特開2020-175784(P2020-175784A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-175784(P2020-175784A)
(43)【公開日】2020年10月29日
(54)【発明の名称】サイドエアバッグ装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/217 20110101AFI20201002BHJP
   B60R 21/207 20060101ALI20201002BHJP
【FI】
   B60R21/217
   B60R21/207
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-79559(P2019-79559)
(22)【出願日】2019年4月18日
(11)【特許番号】特許第6745941号(P6745941)
(45)【特許公報発行日】2020年8月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100102738
【弁理士】
【氏名又は名称】岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】松崎 泰祐
(72)【発明者】
【氏名】蓮實 英貴
(72)【発明者】
【氏名】神原 洋平
(72)【発明者】
【氏名】松原 悠二
【テーマコード(参考)】
3D054
【Fターム(参考)】
3D054AA04
3D054AA07
3D054AA21
3D054DD14
3D054DD28
3D054FF02
3D054FF17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ハーネスの耐久性に悪影響を与えることなく、ハーネスの組付け作業を効率的に行うのが可能なサイドエアバッグ装置を提供する。
【解決手段】車体と車内に配置される座席との間に設けられるサイドエアバッグ装置であって、折り畳まれた状態のサイドエアバッグ及びインフレータを格納する格納スペースを有するベース部材と、座席の内部に臨む裏面、およびおもて面52を有し、裏面には、おもて面側に突出する格納スペースの開口が構成されるとともに、おもて面には、裏面側に格納スペースを構成する突出部64が形成され、突出部の下方には、ハーネス41を裏面からおもて面に引き出すのに十分な大きさのハーネス用開口57を設け、ハーネスは、インフレータから下方に延び、裏面側からハーネス用開口を通過しおもて面側に引き出され、車両フロアまで下方に延びることを構成とする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、車内に配置される座席との間に設けられるサイドエアバッグ装置であって、
膨出可能なサイドエアバッグと、
該サイドエアバッグの内部にガスを供給するインフレータと、
折り畳まれた状態の前記サイドエアバッグ及び前記インフレータを格納する格納スペースを有するベース部材と、
前記インフレータに一端部が接続され、該インフレータに点火用電力を供給するハーネスと、を備え、
前記ベース部材は、前記座席の内部に臨む裏面、およびおもて面を有し、該裏面には、該おもて面側に突出する該格納スペースの開口が構成されるとともに、該おもて面には、裏面側に該格納スペースを構成する突出部が形成され、該突出部の下方には、前記ハーネスを前記裏面から前記おもて面に引き出すのに十分な大きさのハーネス用開口を設け、前記おもて面において、該ハーネス用開口の下方には、前記インフレータから車両フロアまで下方に延びる部分に、面の横方向および面の垂直方向に対して移動制限された状態で固定可能なハーネス支持部を有し、
前記ハーネスは、前記インフレータから下方に延び、前記裏面側から前記ハーネス用開口を通過し前記おもて面側に引き出され、車両フロアまで下方に延びる、
ことを特徴とするサイドエアバッグ装置。
【請求項2】
前記ハーネス支持部は、前記格納スペースを構成する部分の下方の面に形成され、上下方向に間隔を隔てるガイド部および/またはフック部および/またはクリップ部である、請求項1に記載のサイドエアバッグ装置。
【請求項3】
前記突出部の下方には、前記ハーネス用開口を有する傾斜面が設けられ、
前記インフレータの被組み付け部は、前記格納スペースの底面を構成する縦長面に設けた貫通穴であり、前記ガイド部および/またはフック部および/または前記クリップ部が設けられる前記下方の面は、縦長面に対して、前記傾斜面を介在し、段差を以て略平行に構成される。請求項2に記載のサイドエアバッグ装置。
【請求項4】
前記格納スペースにおいて、前記インフレータは、前記ハーネスとの接続部を下端に向けて、上下方向縦長に格納されている、請求項1に記載のサイドエアバッグ装置。
【請求項5】
前記ハーネス用開口の大きさは、前記ハーネスの径に応じて、前記ハーネスの組付性および前記ハーネスの移動制限性の観点から、決定される、請求項1に記載のサイドエアバッグ装置。
【請求項6】
前記サイドエアバッグ及び前記インフレータが格納された前記ベース部材を、車体前方側から覆う表皮材を備え、
前記ハーネスは、前記表皮材により囲まれて支持されている、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のサイドエアバッグ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドエアバッグ装置に関し、より詳細には、ハーネスの耐久性に悪影響を与えることなく、ハーネスの組付け作業が効率的に行うのが可能なサイドエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車が側面衝突した際に車体と乗員との間に介在して衝撃を吸収するサイドエアバッグを備えたシートが知られている。
このようなサイドエアバッグ装置は、車体幅方向において車体ドアと後部座席との間に配置され、サイドエアバッグの内部にガスを注入するインフレータと、サイドエアバッグおよびインフレータを格納する箱状の格納ケースと、格納ケースを車体前方側から覆う樹脂製のベースカバーと、を備え、格納ケースに格納されたサイドエアバッグをインフレータで膨出させると、サイドエアバッグが車体前方側にあるベースカバーの薄肉部を破壊して膨出展開する構成となっている。
より詳細には、インフレータと、車体上に設けられた車両用バッテリーとがハーネスで接続されており、車体方から所定値以上の衝撃が加わったときに、車両用バッテリーからハーネスを介してインフレータに点火用電力が供給され、サイドエアバッグが着座者の側方で膨出展開する構成となっている。
【0003】
特に、車体と後部座席の間に配置され、ハーネスを好適に構成部品に支持させることが可能なサイドエアバッグ装置が、たとえば、特許文献1に開示されている。
このサイドエアバッグ装置は、車体と後部座席の間に設けられ、インフレータのハーネス接続部に上端部が接続され、下端部が車体上に設けられた車両用バッテリーに接続されるハーネスを備え、ハーネスは、インフレータのハーネス接続部に近接して設けられた切欠き部に上端部分が取り付けられ、上下方向にわたってベース格納部の外側壁部に支持された状態で延びている。
このように、ハーネスの配策および支持態様を工夫することにより、車両運転時にハーネスが動き、サイドエアバッグの膨張展開時にサイドエアバッグに干渉したり、シートの構成部品に噛み込んでしまう恐れをある程度解消することが可能である。
しかしながら、特許文献1に開示されたサイドエアバッグ装置には、以下のような技術的問題点が存する。
【0004】
第1に、ハーネスの支持態様に起因して、ハーネスの耐久性に悪影響を与える点である。
より詳細には、ハーネスの上端部がインフレータのハーネス接続部に近接して設けられた切欠き部に嵌め込み支持されていることから、嵌め込みによりハーネスの外表面が傷つきやすく、このような傷つきを防止するために、ハーネスの外表面を覆う保護カバーの厚みが要求されるとともに、切欠き部がインフレータのハーネス接続部に近接して設けられることから、ハーネスは、切り欠き部で嵌め込み支持されて、急に曲げられて車体底面に向かって下方に配策されることから、嵌め込み支持されている傷つき部分が時間経過とともに拡大する恐れがある。
【0005】
第2に、ハーネスの配策態様に起因して、サイドエアバッグ装置の組み込み、特にハーネスの取付作業が効率的に行えない点である。
より詳細には、ハーネスをインフレータのハーネス接続部からベース部材の裏面に引き出して下方に配策していることから、引き回しの自由度が低いことに加え、ハーネスが剥き出しになることから別途、保護用囲いが必要であることから、ハーネスの組付け作業がやりにくい。
【特許文献1】特開2016−20147号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上の技術的課題に鑑み、本発明の目的は、ハーネスの耐久性に悪影響を与えることなく、ハーネスの組付け作業を効率的に行うのが可能なサイドエアバッグ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するために、本発明のサイドエアバッグ装置は、
車体と車内に配置される座席との間に設けられるサイドエアバッグ装置であって、
膨出可能なサイドエアバッグと、
該サイドエアバッグの内部にガスを供給するインフレータと、
折り畳まれた状態の前記サイドエアバッグ及び前記インフレータを格納する格納スペースを有するベース部材と、
前記インフレータに一端部が接続され、該インフレータに点火用電力を供給するハーネスと、を備え、
前記ベース部材は、前記座席の内部に臨む裏面、およびおもて面を有し、該裏面には、該おもて面側に突出する該格納スペースの開口が構成されるとともに、該おもて面には、裏面側に該格納スペースを構成する突出部が形成され、該突出部の下方には、前記ハーネスを前記裏面から前記おもて面に引き出すのに十分な大きさのハーネス用開口を設け、前記おもて面において、該ハーネス用開口の下方には、前記インフレータから車両フロアまで下方に延びる部分に、面の横方向および面の垂直方向に対して移動制限された状態で固定可能なハーネス支持部を有し、
前記ハーネスは、前記インフレータから下方に延び、前記裏面側から前記ハーネス用開口を通過し前記おもて面側に引き出され、車両フロアまで下方に延びる、構成としている。
【0008】
以上の構成を有するサイドエアバッグ装置によれば、ハーネスを介してインフレータに点火用電力が供給されることにより、サイドエアバッグに連結され、ガス発生源となるインフレータからサイドエアバッグの内部に向かってガスが供給されることで、サイドエアバッグが車体と後部座席との間で膨出するようになっている。
その際、折り畳まれた状態のサイドエアバッグ及びインフレータを格納する格納スペースを有するベース部材にあって、ベース部材は、後部座席の内部に臨む裏面、およびおもて面を有し、裏面には、おもて面側に突出する格納スペースの開口が構成されるとともに、おもて面には、裏面側に格納スペースを構成する突出部が形成され、突出部の下方には、ハーネスを裏面からおもて面に引き出すのに十分な大きさのハーネス用開口を設け、おもて面において、ハーネス用開口の下方には、インフレータから車両フロアまで下方に延びる部分に、ハーネス支持部を有することから、ハーネスは、インフレータから下方に延び、裏面側からハーネス用開口を通過しおもて面側に引き出され、車両フロアまで下方に延びるように配策可能であるとともに、ハーネス支持部により、ハーネスを面の横方向および面の垂直方向に対して移動制限された状態で固定可能であることから、ハーネスの耐久性に悪影響を与えることなく、ハーネスの組付け作業を効率的に行うのが可能である。
【0009】
また、前記ハーネス支持部は、前記格納スペースを構成する部分の下方の面に形成され、上下方向に間隔を隔てるガイド部および/またはフック部および/またはクリップ部であるのがよい。
さらに、前記突出部の下方には、前記ハーネス用開口を有する傾斜面が設けられ、
前記インフレータの被組み付け部は、前記格納スペースの底面を構成する縦長面に設けた貫通穴であり、前記ガイド部および/または前記フック部および/または前記クリップ部が設けられる前記下方の面は、縦長面に対して、前記傾斜面を介在し、段差を以て略平行に構成されるのがよい。
【0010】
さらにまた、前記格納スペースにおいて、前記インフレータは、前記ハーネスとの接続部を下端に向けて、上下方向縦長に格納されているのがよい。
加えて、前記ハーネス用開口の大きさは、前記ハーネスの径に応じて、前記ハーネスの組付性および前記ハーネスの移動制限性の観点から、決定されるのがよい。
また、前記サイドエアバッグ及び前記インフレータが格納された前記ベース部材を、車体前方側から覆う表皮材を備え、前記ハーネスは、前記表皮材により囲まれて支持されている、のがよい。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係るサイドエアバッグ装置について、図1ないし図6を参照しながら説明する。
【0012】
図1に示されるように、車両用シート1は、3人用後部座席であり、乗員の背もたれとして利用される傾倒可能なシートバック2と、シートバック2の下端部に後端部が連結され、乗員が着座するシートクッション3と、シートバック2の上端部に上下動可能に支持されて乗員の頭部を支持するヘッドレスト4とから概略構成される。シートバック2は、シートバックフレーム(図示せず)を骨格部材として備え、シートバックフレームに対して、パッド部材50が支持されて表皮材60で覆われることにより、車両用シート1のシートバック2が構成されている。
【0013】
シートバック2の車両幅方向外側の側部には、側面衝突時にサイドエアバッグ11をサイドドア6の内側面に沿って膨張展開させるサイドエアバッグ装置10が内設されている。
【0014】
本実施形態のサイドエアバッグ装置10は、後部座席の背もたれ部となるシートバック2と車体5のサイドドア6との間に配置され、車体側方から着座者に加えられる衝撃を緩和するための装置である。
なお、サイドエアバッグ装置10は、後部座席の車体幅方向の左右外側にそれぞれ1つずつ配置されている。
【0015】
図2に示すように、サイドエアバッグ装置10は、後部座席の各側部に設けられるベース部材20(後に説明)の車体前方側の位置に載置されるパッド部材50と、ベース部材20及びパッド部材50を車体前方側から覆う表皮材60と、膨出可能なサイドエアバッグ11を有するサイドエアバッグユニット26と、表皮材60に一端部が縫着され、他端部がベース部材20に係止され、サイドエアバッグ11の膨出方向を案内する力布28と、を備えている。
【0016】
パッド部材50は、表皮材60とベース部材20との間に載置されるクッション材からなり、ベース部材20の車体前方側に載置されており、ベース部材20の所定位置に設けられたパッド取り付け部(図示せず)に固定されている。
パッド開口部(図示せず)が、上下方向に長尺な開口部分として設けられ、表皮材60側からベース部材20側に向かって力布28が挿通されている。
【0017】
サイドエアバッグ11が膨出展開する際、パッド部材50は、車体幅方向においてパッド開口部30を分岐点として分かれて展開されるようになっている。
このとき、サイドエアバッグ11の膨出方向が力布28によって案内されるため、車体前方のパッド部材50の一部が飛散することなく、好適にサイドエアバッグ11を展開させることができる。
【0018】
表皮材60は、パッド部材50およびベース部材20を車体前方側から覆う部材からなり、サイドエアバッグ11の膨出展開時に開裂する部分となる表皮開裂部(図示せず)が形成され、サイドエアバッグ11が膨出展開する際、表皮材60は、表皮開裂部を分岐点として分かれて展開される。
【0019】
力布28は、サイドエアバッグ11の膨出展開方向を車体前方側に案内する布部材からなり、車体前後方向においてパッド部材50とサイドエアバッグ11との間を通過するように延びている。
【0020】
図3に示すように、サイドエアバッグユニット26は、サイドエアバッグ11の内部にガスを供給するインフレータ32と、折り畳まれた状態のサイドエアバッグ11及びインフレータ32を格納するベース部材20と、インフレータ32に接続され、インフレータ32に点火用電力を供給するハーネス41と、から概略構成されている。
【0021】
サイドエアバッグ11は、車体からの側方衝撃荷重が加わったときに、折り畳まれた状態から、車体前方側に向かって風船状に膨出展開可能な袋状部材から形成される。
より詳細には、サイドエアバッグ11は、通常、シートバック2のサイドドア6側の側部内に折り畳み状態で格納され、サイドエアバッグ11に連結され、ガス発生源となるインフレータ32からサイドエアバッグ11の内部に向かってガスが供給されることにより、サイドエアバッグ11が膨出するようにしている。
図2に示すように、インフレータ32は、長尺な略円柱形状のガス発生装置からなり、シートバック2の高さ方向を長手方向として縦置き式に配置されている。インフレータ32の軸方向の一端部(例えば、下端部)には、ガス噴出口(図示せず)が形成されたガス噴出部(図示せず)が設けられており、ガス噴出口からサイドエアバッグ11内へガスが供給されるようになっている。
インフレータ32は、上端部に形成され、ハーネス41に接続されるハーネス接続部38と、外表面よりも車体側方側に突出し、ベース部材20に組み付けられる組み付け部を構成するねじ部74と、を備えている。
【0022】
車体からの側方衝撃荷重が加わったときには、車両フロア上で着座者の足下側に配置された車両用バッテリー(図示せず)からハーネス41を介してインフレータ32に点火用電力が供給され、サイドエアバッグ11が着座者の側方で膨出展開するようになっている。
【0023】
ハーネス41は、複数の電気配線をまとめて、コルゲートチューブで覆い、カプラを端部に取り付けたもので、インフレータ32に点火用電力を供給するワイヤー状である。
図3に示すように、ハーネス41は、インフレータ32の上端部にあるハーネス接続部38に上端部42が接続され、下端部43が車両フロア上において着座者の足下側に配置される車両用バッテリーに接続されており、上下方向に亘って、ベース部材20によって支持された状態で延びている。
より具体的には、ハーネス41は、インフレータ32のハーネス接続部に接続された上端部42から、下方に延びて、ハーネス支持部40(後に説明)により支持されて、車体上に設けられた車両用バッテリーに下端部43が接続されている。
【0024】
次に、図3ないし図6を参照しながら、ベース部材20について、ベース部材20の構成、インフレータ32の格納態様、ハーネス41の態様、ハーネス41の取付態様、インフレータ32の被組み付け部、およびベース部材20におけるハーネス41の支持部とインフレータ32の被組み付け部との関係の順に説明する。
インフレータ32は、箱体状のケーシング44内に収納され、ケーシング44がベース部材20の裏面51側に開口56が臨む格納スペース54内に嵌め込まれ、ベース部材20のおもて面52側からブラケット45および力布ブラケット46を介して、インフレータ32の側部に高さ方向に間隔を隔てたねじ部74がベース部材20に設けた貫通孔72を貫通して、ナット73により締結され、インフレータ32、ケーシング44、ベース部材20、ブラケット45および力布ブラケット46が一体固定されている。
【0025】
(1)ベース部材20の構成
ベース部材20は、裏面51およびおもて面52を有する縦長面材であり、裏面51には、おもて面52側に突出する格納スペース54の開口56が構成され、格納スペース54は、折り畳まれたサイドエアバッグ11およびインフレータ32を格納し、おもて面52には、格納スペース54の底面部58、側面部60、および上面部62それぞれに対応する底面、側面、および上面により構成される突出部64が形成されている。
突出部64の下方には、ハーネス41をベース部材20の裏面51からおもて面52に引き出すのに、矩形状のハーネス用開口57を設けた傾斜面66が設けられ、傾斜面66の下方には、互いに上下方向に間隔を隔てる、ガイド部69、フック部68およびクリップ部70が設けられる。
より詳細には、ガイド部69、2つのフック部68およびクリップ部70が上下方向に、この順に設けられる。
ハーネス用開口57の大きさは、ハーネス41の径に応じて、ハーネス41の組付性およびハーネス41の移動制限性の観点から、決定すればよく、ハーネス41を裏面51からおもて面52に引き出すのに、ハーネス用開口57は大きいのが好ましいが、大き過ぎると、ハーネス41の移動制限性が低下し、ハーネス用開口57が小さいほどハーネス41の移動制限性は向上するが、ハーネス41の組付性は低下する。ハーネス41の移動制限性の観点から、フック部68およびクリップ部70の設置位置は、ハーネス用開口57の一方の縁76に寄って設けるのが好ましい。
なお、ベース部材20を後部座席の側部に取り付けるのに、ブラケット(図示せず)を介して、車体側にボルト固定するのがよい。

(2)インフレータ32の格納態様
インフレータ32は、ケーシング44に収納された状態で、ベース部材20の格納スペース54に格納され、ハーネス41との接続部を下端に向けて、上下方向縦長に格納されている。
(3)ハーネス41の態様
ハーネス41は、インフレータ32の下端から下方に延び、ベース部材20の裏面51側からおもて面52側にハーネス用開口57を通過し、車両フロアまで下方に延びる。
【0026】
(4)ハーネス41の取付態様
ハーネス41は、その下端から車両フロアまで下方に延びる部分において、ベース部材20の格納スペース54を構成する部分の下方の面80に形成された、ガイド部69、フック部68およびクリップ部70を介して、面の横方向および面の垂直方向に対して移動制限された状態で固定されている。
ガイド部69は、I断面部材であり、ハーネス41の面の横向き一方向の移動制限とともに、長手方向にハーネス41を案内する部材であり、フック部68は、L断面部材であり、ハーネス41の面の横向き一方向の移動制限とともに、面の垂直方向の移動制限をするものであり、クリップ部70は、C断面部材であり、ハーネス41の略全周を覆うことにより、ハーネス41の面の横向き両方向の移動制限とともに、面の垂直方向の移動制限をするものである。いずれも、ベース部材20と別途の部材として構成し、ベース部材20のおもて面52に、たとえば、ねじ固定するのでもよく、特に、ガイド部69およびフック部68は、おもて面52を起こし爪加工して形成してよい。
インフレータ32から車両フロアに向かうハーネス41のルートにおいて、たとえば、隣接するフック部68間において、設置の向き(L断面のLの開口の向き)を互いに逆にすることにより、ハーネス41の面の横向きの両方向の移動制限が可能である。
ベース部材20のおもて面52側に突出する格納スペース54を裏面51側に設け、格納スペース54内にインフレータ32を収納し、格納スペース54の底面58とほぼ平行な下面を突出部64の下方に設けるとともに、格納スペース54の底面58と下面との段差となる部分に傾斜面66を設け、そこに、ハーネス用開口57を設けることにより、インフレータ32から車両フロアまでのハーネス41の配策ルートとして、極端な曲がり部を有しないようにすることが可能であり、それにより、ハーネス41の耐久性に資することが可能である。
【0027】
(5)インフレータ32の被組み付け部
インフレータ32に設けたねじ部74に対して、格納スペース54の底面部58を構成する底面58に貫通孔72が設けられ、インフレータ32をケーシング44に格納した状態で、格納スペース54に収納し、ねじ部74を貫通孔72に貫通させた状態でナット73により固定される。
【0028】
(6)ベース部材20におけるハーネス41の支持部とインフレータ32の被組み付け部との関係
ベース部材20におけるハーネス41の支持部は、ベース部材20の格納スペース54を構成する部分(突出部64)の下方の面80に形成され、互いに上下方向に間隔を隔てるフック部68およびクリップ部70であり、インフレータ32の被組み付け部は、格納スペース54の底面58を構成する縦長面に設けた貫通孔72であり、フック部68およびクリップ部70が設けられる下方の面80は、縦長面に対して、傾斜面66を介在し、段差を以て略平行に構成される。
以上のように、ハーネス41は、ベース部材20のおもて面52において、突出部64下方の奥まったスペースで、ガイド部69、フック部68およびクリップ部70により支持されており、突出部64により、ハーネス41が保護されていることになり、突出部64の突出高さ、すなわち、格納スペース54の底面部58の深さは、このような観点から定めるとよい。
これにより、従来のように、ハーネス41を囲うことにより保護する保護用囲いを設ける必要がなくなる。
ガイド部69、フック部68およびクリップ部70相互の間隔は、ハーネス41を面の横方向および垂直方向に確実に移動制限可能な観点から定めればよい。
【0029】
次に、サイドエアバッグユニット26の取り付け方法について説明する。
まず、力布71の一端および他端をそれぞれ、力布ブラケット46および表皮材60の表皮開裂部に縫い付けて、力布71、力布ブラケット46および表皮材60を一体の状態でパッド部材50に通して、組付け可能としておく。
次いで、ケーシング44に収納したインフレータ32を、ねじ部74がベース部材20の貫通孔72をおもて面52側に貫通するように、ベース部材20の格納スペース54内にサイドエアバッグ11とともに収納し、ベース部材20のおもて面52側から、カラー75、ブラケット45および力布ブラケット46を介して、ねじ部74をナット締結することにより、インフレータ32、ケーシング44、ベース部材20、ブラケット45および力布ブラケット46を一体固定する。
その際、インフレータ32の接続部にハーネス41の一端を接続しておく。
これにより、力布71は、力布ブラケット46を介して、他端がベース部材20側に固定される。
次いで、ハーネス41の他端をベース部材20のハーネス用開口57を介して、裏面51側からおもて面52側に引き出し、フック部68およびクリップ部70によりハーネス41を支持し、車両フロアの電源側に接続する。
次いで、パッド部材50を設け、パッド部材50の外側を表皮材60で覆い、ベース部材20を後部座席の側部に、ボルト固定する。
以上で、サイドエアバッグユニット26の取り付けが完了する。
【0030】
以上の構成を有するサイドエアバッグ装置10によれば、ハーネス41を介してインフレータ32に点火用電力が供給されることにより、サイドエアバッグ11に連結され、ガス発生源となるインフレータ32からサイドエアバッグ11の内部に向かってガスが供給されることで、サイドエアバッグ11が車体と後部座席との間で膨出するようになっている。
その際、折り畳まれた状態のサイドエアバッグ11及びインフレータ32を格納する格納スペース54を有するベース部材20にあって、ベース部材20は、後部座席の内部に臨む裏面51、およびおもて面52を有し、裏面51には、おもて面52側に突出する格納スペース54の開口56が構成されるとともに、おもて面52には、裏面51側に格納スペース54を構成する突出部64が形成され、突出部64の下方には、ハーネス41を裏面からおもて面52に引き出すのに十分な大きさのハーネス用開口57を設け、おもて面52において、ハーネス用開口57の下方には、インフレータ32から車両フロアまで下方に延びる部分に、ハーネス支持部を有することから、ハーネス41は、インフレータ32から下方に延び、裏面51側からハーネス用開口57を通過しおもて面52側に引き出され、車両フロアまで下方に延びるように配策可能であるとともに、ハーネス支持部により、ハーネス41を面の横方向および面の垂直方向に対して移動制限された状態で固定可能であることから、ハーネス41の耐久性に悪影響を与えることなく、ハーネス41の組付け作業を効率的に行うのが可能である。
【0031】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内において、当業者であれば、種々の修正あるいは変更が可能である。
たとえば、本実施形態において、具体例として自動車の後部座席に用いられるサイドエアバッグ装置10について説明したが、これに限定されることなく、自動車の前部座席、電車、バス等の車両用シート、飛行機、船等の乗物用シート等に利用されるものであっても良い。
たとえば、本実施形態において、3分割型のシートバックを有する後部座席を対象に説明したが、それに限定されることなく、ベンチシートは除外されるが、リアシートの幅方向に2分割のシートバックでもよい。
たとえば、本実施形態において、ハーネス支持部として、インフレータ32から車両フロアに向かうハーネス41のルートにおいて、ガイド部69、フック部68、フック部68、およびクリップ部70の順に設けるものとして説明したが、それに限定されることなく、ハーネス支持部によりハーネス41が面の横方向および面の垂直方向に対して移動制限された状態となる限り、適宜の組合せでよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本実施形態のサイドエアバッグ装置の配置を示す説明図である。
図2図1のA−A断面図であって、サイドエアバッグ11が格納された状態を示す図である。
図3】本実施形態のサイドエアバッグ装置のベース部材20の分解図である。
図4】本実施形態のサイドエアバッグ装置のベース部材20をおもて面側から見たときの斜視図である。
図5】本実施形態のサイドエアバッグ装置のベース部材20のハーネスの支持部まわりの詳細部分斜視図である。
図6】本実施形態のサイドエアバッグ装置のベース部材20を背面側から見たときの概略斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
1 車両用シート
2 シートバック
3 シートクッション
4 へッドレスト
5 車体
6 車体ドア
10 サイドエアバッグ装置
11 サイドエアバッグ
12 ハーネス接続部
13 組み付け軸部
20 ベース部材
26 サイドエアバッグユニット
32 インフレータ
40 ハーネス支持部
41 ハーネス
42 上端部
43 下端部
44 ケーシング
45 ブラケット
46 力布ブラケット
50 パッド部材
51 裏面
52 おもて面
54 格納スペース
56 開口
57 ハーネス用開口
58 底面部
60 表皮材
64 突出部
66 傾斜面
68 フック部
69 ガイド部
71 力布
70 クリップ部
72 貫通穴
73 ナット
74 ねじ部
75 カラー
76 一方の縁
80 下方の面

図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2019年11月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、車内に配置される座席との間に設けられるサイドエアバッグ装置であって、
膨出可能なサイドエアバッグと、
該サイドエアバッグの内部にガスを供給するインフレータと、
折り畳まれた状態の前記サイドエアバッグ及び前記インフレータを格納する格納スペースを有する一体型ベース部材と、
前記インフレータに一端部が接続され、該インフレータに点火用電力を供給するハーネスと、を備え、
前記ベース部材は、前記座席の内部に臨む裏面、およびおもて面を有し、該裏面には、該おもて面側に突出する該格納スペースの開口が構成されるとともに、該おもて面には、裏面側に該格納スペースを構成する突出部が形成され、該突出部の下方には、前記ハーネスを前記裏面から前記おもて面に引き出すのに十分な大きさのハーネス用開口を設け、前記おもて面において、該ハーネス用開口の下方には、前記インフレータから車両フロアまで下方に延びる部分に、面の横方向および面の垂直方向に対して移動制限された状態で固定可能なハーネス支持部を有し、
前記ハーネスは、前記一端部から延びる部分が前記格納スペース内で支持されることなく、前記インフレータから下方に延び、前記裏面側から前記ハーネス用開口を通過し前記おもて面側に引き出され、車両フロアまで下方に延びる、
ことを特徴とするサイドエアバッグ装置。
【請求項2】
前記ハーネス支持部は、前記格納スペースを構成する部分の下方の面に形成され、上下方向に間隔を隔てるガイド部および/またはフック部および/またはクリップ部である、請求項1に記載のサイドエアバッグ装置。
【請求項3】
前記突出部の下方には、前記ハーネス用開口を有する傾斜面が設けられ、
前記インフレータの被組み付け部は、前記格納スペースの底面を構成する縦長面に設けた貫通穴であり、前記ガイド部および/またはフック部および/または前記クリップ部が設けられる前記下方の面は、縦長面に対して、前記傾斜面を介在し、段差を以て略平行に構成される。請求項2に記載のサイドエアバッグ装置。
【請求項4】
前記格納スペースにおいて、前記インフレータは、前記ハーネスとの接続部を下端に向けて、上下方向縦長に格納されている、請求項1に記載のサイドエアバッグ装置。
【請求項5】
前記ハーネス用開口の大きさは、前記ハーネスの径に応じて、前記ハーネスの組付性の観点から定まる下限値と、前記ハーネスの移動制限性の観点から定まる上限値との間に設定される、請求項1に記載のサイドエアバッグ装置。
【請求項6】
前記サイドエアバッグ及び前記インフレータが格納された前記ベース部材を、車体前方側から覆う表皮材を備え、
前記ハーネスは、前記表皮材により囲まれて支持されている、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のサイドエアバッグ装置。
【手続補正書】
【提出日】2020年6月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、車内に配置される座席との間に設けられるサイドエアバッグ装置であって、
膨出可能なサイドエアバッグと、
該サイドエアバッグの内部にガスを供給するインフレータと、
折り畳まれた状態の前記サイドエアバッグ及び前記インフレータを格納する格納スペース
を有する一体型ベース部材と、
前記インフレータに一端部が接続され、該インフレータに点火用電力を供給するハーネス
と、を備え、
前記ベース部材は、前記座席の内部に臨む裏面、およびおもて面を有し、該裏面には、該
おもて面側に突出する該格納スペースの開口が構成されるとともに、該おもて面には、裏
面側に該格納スペースを構成する突出部が形成され、該突出部の下方には、前記ハーネス
を前記裏面から前記おもて面に引き出すのに十分な大きさのハーネス用開口を設け、前記
おもて面において、該ハーネス用開口の下方には、前記インフレータから車両フロアまで
下方に延びる部分に、面の横方向および面の垂直方向に対して移動制限された状態で固定
可能なハーネス支持部を有し、
前記突出部の突出高さは、前記突出部の下方で前記おもて面側に露出するハーネスを保護する観点から定められており、
前記ハーネスは、前記一端部から延びる部分が前記格納スペース内で支持されることな
く、前記インフレータから下方に延び、前記裏面側から前記ハーネス用開口を通過し前記
おもて面側に引き出され、車両フロアまで下方に延びる、
ことを特徴とするサイドエアバッグ装置。
【請求項2】
前記ハーネス支持部は、前記格納スペースを構成する部分の下方の面に形成され、上下方
向に間隔を隔てるガイド部および/またはフック部および/またはクリップ部である、請求
項1に記載のサイドエアバッグ装置。
【請求項3】
前記突出部の下方には、前記ハーネス用開口を有する傾斜面が設けられ、
前記インフレータの被組み付け部は、前記格納スペースの底面を構成する縦長面に設けた
貫通穴であり、前記ガイド部および/またはフック部および/または前記クリップ部が設け
られる前記下方の面は、縦長面に対して、前記傾斜面を介在し、段差を以て略平行に構成
される。請求項2に記載のサイドエアバッグ装置。
【請求項4】
前記格納スペースにおいて、前記インフレータは、前記ハーネスとの接続部を下端に向け
て、上下方向縦長に格納されている、請求項1に記載のサイドエアバッグ装置。
【請求項5】
前記ハーネス用開口の大きさは、前記ハーネスの径に応じて、前記ハーネスの組付性の観
点から定まる下限値と、前記ハーネスの移動制限性の観点から定まる上限値との間に設定
される、請求項1に記載のサイドエアバッグ装置。
【請求項6】
前記サイドエアバッグ及び前記インフレータが格納された前記ベース部材を、車体前方側
から覆う表皮材を備え、
前記ハーネスは、前記表皮材により囲まれて支持されている、請求項1ないし請求項5の
いずれか1項に記載のサイドエアバッグ装置。