【課題を解決するための手段】
【0010】
このために、本明細書は、電池又はスーパーキャパシタ用の集電体の製造方法に関し、その製造方法は、金属要素とコーティングで被覆された金属ストリップとを接続する段階を含み、コーティングは、コーティング材料からなり、コーティング材料は、ストリップ材料とは異なり、接続する段階は、重なり合う表面上でのストリップと金属部材とを重ね合わせる段階、及び、重ね合わせ面を溶接するための線に沿って重ね合わせ面に対して超音波シーラーのソノトロードを超音波によって付ける段階を含む。
【0011】
進歩性の一環として、出願人は、現在の製造方法に興味があり、その最も重要な要素を以下に説明する。
【0012】
一般に、集電体は、5マイクロメートル(μm)から100μmの間、好ましくは6μmから20μmの間の厚さ(最小寸法に沿って測定される寸法)を有する金属ストリップから作られる。
【0013】
そのようなストリップに使用される材料は、例えば、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、チタン又はステンレス鋼である。
【0014】
好ましくは、この材料は、非鉄であり、アルミニウム及び銅が最も一般的な例である。
【0015】
アルミニウムストリップは、好ましくは冷間圧延によって製造され、銅ストリップは、電着によって得られる。
【0016】
ストリップは、集電体と電池の電極(カソード又はアノード)との間の界面として機能する少なくとも1つのコーティング層で被覆されている。コーティング層の組立体は、コーティングを形成する。ストリップを形成する金属材料は、コーティング用の基板の役割を果たす。
【0017】
コーティング層の機能は、特に、集電体と電極との間の界面における接着力及び接触抵抗の最適化である。コーティング層の他の主要な機能は、集電体の保護を可能にすることであり、集電体の腐食は、かなり広範囲に及ぶ現象である。
【0018】
コーティング層は、金属ストリップの片面又は両面、及び、各面の全部又は一部に付着させることができる。従って、「被覆される」という用語は、ストリップが完全に被覆される場合及びストリップが部分的に被覆される場合を包含する。
【0019】
コーティング層の特性、厚さ、パターン、化学組成が、面ごとに異なっていても、同じ面上でさえ異なっていてもよいことに留意すべきである。
【0020】
コーティングは、基板の材料とは異なる材料で作られる。
【0021】
特に、金属粒子がコーティング材料中に存在してもよい。
【0022】
そのような粒子は、任意の種類の形状を有し得る。好ましくは、粒子は、球形である。
【0023】
各粒子について、直径は、粒子の表面上の2点間の最大距離として定義される。
【0024】
直径は、例えば、レーザー粒度計技術によって測定される。
【0025】
レーザー回折粒子サイズ測定技術は、レーザー光線が分散粒子のサンプルを通過する際の散乱光強度の角度変化を測定することによって粒子サイズ分布を測定する。大きな粒子は、レーザー光線に対して小さな角度で光を散乱させ、小さな粒子は、より高い角度で光を散乱させる。
【0026】
第1の組成物C1の粒子のうち、各粒子の直径は、100ミクロン以下である。
【0027】
好ましくは、粒子は、ナノ粒子である。
【0028】
ナノ粒子は、各寸法が100ナノメートル未満の粒子である。
【0029】
化学組成に関しては、コーティング材料について多くの可能性が考えられる。
【0030】
コーティング材料は、例えば、導電材料を含む。
【0031】
導電材料には多くの材料を使用することができる:導電材料の例には、非限定的に、導電性カーボン、カーボンブラック、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、活性炭素繊維、未活性カーボンナノ繊維、金属フレーク、金属粉末、金属繊維、及び、導電性ポリマー又はそれらの混合物が含まれる。
【0032】
好ましくは、コーティング材料は、バインダー材料と導電性粒子とを含む。
【0033】
バインダー材料が電極に使用される材料に対して不活性である限り、多くの材料をバインダー材料に使用することができる。
【0034】
バインダー材料は、通常ポリマー材料であり、それは、それらの製造中のコーティングの取り扱いを容易にする。
【0035】
バインダーの例には、非限定的に、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン(PVF2又はPVDFとも呼ばれる)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDMとも呼ばれる)、ポリエチレンオキシド(PEOとも呼ばれる)、紫外線硬化性アクリレート、紫外線硬化性メタクリレート、熱硬化性ジビニルエーテル及びそれらの類似体が含まれる。
【0036】
他の適切なバインダー材料としては、カルボキシル基を有するポリマー及び架橋剤から選択されるポリマーなどの架橋ポリマーが挙げられる。
【0037】
より一般的には、バインダー材料は、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、エラストマー及びそれらの混合物から選択される1つ又は複数のポリマーからなる材料である。
【0038】
熱可塑性ポリマーの例としては、ポリオレフィン(ポリエチレン又はポリプロピレンを含む)などの脂肪族又は脂環式ビニルモノマーの重合から生じるポリマーを挙げることができる。ポリスチレンなどのビニル芳香族モノマーの重合から生じるポリマー、アクリルモノマー及び/又は(メタ)アクリレートの重合から誘導されるポリマー、ポリアミド、ポリエーテルケトン及びポリイミドもまたそうである。
【0039】
エポキシ樹脂、ポリウレタン又はポリエーテルポリオールと混合したポリエステル樹脂のような熱硬化性樹脂は、熱硬化性ポリマーの例である。
【0040】
実例として、エラストマーポリマーは、天然ゴム、合成ゴム、スチレン−ブタジエンコポリマー(SBRとも呼ばれる)及びエチレン−プロピレンコポリマー(EPMとも呼ばれる)又はシリコーンを含む。
【0041】
コーティング中のバインダー材料の含有量は、好ましくは30重量%以上である。
【0042】
一方、場合によっては、コーティングは、電子伝導性を向上させるために1つ又は複数の種類の導電性添加剤を含むことができる。
【0043】
導電性添加剤の例としては、導電性炭素、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、活性炭素繊維、未活性炭カーボンナノファイバー、金属フレーク、金属粉末、金属繊維及び導電性ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
存在する場合、導電性添加剤の量は、コーティングの10重量%より多い。
【0045】
コーティングは、10ナノメートル(nm)から100μmの間、好ましくは0.5μmから5μmの範囲の厚さを有する。
【0046】
コーティング層は、特にスクリーン印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、オフセット印刷又はインクジェット印刷を含む印刷方法によってストリップ上に堆積され、これは、金属粒子をベースとする組成物のコーティングを施すことを可能にする。
【0047】
この比較的薄い厚さのために、コーティングは、しばしば「フィルム」と呼ばれる。
【0048】
いくつかの場合において、コーティングは、基板の表面全体に広がる。しかしながら、有利には、コーティングは、基板の表面全体に広がるわけではない。実際、コーティングは、金属ストリップがその縁部領域又はシートの中央で被覆されないままであるように形成されてもよい。
【0049】
金属ストリップの一方の面上の被覆される領域と被覆されない領域との連続的な交互配置がパターンを画定する。ストリップの端の被覆されない領域は、マージンと呼ばれ、2つの被覆される領域で囲まれた被覆されない領域は、インターバンドと呼ばれる。マージンとインターバンドの幅は、可変である。
【0050】
集電体の製造のフレームにおいて、金属ストリップコイル、すなわちストリップロールが最初に製造される。次に、被覆されたストリップの製造は、基板(金属層)、すなわち連続的に巻き戻されている金属ストリップのコイルの表面上にコーティング層を連続的に堆積させることによって達成される。
【0051】
ストリップが被覆されたバンドと金属ストリップの両端に2つのマージンを有する場合、ストリップは、完成品と見なされる。逆に、1つ又は複数のインターバンドが存在する場合、ストリップは、半完成品であると見なされ、ストリップは、いくつかの完成品を生成することを目的としている。
【0052】
製品が完成品であろうと半完成品であろうと、集電コイルの長さが多様であるため、2つの製品の横方向の端部を機械的に接続できることが必要である。このような操作は、横スプライシングと呼ばれる。
【0053】
横スプライシング操作は、実際に発生する様々な場合に有用である。これらの場合の中で、金属ストリップコイルの長さが製品の予想される長さより短いか又は連続ストリップ機械の装填を確実にするための状況が言及されてもよく、この場合は、部品が品質基準に適合していないことによるストリップの一部を取り除き、コーティングの除去作業中の金属ストリップコイルの破損を取り除く必要性に対応する。他の場合は、完成品又は半完成品コイル(一般に「トレーラ」と呼ばれる)の端部で横方向端部に接続された、保護的又は審美的機能を有する、好ましくは被覆されない金属ストリップを加えることであるが、コイルの始端で横方向端部に接続された金属ストリップ(一般に「リーダー」と呼ばれる)もある。
【0054】
少なくとも1つが被覆される2つの金属ストリップを接続するためのそのような作業は、接続の品質の観点からだけでなく集電体の製造を通してその実施に関してもできるだけ有効であるべきである。
【0055】
金属ストリップを含むスプライシング操作を実行するためのいくつかの技術が存在する。
【0056】
最初に全ての面のコーティングの化学的、機械的又は他のアブレーションを行い、次いで、このようにして得られた金属ストリップの2つのストリップ部分の超音波溶接を行うことが知られている。
【0057】
しかしながら、そのような技術は、複数の問題を提起する。
【0058】
一方では、アブレーション操作は、スプライシング操作の有効性に悪影響を及ぼす機器及び操作様式の観点から重要な操作である。
【0059】
さらに、最も明白な選択肢、すなわち溶媒による化学的アブレーションは、汚染の危険性が大きく、従って、完成品又は半完成品の品質が低下する。一方、化学的アブレーションは、コーティングのいくつかの化学的性質にとって非効率的である。
【0060】
他の既知の技術は、接続されるべきストリップの各端部の一面又は二面に接着剤又は接着テープを貼り付けることである。この適用は、ストリップの長さに対して横方向に実施される。一方では、粘着テープの使用は、良好な機械的強度を確実にし、他方では、金属部品間の良好な電気的連続性を確実にする。
【0061】
しかしながら、この技術は、完成品及び半完成品の品質並びにそれらの変換の完全な実行可能性に影響を与えるいくつかの欠点を有する。実際には、スプライシング操作に接着剤を使用することは、面倒で複雑であり、従って、被覆されたストリップの製造作業に大きな影響を与える。欠陥は、以下に詳述されている。
【0062】
接着テープのほぼプラスチック基板の敷設中に加えられる張力及び堆積後のその自然な除去を考えると、縦方向のしわ欠陥が接続領域に現れる。
【0063】
さらに、場合によっては、接着ストリップの材料は、ストリップの製造に必要とされる耐熱性と両立せず、それは、スプライシング操作の後に実行される操作中に破損する危険性が高い。
【0064】
さらに、接着テープの材料が化学的に異物を表すので、他の操作の汚染の危険性がある。
【0065】
最後に、接着ストリップの厚さに対応する2つのストリップ間のスプライシング領域に余分な厚さが生じる。これは変更、特にストリップのエンボス加工の危険を冒す。
【0066】
このように、本出願人は、集電体の製造方法の改善が、実施がより簡単で金属要素と被覆された金属ストリップとの間の接続の質を改善する、金属要素とコーティングで被覆された金属ストリップとの間の接続方法を決定することを含むことを確認した。
【0067】
これにより、本出願人は、多くの代替案を試験することになった。
【0068】
特に、本出願人は、レーザー溶接、はんだ付けによる組み立て、磁気パルスの印加による溶接、レーザーアブレーションによる表面浸出、又は、超音波を適用することによる浸出を試験した。
【0069】
これらの試験のいずれも工業的見地から満足のいく接続方法をもたらさなかった。
【0070】
超音波溶接のみが、均質な接続、十分な引張強度を得ること、及び、本出願人によって試験された技術の問題を解決することを可能にする。
【0071】
特定の実施形態によれば、この製造方法は、単独で又は任意の技術的に実現可能な組み合わせで取られる以下の特徴のうちの1つ又は複数を含む:
−印加段階中、非金属材料とストリップとの間の溶接は、重ね合わせ面の少なくとも一部において達成される。
−重ね合わせる段階の間、重ね合わせストリップは、コーティングの少なくとも一部を含み、印加段階の間、超音波がソノトロードによって重ね合わせ表面に加えられる線は、コーティングの少なくとも一部を含む。
−金属ストリップは、被覆領域と名付けられた領域の少なくとも一部上にコーティングが被覆され、コーティングは、ストリップ上に被覆され、重ね合わせ段階の間、重ね合わせ表面は、コーティングされた領域の少なくとも一部を含む。
−コーティング材料は、ポリマー性のバインダー材料を含む。
−コーティング材料は、少なくとも粒子からなる。
−コーティング材料は、少なくともポリマー及び粒子を含む。
−コーティング材料は、少なくともポリマーと粒子とからなる。
−コーティング材料は、少なくともバインダー及び粒子を含む。
−コーティング材料は、少なくともバインダーと粒子とからなる。
−コーティング材料は、少なくともバインダー中に分散した粒子を含む。
−コーティング材料は、少なくともバインダー中に分散した粒子からなる。
−コーティング材料は、ポリマー性のバインダー材料を含む。
−はんだ付け工程の間、印加される超音波は、40キロヘルツから100キロヘルツの間の周波数を有する。
−ストリップは厚さを有し、ストリップの厚さは、5μmから20μmの間である。
−コーティングの厚さは、10nmから100μmである。
−ストリップは、パターンを形成する被覆された領域及び被覆されない領域の軸に沿って連続しており、従って、重ね合わせ面は、連続した被覆された領域及び被覆されない領域を有し、印加段階は、一連のパラメータによって特徴付けられ、印加段階が被覆された領域に関するものであり、印加段階が被覆されない領域に関する場合であるとき、一連のパラメータは異なる。
−この方法は、被覆された領域を検出する段階をさらに含む。
−金属要素は、金属ストリップ、被覆された金属ストリップ、又は、接点である。
【0072】
本明細書はまた、金属要素とコーティングで被覆された金属ストリップとを接続するためのデバイスを含み、コーティングされた金属ストリップが集電体を形成することを目的とするスプライシングベンチに関し、コーティング材料は、ストリップ材料とは異なり、デバイスは、コーティングされたストリップと金属部材とが重ね合わせ面に重畳された支持部材と、超音波を印加して線に沿って重ね合わせ面を溶接する清浄なソノトロードとを含む超音波溶接機とを備える。
【0073】
特定の実施形態によれば、スプライシングベンチは、ソノトロードの下に位置する領域の性質、外観及び構造の変化、特にコーティングの有無をリアルタイムで検出するためのセンサをさらに含む。
【0074】
本明細書はまた、上述の製造方法の実施後に得られる集電体に関する。
【0075】
本明細書はまた、前述のような集電体を備えるシステム、特に電池又はスーパーキャパシタに関する。