上の養殖装置は、焼成破砕流紋岩を通水性の袋に充填するので、多数の焼成破砕流紋岩を能率よく搬送し、敷設し、あるいはまた簡単かつ容易に取り出して洗浄や交換等ができる。
【0017】
本発明の第4の発明にかかる魚の養殖装置は、養殖池の側面に固定されてなる焼成溝付き流紋岩を浄化材としている。
以上の養殖装置は、養殖池の側面にも光触媒の焼成溝付き流紋岩を配置するので、より効果的に養殖水を浄化できる。
【0018】
本発明の第5の発明にかかる魚の養殖装置は、養殖池に循環路と循環ポンプを介して連結してなる養殖水の濾過器を備えており、濾過器に焼成破砕流紋岩を充填している。
以上の養殖装置は、焼成破砕流紋岩が充填された濾過器を、循環路と循環ポンプを介して養殖池に連結するので、養殖池に焼成破砕流紋岩を配置することなく、養殖水を濾過器に循環させて効率よく浄化できる。
【0019】
本発明の第6の発明にかかる魚の養殖装置は、濾過器が濾過タンクを備え、濾過タンクに焼成破砕流紋岩を充填している。
以上の養殖装置は、濾過器の濾過タンクに焼成破砕流紋岩を充填しているので、多数の焼成破砕流紋岩を逆洗等により簡単かつ容易に洗浄しながら使用でき、養殖水を長期間にわたって魚の成育に最適な環境に保持できる。
【0020】
本発明の第7の発明にかかる魚の養殖装置は、濾過器が、養殖水が通過して焼成破砕流紋岩を透過させない網目の濾過網と、濾過網の上に敷設してなる焼成破砕流紋岩とを備え、循環ポンプが、循環する養殖水を焼成破砕流紋岩の上面に供給している。
以上の養殖装置は、焼成破砕流紋岩を空気中に露出して配置できるので、焼成破砕流紋岩に効率よく紫外線を照射して光触媒の効果で効率よく養殖水を浄化できる。
【0021】
本発明の第8の発明にかかる魚の養殖装置は、養殖池の底に焼成破砕流紋岩を所定の厚さに敷設して、側面に焼成溝付き流紋岩を固定している。
以上の養殖装置は、養殖池の底に敷設される焼成破砕流紋岩と側面に固定される焼成溝付き流紋岩の両方に紫外線を照射して、より効果的に光触媒の作用で養殖水を殺菌できる。
【0022】
本発明の第9の発明にかかる魚の養殖装置は、焼成破砕流紋岩と焼成溝付き流紋岩を、600℃以上で焼成された流紋岩としている。
以上の養殖装置は、焼成破砕流紋岩と焼成溝付き流紋岩を多孔質に焼成でき、内部にできる連続する微細な空隙により吸水特性を向上して、理想的な浄化材を実現できる。
【0023】
本発明の第10の発明にかかる魚の養殖装置は、養殖池を紫外線照射環境に配置している。
以上の養殖装置は、養殖池を紫外線照射環境に配置することで、養殖池に配置された焼成破砕流紋岩や焼成溝付き流紋岩に紫外線を効果的に照射して、含有する酸化チタンの光触媒の作用で養殖水を効率よく殺菌できる。
【0024】
本発明の第11の発明にかかる魚の養殖装置は、焼成破砕流紋岩又は焼成溝付き流紋岩に紫外線を照射する紫外線照射ランプを備えている。
以上の養殖装置は、焼成破砕流紋岩又は焼成溝付き流紋岩に紫外線ランプから紫外線を照射して、含有する酸化チタンの光触媒の作用で養殖水を効率よく殺菌できる。この構造の養殖装置は、紫外線ランプから紫外線を照射するので、たとえば養殖池に焼成破砕流紋岩や焼成溝付き流紋岩を配置する構造においては、養殖池の上部を閉塞することができ、また、濾過タンクの内部に焼成破砕流紋岩を充填して養殖水を循環させる構造においては、蛍光灯のない屋内に設置して焼成破砕流紋岩の光触媒で養殖水を殺菌できる。
【0025】
(実施の形態)
図1ないし
図5の概略図に示す魚の養殖装置は、海水又は淡水の養殖水9を蓄えている魚の養殖池1と、養殖池1の養殖水9に浸漬している、殺菌性又は抗菌性のある浄化材2とを備える。浄化材2は、流紋岩を破砕・焼成している焼成破砕流紋岩3、又は表面に複数の切削溝7を設けている焼成された焼成溝付き流紋岩4としている。
【0026】
焼成破砕流紋岩3は、流紋岩を破砕した後に焼成し、あるいは焼成したものを破砕して製造できるが、好ましくは、破砕した後に焼成する。焼成破砕流紋岩3は、流紋岩を平均粒径が1mm〜5cmとする粒状に破砕して焼成する。焼成破砕流紋岩3は、使用状態で最適な粒径に調整する。
図1、
図2及び
図5に示すように、養殖水9の底に敷設する焼成破砕流紋岩3は、平均粒径を好ましくは1cm〜5cmと大きくして、敷設する状態で養殖水9の通過しやすい隙間を設ける。
図3に示すように、養殖水9を強制的に循環させる濾過器5に充填する焼成破砕流紋岩3は、平均粒径を1mmないし5mmとして、通過する養殖水9との接触面積を大きくする。
図4に示すように、濾過網6の上に敷設して、上から養殖水9を散水する養殖装置は、焼成破砕流紋岩3の平均粒径を散水される養殖水9をスムーズに通過させながら、接触面積を大きくするために、好ましくは平均粒径を5mmないし3cmとする。
【0027】
焼成破砕流紋岩3は、原石流紋岩を破砕した状態で焼成することで、焼成時間を短くして内部まで加熱できるので、焼成時間を短縮して能率よく焼成できる。流紋岩は、焼成温度が低すぎると、内部まで多孔質として好ましい吸水性を実現できず、また硬度が低くて破損しやすくなり、焼成温度を高くすると焼成コストが高くなり、さらに融点よりも高温で焼成する多孔質に出来ない。流紋岩は、700℃〜900℃で溶融するので、焼成温度は、たとえば600℃以上であって900℃以下、好ましくは800℃〜900℃が好ましい。焼成は、破砕した流紋岩を下り勾配に配置している回転するトロンメルに供給し、トロンメルで撹拌しながら移送して能率よく均一に焼成できる。以上の温度で焼成された流紋岩は、融点の低い酸化カリウムを数%含有するので、焼成工程で低融点の酸化カリウム等が溶融され、さらに高温に加熱されて内部の気体が熱膨張して強制的に排出されて多孔質となり、さらに溶融した低融点の酸化カリウム等が融材となって硬く焼結される。焼成された流紋岩は、内部で熱膨張したガスが強制的に排出されて多孔質となるので、多孔質な状態で内部にできる微細な空隙は、互いに連続する状態となって吸水特性も向上する。ちなみに、焼成されない流紋岩の表面に水滴を付着すると、水は表面張力で内部に吸収されることなく水滴となって付着するが、焼成した流紋岩は、表面に水を付着すると表面に水滴の状態で付着することなく速やかに内部に浸透して吸収される。
【0028】
焼成溝付き流紋岩4は、多数の溝を切削加工して設けた後焼成し、あるいは焼成した後、表面に多数の溝を切削加工して設けるが、好ましくは、切削加工して溝を設けた後、焼成する。焼成して硬くなった状態では能率よく切削するのが難しいからである。焼成溝付き流紋岩4は、原石流紋岩の表面を鋸で切削して溝を設ける。
図6の斜視図と
図7の拡大断面図に示すように、溝7の横幅(W)は2mm〜3cmとして、養殖水9が自由に通過でき、かつ紫外線を浸入できる幅とする。溝7は、横幅(W)を広くして、より深くまで紫外線を浸入できるが、横幅(W)の広い溝7は、多数に設けることができないので、好ましくは以上の範囲として、用途に最適な幅に調整する。隣接して配置する溝7の間隔(L)は、表面の強度を考慮して調整するが、好ましくは1cmないし5cmとする。間隔(L)を狭くして多数の溝7を配置して表面積を大きくできるが、狭すぎると強度が低下するので、強度と要求される表面積とを考慮して決定する。さらに溝7の深さ(D)は、深くして表面積を大きくできるが、深すぎると強度が低下するので、好ましくは1cmないし30cm、さらに好ましくは5cmないし10cmとする。
【0029】
図5の断面斜視図に示す焼成溝付き流紋岩4は、複数列の溝7を平行な姿勢で配置し、
図6の斜視図に示す焼成溝付き流紋岩4は、碁盤格子状に溝7を設けている。
図5と
図6に示す焼成溝付き流紋岩4は、全体を板状に加工して表面に溝7を設けている。この焼成溝付き流紋岩4は、同じ深さの溝7を設けて表面積を大きくでき、また養殖水9の側面や底面に設置しやすい。ただ、焼成溝付き流紋岩4は、必ずしも全体を板状に加工することなく、表面に複数の溝7を設けることもできる。
【0030】
焼成溝付き流紋岩4の溝7は、丸鋸で切削加工して設けることができる。溝7は、対向する内面を凹凸ができるように丸鋸で切削加工して、表面積をより大きくできる。切削加工して溝7を設ける丸鋸は、刃先の形状で対向する内面の凹凸を調整できる。この丸鋸は、溝7の対向面を線状に切削して凹凸を大きく、面状に切削して凹凸の小さい平面状に加工できる。
【0031】
溝7は、流紋岩を固定して鋸を直線状に移動し、あるいは鋸を固定して流紋岩を直線状に移動して設けることができる。
図5に示すように、複数列の平行溝7は、鋸と流紋岩とを、所定のピッチで繰り返し直線状に移動して設けることができる。
図6に示すように碁盤格子状の溝7は、鋸と流紋岩とを所定のピッチで繰り返し直線状に移動した後、鋸と流紋岩とを相対的に直角に移動した後、さらに鋸と流紋岩とを、所定のピッチで繰り返し直線状に移動して設けることができる。
【0032】
図5に示すように、平行溝7を設けている焼成溝付き流紋岩4は、
図6の碁盤格子状の溝7を設けた焼成溝付き流紋岩4に比較して表面の強度を強くできる。平行溝7の焼成溝付き流紋岩4は、入射する紫外線の方向を考慮して養殖池1に設置されて、溝7内に効率よく紫外線を入射させる。
図5の養殖装置は、平行溝7を上下方向に伸びる姿勢で配置して、上から入射される紫外線を溝7内に効率よく案内して光触媒の効果を高くしている。
図6に示すように、碁盤格子状に溝7を設けた焼成溝付き流紋岩4は、表面積を広くでき、さらに入射する紫外線の方向によらず、紫外線で溝7の内面を効率よく照射して、光触媒による効果を高くできる。
【0033】
以上の焼成破砕流紋岩3と焼成溝付き流紋岩4は、
図1ないし
図5に示す状態で養殖池1に設けられて養殖水9を浄化する。
図1の養殖装置は、光触媒の浄化材2が、流紋岩を破砕して焼成した酸化チタンを含有する焼成破砕流紋岩3で、この焼成破砕流紋岩3を養殖池1の底に所定の厚さに敷設している。
図2の養殖装置は、複数の焼成破砕流紋岩3を通水性の袋8に充填して、養殖水9の底に敷設している。さらに、
図1ないし
図5の養殖装置は、養殖水9を撹拌して酸素を補給するためにエアー曝気している。エアー曝気は、無数の微細な噴射穴のある曝気器10を配置し、この曝気器10に空気ポンプ11から加圧空気を供給している。空気ポンプ11から曝気器10に供給される加圧空気は、微細な気泡となって養殖水9を浮上して、酸素を補給しながら養殖水9を循環して撹拌する。
【0034】
図1と
図2の養殖装置は、養殖池1の底に敷設する焼成破砕流紋岩3の平均粒径を、好ましくは1cm〜5cmとする。この粒径の焼成破砕流紋岩3は、エアー曝気して撹拌される養殖水9を、焼成破砕流紋岩3の間にできる隙間に通過させて効率よく浄化できる。ただ、焼成破砕流紋岩3の平均粒径は、以上の範囲よりも小さく、あるいは大きくして、養殖水9を浄化することもできる。小さい焼成破砕流紋岩3は表面積が大きくなって、表面における光触媒の作用での浄化作用を効率よくでき、大きい焼成破砕流紋岩3は、敷設する状態で焼成破砕流紋岩3の間に大きな空隙ができるので、この隙間にスムーズに養殖水9を通過させて全体を効率よく浄化できる。
【0035】
図1と
図2の養殖装置は、養殖池1の上を開放しているので、屋外に設置されると太陽光線の紫外線が焼成破砕流紋岩3を照射し、屋内に設置される状態では室内の蛍光灯の紫外線が照射されて、光触媒の作用で養殖水9を殺菌する。
図2の養殖装置は、焼成破砕流紋岩3を充填する袋8として、透光性を有する袋材を使用することで、充填される焼成破砕流紋岩3にも紫外線を照射して、光触媒の作用で養殖水9を殺菌できる。
図1の養殖装置は、底の焼成破砕流紋岩3を撹拌して洗浄でき、
図2の養殖装置は、焼成破砕流紋岩3を袋8に入れる状態で洗浄できる。
【0036】
図1と
図2の養殖装置は、養殖池1の開口面を1m×2m、水深を30cm、底に敷設する焼成破砕流紋岩3の平均粒径を1cmとして一層に敷設し、体長が5cmないし20cmの魚を約30匹入れ、魚を数日から数十日で交換して、2年間、養殖水9を交換することなく魚を元気に飼育することができた。
【0037】
焼成破砕流紋岩3は、蛍光X線分析・EZスキャンにおいて、以下の成分のものを使用した。
二酸化珪素(SiO
2)………… 70.9%
酸化アルミニウム(Al
2O
3)…16.6%
酸化ナトリウム(Na
2O)……… 3.7%
酸化カリウム(K
2O)…………… 2.8%
三酸化第二鉄(Fe
2O
3)…………2.2%
酸化カルシウム(CaO)…………3.0%
酸化マグネシウム(MgO)………0.2%
酸化チタン(TiO
2)…………… 0.2%
【0038】
図3の養殖装置は、濾過器5の濾過タンク12に光触媒の浄化材2である焼成破砕流紋岩3を充填している。濾過タンク12は循環ポンプ13を介して養殖池1に連結されて、養殖池1の養殖水9を循環させている。さらに、濾過タンク12は、光触媒の焼成破砕流紋岩3に紫外線を照射する紫外線ランプ14を配置している。紫外線ランプ14は防水構造で、濾過タンク12に内蔵されて、焼成破砕流紋岩3に紫外線を照射する。濾過タンク12は底部と上部に焼成破砕流紋岩3が通過しないが養殖水9を通過できる網材15を設けている。焼成破砕流紋岩3は、上下の網材15の間に充填されている。循環ポンプ13は、濾過タンク12の上部に養殖水9を供給し、濾過タンク12を通過した養殖水9を養殖池1に環流して循環させる。濾過タンク12は、下から上に通水して焼成破砕流紋岩3を逆洗する。逆洗は、逆洗水16を濾過タンク12に供給して焼成破砕流紋岩3を撹拌し、焼成破砕流紋岩3に付着した異物を濾過タンク12の上から排水する。逆洗工程において、養殖池1の養殖水9は濾過タンク12に循環させない。この構造の養殖装置は、濾過タンク12の内部で焼成破砕流紋岩3に紫外線を照射するので、養殖池1の上部を閉塞することができ、また、蛍光灯のない屋内に設置して焼成破砕流紋岩3の光触媒で養殖水9を浄化できる。
【0039】
図3の養殖装置は、
図1と
図2に示す装置と同じ組成の焼成破砕流紋岩3を使用し、養殖池1の開口面を1m×2m、水深を30cmとし、濾過タンク12には、平均粒径を3mmとする焼成破砕流紋岩3を約50kg入れて、400Wの循環ポンプ13で養殖水9を循環し、養殖池1には体長が5cmないし20cmの魚を約30匹入れ、魚を数日から数十日で交換して、2年間、養殖水9を交換することなく魚を元気に飼育することができた。
【0040】
図4の養殖装置は、養殖水9を浄化する濾過器5を、養殖水9が通過して焼成破砕流紋岩3を透過させない網目の濾過網6と、濾過網6の上に敷設している焼成破砕流紋岩3とで構成し、循環ポンプ13で循環する養殖水9を焼成破砕流紋岩3の上面に供給している。この養殖装置は、濾過網6の上に敷設している焼成破砕流紋岩3の上に、養殖水9を散水し、焼成破砕流紋岩3を通過した養殖水9を養殖池1に循環する。養殖水9の散水は、濾過網6の上に、多数の散水孔を設けた散水パイプ17を複数列に配置し、散水パイプ17に養殖水9を供給して、焼成破砕流紋岩3の上に散水する。この装置は、焼成破砕流紋岩3を空気中に露出して配置するので、焼成破砕流紋岩3に効率よく紫外線を照射して光触媒の効果で効率よく養殖水9を浄化できる。濾過網6は、屋外に設置して太陽光線の紫外線を照射し、あるいは屋内に設置して蛍光灯で紫外線を照射する。この装置は、焼成破砕流紋岩3に散水する状態で、濾過網6の上で焼成破砕流紋岩3を撹拌して洗浄できる。
【0041】
以上の養殖装置は、
図1と
図2に示す装置と同じ組成の焼成破砕流紋岩3を使用し、養殖池1の開口面を1m×2m、水深を30cmとし、濾過網6を長さ1m、横幅50cmとして、この上に、平均粒径が1cmの焼成破砕流紋岩3を約20kg敷設し、400Wのポンプで養殖水9を焼成破砕流紋岩3の上に散水し、養殖池1には体長が5cmないし20cmの魚を約30匹入れ、魚を数日から数十日で交換して、2年間、養殖水9を交換することなく魚を元気に飼育することができた。
【0042】
図5の養殖装置は、養殖池1の底に焼成破砕流紋岩3を所定の厚さに敷設して、側面には焼成溝付き流紋岩4を固定している。この養殖装置は、養殖池1の側面にも光触媒の焼成溝付き流紋岩4を配置するので、より効果的に養殖水9を浄化できる特徴がある。養殖池1の側面に配置する焼成溝付き流紋岩4は、溝7が上下方向に伸びる姿勢として、上から照射される紫外線で効率よく光触媒の焼成溝付き流紋岩4で養殖水9を浄化できる。図示しないが、碁盤格子状の焼成溝付き流紋岩4を養殖池1の側面に固定して、養殖水9をより効果的に浄化することもできる。
【0043】
以上の魚の養殖装置は、
図1と
図2に示す装置の焼成破砕流紋岩3と同じ組成の焼成溝付き流紋岩4を、養殖池1の全ての側面である4面に固定して、底には焼成破砕流紋岩3を敷設することなく、開口面を1m×2m、水深を30cmとする四角形の養殖池1を屋外に設置し、養殖池1には体長が5cmないし20cmの魚を約30匹入れ、魚を数日から数十日で交換して、2年間、養殖水9を交換することなく魚を元気に飼育することができた。ただし、焼成溝付き流紋岩4の厚さを10cmの板状として、表面には平行溝7を設けて、溝7の横幅(W)を1cm、溝7の間隔(L)を2cm、溝7の深さ(D)を10cmとした。