【解決手段】環状の屈伸部10cと、屈伸部10cの内周に配置される内環10aと、屈伸部10cの外周に配置され、軸受9を外嵌する外環10bとを備え、一対の屈伸部10cの間に配置され、外周から内周にかけて貫通する複数の孔10fを備える第二の防振部材10と、外環10bを外周側から挟持する円弧状の保持部材13a,13bとを備える推進軸の中間軸受組立体8。
前記内環を保持する前記第一防振部材の内環保持部に、前記貫通孔と連通し、前記内環まで貫通する複数の孔が形成されている請求項1から2に記載の推進軸の中間軸受組立体。
【背景技術】
【0002】
自動車の推進軸は、車両前方の原動機で発生し変速装置で減速された動力を、車両後方に搭載された終減速装置に伝達するものである。推進軸は二つ以上の自在継手を有し、その間を鋼管で構成するほか、必要に応じて自在継手を増やし、中間軸受ユニットを設けて車体に取り付ける等の構造がとられている。中間軸受ユニットは、一般に、推進軸の軸部材を内嵌する軸受と、軸受を内嵌する防振部材(第一防振部材)と、第一防振部材を外周側から挟持するとともに車体フロアに取り付けられて推進軸を支持するブラケットと、を備えている。
【0003】
第一防振部材としては、軸方向に凸となる屈伸部を背中合わせに配置し、その内周に一体成形した内環に軸受を内嵌するとともに、外周から二分割された円弧状のブラケットで挟持する構成が特許文献1に記載されている。
また、車両が発進する時に径方向の偶力が中間軸受に作用して、屈伸部の変形が大きくなって底突きを起こした場合、不快な振動を生じることがある。そのため、第一防振部材の屈伸部の内部に別の防振部材としてストッパ(第二防振部材)を配置する構成が特許文献2に記載されている。
【0004】
推進軸は、組立が完了するとバランス修正の作業が行なわれる。その際に中間軸受ユニットの軸受の外径部を強固に保持する必要がある。そのため、軸受の外径部側を保持ピンで保持する必要があり、第一防振部材には保持ピンを通すための挿通孔が径方向に貫通して形成されている(例えば特許文献2)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、特許文献2においては、第二防振部材は、推進軸のバランス修正の工程後に取り付けられることとなる。第二防振部材は、帯状に伸びたものが円環状に弾性変形されて第一防振部材の内径側に巻きつけられる。この状態で推進軸を搬送することから、その円環状態を維持するため、第二防振部材に凹凸を設けるなどして固定することが必要となり、手作業による組立作業が煩雑になりやすいという問題がある。
【0007】
本発明は、上記の問題を鑑みて考案されたものであり、その目的は、生産性を高めるとともに、防振性能を向上させる設計の自由度を高めた推進軸の中間軸受組立体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、第一の態様は、軸受(9)と、互いに対向するように配置された一対の環状の屈伸部(10c)、前記屈伸部(10c)の内周側に配置されるとともに前記軸受(9)に外嵌する内環(10a)、及び、前記屈伸部(10c)の外周側に配置される外環(10b)、を備える第一防振部材部材(10)と、前記一対の屈伸部(10c)の間に配置され、外周から内周に掛けて貫通する複数の貫通孔を有する環状の第二防振部材(11)と、前記外環を外周側から挟持する複数の円弧状保持部材(13a,13b)と、を備える推進軸の中間軸受組立体である。
【0009】
前記する第一の態様によれば、第二防振部材は予め環状に成型されているので、第二防振部材を帯状態から弾性変形させて組み付ける従来の構造と比較して組立作業性が向上する。また、第二防振部材の形状の自由度が大きくなり、第二防振部材の振動減衰特性の設計自由度が向上する。
【0010】
また、前記第一の態様において、前記第一防振部材は、前記軸受を挟んで前後対称であり、前記軸受を前後から挟持するように外嵌しても良い。
【0011】
前記第一防振部材を前後対称とし、前後から挟持することにより、前記第二防振部材を前記第一防振部材間に取り付ける作業がより容易となる。
【0012】
また、前記第一の態様において、前記内環を保持する前記第一防振部材の内環保持部に、前記貫通孔と連通し、前記内環まで貫通する複数の孔が形成されていても良い。あるいは、前記内環を保持する前記第一防振部材の内環保持部に、前記内環まで貫通する溝が全周にわたって形成されていても良い。
【0013】
推進軸の組立後に行なうバランス修正の作業において、前記第二防振部材の貫通孔から挿入された軸受押さえ治具が、第一防振部材の孔あるいは溝に挿入され、確実に軸受を支持することが可能となり、バランス修正作業が確実に行われる。
【0014】
また、前記第一の態様において、前記第二防振部材は、前記内環を保持する前記第一防振部材の内環保持部に挟持されていても良い。あるいは、前記第二防振部材は、前記外環を保持する前記第一防振部材の外環保持部に挟持されていても良い。
【0015】
前記第二防振部材を前記第一防振部材で挟持することによって、前記第二防振部材は回転軸方向に固定されて、前記第二防振部材の孔と、前記第一防振部材の孔が回転軸方向に位置ずれを招くことが防止され、作業性の向上が維持される。
【0016】
また、前記第一の態様において、前記第二防振部材には、前記第一防振部材に指向する突起が全周にわたって形成されていても良い。あるいは、前記第二防振部材には、前後方向に延在する複数の肉抜きが形成されていても良い。
【0017】
前記第二防振部材に径方向に突出する突出部(前記第一防振部材に指向する突起)を形成することによって、推進軸の回転による偶力が作用して前記第一防振部材が過大に変形しても、突出部が徐々に変形して振動を減衰することで、不快な振動の伝達が抑制される。また、第二防振部材に突出部を形成することにより、成型上の制約を受けない自由な形状を得ることが可能となり、防振性能を高める設計自由度が拡大する。前記第二防振部材に複数の肉抜きを形成する場合においても同様の効果を奏する。
【0018】
また、前記第一の態様において、前記保持部材には、前記第二防振部材の貫通孔と連通する複数の孔が形成されていても良い。
【0019】
前記保持部材に、前記貫通孔に連通する孔を形成することによって、前記保持部材を挟持した状態でバランス修正の作業を行なうことが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、生産性を高めるとともに、防振性能を向上させる設計の自由度を高めた推進軸の中間軸受組立体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
続いて各実施形態の中間軸受組立体8,80,180,280,380,480について図面を参照しながら説明する。各実施形態で共通する技術的要素には、共通の符号を付するとともに説明を省略する。
【0023】
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態を推進軸に適用した例を
図1乃至
図3を用いて説明する。
推進軸1は、車両の前方に搭載された原動機(不図示)及び変速機(不図示)から出力された動力を、車両の後方に搭載された終減速装置(不図示)に伝達する。
図1に示すように、推進軸1は、その軸方向(以下において、「前後方向」とも称する。)前端に自在継手2、前後方向の中央部付近に自在継手3と中間軸受組立体8(以下において、「中間軸受組立体8」を、「中間軸受8」と称することがある)、後端に自在継手4を備えている。
自在継手2と中間軸受8の間は鋼管5で連結され、中間軸受8と自在継手4の間は鋼管6で連結されている。
【0024】
図2に示すように、中間軸受8は、軸受9と、軸受9の外径側に配置される第一防振部材10と、第一防振部材10の対向する屈伸部10cの間に配置される第二防振部材11と、第一防振部材10を外周側から挟持する複数の保持部材13a,13bを有する。中間軸受8は推進軸1の軸部材7に外嵌されている。
第一防振部材10は、一対の環状の屈伸部10cと、屈伸部10cの内周側に配置される内環10aと、屈伸部10cの外周側に配置される内環10bとを備えている。屈伸部10cは軸心O方向の一端側に向け略U字に突出するように形成されている。第一防振部材10の屈伸部10cはエチレンプロピレンゴム等のゴム材で形成されている。第一防振部材10は、屈伸部10cが弾性変形することで、軸部材7から伝達された振動を減衰し、車体へ伝達される振動を減衰している。
【0025】
屈伸部10cの内周側には、内環10aを保持する内環保持部10dが形成されており、この内環保持部10dの内周に内環10aが加硫接着されている。内環10aは、軸受9を外嵌する外嵌円筒部10hと、外嵌円筒部10hの一端から径内方向に延び軸受9の外輪の端面に当接する鍔部10iと、軸受9から離間する方向に鍔部10iの内端から延在するラビリンス部10jと、を備えている。ラビリンス部10jは、軸部材7に形成した溝7aや、軸部材7に配置したカバー(不図示)により中間軸受8の内部へ泥水が浸入しないようにするほか、内部にオイルシール12を配置する。内環10aは金属材料で形成されている。
【0026】
外嵌円筒部10hの外周には、後述するバランス修正の作業時に軸受を保持するピンPが突き当てられるため、内環保持部10dの一部にはゴムが加硫接着されることなく径方向に指向する孔10fが形成されている。
【0027】
屈伸部10cの外周側には外環保持部10eが形成されており、この外環保持部10eの外周に外環10bが加硫接着されている。外環10bは、外周側が後述する円弧状保持部材13a,13bに挟持される。外環10bは金属材料で形成されている。
【0028】
第一防振部材10は、軸方向に突出する環状の屈伸部10cを一対備え、屈伸部10cの凸部が、それぞれ軸方向の逆向きに配置されている。第一防振部材10は、一対の屈伸部10cを一体に形成しても良いし、
図2に示すように、前後対称の形状に形成し、軸受9を前後から挟持しても良い。
【0029】
第二防振部材11は、一対の第一防振部材10の一対の屈伸部10cの間に配置され、外周から内周にかけて貫通する複数のピン挿通孔11a(貫通孔11a)を有する。本実施形態では、ピン挿通孔11aは3つ形成されていて、軸方向から見た挿通孔11aの位置は、第一防振部材10に形成された孔10fと一致している。なお、第一防振部材のピン挿通部は孔とせずに、全周にわたって形成された溝10gであっても良い。第二防振部材11は、無端環状に形成されており、材質はエチレンプロピレンゴム等のゴム材でも良いし、発泡材料であっても良い。
【0030】
車両が発進するような場面では、自在継手で生じる二次偶力が中間軸受8に作用して、第一防振部材10において径方向に過大な変位が生じ、屈伸部10cの端部でもある内環保持部10dと外環保持部10eとが接触する。内環保持部10dと外環保持部10eは、ともに剛体であるために接触後のばね定数が急激に上昇して、推進軸1の振動が中間軸受8を介して車体フロア(不図示)に伝達され、客室内に不快な振動として伝達される。これを防止するのが第二防振部材11であり、一定の径方向変位が生じた後にばね定数をなだらかに変化させることで、振動を減衰する。
【0031】
第二防振部材11は、断面が略矩形状を呈する無端円環であり、その前後方向長さL1は、第一防振部材10の外環保持部10e、10e間の隙間L2よりも大きい。すなわち、第一防振部材10の外環保持部10eは一定の径方向変位が生じると第二防振部材11に接触して、第二防振部材11の持つばね定数によってなだらかに変位する。
【0032】
推進軸1の組立が完了すると全数バランス修正の作業を行なう。この際、中間軸受8を保持するためのピンPは、第二防振部材11に形成されたピン挿通孔11a(貫通孔11a)と、第一防振部材10に形成されたピン挿通孔10fとを通り、外環円筒部10hに当接し、軸受9は強固に保持される。第二防振部材11は無端円環形状で、事前に第一防振部材10の一対の屈伸部10c、10cの間に組み込まれているため、第二防振部材11は、脱落防止のための仮留め作業が不要であり、その後の搬送等の場面で落下・紛失・破損等の懸念が無くなる。
【0033】
中間軸受8は、第一防振部材10を外周側から保持する一対の円弧状の保持部材13a,13bにより挟持されて車体に取り付けられる。保持部材13a,13bは前後方向から見て略半円状の円弧部13f,13gを有し、概ね水平線に沿うように上下に分割されている。中間軸受8の上側に配置される保持部材13aの円弧部13fには、第一防振部材10の外環10bの外径と略同径の内径を有する溝13dが形成され、中間軸受8の下側に配置される保持部材13bの円弧部13gには、第一防振部材10の外環10bの外径と略同径の内径を有する溝13eが形成され、第一防振部材10は溝13d及び溝13eに挟持されて、径方向及び前後方向に確実に保持される。また、少なくとも保持部材13bは、車体下面に取り付けるための鍔部13h,13hを有し、鍔部13h,13hに形成されたボルト孔13iにボルト(不図示)を挿通して車体に取り付けられる。上側の保持部材13aは、下側の保持部材13bと予めピン、リベット、小ねじ等により仮留めされていても良い。あるいは、車体下面に予め溶接により取り付けられていても良い。
【0034】
以上のように、軸受9と、屈伸部10cと内環10aと外環10bとを備えて、内環10aが軸受9を外嵌する一対の屈伸部10cを備える第一防振部材10と、一対の屈伸部10c、10c間に配置され、外周から内周に掛けて貫通する複数のピン挿通孔11a(貫通孔11a)を有する環状の第二防振部材11と、外環10bを挟持する一対の保持部材13a,13bと、を備える構成とすれば、次のような効果が奏される。
【0035】
(1)環状の第二防振部材11を一対の第一防振部材10、10の一対の屈伸部10cと10cの間に配置する簡単な構造の中間軸受8となり、組立作業性が向上する。
(2)第一防振部材10を、軸受9の前後方向中央で二分割した前後対称の形状とすれば、第二防振部材11を組み込む作業の作業性がさらに向上する。
(3)第一防振部材10の内環保持部10dに形成された孔10fを、全周にわたる溝10gとすれば、第一防振部材10のピン挿通孔10fと、第二防振部材11のピン挿通孔11bとを位置を合わせて組み付ける必要がなくなり、第二防振部材11を組み込む作業の作業性がさらに向上する。
【0036】
(第二実施形態)
次に、
図4を用いて、本発明の第二実施形態を中間軸受80に適用した例で説明する。
図4において、本発明の第一実施形態と同様の構成については
図1乃至
図3と同様の番号を付し、その説明を適宜省略する。中間軸受80は、第一防振部材10と第二防振部材11に代えて、第一防振部材100と第二防振部材14を備えている。
第一防振部材100は、第一実施形態の第一防振部材10に対して、第二防振部材14を前後方向に挟持する溝100gを有することが異なる。第二防振部材14は、第一実施形態の第二防振部材11に対して、第一防振部材100により前後方向に挟持される内径挟持部14bを有することが異なる。
【0037】
第一防振部材100には壁面100hが内環保持部100dの端部に形成され、一対の第一防振部材100,100を突き合わせることで溝100gが形成される。第二防振部材14には、内周側に突出する内径挟持部14bが形成され、その前後方向の長さは溝100gの前後方向の幅より僅かに大きく形成されている。第一防振部材100には、内環100aまで貫通するピン挿通孔100fが形成され、第二防振部材14には、外周から内周にかけて貫通する複数のピン挿通孔14a(貫通孔14a)が形成される。
以上第二実施形態によれば、第一防振部材100の溝100gによって第二防振部材14の内径挟持部14bが挟持され、内径挟持部14bの長さが第一防振部材100の溝100gよりも小さいことから確実に挟持され、中間軸受80の組立完了後に、第二防振部材14が前後方向及び回転方向に移動することがない。これによって、第一防振部材100のピン挿通孔100fと、第二防振部材14のピン挿通孔14a(貫通孔14a)とが位置ずれを招くことが防止され、組立作業性がより向上する。
【0038】
(第三実施形態)
次に、
図5を用いて、本発明の第三実施形態を中間軸受180に適用した例で説明する。
図5において、本発明の第一実施形態と同様の構成については
図1乃至
図3と同様の番号を付し、その説明を適宜省略する。中間軸受180は、第一防振部材10と第二防振部材11に代えて、第一防振部材110と第二防振部材15を備えている。
第一防振部材110は、第一実施形態の第一防振部材10に対して、外環保持部110eにて第二防振部材15を前後方向に挟持する溝110gを有することが異なる。第二防振部材15は、第一実施形態の第二防振部材11に対して、第一防振部材110により前後方向に挟持される外径挟持部15bを有することが異なる。
【0039】
第一防振部材110には壁面110hが外環保持部110eの端部に形成され、一対の第一防振部材110,110を突き合わせることで溝110gが形成される。第二防振部材15には、内周側に突出する外径挟持部15bが形成され、その前後方向の長さは溝110gの前後方向の幅より僅かに大きく形成されている。第一防振部材110には、内環110aまで貫通するピン挿通孔110fが形成され、第二防振部材15には、外周から内周にかけて貫通する複数のピン挿通孔15a(貫通孔15a)が形成される。
以上第三実施形態によれば、第一防振部材110の溝110gによって第二防振部材15の外径挟持部15bが挟持され、内径挟持部15bの長さが第一防振部材110の溝110gよりも小さいことから確実に挟持され、中間軸受180の組立完了後に、第二防振部材15が前後方向及び回転方向に移動することがない。これによって、第一防振部材110のピン挿通孔110fと、第二防振部材15のピン挿通孔15a(貫通孔15a)とが位置ずれを招くことが防止され、組立作業性がより向上する。
【0040】
(第四実施形態)
次に、
図6を用いて、本発明の第四実施形態を中間軸受280に適用した例で説明する。
図6において、本発明の第三実施形態と同様の構成については
図1乃至
図3及び
図5と同様の番号を付し、その説明を適宜省略する。中間軸受280は、第二防振部材15に代えて、第二防振部材16を備えている。
第二防振部材16は、第三実施形態の第二防振部材15に対して、その内周側に第一防振部材110の内環保持部110dに指向する突起16bを有することが異なる。突起16bは、第二防振部材16の内周面から突出し、第一防振部材110の内環保持部110dとの空間に、全周にわたって形成される。車両が発進するような場面では、自在継手で生じる二次偶力が中間軸受280に作用して、第一防振部材110が径方向に変位が生じる。内環保持部110dが突起16dに接触するまでの間は、屈伸部110cの形状から決定されるばね定数により変形する。次いで、内環保持部110dが突起16dに接触してから突起16dが変形の限界に至るまでの間は、突起16dの形状から決定されるばね定数と、屈伸部110cの形状から決定されるばね定数により変形する。そして、突起16dが変形の限界を超えた後は、第二防振部材16の本体部16cの形状から決定されるばね定数と、屈伸部110cの形状から決定されるばね定数により変形する。また、突起16dは、基端部から先端にかけて厚さを変化させることで、突起16dのばね定数を任意に設定することが可能である。なお、本実施形態においては、第三実施形態を元にして、第二防振部材14の内周側に突起16bを形成する構成を例示したが、第一実施形態を元にして、第二防振部材11の外周側に突起を形成して、第一防振部材10の外環保持部10eに接触する構成としても良い。
【0041】
以上第四実施形態によれば、第一防振部材110と第二防振部材15により段階的にばね特性を変化させることが可能となり、防振性能の設計自由度が大きくなる。
【0042】
(第五実施形態)
次に
図7及び
図8を用いて、本発明の第五実施形態を中間軸受380に適用した例で説明する。
図7及び
図8において、本発明の第三実施形態と同様の構成については
図1乃至
図3及び
図5と同様の番号を付し、その説明を適宜省略する。中間軸受380は、第二防振部材15に代えて、第二防振部材17を備えている。
第二防振部材17は、第三実施形態の第二防振部材15に対して、その本体部17cに複数の肉抜き17bを有することが異なる。肉抜き17bは、第二防振部材17の本体部17cに形成される。
図7に示す実施形態では、前後方向一方の端面から凹形状となる肉抜き17bが形成されているが、他方の端面まで貫通しても良い。
図8に示すように、肉抜き17bは第二防振部材17の端面に、円周方向に複数形成される。肉抜き17bの幅と高さは任意に決定される。車両が発進するような場面では、自在継手で生じる二次偶力が中間軸受380に作用して、第一防振部材110が径方向に変位が生じる。内環保持部110dが第二防振部材17の内周面に接触するまでの間は、屈伸部110cの形状から決定されるばね定数により変形する。次いで、内環保持部110dが第二防振部材の内周面に接触すると、第二防振部材17の変形は、複数の肉抜き17bの間に形成される隔壁17dの幅と長さから決定されるばね定数と、屈伸部110cの形状から決定されるばね定数により変形する。そして、隔壁17dが変形の限界を超えた後は、第二防振部材16の本体部17cの形状から決定されるばね定数と、屈伸部110cの形状から決定されるばね定数により変形する。
【0043】
以上第五実施形態によれば、第一防振部材110と第二防振部材17により段階的にばね特性を変化させることが可能となり、防振性能の設計自由度が大きくなる。
【0044】
(第六実施形態)
次に
図9を用いて、本発明の第六実施形態を中間軸受480に適用した例で説明する。
図9において、本発明の第一実施形態と同様の構成については
図1乃至
図3と同様の番号を付し、その説明を適宜省略する。中間軸受480は、第一実施形態の中間軸受8と比較して、保持部材18a及び18bのみが異なる。保持部材18a及び18bには、外環10bを挟持する二つの溝18dと18dの間、及び溝18eと18eの間に外周から内周に貫通する複数の孔18f及び18gが形成されている。前後方向から見た孔の位置は、第一防振部材の孔10f、及び第二防振部材の孔11aと同一である。外環10bを上下から挟持する保持部材18aと18bは、リベット等により仮留めされている。車両に取り付けられる際は、ボルト(不図示)により上下の保持部材18aと18bは強固に固定される。
【0045】
以上第六実施形態によれば、中間軸受480は、上下から挟持する保持部材18aと18bとが組み込まれた状態で推進軸の組立工程に供給され、推進軸の組立工程においては、保持部材18aと18bに挟持された中間軸受480を推進軸に組み込むだけで、最終工程のバランス修正もそのまま対応が可能となり、バランス修正後も特別な作業を必要としなくなり、推進軸の組立作業の作業性が向上する。