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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-174580(P2020-174580A)
(43)【公開日】2020年10月29日
(54)【発明の名称】加圧加工システム
(51)【国際特許分類】
   A23L 3/015 20060101AFI20201002BHJP
   A23L 5/30 20160101ALI20201002BHJP
   A23P 30/00 20160101ALI20201002BHJP
【FI】
   A23L3/015
   A23L5/30
   A23P30/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2019-79441(P2019-79441)
(22)【出願日】2019年4月18日
(11)【特許番号】特許第6561343号(P6561343)
(45)【特許公報発行日】2019年8月21日
(71)【出願人】
【識別番号】508202832
【氏名又は名称】アイディールブレーン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 孝典
【テーマコード(参考)】
4B021
4B035
4B048
【Fターム(参考)】
4B021LP07
4B021LT03
4B035LC16
4B035LP55
4B035LT20
4B048PE02
4B048PE03
4B048PS18
(57)【要約】
【課題】海又は湖に対象物を浸漬して対象物を加圧加工する加圧加工システムであって、海又は湖に浸漬した対象物を容易に回収することが可能な加圧加工システムを提供する。
【解決手段】本発明は、海又は湖に対象物Pを浸漬して対象物Pを加圧加工する加圧加工システム1であって、対象物Pを収容するための収容体2と、収容体2を浮上させるための浮力体3と、海水よりも比重の大きい重り体4と、収容体2と重り体4とを切り離し可能に連結する切離機構5と、を備え、浮力体3は、透水性を有する収容袋を有し、収容袋は、複数の中空ガラス球が収容されるとともに、複数の中空ガラス球間が液体で満たされる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海又は湖に対象物を浸漬して対象物を加圧加工する加圧加工システムであって、
対象物を収容するための収容体と、
前記収容体を浮上させるための浮力体と、
海水又は湖水よりも比重の大きい重り体と、
前記収容体と前記重り体とを切り離し可能に連結する切離機構と、を備え、
前記浮力体は、透水性を有する収容袋を有し、
前記収容袋は、複数の中空ガラス球が収容されるとともに、複数の前記中空ガラス球間が液体で満たされること
を特徴とする加圧加工システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海又は湖に対象物を浸漬して対象物を加圧加工する加圧加工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、海水深層水層の高圧・低温という特徴を利用して、美味しく栄養価の高い新規な食品を安価に製造することを目的として、特許文献1に開示される海水深層水層を利用した食品の製造方法が提案されている。
【0003】
特許文献1に開示される食品の製造方法は、食材を低温高圧の環境にある海水深層水層の中に所定時間おくステップを含むことにより、食品の生に近い風味が保持され且つ栄養素の損失が少ない新規な食品を製造する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−125586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示される食品の製造方法では、袋に封入した食品を、海中からロープなどによって引き揚げるものの、引き上げに際して人的労力が大きく、海に浸漬した対象物を容易に回収することができないという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、海に対象物を浸漬して対象物を加圧加工する加圧加工システムであって、海に浸漬した対象物を容易に回収することが可能な加圧加工システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る加圧加工システムは、海又は湖に対象物を浸漬して対象物を加圧加工する加圧加工システムであって、対象物を収容するための収容体と、前記収容体を浮上させるための浮力体と、海水又は湖水よりも比重の大きい重り体と、前記収容体と前記重り体とを切り離し可能に連結する切離機構と、を備え、前記浮力体は、透水性を有する収容袋を有し、前記収容袋は、複数の中空ガラス球が収容されるとともに、複数の前記中空ガラス球間が液体で満たされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上述した構成からなる本発明によれば、海又は湖に浸漬した対象物を容易に回収することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態に係る加圧加工システムを示す模式図である。
図2図2は、収容体を主に示す模式図である。
図3図3は、密閉容器を主に示す模式図である。
図4図4は、浮力体を主に示す断面図である。
図5図5は、浮力体の第1変形例を主に示す断面図である。
図6図6は、浮力体の第2変形例を主に示す断面図である。
図7図7は、切離機構を主に示す模式図である。
図8図8は、図7のD−D断面図である。
図9図9は、切り離された状態の切離機構を主に示す模式図である。
図10図10は、海に沈降させる際の第1実施形態に係る加圧加工システムを示す模式図である。
図11図11は、浮上させる際の第1実施形態に係る加圧加工システムを示す模式図である。
図12図12は、切離機構の第1変形例を主に示す模式図である。
図13図13は、切離機構の第2変形例を主に示す模式図である。
図14図14は、切離機構の第3変形例を主に示す模式図である。
図15図15は、切離機構の第4変形例を主に示す模式図である。
図16図16は、切離機構の第5変形例を主に示す模式図である。
図17図17は、切離機構の第6変形例を主に示す模式図である。
図18図18は、切り離された状態の切離機構の第6変形例を主に示す模式図である。
図19図19は、切離機構の第7変形例を主に示す模式図である。
図20図20は、切り離された状態の切離機構の第7変形例を主に示す模式図である。
図21図21は、浮力体の第3変形例を示す模式断面図である。
図22図22は、浮力体の第4変形例を主に示す断面図である。
図23図23は、第1実施形態に係る加圧加工システム1の変形例を示す模式断面図である。
図24図24は、海に沈降させる際の第2実施形態に係る加圧加工システムを示す模式図である。
図25図25は、浮上させる際の第2実施形態に係る加圧加工システムを示す模式図である。
図26図26は、収容体を浮上させた後に、基点部に向けて移動する収容体を示す模式図である。
図27図27は、収容体を浮上中に、基点部に向けて移動する収容体を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を適用した加圧加工システム1を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る加圧加工システム1を示す模式図である。図2は、収容体2を主に示す模式図である。図3は、密閉容器Qを主に示す模式図である。加圧加工システム1は、海又は湖に対象物Pを浸漬して対象物Pを加圧加工するものである。以下、対象物Pを海に浸漬する場合について説明するが、本発明において、対象物Pを湖に浸漬する場合には、海を湖と適宜読み替えればよい。
【0012】
加圧加工システム1は、海水面Lからの水深Dが200m〜10,000m程度の海底面G近傍に設けられる。加圧加工システム1は、対象物Pを所定の期間、200m〜10,000m程度の水深Dで、浸漬するものとなる。これにより、対象物Pに低温高圧を作用させることができる。このため、加圧加工システム1は、対象物Pを加圧加工することができる。水深Dは、対象物Pに作用させる圧力に応じて、適宜設定すればよい。また、海に浸漬する期間は、対象物Pに応じて、例えば、1日、1週間、1か月、1年等、適宜設定すればよい。
【0013】
加圧加工システム1は、対象物Pが食品である場合には、作用させた圧力により食品の殺菌や滅菌等の加工を行うことができる。また、加圧加工システム1は、対象物Pが食品である場合には、作用させた圧力により食品を加工することができる。また、作用させた圧力により、出汁等の液体を食材等の対象物Pに含浸させて加工することができる。
【0014】
対象物Pは、柔軟性を有するポリエステル製、ポリプロピレン製、ナイロン製、ポリエチレン製、ポリビニルアルコール製、ポリ塩化ビニリデン製、ポリエチレンテレフタート製、エチレンビニルアルコール製、ポリビニルアルコール製等の袋の密閉容器Qに真空状に密閉される。密閉容器Qは、透水性のない、又は、透水性の極めて低い、袋等が用いられる。対象物Pは、例えば、食品である。対象物Pは、例えば、マグロ、肉、ユッケ等の肉類であってもよい。対象物Pは、例えば、チーズ、納豆等の発酵食品であってもよい。対象物Pは、例えば、ハム、ハンバーグ等の加工食品であってもよい。対象物Pは、例えば、ベビー食であってもよい。対象物Pは、例えば、ドクダミ等の薬草類であってもよい。対象物Pは、例えば、牛乳等の乳製品であってもよい。対象物Pは、例えば、ハチミツであってもよい。対象物Pは、例えば、オレンジジュース等の飲料であってもよい。対象物Pは、例えば、牡蠣、帆立貝、アサリ等の貝類であってもよい。対象物Pは、例えば、カニ、エビ等の甲殻類であってもよい。対象物Pは、例えば、タコ、イカ等の頭足類であってもよい。対象物Pは、例えば、防災食、非常食等であってもよい。対象物Pは、例えば、酒、ワイン等のアルコール類であってもよい。対象物Pは、例えば、醤油や味噌等の発酵食品であってもよい。対象物Pは、例えば、玉ねぎ、人参、大根等の野菜であってもよい。対象物Pは、例えば、漬け物であってもよい。対象物Pは、例えば、出汁等の液体と共に封入される食材であってもよい。対象物Pは、ジャムであってもよい。対象物Pは、米や野菜であってもよく、水等の液体と共に密閉容器Qに真空状に密閉されてもよい。
【0015】
対象物Pは、ダイヤモンドであってもよい。対象物Pは、銅とアルミの混合体であってもよい。対象物Pは、例えば、ホウ酸系溶液、リン酸系溶液等の薬液と共に封入される木材であってもよい。
【0016】
密閉容器Qは、図3に示すように、複数の対象物Pと、対象物Pよりも径小な粉体Bと、を密閉してもよい。これにより、柔軟性を有する密閉容器Qを介して対象物Pに圧力が作用したとき、複数の対象物P同士の隙間に粉体Bが配置され、対象物Pに過剰な圧力が作用して破裂するのを防止することができる。粉体Bは、対象物Pを粉砕した粉体であってもよい。例えば、対象物Pとしては、米であり、粉体Bとしては、米粉等が用いられる。
【0017】
加圧加工システム1は、収容体2と、浮力体3と、重り体4と、切離機構5と、を備える。加圧加工システム1は、全体(主に収容体2と、浮力体3と、重り体4と、切離機構5)の見掛けの比重が1.1程度で海水の比重より大きい。このため、海に浸漬された加圧加工システム1は、海水中を自然沈降するものとなる。
【0018】
収容体2は、対象物Pを収容するためのものである。収容体2は、対象物Pが載置される底部21aを有するパレット21と、パレット21を支持する枠体29とを有する。収容体2は、複数段に亘って、パレット21が積層される。各パレット21同士は、図示しないナイロンロープ等の所定の連結手段により連結されている。パレット21は、底部21aに孔21bが形成される。枠体29は、パレット21が載置される底部29aには図示しない開口部が形成される。枠体29は、外形が直方体状となるように、棒材29bが組み合わせられて構成される。枠体29は、周囲に図示しない金網等の網体が設けられる。これにより、パレット21が枠体29から脱落するのを防止することができる。枠体29の上部には、浮力体3が取り付けられる。枠体29の下部には、切離機構5が取り付けられる。
【0019】
収容体2は、フィン28が設けられてもよい。フィン28は、例えば、FRP(fiberglass Reinforced Plastic)製のものが用いられる。図2の例では、フィン28は、深さ方向に直交する側方に向けて突出するように三角形状に形成される。フィン28は、外形が直方体状の枠体29の四隅に配置される。収容体2は、フィン28が設けられることにより、収容体2が安定して水中を降下及び浮上することができる。なお、収容体2は、枠体29が省略されてもよく、このとき、例えば、パレット21同士がロープ等の所定の連結手段により連結される。
【0020】
図4は、浮力体3を主に示す断面図である。浮力体3は、収容体2を海水中で浮上させるためのものである。浮力体3は、海に浸漬された状態で、浮力が作用するものとなる。浮力体3は、第1収容袋31と、第2収容袋32とを有する。なお、浮力体3は、本実施形態では、1つ設けられているが、本発明では、複数設けられていてもよい。
【0021】
第1収容袋31は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン等の柔軟性を有する樹脂製の袋である。第1収容袋31は、透水性の極めて低い、又は、透水性のない、袋が用いられる。第1収容袋31は、孔31aが形成され、径が20μm程度の中空ガラス球が無数に収容される。中空ガラス球は、径が5μm以上1,000μm以下程度のものが用いられてもよい。中空ガラス球は、水深200m〜水深10,000m程度の高水圧に耐えることができる。第1収容袋31は、工場生産された中空ガラス球が封入される袋である。
【0022】
第2収容袋32は、透水性を有する布製等の袋が用いられる。第2収容袋32は、複数の第1収容袋31が収容される。第2収容袋32は、入口部32aが形成され、入口部32aには、ロープ等の線材33の一端が挿入されて固定される。線材33は、一端とは反対側の他端が収容体2に取り付けられる。
【0023】
浮力体3を作製するには、先ず、工場生産された無数の中空ガラス球が封入された複数の第1収容袋31を、第2収容袋32に収容する。そして、第2収容袋32に収容された状態の第1収容袋31に、孔31aを形成する。そして、第2収容袋32の入口部32aに、ロープ等の線材33の一端を固定して、完了する。
【0024】
浮力体3を海水に浸漬することにより、透水性を有する第2収容袋32の内部に海水が侵入する。また、第1収容袋31に収容された中空ガラス球は、第1収容袋31の孔31aから第2収容袋32内に拡散される。これらにより、中空ガラス球間は、海水で満たされ、中空ガラス球同士が接触するのを抑制することができる。このため、浮力体3を海水に浸漬したとき、中空ガラス球に対して、過剰な圧力が作用するのを抑制し、中空ガラス球が破裂するのを防止することができる。
【0025】
なお、第1収容袋31は、紙等の水溶性の袋であってもよい。このとき、浮力体3を海水に浸漬することにより、透水性を有する第2収容袋32の内部に海水が侵入する。また、第1収容袋31に収容された中空ガラス球は、第1収容袋31が溶けたり、破れたりすることにより第2収容袋32内に拡散される。これらにより、中空ガラス球間は、海水で満たされ、中空ガラス球同士が接触するのを抑制することができる。このため、浮力体3を海水に浸漬したとき、中空ガラス球に対して、過剰な圧力が作用するのを抑制し、中空ガラス球が破裂するのを防止することができる。
【0026】
図5は、浮力体3の第1変形例を主に示す断面図である。この浮力体3は、第2収容袋32の内面に、針、棘等の突起部34を有する。第1収容袋31に孔31aを形成する際には、工場生産された無数の中空ガラス球が封入された複数の第1収容袋31を第2収容袋32に収容する。これにより、第2収容袋32の突起部34により、第1収容袋31に孔31aが形成される。このため、孔31aを容易に形成することができる。
【0027】
図6は、浮力体3の第2変形例を主に示す断面図である。浮力体3は、紐等の連結部35により他の浮力体3と連結されていてもよい。図示は省略するが、第2変形例に係る複数の浮力体3は、例えば、収容体2の周囲に巻き付けられるようにして、収容体2に取り付けられてもよい。
【0028】
重り体4は、海水又は湖水よりも比重の大きいものが用いられる。重り体4は、例えば、テトラポッド等のコンクリートや、鋼材、鉄くず等の所定の重量を有する部材が用いられる。
【0029】
図7は、切離機構5を主に示す模式図である。図8は、図7のD−D断面図である。切離機構5は、収容体2と重り体4とを切り離し可能に連結する。切離機構5は、金属製の第1部材51と、金属製の第2部材52と、電気を供給する電源装置53と、を有する。
【0030】
第1部材51は、棒状、板状等に形成される鋼棒等が用いられる。第1部材51は、収容体2が取り付けられる第1取付部51aと、重り体4が取り付けられる第2取付部51bとを有する。第1部材51は、第1取付部51aと第2取付部51bの間に、切離予定領域51cが形成される。
【0031】
第2部材52は、図8に示すように、環状に形成され、例えば、スプリングリング、スプリングワッシャ等が用いられる。第2部材52は、第1部材51の周囲に配置され、周方向に伸縮可能な部材である。第2部材52は、切離予定領域51cと間隔Sを空けて設けられる。
【0032】
電源装置53は、電気を供給する電池等が用いられ、陽極側53aに第1部材51が電気的に接続され、陰極側53bに第2部材52が電気的に接続される。電源装置53は、防水された電源箱59に収容されている。
【0033】
電源装置53は、電気の供給をソナー等により遠隔制御する遠隔制御部を有していてもよい。これにより、電源装置53は、陸上又は海上にいるユーザが電源装置53の遠隔制御部を操作可能なコントローラーを操作することにより、電源装置53の起動が遠隔制御可能となる。また、電源装置53は、タイマー式等で構成され、時間の経過により、起動するものであってもよい。
【0034】
切離機構5は、間隔Sを保持するための絶縁性の絶縁部材54を更に有する。絶縁部材54は、例えば、ゴム弾性体等が用いられる。第2部材52は、周方向の外側に広げるようにして、間隔Sに絶縁部材54が配置される。これにより、第2部材52は、内側に縮もうとする力が作用する。このため、第2部材52は、絶縁部材54を介して、第1部材51に押圧力を付与するものとなる。
【0035】
切離機構5は、海水に浸漬される。このとき、電源装置53により、第1部材51の切離予定領域51cと第2部材52との間には、海水を介して、電流が流れる。これにより、切離予定領域51cが強制的に腐食する。これにより、切離予定領域51cが徐々に薄くなる。最終的に、図9に示すように、第1部材51が切離予定領域51cにおいて切り離される。
【0036】
なお、切離予定領域51cには、防錆処理が施されていないことが好ましい。これにより、切離予定領域51cがより腐食しやすくなる。このため、切離予定領域51cにおいて、より確実に切り離すことができる。また、第1取付部51a、第2取付部51bは、防錆処理が施されていることが好ましい。
【0037】
次に、本実施形態に係る加圧加工システム1の動作の一例について説明する。
【0038】
加圧加工システム1は、図10(a)に示すように、予め、船舶、台船等の船9により、海上の所定の位置まで、運搬された状態から、開始する。
【0039】
次に、図10(b)に示すように、船9から加圧加工システム1を海に沈降させる。このとき、加圧加工システム1は、全体の見掛けの比重が海水より大きいため、海底面Gに向けて自然沈降する。沈降した結果、加圧加工システム1は、海底面Gに設けられることとなり、200m〜10,000m程度の所定の水深Dで、対象物Pが浸漬される。これにより、対象物Pに低温高圧を作用させることができる。このため、加圧加工システム1は、対象物Pを加圧加工することができる。
【0040】
そして、所定の時間経過後、図11(a)に示すように、収容体2と重り体4とを連結させていた切離機構5を切り離して、収容体2を自然浮上させる。
【0041】
切離機構5により収容体2と重り体4とを切り離す際には、先ず、船9上のユーザがコントローラーを制御して電源装置53を起動する。電源装置53を起動することにより、第1部材51と第2部材52とに電気を供給する。このとき、第1部材51の切離予定領域51cと第2部材52との間には、海水を介して、電流が流れる。これにより、切離予定領域51cが強制的に腐食して、図9に示すように、第1部材51が切離予定領域51cにおいて切り離される。このとき、重り体4が切り離された加圧加工システム1は、全体(主に収容体2と、浮力体3と、収容体2に取り付けられた側の切離機構5)の見掛けの比重が0.9程度と海水の比重より小さくなる。このため、収容体2は、切離機構5により重り体4から切り離されて、浮力体3の浮力により海水面Lに向けて(図中矢印U方向に)海水中を自然浮上するものとなる。
【0042】
そして、図11(b)に示すように、収容体2を海水面Lに浮上させ、船9により対象物Pが収容された収容体2を回収する。以上で、加圧加工システム1による対象物Pの加圧加工が完了する。
【0043】
本実施形態によれば、対象物Pを収容するための収容体2と、収容体2を液体中で浮上させるための浮力体3と、海水よりも比重の大きい重り体4と、収容体2と重り体4とを切り離し可能に連結する切離機構5と、を備える。これにより、収容体2は、切離機構5により重り体4から切り離されて、浮力体3の浮力により海水中を自然浮上するものとなる。このため、海水に浸漬した対象物Pを容易に回収することが可能となる。
【0044】
本実施形態によれば、中空ガラス球が第1収容袋31に収容される。これにより、浮力体3を作製する際に、20μm程度の中空ガラス球が空気中に飛散するのを防止することができる。これにより、浮力体3を作製する際に作業者等が中空ガラス球を吸い込むのを防止することができ、安全に作業を行うことができる。
【0045】
本実施形態によれば、浮力体3は、中空ガラス球が収容されるとともに、孔が形成される第1収容袋31と、第1収容袋31が収容される第2収容袋32と、を有する。浮力体3を海水に浸漬することにより、透水性のある第2収容袋32の内部に海水が侵入する。また、第1収容袋31に収容された中空ガラス球は、第1収容袋31の孔31aから第2収容袋32内に拡散される。これらにより、中空ガラス球間は、海水で満たされ、中空ガラス球同士が接触するのを抑制することができる。このため、中空ガラス球に対して、過剰な圧力が作用するのを抑制し、中空ガラス球が破裂するのを防止することができる。このため、中空ガラス球内の空気により浮力が確保されるため、浮力体3全体としての浮力も確保することができる。
【0046】
本実施形態によれば、海水よりも比重の大きい重り体4を備える。これにより、対象物Pを、海底に安定した状態で対象物Pを浸漬して、保持することができる。このため、対象物Pが海流等により流されるのを防止することが可能となる。
【0047】
本実施形態によれば、電源装置53は、陽極側53aに第1部材51が電気的に接続され、陰極側53bに第2部材52が電気的に接続される。これにより、電源装置53が電気を供給することで、第1部材51を切離予定領域51cにおいて切り離すことができる。このため、海水に浸漬した対象物Pを回収する時間または日数を制御し易くすることが可能となる。
【0048】
本実施形態によれば、切離機構5は、間隔Sを保持するための絶縁部材54を更に有し、第2部材52は、絶縁部材54を介して、第1部材51に押圧力を付与するものとなる。これにより、切離予定領域51cの腐食領域を確実に押圧することができる。このため、切離予定領域51cにおいて、より確実に切り離すことができる。
【0049】
本実施形態によれば、切離予定領域51cには、防錆処理が施されていないことが好ましい。これにより、切離予定領域51cがより腐食しやすくなる。このため、切離予定領域51cにおいて、より確実に切り離すことができる。
【0050】
本実施形態によれば、複数の対象物Pと、対象物Pよりも径小な粉体と、を密閉するとともに柔軟性を有する密閉容器Qを更に有する。これにより、柔軟性を有する密閉容器Qを介して対象物Pに圧力が作用したとき、複数の対象物P同士の隙間に粉体が配置され、粉体が対象物Pに過剰な圧力が作用するのを防止することができる。
【0051】
本実施形態によれば、環状の第2部材52が第1部材51を囲うように配置される。これにより、第1部材51の腐食を第2部材52の周方向から満遍なく進行させることができる。
【0052】
次に、切離機構5の第1変形例について、説明する。図12は、切離機構5の第1変形例を示す模式図である。
【0053】
切離機構5は、金属製の第1部材51と、金属製の第2部材52と、電気を供給する電源装置53と、を有する。
【0054】
第2部材52は、板状の第1部材51を挟んで両側に設けられる。第2部材52は、金属板等が用いられ、先端部52aが折り曲げられて形成される。第1部材51と第2部材52の基端部52bとの間には、ゴム弾性体等の絶縁体57が設けられ、第2部材52の基端部52bは、絶縁体57を介して、第1部材51にボルトナット等の固定部材により固定される。これにより、金属板からなる第2部材52の先端部52aは、絶縁部材54を介して、第1部材51に対して押圧力を付与するものとなる。
【0055】
切離機構5は、海水に浸漬される。このとき、電源装置53により、第1部材51の切離予定領域51cと第2部材52との間には、海水を介して、電流が流れる。これにより、切離予定領域51cが強制的に腐食して、第1部材51が切離予定領域51cにおいて切り離される。このとき、収容体2は、切離機構5により重り体4から切り離されて、浮力体3の浮力により海水中を自然浮上するものとなる。
【0056】
本実施形態によれば、第2部材52は、第1部材51を挟んで両側に設けられる。これにより、切離予定領域51cの腐食領域をより確実に押圧することができる。このため、切離予定領域51cにおいて、より確実に切り離すことができる。
【0057】
次に、切離機構5の第2変形例について、説明する。図13は、切離機構5の第2変形例を示す模式図である。
【0058】
切離機構5は、金属製の第1部材51と、第1部材51よりも貴な金属製の第2部材52と、を有する。切離機構5は、電源装置53が省略される。
【0059】
第1部材51は、収容体2が取り付けられる第1取付部51aと、重り体4が取り付けられる第2取付部51bとを有し、第1取付部51aと第2取付部51bの間に切離予定領域51cが形成される。第2部材52は、切離予定領域51cと間隔を空けて設けられる。
【0060】
切離機構5は、海水に浸漬される。このとき、第1部材51の切離予定領域51cと第2部材52との間には、海水を介して、電流が流れる。これにより、切離予定領域51cが腐食して、第1部材51が切離予定領域51cにおいて切り離される。このとき、収容体2は、切離機構5により重り体4から切り離されて、浮力体3の浮力により海水中を自然浮上するものとなる。
【0061】
本実施形態によれば、切離機構5は、金属製の第1部材51と、第1部材51よりも貴な金属製の第2部材52と、を有し、第1部材51は、収容体2が取り付けられる第1取付部51aと、重り体4が取り付けられる第2取付部51bとを有し、第1取付部51aと第2取付部51bの間に切離予定領域51cが形成され、第2部材52は、切離予定領域51cと間隔Sを空けて設けられる。これにより、所定の時間経過後に、第1部材51を切離予定領域51cにおいて切り離すことができる。このため、海に浸漬した対象物Pを更に容易に回収することが可能となる。
【0062】
次に、切離機構5の第3変形例について、説明する。図14は、切離機構5の第3変形例を示す模式図である。
【0063】
切離機構5は、金属製の第1部材51と、金属製の第2部材52と、電気を供給する電源装置53を有する。電源装置53は、陽極側53aに第1部材51が電気的に接続され、陰極側53bに第2部材52が電気的に接続される。
【0064】
切離機構5は、第2部材52と、少なくとも切離予定領域51cと、が収容される絶縁性の囲い部55を更に有する。囲い部55は、例えば、プラスチック容器等の絶縁性の容器が用いられる。囲い部55の内部には、希硫酸水溶液、塩酸等の電解液が充填されている。
【0065】
第1部材51は、棒状に形成され、囲い部55を貫通するように配置される。第1部材51は、第1取付部51aと第2取付部51bとが、囲い部55の外側に配置される。
【0066】
第2部材52は、環状に形成され、囲い部55の内面55aに設けられる。
【0067】
切離機構5は、海水に浸漬される。このとき、電源装置53により、第1部材51の切離予定領域51cと環状の第2部材52との間には、囲い部55に充填された電解液を介して、電流が流れる。これにより、切離予定領域51cが強制的に腐食して、第1部材51が切離予定領域51cにおいて切り離される。このとき、収容体2は、切離機構5により重り体4から切り離されて、浮力体3の浮力により海水中を自然浮上するものとなる。
【0068】
本実施形態によれば、電源装置53は、陽極側53aに第1部材51が電気的に接続され、陰極側53bに第2部材52が電気的に接続される。これにより、供給する電源装置53の電流に応じて、所定の時間経過後に、第1部材51を切離予定領域51cにおいて切り離すことができる。このため、海水に浸漬した対象物Pを回収する時間を制御し易くすることが可能となる。
【0069】
本実施形態によれば、囲い部55に電解液が充填される。これにより、切離予定領域51cの腐食を発生させやすくできる。このため、切離予定領域51cにおいて、より確実に切り離すことができる。
【0070】
次に、切離機構5の第4変形例、第5変形例について、説明する。図15は、切離機構5の第4変形例を示す模式図である。図16は、切離機構5の第5変形例を示す模式図である。
【0071】
切離機構5は、熱溶融性を有する棒状の第1部材151と、電熱性を有する第2部材152と、第2部材152に電流を供給する電源装置53と、を有する。第1部材151は、収容体2が取り付けられる第1取付部152aと、重り体4が取り付けられる第2取付部152bとを有する。第1取付部151aと第2取付部151bの間に切離予定領域151cが形成される。電源装置53は、防水された電源箱59に収容されている。第2部材152は、後述する海水中で熱溶融できるよう、防水処理が施されている。
【0072】
第2部材152は、図15に示すように、切離予定領域151cに設けられる。第2部材152は、切離予定領域151cに巻き付けられる。第2部材152は、図16に示すように、切離予定領域151cに内蔵されてもよい。
【0073】
切離機構5は、海水に浸漬される。このとき、電源装置53を起動して第2部材152に電気を供給することにより、第2部材152が電熱する。これにより、熱溶融性を有する第1部材151の切離予定領域151cが熱溶融して、第1部材151が切離予定領域151cにおいて切り離される。このとき、収容体2は、切離機構5により重り体4から切り離されて、浮力体3の浮力により海水中を自然浮上するものとなる。
【0074】
本実施形態によれば、熱溶融性を有する棒状の第1部材151と、電熱性を有する第2部材152と、第2部材152に電流を供給する電源装置53と、を有し、第1部材151は、収容体2が取り付けられる第1取付部151aと、重り体4が取り付けられる第2取付部151bとを有し、第1取付部152aと第2取付部152bの間に切離予定領域51cが形成され、第2部材152は、切離予定領域51cに巻き付けられる.これにより、供給する電源装置53の電流に応じて、所定の時間経過後に、第1部材51を切離予定領域51cにおいて切り離すことができる。このため、海水に浸漬した対象物Pを回収する時間を制御し易くすることが可能となる。
【0075】
次に、切離機構5の第6変形例について、説明する。図17は、切離機構5の第6変形例を示す模式図である。
【0076】
切離機構5は、収容体2が取り付けられる第1取付部251と、重り体4が取り付けられる第2取付部251bと、第1取付部251aと第2取付部251bとを連結して海水に溶ける可溶体253と、を有する。
【0077】
第1取付部251aは、例えば、樹脂製のボルト状に形成され、頭部251cに所定の大きさの可溶体253が設けられる。
【0078】
第2取付部251bは、樹脂製の部材が用いられ、可溶体253を係止する係止部251dを有する。
【0079】
可溶体253は、水溶性を有し、所定の形状を有する。可溶体253は、例えば、氷砂糖、食塩、海水に溶ける生分解性プラスチック、水溶性接着剤等が用いられる。
【0080】
図18は、切り離された状態の切離機構5の第6変形例を示す模式図である。切離機構5は、海水に浸漬される。時間の経過に伴って、係止部252dに係止させていた可溶体253が、徐々に海水に溶けることとなる。そして、可溶体253が溶けることにより、係止部252dに係止が解除され、連結されていた第1取付部251aと第2取付部251bとが切り離される。その結果、浮力体3の浮力により、収容体2が海水中を自然浮上することとなる。このため、海水に浸漬した対象物Pを容易に回収することが可能となる。
【0081】
本実施形態によれば、切離機構5は、収容体2が取り付けられる第1取付部251aと、重り体4が取り付けられる第2取付部251bと、第1取付部251aと第2取付部251bとを連結して海水に溶ける可溶体253と、を有する。これにより、時間の経過に伴って、可溶体253が、徐々に海水に溶けることとなる。そして、可溶体253が溶けることにより、連結されていた第1取付部251aと第2取付部252bとが切り離される。その結果、収容体2が海水中を自然浮上することとなる。このため、海水に浸漬した対象物Pを容易に回収することが可能となる。
【0082】
なお、図示は省略するが、切離機構5は、可溶体253を囲う開閉式の開閉箱を有していてもよい。この開閉箱は、例えば、ユーザの制御により、又は、タイマー式等の時間の経過により、開閉可能に構成されている。かかる開閉箱を有する場合、海水に浸漬する際には、閉じられた状態の開閉箱に可溶体253が囲われており、海水とは接触することがなく、可溶体253が溶け出さない。そして、所定の時間経過後に、例えば、ユーザの制御により、この開閉箱を開く。これにより、可溶体253が海水に接触して、可溶体253が海水に溶け始める。そして、可溶体253が溶けることにより、連結されていた第1取付部251aと第2取付部252bとが切り離される。その結果、収容体2が海水中を自然浮上することとなる。このため、開閉箱を有する場合には、海水に浸漬した対象物Pを回収する時間を制御し易くすることが可能となる。
【0083】
次に、切離機構5の第7変形例について、説明する。図19は、切離機構5の第7変形例を示す模式図である。
【0084】
切離機構5は、金属製の棒状部材である第1部材351と、第1部材351に巻き付けられるコイルである第2部材352と、第2部材352に電気を供給する電源装置53と、永久磁石である第3部材353とを有する。
【0085】
第1部材351は、例えば、鉄芯が用いられる。第1部材351は、一端部351a側に収容体2が取り付けられ、他端部351b側に第3部材354が取り付けられる。第1部材351は、他端部351bに第1部材351の径D1よりも径大な径D2である拡径部351cを有し、この拡径部351cを介して第3部材353が取り付けられる。拡径部351cは、鉄板等が用いられてもよい。
【0086】
電源装置53は、陽極側53aに第2部材352の一端部が取り付けられ、陽極側53aに第2部材352の他端部が取り付けられる。
【0087】
第3部材353は、重り体4が取り付けられる。
【0088】
切離機構5は、海水に浸漬される。このとき、電源装置53の起動した状態で、海水に浸漬される。これにより、第2部材に電気が供給され、第1部材351の軸方向に向かう磁力が発生する。このため、金属製の第1部材351の他端部351b側と、永久磁石である第3部材353とを連結させることができる。
【0089】
図20は、切り離された状態の切離機構5の第7変形例を示す模式図である。所定の時間経過後に、電源装置53の起動を停止させる。これにより、第1部材351の軸方向に向かう磁力が低減する又は作用しなくなる。このため、金属製の第1部材351の他端部351b側と、永久磁石である第3部材353とが切り離される。このとき、収容体2は、切離機構5により重り体4から切り離されて、浮力体3の浮力により海水中を図中矢印U方向に自然浮上するものとなる。
【0090】
本実施形態によれば、切離機構5は、金属製の棒状部材である第1部材351と、第1部材351に巻き付けられるコイルである第2部材352と、第2部材352に電気を供給する電源装置53と、永久磁石である第3部材353とを有し、第1部材351は、一端部351a側に収容体2が取り付けられ、他端部352b側に第3部材353が取り付けられ、第3部材353は、重り体4が取り付けられる。これにより、供給する電源装置53の電流に応じて、所定の時間経過後に、金属製の第1部材351の他端部351b側と、永久磁石である第3部材353とを切り離すことができる。このため、海水に浸漬した対象物Pを回収する時間を制御し易くすることが可能となる。
【0091】
次に、浮力体3の第3変形例について、説明する。図21は、浮力体3の第3変形例を示す模式断面図である。
【0092】
浮力体3は、径が500mm程度の中空ガラス球131が用いられ、中空ガラス球131を被覆する被覆緩衝材132を有する。被覆緩衝材132は、例えば、ポリエステル製、ポリプロピレン製、ナイロン製、ポリエチレン製、ポリビニルアルコール製、ポリ塩化ビニリデン製、ポリエチレンテレフタート製、エチレンビニルアルコール製、ポリビニルアルコール製等の樹脂が用いられる。浮力体3は、被覆緩衝材132が線材33を介して、収容体2に取り付けられる。
【0093】
本実施形態によれば、浮力体3は、中空ガラス球131を被覆する被覆緩衝材132を有する。これにより、浮力体3に外力が作用したとしても、被覆緩衝材132により外力が緩衝され、中空ガラス球131が破裂するのを防止することができる。このため、中空ガラス球131内の空気により浮力が確保されるため、浮力体3全体としての浮力も確保することができる。
【0094】
次に、浮力体3の第4変形例について、説明する。図22は、浮力体3の第4変形例を示す模式断面図である。
【0095】
浮力体3は、透水性を有する収容袋36を有し、収容袋36は、複数の中空ガラス球が収容されるとともに、複数の中空ガラス球間が液体で満たされる。
【0096】
収容袋36は、透水性を有する布製等の袋が用いられる。収容袋36は、中空ガラス球が複数収容される。中空ガラス球は、例えば径が5μm以上1,000μm以下程度のものが用いられる。収容袋36は、入口部36aが形成され、入口部36aには、ロープ等の線材33の一端が挿入されて固定される。線材33は、一端とは反対側の他端が収容体2に取り付けられる。収容袋36は、複数の中空ガラス球間が、水、海水等の液体で満たされる。
【0097】
本実施形態によれば、浮力体3は、透水性を有する収容袋36を有し、収容袋36は、複数の中空ガラス球が収容されるとともに、複数の中空ガラス球間が液体で満たされる。これにより、中空ガラス球に対して、過剰な圧力が作用するのを抑制し、中空ガラス球が破裂するのを防止することができる。このため、中空ガラス球内の空気により浮力が確保されるため、浮力体3全体としての浮力も確保することができる。
【0098】
また、本実施形態によれば、液体で満たされた1重の収容袋36に複数の中空ガラス球が収容されるため、収容袋36の内部に空気だまりができにくくなる。このため、中空ガラス球に過剰な圧力が作用するのをより確実に抑制し、中空ガラス球が破裂するのを防止することができる。このため、中空ガラス球内の空気により浮力が確保されるため、浮力体3全体としての浮力もより確実に確保することができる。
【0099】
次に、第1実施形態に係る加圧加工システム1の変形例について、説明する。図23は、第1実施形態に係る加圧加工システム1の変形例を示す模式断面図である。
【0100】
浮力体3は、浮力体3と収容体2とが当接するように収容体2と連結する連結部38を有する。連結部38は、紐、ロープ等の部材が用いられ、浮力体3の上側と側面側と下側とを囲うように配置される。
【0101】
本変形例によれば、浮力体3は、浮力体3と収容体2とが当接するように収容体2と連結する連結部38を有する。これにより、浮力体3と収容体2とが離間されることなく当接した状態となり、浮力体3を収容体2に強固に固定することができる。このため、加圧加工システム1を沈降させる際や浮上させる際に、安定した状態で行うことができる。
【0102】
本変形例に係る加圧加工システム1は、更に収容体2に設けられるフィン28と、フィン28の上下方向に対する角度を任意の角度に調整する角度調整部27とを有する。
【0103】
本変形例に係る加圧加工システム1は、更に収容体2に設けられる制御機構7と、カメラ8とを備える。制御機構7は、角度調整部27による調整を制御する調整制御部75を有する。調整制御部75は、角度調整部27と通信可能であり、フィン28の角度を調整するための信号を角度調整部27に送信する。角度調整部27は、調整制御部75から送信された信号に基づいて、フィン28の角度を調整する。
【0104】
カメラ8は、周囲の環境の画像を撮影することができる。ユーザは、カメラ8により撮影された画像を見ながら、制御機構7と通信可能なコントローラから制御機構7の調整制御部75を制御する信号を送受信する。ユーザは、カメラ8により、海底面Gでの既に浸漬した加圧加工システム1の有無等の海底面Gの状況を把握することができる。また、ユーザは、カメラ8により、海水面に浮かぶ船舶等の有無等の海水面の状況を把握することができる。
【0105】
本変形例によれば、更に収容体2に設けられるフィン28と、フィン28の上下方向に対する角度を任意の角度に調整する角度調整部27とを有する。これにより、加圧加工システム1を沈降させる際や浮上させる際に、フィン28の方向を制御することができる。このため、加圧加工システム1を図中矢印A方向に沈降させる方向や浮上させる方向を制御し、沈降させる位置や浮上させる位置を調整することができる。
【0106】
なお、図23では、フィン28と角度調整部27は、収容体2に設けられる形態について説明したが、本発明では、フィン28と角度調整部27は、浮力体3、重り体4、切離機構5等に設けられてもよい。このとき、フィン28と角度調整部27は、浮力体3、切離機構5に設けられることが好ましい。フィン28と角度調整部27が浮力体3、切離機構5に設けられる場合には、収容体2に設けられる場合と同様に、加圧加工システム1を沈降させる際や浮上させる際に、フィン28の方向を制御することができる。このため、加圧加工システム1を沈降させる位置や浮上させる位置を調整することができる。
【0107】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る加圧加工システム1について、説明する。第2実施形態に係る加圧加工システム1は、図24(a)に示すように、切離機構5が省略されるとともに、重り体4は、海水に溶ける可溶体41が用いられる点で、第1実施形態と主に異なる。以下、第1実施形態と同様の構成については、適宜説明を省略する。
【0108】
重り体4は、収容体2に連結され、海水に溶ける可溶体41が用いられる。可溶体41は、水溶性を有し、所定の形状を有する。可溶体41は、例えば、氷砂糖、食塩、水溶性を有する生分解性プラスチック、水溶性接着剤等が用いられる。
【0109】
次に、本実施形態に係る加圧加工システム1の動作の一例について説明する。
【0110】
図24は、海に沈降させる際の第2実施形態に係る加圧加工システムを示す模式図である。図24(a)は、水面上の第2実施形態に係る加圧加工システムを示す模式図であり、図24(b)は、沈降した第2実施形態に係る加圧加工システムを示す模式図である。加圧加工システム1は、図24(a)に示すように、予め、船舶、台船等の船9により、海上の所定の位置まで、運搬された状態から、開始する。
【0111】
次に、図24(b)に示すように、船9から加圧加工システム1を海に沈降させる。このとき、加圧加工システム1は、全体の見掛けの比重が海水より大きいため、海底面Gに向けて自然沈降する。沈降した結果、加圧加工システム1は、海底面Gに設けられることとなり、200m〜10,000m程度の所定の水深Dで、対象物Pが浸漬される。これにより、対象物Pに低温高圧を作用させることができる。このため、加圧加工システム1は、対象物Pを加圧加工することができる。
【0112】
図25は、浮上させる際の第2実施形態に係る加圧加工システムを示す模式図である。図25(a)は、浮上中の第2実施形態に係る加圧加工システムを示す模式図であり、図25(b)は、浮上した第2実施形態に係る加圧加工システムを示す模式図である。そして、所定の時間経過後、図25(a)に示すように、可溶体41が海水に溶けることとなる。このとき、加圧加工システム1は、全体(主に収容体2と、浮力体3と、溶け残った可溶体41)の見掛けの比重が海水の比重より小さくなる。このため、収容体2は、浮力体3の浮力により海水面Lに向けて(図中矢印U方向に)海水中を自然浮上するものとなる。
【0113】
そして、図25(b)に示すように、収容体2を海水面Lに浮上させ、船9により対象物Pが収容された収容体2を回収する。以上で、加圧加工システム1による対象物Pの加圧加工が完了する。
【0114】
本実施形態によれば、対象物Pを収容するための収容体2と、収容体2を液体中で浮上させるための浮力体3と、海水よりも比重の大きい重り体4と、を備え、重り体4は、海水に溶ける可溶体41である。これにより、収容体2は、可溶体41が海水に溶けることにより、浮力体3の浮力により海水中を自然浮上するものとなる。このため、海水に浸漬した対象物Pを容易に回収することが可能となる。
【0115】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る加圧加工システム1について、説明する。第3実施形態に係る加圧加工システム1は、更に、推力機構6と、制御機構7と、を備える点で、第1実施形態と主に異なる。第1実施形態と同様の構成については、適宜説明を省略する。
【0116】
推力機構6は、水中で推力を発生させるものであり、回転可能なモーター式スクリュー等が用いられる。推力機構6は、推力を発生させる方向を任意とすることができ、フィン等が設けられてもよい。推力機構6は、収容体2に設けられ、推力により収容体2を移動させるものとなる。なお、推力機構6は、浮力体3に設けられてもよい。
【0117】
制御機構7は、基点部71と、基点位置取得部72と、対象物位置取得部73と、制御部74とを有する。
【0118】
基点部71は、海面近傍に設けられ、例えば、海面近傍に浮くブイ、灯浮標等が用いられる。基点部71は、図示しない錨等が設けられて、海上の所定の位置に固定される。基点部71は、重り体4に接続されていてもよい。なお、基点部71は、沿岸部の陸上に設けられてもよい。
【0119】
基点位置取得部72は、基点部71の位置情報を取得する。基点位置取得部72は、GPS(Global Positioning System)等の位置情報を取得できる電子機器が用いられる。基点位置取得部72は、他の電子機器と情報の送受信が可能であり、取得した基点部71の位置情報を、制御部74に送信する。
【0120】
対象物位置取得部73は、対象物Pの位置情報を取得する。対象物位置取得部73は、GPS等の位置情報を取得できる電子機器が用いられる。対象物位置取得部73は、収容体2又は浮力体3に設けられる。収容体2又は浮力体3に設けられた対象物位置取得部73は、対象物Pの位置情報として、取得される。基点位置取得部72は、他の電子機器と情報の送受信が可能であり、取得した対象物Pの位置情報を、制御部74に送信する。
【0121】
対象物位置取得部73は、基点部71に対して発する音波等から基点部71までの距離を計測してもよい。対象物位置取得部73は、この計測した基点部71までの距離と、基点位置取得部72により取得した基点部71の位置情報と、に基づいて、対象物Pの位置情報を取得してもよい。
【0122】
制御部74は、基点位置取得部72により送信された基点部71の位置情報と、対象物位置取得部73により送信された対象物Pの位置情報と、に基づいて、収容体2が基点部71に向けて移動するように推力機構6を制御する。
【0123】
次に、第3実施形態の動作の一例について説明する。
【0124】
加圧加工システム1は、対象物Pを収容するための収容体2と、収容体2を液体中で浮上させるための浮力体3と、海水よりも比重の大きい重り体4と、収容体2と重り体4とを切り離し可能に連結する切離機構5と、を備える。これにより、収容体2は、切離機構5により重り体4から切り離されて、浮力体3の浮力により海水中を自然浮上するものとなる。
【0125】
切離機構5により、収容体2と重り体4とを切り離して、海水面L近傍まで浮上させる。このとき、図26に示すように、収容体2が海流等に流されて、基点部71から離れた海水面Lに浮上してしまうことがある。
【0126】
制御機構7は、基点位置取得部72により基点部71の位置情報と、対象物位置取得部73により対象物Pの位置情報と、を取得する。制御機構7は、制御部74が、基点位置取得部72により送信された基点部71の位置情報と、対象物位置取得部73により送信された対象物Pの位置情報と、に基づいて、収容体2が基点部71に向けて移動するように推力機構6を制御する。これにより、収容体2を浮上させた後に、図中矢印W方向に基点部71に収容体2を移動させることができる。
【0127】
上述した例において、収容体2が海水面L近傍にまで到達した後に、推力機構6を制御する例について説明した。本発明では、推力機構6の制御は、図27に示すように、収容体2が海水中を浮上中に行われてもよい。これにより、収容体2を浮上中に、図中矢印T方向に基点部71に収容体2を移動させることができ、対象物Pの回収を容易に行うことができる。
【0128】
本実施形態によれば、制御機構7は、制御部74が、基点位置取得部72により送信された基点部71の位置情報と、対象物位置取得部73により送信された対象物Pの位置情報と、に基づいて、収容体2が基点部71に向けて移動するように推力機構6を制御する。これにより、収容体2を浮上させた後に、又は収容体2を浮上中に、図中矢印W方向に、又は図中矢印T方向に、基点部71に収容体2を移動させることができる。このため、海流の影響により収容体2が流されたとしても、収容体2を見失くことなく、対象物Pの回収を容易に行うことができる。
【0129】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明したが、上述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
【符号の説明】
【0130】
1 :加圧加工システム
2 :収容体
3 :浮力体
31 :第1収容袋
31a :孔
32 :第2収容袋
32a :入口部
33 :線材
35 :収容袋
39 :可溶体
131 :中空ガラス球
132 :被覆緩衝材
239 :可溶体
4 :重り体
5 :切離機構
51 :第1部材
51a :第1取付部
51b :第2取付部
51c :切離予定領域
52 :第2部材
52a :先端部
52b :基端部
53 :電源装置
53a :陽極側
53b :陰極側
54 :絶縁部材
55 :囲い部
57 :絶縁体
151 :第1部材
151a :第1取付部
151b :第2取付部
151c :切離予定領域
152 :第2部材
152a :第1取付部
152b :第2取付部
251 :第1取付部
251a :第1取付部
251b :第2取付部
251c :頭部
251d :係止部
252 :第2取付部
252b :係止部
253 :可溶体
6 :推力機構
7 :制御機構
P :対象物
Q :密閉容器
図1
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図26
図27
【手続補正書】
【提出日】2019年6月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海又は湖に対象物を浸漬して対象物を加圧加工する加圧加工システムであって、
対象物を収容するための収容体と、
前記収容体を浮上させるための浮力体と、
海水又は湖水よりも比重の大きい重り体と、
前記収容体と前記重り体とを切り離し可能に連結する切離機構と、を備え、
前記浮力体は、透水性を有する1重の収容袋を有し、
前記収容袋は、複数の中空ガラス球が収容されるとともに、海又は湖に浸漬することにより、前記収容袋内に収容された複数の前記中空ガラス球間が海水又は湖水で満たされること
を特徴とする加圧加工システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明に係る加圧加工システムは、海又は湖に対象物を浸漬して対象物を加圧加工する加圧加工システムであって、対象物を収容するための収容体と、前記収容体を浮上させるための浮力体と、海水又は湖水よりも比重の大きい重り体と、前記収容体と前記重り体とを切り離し可能に連結する切離機構と、を備え、前記浮力体は、透水性を有する1重の収容袋を有し、前記収容袋は、複数の中空ガラス球が収容されるとともに、海又は湖に浸漬することにより、前記収容袋内に収容された複数の前記中空ガラス球間が海水又は湖水で満たされることを特徴とする。