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特開2020-175914複数列縦型充填包装機および複数列充填包装方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-175914(P2020-175914A)
(43)【公開日】2020年10月29日
(54)【発明の名称】複数列縦型充填包装機および複数列充填包装方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 41/00 20060101AFI20201002BHJP
   B65B 9/02 20060101ALI20201002BHJP
   B65B 51/16 20060101ALI20201002BHJP
【FI】
   B65B41/00 502B
   B65B9/02
   B65B51/16 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-78583(P2019-78583)
(22)【出願日】2019年4月17日
(71)【出願人】
【識別番号】307028493
【氏名又は名称】株式会社悠心
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】特許業務法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】二瀬 克規
【テーマコード(参考)】
3E050
3E094
【Fターム(参考)】
3E050AA02
3E050AB02
3E050AB07
3E050BA01
3E050BA02
3E050BA03
3E050CA01
3E050DA07
3E050DB01
3E050DC01
3E050DD04
3E050DE01
3E050DF02
3E050FB01
3E050FB07
3E050GA03
3E050GB03
3E094AA13
3E094BA01
3E094BA04
3E094BA06
3E094CA08
3E094DA08
3E094EA03
3E094FA11
3E094HA10
3E094HA20
(57)【要約】
【課題】横シール部への縦シワの発生を抑制することができると共に、被包装物の容量効率の高い包装体を複数列で同時に製造することのできる複数列縦型充填包装機および複数列充填包装方法を提供すること。
【解決手段】プラスチックフィルムの両側端部どうしを長手方向に連続的に縦シールすることにより、1の広幅筒状体を連続的に形成する一対の縦シールロールと、前記広幅筒状体の幅方向の1以上の位置を、幅方向の中央部に非シール部分を残して長手方向に連続的にヒートシールして境界縦シール部を形成する一対の境界縦シールロールと、前記境界縦シール部の非シール部分を長手方向に切断して、並列する複数の狭幅筒状体列に切り分けて独立させる一対のカットロールと、各狭幅筒状体列に対し、被包装物を充填しながら長手方向に所定の間隔をおいて横シールを施すことにより包装体を連続的に製袋していく一対の横シールロールと、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックフィルム製包装袋内に被包装物を充填してなる充填包装体を、複数列で同時に連続して製造する複数列縦型充填包装機であって、
長手方向に連続して繰り出され、幅方向に折り返して使用される1枚のプラスチックフィルムの少なくとも非折返し側端部どうし、または、連続して繰り出される2枚のプラスチックフィルムの両側端部どうしをそれぞれ、長手方向に連続的に縦シールすることにより、1の広幅筒状体を連続的に形成する一対の縦シールロールと、
前記広幅筒状体の幅方向の1以上の位置を、幅方向の中央部に0.3mm以上5.0mm以下の幅の非シール部分を残して長手方向に連続的にヒートシールして境界縦シール部を形成する一対の境界縦シールロールと、
前記境界縦シール部の非シール部分を、前記境界縦シールロール直下の該境界縦シールロールのロール軸芯から40〜300mm離れた位置で、長手方向に連続的に切断して、並列する複数の狭幅筒状体列に切り分けて独立させる一対のカットロールと、
切り分けられ独立して走行する各狭幅筒状体列に対し、被包装物を充填しながら長手方向に所定の間隔をおいて横シールを施すことにより包装体を連続的に製袋していく一対の横シールロールと、
を備えることを特徴とする複数列縦型充填包装機。
【請求項2】
前記境界縦シール部は、前記非シール部分の両側にそれぞれ0.3mm以上5.0mm未満の縦シール部分を有することを特徴とする請求項1に記載の複数列縦型充填包装機。
【請求項3】
前記境界縦シールロールは、少なくとも一方の周面の幅方向中央部に凹部を有し、該凹部に対応した位置に前記非シール部分を形成するものであることを特徴とする請求項1または2に記載の複数列縦型充填包装機。
【請求項4】
前記横シールロールはそれぞれその周方向に複数本のヒートシールバーを等間隔に有し、一対の該横シールロールの少なくとも一方のヒートシールバーには、注出口形成用の窪み部を設けてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の複数列縦型充填包装機。
【請求項5】
前記カットロールと前記横シールロールとの間に、一対の絞りロールを配設してなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の複数列縦型充填包装機。
【請求項6】
プラスチックフィルム製包装袋内に被包装物を充填してなる充填包装体を、複数列で同時に連続して製造するための方法であって、
長手方向に連続して繰り出され、幅方向に折り返して使用される1枚のプラスチックフィルムの少なくとも非折返し側端部どうし、または、連続して繰り出される2枚のプラスチックフィルムの両側端部どうしをそれぞれ、一対の縦シールロールによって長手方向に連続的に縦シールすることにより、1の広幅筒状体を連続的に形成する広幅筒状体形成工程と、
前記広幅筒状体の幅方向の1以上の位置を、一対の境界縦シールロールによって幅方向の中央部に0.3mm以上5.0mm以下の幅の非シール部分を残して長手方向に連続的にヒートシールして境界縦シール部を形成する境界縦シール工程と、
前記境界縦シール部の非シール部分を前記境界縦シールロール直下の、該境界縦シールロールのロール軸芯から40〜300mm離れた位置で、一対のカットロールによって長手方向に連続的に切断して、並列する複数の狭幅筒状体列に切り分けて独立させるカット工程と、
切り分けられ独立して走行する各狭幅筒状体列に対し、一対の横シールロールによって被包装物を充填しながら長手方向に所定の間隔をおいて横シールを施すことにより包装体を連続的に製袋していく製袋工程と、
を有することを特徴とする複数列充填包装方法。
【請求項7】
前記境界縦シール部は、前記非シール部分の両側にそれぞれ0.3mm以上5.0mm未満の縦シール部分を有することを特徴とする請求項6に記載の複数列充填包装方法。
【請求項8】
前記境界縦シールロールは、少なくとも一方の周面の幅方向中央部に凹部を有し、該凹部に対応した位置に前記非シール部分が形成されることを特徴とする請求項6または7に記載の複数列充填包装方法。
【請求項9】
前記カットロールと前記横シールロールとの間に、一対の絞りロールを配設することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の複数列充填包装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、長尺のプラスチックフィルムを製袋して、液状や粘稠状、粉粒状等の被包装物を充填包装して包装体を製造する充填包装機および充填包装方法に関し、とくには、連続して複数の包装体を同時に並列して製造することのできる複数列縦型充填包装機と複数列充填包装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲食物や調味液、医薬品、化学品等の液状物、粘稠物もしくは粉・粒状物からなる被包装物を、軟質のプラスチックフィルムを袋状に成形しながら複数列で同時に並行して充填包装することのできる多列充填のための包装機としては、引用文献1に記載されたようなものがある。
【0003】
この既知の多列充填包装機では、1条の幅広のプラスチックフィルムを4列あるいはそれ以上の複数列に切り分けてから、各列独立した狭幅のプラスチックフィルムを用いて、複数列を独立させた状態のまま製袋し、それぞれ独立して被包装物の充填を行うことで、4方シール形の包装袋が多列で製造されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−217944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の多列充填包装機では、複数列の独立した狭幅のプラスチックフィルムそれぞれについて幅方向の中央位置で二つに折り畳んだ後、重畳する端縁部に縦シールを行うこととしている。ただし、このような充填包装機では、狭幅のプラスチックフィルムを、端縁部どうしが正確に重なり合うように案内し、折り返すことが非常に難しく、シール不良が発生しやすいという問題点があった。
【0006】
そのため、1条の幅広のプラスチックフィルムを二つに折り畳み、複数列で縦シール部を形成して複数列の筒状部が横に連なって一体となったままの各筒状部に対し、それぞれ被包装物の充填と横シールを行った後に、包装体毎に切り分けている。この場合には、横に繋がった複数列の筒状体に対して同時に、一対の横シールロールによって挟持して横シールを行っているため、複数列の筒状部はそれぞれ被包装物で膨らんだ状態にあり、包装用プラスチックフィルム全体が幅方向に広がることができず、相対的に多くの充填量を確保できないという致命的な欠陥がある他、横シール部に被包装物が挟み込まれたり、縦シワが入りやすくなったり、シール強度が不足して被包装物の漏れ出しや破袋が生じるという問題点があった。
【0007】
また、従来の多列充填包装機は、複数の包装体を同時に製造することができるため、包装体を高い生産効率で製造することができるという特徴を有している。しかし、従来の多列充填包装機によって製造される包装体の多くは、4方が縦シール部と横シール部によって囲繞された4方シール形の包装体である。そのため、一辺が折返し部(非シール部)からなる3方シール形の包装体に比べて、多量のフィルムを必要とすると共に、4方に設けられたシール部(シール幅:5〜20mm程度)によって厚み方向への膨らみ(自由度)が拘束されるため、被包装物の容量効率(被包装物の充填量/包装袋の外寸)が低いという欠点があった。
【0008】
そこで、本発明では、横シール部への縦シワの発生を抑制することができると共に、被包装物の容量効率の高い包装体を複数列で同時に製造することのできる複数列縦型充填包装機および複数列充填包装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、プラスチックフィルム製包装袋内に被包装物を充填してなる充填包装体を、複数列で同時に連続して製造する複数列縦型充填包装機であって、長手方向に連続して繰り出され、幅方向に折り返して使用される1枚のプラスチックフィルムの少なくとも非折返し側端部どうし、または、連続して繰り出される2枚のプラスチックフィルムの両側端部どうしをそれぞれ、長手方向に連続的に縦シールすることにより、1の広幅筒状体を連続的に形成する一対の縦シールロールと、
前記広幅筒状体の幅方向の1以上の位置を、幅方向の中央部に0.3mm以上5.0mm以下の幅の非シール部分を残して長手方向に連続的にヒートシールして境界縦シール部を形成する一対の境界縦シールロールと、
前記境界縦シール部の非シール部分を前記境界縦シールロール直下の、該境界縦シールロールのロール軸芯から40〜300mm離れた位置で、長手方向に連続的に切断して、並列する複数の狭幅筒状体列に切り分けて独立させる一対のカットロールと、
切り分けられ独立して走行する各狭幅筒状体列に対し、被包装物を充填しながら長手方向に所定の間隔をおいて横シールを施すことにより包装体を連続的に製袋していく一対の横シールロールと、
を備えることを特徴とする複数列縦型充填包装機である。
【0010】
本発明の複数列縦型充填包装機においては、
(1)前記境界縦シール部は、前記非シール部分の両側にそれぞれ0.3mm以上5.0mm未満の縦シール部分を有すること、
(2)前記境界縦シールロールは、少なくとも一方の周面の、幅方向中央部に凹部を有し、該凹部に対応した位置に前記非シール部分を形成するものであること、
(3)前記横シールロールはそれぞれその周方向に複数本のヒートシールバーを等間隔に有し、一対の該横シールロールの少なくとも一方のヒートシールバーには、注出口形成用の窪み部を設けてなること、
(4)前記カットロールと前記横シールロールとの間に、一対の絞りロールを配設してなること、
が好ましい。
【0011】
また、本発明は、プラスチックフィルム製包装袋内に被包装物を充填してなる充填包装体を、複数列で同時に連続して製造するための方法であって、長手方向に連続して繰り出され、幅方向に折り返して使用される1枚のプラスチックフィルムの少なくとも非折返し側端部どうし、または、連続して繰り出される2枚のプラスチックフィルムの両側端部どうしをそれぞれ、一対の縦シールロールによって長手方向に連続的に縦シールすることにより、1の広幅筒状体を連続的に形成する広幅筒状体形成工程と、
前記広幅筒状体の幅方向の1以上の位置を、一対の境界縦シールロールによって幅方向の中央部に0.3mm以上5.0mm以下の幅の非シール部分を残して長手方向に連続的にヒートシールして境界縦シール部を形成する境界縦シール工程と、
前記境界縦シール部の非シール部分を前記境界縦シールロール直下の、該境界縦シールロールのロール軸芯から40〜300mm離れた位置で、一対のカットロールによって長手方向に連続的に切断して、並列する複数の狭幅筒状体列に切り分けて独立させるカット工程と、
切り分けられ独立して走行する各狭幅筒状体列に対し、一対の横シールロールによって被包装物を充填しながら長手方向に所定の間隔をおいて横シールを施すことにより包装体を連続的に製袋していく製袋工程と、
を有することを特徴とする複数列充填包装方法である。
【0012】
本発明の複数列充填包装方法においては、
(1)前記境界縦シール部は、前記非シール部分の両側にそれぞれ0.3mm以上5.0mm未満の縦シール部分を有すること、
(2)前記境界縦シールロールは、少なくとも一方の周面の、幅方向中央部に凹部を有し、該凹部に対応した位置に前記非シール部分が形成されること、
(3)前記カットロールと前記横シールロールとの間に、一対の絞りロールを配設すること、
が好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る複数列縦型充填包装機および複数列充填包装方法によれば、まずプラスチックフィルムからなる1の広幅筒状体を形成した後、該広幅筒状体に、境界縦シールロールを使って長手方向に連続的な複数列の境界縦シール部を形成すると共に、その直下位置(境界縦シールロールの軸心から40〜300mm離れた位置)で該境界縦シール部の幅方向中央位置を長手方向に連続して切断して複数の狭幅筒状体列に切り分け、次いで、それぞれ独立した狭幅筒状体列に対し、被包装物を一対の横シールロールによって絞り出しながら横シールして充填包装している。このように構成することで、横シールの際に、狭幅筒状体列はそれぞれ、並列する他の狭幅筒状体列によって拘束されることがなく独立した状態にあることから、幅方向(横方向)へ自由に変形することができ、そのため、横シール部内への被包装物の挟み込みと縦シワの発生を抑制することができる。
【0014】
とくに本発明によれば、前記境界縦シール部の、幅方向中央部に0.3mm以上5.0mm以下の幅の非シール部分を形成すること、さらにはその非シール部分の両側部に0.3mm以上5.0mm未満の幅の縦シール部を形成し、そして該非シール部分の幅方向中央位置を、前記境界縦シールロールの直下位置で一対のカットロールによって長手方向に切断して複数の狭幅筒状体列に切り分けている。そのため、溶融したプラスチックフィルム樹脂のカス(滓)が、カットロールの刃に付着等することがない。そのため、カットロールの切れ味の低下を招くことなく、長期にわたって効率的に使用することができる。
【0015】
また、前記狭幅筒状体列に横シール部を施すことによって製造される充填包装体の、前記境界縦シール部の縦シール部分によって構成される左右の縦シール部を、従来よりも狭幅(0.3mm以上5.0mm未満)にすることでプラスチックフィルムの使用量を従来よりも削減することができる。さらに、本発明によれば、包装体が左右の縦シール部による拘束を受けることがなくなるため、厚み方向に自由に膨らむことができるようになり、その結果、三方シール形の包装体と同等およびそれ以上の容量効率を達成することが可能になると共に、プラスチックフィルムの使用量の削減や製造コストの低減を果たすことができる。
【0016】
また、従来の多列充填包装機では、複数列で形成される各縦シール部のシール幅が広幅(5.0mm以上)であったため、該縦シール部の冷却に時間がかかり、高い温度のまま横シール手段へと繰り出されていた。そのため、縦シール部と重なる横シール位置においては、温度が高くなりすぎて、プラスチックフィルムが過剰に溶融して流動し、ピンホール等の不具合が発生する原因となっていた。
これに対し、本発明によれば、上記したように複数の狭幅筒状体列の、各狭幅筒状体列のそれぞれの側部に位置する前記境界縦シール部の、縦シール部分の幅は0.3mm以上5.0mm未満と狭幅で、早く冷却するため、横シール時におけるプラスチックフィルムの過剰な溶融を抑制し、ピンホール等の不具合の発生を阻止することができる。
【0017】
また、本発明によれば、前記カットロールと前記横シールロールとの間に、一対の絞りロールを設けることで、被包装物の充填量を調整することができると共に、横シールロールに繰り出される狭幅筒状体列の形状を安定化させて横シール部における被包装物の挟み込みと縦シワの発生をより一層、抑制することができる。
【0018】
また、本発明によれば、前記一対の横シールロールがそれぞれ、その周方向に等間隔に位置する複数本のヒートシールバーを有し、該横シールロールの少なくとも一方のヒートシールバーに窪み部を設けたことで、横シール部が、該窪み部に相当する位置に非シール部分を残してヒートシールされることになり、これにより横シール部の形成と同時に、該横シール部内に、前記非シール部分からなる被包装物の注出通路を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の複数列縦型充填包装機の一実施形態を示す模式図である。
図2】本発明の複数列縦型充填包装機に用いる境界縦シールロールの一実施形態を示す端面図である。
図3】本発明の複数列縦型充填包装機に用いる横シールロールの他の一実施形態を拡大して示す図である。
図4】(a)は図3の横シールロールを具える複数列縦型充填包装機によって製造される包装体を示す正面図であり、(b)は(a)のA−A位置における端面図である。
図5】本発明の複数列縦型充填包装機の他の一実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、この発明に係る複数列縦型充填包装機の一実施形態を示す模式図であり、図面に示すところに基づいて、この発明について説明する。
【0021】
図1に示す複数列縦型充填包装機では、例えば、一軸もしくは二軸延伸したポリエチレンテレフタレートフィルム層やナイロン樹脂フィルム層等からなるベースフィルム層と、無延伸のポリエチレン層やポリプロピレン層等からなるシーラント層とを積層してなるプラスチックフィルムFが巻回されているフィルムロールRから、該プラスチックフィルムFを、上方から下方に向かって連続的に繰り出し走行させながら、その走行中にガイドロッド1で案内しつつ、プラスチックフィルムFを、シーラント層が互いに向かい合わせになるように幅方向に折り返し、その両側端部同士を重ね合わせる。
【0022】
次に、前後で一対の縦シールロール2(水平面内で、図の前後方向で平行に延在する。図では手前側に位置する前方側のものだけを示す。)によって上記のように折り返して重ね合わせたプラスチックフィルムFの両側端部を挟持しつつ、該縦シールロール2によって加熱、加圧することで、縦シールロール2の回転下で、そのシーラント層どうしを長手方向(縦方向)に連続して融着接合させて縦シール部4を形成し、これによって広幅筒状体5を形成する。
【0023】
ここで一対の縦シールロール2は、それらを相互に逆向きに等速で回転駆動させる、一の駆動モータおよび歯車機構(図示しない)と、一方(前方側)の縦シールロール2の両端部を軸受け支持する軸受けブロックを、他方(後方側)の縦シールロール2を軸受け支持する軸受けブロックに向けて押圧する一対の、たとえばエアシリンダを備えている。
【0024】
このような一対の縦シールロール2はそれぞれ所定の間隔をおいて外周面に1以上の円形フランジ状のシールバー3、3’を有するとともに、該シールバー3、3’の加熱に寄与するヒータを内蔵している。
一対の前記縦シールロール2は、図示しない一対のシリンダによって前方側の縦シールロール2を後方側の縦シールロール2に向けて押圧することで、プラスチックフィルムFの重ね合わせ側端部および折返し端部を両シールバー3、3’間に挟持し、加熱、加圧して合掌状に融着させて縦シール部4を形成し、広幅筒状体5を形成するとともに、縦シールロール2の回転に基づいて該広幅筒状体5を図の下方側へ繰り出し走行させる。
【0025】
なお、他の実施形態として、プラスチックフィルムFの重ね合わせ側端部および折返し端部に相当する位置に設けられたシールバー3、3’のうち、折返し端部側のシールバー3’を省略して、重ね合わせ側端部だけにシールバー3を設けることもできる。また、広幅筒状体5は、上記のように1枚の長尺のプラスチックフィルムFを幅方向に折り返して形成する他、2つのフィルムロールRを使ってそれぞれ繰り出された2枚のプラスチックフィルムFを重ね合わせ、その両側端部を長手方向に加熱および加圧して縦シール部4を形成し、これにより広幅筒状体5を形成してもよい。この場合は、折返し端部側は存在せず、両側端部にシールバー3、3’が必要となる。
【0026】
次に、1対の境界縦シールロール6によって、広幅筒状体5を表裏から挟持しつつ、例えば複数列が2列の場合では、図1に拡大して示すように、その幅方向中央位置を長手方向に連続的にヒートシールして一の境界縦シール部7を形成した後、その直下に設けられた一対のカットロール23によって、境界縦シール部7の幅方向中央位置を長手方向に連続して切断することにより、2列の狭幅筒状体列8、8’が形成される。
これにより図1に示すように、2つに切り離された一方の狭幅筒状体列8は、側端部が縦シール部4と、境界縦シール部7を長手方向に切断して形成される一方の狭幅縦シール部7aとによってシールされ、同様に他方の狭幅筒状体列8’は、縦シール部4と他方の狭幅縦シール部7bとによってシールされた状態となる。
【0027】
なお、前記実施形態では、1対のシールアンドカット縦ロール6によって広幅筒状体5を2列に切断して、並列する独立した2つの狭幅筒状体列8、8’に切り分ける場合を一例として示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、シールアンドカット縦ロール6は、広幅筒状体5の幅方向に複数設けてもよく、これによれば、1の広幅筒状体5を独立した複数の狭幅筒状体列8・・・に切り分けて、該狭幅筒状体列8・・・から包装体を同時に並列して製造することができるため生産性を向上させることができる。この場合には、並列する複数の狭幅筒状体列8・・・のうち中間位置にあるものは、両側端部が境界縦シール部7を長手方向に切断してなる狭幅縦シール部7a、7bによって形成されることになる。
【0028】
1対の境界縦シールロール6は、図1および図2に示すように、1対の境界縦シールロール6(水平面内で、図の前後方向で平行に延在する。図では手前側に位置する前方側のものだけを示す。)の、少なくとも一方の周面に山形状のシール刃9が突設され、該シール刃9による加熱、加圧によって広幅筒状体5に境界縦シール部7を形成することができる。山形状のシール刃9の刃先は、図2に拡大して示したように、その頂部形状が、両側部が平坦(平坦部9a)で、中央部に凹部9bを有し、凹部9bによって広幅筒状体5の加圧および加熱が阻止されることで、該凹部9bに対応する位置に非シール部分24が形成される。なお、境界縦シール部7の両側部には、平坦部9aによるヒートシールによって狭幅縦シール部7a、7bが形成されることになる。
【0029】
このように形成された境界縦シール部7は、幅方向中央部に位置する非シール部分24が、境界縦シールロール6の直下位置に設けられた一対のカットロール23によって長手方向に連続的に切断されて、狭幅縦シール部7a、7bに切り分けられることになる。なお、カットロール23は、境界縦シールロール6から40〜300mm離れた位置に設け、より好ましくは80〜200mm離れた位置とすることで、非シール部分24のカット位置の位置決めが容易であると共に、カット位置がずれることなく、非シール部分24の略中央位置を長手方向に連続して切断することができる。
【0030】
なお、非シール部分24をカットロール23によって長手方向に切断して、境界縦シール部7を二つに切り分けるようにしたことで、切断時に溶融したプラスチックフィルム樹脂が流動等することがなく、正確な切断を行うことができると共に、溶融したプラスチックフィルム樹脂(滓)が、カットロール23の切断刃に付着することがなく、該切断刃の切れ味が低下することがなく、長期に亘って使用することができる。
【0031】
非シール部分24の幅、即ちシール刃9の凹部9bの幅dは、0.3〜5.0mmとする。これは、非シール部分24の幅が0.3mm未満では、1対のカットロール23によって非シール部分24を切断する際に、カット位置の位置決めが難しく、5.0mm超では、プラスチックフィルムの使用量の抑制効果が期待できないためである。なお、カットロール23は、とくに限定されるものではないが、スコアカッター、シェアカッター、レザーカッター等を用いることができる。
【0032】
上記したように、境界縦シール部7を、幅方向中央部に位置する非シール部分24を長手方向に切断して狭幅縦シール部7a、7bに切り分けることで、その外側縁にはそれぞれ、0.15mm以上2.5mm以下の幅の非シール部分24’が残ることになる。
ところで、狭幅縦シール部7a、7bは、1対の横シールロール10によってヒートシールされると、狭幅縦シール部7a、7bが再溶融し、その溶融した樹脂が食み出して横シールロール10に付着等するおそれがあるが、上記したように、狭幅縦シール部7a、7bの外側縁には非シール部分24’が残っているため、狭幅縦シール部7a、7bから食み出した樹脂は非シール部分24’に滞留されることになり、該樹脂が横シールロール10に付着等するのを効果的に防止することができる。
【0033】
狭幅縦シール部7a、7bのシール幅は、0.3mm以上5.0mm未満であり、より好ましくは0.5mm以上2.0mm以下である。
これは、狭幅縦シール部7a、7bのシール幅が重ね合わせた2枚のプラスチックフィルムFの厚みの3倍以上に相当する長さ、即ち少なくとも0.3mm以上あれば、200kgfを超える荷重に耐え得る包装体Wを提供することができ、一方シール幅が重ね合わせた2枚のプラスチックフィルムFの厚みの10倍以下に相当する長さ、即ち5.0mm未満とすることで、狭幅筒状体列8、8’の厚み方向への膨らみが、狭幅縦シール部7a、7bによって拘束されることがなく、従来の4方シール形の包装体に比べて被包装物の充填量を増加させることができるためである。
【0034】
縦シールロール2によって形成される縦シール部4および横シールロール10によって形成される横シール部12のシール幅は、とくに限定されないが、包装体Wに製袋した際に、左右縦シール部および上下横シール部がそれぞれ好ましくは0.3mm以上5.0mm未満となるようにすれば、被包装物の充填量を更に増加させることができる。
【0035】
さらに、従来の多列充填包装機では、例えば1条の幅広のプラスチックフィルムを二つに折り畳み、複数の縦シール部を設けて、複数列の筒状部を形成し、各筒状部に対してそれぞれ被包装物の充填と横シールを行った後、縦シール位置および横シール位置で切断して、包装体を一体毎または複数体毎に分離させている。この方法では、縦シール部および横シール部の切断位置をピンポイントで設定することが難しく、シール幅を広幅(5mm以上)に設定する必要があり、縦シール部の温度がなかなか下がらず、高い温度のまま横シール手段に繰り出されていた。そのため、横シールする際、縦シール部と重なる位置では、加熱温度が高くなりすぎて、プラスチックフィルムが過剰に溶融されて流動し、ピンホール等が発生する原因となっていた。
これに対しても、上記したように狭幅筒状体列8、8’がそれぞれ独立して走行し、狭幅筒状体列8、8’のそれぞれの側端部に位置する狭幅縦シール部7a、7bのシール幅を5.0mm未満としたことで、該狭幅縦シール部7a、7bが早く冷却されて、横シール時のプラスチックフィルムの過剰の溶融を抑制することができるという効果が期待できる。
【0036】
このようにして切り分けられた狭幅筒状体列8、8’の内側へは、それぞれ図示しないタンクから図示しないポンプおよび供給路を介して、供給された被包装物Mが充填ノズル11a、11bから連続的に充填される。
【0037】
1対の横シールロール10では、独立して走行するそれぞれの狭幅筒状体列8、8’を同時に挟持し、該狭幅筒状体列8、8’の長手方向に所定の間隔をおいて、充填された被包装物を絞り出しながら、その絞り出し位置を加熱および加圧して横シール部12を形成することで、上下端部が横シール部12によって、左右端部が縦シール部4または狭幅縦シール部7a、7bによって包囲された多数の包装体Wを、プラスチックフィルムFの長手方向へ繋がった状態で製袋することができる。
【0038】
このとき、狭幅筒状体列8、8’はそれぞれ、独立した状態にあるため、1対の横シールロール10によって挟持した際に、幅方向(横方向)に容易に変形(広がる)することができる。そのため、一対の横シールロール10によって横シール位置に介在する被包装物を絞り出しながらヒートシールすることができ、横シール部12内への被包装物の挟み込みと、縦シワの発生を効果的に抑制することができる。
【0039】
1対の横シールロール10は、図の前後方向に平行に延在させてあり(図では手前側に位置する前方側のものだけを示す。)、歯車組を介してモータで互いに逆向きにかつ等速で回転駆動するものである。例えば、該横シールロール10については、その外周面上に等間隔に位置し、軸線方向へ延在する複数本のヒートシールバー13を有し、対向するヒートシールバー13同士によって狭幅筒状体列8、8’を挟持し、加熱することで、狭幅筒状体列8、8’の走行方向と直交する方向に、その全幅にわたって横シール部12を形成することができる。
【0040】
なお、横シール手段として、1対の横シールロールを2段で設けてもよく、その場合には、1段目で狭幅筒状体列8、8’を加熱、加圧して横シール部12を形成し、2段目で該横シール部12部分を冷却されたシールバーによって押さえ付けることで、横シール部12を定着させて安定化させることができる。
【0041】
横シールロール10において連続して製袋された包装体Wは、ロータリーカッター等による切り離し手段15によって横シール部12の略中間部を幅方向にカットして一体ずつ、もしくは所要の複数体ずつに切り離したり、横シール部12の略中間部にミシン目を入れて複数体を繋げた状態で搬出される。
【0042】
図3は、複数列縦型充填包装機に用いる横シールロール10の他の実施形態を拡大して示すものであり、包装体Wを3列で並行して製造する場合を一例として示す。
1対の横シールロール10(図では手前側の横シールロールのみを示す)はそれぞれ、ローラ軸線方向に延在して複数本のヒートシールバー13を有し、少なくとも一方の横シールロール10に設けられたヒートシールバー13の端部に窪み部16が設けられている。この1対のヒートシールバー13によって、狭幅筒状体列8、8’、8’’を挟持して加熱、加圧すると、前記窪み部16に相当する位置は非シール部分となり、横シール部12上に、該非シール部分からなる注出通路17が形成されることになる。
【0043】
窪み部16は、横シール部12上に形成される注出通路17が、上側横シール部12上の、狭幅縦シール部7a(および/または7b)に隣接する位置に、好ましくは上側横シール部12の上端縁に向かって次第に狭幅となる形状で形成されるように設けることが好ましい。図4(a)は、図3の横シールロール10で製造された包装体W(3列の狭幅筒状体列8、8’、8’’のうち、中間列の狭幅筒状体列8’で製造された包装体W)であり、狭幅縦シール部7a、7bと横シール部12によって包囲されている。この包装体Wから分かるように、注出通路17は、その先端部を開封して形成される注出口18に向かって先細りとなり、そのため、被包装物の押し出し方向が一定となり、被包装物が飛び散ることがなく、液だれの発生を抑制することができる。
【0044】
また、注出口18は、図4(a)に示したように、包装体Wの上側の横シール部12の上端縁から注出通路17の側端縁に向かって直線状や曲線状等からなる引裂き誘導疵19を設けた場合には、該引裂き誘導疵19に沿って引裂くことで簡単に開封することができる。この場合、引裂き誘導疵19の始端は、上側の横シール部12上端の中程に位置しているため、自動充填包装中に引裂き誘導疵19の始端がロール等に引っ掛かり、該引裂き誘導疵19が不測に破断等してしまうことがない。
【0045】
なお、図4(a)に示す包装体Wにおいても、狭幅縦シール部7a、7bのシール幅を境界縦シール部7の切断によって重ね合わせた2枚のプラスチックフィルムFの厚みの3倍以上10倍以下、即ち0.3mm以上5.0mm未満となるように形成して該狭幅縦シール部7a、7bを狭幅とする。これによれば、図4(b)のA−A位置における端面図に示したように、境界縦シール部7を切断して狭幅縦シール部7aを形成した際に、プラスチックフィルムのシーラント層が、被包装物の充填スペース20側に若干食み出して樹脂溜まり21を形成し、その樹脂溜まり21の存在によって注出通路17の狭幅縦シール部7a側の端縁部は常にストロー状に開いた状態となる。このため、被包装物が注出通路17に沿って注ぎ出し易くなり、液だれ等の発生を有効に抑制することができる。また、狭幅縦シール部7aは、外側縁に上記したように非シール部分24’を有するため、この非シール部分24’によって、横シール部12の形成時に再溶融した狭幅縦シール部7aの樹脂を、図4(b)に示したように非シール部分24’に滞留させ、樹脂溜まり21とすることができるため、前記樹脂が横シールロール10に付着等するのを防止することができる。
【0046】
図5は、本発明の複数列縦型充填包装機の他の一実施形態を示す図であり、この複数列縦型充填包装機では、カットロール23と横シールロール10との間に、一対の絞りロールからなる絞りロール14(図では手前側に位置する前方側のものだけを示す。)が設けられている。この一対の絞りロール14は、例えば、歯車組を介してモータで互いに逆向きにかつ等速で回転駆動するもの等とすることが好ましく、一対の絞りロール14の間隔を調整することで、包装袋W内に充填される被包装物の充填量を調整することができると共に、狭幅筒状体列8、8’の形状を安定化させて、横シールロール10における横シール部12内への縦シワの発生をより一層、抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の複数列縦型充填包装機および複数列充填包装法は、飲食物や調味液、医薬品、化学品等の液状物、粘稠物もしくは粉・粒状物からなる被包装物を複数列で並列して同時に製造する際に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 ガイドロッド
2 縦シールロール
3、3’ 環状フランジ
4 縦シール部
5 広幅筒状体
6 シールアンドカット縦ロール
7 境界縦シール部
7a、7b 狭幅縦シール部
8、8’、8’’ 狭幅筒状体列
9 シール刃
9a 平坦部
9b 凹部
10 横シールロール
11a、11b 充填ノズル
12 横シール部
13 ヒートシールバー
14 絞りロール
15 切り離し手段
16 窪み部
17 注出通路
18 注出口
19 引裂き誘導疵
20 充填スペース
21 樹脂溜まり
23 カットロール
24、24’ 非シール部分
R フィルムロール
F プラスチックフィルム
W 包装体
M 被包装物
図1
図2
図3
図4
図5