【解決手段】シート加工装置1は、加工部111の形成を可能とする加工可能状態と、加工部の形成を不可とする加工不可状態とを取る少なくとも1つの加工具20a,20b,21a,21b、22a、22b、23a、23bと、加工可能状態および加工不可状態に関する動作パラメータを設定する設定部13,14と、設定された動作パラメータに基づいて加工具の動作を制御する制御部6とを備え、設定部は、或るプレ成果物101において或る加工部を形成したあと次のプレ成果物において或る加工部と同種の次の加工部を形成する場合に加工具が加工可能状態を保持する加工可能状態保持処理を実行するべく、および/または、加工部を形成するための加工具の移動距離ができるだけ短くなるように加工具を選択する加工具選択処理を実行するべく、動作パラメータを設定する。
請求項1に記載のシート加工装置において、前記プレ成果物の周囲に余白が設けられるとき、前記設定部は、前記加工可能状態保持処理の実行により、前記余白において余白加工部を形成するように、前記動作パラメータを設定することを特徴とする、シート加工装置。
請求項2に記載のシート加工装置において、前記加工部および前記余白加工部が、搬送方向および/または搬送直交方向において直線状に延びていることを特徴とする、シート加工装置。
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のシート加工装置において、前記加工具が、搬送直交方向、搬送方向および搬送直交方向での逆C字状またはC字状の軌跡を描くように、シートに対して相対的に移動するとき、前記加工具が、前記シートの外側に位置することを特徴とする、シート加工装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながらシート加工装置1およびシート加工方法を説明するが、説明の都合上、
図1等に記載しているように、搬送方向Fの下流側を、「前方」又は単に「下流側」と呼んでいる。搬送方向Fの上流側を、「後方」又は単に「上流側」と呼んでいる。また、搬送経路10を挟んだ上下を、「上側」又は「下側」と呼んでいる。また、シート幅方向(搬送方向Fと直交する水平方向)を「左右方向」と呼び、後方から見た状態で「右方」と「左方」を規定している。また、この発明では、シートは、紙製シートはもちろん、樹脂製シートも含む。
【0017】
(シート加工装置の全体構成)
図1は、この発明の一実施形態に係るシート加工装置1の全体構成を模式的に説明する縦断面図である。このシート加工装置1は、供給装置7と、装置本体2と、裁断加工部5と、排出トレイ18と、表示設定部13と、外部設定部14とを備える。供給装置7は、積載された多数枚のシート100(シート束Q)からシート100を1枚ずつ搬送方向Fに送り出す。装置本体2は、供給装置7から送り出されたシート100を搬送しながら加工する。供給装置7から排出トレイ18に至る経路においては、複数個のローラ4と、上流側ローラ対5aおよび下流側ローラ対5bとからなる搬送手段によって、搬送経路10が形成されている。搬送経路10の途中に設けられたシート検出センサによって、搬送中のシート100の位置が適宜に検出される。
【0018】
供給装置7は、供給ユニット3と、吸着搬送機構8と、斜行搬送機構9と、を備えている。供給ユニット3は、多数枚のシート100が積載されるとともに昇降可能に構成された供給台30を備えている。供給台30は、供給台昇降モータを駆動源とする昇降装置を用いて電動で昇降する。供給台30の上限位置および下限位置は、それぞれ上限リミッタスイッチおよび下限リミッタスイッチによって検出されていて、当該リミッタスイッチは万が一のための安全装置として機能する。
【0019】
搬送経路10上には、供給装置7の側から順に(すなわち、上流側から下流側に向けて)、少なくとも1つの加工ユニットと裁断刃34とが設けられている。
図1に示した搬送経路10では、少なくとも、第1加工ユニット20、第2加工ユニット21および裁断刃34が、設けられている。裁断刃34は、搬送方向Fと直交する搬送直交方向(左右方向)にシート100を裁断する。シート加工装置1は、シート100の裁断によって発生する裁断屑を回収するためのゴミ箱11を装置本体2内の底部に有している。
【0020】
第1加工ユニット20、第2加工ユニット21および裁断刃34は、それぞれ、装置本体2に対して着脱自在なユニットとして設けられたり、装置本体2に対して固設されたりすることができる。それらがユニットとして用いる場合には、いずれの設置場所にも着脱自在であるように、外観上同じ寸法や形状を有するように構成される。また、第1加工ユニット20、第2加工ユニット21、および裁断刃34には、駆動手段(図示せず)が連結されている。なお、第1加工ユニット20および第2加工ユニット21は、2つの加工ユニットだけを意味するのでなく、少なくとも1つの加工ユニットを含む広い概念として規定される。加工ユニットとして、縦ミシン目加工用ユニット、横ミシン目加工用ユニット、縦スリット用ユニット、横スリット用ユニット、縦折り型(クリース)用ユニット、横折り型(クリース)用ユニット、丸め加工用ユニット、縦ハーフカットユニット、横ハーフカットユニット、縦加工ユニットまたは横加工ユニット等を例示することができる。縦加工ユニットおよび横加工ユニットは、刃物を一つずつ個別に付け替え可能となっている(例えば、一つの縦加工ユニットにおいては、ミシン目刃およびクリース刃などの異なる種類の刃物を取り付けたり、同じ種類の刃物を取り付けたりすることができる)。加工用途に応じて、これらの各種加工ユニットの中から必要とされる加工ユニットが選択され、選択された加工ユニットが装置本体2内での適宜の位置に組み込まれる。
【0021】
図5では、加工ユニットとして第1加工ユニット20が設けられており、
図6では、加工ユニットとして第1加工ユニット20および第2加工ユニット21が設けられている。第1加工ユニット20および第2加工ユニット21のそれぞれは、
図5および
図6に示すように、少なくとも1つの加工具を有する。例えば、加工部111としてのミシン目を形成するための加工具としては、搬送経路10を挟んでミシン目刃および受け刃ロールが用いられる。
【0022】
搬送経路10に対して上方に配置される加工具(上加工具)は、昇降駆動部によって駆動される昇降機構によって、上昇(離間)または下降(接触)するように構成されている。加工具は、幅方向駆動部によって駆動される幅方向移動機構によって、搬送直交方向(左右方向)に移動するように構成されている。
【0023】
加工具は、加工部111の形成を可能とする加工可能状態と、加工部111の形成を不可とする加工不可状態とを取るように構成されている。加工可能状態では、上加工具がシート100に接触する位置まで下降する。加工不可状態では、上加工具がシート100から離間する位置まで上昇する。
図3および
図4に示すように、加工不可状態では、仮想的には、加工不可部120が、シート100のプレ成果物101に形成されるが、現実的には何も形成されない。したがって、加工不可部120は、あくまでも仮想的なものであり、
図3および
図4においては二点鎖線で図示されている。
【0024】
裁断加工部5は、搬送方向Fと直交する搬送直交方向(左右方向)にシート100を裁断する裁断刃34と、裁断刃34に対して上流側に配置された上流側ローラ対5aと、裁断刃34に対して下流側に配置された下流側ローラ対5bとを備える。裁断刃34は、搬送経路10に対して上方に配置された可動刃と、搬送経路10に対して下方に配置された固定刃とから構成されている。可動刃および固定刃は、それぞれ、搬送直交方向に延びている。可動刃は、動力伝達機構を介して可動刃駆動モータ等の駆動源に連結されている。可動刃は、略水平方向に対して、刃先部から刃元部に行くに従って低くなるように傾斜しており、可動刃駆動モータ等の駆動力により、傾斜状態を保ちながら上下方向に平行移動する。可動刃が下降することによって、搬送方向Fに隣り合うプレ成果物101同士の境界部分や、搬送方向Fに隣り合うプレ成果物101,101の間にある余白102、最前方のプレ成果物の前方にある余白102、最後方のプレ成果物の後方にある余白102のような各種の余白102(いわゆるドブ)を裁断することによって成果物105を作成する。
【0025】
表示設定部13は、装置本体2に設けられている。表示設定部13は、装置本体2を動作させるための動作パラメータを入力して設定する設定機能と、装置本体2の動作状態に関する情報を表示する表示機能とを有する。したがって、表示設定部13は、動作パラメータを入力して設定する設定部として働く。また、表示設定部13は、情報を入力するための入力部と、入力内容や設定内容などを表示する表示部と、入力内容や設定内容に基づいて動作パラメータを演算して生成する演算部とを有する。
【0026】
外部設定部14は、情報を入力して、装置本体2を動作させる動作パラメータを設定する設定機能を有する機器である。外部設定部14は、動作パラメータを入力して設定する設定部として働く。外部設定部14は、装置本体2の外部に設けられて、例えば、デスクトップパソコン、ノートパソコン、タブレットPC、スマートフォンなどである。外部設定部14は、情報を入力するための入力部と、入力内容や設定内容などを表示する表示部と、入力内容や設定内容に基づいて動作パラメータを演算して生成する演算部とを有する。外部設定部14は、有線または公知の無線通信(例えば、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)など)によって、装置本体2を動作させるための各種データをやりとりする通信部を有する。また、外部設定部14は、後述する制御部6と同様の制御機能を有することもできる。
【0027】
(シート加工装置の電気的構成)
図2は、シート加工装置1の電気的構成を示すブロック図である。シート加工装置1は、シート加工装置1の各種動作を制御する制御部(CPU:中央演算処理装置)6を装置本体2に備えている。ROM(リードオンリーメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、EEPROM(電気的に消去書き込み可能なメモリ)、操作パネルのスイッチ類、メインモータなどの各種モータおよびシート位置検出センサなどの各種センサが、I/Oポートを介して、制御部6に接続されている。制御部6は、シート加工装置1の全体の動作を制御するとともに、シート100の搬送位置を制御したり、第1加工ユニット20および第2加工ユニット21の加工具や裁断加工部5での各種構成要素の動作を制御したりする。表示設定部13または外部設定部14では、各種の動作パラメータが設定登録されたり、エラー情報が報知されたりする。情報の報知というのは、表示設定部13における表示面での表示やスピーカによる音声告知である。表示設定部13には、一連のシート加工動作を開始するためのスタートボタンが設けられている。
【0028】
ユーザーが入力した加工情報に対して、加工部111の形成に要する時間をできるだけ短くするために、表示設定部13または外部設定部14は、余白加工部112を形成するように動作パラメータを自動的に設定する。ここで、加工部111の形成に要する時間とは、「加工部111を形成するために対応する搬送直交方向における位置に加工具を移動させるのに要する時間」+「加工具の状態を、加工可能状態または加工不可状態に切り替えるのに要する時間」である。
【0029】
(プレ成果物を有するシートに対して、加工部および余白加工部が形成される例について)
プレ成果物101を有するシート100に対して、加工部111および余白加工部112が形成される例について、
図3A、
図3B、
図3C、
図4A、
図4Bおよび
図4Cを参照しながら説明する。
【0030】
図3Aの例は、搬送直交方向に2つのプレ成果物101a,101b(101)を有するとともに、プレ成果物101a,101b(101)の搬送方向Fの上流側にそれぞれプレ成果物101c,101d(101)を有するシート100を例示している。
図3Aでは、プレ成果物101a,101b(101)においては、搬送方向Fに延びる加工部111a,111b(111)が、搬送方向Fの下流側および上流側のそれぞれに形成される。プレ成果物101a,101b(101)に形成される加工部111a,111b(111)は、例えば
図6に示す第1加工ユニット20の加工具20a,20bおよび第2加工ユニット21の加工具21a,21bによって加工される。このような加工部111a,111b(111)は、例えば、ミシン目やスリットや折り型(クリース)やハーフカットなどである。
【0031】
プレ成果物101c,101d(101)においては、搬送方向Fに延びる加工部111c,111d(111)が、搬送方向Fの下流側および上流側のそれぞれに形成される。プレ成果物101c,101d(101)のそれぞれに形成される加工部111c,111d(111)は、例えば
図6に示す第1加工ユニット20の加工具20a,20bおよび第2加工ユニット21の加工具21a,21bによって加工される。このような加工部111c,111d(111)は、例えば、ミシン目やスリットや折り型(クリース)やハーフカットなどである。
【0032】
前方の余白102aが、前方のプレ成果物101a,101b(101)の前方に配置されている。中間の余白102b(102)が、搬送方向Fに隣り合うプレ成果物101a,101bと101c,101d(101)との間にそれぞれ配置されている。後方の余白102c(102)が、後方のプレ成果物101c,101d(101)の後方に配置されている。中間の余白102b(102)を挟んで搬送方向Fの下流側および上流側のそれぞれに形成される加工部111b,111c(111)が、同じ種類の加工である場合、加工部111b,111c(111)と同じ加工種類の余白加工部112b(112)を中間の余白102b(102)に形成するように、動作パラメータが設定される。
【0033】
すなわち、プレ成果物101a,101b(101)のそれぞれに形成される加工部111b(111)と、中間の余白102b(102)に形成される余白加工部112b(112)と、プレ成果物101c,101d(101)のそれぞれに形成される加工部111c(111)とが、同じ種類の加工であり、一体的にかつ連続的に搬送方向Fに延びるように、動作パラメータが設定される。これにより、加工部111b(111)と、余白加工部112b(112)と、加工部111c(111)との間で、連続加工部110b(110)が形成される。当該連続加工部110b(110)は、搬送方向Fに直線状に延びている。
【0034】
前方のプレ成果物101a,101b(101)のそれぞれに形成される加工部111a(111)と同じ加工種類の余白加工部112a(112)を前方の余白102a(102)に形成するように、動作パラメータが設定される。すなわち、前方のプレ成果物101a,101b(101)に形成される加工部111aと、前方の余白102a(102)に形成される余白加工部112a(112)とが、同じ種類の加工であり、一体的にかつ連続的に搬送方向Fに延びるように、動作パラメータが設定される。これにより、加工部111a(111)と余白加工部112a(112)との間で、連続加工部110a(110)が形成される。当該連続加工部110a(110)は、搬送方向Fに直線状に延びている。
【0035】
後方のプレ成果物101c,101d(101)のそれぞれに形成される加工部111d(111)と同じ加工種類の余白加工部112c(112)を後方の余白102c(102)に形成するように、動作パラメータが設定される。すなわち、後方のプレ成果物101c,101d(101)に形成される加工部111d(111)と、後方の余白102c(102)に形成される余白加工部112c(112)とが、同じ種類の加工であり、一体的にかつ連続的に搬送方向Fに延びるように、動作パラメータが設定される。これにより、加工部111d(111)と余白加工部112c(112)との間で、連続加工部110c(110)が形成される。当該連続加工部110c(110)は、搬送方向Fに直線状に延びている。
【0036】
以上のように、例えば、加工部111b(111)と余白加工部112b(112)と加工部111c(111)とが連続的に形成されることにより、加工具の昇降動作時間、シート100の搬送停止・搬送再開の時間が省略できるため、加工具の移動時間が短くなり、加工に要する時間をできるだけ短くできる。また、加工部111b(111)と余白加工部112b(112)と加工部111c(111)とを含む連続加工部110a(110)の加工長が、搬送方向Fに直線状に延びることで最短になるので、加工に要する時間をできるだけ短くできる。連続加工部110a,110c(110)についても同様である。
【0037】
図3Aの例では、加工具が余白102a,102b,102c(102)のそれぞれに位置するときでも、加工具が加工可能状態を保持する(すなわち、加工可能状態保持処理を行う)ように制御される。加工可能状態保持処理では、例えば、或るプレ成果物(前方のプレ成果物)101a,101b(101)において或る加工部(上流側の加工部)111b(111)を形成したあと次のプレ成果物(後方のプレ成果物)101c,101d(101)において或る加工部(上流側の加工部)111b(111)と同種の次の加工部(下流側の加工部)111c(111)を形成する場合、加工具が加工可能状態を保持するように制御される。これにより、加工具が、中間の余白102b(102)において加工不可状態および加工可能状態という2つの状態を取ることが不要になり、加工具の昇降動作時間、シート100の搬送停止・搬送再開の時間が省略できるため、加工に要する時間を短くできる。なお、或る加工部(上流側の加工部)111b(111)と次の加工部(下流側の加工部)111c(111)とが同種というのは、或る加工部(上流側の加工部)111b(111)がミシン目であれば、次の加工部(下流側の加工部)111c(111)もミシン目であることを意味する。余白102a,102c(102)についても同様である。
【0038】
図3Aの例は、複数枚のシート100を連続的に加工するときの最初のシート100および最後のシート100を除いた中間的なシート100に対する加工に対応する。
図3Aの例は、例えば、5枚のシート100を連続的に加工するときの2枚目から4枚目のシート100に該当する。1枚目のシート100の後方のプレ成果物101c,101d(101)の後方において余白加工部112c(112)を形成することに続いて、2枚目のシート100の前方のプレ成果物101a,101b(101)の前方において余白加工部112a(112)を形成することを意味する。1枚目のシート100の加工から2枚目のシート100の加工に移るとき、加工具が加工可能状態を保持する(すなわち、加工可能状態保持処理を行う)ように制御される。これにより、加工具が、前方の余白102a(102)および後方の余白102c(102)において加工不可状態および加工可能状態という2つの状態を取ることが不要になり、加工具の昇降動作時間、シート100の搬送停止・搬送再開の時間が省略できるため、加工に要する時間を短くできる。
【0039】
図3Bの例は、
図3Aの例との比較で、前方の余白102a(102)に余白加工部112a(112)が形成されていないとともに、後方の余白102c(102)に余白加工部112c(112)が形成されていないことが相違している。
図3Bの例は、
図3Aの例に比べて加工時間は長くなるが、従来の加工時間に比べると短い。
図3Bの例は、
図3Aの例に比べ、加工距離が短いため、加工具の摩耗を抑制して、加工具の寿命を延ばすという効果を有する。
【0040】
図3Cの例では、搬送直交方向(左右方向)に沿って延びる加工部111h,111i(111)が、それぞれ、各プレ成果物101a,101c(101)での搬送直交方向の左側および右側に形成され、搬送直交方向(左右方向)に沿って延びる加工部111j,111k(111)が、それぞれ、各プレ成果物101b,101d(101)での搬送直交方向の左側および右側に形成される。加工部111h,111i,111j,111k(111)を搬送直交方向に沿って形成するために、搬送を停止した状態で、加工具が搬送直交方向(左右方向)に移動する。
【0041】
左方の余白102h(102)が、左方のプレ成果物101a,101c(101)の左方に配置されている。中間の余白102i(102)が、搬送直交方向に隣り合うプレ成果物101a,101c(101)と101b,101d(101)との間に配置されている。右方の余白102j(102)が、右方のプレ成果物101b,101d(101)の右方に配置されている。中間の余白102i(102)を挟んで搬送直交方向の左側および右側のそれぞれに形成される加工部111i,111j(111)が、同じ種類の加工である場合、加工部111i,111j(111)と同じ加工種類の余白加工部112i(112)を中間の余白102i(102)に形成するように、動作パラメータが設定される。
【0042】
すなわち、プレ成果物101a,101c(101)のそれぞれに形成される加工部111i(111)と、中間の余白102i(102)に形成される余白加工部112i(112)と、プレ成果物101b,101d(101)のそれぞれに形成される加工部111j(111)とが、同じ種類の加工であり、一体的にかつ連続的に搬送直交方向に延びるように、動作パラメータが設定される。これにより、加工部111i(111)と、余白加工部112i(112)と、加工部111j(111)との間で、連続加工部110i(110)が形成される。当該連続加工部110i(110)は、搬送直交方向に直線状に延びている。
【0043】
左方のプレ成果物101a,101c(101)のそれぞれに形成される加工部111h(111)と同じ加工種類の余白加工部112h(112)を左方の余白102h(102)に形成するように、動作パラメータが設定される。すなわち、左方のプレ成果物101a,101c(101)に形成される加工部111h(111)と、左方の余白102h(102)に形成される余白加工部112h(112)とが、同じ種類の加工であり、一体的にかつ連続的に搬送直交方向に延びるように、動作パラメータが設定される。これにより、加工部111h(111)と余白加工部112h(112)との間で、連続加工部110h(110)が形成される。当該連続加工部110h(110)は、搬送直交方向に直線状に延びている。
【0044】
右方のプレ成果物101b,101d(101)のそれぞれに形成される加工部111k(111)と同じ加工種類の余白加工部112j(112)を右方の余白102j(102)に形成するように、動作パラメータが設定される。すなわち、右方のプレ成果物101b,101d(101)に形成される加工部111k(111)と、右方の余白102j(102)に形成される余白加工部112j(112)とが、同じ種類の加工であり、一体的にかつ連続的に搬送直交方向に延びるように、動作パラメータが設定される。これにより、加工部111k(111)と余白加工部112j(112)との間で、連続加工部110k(110)が形成される。当該連続加工部110k(110)は、搬送直交方向に直線状に延びている。
【0045】
以上のように、例えば、加工部111i(111)と余白加工部112i(112)と加工部111j(111)とが連続的に形成されることにより、加工具の昇降動作時間、シート100の搬送停止・搬送再開の時間が省略できるため、加工に要する時間をできるだけ短くできる。また、加工部111i(111)と余白加工部112i(112)と加工部111j(111)とを含む連続加工部110i(110)の加工長が、搬送直交方向に直線状に延びることで最短になるので、加工に要する時間をできるだけ短くできる。連続加工部110h,110k(110)についても同様である。
【0046】
図3Cの例では、加工具が余白102h,102i,102j(102)のそれぞれに位置するときでも、加工具が加工可能状態を保持する(すなわち、加工可能状態保持処理を行う)ように制御される。加工可能状態保持処理では、例えば、或るプレ成果物(左方のプレ成果物)101a,101c(101)において或る加工部(右側の加工部)111i(111)を形成したあと次のプレ成果物(右方のプレ成果物)101b,101d(101)において或る加工部(右側の加工部)111i(111)と同種の次の加工部(左側の加工部)111j(111)を形成する場合、加工具が加工可能状態を保持するように制御される。これにより、加工具が、中間の余白102i(102)において加工不可状態および加工可能状態という2つの状態を取ることが不要になり、加工具の昇降動作時間、シート100の搬送停止・搬送再開の時間が省略できるため、加工に要する時間を短くできる。なお、或る加工部(右側の加工部)111i(111)と次の加工部(左側の加工部)111j(111)とが同種というのは、或る加工部(右側の加工部)111i(111)がミシン目であれば、次の加工部(左側の加工部)111j(111)もミシン目であることを意味する。余白102h,102j(102)についても同様である。
【0047】
図4Aの例では、
図3Cの例との比較で、1つの加工具を使って、搬送方向Fの下流側に位置する左前方の余白加工部112h(112)、加工部111h(111)、加工部111i(111)、余白加工部112i(112)、加工部111j(111)、加工部111k(111)、余白加工部112j(112)の順に加工し、搬送方向Fの下流側に位置する右前方の余白加工部112j(112)を形成したあと、搬送方向Fの上流側に位置する右後方の余白加工部112j(112)を形成するように、動作パラメータが設定される。
【0048】
或る1つの加工具を使って、搬送方向Fの下流側に位置するプレ成果物101b(101)と、搬送方向Fの上流側に位置する次のプレ成果物101d(101)との加工を考える。例えば、搬送直交方向の左方から右方に加工するとき、搬送方向Fの下流側に位置する右前方の余白加工部112j(112)を形成したあと、搬送方向Fの上流側に位置する左後方の余白加工部112h(112)を形成することができる。このとき、加工具を加工不可状態で右前方から左後方に移動させることになるので、加工具を移動させるための時間がかかるため、加工に要する時間が長くなってしまう。
【0049】
そこで、搬送方向Fの下流側に位置する右前方の余白加工部112j(112)を形成したあと、搬送方向Fの上流側に位置する右後方の余白加工部112j(112)を形成するように、動作パラメータが設定される。このとき、加工具は、搬送直交方向の右側への軌跡と、搬送方向Fの上流側への軌跡と搬送直交方向の左側への軌跡とからなる、平面視で逆C字状の軌跡を描くようにシート100に対して相対的に移動する。当該移動のとき、加工具が、加工可能状態でシート100の右外側に位置する。これによって、余白外加工部113がシート100の外側に形成される。
図4Aの例では、余白外加工部113が、シート100の外側において逆C字状に形成されるように図示されているが、或る1つの加工具が、シート100の外側に位置するため、現実的には、何かがシート100に形成されることはない。したがって、余白外加工部113は、仮想的なものである。加工具が加工可能状態で右前方の余白加工部112j(112)から次の右後方の余白加工部112j(112)に向けて平面視で逆C字状の軌跡を描くように制御することによって、加工具の移動距離が短くなり、加工具の反転移動が容易になるので、加工に要する時間を短くできる。
【0050】
また、1つの加工具を使って、搬送方向Fの下流側に位置する右前方の余白加工部112j(112)、加工部111k(111)、加工部111j(111)、余白加工部112i(112)、加工部111i(111)、加工部111h(111)、余白加工部112h(112)の順に加工し、搬送方向Fの下流側に位置する左前方の余白加工部112h(112)を形成したあと、搬送方向Fの上流側に位置する左後方の余白加工部112h(112)を形成するために、シート100の左外側において加工具が平面視でC字状の軌跡を描くように、シート100に対する加工具の相対的な移動を制御することもできる。さらに、加工具が、シート100の右外側において平面視で逆C字状の軌跡を描くとともに、シート100の左外側において平面視でC字状の軌跡を描くように、シート100に対する加工具の相対的な移動を制御することもできる。
【0051】
図4Bの例では、各プレ成果物101a,101b,101c,101d(101)において、搬送方向Fに対して斜めに延びる加工部111s,111t(111)が、搬送方向Fの下流側および上流側のそれぞれにおいて対角で形成される。斜めに延びる加工部111s,111t(111)は、シート100の搬送方向Fへの搬送と、加工具の搬送直交方向への移動を同時に行うように制御することによって形成される。
【0052】
前方のプレ成果物101a,101b(101)の前方に位置する前方の余白102a(102)において、前方のプレ成果物101a,101b(101)のそれぞれに形成される下流側の加工部111s(111)と同じ加工種類の余白加工部112s(112)が形成されるように、動作パラメータが設定される。すなわち、前方のプレ成果物101a,101b(101)に形成される下流側の加工部111s(111)と、前方の余白102a(102)に形成される余白加工部112s(112)とが、同じ種類の加工であり、一体的にかつ連続的に斜めに延びるように、動作パラメータが設定される。これにより、下流側の加工部111s(111)と余白加工部112s(112)との間で、連続加工部110s(110)が形成される。当該連続加工部110s(110)は、搬送方向Fに対して斜めに直線状に延びている。
【0053】
対角に位置するプレ成果物101a,101d(101)の間にある中間交差の余白102t(102)において、プレ成果物101a,101d(101)のそれぞれに形成される加工部111t,111s(111)が同じ種類の加工である場合、プレ成果物101a,101d(101)のそれぞれに形成される加工部111t,111s(111)と同じ加工種類の余白加工部112t(112)が形成されるように、動作パラメータが設定される。すなわち、プレ成果物101a(101)に形成される上流側の加工部111t(111)と、中間交差の余白102t(102)に形成される余白加工部112t(112)と、プレ成果物101d(101)に形成される下流側の加工部111s(111)とが、同じ種類の加工であり、一体的にかつ連続的に斜めに(具体的には、対角方向に)延びるように、動作パラメータが設定される。これにより、上流側の加工部111t(111)と余白加工部112t(112)と下流側の加工部111s(111)との間で、連続加工部110t(110)が形成される。当該連続加工部110t(110)は、搬送方向Fに対して斜めに直線状に延びている。
【0054】
左後方のプレ成果物101c(101)の左方に位置する左方の余白102h(102)において、左後方のプレ成果物101c(101)に形成される下流側の加工部111s(111)と同じ加工種類の余白加工部112w(112)が形成されるように、動作パラメータが設定される。すなわち、左後方のプレ成果物101c(101)に形成される下流側の加工部111s(111)と、左方の余白102h(102)に形成される余白加工部112w(112)とが、同じ種類の加工であり、一体的にかつ連続的に斜めに延びるように、動作パラメータが設定される。これにより、下流側の加工部111s(111)と余白加工部112w(112)との間で、連続加工部110w(110)が形成される。当該連続加工部110w(110)は、搬送方向Fに対して斜めに直線状に延びている。
【0055】
右前方のプレ成果物101b(101)の右方に位置する右方の余白102j(102)において、右前方のプレ成果物101b(101)に形成される上流側の加工部111t(111)と同じ加工種類の余白加工部112v(112)が形成されるように、動作パラメータが設定される。すなわち、右前方のプレ成果物101b(101)に形成される上流側の加工部111t(111)と、右方の余白102j(102)に形成される余白加工部112v(112)とが、同じ種類の加工であり、一体的にかつ連続的に斜めに延びるように、動作パラメータが設定される。これにより、上流側の加工部111t(111)と余白加工部112v(112)との間で、連続加工部110v(110)が形成される。当該連続加工部110v(110)は、搬送方向Fに対して斜めに直線状に延びている。
【0056】
後方のプレ成果物101c,101d(101)の後方に位置する後方の余白102c(102)において、後方のプレ成果物101c,101d(101)のそれぞれに形成される加工部111t(111)と同じ加工種類の余白加工部112u(112)が形成されるように、動作パラメータが設定される。すなわち、後方のプレ成果物101c,101d(101)に形成される上流側の加工部111t(111)と、後方の余白102c(102)に形成される余白加工部112u(112)とが、同じ種類の加工であり、一体的にかつ連続的に斜めに延びるように、動作パラメータが設定される。これにより、上流側の加工部111t(111)と余白加工部112u(112)との間で、連続加工部110u(110)が形成される。当該連続加工部110u(110)は、搬送方向Fに対して斜めに直線状に延びている。
【0057】
以上のように、例えば、上流側の加工部111t(111)と余白加工部112t(112)と下流側の加工部111s(111)とが連続的に形成されることにより、加工具の昇降動作時間、シート100の搬送停止・搬送再開の時間が省略できるため、加工に要する時間をできるだけ短くできる。また、上流側の加工部111t(111)と余白加工部112t(112)と下流側の加工部111s(111)とを含む連続加工部110t(110)の加工長が、搬送方向Fに対して斜めに直線状に延びることで最短になるので、加工に要する時間をできるだけ短くできる。連続加工部110s,110v,110w,110u(110)についても同様である。
【0058】
図4Cの例では、
図3Aの例との比較で、搬送方向Fおよび搬送直交方向において隣り合うプレ成果物101a,101b,101c,101d(101)の間には、余白102b,102i(102)が、シート100に設けられていない。そのため、前方のプレ成果物101a,101b(101)における加工部111b(111)と、後方のプレ成果物101c,101d(101)における加工部111c(111)とが、連結されて形成されるように、動作パラメータが設定される。
【0059】
すなわち、前方のプレ成果物101a,101b(101)の搬送方向Fの上流側に形成される加工部111b(111)と、後方のプレ成果物101c,101d(101)の搬送方向Fの下流側に形成される加工部111c(111)とが、同じ種類の加工である場合、前方のプレ成果物101a,101b(101)の搬送方向Fの上流側に形成される加工部111b(111)と、後方のプレ成果物101c,101d(101)の搬送方向Fの下流側に形成される加工部111c(111)とが、同じ種類の加工であり、一体的にかつ連続的に搬送方向Fに延びるように、動作パラメータが設定される。これにより、前方のプレ成果物101a,101b(101)の上流側の加工部111b(111)と、後方のプレ成果物101c,101d(101)の下流側の加工部111c(111)とが直接的に連結される連続加工部110b(110)が形成される。当該連続加工部110b(110)は、搬送方向Fに直線状に延びている。
【0060】
上流側の加工部111b(111)と下流側の加工部111c(111)とを連結する連続加工部110b(110)の加工長が、搬送方向Fに直線状に延びることで最短になるので、加工に要する時間をできるだけ短くできる。
【0061】
以上のことをまとめると、或るプレ成果物101において或る加工部111を形成したあと次のプレ成果物101において或る加工部111と同種の次の加工部111を形成する場合に加工可能状態を保持することによって、加工に要する時間をできるだけ短くできる。言い換えると、余白102に余白加工部112を形成することにより、加工具の昇降動作時間、シート100の搬送停止・搬送再開の時間が省略でき、加工具の移動時間が短くなるため、加工に要する時間をできるだけ短くできる。
【0062】
シート100が加工具に達する前に、余白102がシート100から切り落とされている場合がある。この場合、余白102となる部分が存在しない状態でのシート100に対して、ミシン目加工などの各種加工が行われる。このような場合でも、隣り合うプレ成果物101の加工部111が同じ種類の加工でありかつ加工部111が直線状であるという条件を満たせば、余白102に相当する部分に対して、加工具が加工可能状態を保持する(すなわち、加工可能状態保持処理を行う)ように制御される。これにより、加工具が、余白102に相当する部分において加工不可状態および加工可能状態という2つの状態を取ることが不要になり、加工具の昇降動作時間、シート100の搬送停止・搬送再開の時間が省略できるため、加工に要する時間を短くできる。
【0063】
(加工具選択の例について)
加工具を選択する例について、
図5、
図6、
図14および
図15を参照しながら説明する。
図5、
図6、
図14および
図15において、黒塗りの菱形や丸形や三角形は、選択された加工具を示し、白抜きの菱形や丸形や三角形は、選択されない加工具を示す。例えば、菱形の加工具は、ミシン目加工用の対応加工具を示しており、丸形の加工具は、クリース加工用の対応加工具を示しており、三角形の加工具は、ハーフカット用の対応加工具を示している。また、ミシン目の加工部111または連続加工部110が破線で示され、クリースの加工部111または連続加工部110が一点鎖線で示され、ハーフカットの加工部111または連続加工部110が二点鎖線で示されている。
【0064】
図5では、加工ユニットとしての第1加工ユニット20が、搬送方向Fに単列で配設されている。
【0065】
図5の(A)は、例えば、第1加工ユニット20において、2つの加工具20a,20bが、搬送直交方向の左側および右側にそれぞれ配設されて、搬送直交方向の左側に2つのミシン目の加工部111または連続加工部110をシート100に形成する場合に、加工具20a,20bをどのように選択するかの例を示している。第1加工ユニット20における2つの加工具20a,20bは、縦ミシン目加工用の対応加工具であって、複数個の縦ミシン目加工用の対応加工具を含む対応加工具群を構成する。
【0066】
形成すべき2つの加工部111または連続加工部110が、搬送直交方向の左側に片寄っているとともに搬送方向Fにずれているため、搬送直交方向の左側に位置する第1加工具20aが選択される。搬送直交方向の左側に位置する第1加工具20aが、中央寄りに移動すること(
図5の(A)において破線で示される)によって、搬送方向Fの下流側であり且つ搬送直交方向の中央寄りの加工部111または連続加工部110が形成される。そのあと、第1加工具20aが搬送直交方向の左側に移動すること(
図5の(A)において実線で示される)によって、搬送方向Fの上流側であり且つ搬送直交方向の左側の加工部111または連続加工部110が形成される。当該構成によれば、複数個の対応加工具20a,20b(すなわち対応加工具群)の中から、搬送直交方向における加工具の移動距離または移動時間をできるだけ短くするのに最適な加工具20aが選択されることにより、加工に要する時間をできるだけ短くできる。
【0067】
図5の(B)は、例えば、第1加工ユニット20の2つの加工具20a,20bが、搬送直交方向の左側および右側のそれぞれに配設されて、搬送直交方向の左側および右側のそれぞれに1つのミシン目の加工部111または連続加工部110をシート100に形成する場合に、加工具20a,20bをどのように選択するかの例を示している。第1加工ユニット20における2つの加工具20a,20bは、縦ミシン目加工用の対応加工具であって、複数個の縦ミシン目加工用の対応加工具を含む対応加工具群を構成する。
【0068】
形成すべき2つの加工部111または連続加工部110が、搬送直交方向の左側および右側のそれぞれに位置するため、搬送直交方向の左側に位置する第1加工具20aと、搬送直交方向の右側に位置する第2加工具20bとが選択される。
【0069】
搬送直交方向の右側に位置する第2加工具20bが、形成すべき加工部111または連続加工部110に対応する位置に移動することによって、搬送方向Fの下流側であり且つ搬送直交方向の右側の加工部111または連続加工部110が形成される。また、搬送直交方向の左側に位置する第1加工具20aが、形成すべき加工部111または連続加工部110に対応する位置に移動することによって、搬送方向Fの上流側であり且つ搬送直交方向の左側の加工部111または連続加工部110が形成される。当該構成によれば、複数個の対応加工具20a,20b(すなわち対応加工具群)の中から、搬送直交方向における加工具の移動距離または移動時間をできるだけ短くするのに最適な加工具20a,20bが選択されることにより、加工に要する時間をできるだけ短くできる。
【0070】
図6では、加工ユニットとしての第1加工ユニット20および第2加工ユニット21が、搬送方向Fに2列(すなわち複数列)で配設されている。
【0071】
図6の(A)は、例えば、第1加工ユニット20の第1加工具20aと第2加工ユニット21の第3加工具21aとが搬送直交方向の左側に配設されるとともに、第1加工ユニット20の第2加工具20bと第2加工ユニット21の第4加工具21bとが搬送直交方向の右側に配設されて、搬送直交方向の左側に2つのミシン目の加工部111または連続加工部110をシート100に形成する場合に、加工具20a,20b,21a,21bをどのように選択するかの例を示している。第1加工ユニット20における2つの加工具20a,20bと第2加工ユニット21における2つの加工具21a,21bとは、縦ミシン目加工用の対応加工具であって、複数個の縦ミシン目加工用の対応加工具を含む対応加工具群を構成する。
【0072】
形成すべき2つの加工部111または連続加工部110が、搬送直交方向の左側に片寄っているとともに搬送方向Fにずれているため、搬送直交方向の左側に位置する加工具20a,21aが選択される。
【0073】
初期位置では搬送直交方向の左側に位置する第3加工具21aが、中央寄りに移動することによって、搬送方向Fの下流側であり且つ搬送直交方向の中央寄りの加工部111または連続加工部110が形成される。また、第1加工具20aが、形成すべき加工部111または連続加工部110に対応する位置に移動することによって、搬送方向Fの上流側であり且つ搬送直交方向の左側の加工部111または連続加工部110が形成される。したがって、搬送直交方向の左側に位置する加工具20a,21aが選択されて、搬送直交方向の右側に位置する加工具20b,21bは、選択されない。当該構成によれば、複数個の対応加工具20a,20b,21a,21b(すなわち対応加工具群)の中から、搬送直交方向における加工具の移動距離または移動時間をできるだけ短くするのに最適な加工具20a,21aが選択されることにより、加工に要する時間をできるだけ短くできる。異なる列の加工具を選択することによって、或る加工具で加工を行っている間に、別の列にある別の加工具が所定位置に移動できるので、トータルの加工時間を短くできる。また、同じ列にある加工具同士の移動が干渉することを防止できる。
【0074】
図6の(B)は、例えば、第1加工ユニット20の第1加工具20aと第2加工ユニット21の第3加工具21aとが搬送直交方向の左側に配設されるとともに、第1加工ユニット20の第2加工具20bと第2加工ユニット21の第4加工具21bとが搬送直交方向の右側に配設されて、搬送直交方向の左側に2つのミシン目の加工部111または連続加工部110と搬送直交方向の右側に1つのミシン目の加工部111または連続加工部110とをシート100に形成する場合に、加工具20a,20b,21a,21bをどのように選択するかの例を示している。第1加工ユニット20における2つの加工具20a,20bと、第2加工ユニット21における2つの加工具21a,21bとは、ミシン目加工用の対応加工具であって、複数個のミシン目加工用の対応加工具を含む対応加工具群を構成する。
【0075】
形成すべき2つの加工部111または連続加工部110が、搬送直交方向の左側に位置するとともに搬送方向Fにずれているため、搬送直交方向の左側に位置する加工具20a,21aが選択される。形成すべき1つの加工部111または連続加工部110が、搬送直交方向の右側に位置するとともに搬送方向Fにずれているため、搬送直交方向の右側に位置する第2加工具20bが選択される。なお、この場合、第2加工具20bに代えて、第4加工具21bを選択することも可能である。
【0076】
第1加工ユニット20の第2加工具20bが、形成すべき加工部111または連続加工部110に対応する位置に移動することによって、搬送方向Fの下流側であり且つ搬送直交方向の右側の加工部111または連続加工部110が形成される。また、初期位置では搬送直交方向の左側に位置する第2加工ユニット21の第3加工具21aが、中央寄りに移動することによって、搬送方向Fの下流側であり且つ搬送直交方向の中央寄りの加工部111または連続加工部110が形成される。そして、第1加工ユニット20の第1加工具20aが、形成すべき加工部111または連続加工部110に対応する位置に移動することによって、搬送方向Fの上流側であり且つ搬送直交方向の左側の加工部111または連続加工部110が形成される。したがって、第1加工ユニット20の加工具20a,20bと第2加工ユニット21の第3加工具21aとが選択されて、第2加工ユニット21の第4加工具21bは選択されない。当該構成によれば、複数個の対応加工具20a,20b,21a,21b(すなわち対応加工具群)の中から、搬送直交方向における加工具の移動距離または移動時間をできるだけ短くするのに最適な加工具20a,20b,21aが選択されることにより、加工に要する時間をできるだけ短くできる。異なる列の加工具を選択することによって、或る加工具で加工を行っている間に、別の列にある別の加工具が所定位置に移動できるので、トータルの加工時間を短くできる。また、同じ列にある加工具同士の移動が干渉することを防止できる。
【0077】
図6の(C)は、例えば、第1加工ユニット20の第1加工具20aと第2加工ユニット21の第3加工具21aとが搬送直交方向の左側に配設されるとともに第1加工ユニット20の第2加工具20bと第2加工ユニット21の第4加工具21bとが搬送直交方向の右側に配設されて、搬送直交方向の左側に1つのミシン目の加工部111または連続加工部110と搬送直交方向の右側に1つのミシン目の加工部111または連続加工部110とをシート100に形成する場合に、加工具20a,20b,21a,21bをどのように選択するかの例を示している。第1加工ユニット20における2つの加工具20a,20bと第2加工ユニット21における2つの加工具21a,21bとは、縦ミシン目加工用の対応加工具であって、複数個の縦ミシン目加工用の対応加工具を含む対応加工具群を構成する。
【0078】
形成すべき1つの加工部111または連続加工部110が、搬送直交方向の左側に位置するとともに搬送方向Fの上流側に位置するため、搬送直交方向の左側に位置する第1加工具20aが選択される。形成すべき1つの加工部111または連続加工部110が、搬送直交方向の右側に位置するとともに搬送方向Fの下流側に位置するため、搬送直交方向の右側に位置する第2加工具20bが選択される。なお、第1加工具20aに代えて、第3加工具21aを選択することも可能である。また、第2加工具20bに代えて、第4加工具21bを選択することも可能である。
【0079】
第1加工ユニット20の第2加工具20bが、形成すべき加工部111または連続加工部110に対応する位置に移動することによって、搬送方向Fの下流側であり且つ搬送直交方向の右側の加工部111または連続加工部110が形成される。また、第1加工ユニット20の第1加工具20aが、形成すべき加工部111または連続加工部110に対応する位置に移動することによって、搬送方向Fの上流側であり且つ搬送直交方向の左側の加工部111または連続加工部110が形成される。したがって、第1加工ユニット20の加工具20a,20bが選択されて、第2加工ユニット21の加工具21a,21bは選択されない。当該構成によれば、複数個の対応加工具20a,20b,21a,21b(すなわち対応加工具群)の中から、搬送直交方向における加工具の移動距離または移動時間をできるだけ短くするのに最適な加工具20a,20bが選択されることにより、加工に要する時間をできるだけ短くできる。
【0080】
図14では、加工ユニットとしての第1加工ユニット20および第2加工ユニット21が、搬送方向Fに2列(すなわち複数列)で配設されている。
【0081】
図14の(A)は、例えば、第1加工ユニット20の第1加工具20aと第2加工ユニット21の第3加工具21aとが搬送直交方向の左側に配設されるとともに、第1加工ユニット20の第2加工具20bが搬送直交方向の右側に配設されて、搬送直交方向の左側に2つのミシン目の加工部111または連続加工部110をシート100に形成する場合に、加工具20a,20b,21aをどのように選択するかの例を示している。第1加工ユニット20における2つの加工具20a,20bと第2加工ユニット21における1つの第3加工具21aとは、縦ミシン目加工用の対応加工具であって、複数個の縦ミシン目加工用の対応加工具を含む対応加工具群を構成する。第2加工ユニット21において、搬送直交方向の右側に配設されている1つの第4加工具21bは、縦クリース加工用の対応加工具であり、加工具20a,20b,21aとは異なる種類の加工具である。
【0082】
形成すべき2つの加工部111または連続加工部110が、搬送直交方向の左側に片寄っているとともに搬送方向Fにずれているため、搬送直交方向の左側に位置する加工具20a,21aが選択される。
【0083】
初期位置では搬送直交方向の左側に位置する第3加工具21aが、形成すべき加工部111または連続加工部110に対応する位置に移動することによって、搬送方向Fの下流側であり且つ搬送直交方向の左側の加工部111または連続加工部110が形成される。また、第1加工具20aが、搬送直交方向の中央寄りに移動することによって、搬送方向Fの上流側であり且つ搬送直交方向の左側の加工部111または連続加工部110が形成される。当該構成によれば、複数個の対応加工具20a,20b,21a,21b(すなわち対応加工具群)の中から、搬送直交方向における加工具の移動距離または移動時間をできるだけ短くするのに最適な加工具20a,21aが選択されることにより、加工に要する時間をできるだけ短くできる。したがって、搬送直交方向の左側に位置する加工具20a,21aが選択される。なお、第1加工具20aのみを選択するまたは第3加工具21aのみ(組み合わせI)を選択することも可能である。また、加工具20a,20bのみ(組み合わせII)を選択することも可能である。また、加工具20b,21aのみ(組み合わせIII)を選択することも可能である。上記の組み合わせI,組み合わせII,組み合わせIIIは、加工具20a,21aを選択する場合に比べると効果は落ちるものの、従来よりは効果がある。
【0084】
図14の(B)は、例えば、第1加工ユニット20の第1加工具20aと第2加工ユニット21の第3加工具21aとが搬送直交方向の左側に配設されるとともに、第1加工ユニット20の第2加工具20bが搬送直交方向の右側に配設されて、搬送直交方向の左側と搬送直交方向の中央寄りと搬送直交方向の右側のそれぞれに1つのミシン目の加工部111または連続加工部110をシート100に形成する場合に、加工具20a,20b,21aをどのように選択するかの例を示している。第1加工ユニット20における2つの加工具20a,20bと第2加工ユニット21における1つの第3加工具21aとは、複数個の縦ミシン目加工用の対応加工具を含む対応加工具群を構成する。第2加工ユニット21において、搬送直交方向の右側に配設されている第4加工具21bは、縦クリース加工用の対応加工具であり、加工具20a,20b,21aとは異なる種類の加工具である。
【0085】
形成すべき2つの加工部111または連続加工部110が、搬送直交方向の左側に位置するとともに搬送方向Fにずれているため、搬送直交方向の左側に位置する加工具20a,21aが選択される。形成すべき1つの加工部111または連続加工部110が、搬送直交方向の右側に位置するとともに搬送方向Fにずれているため、搬送直交方向の右側に位置する第2加工具20bが選択される。すなわち、3つの加工具20a,20b,21aが選択される。
【0086】
異なる列の加工具を選択することによって、或る加工具で加工を行っている間に、別の列にある別の加工具が所定位置に移動できるので、トータルの加工時間を短くできる。また、同じ列にある加工具同士の移動が干渉することを防止できる。したがって、複数個の対応加工具20a,20b,21a(すなわち対応加工具群)の中から、加工具の移動距離または移動時間をできるだけ短くするのに最適な加工具20a,20b,21aが選択されることにより、加工に要する時間をできるだけ短くできる。なお、加工具20a,21aのみ(組み合わせIV)を選択することも可能である。また、加工具20b,21aのみ(組み合わせV)を選択することも可能である。また、加工具20a,20bのみ(組み合わせVI)を選択することも可能である。上記の組み合わせIV,組み合わせV,組み合わせVIは、加工具20a,20b,21aを選択する場合に比べると効果は落ちるものの、従来よりは効果がある。
【0087】
図15では、加工ユニットとしての第1加工ユニット20、第2加工ユニット21、第3加工ユニット22および第4加工ユニット23が、搬送方向Fに4列(すなわち複数列)で配設されている。
【0088】
図15は、複数種類の対応加工具群が、搬送方向に複数列で配置される場合に、加工具20a,20b,21a,21b,22a,22b,23a,23bをどのように選択するかの例を示している。第1加工ユニット20における2つの加工具20a,20bと第2加工ユニット21における1つの第3加工具21aとは、縦ミシン目加工用の対応加工具であって、複数個の縦ミシン目加工用の対応加工具を含む対応加工具群を構成する。第2加工ユニット21における1つの第4加工具21bと第3加工ユニット22における1つの第5加工具22aと第4加工ユニット23における1つの第7加工具23aとは、縦クリース加工用の対応加工具であって、複数個の縦クリース加工用の対応加工具を含む対応加工具群を構成する。第3加工ユニット22における1つの第6加工具22bと第4加工ユニット23における1つの第8加工具23bとは、縦ハーフカット加工用の対応加工具であって、複数個の縦ハーフカット加工用の対応加工具を含む対応加工具群を構成する。したがって、加工具20a,20b,21aと、加工具21b,22a,23aと、加工具22b,23bとは、異なる種類の対応加工具群を構成する。
【0089】
例えば、第1加工ユニット20の第1加工具20aと第2加工ユニット21の第3加工具21aとが搬送直交方向の左側に配設されるとともに、第1加工ユニット20の第2加工具20bが搬送直交方向の右側に配設されて、搬送直交方向の左側と搬送直交方向の中央寄りと搬送直交方向の右側のそれぞれに1つのミシン目の加工部111または連続加工部110をシート100に形成する場合に、加工具20a,20b,21aをどのように選択するかの例を示している。加工具20a,20b,21aの配置と、形成すべき3つの加工部111または連続加工部110との関係が、
図14の(B)と実質的に同じであるため、説明を省略する。
【0090】
例えば、加工具22a,23aが搬送直交方向の左側に配設されるとともに、第4加工具21bが搬送直交方向の右側に配設されて、搬送直交方向の左側に1つのクリースの加工部111または連続加工部110を形成するとともに搬送直交方向の右側に1つのクリースの加工部111または連続加工部110とをシート100に形成する場合に、加工具21b,22a,23aをどのように選択するかの例を示している。形成すべき1つの加工部111または連続加工部110が、搬送直交方向の左側に位置するとともに搬送方向Fの上流側に位置するため、搬送直交方向の左側に位置する第5加工具22aが選択される。形成すべき1つの加工部111または連続加工部110が、搬送直交方向の右側に位置するとともに搬送方向Fの下流側に位置するため、搬送直交方向の右側に位置する第4加工具21bが選択される。したがって、加工具21b,22aが選択される。当該構成によれば、複数個の対応加工具21b,22a,23a(すなわち対応加工具群)の中から、加工具の移動距離または移動時間をできるだけ短くするのに最適な加工具21b,22aが選択されることにより、加工に要する時間をできるだけ短くできる。なお、第5加工具22aに代えて、第7加工具23aを選択した場合も第5加工具22aを選択した場合と同程度の移動距離または移動時間であるため、第5加工具22aに代えて第7加工具23aを選択することも可能である。また、加工具22a,23aのみ(組み合わせVII)を選択することも可能である。上記の組み合わせVIIは、加工具21b,22aを選択する場合に比べると効果は落ちるものの、従来よりは効果がある。
【0091】
例えば、加工具22b,23bが搬送直交方向の右側に配設されて、搬送直交方向の左側と搬送直交方向の中央寄りと搬送直交方向の右側のそれぞれに1つのハーフカットの加工部111または連続加工部110を形成する場合に、加工具22b,23bをどのように選択するかの例を示している。始めに形成すべき1つの加工部111または連続加工部110を加工するのに、第8加工具23bが選択されて加工を行う。そして、第8加工具23bの加工が行われている間に、第6加工具22bが選択されて、第8加工具23bによる加工が完了するまでに、第6加工具22bが、搬送直交方向の左側に移動して、対応する部分の加工を行う。さらに、第6加工具22bの加工が行われている間に、第8加工具23bが選択されて、第6加工具22bによる加工が完了するまでに、第8加工具23bが、搬送直交方向の右側に移動して、対応する部分の加工を行う。当該構成によれば、複数個の対応加工具22b,23b(すなわち対応加工具群)の中から、加工具の移動距離または移動時間をできるだけ短くするのに最適な加工具22b,23bが選択されることにより、加工に要する時間をできるだけ短くできる。また、第8加工具23bが加工の動作を行っていることに並行して(すなわち、第8加工具23bが加工している間に)、第6加工具22bが所定位置に移動でき、第6加工具22bが加工の動作を行っていることに並行して(すなわち、第6加工具22bが加工している間に)、第8加工具23bが所定位置に移動できるので、トータルの加工時間を短くできる。
【0092】
(情報の入力操作について)
動作パラメータを設定するための入力操作の例について、
図7、
図8および
図9を参照しながら説明する。
【0093】
図7、
図8および
図9は、外部設定部14の表示部に表示される入力内容および設定内容などを例示している。入力内容の入力操作や設定内容の表示は、GUI(Graphical User Interface)が利用されている。これにより、表示内容が感覚的に把握されて、専門的な知識無しでも利用できる。
【0094】
図7は、プレ成果物101をシート100にレイアウトする面付け操作画面を示している。
図7の左側は、シート100のサイズ、成果物105のサイズ、面付けの数、余白102のサイズなどを入力する部分である。
図7の中央では、シート100にレイアウトされるプレ成果物101が拡大して表示されている。
図7の右上は、どのような加工を行うかを入力する部分である。
図7の右下は、シート100の全体像を表示する部分である。
【0095】
図8は、加工部111の入力操作画面を示している。
図8の左側は、加工部111の種類、加工位置、サイズなどを入力する部分である。
図8の中央では、加工部111を有するプレ成果物101が拡大して表示されている。
図8は、加工部111としてミシン目を2つ形成する例を示している。
【0096】
図9は、
図7および
図8で入力および設定された内容を確認する画面を示している。
図9の中央では、加工部111を有するプレ成果物101がレイアウトされたシート100の全体像が表示されている。
【0097】
外部設定部14は、個々の成果物105および加工部111についてのサイズや位置や数を微調整するために、具体的な数字を入力して設定する画面を提示することができる。
【0098】
(動作パラメータの設定手順について)
次に、
図10から
図13を参照しながら、シート加工装置1における動作パラメータの設定手順について説明する。
【0099】
図10を参照しながら、動作パラメータ設定の全体手順を説明する。
図10のステップS10において、動作パラメータの設定が開始する。ステップS11では、外部設定部14において、基本情報が入力される。基本情報は、例えば、成果物105のサイズ、面付け数および位置と、余白102のサイズである。
【0100】
ステップS12では、外部設定部14において、成果物加工情報が入力される。成果物加工情報は、例えば、加工部111の種類、加工位置、サイズなどである。ステップS13では、外部設定部14において、基本情報および成果物加工情報に基づいて、動作パラメータが生成される。
【0101】
ステップS14では、外部設定部14において、生成された動作パラメータが提示されて、生成された動作パラメータが適切なものであるか否かが判断される。ステップS14において、生成された動作パラメータの調整が必要であるとユーザーが判断すると(ステップS14のYES)、ユーザーは、生成された動作パラメータの調整を行う(ステップS15)。生成された動作パラメータの調整が不要であるとユーザーが判断すると(ステップS14のNO)、動作パラメータの設定が完了する(ステップS16)。
【0102】
図11を参照しながら、ステップS13における動作パラメータの生成について説明する。
【0103】
図11のステップS20において、動作パラメータの生成が開始する。ステップS21では、加工状態に関する動作パラメータが算出される。ステップS22では、加工具20a,20b,21a,21bの選択に関する動作パラメータが算出される。ステップS23において、動作パラメータの生成が完了する。なお、動作パラメータの生成は、外部設定部14の演算部が行う。
【0104】
図12を参照しながら、ステップS21における加工状態に関する動作パラメータの算出について説明する。
【0105】
図12のステップS30において、加工状態に関する動作パラメータの算出が開始する。ステップS31では、基本情報および成果物加工情報に基づいて加工部111を形成するための動作パラメータが算出される。
【0106】
ステップS32では、或るプレ成果物101と、該或るプレ成果物101に続いて加工される次のプレ成果物101との間で、加工可能状態保持処理が必要であるか否かが判断される。ここで、加工可能状態保持処理とは、或る加工具20a,20b,21a,21bが、或るプレ成果物101における或る加工部111の形成を行ったあと、加工可能状態を保持しながら、次のプレ成果物101における次の加工部111の形成に移ることである。
【0107】
ステップS32において、加工可能状態保持処理が必要であると判断されると(ステップS32のYES)、加工可能状態保持処理を実行するための動作パラメータが算出され(ステップS33)、そのあとステップS34に移る。ステップS32において、加工可能状態保持処理が不要であると判断されると(ステップS32のNO)、ステップS34に移る。
【0108】
ステップS34では、加工方向の最上流側で、加工可能状態保持処理が必要であるか否かが判断される。ここで、加工方向とは、加工部111の延在方向が搬送方向Fと平行であるならば、搬送方向Fが加工方向に対応し、加工部111の延在方向が搬送直交方向と平行であるならば、搬送直交方向が加工方向に対応する。
【0109】
ステップS34において、加工方向の最上流側での加工可能状態保持処理が必要であると判断されると(ステップS34のYES)、加工方向の最上流側での加工可能状態保持処理を実行するための動作パラメータが算出され(ステップS35)、そのあとステップS36に移る。ステップS34において、加工方向の最上流側での加工可能状態保持処理が不要であると判断されると(ステップS34のNO)、ステップS36に移る。
【0110】
ステップS36では、加工方向の最下流側で、加工可能状態保持処理が必要であるか否かが判断される。ステップS36において、加工方向の最下流側での加工可能状態保持処理が必要であると判断されると(ステップS36のYES)、加工方向の最下流側での加工可能状態保持処理を実行するための動作パラメータが算出され(ステップS37)、そのあとステップS38に移る。ステップS36において、加工方向の最下流側での加工可能状態保持処理が不要であると判断されると(ステップS36のNO)、ステップS38に移る。ステップS38において、加工状態に関する動作パラメータの算出が完了する。
【0111】
図13を参照しながら、ステップS22における加工具20a,20b,21a,21b、22a、22b、23a、23bの選択に関する動作パラメータの算出について説明する。
【0112】
図13のステップS40において、加工具20a,20b,21a,21b、22a、22b、23a、23bの選択に関する動作パラメータの算出が開始する。加工具20a,20b,21a,21b、22a、22b、23a、23bを加工部111に移動させるときの距離、すなわち加工具20a,20b,21a,21b、22a、22b、23a、23bの移動距離を、できるだけ短くできる加工具を選択するように、移動距離に関する動作パラメータが算出される。ステップS41では、加工具20a,20b,21a,21b、22a、22b、23a、23bの移動距離を含む動作パラメータに基づいて、加工具20a,20b,21a,21b、22a、22b、23a、23bが選択される。ステップS42において、加工具20a,20b,21a,21b、22a、22b、23a、23bの選択に関する動作パラメータの算出が完了する。
【0113】
以上のように、或るプレ成果物101において或る加工部111を形成したあと次のプレ成果物101において或る加工部111と同種の次の加工部111を形成する場合に加工可能状態を保持する、および/または、加工具20a,20b,21a,21b、22a、22b、23a、23bの移動距離ができるだけ短くなるように加工具20a,20b,21a,21b、22a、22b、23a、23bを選択するように動作パラメータを設定することによって、加工に要する時間をできるだけ短くできる。
【0114】
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、上記実施形態で記載した内容を適宜に組み合わせたものを、この発明の一実施形態としてもよい。
【0115】
或るプレ成果物101において或る加工部111を形成したあと次のプレ成果物101において或る加工部111と同種の次の加工部111を形成する場合に加工可能状態を保持するように動作パラメータを設定することができる。また、加工具20a,20b,21a,21b、22a、22b、23a、23bの移動距離ができるだけ短くなるように加工具20a,20b,21a,21b、22a、22b、23a、23bを選択するように動作パラメータを設定することができる。すなわち、加工状態に関する動作パラメータまたは加工具選択の動作パラメータのいずれか一方で、動作パラメータを設定できる。当該構成によれば、シート加工装置1の使用形態に適切に対応して、加工に要する時間をできるだけ短くできる。
【0116】
加工ユニットを複数列で備える場合、例えば
図6の(A)、
図6の(B)、
図14の(A)、
図14の(B)、
図15のように、複数列の加工具を割り振ることができる。下流側加工用の加工具によって下流側加工部の形成が完了するよりも前に、あるいは、上流側加工用の加工具が下流側加工用の加工具と干渉することなく、上流側加工用の加工具を、上流側加工部に対応する位置に移動させることができる。これにより、複数個の加工具の移動を並行して行うことができ、トータルの加工時間を短くできる。
【0117】
対応加工具群に含まれる複数個の加工具が加工ユニットに装着されている場合、加工具の装着数に応じて、加工具を割り振ることができる。加工具の装着数が多ければ、できるだけ多くの加工具に割り振ることで、複数個の加工具の移動を並行して行うことができ、トータルの加工時間を短くできる。
【0118】
加工具の移動距離をできるだけ短くすることにより、移動に係る時間を短くできるので、加工に要する時間をできるだけ短くできる。また、複数の加工具の移動を並行して行うことにより、トータルの加工時間を短くできる。
【0119】
シート100が、搬送方向Fに直線状に延びる加工部111および余白加工部112と、搬送直交方向に直線状に延びる加工部111および余白加工部112とを備える態様にすることができる。当該構成によれば、加工部111および余白加工部112の各加工長が、最短になるので、加工に要する時間をできるだけ短くできる。
【0120】
シート100の搬送方向Fの移動と加工具20a,20b,21a,21b、22a、22b、23a、23bの搬送直交方向の移動を同時に制御することによって、加工部111、余白加工部112および連続加工部110が、曲線状に延びる態様にすることができる。当該構成によれば、様々な形状をした加工部111の形成に対応できる。
【0121】
加工ユニットを搬送方向Fに3列以上に配設した態様や、加工ユニットに含まれる加工具の数を3個以上に配設した態様にすることができる。加工ユニットに含まれる加工具として、異なる種類の加工具が混在する態様にすることができる。1つのシート加工装置1で様々な加工部111の形成に対応できる。逆に、シート加工装置1が、1つの加工ユニットに1つの加工具を備えて、特定種類の加工部111を形成する専用機の態様にすることもできる。
【0122】
加工具20a,20b,21a,21b、22a、22b、23a、23bを選択するにあたり、加工具20a,20b,21a,21b、22a、22b、23a、23b毎の総使用時間を考慮した動作パラメータを設定することもできる。当該構成によれば、特定の加工具が集中的に使用されることを回避できる。
【0123】
装置本体2に設けられる表示設定部13は、情報を入力するための入力部と、入力内容や設定内容などを表示する表示部と、入力内容や設定内容に基づいて動作パラメータを演算して生成する演算部とを有することができる。当該構成によれば、上記外部設定部14と同等の機能、すなわち動作パラメータを設定する設定機能を備えることができる。
【0124】
この発明および実施形態をまとめると、次のようになる。
【0125】
この発明の一態様に係るシート加工装置1は、
プレ成果物101を有するシート100に対して、加工部111を形成するシート加工装置1であって、
前記加工部111の形成を可能とする加工可能状態と、前記加工部111の形成を不可とする加工不可状態とを取る少なくとも1つの加工具20a,20b,21a,21b、22a、22b、23a、23bと、
前記加工可能状態および前記加工不可状態に関する動作パラメータを設定する設定部13,14と、
設定された前記動作パラメータに基づいて前記加工具20a,20b,21a,21b、22a、22b、23a、23bの動作を制御する制御部6とを備え、
前記設定部13,14は、或る前記プレ成果物101において或る前記加工部111を形成したあと次の前記プレ成果物101において前記或る前記加工部111と同種の次の前記加工部111を形成する場合に前記加工具20a,20b,21a,21b、22a、22b、23a、23bが前記加工可能状態を保持する加工可能状態保持処理を実行するべく、および/または、前記加工部111を形成するための前記加工具20a,20b,21a,21b、22a、22b、23a、23bの移動距離ができるだけ短くなるように前記加工具20a,20b,21a,21b、22a、22b、23a、23bを選択する加工具選択処理を実行するべく、前記動作パラメータを設定することを特徴とする。
【0126】
上記構成によれば、或るプレ成果物101において或る加工部111を形成したあと次のプレ成果物101において或る加工部111と同種の次の加工部111を形成する場合に加工可能状態を保持する、および/または、加工具20a,20b,21a,21b、22a、22b、23a、23bの移動距離ができるだけ短くなるように加工具20a,20b,21a,21b、22a、22b、23a、23bを選択するように動作パラメータを設定することによって、加工に要する時間をできるだけ短くできる。
【0127】
また、一実施形態のシート加工装置1では、
前記プレ成果物101の周囲に余白102が設けられるとき、前記設定部13,14は、前記加工可能状態保持処理の実行により、前記余白102において余白加工部112を形成するように、前記動作パラメータを設定する。
【0128】
上記構成によれば、余白102に余白加工部112を形成することにより、加工具20a,20b,21a,21b、22a、22b、23a、23bの昇降動作時間、シート100の搬送停止・搬送再開の時間が省略できるため、加工に要する時間をできるだけ短くできる。
【0129】
また、一実施形態のシート加工装置1では、
前記加工部111および前記余白加工部112が、直線状に延びている。
【0130】
上記構成によれば、加工部111および前記余白加工部112の加工長が最短になるので、加工に要する時間をできるだけ短くできる。
【0131】
また、一実施形態のシート加工装置1では、
前記加工部111および前記余白加工部112が、搬送方向Fおよび/または搬送直交方向において直線状に延びている。
【0132】
上記構成によれば、加工部111および前記余白加工部112の加工長が、搬送方向Fおよび/または搬送直交方向に最短になるので、加工に要する時間をできるだけ短くできる。
【0133】
また、一実施形態のシート加工装置1では、
例えば、前記加工具20a,20b,21a,21b、22a、22b、23a、23bが、搬送直交方向、搬送方向Fおよび搬送直交方向での逆C字状またはC字状の軌跡を描くように、シート100に対して相対的に移動するとき、前記加工具20a,20b,21a,21b、22a、22b、23a、23bが、前記シート100の外側に位置する。
【0134】
上記構成によれば、加工具20a,20b,21a,21b、22a、22b、23a、23bの反転移動が容易になる。
【0135】
また、一実施形態のシート加工装置1では、
例えば、前記加工具20a,20b,21a,21bが複数種類の前記加工具からなり、且つ、前記複数種類のうち、前記加工部111に対応する或る種類のものが、複数個の対応加工具20a,20b,21aを含む対応加工具群を構成するとき、
前記設定部13,14は、前記加工具選択処理において、前記対応加工具20a,20b,21aの移動距離または移動に要する時間をできるだけ短くするために、前記対応加工具群のうちから、いずれの前記対応加工具20a,20b,21aを用いるかを選択するように前記動作パラメータを設定する。
【0136】
上記構成によれば、対応加工具群のうちから、最適な対応加工具20a,20b,21aが選択されることにより、加工に要する時間をできるだけ短くできる。
【0137】
また、一実施形態のシート加工装置1では、
例えば、前記対応加工具群が搬送方向に複数列で配置されるとき、
前記設定部13,14は、前記加工具選択処理において、前記対応加工具20a,20b,21aの移動距離または移動に要する時間をできるだけ短くするために、いずれの列におけるいずれの前記対応加工具20a,20b,21aを用いるかを選択するように前記動作パラメータを設定する。
【0138】
上記構成によれば、対応加工具群のうちから、最適な対応加工具20a,20b,21aが選択されることにより、加工に要する時間をできるだけ短くできる。
【0139】
また、一実施形態のシート加工装置1では、
例えば、加工部111を有するプレ成果物101をシート100に形成するシート加工装置1であって、
前記加工部111の形成を可能とする加工可能状態と、前記加工部111の形成を不可とする加工不可状態とを取る少なくとも1つの加工具20a,20b,21a,21bと、
前記加工具20a,20b,21a,21bの動作状態を制御する制御部6とを備え、
前記制御部6は、前記加工具20a,20b,21a,21bが、或る前記プレ成果物101における前記加工部111の形成から次の前記プレ成果物101における前記加工部111の形成に移行するとき、前記加工具20a,20b,21a,21bが前記加工可能状態を保持する加工可能状態保持処理を実行するべく、および/または、前記加工部111を形成するための前記加工具20a,20b,21a,21bの移動距離ができるだけ短くなるように前記加工具20a,20b,21a,21bを選択する加工具選択処理を実行するべく、前記加工具20a,20b,21a,21bを制御する。
【0140】
上記構成によれば、或るプレ成果物101において或る加工部111を形成したあと次のプレ成果物101において或る加工部111と同種の次の加工部111を形成する場合に加工可能状態を保持する、および/または、加工具20a,20b,21a,21bの移動距離ができるだけ短くなるように加工具20a,20b,21a,21bを選択するように動作パラメータを設定することによって、加工に要する時間をできるだけ短くできる。