(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-175198(P2020-175198A)
(43)【公開日】2020年10月29日
(54)【発明の名称】熱接着を用いて多孔質表面を備えたインプラントを形成する方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/38 20060101AFI20201002BHJP
A61F 2/36 20060101ALI20201002BHJP
A61F 2/34 20060101ALI20201002BHJP
【FI】
A61F2/38
A61F2/36
A61F2/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】45
(21)【出願番号】特願2020-74292(P2020-74292)
(22)【出願日】2020年4月17日
(31)【優先権主張番号】62/835,600
(32)【優先日】2019年4月18日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】511039728
【氏名又は名称】スメド−ティーエイ/ティーディー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー シー. スタルカップ
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼフ ダブリュー. ジュリック
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA03
4C097AA05
4C097AA06
4C097AA07
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC12
4C097FF05
4C097MM01
4C097SC05
4C097SC07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】多孔質材料をインサートに熱接着し、かつインサートをインプラント本体に熱接着することを含む、インプラントを形成する方法を提供する。
【解決手段】整形外科インプラントを形成する方法であって、多孔質材料をインサートの表面に熱接着して、接着済みインサートを形成すること、インプラント本体の材料中に形成された開口に、前記接着済みインサートの裸部を配置すること、および前記接着済みインサートを前記インプラント本体に接着するために、前記裸部を前記材料に熱接着することを含む、整形外科インプラントを形成する方法。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
整形外科インプラントを形成する方法であって、
多孔質材料をインサートの表面に熱接着して、接着済みインサートを形成すること;
インプラント本体の材料中に形成された開口に、前記接着済みインサートの裸部を配置すること;および
前記接着済みインサートを前記インプラント本体に接着するために、前記裸部を前記材料に熱接着すること
を含む、整形外科インプラントを形成する方法。
【請求項2】
前記裸部の熱接着には、前記材料に対する前記裸部の拡散接合が含まれる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記裸部の熱接着には、前記材料に対する前記裸部の焼結が含まれる、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記裸部は、前記開口の開口幅以上のフランジ幅を規定するフランジを有している、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記裸部は、前記開口の開口幅未満のフランジ幅を規定するフランジを有している、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記開口は、底面から延在する複数の壁により画定されている、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記壁は、前記底面から垂直に延在している、請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記裸部が前記開口内に配置されると、前記接着済みインサートの前記多孔質材料は、前記開口を被覆することになる、請求項1記載の方法。
【請求項9】
さらに、前記開口を含む開口パターンを前記インプラント本体に形成することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
整形外科インプラントであって、
内部に開口が形成された表面を有するインプラント本体;
前記開口内に配置され、前記インプラント本体に熱接着される裸部と、該裸部に結合された接着部とを有する接着済みインサート;および
前記接着部に結合された多孔質内殖材料
を含む、整形外科インプラント。
【請求項11】
前記多孔質内殖材料は、前記開口を被覆している、請求項10記載の整形外科インプラント。
【請求項12】
前記裸部は、少なくとも1つのフランジを有しており、前記開口は、開口幅を規定しており、前記フランジは、前記開口幅以上のフランジ幅を規定している、請求項10記載の整形外科インプラント。
【請求項13】
前記裸部は、前記開口の開口幅未満のフランジ幅を規定するフランジを有している、請求項10記載の整形外科インプラント。
【請求項14】
前記開口は、底面から延在する複数の壁により画定されている、請求項10記載の整形外科インプラント。
【請求項15】
前記壁は、前記底面から垂直に延在している、請求項14記載の整形外科インプラント。
【請求項16】
前記多孔質内殖材料は、前記開口を被覆している、請求項10記載の整形外科インプラント。
【請求項17】
前記インプラント本体は、複数の開口を有しており、当該整形外科インプラントは、各1つの前記開口内に配置された各1つの裸部をそれぞれ有する複数の接着済みインサートを有している、請求項10記載の整形外科インプラント。
【請求項18】
整形外科インプラントを形成する方法であって、
少なくとも1つの複雑外面を含む形状を有する複雑コンポーネントを、インプラント本体の少なくとも1つの接着面に接触させて配置すること;
および
整形外科インプラントを形成するために、前記複雑コンポーネントを前記少なくとも1つの接着面に熱接着すること
を含む、整形外科インプラントを形成する方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの複雑外面は、先細になった表面または湾曲した表面のうちの少なくとも一方である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記複雑コンポーネントには、固体材料または多孔質内殖材料のうちの少なくとも一方が含まれる、請求項18記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
これは、参照により本明細書に組み込まれる、2019年4月18日に出願された、「熱接着を用いて多孔質表面を備えたインプラントを形成する方法」と題された米国特許仮出願第62/835600号明細書に基づく、非仮出願である。
【0002】
発明の背景
1.発明の分野
本発明は、多孔質表面を備えたインプラントを形成する方法、および特に、熱接着を用いてインプラントを形成する方法に関する。
2.関連技術の説明
整形外科インプラントは、細胞の浸潤および増殖を可能にする1つ以上の多孔質材料を取り入れることが多い。このような多孔質材料は、インプラントの非多孔質材料と結合され得る。多孔質材料は一般に、その非多孔質の対応部分よりも低い強度を有していて造形し難い場合があり、このことが製造コストを増大させる。
【0003】
この技術分野で必要とされているのは、周知の方法よりも安価に整形外科インプラントを形成する方法である。
【0004】
発明の概要
ここに開示する例示的な実施形態は、多孔質材料をインサートに熱接着し、かつインサートをインプラント本体に熱接着することを含む、インプラントを形成する方法を提供するものである。
【0005】
本発明に基づき提供されるいくつかの実施形態では、整形外科インプラントを形成する方法に、多孔質材料をインサートの表面に熱接着して、接着済みインサートを形成すること;インプラント本体の材料中に形成された開口に、接着済みインサートの裸部を配置すること;および接着済みインサートをインプラント本体に接着するために、裸部を材料に熱接着することが含まれる。
【0006】
本発明により提供されるいくつかの例示的な実施形態では、整形外科インプラントに、内部に開口が形成された表面を有するインプラント本体;開口内に配置され、インプラント本体に熱接着される裸部と、裸部に結合された接着部とを有する接着済みインサート;および接着部に結合された多孔質内殖材料が含まれる。
【0007】
本発明により提供されるいくつかの実施形態では、整形外科インプラントを形成する方法には、少なくとも1つの複雑外面を含む形状を有する多孔質内殖材料を、インプラント本体の少なくとも1つの接着面に接触させて配置すること;および整形外科インプラントを形成するために、多孔質内殖材料を少なくとも1つの接着面に熱接着することが含まれる。
【0008】
ここに開示する例示的な実施形態により実現され得る1つの考えられる利点は、接着済みインサートの形成およびインプラント本体への接着済みインサートの熱接着を迅速かつ容易に行うことができ、これにより整形外科インプラントの製造コストが下がる、という点にある。
【0009】
ここに開示する例示的な実施形態により実現され得る別に考えられる利点は、複数の整形外科インプラントを、炉等の加熱容器内で同時に形成することができ、これにより製造コストがさらに下がる、という点にある。
【0010】
ここに開示する例示的な実施形態により実現され得るさらに別に考えられる利点は、接着済みインサートまたは他の方法を用いてインプラント本体に多孔質内殖材料を熱接着することで、複雑な外形を有する多孔質内殖材料を備えた整形外科インプラントの製作の難しさおよび費用を低下させることができる、という点にある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の上記および他の特徴および利点、およびこれらを達成する方法は、添付図面と共に本発明の実施形態の以下の説明を参照することでより一層明らかになり、本発明をより良く理解することになる。
【
図1】本発明により提供される、インプラント本体に熱接着された接着済みインサートを含む整形外科インプラントの1つの例示的な実施形態を示す平面図である。
【
図2】
図1に示した整形外科インプラントの、2−2線に沿った横断面図である。
【
図3】本発明により提供される、比較的大きな開口を有するインプラント本体に熱接着された接着済みインサートを含む整形外科インプラントの、別の例示的な実施形態を示す横断面図である。
【
図4】本発明により提供される、整形外科インプラントを形成する方法の1つの例示的な実施形態を示すフローチャートである。
【
図5】本発明により提供される、一対の接着済みインサートを製作するための接着済みインサートアセンブリの1つの例示的な実施形態を示す横断面図である。
【
図6】本発明により提供される、先細にされた表面を含む接着済みインサートの1つの例示的な実施形態を示す横断面図である。
【
図7】本発明により提供される、ショルダを有する接着済みインサートを含む整形外科インプラントの、1つの例示的な実施形態を部分的に分解して示す横断面図である。
【
図8】複雑外面を有する多孔質内殖材料を備えた接着済みインサートを含む整形外科インプラントの、1つの例示的な実施形態を示す横断面図である。
【
図9】複雑外面を有する多孔質内殖材料を備えた接着済みインサートを含む整形外科インプラントの、別の例示的な実施形態を示す横断面図である。
【
図10】複雑外面を有する多孔質内殖材料を備えた接着済みインサートを含む整形外科インプラントの、さらに別の例示的な実施形態を示す横断面図である。
【
図11】本発明により提供される、複雑面を有する多孔質内殖材料を備えた整形外科インプラントを形成する方法の、別の例示的な実施形態を示すフローチャートである。
【
図12】本発明により提供される、インプラント本体およびインプラント本体に接着された嵌合パーツを含む整形外科インプラントの、1つの例示的な実施形態を示す分解図である。
【
図13】開口を画定する複数の壁を備えた、
図12に示したインプラント本体の斜視図である。
【
図15】本発明により提供される、嵌合パーツをインプラント本体に接着する前の、インプラント本体および嵌合パーツを含む整形外科インプラントの別の例示的な実施形態を示す斜視図である。
【
図17】本発明により提供される、嵌合パーツをインプラント本体に接着する前の、インプラント本体および嵌合パーツを含む整形外科インプラントの別の例示的な実施形態を示す横断面図である。
【
図18】
図17に示した整形外科インプラントの別の横断面図である。
【
図19】嵌合パーツをインプラント本体に接着した後の、
図17および
図18に示した整形外科インプラントを示す横断面図である。
【
図20】本発明により提供される、インプラント本体およびインプラント本体に接着された嵌合パーツを含む整形外科インプラントを形成する方法の、1つの例示的な実施形態を示すフローチャートである。
【0012】
一致する参照符号は、いくつかの図面にわたり一致する部品を表すものである。ここに挙げた例示は、本発明の実施形態を示すものであり、このような例示はいずれにせよ、本発明の範囲を限定するものとは解釈されない。
【0013】
発明の詳細な説明
各図、特に
図1を参照すると、本開示に基づき形成された整形外科インプラント100の1つの例示的な実施形態が示されている。インプラント100は、脛骨用インプラント、大腿骨用インプラント、寛骨臼用インプラント、関節窩用インプラント、歯科用インプラント、または他のあらゆる形式の医療用または家畜用インプラントの形態を取り得る。整形外科インプラント100には、「インプラント本体」と呼ぶこともある基体101が含まれ、基体101には複数のインサート110が接着されている。インサート110はそれぞれ例えば、少なくとも部分的に多孔質内殖材料112により被覆されておりかつ骨または他の組織に形成された開口内に挿入するために寸法設定されかつ造形された露出面111を備えたペグであってよい。いくつかの実施形態では、インサート110は基礎を成す基体無しで、1つ以上の多孔質内殖材料から成っている。インサート110は例えば、チタン、ステンレス鋼、またはコバルトクロム等の金属、またはポリエーテルエーテルケトン等のポリマを含んでいてよい。多孔質内殖材料112は例えば、組織が内殖材料中に内殖することを促進するように選択された孔幾何学形状を有する、多孔質の金属またはポリマ材料であってよい。利用され得る典型的な多孔質内殖材料には、インディアナ州コロンビアシティのSITES MEDICAL(登録商標)社により商品名OSTEOSYNC(登録商標)で販売される材料が含まれる。インサート110はそれぞれ、基体101の底面に接着され得、インプラントの固定を促進するために、基体101の底面も少なくとも部分的に、多孔質内殖材料により被覆されていてよい。
【0014】
さらに
図2を参照すると、インプラント100およびいくつかの接着済みインサート110の横断面が示されている。インサート110はそれぞれ、基体101の材料中に形成された各開口102内に配置された裸部113と、多孔質内殖材料112に接着された接着部114とを有していてよい。ここで用いたように、部分113は多孔質内殖材料112を含んでいないという意味で「裸」であるが、例えば材料の腐食を阻止する表面コーティングはまだ有していてよい。インサート110の裸部113は、インサート110の長手方向軸線LAから垂直に離反するように延在しかつインサート110の最も広幅の部分を画定するフランジ115を有していてよい。長手方向軸線LAは、インサート110の接着部114を通って延在しており、接着部114は、多孔質内殖材料112に接着された面111を有している。いくつかの実施形態では、フランジ115も、少なくとも部分的に多孔質内殖材料により被覆されておりかつ/または熱接着の前に機械的な固着部を形成するために、開口102の対応ねじ山に螺合するねじ山116を有している。
【0015】
図2に見られるように、材料中に形成された開口102は、開口幅OWを規定していてよく、開口幅OWは、フランジ115の幅FWよりも小さくなっており、フランジ115を一旦開口102内に配置すれば、開口102からフランジ115が容易に外れることが防止されるようになっている。開口102は、開口102の閉じた底部を画定する底面105から垂直に延在する複数の壁104によって規定されていてもよい、すなわち、いくつかの実施形態では、開口102は完全に基体/インプラント本体101により形成されているわけではない。
図3に示す整形外科インプラント300の例示的な実施形態から認められるように、インプラント本体301にも開口302が設けられていてよく、開口302は、フランジ115の幅FWに比べて同じか、または図示よりもやや大きな開口幅OW2を規定している。フランジ115が開口102,302内に配置された場合、多孔質内殖材料は、開口102,302の壁103,303に接触してよくかつ/または内部に開口102,302が形成された材料の表面に接触してよく、これにより、多孔質内殖材料112が開口102を実質的に被覆することになる。
【0016】
図1〜
図3に示したインプラント100,300を形成するために、インプラントを形成する方法400の1つの例示的な実施形態を提供し、
図4に示す。方法400には、上述した多孔質内殖材料112等の多孔質材料をインサートの表面111に熱接着して、接着済みインサート110を形成すること401が含まれる。ここで使用したように、「熱接着」は、室温より高い温度を利用して、2つの要素を、いずれの要素の材料の大幅な液化も伴わずに互いに接着する接着プロセスを指す。典型的な熱接着技術は、比較的低い温度と高い圧力とを利用する拡散接合、および比較的高い温度と低い圧力とを利用する焼結を含むが、これに限定されるものではない。利用され得る別の熱接着技術には、各要素を互いに接合するために溶融させられるポリエーテルエーテルケトン等の第3の材料による、接合される各要素のうちの一方または両方の被覆が含まれる。互いに接着される各要素の材料に応じて、多くの異なる形式の別の熱接着技術が周知であり、簡潔にするために、これ以上の説明は省く。
【0017】
接着済みインサート110は、フランジ115等の裸部113を有していてよく、裸部113は、インプラント100の基体/インプラント本体101,301の材料等の材料中に形成された開口102,302内に配置されている402。上述したように、裸部113は多孔質材料112に接着されていない。接着済みインサート110を材料に接着するために、裸部113は材料に熱接着され403、その結果、接着済みインサート110を備えて形成されたインプラント100,300が生ぜしめられてよい。択一的に、接着済みインサート110の裸部113は、多孔質材料に被覆され、かつ接着済みインサート110を材料に接着するために材料に熱接着されてもよい。
【0018】
上述した方法400によるインプラント100,300の形成は、結果としていくつかの作用を生ぜしめることができる。周知の技術では、ポスト等のインサートは一般に、鋳造中のインプラントに形成されるか、または択一的には、ポストを機械加工することにより直接に、加工インプラント、鍛造インプラントまたは鋳造インプラントに形成される。ポストが形成されると直ちに多孔質内殖材料がポストに接着され、このことは、接着中のポストおよびインプラントに対する材料の圧締を必要とする。この過程は、ポストの寸法が比較的小さいこと、およびパーツの損傷または拒絶反応を生ぜしめること無しに多孔質材料をポストに適当に圧締して保持することが困難であることにより難しく、時間がかかる。
【0019】
これに対してここで説明する方法400は、インプラント100,300の材料に熱接着された、接着済みインサート110を製作する。接着済みインサート110は、多孔質内殖材料が圧締された、いくつかの未接着のインサートを、拡散接合用の炉内に配置することにより、比較的多量のバッチで形成され得る。未接着のインサートと多孔質内殖材料112とを十分な時間および温度で「調理」して熱接着を達成した後に、形成された接着済みインサート110を炉から取り出すことができる。このとき接着済みインサート110は、熱接着により基体/インプラント本体101,301に接着される準備ができたことになる。よって、多数の既製の接着済みインサート110を現場に保管して、必要なときに、例えば多数のペグを備えたインプラント100,300を形成することができる。接着済みインサート110と、インプラント100,300の材料との間の熱接着は少なくとも、多くの医療用インプラントの機能強度要件を上回るのに十分な強さである、ということが判っている。さらにいくつかの実施形態では、裸のポストを基体/インプラント本体101,301に接着してから、例えばプラズマ溶射または他の方法により、多孔質材料を裸のポストに被着して、多孔質コンポーネントによる二次加工が容易でないインプラントコンポーネント上で、多孔質材料をポストに供給することができる。よって本開示に基づき形成されるインプラントは、多種多様な医療用インプラントの強度または耐久性要件を損なうこと無しに、周知の技術を使用するよりも大幅に速く製造され得る。
【0020】
方法400は、複数の異なる設計のインプラントの速やかな形成をも可能にする。多くのインプラントは、ペグの数およびペグの位置が異なっているということは周知である。ここに開示した方法400を利用することで、少なくとも開口102,302を形成するために基体/インプラント本体101,301の材料中に所望の開口パターンを形成し404、形成された開口102,302内に接着済みインサート110の裸部113を配置し402、接着済みインサート110を材料に接着してインプラントを形成するために裸部113を材料に熱接着する403ことにより、ペグの数およびペグの位置が異なる複数の異なる形式のインプラントを、既製の接着済みインサート110を用いて形成することができる。一般に完成インプラントの形状を有してはいるものの、開口を有してはいないインプラントブランクは、現場に保管され得る。この場合、インプラントブランクの所望の位置に1つ以上の開口を形成し404、その後、接着済みインサート110の裸部113を開口102,302内に配置して熱接着する403ことにより、インプラントを形成することができる。よって本開示に基づき提供される方法400は、既製の接着済みインサートおよびインプラントブランクを用いた多数の異なる形式のインプラントの形成に容易に適合可能である、ということを理解されたい。
【0021】
図5を参照すると、いくつかの実施形態では、接着済みインサート110は、接着済みインサートアセンブリ500から形成される。接着済みインサートアセンブリ500は、裸部を代表する1対のフランジ端部501A,501B、およびフランジ端部501A,501B間の表面503に接着された多孔質内殖材料502を有していてよい。多孔質内殖材料502は、接着済みインサートアセンブリ500の表面503に熱接着されている。熱接着後に、接着済みインサートアセンブリ500は分割線Lにおいて分離され、それぞれが各1つのフランジ端部501A,501Bを有する2つの個別の接着済みインサートを形成することができる。よって本開示に基づき提供される接着済みインサート110は、本開示に基づく1つのインプラントの製作に必要とされる時間の長さをさらに短縮するために迅速に製造され得る、ということを理解されたい。
【0022】
図6を参照すると、いくつかの実施形態では、接着済みインサート610の裸部611が全体的または部分的に先細になっていて、裸部611の幅Wに沿って可変の厚さTを有している。このような形状は、例えば平らでない表面に対するインサート610の熱接着を補助することができ、これを従来周知の方法を用いて行うことは比較的困難である。よって本開示は、異なる形状を有する複数のインプラントを周知の方法よりも難しくなく、かつコストをかけずに形成する方法をも提供する。
【0023】
図7を参照すると、インプラントの形成に使用され得る別の接着済みインサート710の例示的な実施形態が示されている。看取され得るように、接着済みインサート710は、上述した接着済みインサート110のようにフランジ端部を有してはいないが、代わりに多孔質内殖材料713に接着されたインサート710の部分712と、インプラント本体720の材料722の開口721内に配置されるインサート710の裸部714との間に、ショルダ711を有している。図示のインプラント本体720は例示的なものであるに過ぎず、接着済みインサート710は、総膝インプラント大腿骨コンポーネント、総膝インプラント脛骨コンポーネント、部分膝インプラントコンポーネント、関節窩インプラント等を含むがこれらに限定はされない多様な異なる整形外科インプラントおよび/または整形外科インプラントのコンポーネントを形成するために使用され得る、ということを理解されたい。ショルダ711は、例えば多孔質内殖材料713が接着された部分712と裸部714との間の境界面に形成されてよく、ショルダ711でもって、幅は接着された多孔質内殖材料713に基づき、裸部714に対して増大されている。インサート710の裸部714は、インプラント本体720の材料722に熱接着され、多孔質内殖材料713は、上述した接着済みインサートと同様に、熱接着後には開口721を被覆してよい。いくつかの実施形態では、インサート710の裸部714は、開口721の対応ねじ山723に螺合して、インプラント本体720に裸部714を熱接着する前に機械的な固着部を形成する、ねじ山715を有していてよい。
【0024】
図8〜
図10を参照すると、いくつかの例示的な実施形態では、インプラント本体820,920,1020に結合された1つ以上の複雑外面811,911,1011を備えた複雑コンポーネント810,910,1010を含む整形外科インプラント800,900、1000を提供する。ここで用いたように、「複雑外面」は、反対側のインプラント本体820,920,1020の対応面に対して垂直または平行でない外面であり、コンポーネント810,910,1010を複雑にしている。
図8に示す実施形態では、例えば複雑外面811は、それぞれ反対側に位置する、インプラント本体820の底面であってよい表面821に対して平行および/または垂直でない、先細になった表面である。複雑で、それぞれ反対側に位置する表面821に対して平行または垂直でない複雑外面811に基づき、通常は圧締を含む従来の方法を用いてインプラント本体820に複雑コンポーネント810を接着することは、極めて困難である。なぜならば、複雑コンポーネント810とインプラント本体820とを共に加圧して係合させる圧締用の表面積がほとんどないからである。いくつかの実施形態では、複雑コンポーネント810,910,1010は固体材料、すなわち10%未満の多孔率を有する材料を有している。しかしながら、複雑コンポーネント810,910,1010はそのうえ、または択一的に、コンポーネント810,910,1010を形成しかつ/または図示のように別個の多孔質層813,913,1013としてコンポーネントに被着された多孔質内殖材料を有していてもよい、ということを理解されたい。
【0025】
整形外科インプラント800を形成する周知の方法の問題に対処するために、複雑コンポーネント810は、2つの接着面822,823として示すインプラント本体820の少なくとも1つの接着面に接触して配置され、複雑コンポーネント810をインプラント本体820に接着するために、接着面822,823に熱接着されてよい。図示のように、接着面822,823は、インプラント本体820から延在するポスト824として示す延在部の一部であってよい。複雑コンポーネント810は、例えば複雑外面811を貫通して延在し、ポスト824の幅PWとほぼ同じ、そうでなければやや小さな開口幅OW3を規定する、機械加工された開口812を備えて形成され得る。複雑コンポーネント810は、インプラント本体820に被せ嵌められてよく、これによりポスト824は開口812内に位置することになり、いくつかの実施形態では、機械加工された開口812は、内部に形成されたねじ山814を有していてよく、ねじ山814は、ポスト824の対応ねじ山825に螺合して、機械的な固着部を形成する。一旦複雑コンポーネント810が配置されると、プレス嵌めまたは他の機械的な固着部の形成を伴ってまたは伴わずにポスト824が開口812内に配置されることになり、複雑コンポーネント810とインプラント本体820とは共に熱接着され、複雑コンポーネント810はインプラント本体820に固く接着され得る。この点で、複雑コンポーネント810とインプラント本体820とは両方共、機械加工等の従来の二次加工法を用いて別個に形成されてから、熱接着を用いて互いに接着され得る。
【0026】
インプラント本体820は、接着面822,823を備えたポスト824を含むものとして図示して説明する一方で、いくつかの実施形態では、複雑コンポーネント810がポスト等の延在部を含んでおり、インプラント本体820は、熱接着前に延在部が配置される開口を含んでいる、ということを理解されたい。択一的に、複雑コンポーネント810および/またはインプラント本体820は、熱接着前に互いに嵌合する複数の開口および/または延在部を含んでいてよい。さらに、
図8に示す整形外科インプラント800が、肩関節インプラントの実施形態で示されている一方で、総膝インプラント、部分膝インプラント、脛骨インプラント等を含むがこれらに限定はされない別の形式の整形外科インプラントが本発明に基づき同様に製作されてもよい。よって本発明に基づき、少なくとも1つの複雑外面を有する多孔質内殖材料を含む、多様な異なる整形外科インプラントが製作され得る、ということを理解されたい。
【0027】
特に
図9を参照すると、本発明に基づき提供される整形外科インプラント900の別の例示的な実施形態が示されており、整形外科インプラント900は、先細になっているというよりはむしろ湾曲した複雑外面911を備えた複雑コンポーネント910を有している。同様に湾曲した複雑外面1011を備えた複雑コンポーネント1010を含む整形外科インプラント1000が
図10に示されているが、複雑コンポーネント1010は、複雑コンポーネント910に比べると、反転している。上述した複雑コンポーネント810と同様に、複雑コンポーネント910,1010も、上述した多孔質層913,1013として複雑コンポーネント910,1010に接着され得る固体材料および/または多孔質内殖材料を有していてよい。整形外科インプラント900,1000は両方共、上述した整形外科インプラント800と同様に、各インプラント本体920,1020のポスト924,1024として示す延在部を、複雑コンポーネント910,1010に形成された、すなわち機械加工されたねじ山を備えたまたは備えない開口912,1012内に配置し、これにより複雑コンポーネント910,1010を、延在部924,1024の一部であってよい、インプラント本体920,1020の1つ以上の接着面922,923,1022,1023に接触させ、かつ複雑コンポーネント910,1010を接着面922,923,1022,1023に熱接着することにより、製作され得る。
【0028】
図9および
図10から認められるように、複雑外面911,1011の湾曲に基づき、圧締を含む周知の製造法を用いて整形外科インプラント900,1000を形成することは、極めて困難であると考えられる。これに対して、本発明に基づく整形外科インプラント900,1000の形成は比較的容易であり、したがって経済的であり、移植用に許容可能な強度値を有する整形外科インプラント900,1000を確実に形成することができる。よって多数の異なる形式の整形外科インプラントが、本発明に基づき経済的に製作され得る、ということを理解されたい。
【0029】
図11を参照すると、本発明に基づき提供される、上述した整形外科インプラント800,900,1000等のいずれをも形成する方法1100の、1つの例示的な実施形態が示されている。方法1100には、少なくとも1つの複雑外面811,911,1011を有する多孔質内殖材料810,910,1010を、インプラント本体820,920,1020の少なくとも1つの接着面822,823,922,923,1022,1023に接触させて配置すること1101が含まれる。接着面822,823,922,923,1022,1023は、ポスト824,924,1024等の延在部の一部であってよく、多孔質内殖材料810,910,1010に形成された各開口812,912,1012内に配置されてよい1101。多孔質内殖材料810,910,1010をインプラント本体820,920,1020に接着するために、多孔質内殖材料810,910,1010を接着面822,823,922,923,1022,1023に熱接着して1102、整形外科インプラント800,900,1000を形成する。上述したように、複雑外面811,911,1011は、先細になった表面および/または湾曲した表面であってよい。
【0030】
上述した整形外科インプラントが多孔質内殖材料を有しているのに対し、本発明により提供される例示的な複数の実施形態は、必ずしも多孔質内殖材料を有さずに提供されてよい。特に
図12〜
図14を参照すると、インプラント本体1210と、インプラント本体1210に接着された嵌合パーツ1220とを含む、整形外科インプラント1200の1つの例示的な実施形態が示されている。インプラント本体1210および嵌合パーツ1220が肩関節インプラントの形状で示されている一方で、整形外科インプラントは、総膝インプラントまたは部分膝インプラント等の、他の形式のインプラントとしても形成され得る、ということを理解されたい。
【0031】
インプラント本体1210は、内部に形成された開口1212を備える表面1211を有している。インプラント本体1210は、鋳造および/または機械加工等の、これらに限定はされないがあらゆる適当な製造法により形成され得る。開口1212は表面1211に、例えば機械加工により形成され得る。開口1212は、開口1212の底部を画定する底面1214から延在していてよい、複数の壁1213A,1213Bにより画定されている。換言すると、開口1212はインプラント本体1210を貫通して延在する、底が開いた開口ではなく、閉じた底を有している。
図13および
図14に示すように、壁1213A,1213Bは、開口1212が形成された表面1211に対して平行であってよい底面1214から垂直に延在していてよく、つまり壁1213A,1213Bは、インプラント本体1210の表面1211と開口1212の底面1214の両方に対して垂直に延在している。開口1212は、壁1213A,1213Bにより形成されたD字形の外周を有するものとして示されており、いくつかの平らな壁1213Aと、いくつかの湾曲した壁1213Bとを備えている。しかしながら、さらにここで説明するように、開口1212は、嵌合パーツ1220をインプラント本体1210に熱接着するために適したいずれの形状に形成されてもよい、ということを理解されたい。
【0032】
嵌合パーツ1220は、開口1212内に配置され、インプラント本体1210に熱接着されて整形外科インプラント1200を形成する、接着部1221を有している。嵌合パーツ1220は、鋳造および/または機械加工等の、これらに限定はされないがあらゆる適当な方法により形成され得る。
図12から認められるように、接着部1221は、開口1212と同様の形状を有している。接着部1221の周壁1222は、接着部1221が開口1212内に配置されると、開口1212を画定する壁1213A,1213Bに近接しかつ/または接触してよい。いくつかの実施形態では、接着部1221は、接着部1221が開口1212内に配置されたときに、開口1212を画定する壁1213A,1213Bに周壁1222全体が接触することになるように形成されかつ寸法設定されている。嵌合パーツ1220をインプラント本体1210に接着するために、周壁1222の材料を壁1213A,1213Bの材料に熱接着して、整形外科インプラント1200を形成する。熱接着には、例えば拡散接合および/または焼結が含まれてよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、嵌合パーツ1220は、接着部1221から延在するポスト1223を含む、ポストアセンブリを有している。ポスト1223は、例えば接着部1221から垂直に延在していてよく、円筒形を有していてよい。嵌合パーツ1220は、多孔質内殖材料を全く有していなくてよい、すなわち、嵌合パーツ1220には多孔質内殖材料が全く接着されていなくてよいか、または択一的には、多孔質内殖材料1224が接着された、ポスト1223等の1つ以上の部分(破線で図示)を有していてもよい。多孔質内殖材料1224が含まれている場合には、多孔質内殖材料1224も嵌合パーツ1220に熱接着され得る。
【0034】
ある場合には、整形外科インプラントを形成するパーツ間に追加的な接着力が所望されることがある。
図15、
図16Aおよび
図16Bを参照すると、本発明に基づき提供される整形外科インプラント1500の、別の例示的な実施形態が示されている。整形外科インプラント1500は、インプラント本体1510と、インプラント本体1510に熱接着された接着部1521を有する嵌合パーツ1520とを含んでいる。図示の嵌合パーツ1520は、上述した嵌合パーツ1220と同じであり、例えばポスト1523を有するポストアセンブリを有していてよい。
【0035】
特に
図16Aおよび
図16Bを参照すると、インプラント本体1510自体が拡大されて詳細に示されている。上述したインプラント本体と同様に、インプラント本体1510は、内部に形成された開口1512を備える表面1511を有している。嵌合パーツ1520の接着部1521は開口1512内に配置され、インプラント本体1510に熱接着される。一定の開口幅を画定する開口を備えて図示すると共に説明した、上述したインプラント本体とは異なり、開口1512は、底面1514から非垂直に延在していてよい複数の壁1513A,1513Bにより画定されており、したがって開口1512は、底面1514からの距離に基づき変化し得る、可変の開口幅OW4を画定している。壁1513Aは底面1514に続いていてよく、壁1513Bは壁1513Aに続いておりかつ開口1512が形成された表面1511を画定していてよい。
【0036】
開口幅OW4は、底面1514からの、実質的にゼロである第1の距離における第1の値であってよい、すなわち開口幅OW4の第1の値は、底面1514において規定される。第1の距離における開口幅OW4は、底面1514からの、第1の距離よりも大きな第2の距離における開口幅OW4よりも小さくてよい。このことは特に、壁1513Aが底面1514から離れるにつれて開口幅OW4が増大するように延在する
図16Aにおいて看取され得る。開口幅OW4は、壁1513A,1513Bが接する、底面1514からの第2の距離において最大値に増大してよい。次いで開口幅OW4は、第2の距離よりも大きくかつ底面1514からの距離が大きくなるにつれて開口幅OW4が減少するように延在する壁1513Bに相当する、底面1514からの第3の距離において減少してよい。壁1513A,1513Bの接点、すなわち、底面1514からの第2の距離と第3の距離との間の位置にはアンダカット1515が形成され得、アンダカット1515は、底面1514からの距離が増大するにつれ増大する開口幅OW4と、減少する開口幅OW4との間の移行領域を表す。
【0037】
インプラント本体1510にアンダカット1515を形成することは、嵌合パーツ1520とインプラント本体1510との熱接着中に形成される、機械的な固着部を可能にする。拡散接合中、例えば比較的高い温度および圧力に基づき、接着部1521の材料が大幅に液化すること無しに、嵌合パーツ1520の接着部1521から、材料がインプラント本体1510の壁1513A,1513B内へ変形しようとする。材料が壁1513A,1513B内へ変形すると、材料は形成済みのアンダカット1515を満たそうとする。アンダカット1515を過ぎて底面1514からさらに離れた所、すなわち表面1511により近づいた所では開口幅OW4が減少することに基づき、接着部1521からアンダカット1515内へ変形する材料は、接着部1521と壁1513Bとの間に締り嵌めを形成することになり、開口1512からの嵌合パーツ1520の引出しを、より困難にする。よって、インプラント本体1510にアンダカット1515を形成することにより、整形外科インプラント1500を、インプラント本体1510と嵌合パーツ1520との間の熱接着と機械的な固着の両方でもって形成し、インプラント本体1510と嵌合パーツ1520との間の接着を強化することが可能である。
【0038】
図17〜
図19を参照すると、本発明に基づき提供される整形外科インプラント1700の、別の例示的な実施形態が示されている。整形外科インプラント1700は、内部に形成された、幅が可変の開口1712を有する表面1711を備えたインプラント本体1710と、開口1712内に配置されかつインプラント本体1710に熱接着された接着部1721を有する嵌合パーツ1720とを含んでいる。嵌合パーツ1720は、上述した嵌合パーツ1220,1520と同じであり、ポスト1723を有するポストアセンブリを有していてよい。
【0039】
開口1712は、開口1712の底部を画定する底面1714から延在する複数の壁1713により画定されてよい。特に
図18に示すように、壁1713は、開口1712が、底面1714からの距離が増大するにつれ減少する開口幅OW5を規定するように、底面1714から延在していてよい。換言すると、開口幅OW5は、底面1714からの第1の距離において、底面1714からの、第1の距離よりも大きな第2の距離における開口幅OW5よりも大きくなっていてよい。開口幅OW5は、底面1714からの距離が増大するにつれて一定の率で、すなわち一定の角度で減少してよいか、または可変の率で減少してよい。
【0040】
特に
図18を参照すると、嵌合パーツ1720の接着部1721は、開口1712内に配置されると、少なくとも1つの壁1713に接触し得る、ということが示されている。図示のように、接着部1721と壁1713との間の接触部は、開口幅OW5が最小であってよいインプラント本体1710の表面1711に隣接していてよい。接着部1721は、一貫して一定の幅を規定していてよく、開口1712内に配置されると、壁1713からの可変の離間距離SDを規定することができる。可変の離間距離SDは例えば、終止点を含む0.005インチ〜0.020インチといった、0.0001インチ〜0.125インチの範囲内で変化し得る。可変の離間距離SDが、可変の開口幅OW5および接着部1721の一定の幅に基づくものとして図示されて説明されているのに対し、いくつかの実施形態では接着部1721が、接着部1721と壁1713との間の可変の離間距離を調整または供与する、可変の幅を有している。
【0041】
開口1712を画定する壁1713と接着部1721との間に可変の離間距離SDを設けることにより、熱接着中にインプラント本体1710と嵌合パーツ1720との間に、締り嵌めが形成され得る。特に嵌合パーツ1720がインプラント本体1710に熱接着された後の整形外科インプラント1700を示す
図19を参照すると、材料が、接着部1721から接着部1721と壁1713との間の隙間内へ変形して、接着部1721と壁1713との間の隙間を埋めている。底面1714からの距離が増大するにつれて、すなわち表面1711に向かって減少する、開口1712の開口幅OW5に基づき、接着部1721の変形した材料と、壁1713との間には締り嵌めが形成されており、このことは、開口1712からの嵌合パーツ1720の引出しを、より一層困難にする。離間距離SDを例えば0.125インチ以下に保つことにより、接着部1721の材料が壁1713に接触するように十分に変形して締り嵌めを形成することが保証される。よって整形外科インプラント1700は、インプラント本体1710に熱接着もされ、機械的に固着もされた嵌合パーツ1720を有しており、嵌合パーツ1720とインプラント本体1710との間の接着強度が高まっている。
【0042】
図20を参照すると、本発明に基づき提供される整形外科インプラント1500,1700を形成する方法2000の、1つの例示的な実施形態が示されている。方法2000には、嵌合パーツ1520,1720の接着部1521,1721を、インプラント本体1510,1710に形成された、可変の開口幅OW4,OW5を規定する開口1512,1712内に配置すること2001が含まれる。嵌合パーツ1520,1720をインプラント本体1510、1710に接着して整形外科インプラント1500,1700を形成するために、接着部1521,1721をインプラント本体1510,1710に熱接着する2002。いくつかの実施形態では、熱接着2002には拡散接合が含まれる。いくつかの実施形態では、インプラント本体1510は、上述したように内部に形成されたアンダカット1515を有しており、接着部1521の材料が熱接着2002中にアンダカット1515内へ流れ込んで、接着部1521と、開口1512を画定する壁1513A,1513Bとの間に締り嵌めを形成する。
【0043】
本発明を少なくとも1つの実施形態に関して説明してきたが、一方で本発明は、本開示の思想および範囲内でさらに変更されてもよい。したがって本出願は、その全般的な原理を用いた本発明のあらゆる変化形、使用または適合をカバーすることを意図したものである。さらに本出願は、本発明が属しかつ添付の請求項の範囲内の技術分野における周知または慣例の実地に含まれるような、本開示からの逸脱をもカバーすることを意図したものである。
【外国語明細書】