【解決手段】システム100は、患者の血管系110に導入されるように構成された細長い部材108A、108Bを含む。細長い部材108Bは、針に隣接する血管系110内の圧力を示す圧力信号を生成するように構成された圧力センサ160を含む。システム100は、圧力センサ160から圧力信号を受信するように、かつ圧力信号に基づいて、血管系110からの細長い部材108A、108Bの移動を検出し、血管系110からの細長い部材108A、108Bの移動を検出することに応じて、出力を生成するように構成された処理回路162を含む。
前記透析ユニットが、前記動脈針を通して前記血管系から抽出されたある体積の流体を透析するように、かつ前記静脈針を通してある体積の透析された流体を前記血管系に戻すように構成される、請求項3に記載のシステム。
前記処理回路が、前記血管系からの前記静脈針の前記移動の前記検出に基づいて、少なくとも前記透析ユニットを制御することにより、前記出力を生成するように構成される、請求項3に記載のシステム。
前記処理回路が、少なくとも前記透析ユニットの透析ポンプに前記血管系から流体を抽出することを停止させることにより、前記透析ユニットを制御するように構成される、請求項5に記載のシステム。
ユーザインターフェースをさらに備え、前記処理回路が、前記血管系内に前記細長い部材を再配置するようにユーザに命令する前記ユーザインターフェースを介して、少なくとも通知を提示することにより、前記出力を生成するように構成される、請求項1〜6のいずれか一項に記載のシステム。
前記処理回路が、前記細長い部材に隣接する前記圧力が前記閾値圧力以下であると判定することに応じて、前記細長い部材の前記移動を検出するように構成される、請求項8に記載のシステム。
前記細長い部材が、内面および外面を画定し、前記圧力センサが、前記内面または前記外面のうちの少なくとも一方に少なくとも部分的に埋め込まれている、請求項1〜12のいずれか一項に記載のシステム。
前記処理回路が、前記圧力信号に基づいて、前記細長い部材に隣接する圧力を判定することと、前記圧力が閾値圧力以上であると判定することと、に応じて、前記静脈狭窄を検出するように構成される、請求項17に記載のシステム。
前記細長い部材を介して前記患者に流体を送達するように構成された透析ユニットをさらに備え、前記処理回路が、前記静脈狭窄を検出することに応じて、前記透析ユニットの動作を修正するように構成される、請求項18に記載のシステム。
前記細長い部材を介して前記患者に流体を送達するように構成された透析ユニットをさらに備え、前記処理回路が、前記静脈狭窄を検出することに応じて、前記透析ユニットの動作を修正するように構成される、請求項20に記載のシステム。
前記血管系の外部の基準圧力を示す基準圧力信号を生成するように構成された基準圧力センサをさらに備え、前記処理回路が、前記圧力信号および前記基準圧力信号に基づいて、前記細長い部材の前記移動を検出するように構成される、請求項1〜21のいずれか一項に記載のシステム。
前記細長い部材が、透析ユニットに流体的に結合された静脈針を備え、前記透析ユニットが、前記動脈針を通して前記血管系から抽出されたある体積の流体を透析するように、かつ前記静脈針を通して前記ある体積の透析された流体を前記血管系に戻すように構成される、請求項26に記載の方法。
前記透析ユニットを制御することが、前記透析ユニットの透析ポンプに、前記動脈針を介して前記血管系から流体を抽出することを停止させることを含む、請求項28に記載の方法。
前記出力を生成することが、ユーザインターフェースを介して、前記血管系内に前記細長い部材を再配置するようにユーザに命令する通知を提示することを含む、請求項26〜29のいずれか一項に記載の方法。
前記細長い部材の前記移動を検出することが、前記細長い部材に隣接する前記圧力が前記閾値圧力以上であると判定することに応じて、前記細長い部材の前記移動を検出することを含む、請求項31に記載の方法。
前記静脈狭窄を検出することに応じて、透析ユニットの動作を修正することをさらに含み、前記透析ユニットが、前記細長い部材を介して、前記患者に流体を送達するように構成される、請求項39に記載の方法。
前記圧力センサによって生成された前記圧力信号を受信することが、前記患者の動静脈瘻または動静脈グラフトに導入されるように構成された前記細長い部材上の前記圧力センサによって生成された前記圧力信号を受信することを含む、請求項26〜40のいずれか一項に記載の方法。
前記処理回路によって、前記血管系の外部の基準圧力を示す基準圧力信号を受信することをさらに含み、前記血管系からの前記細長い部材の移動を検出することが、前記圧力信号および前記基準圧力信号に基づいて、前記細長い部材の前記移動を検出することを含む、請求項26〜41のいずれか一項に記載の方法。
前記細長い部材の移動を検出するための前記手段が、前記圧力信号に基づいて、前記細長い部材に隣接する圧力を判定することと、前記圧力が閾値圧力以上であると判定することと、に応じて、前記細長い部材の前記移動を検出する、請求項45に記載のシステム。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、医療装置に隣接して検知された圧力に基づいて、患者の血管系から医療装置の移動を検出するための例示的な装置、システム、および技術を記載する。医療装置は、血液透析中に患者の血管系に血液を導入するか、またはそこから血液を取り除くように構成された細長い部材であってもよい。本明細書に記載の例では、システムは、患者の血管系(例えば、動静脈瘻または中心静脈)に導入されるように構成された細長い部材および細長い部材に隣接する圧力を示す圧力信号を生成するように構成された圧力センサを含む。例えば、圧力センサは、細長い部材上に配置することができ、細長い部材が血管系内に適切に配置されると、患者の血流内にあるように構成されてもよい。システムはまた、圧力センサから圧力信号を受信するように、かつ圧力信号に基づいて、患者の血管系からの細長い部材の移動を検出するように構成された処理回路を含む。処理回路は、血管系からの細長い部材の移動の検出に応じて出力を生成するように構成される。出力により、患者、患者介護者、および/または臨床医は、血液透析治療中の静脈の細長い部材の移動を監視し、迅速に対処することができ得る。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
システムであって、
患者の血管系に導入されるように構成された細長い部材であって、上記細長い部材に隣接する圧力を示す圧力信号を生成するように構成された圧力センサを備える、上記細長い部材と、
処理回路であって、
上記圧力センサから上記圧力信号を受信するように、
上記圧力信号に基づいて、上記血管系からの上記細長い部材の移動を検出するように、かつ
上記血管系からの上記細長い部材の上記移動を検出することに応じて、出力を生成するように構成される、処理回路と、を備える、システム。
(項目2)
上記細長い部材が、針、カテーテル、またはカニューレのうちの少なくとも1つを備える、上記項目に記載のシステム。
(項目3)
上記細長い部材が、静脈針を備え、上記システムが、
上記血管系に導入されるように構成された動脈針と、
上記静脈針および上記動脈針に流体的に結合された透析ユニットと、をさらに備える、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目4)
上記透析ユニットが、上記動脈針を通して上記血管系から抽出されたある体積の流体を透析するように、かつ上記静脈針を通してある体積の透析された流体を上記血管系に戻すように構成される、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目5)
上記処理回路が、上記血管系からの上記静脈針の上記移動の上記検出に基づいて、少なくとも上記透析ユニットを制御することにより、上記出力を生成するように構成される、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目6)
上記処理回路が、少なくとも上記透析ユニットの透析ポンプに上記血管系から流体を抽出することを停止させることにより、上記透析ユニットを制御するように構成される、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目7)
ユーザインターフェースをさらに備え、上記処理回路が、上記血管系内に上記細長い部材を再配置するようにユーザに命令する上記ユーザインターフェースを介して、少なくとも通知を提示することにより、上記出力を生成するように構成される、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目8)
上記処理回路が、少なくとも、
上記圧力信号に基づいて、上記細長い部材に隣接する上記圧力を判定することと、
上記細長い部材に隣接する圧力を閾値圧力と比較することと、によって、上記細長い部材の上記移動を検出するように構成される、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目9)
上記処理回路が、上記細長い部材に隣接する上記圧力が上記閾値圧力以下であると判定することに応じて、上記細長い部材の上記移動を検出するように構成される、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目10)
上記閾値圧力が、所定の公称圧力よりも低いか、または大気圧よりも高いかのうちの少なくとも一方である、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目11)
上記圧力信号が、アナログ圧力信号を含み、上記処理回路が、少なくとも、
上記アナログ圧力信号が、脈圧波成分を含まないことを判定することであって、上記脈圧波が、上記患者の脈圧を示す、判定することと、
上記アナログ圧力信号が上記脈圧波成分を含まないことを判定することに応じて、上記細長い部材の上記移動を検出することと、によって、上記細長い部材の上記移動を検出するように構成される、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目12)
上記処理回路が、少なくとも、
上記アナログ圧力信号の透析ポンプ圧力波成分を検出することと、
少なくとも、上記アナログ圧力信号から上記透析ポンプ圧力波成分をフィルタリングすることにより、残留波を生成することと、
上記残留波が上記脈圧波成分を含まないことを判定することと、によって、上記アナログ圧力信号が上記脈圧波成分を含まないことを判定するように構成される、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目13)
上記細長い部材が、管腔を画定する内面を備え、上記圧力センサが、上記内面に沿って配置される、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目14)
上記細長い部材が、外面を備え、上記圧力センサが、上記外面に沿って配置される、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目15)
上記細長い部材が、内面および外面を画定し、上記圧力センサが、上記内面または上記外面のうちの少なくとも一方に少なくとも部分的に埋め込まれている、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目16)
上記圧力センサが、微小電気機械システム(MEMS)圧力センサを備える、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目17)
上記処理回路が、上記圧力信号に基づいて、上記血管系の静脈狭窄を検出するように構成される、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目18)
上記処理回路が、上記圧力信号に基づいて、上記細長い部材に隣接する圧力を判定することと、上記圧力が閾値圧力以上であると判定することと、に応じて、上記静脈狭窄を検出するように構成される、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目19)
上記細長い部材を介して上記患者に流体を送達するように構成された透析ユニットをさらに備え、上記処理回路が、上記静脈狭窄を検出することに応じて、上記透析ユニットの動作を修正するように構成される、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目20)
上記処理回路が、少なくとも、
上記圧力信号に基づいて、上記血管系を通る流量を判定することと、
上記圧力信号に基づいて、上記血管系の閾値圧力変化を検出することと、
上記判定された流量に基づいて、上記血管系の閾値流量変化を検出することと、
上記閾値圧力変化および上記閾値流量変化を検出することに応じて、上記血管系の上記静脈狭窄を検出することと、により、上記静脈狭窄を検出するように構成される、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目21)
上記細長い部材を介して上記患者に流体を送達するように構成された透析ユニットをさらに備え、上記処理回路が、上記静脈狭窄を検出することに応じて、上記透析ユニットの動作を修正するように構成される、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目22)
上記血管系の外部の基準圧力を示す基準圧力信号を生成するように構成された基準圧力センサをさらに備え、上記処理回路が、上記圧力信号および上記基準圧力信号に基づいて、上記細長い部材の上記移動を検出するように構成される、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目23)
上記処理回路が、少なくとも、
上記圧力信号および上記基準圧力信号に基づいて、差圧を判定することと、
上記差圧を閾値圧力と比較することと、によって、上記圧力信号および上記基準圧力信号に基づいて、上記細長い部材の上記移動を検出するように構成される、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目24)
上記処理回路が、少なくとも、
上記圧力信号および上記基準圧力信号に基づいて、差圧を判定することと、
経時的に上記差圧の変化率を判定することと、
上記差圧の上記変化率を閾値変化率と比較することと、によって、上記圧力信号および上記基準圧力信号に基づいて、上記細長い部材の上記移動を検出するように構成される、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目25)
上記患者の上記血管系が、動静脈瘻または動静脈グラフトを含む、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目26)
方法であって、
患者の血管系に導入されるように構成された細長い部材上の圧力センサによって生成された圧力信号を、処理回路によって、受信することであって、上記圧力信号が、上記細長い部材に隣接する圧力を示す、受信することと、
上記処理回路によって、かつ上記圧力信号に基づいて、上記血管系からの上記細長い部材の移動を検出することと、
上記血管系からの上記細長い部材の上記移動を検出することに応じて、上記処理回路によって、出力を生成することと、を含む、方法。
(項目27)
上記細長い部材が、透析ユニットに流体的に結合された静脈針を備え、上記透析ユニットが、上記動脈針を通して上記血管系から抽出されたある体積の流体を透析するように、かつ上記静脈針を通して上記ある体積の透析された流体を上記血管系に戻すように構成される、上記項目に記載の方法。
(項目28)
上記出力を生成することが、上記静脈針の上記移動の上記検出に基づいて、上記透析ユニットを制御することを含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目29)
上記透析ユニットを制御することが、上記透析ユニットの透析ポンプに、上記動脈針を介して上記血管系から流体を抽出することを停止させることを含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目30)
上記出力を生成することが、ユーザインターフェースを介して、上記血管系内に上記細長い部材を再配置するようにユーザに命令する通知を提示することを含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目31)
上記細長い部材の上記移動を検出することが、
上記圧力信号に基づいて、上記細長い部材に隣接する圧力を判定することと、
上記細長い部材に隣接する上記圧力を閾値圧力と比較することと、を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目32)
上記細長い部材の上記移動を検出することが、上記細長い部材に隣接する上記圧力が上記閾値圧力以上であると判定することに応じて、上記細長い部材の上記移動を検出することを含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目33)
上記閾値圧力が、所定の公称圧力よりも低いか、または大気圧よりも大きいかのうちの少なくとも一方である、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目34)
上記圧力信号がアナログ圧力信号を含み、上記細長い部材の上記移動を検出することが、
上記アナログ圧力信号が、脈圧波成分を含まないことを判定することであって、上記脈圧波が上記患者の脈圧を示す、判定することと、
上記アナログ圧力が上記脈圧波成分を含まないことを判定することに応じて、上記細長い部材の上記移動を検出することと、を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目35)
上記アナログ圧力信号が上記脈圧波成分を含まないことを判定することが、
上記アナログ圧力信号の透析ポンプ圧力波成分を検出することと、
少なくとも、上記アナログ圧力信号から上記透析ポンプ圧力波成分をフィルタリングすることにより、残留波を生成することと、
上記残留波が上記脈圧波成分を含まないことを判定することと、を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目36)
上記圧力センサが、微小電気機械システム(MEMS)圧力センサを備える、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目37)
上記圧力信号に基づいて、上記血管内の静脈狭窄を検出することをさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目38)
上記静脈狭窄を検出することが、
上記圧力信号に基づいて、上記細長い部材に隣接する圧力を判定することと、
上記細長い部材に隣接する上記圧力が閾値圧力以上であると判定することに応じて、上記静脈狭窄を検出することと、を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目39)
上記静脈狭窄を検出することが、
上記圧力信号に基づいて、上記血管系を通る流量を判定することと、
上記圧力信号に基づいて、上記血管系の閾値圧力変化を検出することと、
上記判定された流量に基づいて、上記血管系の閾値流量変化を検出することと、
上記閾値圧力変化および上記閾値流量変化を検出することに応じて、上記血管系の上記静脈狭窄を検出することと、を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目40)
上記静脈狭窄を検出することに応じて、透析ユニットの動作を修正することをさらに含み、上記透析ユニットが、上記細長い部材を介して、上記患者に流体を送達するように構成される、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目41)
上記圧力センサによって生成された上記圧力信号を受信することが、上記患者の動静脈瘻または動静脈グラフトに導入されるように構成された上記細長い部材上の上記圧力センサによって生成された上記圧力信号を受信することを含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目42)
上記処理回路によって、上記血管系の外部の基準圧力を示す基準圧力信号を受信することをさらに含み、上記血管系からの上記細長い部材の移動を検出することが、上記圧力信号および上記基準圧力信号に基づいて、上記細長い部材の上記移動を検出することを含む、上記項目のいずれか一項項に記載の方法。
(項目43)
上記圧力信号および上記基準圧力信号に基づいて、上記細長い部材の上記移動を検出することが、
上記圧力信号および上記基準圧力信号に基づいて、差圧を判定することと、
上記差圧を閾値圧力と比較することと、を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目44)
上記圧力信号および上記基準圧力信号に基づいて、上記細長い部材の上記移動を検出することが、
上記圧力信号および上記基準圧力信号に基づいて、差圧を判定することと、
経時的に上記差圧の変化率を判定することと、
上記差圧の上記変化率を閾値変化率と比較することと、を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目45)
システムであって、
患者の血管系に導入されるように構成された細長い部材に隣接する圧力を示す圧力信号を生成するための手段と、
上記圧力信号に基づいて、上記血管系からの上記細長い部材の移動を検出するための手段と、
上記血管系からの針の上記移動を検出することに応じて、出力を生成するための手段と、を含む、システム。
(項目46)
上記細長い部材の移動を検出するための上記手段が、上記圧力信号に基づいて、上記細長い部材に隣接する圧力を判定することと、上記圧力が閾値圧力以上であると判定することと、に応じて、上記細長い部材の上記移動を検出する、上記項目に記載のシステム。
(項目47)
上記圧力信号がアナログ圧力信号を含み、上記細長い部材の移動を検出するための上記手段が、
上記アナログ圧力信号が、脈圧波成分を含まないことを判定するための手段であって、上記脈圧波が上記患者の脈圧を示す、判定するための手段と、
上記アナログ圧力信号が、上記脈圧波成分を含まないことを判定することに応じて、上記細長い部材の上記移動を検出するための手段と、を含む、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目48)
上記血管系が、動静脈瘻または動静脈グラフトを含む、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目49)
処理回路によって実行されると、上記処理回路に、上記項目のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を含む、コンピュータ可読媒体。
(摘要)
本明細書に記載の例では、システムは、患者の血管系に導入されるように構成された細長い部材を含む。細長い部材は、針に隣接する血管系内の圧力を示す圧力信号を生成するように構成された圧力センサを含む。本システムは、圧力センサから圧力信号を受信するように、かつ圧力信号に基づいて、血管系からの細長い部材の移動を検出し、血管系からの細長い部材の移動を検出することに応じて、出力を生成するように構成された処理回路を含む。
【0004】
本開示の1つ以上の例の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載されている。本開示の他の特徴、目的および利点は、本明細書、図面、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0006】
別様に定義されていない限り、使用される全ての技術的および科学的用語は、一般に、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0007】
冠詞「a」および「an」は、冠詞の文法上の目的語の1つまたは2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。例えば、「an element(要素)」は、1つの要素または2つ以上の要素を意味する。
【0008】
「アナログ信号」という用語は、信号の時変特性(変数)、例えば電圧または電流が、他の時変量、例えば圧力の表現である任意の連続信号を指し得る。
【0009】
「抗血栓性材料」という用語は、血栓の形成を低減するか、または防止する材料を指し得る。
【0010】
「動静脈瘻」という用語は、天然のグラフトまたは人工グラフトの使用の有無にかかわらず、天然の動脈と天然の静脈との間に外科的に形成される、動脈と静脈との間の任意の接続を指し得る。
【0011】
「通知」という用語は、システムまたは患者の特定の状態の指示など、音声、視覚、または触覚による通知(またはそれらの組み合わせ)を指し得る。
【0012】
「少なくとも」という用語は、以上、または、最低でも、を意味する。例えば、「少なくとも1つ」は、1または2以上の任意の数字であり得る。
【0013】
「静電容量」という用語は、システム内の電荷の変化と、システム内の電位の対応する変化との比を指し得る。
【0014】
「カニューレ」という用語は、患者の静脈または体腔に挿入される比較的細いチューブを指し得る。カニューレは、患者に流体を導入し、患者から流体を取り除き得る管腔を定義する。
【0015】
「カテーテル」という用語は、患者の体内に挿入されるように構成された管状部材などの流体送達導管を指し得る。カテーテルは、患者に流体を導入、または患者から取り除き得る管腔を定義する。場合によっては、カテーテルの管腔を介して、医療装置を患者に導入、または患者から取り除くこともできる。
【0016】
「臨床医」という用語は、患者と直接接触して責任を負う医師または他の医療スタッフを指し得る。
【0017】
「通信」または「通信可能に結合された」という用語は、電気接続、光接続、電波の送受信など、2つの構成要素間の有線または無線リンクを指し得る。
【0018】
「comparing(比較する)」、「compare(比較する)」、または「comparison(比較)」という用語は、2つの値または他のパラメータ間に差異がある場合、その判定を指し得る。
【0019】
「備える」という用語は、「備える」の単語の後に続くものを含むが、これに限定されない。
【0020】
「determining(判定する)」および「determine(判定する)」という用語は、システムまたは変数の特定の状態を確認することを指し得る。
【0021】
「透析」という用語は、腎臓がこれらの機能を自然に実行することができなくなった患者の血液から過剰な水、溶質、毒素を取り除くプロセスを指し得る。
【0022】
「透析システム」および「透析ユニット」という用語は、透析を実行するように構成された医療装置を指し得る。
【0023】
「透析液」という用語は、血液透析中に患者の血液から老廃物を取り除くために透析液経路を循環する流体を指し得る。
【0024】
「透析器」という用語は、透析が行われる膜によって区画に分離された液体用の1つ以上の容器を含む装置を指し得る。
【0025】
「差圧」という用語は、測定圧力値と基準圧力値などであるがこれらに限定されない、2つの圧力値間の差異に等しい量を指し得る。
【0026】
「移動させる」または「移動」という用語は、確立された位置からの細長い部材などのプロテーゼの移動または除去を指し得る。
【0027】
「細長い部材」という用語は、針、カニューレ、カテーテル、または患者の血管系に挿入されるように構成された同様の細長い医療装置を指し得る。細長い部材は、例えば、透析中に流体を患者に導入し、患者から流体を取り除くことができる管腔を画定してもよい。
【0028】
「実行する」という用語は、プロセスまたは一連のステップを実行することを意味し得る。
【0029】
「体外回路」という用語は、血液透析中に患者の血液が体外に出る経路を指し得る。
【0030】
「流体」という用語は、気相と液相の組み合わせを任意選択的に有する物質の液相、または気相と液相の組み合わせを任意選択的に有する物質の気相を指し得る。
【0031】
「流体的に結合された」という用語は、気体、液体、またはそれらの混合物などの流体を、任意の種類の全ての、区画、モジュール、システム、および構成要素のうちのいずれか1つ以上内の、またはその間の、第1の点から第2の点まで、通過させる能力を指し得る。
【0032】
「流量」という用語は、単位時間当たりの導管またはシステムを通って移動する流体の体積を指し得る。
【0033】
「グラフト」という用語は、外科的に移植される生体組織片を指し得る。
【0034】
「血液透析」という用語は、患者の血液から体液や老廃物を取り除き、電解質の不均衡を修正する医療処置または治療を指し得る。
【0035】
「介入」という用語は、結果または一連の事象を防止または変更するアクションを指し得る。
【0036】
「微小電気機械システム」という用語は、約20ミクロン〜約100ミクロンの範囲のサイズを有する装置、または約1ミクロン〜約100ミクロンのサイズの範囲におけるサイズを有する構成要素を含む装置を指し得る。
【0037】
「monitoring(監視する)」または「monitor(監視する)」という用語は、システムまたは患者の状態を判定することを指し得る。
【0038】
「患者」という用語は、ヒト患者または他の哺乳類または非哺乳類、非ヒト患者を指し得る。患者は、見かけ上健康な個体、患者の健康に悪影響を与える疾患に罹患している個体、または疾患について治療されている個体であり得る。
【0039】
「患者介護者」という用語は、患者を支援する任意の人を指し得る。
【0040】
「圧電効果」という用語は、加えられた機械的応力に応じて電荷を生成する材料の能力を指し得る。
【0041】
「圧抵抗効果」という用語は、加えられた機械的応力に応じた材料の電気抵抗率の変化を指し得る。
【0042】
「流体の圧力」または「流体圧力」という用語は、流体によって加えられる力を指し得る。
【0043】
「圧力センサ」という用語は、流体によって加えられる力を判定することができる回路を含む任意の構成要素を指し得る。
【0044】
「圧力波」という用語は、伝播された外乱が物質媒質内の圧力の変動である波を指し得る。
【0045】
「処理回路」という用語は、集積回路、ディスクリート論理回路、1つ以上のマイクロプロセッサなどのアナログ回路、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ASIC、またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)の任意の組み合わせを指し得る。
【0046】
「基準圧力」という用語は、患者の血管系の外部の圧力または周囲の大気圧など、基準点として使用される圧力値を指し得る。
【0047】
「センサ」という用語は、処理回路を含むか、または、処理回路に通信可能に結合され、システム内の1つ以上の変数の1つ以上の状態を検知するように構成された構成要素を指し得る。
【0048】
「信号」という用語は、情報が送信され得る検出可能な物理量またはインパルス(電圧、電流、磁場強度、または電磁放射)を指し得る。
【0049】
「信号圧力」という用語は、圧力センサによって測定された圧力が伝達される、検出可能な物理量またはインパルス(電圧、電流、磁場強度、または電磁放射として)を指し得る。
【0050】
「溶質」という用語は、溶媒に溶解した、または溶媒に溶解することを意図した物質を指し得る。
【0051】
「溶媒」という用語は、他の物質を溶解することができる物質を指し得る。
【0052】
「狭窄」という用語は、動静脈瘻などの、身体の通路または開口部の異常な狭窄または収縮を指し得る。
【0053】
「閾値」という用語は、分析されたパラメータが比較され得る所定の値を指し得る。分析されたパラメータが閾値よりも大きいか、等しいか、または小さいかによって、何らかのアクションが指示されるか、引き起こされる可能性がある。
【0054】
「閾値圧力」という用語は、圧力センサによって測定された圧力値と比較することができる所定の値を指し得る。
【0055】
「閾値変化率」という用語は、パラメータの判定された変化率を比較することができる所定の変化率を指し得る。
【0056】
「血栓」という用語は、静止した血餅を指し得る。
【0057】
「血栓形成性」という用語は、血栓症を促進するか、そうでなければ血栓の形成に寄与する材料を指し得る。
【0058】
「血管系」という用語は、患者の血管などの患者の循環系の任意の部分を指し、動静脈瘻または動静脈グラフトを含むことができる。
【0059】
「廃棄物」という用語は、尿素、クレアチニン、尿酸、または血液透析治療によって患者の血液から取り除かれることが意図されている任意の他の成分を指し得る。
【0060】
血液透析の間に、針、カニューレ、またはカテーテルなどの、細長い部材の圧力を監視するための、装置、システム、および技術が、本明細書に記載されている。いくつかの例では、システムは、動静脈瘻などの患者の血管系に導入されるように構成された細長い部材を含む。細長い部材は、血管系から透析装置に血液を迂回させる導管、および/または、透析装置から血管系に血液を戻す導管を画定し得る。細長い部材は、細長い部材に隣接する圧力を示す圧力信号を生成するように構成された圧力センサを含み得る。システムは、圧力センサから圧力信号を受信するように、かつ圧力信号に基づいて、血管系からの細長い部材の移動を検出するように構成された処理回路も含む。一例として、処理回路は、圧力信号に基づいて、細長い部材に隣接する圧力を判定するように、かつ細長い部材に隣接する圧力を閾値圧力と比較するように構成され得る。別の例として、圧力信号は、アナログ信号を含むことができ、処理回路は、アナログ圧力信号が脈圧波成分を含まないことを判定するように構成することができ、脈圧波は患者の自然な(ネイティブ)脈圧を示し、アナログ圧力信号が脈圧波成分を含まないと判定することに応じて、細長い部材の移動を検出する。
【0061】
処理回路は、血管系からの細長い部材の移動を検出することに応じて出力を生成し得る。出力により、患者、患者介護者、および/または臨床医は、血液透析中の細長い部材の移動に対処するために監視および介入することが可能になり得る。
【0062】
ある種の血液透析治療中に、針などの2つの細長い部材が、動静脈瘻または動静脈グラフトなどのアクセス部位で患者の血管系に挿入される。動脈の細長い部材は、患者の血管系から透析装置に血液を迂回させる動脈ラインに流体的に結合され得、静脈の細長い部材は、血液を透析装置から患者の血管系に送達する静脈ラインに結合され得る。場合によっては、血液透析中に、静脈の細長い部材が動静脈瘻から移動する可能性があり、その結果、血液が透析装置から戻されて患者の血管系の外側で患者に送達される場合がある。静脈の細長い部材を血管系に再配置して血液を血管系に戻すことを可能にするためのアクションが比較的迅速に行われない場合、静脈の細長い部材の移動により、著しい失血が生じる可能性がある。
【0063】
本明細書に記載の装置およびシステムは、処理回路に通信可能に結合される細長い部材の外面または内面のいずれかに圧力センサを含む。システムはまた、動静脈瘻に導入されるように構成された動脈の細長い部材を含む。いくつかの例では、細長い部材は、それぞれ針を含み得、静脈針および動脈針と称され得る。本明細書では主に針を指すが、他の例では、細長い部材は、カニューレ、カテーテル、慢性留置カテーテル、または急性血液透析カテーテルなどの患者の血管系から血液を導入するか、または取り除くことができる他の種類の細長い部材を含み得る。透析ユニットは、静脈の細長い部材および動脈細長い部材に流体的に結合されている。透析ユニットは、血管系から(例えば、動静脈瘻を介して)動脈の細長い部分を通して抽出されたある体積の流体を透析するように、かつ静脈の細長い部材を通してある体積の透析された流体を血管系に戻すように構成され得る。本明細書では、動静脈瘻は主に患者の血管系へのアクセスポイントと称されるが、他の例では、動脈の細長い部材および/または静脈の細長い部材はそれぞれ、別の種類のアクセスポイントを介して、患者の血管系から血液を取り除くか、または送達するように配置することができる。
【0064】
圧力センサは、検知された圧力を示す信号を生成するように構成された任意の好適な比較的低プロファイルの圧力センサを含み得る。いくつかの例では、圧力センサは、針の先端近くの針の内側もしくは外側または針の近くの静脈ラインの内側および動静脈瘻の血流内など、静脈針の上か、または近くに配置されるように構成された微小電気機械システム(MEMS)圧力センサを含む。いくつかの例では、処理回路は、少なくとも針に隣接する圧力を閾値圧力と比較することにより、針の移動を検出するように構成される。例えば、処理回路は、針に隣接する圧力が閾値圧力以下であると判定することに応じて、針の移動を検出するように構成される。閾値圧力は、所定の公称瘻圧よりも低いか、または大気圧よりも高いかのうちの少なくとも一方を含み得る。
【0065】
いくつかの例では、本明細書に記載のシステムの処理回路は、圧力センサを較正するか、または患者にカニューレ挿入する前に周囲の大気条件の圧力センサで本明細書に記載の装置およびシステムを較正し得る。例えば、処理回路は、透析が行われている部屋に対してベースラインゲージ圧力を0mmHgに較正し得る。閾値圧力は、この較正に基づき、例えば、少なくとも約10mmHgであってもよく、その下で、処理回路によって移動信号がトリガされる。いくつかの例では、処理回路は、少なくとも圧力の急激かつ持続的な変化を検出することにより、針の移動を検出するように構成される。例えば、処理回路は、2秒〜10秒(例えば、5秒)の回転平均圧力測定値などであるがこれらに限定されない、回転平均圧力測定値を判定するように構成され得る。処理回路は、前述の回転平均圧力値と、約10%〜約20%超、約15%などの、現在の回転平均圧力値との間の圧力変化などの回転平均圧力測定値に基づいて、圧力信号の変化を判定し得る。処理回路は、(例えば、移動によって引き起こされる突然のスパイクを除外するために)圧力が現在の回転平均値に留まる期間を、0.25秒〜約1秒超、0.5秒などであると判定し得る。いくつかの例では、処理回路は、圧力の突然の持続的な変化が移動事象として分類されることを判定してもよい。
【0066】
いくつかの例では、処理回路は、MEMS圧力センサからアナログ圧力信号を受信するように構成される。静脈針が患者の血管系内の血流内に適切に配置されている場合、アナログ圧力信号は、約760mmHgの一般的な大気圧と区別可能であり得、約20ミリメートルの水銀(mmHg)〜約100mmHgの間の圧力など、「真の瘻圧」を示し得る。例えば、アナログ圧力信号は、針の先端の外側および動静脈瘻の血流内に直接配置された圧力センサによって生成され得る。アナログ圧力信号は、例えば患者の自然な脈圧を示す脈圧波成分、および血液透析装置蠕動ポンプ圧力波成分を含み得る。いくつかの例では、処理回路は、既知の血液透析蠕動ポンプ圧力波をアナログ圧力信号から除外するフィルターを使用するなどして、患者の自然な圧力脈波を血液透析蠕動ポンプ圧力波から分離する場合がある。処理回路は、アナログ圧力信号が脈圧波成分を含まないと判定するように、かつアナログ圧力信号が脈圧波成分を含まないと判定することに応じて、針の移動を検出するように構成され得る。
【0067】
処理回路は、動静脈瘻からの細長い部材の移動を検出することに応じて出力を生成し得る。いくつかの例では、処理回路は、少なくとも透析ユニットを制御することにより出力を生成するように構成され得る。例えば、処理回路は、少なくとも透析ユニットの透析ポンプに動静脈瘻からの流体の抽出を停止させることにより、透析ユニットを制御するように構成され得る。いくつかの例では、針の移動を判定した後、処理回路は、例えば、静脈ラインおよび/または動脈ラインのクランプ、血液ポンプの停止、またはその両方によって透析ユニットに血液の取り込みを停止させ得る。透析ポンプに患者の血管系からの液体の抽出を停止させるか、そうでなければ血液の取り込みを停止させると、静脈針の移動により血液が患者の血管系に適切に戻らない場合に、患者から引き出される血液の量が減少する場合がある。このようにして、処理回路は、静脈針の移動を検出することに応じて透析ユニットの動作を修正するように構成され得る。透析ユニットを制御することに加えて、またはその代わりに、いくつかの例では、処理回路は、透析ユニットを停止するなどのために動静脈瘻内の針を再配置するようにユーザに命令するユーザインターフェースを介して、少なくとも通知を提示することにより、出力を生成するように構成され得る。
【0068】
場合によっては、患者の動静脈瘻の健全性は、動静脈瘻または動静脈瘻近くの血管系の開通性の狭窄か、または他の変化により、経時的に変化する場合がある。いくつかの例では、患者の血管系内の針に隣接する圧力は、瘻の健全性に関連する場合がある。例えば、瘻の健全性は、瘻内の利用可能な流れに関連している可能性があり、これは瘻内の圧力と直接相関する可能性がある。一例として、振戦のある患者は、約35.8mmHgの平均収縮期血圧および約3.4mmHgの収縮期−拡張期血圧勾配を有し得る。振戦には、振動に似た感覚が含まれる場合があり、これは、瘻を通る血流を示し、瘻に適切な血流があることを示す。振戦のない患者は、約102.6mmHgの平均収縮期血圧および約42.8mmHgの収縮期−拡張期血圧勾配を有し得る。振戦の欠如は、瘻内の血流の減少、および瘻の閉塞を示している可能性がある。この例で示されるように、瘻に閉塞がある患者は、瘻に閉塞のない患者と比較して、瘻の静脈圧が高くなる場合がある。
【0069】
本明細書に記載の圧力センサを含む細長い部材を介した瘻圧の測定は、動静脈瘻の開通性の変化を検出するのに有用であり得る。例えば、処理回路は、圧力信号に基づいて、動静脈瘻の静脈狭窄を検出するように構成され得る。いくつかの例では、処理回路は、針に隣接する圧力が閾値圧力以上であると判定することに応じて、静脈狭窄を検出するように構成され得る。いくつかの例では、処理回路は、針に隣接する圧力変化率が所定の閾値圧力変化率以上であると判定することに応じて、静脈狭窄を検出するように構成され得る。例えば、処理回路は、少なくとも、圧力信号に基づいて、動静脈瘻を通る流量を判定すること、圧力信号に基づいて、動静脈瘻の閾値圧力変化を検出すること、判定された流量、例えば、動脈および静脈の圧力信号の積分から判定された流量に基づいて、動静脈瘻の閾値流量変化を検出すること、ならびに、閾値圧力変化および閾値流量変化を検出することに応じて、動静脈瘻の静脈狭窄を検出することにより、静脈狭窄を検出するように構成され得る。
【0070】
いくつかの例では、絶対的な治療前、透析内、および治療後の(圧力信号から導出された)圧力および流量を使用して、各患者のベースラインを確立することができる。これらのベースライン値からの変化は、生理学的状態を推定するために使用される場合がある。例えば、瘻針またはカテーテルの透析システムからの切断は、各患者の確立されたベースライン値に対して定義され得る細長い内部の圧力または流量の突然の低下として現れ得る。取得された圧力信号は、透析機または別の処理および保管装置に送信される。例えば、透析機(または手持ち式もしくは身体装着型の受信および処理ユニット)の処理回路は、1つ以上のアルゴリズムを使用して、透析治療の停止、透析機または患者の手持ち式装置のアラームの鳴動を含むがこれに限定されないアクションを指示し、切断などの結果の即時ケアを求めるように患者に命令し得る。
【0071】
血液透析治療中に静脈針で静脈圧を検知することが、患者の透析治療の結果を改善するのに役立つ場合がある。例えば、結果には、治療の中止中および中止直後の低血圧の軽減、回路内の再循環の監視、アクセス針/カニューレまたはカテーテルの移動の監視、および/または血管系アクセス部位の閉塞の監視が含まれ得、それにより、透析治療、入院、または介入手順の喪失につながる可能性がある。いくつかの例では、処理回路は、透析溶液の含水量を増加させるなど、静脈狭窄を検出することに応じて透析ユニットの動作を修正するように構成され得る。いくつかの例では、瘻の流量が低下し始めたときなどに、経皮経管血管形成術(PTA)バルーンによる瘻または他の部位の治療を含むがそれに限定されない臨床的介入を行うことができるように、例えば、ドップラー超音波検査なしで、瘻の流量測定を経時的に使用して瘻の健全性のモデルを構築し得る。
【0072】
血液透析装置に位置した圧力モニタを使用して体外回路で静脈圧を監視することができるが、血管系内の細長い部材の先端の周囲の環境の静脈圧は、静脈針の移動が発生するときに血液透析装置で測定された圧力が大幅に変化しないために十分に、大気圧に類似する場合がある。外部血液透析装置の静脈圧の測定とは対照的に、本開示は、患者の血管系内の細長い部材に隣接する圧力を検知して、細長い部材の先端(例えば、針の先端)の圧力の小さな変化でさえ検出すること、および/または圧力信号のアナログ信号に脈圧波が含まれているかどうかを判定することによる移動の検出を記載する。このように、記載された装置、システム、および技術が、細長い部材の移動を検出するために患者の血管系の外側にあることを意図される圧力センサを含む他の装置、システム、および技術と比較して、静脈針の移動をより正確に検出するために使用され得る。
【0073】
図1は、患者104に血液透析治療を提供するように構成された例示的な透析システム100を示す図である。患者104はヒト患者を含むが、いくつかの例では、患者104は他の哺乳類または非哺乳類、非ヒト患者を含み得る。透析システム100は、透析ユニット102、動脈針108Aを含む動脈ライン114、および静脈針108Bを含む静脈ライン116を含む。動脈針108Aおよび静脈針108B(集合的に「針108」)は、動静脈瘻118に導入されるように構成される。動静脈瘻118は、患者104の動脈120と静脈122との間に外科的に作成された接続または通路を含んでもよい。例えば、外科的に作成された接続または通路は、動脈120の一部を静脈122の一部に直接移植するか、または動脈120と静脈122の間に患者104の身体の異なる部分から静脈の一部を移植することによって形成され得る。いくつかの例では、動静脈瘻118は、動静脈グラフトなどの他の構造を含み得る。いくつかの例では、動脈ライン114および/または静脈ライン116は、中心静脈カテーテルを介して、血管系110に直接、例えば動脈120および/または静脈122に直接接続する。
【0074】
透析ユニット102は、体外回路112を介して静脈針108Bおよび動脈針108Aに流体的に結合することができる。このようにして、透析ユニット102は、患者104の血液および透析液を、透析器106を通して循環させるように構成される。例えば、透析器106は、半透膜を画定する壁を有する複数の中空繊維を含み得る。血液は、複数の中空繊維を通って流れることができ、透析液は、複数の中空繊維の外側、例えば、血液の流れに対して向流で流れることができる。
【0075】
血液を体外回路112に通じて移動させるための移動力は、血液ポンプ124によって提供される。血液ポンプ124は、動脈ライン114に沿って位置し得る。血液は、約50ミリリットル/分(mL/分)〜約600mL/分の量などであるが、これに限定されない血液透析手順に好適な任意の血流量で、血液ポンプ124により体外回路112を通して搬送され得る。いくつかの例では、この血流量は制御回路126によって制御され得る。いくつかの例では、血液ポンプ124は蠕動ポンプを含む。他の例では、血液ポンプ124は、ダイアフラムポンプ、遠心力ポンプ、またはシャトルポンプなどの他の種類のポンプを含み得る。いくつかの例では、血液ポンプ124は、血液が高透過性透析膜の血液側と接触する透析器106を通して血液を搬送する。血液は、血液入口126を通って透析器106に入り、血液出口128を通って出る。
【0076】
透析液は、透析液を透析器106に搬送する透析液回路140内の透析液回路140のうちの1つを介して搬送され得る。血液および透析液中の溶質の濃度勾配は、透析器106が体外回路112内の血液から透析液に老廃物、塩および流体を移動させることができるように構成されるように、確立することができる。例えば、透析膜の透析液側の透析装置106を通して搬送される透析液は、拡散、血液濾過、または血液透析濾過により、尿素を含む血液から生じる老廃物を拾い上げる。透析液は、透析液入口146で透析装置106に入り、出口148で出る。透析液は、透析器106を介して再搬送される前に廃棄物を移動させるために、吸着剤カートリッジ152を介して搬送される。
【0077】
透析液は、透析液ポンプ154によって透析回路140に沿って移動する。透析液ポンプは、約10mL/分〜約400mL/分の量などであるがこれに限定されない任意の好適な量で動作させることができる。特定の量は、血液から透析液への不純物の拡散を達成するための透析膜との所望の接触時間での血液ポンプ124の量に依存し得る。いくつかの例では、透析液の流量は、制御回路126によって制御され得る。
【0078】
血液および透析液を透析器に通過させることにより、透析ユニット102は、動静脈瘻118から動脈針108Aを介して抽出されたある体積の流体を透析するように、かつ静脈針108Bを介して、ある量の透析液を動静脈瘻に戻すように構成され得る。患者から引き出された血液を含む体外回路112の部分は、動脈ライン114と称され、血液が患者104の動脈または静脈から引き出されたかどうかに関係なく、患者104から血液を輸送するラインを指す。同様に、血液を患者に戻す部分は、静脈ライン116と称することができる。
【0079】
透析システム100は、針108の少なくとも1つの針に隣接する圧力を示す圧力信号を生成するように構成された圧力センサを含む。例えば、静脈針108Bは、患者の血管系110内の針の部分に隣接する圧力を示す圧力信号を生成するように構成された圧力センサ160を含むことができる。いくつかの例では、圧力センサ160は、管腔を画定する静脈針108Bの内面に沿って配置される。内面に加えて、またはその代わりに、いくつかの例では、圧力センサ160は、静脈針108Bの外面に沿って配置されるか、静脈針108Bの表面に埋め込まれる。内面、外面に配置されるか、または静脈針108Bの表面に埋め込まれるかにかかわらず、圧力センサ160は、静脈針108Bが瘻118内に適切に配置されて血液を透析装置102からの瘻118に戻すと、動静脈瘻118の血流内に配置されるように構成される。
【0080】
圧力センサ160は、比較的低プロファイルの圧力センサまたはMEMS圧力センサなどであるがこれらに限定されない任意の好適な圧力センサを含むことができる。例えば、圧力センサ160は、比較的小さなエアギャップによって分離された2つの導電性プレートを含むエアギャップ静電容量センサ、機械的応力に応じて電気信号を生成するように構成された材料の部分またはフィルムコーティングを含む圧電センサか、または、いくつかの例では、いずれかが、ウェーハスケール製造技術を使用して構築できる、ひずみゲージ/MEMSカンチレバーひずみゲージタイプのセンサを含み得る。いくつかの例では、圧力センサ160は、受動回路構成要素(インダクタ、抵抗器、およびコンデンサ)を含んでもよく、能動回路構成要素を含まなくてもよい。比較的低プロファイルの圧力センサは、例えば、圧力センサ160のない静脈針と比較して、静脈針108B内またはその周囲の血流を実質的に妨げない、かつ/または圧力センサ160上またはその近くで血栓形成の可能性を低減するプロファイルを有し得る。いくつかの例では、圧力センサ160は、長さ、幅、および高さなどの寸法を含み、それぞれ約0.1マイクロメートル〜約1ミリメートルの間である。いくつかの例では、圧力センサ160は、シリコンチップベースのMEMS圧力センサを含んでもよい。MEMS圧力センサは、静脈針108B内または周囲の血流を実質的に妨げることなく、静脈針108Bの先端に取り付けられるほど十分に小さいか、または静脈針108Bの先端に取り付けられたケーシングに収容され得、それにより、血流中の圧力センサ160、またはその両方の存在による血栓形成の可能性が低減され得る。例えば、MEMS圧力センサは、約20ナノメートル〜約1ミクロンの範囲のサイズ(長さ、幅、および/または高さ)を有し得るか、または約1ナノメートル〜約1ミクロンのサイズの範囲のサイズを有する構成要素を含み得る。他のサイズのセンサを使用することもできるが、圧力センサアセンブリ全体は、例えば1mmx1mmx1mmのように大きくすることができる。
【0081】
いくつかの例では、圧力センサ160は、信号処理回路、例えば、圧力検知回路166、圧力検知部材、またはその両方を含み得る。圧力検知部材は、例えば、加えられた圧力に応じて、静電容量の変化、圧電効果、または圧抵抗効果により動作し得る。これらの例では、圧力センサ160は、静電容量の変化、圧電効果、または圧抵抗効果に基づいて、圧力信号を生成するように構成され得る。以下により詳細に説明するように、圧力検知回路166は、圧力信号を中継するか、または前処理するように構成され得る。
【0082】
圧力センサ160は、受動センサまたは能動センサを含み得る。受動圧力センサ160は、電源に直接結合されていなくてもよい。例えば、受動的圧力センサ106は、例えば、受動的圧力センサ106または他の電磁もしくは間接電源の外部の装置によって生成される磁場を介した誘導によって電力供給され得る。いくつかの例では、受動圧力センサ160は、針または、カニューレもしくはカテーテルなどの他の細長い装置の長さに沿って延在する任意のワイヤまたはワイヤに電気的に結合されない。能動圧力センサ160は、バッテリーなどのそれ自体の電源によって電力を供給され得る。
【0083】
システム100の動作に対する圧力センサ160の影響を軽減するため、または環境要因から圧力センサ160の完全性の低下を保護するために、いくつかの例では、圧力センサ160は、ケーシングとして適用される材料、圧力センサ160に埋め込まれたコーティング、または、生体適合性材料、シリコーン、パリレン(ポリ(p−キシレン)ベースのポリマーなど)、抗血栓性材料、血小板凝集阻害剤などの任意の他の好適な応用を含んでもよい。抗血栓性物質または血小板凝集阻害剤の例には、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC、日本国東京の日油株式会社からLIPIDUR(商標)として入手可能)、インディアナ州インディアナポリスのSpecialty Coating Systemsからいずれも入手可能なPARYLENE C(商標)またはPARYLENE HT(商標)、ドイツのレバークーゼンにあるBayer AGから入手可能であるBAYMEDIX(商標)、ペンシルベニア州ホーシャムのBioCoat、Inc.から入手可能なBIOCOAT(商標)ヒアルロン酸、またはポリエチレンオキシド、ヘパリン、ヘパリン様物質または誘導体、ヒルジン、H−ヘパリン、HSI−ヘパリン、アルブミン、リン脂質、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)、ウロキナーゼ、ヒアルロン酸、キトサン、メチルセルロース、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルピロリドン)、内皮細胞成長因子、上皮成長因子、骨芽細胞成長因子、線維芽細胞成長因子、血小板由来成長因子または血管新生成長因子が含まれるが、これらに限定されない。ケーシングおよび/またはコーティングは、圧力センサ160の血栓形成性表面を低減し、かつ/または圧力センサ160を密閉する。
【0084】
いくつかの例では、透析システム100は、基準圧力センサ161を含み得る。基準圧力センサ161は、患者の血管系110の外部の圧力を示す基準圧力信号を生成するように構成され得る。例えば、基準圧力センサ161は、圧力センサ160が瘻118または、例えば、静脈ライン116の一部または透析ユニット102の外面などの、血管系110の外部にある透析システム100の他の部分のいずれかに位置する場合、瘻118の外部にあるように構成される静脈針108Bの部分に配置され得る。場合によっては、基準圧力センサ161は、上述の圧力センサ160と同じか、または実質的に同様の構成を有し得る。いくつかの例では、圧力センサ160のみによって検知される圧力に基づいて、針108Bの移動を検出するのではなく、処理回路162は、圧力センサ160によって生成される圧力信号と基準圧力センサ161によって生成される基準圧力信号の両方を使用し得る。例えば、処理回路162は、少なくとも、静脈針108Bに隣接する圧力と患者104の体外の大気との差異を判定することにより、差圧を判定し得る。差圧を判定することにより、透析システム100は、動静脈瘻118内の絶対圧力または(例えば、周囲圧力に対する)相対圧力を判定するように構成され得る。処理回路162はこの絶対または相対圧力を使用して、例えば所定の閾値以下の絶対または相対圧力を検出することにより、または、所定の変化率を超える、絶対または相対圧力の変化率を検出することなどにより、針108Bの移動を検出することができる。
【0085】
透析システム100は、圧力センサ160から圧力信号を受信するように構成される。例えば、圧力センサ160は、有線接続、無線接続、または両方の組み合わせなどの任意の好適な接続164を介して処理回路162に通信可能に結合され得る。いくつかの例では、有線接続は、静脈ライン116の管腔内、静脈ライン116の外部、または両方の組み合わせで延在する電気ケーブルまたは光ファイバを含み得る。例えば、有線接続164は、静脈針108Bの少なくとも一部と一体的に形成されるか、または、例えば生体適合性材料、シリコーン、またはパリレンによって静脈針108Bの内面または外面に固定され得る。いくつかの例では、無線接続は、近距離無線周波数、Bluetooth(登録商標)、WiFi(登録商標)などの受動的または能動的な無線周波数通信を含んでもよい。例えば、圧力センサ160は、例えば処理回路162などの透析ユニット106などの外部装置、例えば処理回路162などの透析ユニット106に通信可能に結合されるか、または、アクセスポイントの位置の周りに装着される外部カフを介して、誘導結合されるような外部装置と無線通信するように構成された通信回路を含むことができる。いくつかの例では、無線接続には、患者の血液などの導電性流体を導体として使用する通信が含まれる場合がある。例えば、圧力センサ160は、受信装置が片側で血液と流体接触し、例えば、処理回路162などの透析ユニット106に有線接続または無線接続で接続されるようにすることがきるように、静脈ライン116の管腔に埋め込まれた受信装置と無線通信するように構成された通信回路を含んでもよい。このようにして、圧力センサ160は、圧力信号を生成し、処理回路162に圧力信号を送信するように構成され得る。
【0086】
本明細書に記載の処理回路162、ならびに他のプロセッサ、処理回路、コントローラ、制御回路などは、1つ以上のプロセッサを含むことができる。処理回路162は、集積回路、ディスクリート論理回路、1つ以上のマイクロプロセッサなどのアナログ回路、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ASIC、またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)の任意の組み合わせを含み得る。いくつかの例では、処理回路162は、1つ以上のマイクロプロセッサ、1つ以上のDSP、1つ以上のASIC、または1つ以上のFPGA、ならびに他の個別のまたは統合された論理回路および/またはアナログ回路の任意の組み合わせなどの複数の構成要素を含み得る。
【0087】
制御回路126は、処理回路162に動作可能に結合され得る。制御回路126は、圧力センサ160の動作を制御するように構成される。いくつかの例では、制御回路126は、圧力センサ160の動作を調整するタイミング制御信号を提供するように構成され得る。例えば、圧力検知回路166は、圧力検知回路166が圧力センサ160をオンおよびオフにするために使用することができる1つ以上のタイミング制御信号を制御回路126から受信することができる。いくつかの例では、処理回路162は、タイミング制御信号を使用して、圧力検知回路166と同期して動作し得る。例えば、処理回路162は、タイミング制御信号に基づいて、アナログ−デジタル変換器およびデマルチプレクサの動作を圧力検知回路166と同期させることができる。制御回路126は、透析ユニット102の一部として示されているが、他の例では、制御回路126は、透析ユニット102とは別個の装置に組み込まれ得る。
【0088】
メモリ168は、例えば、圧力値または血流量などの監視された生理学的パラメータ、ポンプ124および154の動作速度、圧力値、または酸素検出値などの、透析ユニット102に関連する動作値および閾値などのデータを格納するように構成され得る。いくつかの例では、メモリ120は、ポンプ起動手順またはポンプ停止手順などのプログラム命令を格納し得る。プログラム命令は、処理回路162によって実行可能な1つ以上のプログラムモジュールを含むことができる。処理回路162によって実行されるとき、そのようなプログラム命令は、処理回路162に、本明細書に起因する機能を提供させることができる。プログラム命令は、ソフトウェア、ファームウェア、および/またはRAMウェアで具体化され得る。メモリ120は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、不揮発性RAM(NVRAM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、または任意の他のデジタル媒体などの、揮発性、不揮発性、磁気的、光学的、または電気的媒体のうちのいずれか1つ以上を含み得る。
【0089】
ユーザインターフェース170は、ディスプレイ172、スピーカ174、および入力装置176を含み。いくつかの例では、ユーザインターフェース170は、より少ないか、または追加の構成要素を含んでもよい。ユーザインターフェース170は、情報をユーザ(例えば、患者104、患者介護者、または臨床医)に提示するように構成され得る。例えば、ユーザインターフェース170および/またはディスプレイ172は、モニタ、陰極線管ディスプレイ、液晶(LCD)ディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ、プラズマディスプレイ、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、および/または他の好適なディスプレイを含んでもよい。いくつかの例では、ユーザインターフェース170は、臨床またはその他の設定で使用されるマルチパラメータモニタ(MPM)または他の生理学的信号モニタ、携帯情報端末、携帯電話、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、その他の好適なコンピューティング装置、またはそれらの、組み込みディスプレイまたは別個のディスプレイとの任意の組み合わせの一部であってもよい。
【0090】
いくつかの例では、処理回路162は、ディスプレイ172などのユーザインターフェース170によって、グラフィカルユーザインターフェースをユーザに提示するように構成され得る。グラフィカルユーザインターフェースは、例えば血圧値、血流値、または他の患者の生理学的パラメータなどの、患者の1つ以上の生理学的パラメータの値の指示を含むことができ、かつ/または、透析ユニット102の動作に関する情報、他の血液透析治療情報、静脈針移動を検出することに応じた通知、静脈針移動の検出に応じた命令、またはディスプレイ172を介したそれらの組み合わせを含むことができる。ユーザインターフェース170はまた、スピーカ174などのユーザに音声を投影するための手段を含むことができる。
【0091】
いくつかの例では、処理回路162はまた、ユーザなどの追加のソース(図示せず)から入力信号を受信し得る。例えば、処理回路162は、キーボード、マウス、タッチスクリーン、ボタン、スイッチ、マイク、ジョイスティック、タッチパッド、または他の好適な入力装置または入力装置の組み合わせなどの入力装置176から、入力信号を受信することができる。入力信号は、例えば、ユーザへの静脈針の移動に関する通知を提示するユーザインターフェース170などに応じて受信された、生理学的パラメータ、患者104に提供される治療、透析ユニット102を制御するための動作などの患者104に関する情報を含むことができる。追加の入力信号は、それが実行する判定または動作のいずれかで処理回路162によって使用され得る。
【0092】
圧力検知回路166は、接続164を介して圧力センサ160から検知された圧力信号を受信するように構成され得る。圧力検知回路166は、圧力信号を処理回路162に伝達し得る。いくつかの例では、圧力センサ160は圧力検知回路166を含み得る。いくつかの例では、圧力検知回路166は、圧力センサ160および/または処理回路162に通信可能に結合された外部装置に組み込まれ得る。圧力検知回路166は、透析ユニット102の一部として示されているが、他の例では、圧力検知回路166は、透析ユニット102とは別個の装置に組み込むことができる。
【0093】
いくつかの例では、圧力検知回路166および/または処理回路162は、検知された生理学的信号の任意の好適なアナログ調整を実行するように構成された信号処理回路178を含み得る。例えば、圧力検知回路166は、処理回路162に、変更されていない(例えば、生)信号を伝達することができる。処理回路162、例えば信号処理回路178は、例えばフィルタリング(例えば、ローパス、ハイパス、バンドパス、ノッチ、または任意の他の好適なフィルタリング)、増幅、受信信号の動作の実行(例、導関数の取得、平均化)、任意の他の好適な信号調整の実行(例、電流信号から電圧信号への変換)、またはそれらの任意の組み合わせによって、生信号を使用可能な信号に変更するように構成され得る。いくつかの例では、調整されたアナログ信号を信号処理回路178のアナログ−デジタル変換器によって処理して、調整されたアナログ信号をデジタル信号に変換することができる。
【0094】
いくつかの例では、信号処理回路178は、圧力信号の異なる成分を分離するために信号のアナログまたはデジタル形式で動作し得る。いくつかの例では、信号処理回路178は、ローパス、ハイパス、バンドパス、ノッチ、平均化、または任意の他の好適なフィルタリング、増幅、信号の動作の実行、任意の他の好適なデジタル調整の実行、またはそれらの任意の組み合わせなどの、変換されたデジタル信号の任意の好適なデジタル調整を実行し得る。いくつかの例では、信号処理回路178は、受信された圧力信号への周囲の寄与を取り除き得る。追加的に、または代替的に、圧力検知回路166は、信号処理回路178を含み、1つ以上の生圧力信号を修正し、処理回路162に1つ以上の修正圧力信号を伝達することができる。
【0095】
処理回路162は、圧力検知回路166および/または信号処理回路178を介して圧力センサ160によって生成される圧力信号を受信するように、かつ圧力信号に基づいて、動静脈瘻118からの静脈針108Bの移動を検出するように構成され得る。いくつかの例では、処理回路162は、圧力信号に基づいて静脈針108Bに隣接する圧力を判定するように、かつ少なくとも静脈針108Bに隣接する圧力を閾値圧力と比較することにより静脈針108Bの移動を検出するように構成される。例えば、処理回路162は、圧力信号のピーク、中央値、または最低振幅に基づいて、針に隣接する圧力を判定し得る。追加的に、または代替的に、処理回路162は、例えばメモリ168に格納されたアルゴリズムを適用して、圧力信号と針に隣接する圧力との間の所定の関連付けを定義するように構成され得る。いくつかの例では、アルゴリズムは、圧力センサ160の較正に基づいて、定期的に更新され得る。
【0096】
いくつかの例では、処理回路162は、静脈針108Bに隣接する圧力が閾値圧力以下であると判定することに応じて、静脈針108Bの移動を検出するように構成される。いくつかの例において、処理回路162は、差圧の判定に応じて(例えば、圧力信号および基準圧力信号に基づいて)、静脈針108Bの移動を検出するように構成される。閾値圧力は、瘻118内の血流の外側にある静脈針108Bを示す任意の好適な閾値圧力を含んでもよい。いくつかの例では、閾値圧力は、所定の公称瘻圧よりも低いか、または大気圧(例えば、約760mmHg、絶対圧力)よりも高いかのうちの少なくとも一方であってもよい。所定の公称瘻圧は、約20mmHg(ゲージ圧力)〜約100mmHg(ゲージ圧力)の間であり得る。例えば、閾値圧力は、約0mmHg(ゲージ圧力)〜約20mmHg(ゲージ圧力)の間、または約5mmHg(ゲージ圧力)〜約15mmHg(ゲージ圧力)などの、約20mmHg(ゲージ圧力)未満であってもよい。いくつかの例では、閾値圧力は、圧力センサ160(単独または回路166と組み合わせて)によって生成される圧力信号の関数として判定されてもよい。例えば、閾値圧力は、静脈針108Bが瘻118の血流内にあることが知られているときに検知された圧力を示すベースライン圧力信号の割合であってもよい。追加的に、または代替的に、閾値圧力は、ベースライン圧力信号の変化率(例えば、減少)を含んでもよい。閾値圧力、ベースライン圧力信号、または針の移動を検出するために処理回路162によって使用される他の測定基準は、メモリ168によって格納され得る。
【0097】
いくつかの例では、圧力センサ160によって生成され、処理回路162によって受信される圧力信号は、アナログ圧力信号を含んでもよい。アナログ圧力信号は、例えば患者104の脈圧(本明細書では「自然な」脈圧とも称される)を示す脈圧波成分、および、例えば、ポンプ124の脈圧を示すポンプ圧力波成分を含むアナログ圧波を示し得る。処理回路162は、アナログ圧力信号が脈圧波成分を含まないと判定することに応じて、静脈針108Bの移動を検出するように構成され得る。脈圧波成分を含まないアナログ圧力信号は、静脈針108Bが血管系110に流体的に結合されていないことを示すことができ、これは、静脈針108Bがもはや瘻118内に適切に配置されて、血液を瘻118に戻して送達することができない、したがって、瘻118から移動されることを示す。いくつかの例では、処理回路162は、少なくともアナログ圧力信号内のポンプ圧力波成分を検出することと、少なくともポンプ圧力波成分を除外することにより、残留波を生成することと、残留波が脈圧波成分を含まないことを判定することと、により、アナログ圧力信号が脈圧波成分を含まないことを判定し得る。ポンプ圧力波は、例えば、ポンプ124の動作の一貫性により、アナログ圧力信号からポンプ圧力波成分をフィルタリングすることが、フィルタリングされていないアナログ圧力信号において脈圧波成分を識別するよりも計算集約的ではないように特徴付けることが、脈圧波と比較して容易であり得る。
【0098】
処理回路162は、動静脈瘻118からの針108のうちの1つの移動を検出することに応じて、出力を生成するように構成される。いくつかの例では、処理回路162が針108のうちの1つの針が移動したことを判定する場合、処理回路162は、潜在的な針の移動を示す通知を少なくともユーザインターフェース170を介して提示することにより、出力を生成することができる。いくつかの例では、通知は、針108の配置を確認し、必要に応じて、動静脈瘻118内の針108を再配置するか、透析ユニット102を停止して、臨床医に通知するように、ユーザ(例えば、患者104、患者介護者、または臨床医)に命令することができる。いくつかの例では、処理回路162およびユーザインターフェース170は、同じ装置の一部であるか、または1つのハウジング(例えば、コンピュータまたはモニタ)内で支持され得る。他の例では、処理回路162およびユーザインターフェース170は、有線接続または無線接続(例えば、通信インターフェース)を介して通信するように構成された別個の装置であり得る。
【0099】
いくつかの例では、ユーザインターフェース170を介して提示されるユーザへの通知に加えて、またはその代わりに、処理回路162は、動静脈瘻118からの静脈針108B(または、他の例では、動脈針108A)の移動の検出に基づいて、少なくとも透析ユニット102を制御することにより、出力を生成するように構成され得る。例えば、処理回路162は、少なくともポンプ124に、動脈針108Aを介した動静脈瘻118からの流体の抽出を停止させることにより、透析ユニット102を制御し得る。いくつかの例では、処理回路162は、例えばメモリ168に格納され、制御回路126を介して処理回路162によって実行されるポンプ停止手順などの、ポンプ停止手順を実行すること、または、動脈針108Aとポンプ124の間の動脈ライン114に配置されたバルブを閉じることにより、ポンプ停止手順を実行するか、ポンプ124に、流体の抽出を停止させることができる。透析ユニット102が動静脈瘻118から流体を抽出することを自動的に停止することにより、透析システム100は、静脈針108Bの移動中の失血を低減し得る。
【0100】
いくつかの例では、処理回路162は、例えば、圧力信号が閾値未満ではないことを判定することにより、または静脈針108Bが移動されていないことを確認するユーザ入力により、静脈針108Bが移動されなくなったことを判定するように、かつ透析ユニット102を自動的に制御して、例えば、ポンプ起動手順を実行するか、バルブ115を開くことにより、動静脈瘻118からの流体の抽出を再開するように構成され得る。動静脈瘻118からの流体の抽出を自動的に再開することにより、透析システム100は、透析治療時間を短縮するか、臨床リソースの使用を削減するか、またはその両方を行うことができる。
【0101】
圧力センサ160によって生成された圧力信号は、透析治療の結果に影響を及ぼし得る他の状態を検出するために使用され得る。例えば、動静脈瘻118または患者の血管系の他の部分からの細長い部材の移動を検出することに加えて、またはその代わりに、いくつかの例において、処理回路162は、圧力センサ160によって生成された圧力信号に基づいて、動静脈瘻118の静脈狭窄を検出するように構成される。動静脈瘻118の静脈狭窄には、動静脈瘻118の狭窄と、動静脈瘻118を使用して透析治療を適切に実行するための適切な血流の閉塞が含まれる場合がある。血流のこの閉塞は、動静脈瘻118内に配置された圧力センサ160によって検知される血圧の変化として存在し得る。いくつかの例では、処理回路162は、静脈針108Bに隣接する圧力が閾値圧力、例えば静脈狭窄閾値圧力以上であると判定することに応じて、静脈狭窄を検出し得る。いくつかの例では、静脈狭窄閾値圧力は、透析のための血管系の開通性の望ましいレベルを示すことが知られている圧力値であり、患者104の検知されたパラメータか、または患者104が含まれても含まれなくてもよい被験者集団の検知されたパラメータに基づいて判定することができる。例えば、一部の患者の場合、静脈狭窄閾値圧力は、約100mmHgより大きい収縮期圧および/または約40mmHgより大きい拡張期圧など、約40mmHg〜約100mmHgより大きい圧力であり得る。
【0102】
いくつかの例では、処理回路162は、静脈針108Bに隣接する圧力の経時的な変化が閾値圧力変化率以上であると判定することに応じて、静脈狭窄を検出し得る。いくつかの例では、静脈狭窄の圧力変化閾値率は、透析のための血管系の開通性の望ましいレベルを示すことが知られている率値であり、患者104の検知されたパラメータか、または患者104が含まれても含まれなくてもよい被験者集団の検知されたパラメータに基づいて判定することができる。例えば、一部の患者の場合、静脈狭窄の閾値圧力変化率は、以前に検出された圧力値の変化の約10%〜約20%より大きい変化率である場合があり、これは上記のように回転平均圧力値であり得る。
【0103】
いくつかの例では、処理回路162は、少なくとも、圧力センサ160によって生成された圧力信号に基づいて、動静脈瘻118を通る流量を判定することにより、静脈狭窄を検出するように構成され得る。処理回路162は、判定された流量に基づいて、動静脈瘻118の閾値流量変化を検出し得る。処理回路162はまた、圧力信号に基づいて、動静脈瘻118の閾値圧力変化を検出することができる。処理回路162は、閾値圧力変化および閾値流量変化を検出することに応じて、動静脈瘻118の静脈狭窄を検出し得る。例えば、流量の減少および圧力の増大は、動静脈瘻118の静脈狭窄を示す動静脈瘻118の閉塞を示し得る。
【0104】
いくつかの例では、処理回路162は、静脈狭窄を検出することに応じて、透析ユニット102の動作を修正するように構成され得る。例えば、処理回路162は、制御回路126を介してポンプ124を制御して、体外回路112を通る血液の流量を減少させることができる。体外回路112を通る血液の流量を減少させることにより、動静脈瘻118の圧力を低減することができる。動静脈瘻118の圧力を低減すると、血液透析による血管系110への悪影響を減らすことができる。
【0105】
図1の例は、主に瘻118からの静脈針108Bの移動を検出することに関して記載されているが、他の例では、同じまたは類似の技術が処理回路162を使用して、瘻からの動脈針108Aの移動を検出し、動脈針の移動を示す出力を生成することができる。動脈針移動の自動検出は、効率的な透析セッションのために望ましい量で患者104から血液が確実に引き出されることを助けることにより、透析セッションの効率を改善するのに役立ち得る。
【0106】
透析装置102は、特定の構成を有するものとして
図1を参照して記載されている。他の例では、透析装置102は別の好適な構成を有し得、他の透析原理を使用して動作し得る。本明細書に記載の装置、システム、および技術を使用した細長い部材の移動の検出は、任意の好適な透析技術に、また、患者の血管系への血液の引き出しおよび導入を含む他の医療処置に適用可能である。
【0107】
図2A〜2Cは、圧力センサ260を含む例示的な静脈針208を示す概念図である。静脈針208および圧力センサ260は、本明細書に記載の相違点を除いて、
図1を参照して上述した静脈針108Bおよび圧力センサ160とそれぞれ同一か、または同様であってもよい。
図2Aに示される図では、静脈針208は、静脈ライン116に流体的に結合されている。
【0108】
図2Aに示されるように、針208は、鋭い(例えば、切開)先端または鈍い先端を画定する遠位先端209および、動静脈瘻118への針208の挿入を容易にするようにそれぞれが構成されたベベル211を含む。圧力センサ160がカニューレまたはカテーテルなどの細長い部材上にある例では、細長い部材は、細長い部材の瘻118への挿入を容易にするように構成された先端を含まなくてもよく、別個の導入ツールを使用して、細長い部材を患者の血管系に導入してもよい。
【0109】
図2Aに示される例では、圧力センサ260は、静脈針208の遠位先端209の近くに位置する。例えば、圧力センサ260は、圧力センサ260の圧力検知面261などの圧力センサ260の少なくとも一部が、静脈針208が血液透析中に動静脈瘻118内に適切に配置されるときに、動静脈瘻118の管腔219内に配置され得るような、遠位先端209から任意の好適な距離にあり得る。圧力センサ260、例えば、圧力検知面261は、接続264を介して処理回路(例えば、処理回路162)に通信可能に結合される。上述のように、接続264は有線接続でも無線接続でもよい。
【0110】
圧力センサ260は、任意の好適な手段によって静脈針208に取り付けられ得る。いくつかの例では、圧力センサ260のプロファイルは、静脈針208の少なくとも一部と同様であり、圧力センサ260の表面静脈針208への取り付けを容易にして、圧力センサ260がニードル208の表面に対して比較的低いプロファイルを維持するのを助ける。例えば、圧力センサ260の曲率は、静脈針208の一部の曲率と一致し得る。このようにして、低プロファイル圧力センサ260は、静脈針208の表面の輪郭に適合して、内腔の内径が損なわれず、所定流血液標的を支持するのに必要な寸法であることを保証する。
【0111】
いくつかの例では、圧力センサ260は、接着剤を使用して、または溶接接続を介して静脈針208に取り付けられ得る。別の例として、圧力センサ260の第1の部分は、針シャフトの外径の小さな平らな部分に組み立てられ得る。圧力センサ260の第1の部分は、レーザー、超音波溶接、または他の非破壊接着技術を使用して、カニューレまたは針の内面または外面上のMEMS層を使用して静脈針208に取り付けられ得る。圧力センサ260の第1の部分は、例えば、エアギャップ静電容量型圧力センサの第2の電極として機能するように構成された導電性材料の薄膜、または薄膜の物理的形状変化に応じて電荷を生成するように構成された圧電材料の薄膜などの可撓性絶縁膜を含む圧力センサ260の第2の部分によって覆われ得る。いくつかの例では、静脈針208の一部は、導電性材料の膜または圧電材料の薄膜から作製されてもよい。いくつかの例では、圧力センサ260は、例えば滑らかな湾曲した端部263によって示されるような非血栓形成性ケーシング、および/または、例えば生体適合性材料、シリコーン、またはパリレンなどの抗血栓性コーティング265を含み得る。
【0112】
いくつかの例では、
図2Bに示すように、圧力センサ260は、静脈針208の外面213に取り付けられてもよい。いくつかの例では、
図2Cに示されるように、圧力センサ260は、静脈針208の内面215に配置されてもよい。いずれの例でも、透析中に透析装置102から瘻118に血液を戻すために針208が瘻118内に適切に配置されている場合、圧力センサ260を動静脈118の血流内に配置することができる。例えば、圧力センサ260は、静脈針208の遠位先端209から約10mm〜約15mmなど、約10mm〜約20mm(例えば、製造上のばらつきにより許容される限り10mm〜20mmに近い)の範囲内にあってもよい。
【0113】
内面215は、静脈針208の管腔217を画定し得る。血液透析中に静脈針208が動静脈瘻118内に適切に配置される場合、管腔217は動静脈瘻118の管腔219に流体的に結合される。圧力センサ260が内面215に配置される例では、圧力センサ260は、外面213に配置される圧力センサ260と比較して、遠位先端209から、より遠くに配置され得る。例えば、圧力センサ260は、上述のように、圧力センサ260がアナログ圧力信号の脈圧波を検知することを可能にする遠位先端209から任意の距離に配置され得る。
【0114】
いくつかの例では、
図2Bおよび2Cには示されていないが、圧力センサ260は、静脈針208に少なくとも部分的に埋め込まれていてもよい。例えば、圧力センサ260は、圧力センサ260が内面215と実質的に同一平面になるように(例えば、製造公差の範囲内で同一平面またはほぼ同一平面になるように)または少なくとも、針208の表面から突出する圧力センサ260の表面プロファイルを減少させるように、静脈針208の内面215に埋め込まれてもよい。同様に、いくつかの例では、圧力センサ260が実質的に外面213と同一平面になるように、圧力センサ260を外面213に埋め込むことができる。静脈針208に圧力センサ260を埋め込むと、静脈針208の表面に対する圧力センサ206のプロファイルが減少し、いくつかの例では、圧力センサ260と静脈針208の表面との間の接触表面積が増加して圧力センサ260の静脈針208への接着または溶接が向上する。圧力センサ260のプロファイルを減少させることは、圧力センサ260の周りの血流による血栓形成の可能性を低減すのに役立つ。
【0115】
図3は、患者の血管系からの細長い部材の移動を検出する例示的な方法を示すフロー図である。
図3は、透析システム100(
図1)の処理回路162を参照して記載されているが、他の例では、単独で、または処理回路162と組み合わせた異なる処理回路が、患者の血管系からの別の細長い部材の移動を検出するために、
図3の技術の任意の部分を実行し得る。
【0116】
図3に示す技術によれば、処理回路162は、細長い部材上の圧力センサ160によって生成された圧力信号を受信する(302)。細長い部材は、患者104の動静脈瘻118に導入されるように構成され得、圧力信号は、細長い部材に隣接する圧力を示し得る。上述のように、いくつかの例では、細長い部材は、透析ユニット102に流体的に結合され、透析された流体の量を動静脈瘻118に戻すように構成された静脈針108Bを含み得る。
【0117】
処理回路162は、圧力信号に基づいて、動静脈瘻118などの患者14の血管系からの細長い部材の移動を検出する(304)。いくつかの例では、処理回路162は、圧力信号に基づいて、少なくとも細長い部材に隣接する圧力を判定し、細長い部材に隣接する圧力を透析装置102のメモリ168または別の装置のメモリに格納された閾値圧力と比較することにより、移動を検出する。例えば、処理回路162は、移動を検出することができ(304)、細長い部材に隣接する圧力が閾値圧力以上であると判定されたことに応じて、細長い部材、例えば静脈針108Bの移動を検出することを含み得る。いくつかの例では、閾値圧力は、所定の公称瘻圧よりも低い、かつ/または大気圧よりも高い、のうちの少なくとも一方であり得る。
【0118】
上述のように、圧力信号がアナログ圧力信号を含む例では、処理回路162は、少なくともアナログ圧力信号が患者の自然な脈圧波成分を含まないことを判定することにより、細長い部材の移動を検出し、それにより、細長い部材がもはや瘻118内に適切に配置されていないことを示し得る。いくつかの例では、処理回路162は、少なくとも、アナログ圧力信号から透析ポンプ圧力波成分を除外して残留波を生成することと、残留波が脈圧波成分を含まないことを判定することと、により、アナログ圧力信号が脈圧波成分を含まないことを判定する。
【0119】
処理回路162は、動静脈瘻からの細長い部材、例えば静脈針108Bの移動を検出することに応じて出力を生成する(306)。いくつかの例では、処理回路162は、例えば透析ユニット102の透析ポンプ124に、動脈針108Bを介した動静脈瘻118からの流体の抽出を停止させるために、少なくとも透析ユニット102を制御することにより、出力を生成する(306)。いくつかの例では、処理回路162は、動静脈瘻118内の細長い部材(例えば、静脈針108B)を再配置するようにユーザに命令する通知を、ユーザインターフェース170を介して、少なくとも生成し、提示することにより、出力を生成する(306)。
【0120】
いくつかの例では、処理回路162は、圧力センサ160によって生成された圧力信号に基づいて、動静脈瘻118の静脈狭窄を検出するように構成される。
図4は、患者の血管系内の静脈狭窄を検出する例示的な方法を示すフロー図である。
図4は、透析システム100(
図1)の処理回路162を参照して記載されているが、他の例では、単独で、または処理回路162と組み合わせた異なる処理回路が、
図4の技術の任意の部分を実行して、患者の血管系の静脈狭窄を検出し得る。
【0121】
図4に示される技術によれば、処理回路162は、圧力センサ160によって生成される圧力信号に基づいて、(例えば、単独または圧力検知回路166と組み合わせて)細長い部材、例えば静脈針108Bに隣接する圧力を判定し得る(402)。処理回路162は、細長い部材に隣接する圧力が閾値圧力以上であると判定することに応じて、静脈狭窄を検出し得る(404)。
【0122】
いくつかの例では、上述のように、静脈狭窄を検出するために、処理回路162は、圧力信号に基づいて、動静脈瘻118を通る流量を判定し得る(406)。処理回路162は、圧力信号に基づいて、動静脈瘻118の閾値圧力変化を検出し得る(408)。処理回路162は、判定された流量に基づいて、動静脈瘻118の閾値流量変化を検出し得る(410)。処理回路162は、閾値圧力変化および閾値流量変化を検出することに応じて、動静脈瘻118の静脈狭窄を検出し得る(412)。いくつかの例では、静脈狭窄を検出することに応じて、処理回路162は、細長い部材を介して患者に流体を送達するように構成された透析ユニット102の動作を修正する。
【0123】
以下の条項は、本明細書の主題の開示例を示している。
【0124】
条項1.システムであって、患者の血管系に導入されるように構成された細長い部材であって、細長い部材に隣接する圧力を示す圧力信号を生成するように構成された圧力センサを備える、細長い部材と、処理回路であって、圧力センサから圧力信号を受信するように、圧力信号に基づいて、血管系からの細長い部材の移動を検出するように、かつ血管系からの細長い部材の移動を検出することに応じて、出力を生成するように構成される、処理回路と、を備える、システム。
【0125】
条項2.細長い部材が、針、カテーテル、またはカニューレのうちの少なくとも1つを備える、条項1に記載のシステム。
【0126】
条項3.細長い部材が、静脈針を備え、システムが、血管系に導入されるように構成された動脈針と、静脈針および動脈針に流体的に結合された透析ユニットと、をさらに備える、条項1または条項2に記載のシステム。
【0127】
条項4.透析ユニットが、動脈針を通して血管系から抽出されたある体積の流体を透析するように、かつ静脈針を通してある体積の透析された流体を血管系に戻すように構成される、条項3に記載のシステム。
【0128】
条項5.処理回路が、血管系からの静脈針の移動の検出に基づいて、少なくとも透析ユニットを制御することにより、出力を生成するように構成される、条項3に記載のシステム。
【0129】
条項6.処理回路が、少なくとも透析ユニットの透析ポンプに血管系から流体を抽出することを停止させることにより、透析ユニットを制御するように構成される、条項5に記載のシステム。
【0130】
条項7.ユーザインターフェースをさらに備え、処理回路が、血管系内に細長い部材を再配置するようにユーザに命令するユーザインターフェースを介して、少なくとも通知を提示することにより、出力を生成するように構成される、条項1〜6のいずれか一項に記載のシステム。
【0131】
条項8.処理回路が、少なくとも、圧力信号に基づいて、細長い部材に隣接する圧力を判定することと、細長い部材に隣接する圧力を閾値圧力と比較することと、によって、細長い部材の移動を検出するように構成される、条項1〜7のいずれか一項に記載のシステム。
【0132】
条項9.処理回路が、細長い部材に隣接する圧力が閾値圧力以下であると判定することに応じて、細長い部材の移動を検出するように構成される、条項8に記載のシステム。
【0133】
条項10.閾値圧力が、所定の公称圧力より低いか、または大気圧より高いかのうちの少なくとも一方である、条項8に記載のシステム。
【0134】
条項11.圧力信号が、アナログ圧力信号を含み、処理回路が、少なくとも、アナログ圧力信号が、脈圧波成分を含まないことを判定することであって、脈圧波が、患者の脈圧を示す、判定することと、アナログ圧力信号が脈圧波成分を含まないことを判定することに応じて、細長い部材の移動を検出することと、によって、細長い部材の移動を検出するように構成される、条項1〜10のいずれか一項に記載のシステム。
【0135】
条項12.処理回路が、少なくとも、アナログ圧力信号の透析ポンプ圧力波成分を検出することと、少なくとも、アナログ圧力信号から透析ポンプ圧力波成分をフィルタリングすることにより、残留波を生成することと、残留波が脈圧波成分を含まないことを判定することと、によって、アナログ圧力信号が脈圧波成分を含まないことを判定するように構成される、条項11に記載のシステム。
【0136】
条項13.細長い部材が、管腔を画定する内面を備え、圧力センサが、内面に沿って配置される、条項1〜12のいずれか一項に記載のシステム。
【0137】
条項14.細長い部材が、外面を備え、圧力センサが、外面に沿って配置される、条項1〜12のいずれか一項に記載のシステム。
【0138】
条項15.細長い部材が、内面および外面を画定し、圧力センサが、内面または外面のうちの少なくとも一方に少なくとも部分的に埋め込まれている、条項1〜12のいずれか一項に記載のシステム。
【0139】
条項16.圧力センサが、微小電気機械システム(MEMS)圧力センサを備える、条項1〜15のいずれか一項に記載のシステム。
【0140】
条項17.処理回路が、圧力信号に基づいて、血管系の静脈狭窄を検出するように構成される、条項1〜16のいずれか一項に記載のシステム。
【0141】
条項18.処理回路が、圧力信号に基づいて、細長い部材に隣接する圧力を判定することと、圧力が閾値圧力以上であると判定することと、に応じて、静脈狭窄を検出するように構成される、条項17に記載のシステム。
【0142】
条項19.細長い部材を介して患者に流体を送達するように構成された透析ユニットをさらに備え、処理回路が、静脈狭窄を検出することに応じて、透析ユニットの動作を修正するように構成される、条項18に記載のシステム。
【0143】
条項20.処理回路が、少なくとも、圧力信号に基づいて、血管系を通る流量を判定することと、圧力信号に基づいて、血管系の閾値圧力変化を検出することと、判定された流量に基づいて、血管系の閾値流量変化を検出することと、閾値圧力変化および閾値流量変化を検出することに応じて、血管系の静脈狭窄を検出することと、により、静脈狭窄を検出するように構成される、条項17に記載のシステム。
【0144】
条項21.細長い部材を介して患者に流体を送達するように構成された透析ユニットをさらに備え、処理回路が、静脈狭窄を検出することに応じて、透析ユニットの動作を修正するように構成される、条項20に記載のシステム。
【0145】
条項22.血管系の外部の基準圧力を示す基準圧力信号を生成するように構成された基準圧力センサをさらに備え、処理回路が、圧力信号および基準圧力信号に基づいて、細長い部材の移動を検出するように構成される、条項1〜21のいずれか一項に記載のシステム。
【0146】
条項23.処理回路が、少なくとも、圧力信号および基準圧力信号に基づいて、差圧を判定することと、差圧を閾値圧力と比較することと、によって、圧力信号および基準圧力信号に基づいて、細長い部材の移動を検出するように構成される、条項22に記載のシステム。
【0147】
条項24.処理回路が、少なくとも、圧力信号および基準圧力信号に基づいて、差圧を判定することと、経時的に差圧の変化率を判定することと、差圧の変化率を閾値変化率と比較することと、によって、圧力信号および基準圧力信号に基づいて、細長い部材の移動を検出するように構成される、条項22に記載のシステム。
【0148】
条項25.患者の血管系が、動静脈瘻または動静脈グラフトを含む、条項1〜24のいずれか一項に記載のシステム。
【0149】
条項26.方法であって、患者の血管系に導入されるように構成された細長い部材上の圧力センサによって生成された圧力信号を、処理回路によって、受信することであって、圧力信号が、細長い部材に隣接する圧力を示す、受信することと、処理回路によって、かつ圧力信号に基づいて、血管系からの細長い部材の移動を検出することと、血管系からの細長い部材の移動を検出することに応じて、処理回路によって、出力を生成することと、を含む、方法。
【0150】
条項27.細長い部材が、透析ユニットに流体的に結合された静脈針を備え、透析ユニットが、動脈針を通して血管系から抽出されたある体積の流体を透析するように、かつ静脈針を通してある体積の透析された流体を血管系に戻すように構成される、条項26に記載の方法。
【0151】
条項28.出力を生成することが、静脈針の移動の検出に基づいて、透析ユニットを制御することを含む、条項27に記載の方法。
【0152】
条項29.透析ユニットを制御することが、透析ユニットの透析ポンプに、動脈針を介して血管系から流体を抽出することを停止させることを含む、条項28に記載の方法。
【0153】
条項30.出力を生成することが、ユーザインターフェースを介して、血管系内に細長い部材を再配置するようにユーザに命令する通知を提示することを含む、条項26〜29のいずれか一項に記載の方法。
【0154】
条項31.細長い部材の移動を検出することが、圧力信号に基づいて、細長い部材に隣接する圧力を判定することと、細長い部材に隣接する圧力を閾値圧力と比較することと、を含む、条項26〜30のいずれか一項に記載の方法。
【0155】
条項32.細長い部材の移動を検出することが、細長い部材に隣接する圧力が閾値圧力以上であると判定することに応じて、細長い部材の移動を検出することを含む、条項26〜31に記載の方法。
【0156】
条項33.閾値圧力が、所定の公称圧力よりも低いか、または大気圧よりも高いかのうちの少なくとも一方である、条項32に記載の方法。
【0157】
条項34.圧力信号がアナログ圧力信号を含み、細長い部材の移動を検出することが、アナログ圧力信号が、脈圧波成分を含まないことを判定することであって、脈圧波が患者の脈圧を示す、判定することと、アナログ圧力が脈圧波成分を含まないことを判定することに応じて、細長い部材の移動を検出することと、を含む、条項26〜33のいずれか一項に記載の方法。
【0158】
条項35.アナログ圧力信号が脈圧波成分を含まないことを判定することが、アナログ圧力信号の透析ポンプ圧力波成分を検出することと、少なくとも、アナログ圧力信号から透析ポンプ圧力波成分をフィルタリングすることにより、残留波を生成することと、残留波が脈圧波成分を含まないことを判定することと、を含む、条項34に記載の方法。
【0159】
条項36.圧力センサが、微小電気機械システム(MEMS)圧力センサを備える、条項26〜35のいずれか一項に記載の方法。
【0160】
条項37.圧力信号に基づいて、血管内の静脈狭窄を検出することをさらに含む、条項26〜36のいずれか一項に記載の方法。
【0161】
条項38.静脈狭窄を検出することが、
【0162】
圧力信号に基づいて、細長い部材に隣接する圧力を判定することと、
【0163】
細長い部材に隣接する圧力が閾値圧力以上であると判定することに応じて、静脈狭窄を検出することと、を含む、条項37に記載の方法。
【0164】
条項39.静脈狭窄を検出することが、圧力信号に基づいて、血管系を通る流量を判定することと、圧力信号に基づいて、血管系の閾値圧力変化を検出することと、判定された流量に基づいて、血管系の閾値流量変化を検出することと、閾値圧力変化および閾値流量変化を検出することに応じて、血管系の静脈狭窄を検出することと、を含む、条項37に記載の方法。
【0165】
条項40.静脈狭窄を検出することに応じて、透析ユニットの動作を修正することをさらに含み、透析ユニットが、細長い部材を介して、患者に流体を送達するように構成される、条項39に記載の方法。
【0166】
条項41.圧力センサによって生成された圧力信号を受信することが、患者の動静脈瘻または動静脈グラフトに導入されるように構成された細長い部材上の圧力センサによって生成された圧力信号を受信することを含む、条項26〜40のいずれか一項に記載の方法。
【0167】
条項42.処理回路によって、血管系の外部の基準圧力を示す基準圧力信号を受信することをさらに含み、血管系からの細長い部材の移動を検出することが、圧力信号および基準圧力信号に基づいて、細長い部材の移動を検出することを含む、条項26〜41のいずれか一項に記載の方法。
【0168】
条項43.圧力信号および基準圧力信号に基づいて、細長い部材の移動を検出することが、圧力信号および基準圧力信号に基づいて、差圧を判定することと、差圧を閾値圧力と比較することと、を含む、条項42に記載の方法。
【0169】
条項44.圧力信号および基準圧力信号に基づいて、細長い部材の移動を検出することが、圧力信号および基準圧力信号に基づいて、差圧を判定することと、経時的に差圧の変化率を判定することと、差圧の変化率を閾値変化率と比較することと、を含む、条項42に記載の方法。
【0170】
条項45.システムであって、患者の血管系に導入されるように構成された細長い部材に隣接する圧力を示す圧力信号を生成するための手段と、圧力信号に基づいて、血管系からの細長い部材の移動を検出するための手段と、血管系からの針の移動を検出することに応じて、出力を生成するための手段と、を含む、システム。
【0171】
条項46.細長い部材の移動を検出するための手段が、圧力信号に基づいて、細長い部材に隣接する圧力を判定することと、圧力が閾値圧力以上であると判定することと、に応じて、細長い部材の移動を検出する、条項45に記載のシステム。
【0172】
条項47.圧力信号がアナログ圧力信号を含み、細長い部材の移動を検出するための手段が、アナログ圧力信号が、脈圧波成分を含まないことを判定するための手段であって、脈圧波が患者の脈圧を示す、判定するための手段と、アナログ圧力信号が、脈圧波成分を含まないことを判定することに応じて、細長い部材の移動を検出するための手段と、を含む、条項45または条項46に記載のシステム。
【0173】
条項48.血管系が、動静脈瘻または動静脈グラフトを含む、条項45〜47のいずれか一項に記載のシステム。
【0174】
本開示は、プロセッサに本明細書に記載の機能および技術のいずれかを実行させる命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体を企図している。コンピュータ可読記憶媒体は、RAM、ROM、NVRAM、EEPROM、またはフラッシュメモリなどの揮発性、不揮発性、磁気、光学、または電気的媒体のうちのいずれかの例示的な形態をとってもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、非一時的と称され得る。患者プログラマや臨床医プログラマなどのプログラマ、または他のコンピューティング装置には、簡単なデータ転送またはオフラインデータ分析を可能にする、よりポータブルなリムーバブルメモリの種類が含まれることもある。
【0175】
血液透析システム100、処理回路162、メモリ168、ユーザインターフェース170、圧力検知回路166、制御回路126、およびそれらの様々な構成要素に起因するものを含む、本開示に記載の技術は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせにおいて、少なくとも部分的に実施され得る。例えば、技術の様々な側面は、1つ以上のマイクロプロセッサ、DSP、ASIC、FPGA、または任意の他の同等の統合または個別の論理回路、および、医師または患者プログラマなどのプログラマ、刺激装置、リモートサーバー、またはその他の装置で具現化された、そのような構成要素の任意の組み合わせを含む、1つ以上のプロセッサ内で実装され得る。「プロセッサ」または「処理回路」という用語は、一般に、単独で、または他の論理回路と組み合わせた前述の論理回路のいずれか、または他の同等の回路を指し得る。
【0176】
本明細書で使用する「回路」という用語は、1つ以上のソフトウェアまたはファームウェアプログラムを実行するASIC、電子回路、プロセッサ(共有、専用、またはグループ)およびメモリ、組み合わせ論理回路、または、記載されている機能を提供する、他の好適な構成要素を指す。「処理回路」という用語は、1つ以上の装置に分散された1つ以上のプロセッサを指す。例えば、「処理回路」には、装置上の単一のプロセッサまたは複数のプロセッサを含むことができる。「処理回路」はまた、複数の装置上のプロセッサを含むことができ、本明細書に記載の動作は、プロセッサおよび装置全体に分散され得る。
【0177】
そのようなハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアは、本開示に記載の様々な動作および機能をサポートするために、同じ装置内または別個の装置内で実装されてもよい。例えば、本明細書に記載の技術またはプロセスのいずれかは、1つの装置内で、または血液透析システム100、処理回路162、メモリ168、ユーザインターフェース170、圧力検知回路166および/または制御回路126などの2つ以上の装置に少なくとも部分的に分散して実行され得る。さらに、記載されているユニット、モジュール、または構成要素のいずれも、個別の、しかし相互運用可能な論理装置として、一緒にまたは別々に実装され得る。モジュールまたはユニットとしての異なる機能の説明は、異なる機能的側面を強調することを意図しており、必ずしもそのようなモジュールまたはユニットが別個のハードウェアまたはソフトウェア構成要素によって実現されなければならないことを意味しない。むしろ、1つ以上のモジュールまたはユニットに関連する機能は、別個のハードウェアまたはソフトウェア構成要素によって実行されるか、共通の、または別個のハードウェアまたはソフトウェア構成要素内に統合されてもよい。
【0178】
本開示に記載の技術はまた、命令で符号化された非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を含む製品で具体化または符号化され得る。符号化された非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を含む製品に埋め込まれた、または符号化された命令は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に含まれるか、または符号化された命令が、1以上のプロセッサによって実行され場合などに、1つ以上のプログラム可能なプロセッサ、または他のプロセッサに、本明細書に記載の技術のうちの1つ以上を実施させてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体の例には、RAM、ROM、プログラマブルROM(PROM)、消去可能プログラマブルROM(EPROM)、電子的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、ハードディスク、コンパクトディスクROM(CD−ROM)、フロッピー(登録商標)ディスク、カセット、磁気メディア、光学メディア、または任意のその他のコンピュータ可読記憶装置または有形のコンピュータ可読媒体が含まれてもよい。
【0179】
いくつかの例では、コンピュータ可読記憶媒体は、非一時的媒体を含む。「非一時的」という用語は、記憶媒体が搬送波または伝搬信号で具体化されていないことを示している場合がある。特定の例では、非一時的な記憶媒体は、経時的に変化する可能性のあるデータを(例えば、RAMまたはキャッシュ内に)格納する場合がある。血液透析システム100、処理回路162、メモリ168、ユーザインターフェース170、圧力検知回路166、および制御回路126を含むがこれらに限定されない本明細書に記載の装置および回路の要素は、様々な形態のソフトウェアでプログラムされ得る。1つ以上のプロセッサは、例えば、1つ以上の実行可能アプリケーション、アプリケーションモジュール、ライブラリ、クラス、メソッド、オブジェクト、ルーチン、サブルーチン、ファームウェア、および/または埋め込みコードとして少なくとも部分的に実装され得るか、またはそれらを含み得る。
【0180】
処理回路162が、値が別の値以下であることを判定するものとして本明細書に記載の例では、この説明は、値が他の値よりも小さいと判定する処理回路162も含み得る。同様に、処理回路162が、値が別の値より小さいことを判定するものとして本明細書に記載の例では、この説明は、値が他の値以下であると判定する処理回路162も含み得る。同じプロパティが、「より大きい」および「以上」という用語にも適用される場合がある。
【0181】
様々な例が記載されている。これらおよび他の例は、以下の特許請求の範囲の範囲内にある。