特開2020-174970(P2020-174970A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-174970(P2020-174970A)
(43)【公開日】2020年10月29日
(54)【発明の名称】装飾コップおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A47G 19/22 20060101AFI20201002BHJP
   B65D 25/20 20060101ALN20201002BHJP
【FI】
   A47G19/22 B
   B65D25/20 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-80358(P2019-80358)
(22)【出願日】2019年4月19日
(71)【出願人】
【識別番号】516287494
【氏名又は名称】久野 悟
(71)【出願人】
【識別番号】501201591
【氏名又は名称】株式会社東洋セラミックス
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(72)【発明者】
【氏名】久野 悟
【テーマコード(参考)】
3B001
3E062
【Fターム(参考)】
3B001AA02
3B001CC01
3E062AA10
3E062AB02
3E062AC06
3E062DA01
3E062DA06
3E062EA01
3E062EB02
3E062EC06
(57)【要約】
【課題】コップの底の部分に様々な造形物を自由に収容することが可能であり、容易に作製することが可能な装飾コップおよびその製造方法の提供。
【解決手段】装飾コップ1は、上面20Aが開口された第1収容部2Aと、下面20Bが開口された第2収容部2Bと、第1収容部2Aと第2収容部2Bとを区分して第1収容部2Aの底面を構成する底板部21Bとを有する透明な容器本体2と、容器本体2の下面20Bに接着され、第2収容部2Bの開口を閉塞する容器底部3と、容器底部3の上面30に接着され、第2収容部2Bに収容される造形物4とを含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口された第1収容部と、下面が開口された第2収容部と、前記第1収容部と前記第2収容部とを区分して前記第1収容部の底面を構成する底板部とを有する透明な容器本体と、
前記容器本体の下面に接着され、前記第2収容部の開口を閉塞する容器底部と、
前記容器底部の上面に接着され、前記第2収容部に収容される造形物と
を含む装飾コップ。
【請求項2】
前記容器底部の下部に着脱可能であり、上面が開口された第3収容部を有する補助容器を含む請求項1記載の装飾コップ。
【請求項3】
前記容器底部は、不透明かつ前記造形物の主な色と反対色である請求項1または2に記載の装飾コップ。
【請求項4】
前記容器底部は、陶磁器製である請求項1から3のいずれか1項に記載の装飾コップ。
【請求項5】
前記容器本体は、前記第1収容部を形成する内容器と、前記内容器の上端部に接合された外筒とから構成される請求項1から4のいずれか1項に記載の装飾コップ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の装飾コップの製造方法であって、
前記容器底部の上面に造形物を接着剤により接着すること、
前記造形物が接着された容器底部を、前記容器本体の下面に接着剤により接着すること
を含む装飾コップの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コップの底の部分に造形物を配設した装飾コップおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コップを上底と下底との二重底とし、この二重底の部分に空間を作り、球状のガラス玉を移動できるように入れた装飾コップが知られている(例えば、特許文献1参照。)。この装飾コップは、下底の中にガラス玉を入れ、その上に上底を重ね、熱によって焼き付けることによって作製される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63−47767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の装飾コップは、一旦形成された下底と上底とをガラス玉を入れた後に熱によって焼き付けるため、組み立てに非常に手間がかかる。また、この装飾コップは二重底の部分にガラス玉を入れているため、焼き付け時の熱による影響はないが、熱の影響を受けるようなものは入れることができず、収容物を自由に選択することができない。
【0005】
そこで、本発明においては、コップの底の部分に様々な造形物を自由に収容することが可能であり、容易に作製することが可能な装飾コップおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の装飾コップは、上面が開口された第1収容部と、下面が開口された第2収容部と、第1収容部と第2収容部とを区分して第1収容部の底面を構成する底板部とを有する透明な容器本体と、容器本体の下面に接着され、第2収容部の開口を閉塞する容器底部と、容器底部の上面に接着され、第2収容部に収容される造形物とを含むものである。
【0007】
本発明の装飾コップによれば、透明な容器本体が、下面が開口された第2収容部を有し、上面に造形物が接着された容器底部を容器本体の下面に接着するだけで容易に作製することが可能であり、容器底部の上面に接着する造形物の制約もなく、様々な造形物を自由に収容することが可能である。容器底部の上面に接着された造形物は、透明な容器本体を通して見ることができる。
【0008】
本発明の装飾コップは、容器底部の下部に着脱可能であり、上面が開口された第3収容部を有する補助容器を含むものであることが望ましい。これにより、上面が開口された第1収容部には例えば飲み物を入れ、第3収容部にはこの飲み物に添える摘まみ物等を入れることが可能となる。
【0009】
ここで、容器底部は、不透明かつ造形物の主な色と反対色であることが望ましい。これにより、容器底部上に接着された造形物を透明な容器本体を介して見たときに背景となる容器底部が不透明かつ造形物の主な色と反対色であるため、造形物が映えるようになる。なお、従来の二重底の装飾コップの二重底の部分に造形物を収容しても下底を通してその下が見えるため、造形物は目立たなくなる。
【0010】
また、容器底部は、陶磁器製であることが望ましい。これにより、容器本体の第2収容部に収容される造形物だけでなく、この造形物が上面に接着される陶磁器製の容器底部により高級感が得られる装飾コップとなる。
【0011】
上記本発明の装飾コップの製造方法は、容器底部の上面に造形物を接着剤により接着すること、造形物が接着された容器底部を、容器本体の下面に接着剤により接着することを含む。これにより、組み立ての際に透明な容器本体を加熱などすることなく、接着剤により容易に組み付けて作製することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
(1)上面が開口された第1収容部と、下面が開口された第2収容部と、第1収容部と第2収容部とを区分して第1収容部の底面を構成する底板部とを有する透明な容器本体と、容器本体の下面に接着され、第2収容部の開口を閉塞する容器底部と、容器底部の上面に接着され、第2収容部に収容される造形物とを含む構成により、コップの底の部分に様々な造形物を自由に収容して、透明な容器本体を通して見ることが可能な装飾コップが得られる。
【0013】
(2)容器底部の下部に着脱可能であり、上面が開口された第3収容部を有する補助容器を含むものであることにより、第1収容部に入れる飲み物だけでなく、この飲み物に添える摘まみ物等を第3収容部に入れることが可能な装飾コップが得られる。
【0014】
(3)容器底部が不透明かつ造形物の主な色と反対色であることにより、造形物を透明な容器本体を介して見たときに造形物が映えるようになり、美的外観に優れた装飾コップが得られる。
【0015】
(4)容器底部が陶磁器製であることにより、造形物だけでなく、この造形物が上面に接着される陶磁器製の容器底部により高級感が得られ、さらに美的外観に優れた装飾コップが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態における装飾コップの斜視図である。
図2図1の装飾コップの平面図である。
図3図1の装飾コップを分解した状態における縦断面図である。
図4図1の装飾コップの変形例を示す縦断面図である。
図5】本発明の別の実施形態を示す装飾コップを分解した状態における縦断面図である。
図6】本発明のさらに別の実施形態を示す装飾コップを分解した状態における縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明の実施の形態における装飾コップの斜視図、図2図1の装飾コップの平面図、図3図1の装飾コップを分解した状態における縦断面図である。
図1図3に示すように、本発明の実施の形態における装飾コップ1は、上面20Aが開口された第1収容部2Aと下面20Bが開口された第2収容部2Bとを有する透明な容器本体2と、容器本体2の下面に接着される容器底部3と、容器底部3の上面に接着される造形物4とから構成される。
【0018】
容器本体2は、全体が透明なガラスにより形成されている。容器本体2は、上面20Aが開口した内容器21と、内容器21の上端部に接合され、下面20Bが開口した外筒22とから構成される。内容器21は、上方に向かうにつれて拡径する逆円錐台状であり、錐体面を構成する側板部21Aと、底面を構成する底板部21Bとを有する。外筒22は、下方に向かうにつれて縮径する逆円錐台状であり、錐体面を構成する側板部22Aを有する。
【0019】
内容器21の側板部21Aと底板部21Bとで囲まれた空間が第1収容部2Aを構成する。内容器21の側板部21Aおよび底板部21Bと外筒22の側板部22Aとで囲まれた空間が第2収容部2Bを構成する。すなわち、第1収容部2Aと第2収容部2Bとは、内容器21の側板部21Aおよび底板部21Bによって区分されている。
【0020】
容器底部3は、陶磁器により形成された不透明なものである。また、容器底部3は造形物4の主な色と反対色としている。例えば、造形物4が白基調の場合、容器底部3は黒色系とし、造形物4が黒基調の場合、容器底部3は白色系とする。また、造形物4が明色系の場合、容器底部3を暗色系とし、造形物4が暗色系の場合、容器底部3を明色系とすることもできる。容器底部3は、容器本体2の下面20Bに接着剤を用いて接着される。容器底部3の上面30には、容器本体2の下面に接着する際、外筒22が嵌合して位置決め可能にするための凹部31が形成されている。容器底部3は、容器本体2の下面20Bに接着されることにより、第2収容部2Bの開口を閉塞する。
【0021】
造形物4は、陶磁器により形成されたものである。造形物4は、図示のように折り鶴状のものの他、犬、猫、蛇、蛙や花弁など動植物、車や船などの乗り物、縁起物、各地の観光名所を表すオブジェやキャラクター物などを自由に選択することが可能である。造形物4は、容器底部3の上面に接着剤を用いて接着される。あるいは、容器底部3および造形物4の両方が陶磁器製の場合、釉薬接着や生地接着することで一体形成することも可能である。造形物4は、容器底部3が容器本体2の下面に接着されることにより第2収容部2Bに収容される。なお、造形物4は、ガラス製、金属製やプラスチック製とすることも可能である。
【0022】
上記構成の装飾コップ1では、透明な容器本体2が、下面20Bが開口された第2収容部2Bを有し、上面30に造形物4が接着された容器底部3を容器本体2の下面に接着するだけで容易に作製することが可能である。第2収容部2B内に収容可能な大きさであれば、容器底部3の上面30に接着する造形物4の制約もなく、様々な造形物4を自由に収容することが可能である。
【0023】
そして、容器底部3の上面30に接着された造形物4は、透明な容器本体2を通して見ることができる。また、本実施形態における装飾コップ1では、容器底部3上に接着された造形物4を透明な容器本体2を介して見たときに背景となる容器底部3が不透明かつ造形物の主な色と反対色であるため、図2に示すように造形物4が映えるようになり、美的外観に優れたものとなる。また、容器底部3が陶磁器製であるため、高級感が得られ、さらに美的外観に優れたものとなっている。なお、容器底部3はプラスチック製や金属製とすることも可能である。
【0024】
なお、容器本体2は全体が透明なプラスチック製とすることも可能である。要するに、容器本体2は透明な素材により形成されたものであれば良く、容器本体2を通して容器底部3の上面に接着された造形物4を見ることができれば良い。一方、本実施形態における容器本体2はガラス製であるため、長期に渡って透明度を維持することが可能であり、容器本体2を通して見える造形物4の見え方が変わることがない。
【0025】
図4図1の装飾コップ1の変形例を示す縦断面図である。図4に示す装飾コップ1では、容器底部3に、第2収容部2Bと外部とを貫通する貫通孔32を備えている。この貫通孔32により第2収容部2B内と外部とが通気可能となるため、第1収容部2Aに熱いものを入れた場合に第2収容部2B内の空気が膨張しても貫通孔32を通じて空気が抜けるようになる。これにより、第2収容部2B内の空気が膨張して容器底部3の上面に圧力がかかって、容器底部3が外れるのを防止することができる。
【0026】
また、図4に示すように、容器本体2と容器底部3とを接着した後に、この貫通孔32を通じて第2収容部2Bに水などの液体40を注入することができる。第2収容部2Bに液体を注入した後に貫通孔32を塞ぐことで、第2収容部2B内に造形物4とともに液体40を収容することができる。これにより、魚やカニなどの水棲生物を造形物4とした場合に、水棲生物が水中にいるかのような雰囲気を有する装飾コップ1が得られる。
【0027】
次に、本発明の装飾コップの別の実施形態について説明する。
図5は本発明の別の実施形態を示す装飾コップを分解した状態における縦断面図である。なお、図5において、前述の装飾コップ1と共通の構成要素については同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0028】
図5に示す装飾コップ5は、容器本体2の下面に接着される容器底部6の下部に着脱可能な補助容器7を有する構成である。補助容器7は、上面が開口された第3収容部2Cを有する。また、補助容器7には、容器底部6の下部に固定するための凸部70が形成されている。一方、容器底部6の下部には、補助容器7を嵌めて回転させることにより補助容器7の凸部70と嵌合して、補助容器7を固定するための凹部60が形成されている。
【0029】
この装飾コップ5では、第1収容部2Aには例えば飲み物を入れ、第3収容部2Cにはこの飲み物に添える摘まみ物等を入れることが可能である。容器底部6の下面61を平坦面とすることで、補助容器7を取り外した状態で装飾コップ5をテーブルなどの上に置くことが可能である。これにより、装飾コップ5の第2収容部2B内の造形物4を眺めつつ、補助容器7の第3収容部2Cに入れた摘まみ物等を食しながら、第1収容部2A内の飲み物を飲むことが可能となる。
【0030】
なお、容器底部6と補助容器7との脱着機構については、補助容器7の凸部70および容器底部6の凹部60以外の構成を採用しても良い。
【0031】
図6は本発明のさらに別の実施形態を示す装飾コップを分解した状態における縦断面図である。なお、図6において、前述の装飾コップ1と共通の構成要素については同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0032】
図6に示す装飾コップ8は、全体が透明なガラスにより形成される容器本体9が、上面90Aが開口した上容器91と、上容器91の下端部に接合され、下面90Bが開口した筒状部92とから構成される。上容器91は、上方に向かうにつれて拡径する逆円錐台状であり、錐体面を構成する側板部91Aと、底面を構成する底板部91Bとを有する。筒状部92は円筒状であり、円筒面を構成する側板部92Aを有する。
【0033】
この装飾コップ8では、上容器91の側板部91Aと底板部91Bとで囲まれた空間が第1収容部2Aを構成する。上容器91の底板部91Bと筒状部92の側板部92Aとで囲まれた空間が第2収容部2Bを構成する。すなわち、第1収容部2Aと第2収容部2Bとは、底板部91Bによって区分されている。
【0034】
上記構成の装飾コップ8においても、透明な容器本体9が、下面90Bが開口された第2収容部2Bを有し、上面30に造形物4が接着された容器底部3を容器本体9の下面に接着するだけで容易に作製することが可能であり、前述の装飾コップ1と同様に容器底部3の上面30に接着される様々な造形物4は、透明な容器本体9を通して見ることができる。
【0035】
なお、容器本体2,9および容器底部3の形状については、上面が開口された第1収容部2Aと、下面が開口された第2収容部2Bと、第1収容部2Aと第2収容部2Bとを区分して第1収容部2Aの底面を構成する底板部21B,91Bとを有する構成であれば任意に変更することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の装飾コップおよびその製造方法は、コップの底の部分に造形物を配設した装飾性に優れた装飾コップおよびその製造方法として有用である。
【符号の説明】
【0037】
1,5,8 装飾コップ
2,9 容器本体
2A 第1収容部
2B 第2収容部
2C 第3収容部
3,6 容器底部
4 造形物
7 補助容器
21 内容器
21A 側板部
21B 底板部
22 外筒
22A 側板部
31 凹部
32 貫通孔
40 液体
60 凹部
70 凸部
91 上容器
91A 側板部
91B 底板部
92 筒状部
92A 側板部
図1
図2
図3
図4
図5
図6