(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-175928(P2020-175928A)
(43)【公開日】2020年10月29日
(54)【発明の名称】シャリ玉用容器
(51)【国際特許分類】
B65D 21/036 20060101AFI20201002BHJP
B65D 43/10 20060101ALI20201002BHJP
B65D 85/50 20060101ALI20201002BHJP
【FI】
B65D21/036
B65D43/10
B65D85/50 140
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-79887(P2019-79887)
(22)【出願日】2019年4月19日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1.平成30年11月2日、鈴茂器工株式会社に販売 2.平成31年2月20日〜23日、第26回国際製パン製菓関連産業展にて展示 3.平成31年4月9日〜10日、スズモフエア2019東京にて展示
(71)【出願人】
【識別番号】595130816
【氏名又は名称】株式会社北原産業
(74)【代理人】
【識別番号】100114535
【弁理士】
【氏名又は名称】森 寿夫
(74)【代理人】
【識別番号】100075960
【弁理士】
【氏名又は名称】森 廣三郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155103
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 厚
(74)【代理人】
【識別番号】100194755
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀明
(72)【発明者】
【氏名】北原 俊明
【テーマコード(参考)】
3E006
3E035
3E084
【Fターム(参考)】
3E006AA03
3E006BA10
3E006CA01
3E006DA03
3E006DA04
3E006DB03
3E006DB05
3E035AA10
3E035BA02
3E035BC02
3E035CA01
3E084AA06
3E084AA14
3E084AA24
3E084AB10
3E084BA01
3E084CA03
3E084CC03
3E084GA08
3E084GB12
3E084LD30
(57)【要約】
【課題】1種類のトレイが蓋体及び本体となるシャリ玉用容器において、トレイがシャリ玉の重みで適度に曲がるヒンジ軸を有する構成にする。
【解決手段】平坦面であるフレーム21にシャリ玉の収納部22を複数並べて備え、前記フレーム21の長手方向の中間線LMLを挟んだ線対称位置に、嵌合関係にある凸部23,25及び凹部24,26が設けられた樹脂一体成形品のトレイ2を本体及び蓋体とするシャリ玉用容器において、隣り合う収納部22に挟まれたフレーム部分のうち、フレーム21の長手方向の中間線LMLを挟んだ一対の線対称線LSLに沿って並ぶ複数のフレーム部分の一部は、平坦面211から下がった撓み用凹み面213に形成され、前記フレーム部分の残部は、平坦面211がそのまま残され、その他のフレーム部分は、平坦面211から下がった補強用凹み面212に形成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦面であるフレームにシャリ玉の収納部を複数並べて備え、前記フレームの長手方向又は短手方向の中間線を挟んだ線対称位置に、嵌合関係にある凸部及び凹部が設けられた樹脂一体成形品のトレイを本体及び蓋体とするシャリ玉用容器において、
隣り合う収納部に挟まれたフレーム部分のうち、
フレームの長手方向若しくは短手方向の中間線又は前記中間線を挟んだ一対の線対称線に沿って並ぶ複数のフレーム部分の一部は、平坦面から下がった撓み用凹み面に形成され、
前記フレーム部分の残部は、平坦面がそのまま残され、
その他のフレーム部分は、平坦面から下がった補強用凹み面に形成されたことを特徴とするシャリ玉用容器。
【請求項2】
撓み用凹み面は、側面視円弧状に形成され、補強用凹み面は、側面視角形状に形成された請求項1記載のシャリ玉用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、握り寿司用のシャリ玉を収納して搬送又は保管に供するシャリ玉用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
シャリ玉用容器は、握り寿司用のシャリ玉を多数個収納し、工場から飲食店やスーパーに搬送される。特許文献1が開示するシャリ玉用容器(シャリ塊搬送トレイ)は、シャリ玉(シャリ塊)を収納する多数の収納部(凹部)を設けた樹脂製の本体(トレイ本体)及び蓋体から構成される(特許文献1・[請求項1])。特許文献1が開示するシャリ玉用容器は、本体及び蓋体が一対なければならず、不便であった(特許文献1・[0006])。そこで、本体及び蓋体の区別のない1種類のトレイから構成されるシャリ玉用容器が提案されている(特許文献2)。
【0003】
特許文献2が開示するシャリ玉用容器は、密な嵌合関係にある凸部及び凹部をフレームに設けた1種類のトレイを本体及び蓋体とする構成で、対となる凸部及び凹部がフレームの長手方向中間線又は短手方向中間線を挟んで線対称位置に設けられている(特許文献1・[請求項2])。特許文献2が開示するシャリ玉用容器は、本体及び蓋体の区別なく2個のトレイの一方を本体とし、他方を上下反転させて蓋体として用いることができるため、1種類のトレイを製造すれば済み、製造コストや管理コストが低減できる(特許文献1・[0011])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案第3167901号公報
【特許文献2】特開2017-145016公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2が開示するシャリ玉用容器は、製造コスト低減のため、一般に弾性を備えた樹脂一体成形品としてトレイが製造される。このため、本体となるトレイの収納部にシャリ玉が収納され、蓋体となるトレイが被せられたシャリ玉用容器を持ち上げると、シャリ玉の重みで、例えばフレームの長手方向にわたって本体が底面側へ凸に曲がり、凸部及び凹部の嵌合状態が維持される範囲で、蓋体が本体に追従して曲がる。具体的には、本体となるトレイが底面側へ凸に、蓋体となるトレイが上面側へ凸に曲がる。
【0006】
このとき、フレームの長手方向にわたって均等に曲がるトレイであると、どうしてもシャリ玉の重みを受ける本体がより大きく曲がり、蓋体が本体から外れてしまう。この場合、樹脂一体成形品であるトレイの厚みを増やしたり、隣り合う収納部に挟まれたフレーム部分に凹み面を設けてトレイの剛性を高めたりすると、トレイの曲がりが抑制される。しかし、トレイの厚みを増すと、トレイの製造コストが高くなる問題がある。また、隣り合う収納部に挟まれたフレーム部分に凹み面を設けても、トレイが全体的に曲がりにくくなるだけで、本体と蓋体の曲がり具合の差は変わらず、やはり蓋体が本体から外れてしまう虞がある。
【0007】
ここで、仮にトレイにヒンジ軸があり、シャリ玉の重みでトレイが曲がろうとすると、前記ヒンジ軸が曲がるのみで、蓋体及び本体の平坦面であるフレームの密着や凸部及び凹部の嵌合が維持されると、蓋体が本体から外れにくくなる。ヒンジ軸は、例えばフレームの長手方向又は短手方向に並ぶ複数のフレーム部分をすべて平坦面にして構成される。しかし、平坦面だけを並べたヒンジ軸は、不必要に曲がりやすく、収納部にシャリ玉を安定して収納しづらい。そこで、1種類のトレイが蓋体及び本体となるシャリ玉用容器において、シャリ玉の重みで適度に曲がるヒンジ軸を有するトレイについて検討した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
検討の結果開発したものが、平坦面であるフレームにシャリ玉の収納部を複数並べて備え、前記フレームの長手方向又は短手方向の中間線を挟んだ線対称位置に、嵌合関係にある凸部及び凹部が設けられた樹脂一体成形品のトレイを本体及び蓋体とするシャリ玉用容器において、隣り合う収納部に挟まれたフレーム部分のうち、フレームの長手方向若しくは短手方向の中間線又は前記中間線を挟んだ一対の線対称線に沿って並ぶ複数のフレーム部分の一部は、平坦面から下がった撓み用凹み面に形成され、前記フレーム部分の残部は、平坦面がそのまま残され、その他のフレーム部分は、平坦面から下がった補強用凹み面に形成されたことを特徴とするシャリ玉用容器である。トレイは、樹脂一体成形品で、弾性及び可撓性を備える。
【0009】
「嵌合関係にある凸部及び凹部」は、転写形状で、凹部に凸部が嵌り込む関係にある部分である。嵌合した凸部及び凹部に隙間があってもよいが、凸部の表面と凹部の表面とが接触して摩擦抵抗を発生し、容易に分離しない程度に嵌合することが好ましい。凸部の表面と凹部の表面とが接触する場合、それぞれ凸部又は凹部の全部でなくてもよく、容易に分離しない程度に嵌合できれば、凸部の表面と凹部の表面とは一部が接触するだけでもよい。また、凸部及び凹部は、1種類の組み合わせのみを複数配置してもよいし、複数種類の組み合わせを複数配置してもよい。
【0010】
対となる凸部及び凹部が「フレームの長手方向又は短手方向の中間線を挟んだ線対称位置に」設けられるとは、嵌合する凸部及び凹部を一組として、凸部が設けられ位置と凹部が設けられる位置とが、フレームの長手方向の中間線(長手方向二等分線)又は短手方向の中間線(短手方向二等分線)を挟んで線対称な位置関係にあることを意味する。具体的には、フレームの長手方向又は短手方向の中間線を挟んだ一方の側に凸部が並び、他方の側に凹部が並ぶ構成や、前記一方の側かつ奥側に凸部、手前側に凹部が並び、前記他方の側かつ奥側に凹部、手前側に凸部が並ぶ構成が例示される。
【0011】
隣り合う収納部に挟まれたフレーム部分のうち、フレームの長手方向若しくは短手方向の中間線又は前記中間線を挟んだ一対の線対称線に沿って並ぶ複数のフレーム部分の一部は、撓み用凹み面と平坦面とが混在して並ぶ。例えばフレームの短手方向の中間線を挟んで5個ずつの収納部があり、前記中間線に沿って5個のフレーム部分が並ぶ場合、2個に撓み用凹み面が、残る3個に平坦面が形成される。この場合、両端の撓み用凹み面で内側の3個の平坦面を挟んだ配置でも、撓み用凹み面と平坦面とを交互にした配置でもよい。平坦面は、フレームの長手方向又は短手方向に並ぶ複数のフレーム部分を曲がりやすくし、補強用凹み面は、フレームの長手方向又は短手方向に並ぶ複数のフレーム部分の断面係数を高め、曲がりにくくする。
【0012】
隣り合う収納部に挟まれたフレーム部分のうち、その他のフレーム部分は、平坦面から下がった補強用凹み面に形成される。収納部は、シャリ玉に合わせて平面視略長方形となる。これから、「隣り合う収納部に挟まれたフレーム部分」は、収納部の四辺に対応した四方にあるフレームとなり、ほとんどの収納部の四方に補強用凹み面が形成される。これにより、収納部の四辺におけるフレームの断面係数が上がり、剛性が高められる結果、補強用凹み面が設けられる範囲でトレイの一体性が確保され、前記範囲でトレイが曲がりにくくなる。
【0013】
撓み用凹み面と平坦面とが混在して並ぶフレーム部分は、フレームの長手方向若しくは短手方向の中間線又は前記中間線を挟んだ一対の線対称線に沿っているので、2個のトレイの一方を本体とし、他方を上下反転させて蓋体として、重ねても同じ位置にあり、補強用凹み面が設けられる範囲と比較して曲がりやすいヒンジ軸として機能する。これにより、例えばフレームの短手方向に延びるヒンジ軸をフレームの長手方向中間線に沿って設けたトレイを蓋体及び本体としてシャリ玉用容器を構成した場合、ヒンジ軸を挟んだトレイの半分がそれぞれ補強用凹面により剛性が高められ、接面させた状態を保ちながら、撓み用凹み面と平坦面とが混在して並ぶフレーム部分をヒンジ軸として蓋体及び本体を一体に二つ折りに曲げることができる。
【0014】
好ましくは、撓み用凹み面は、側面視円弧状に形成され、補強用凹み面は、側面視角形状に形成された構成とする。ヒンジ軸を構成するフレーム部分の撓み用凹み面は、連続して変化する側面視円弧状とすることで、適度な弾性変形を許容する。「側面視円弧状」は、連続して変化する曲面であればよく、半径が一定の正円弧のほか、半径が変化する楕円弧や不定形の曲面も含まれる。フレーム部分のその他の部分の補強用凹面は、角のある側面視角形状とすることで、断面係数を高くして剛性を上げる。「側面視角形状」は、角があれば平面のほか、曲面を用いてもよく、角も単数又は複数あってもよい。通常、型抜きを考慮して側面視台形状が適当である。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、2個のトレイの一方を本体、他方を上下反転させて蓋体として重ねて構成されるシャリ玉用容器において、シャリ玉の重みで本体が曲がろうとすると、撓み用凹み面と平坦面とが混在して並ぶフレーム部分をヒンジ軸として曲がり、補強用凹み面が設けられる範囲で蓋体及び本体を接面状態に保つことにより、蓋体及び本体を分離しがたくできる。また、ヒンジ軸となる撓み用凹み面と平坦面とが混在して並ぶフレーム部分は、過度な曲がりが抑制されているため、本体が過度に曲がってシャリ玉用容器が落下することが防止される。こうして、本発明が適用されるシャリ玉用容器は、手に持って運ぶ際の注意が軽減され、取り扱いやすくなり、シャリ玉の運搬をより安心かつ簡便にする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明が適用されたシャリ玉用容器を構成するトレイの一例を表す斜視図である。
【
図8】シャリ玉を収納した本体に蓋体を重ねて構成されるシャリ玉用容器のA−A断面相当図である。
【
図9】シャリ玉を収納した本体に蓋体を重ねて構成されるシャリ玉用容器のB−B断面相当図である。
【
図10】シャリ玉を収納した本体に蓋体を重ねて構成されるシャリ玉用容器のC−C断面相当図である。
【
図11】シャリ玉を収納した本体に蓋体を重ねて構成されるシャリ玉用容器のD−D断面相当図である。
【
図12】左右端を持ち上げて左右中央を下方へ凸に曲げたシャリ玉用容器のB−B断面相当図である。
【
図13】左右端を持ち上げて左右中央を下方へ凸に曲げたシャリ玉用容器のC−C断面相当図である。
【
図14】左右端を持ち上げて左右中央を下方へ凸に曲げたシャリ玉用容器のD−D断面相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。本発明は、例えば
図1〜
図3にみられるように、平面視略長方形の平坦面211であるフレーム21に、フレーム21の短手方向(
図1中左下から右上方向、
図2中縦方向)に向きを揃えた略直方体状の収納部22を前記短手方向に5個並べて1列を構成し、フレーム21の長手方向(
図1中左上から右下方向、
図2中横方向)に前記収納部22の列を10列並べて、合計50個の収納部22を備えた樹脂一体成形品のトレイ2に適用される。本例は、本体としてのトレイ2を説明する。シャリ玉用容器1は、トレイ2を上下反転させて蓋体としたトレイ3(後掲
図8以降参照)を前記トレイ2に重ねて構成される。
【0018】
本例のトレイ2は、4個の収納部22が突き合わされるフレーム部分の平坦面211で、フレーム21の長手方向の中間線LMLを挟んだ線対称位置に、嵌合関係にある球状凸部23及び球状凹部24が設けられている。具体的には、フレーム21の長手方向左側の奥側に6個の球状凸部23が、同左側の手前側に6個の球場凹部24が、フレーム21の長手方向右側の奥側に6個の球状凹部24が、同右側の手前側に6個の球場凸部23が配置されている。本例の球状凸部23及び球状凹部24は、フレーム21の短手方向の中間線SMLを挟んだ線対称位置でもある。また、左右の球状凸部23及び球状凹部24それぞれは、フレーム21の平面視中心の点対称位置にある。
【0019】
本例のトレイ2は、上記球状凸部23及び球状凹部24に加えて、フレーム21の長手方向左右端からフレーム21の長手方向に延びる線状凸部25及び線状凹部26が、フレーム21の長手方向の中間線LMLを挟んだ線対称位置に設けられている。具体的には、フレーム21の長手方向に並ぶ収納部22に挟まれるフレーム部分に対応したフレーム21の外周枠部分で、フレーム21の長手方向左側に4個の線状凸部25が、フレーム21の長手方向右側に4個の線状凹部26配置されている。本体としてのトレイ2と蓋体としてのトレイ3とは、球状凸部23及び球状凹部24を嵌合させて位置合わせされ、線状凸部25及び線状凹部26を嵌合させてフレーム21の短手方向へのズレが抑制される。
【0020】
隣り合う収納部22に挟まれたフレーム部分のほとんどは、平坦面から下がった補強用凹み面212に形成される。収納部22は、平面視略長方形なので、四方に補強用凹み面212が形成される。収納部22の長手方向(フレーム21の短手方向)に形成される補強用凹み面212と、収納部22の短手方向(フレーム21の長手方向)に形成される補強用凹み面212とは、フレーム部分の長さが異なるだけで、
図4〜
図7にみられるように、平坦面211から下がった深さが同じである側面視台形状である。側面視台形状の補強用凹み面212は、隣り合う収納部22に連通し、収納部22に収納させたシャリ玉4(後掲
図8以降参照)を摘みやすくする。トレイ2は、補強用凹み面212が設けられる範囲で一体性が確保され、前記範囲で曲がりにくくなる。
【0021】
本発明の特徴は、適度に曲がるヒンジ軸をトレイ2に構成した点にある。本例のヒンジ軸は、長手方向の中間線LMLを隣り合わせで挟んだ一対の線対称線LSLに沿って並ぶ複数のフレーム部分の一部に形成された撓み用凹み面213と、前記フレーム部分の残部にそのまま残された平坦面211との組み合わせにより構成される。線対称線LSLに沿って並ぶフレーム部分は、フレーム21の短手方向に並ぶ収納部22と同数の5区分ある。複数のフレーム部分に平坦面211及び撓み用凹み面213をどのように割り当てるかは自由である。本例のトレイ2は、線対称線LSLに沿って並ぶフレーム部分に、3区分の平坦面211と2区分の撓み用凹み面213とを互い違いに並べている。
【0022】
3区分の平坦面211は、フレーム21のままで同一平面上に並んだシート状の樹脂面なので、線対称線LSLに沿って並ぶフレーム部分を曲がりやすくしている。2区部の撓み用凹み面213は、
図4〜
図7にみられるように、平坦面211から下がった側面視円弧状で、角のない連続的な曲面を形成し、線対称線LSLに沿って並ぶフレーム部分の断面係数を高めて曲がりにくくしながら、一定の変形を許容している。側面視円弧状の撓み用凹み面213は、隣り合う収納部22に連通し、収納部22に収納させたシャリ玉4(後掲
図8以降参照)を摘みやすくする。本例のトレイ2は、長手方向の中間線LMLを隣り合わせで挟んだ一対の線対称線LSLに沿って、適度に曲がるヒンジ軸を構成している。
【0023】
シャリ玉用容器1は、同型の2個のトレイ2,3の一方を本体、他方を蓋体として、
図8〜
図11に見られるように、本体としたトレイ2の収納部22にシャリ玉4を収納した状態で、蓋体としたトレイ3を上下反転させ重ねることにより、構成される。本体としたトレイ2と蓋体としたトレイ3は、互いの球状凸部23,33及び球状凹部24,34や線状凸部25,35及び線状凹部26,36を嵌合させ、フレーム21,31の平坦面211,311を接面させる(説明の便宜上、図面では隙間を描画している)。シャリ玉4は、トレイ2及びトレイ3の収納部22,33が合わさって形成される空間に収納、保持される。
【0024】
ヒンジ軸を構成するフレーム部分は、フレーム21,31の長手方向の中間線LMLを隣り合わせで挟んだ一対の線対称線LSLに沿っているので、本体としたトレイ2に対して蓋体としたトレイ3を上下反転させて重ねても同じ位置にあり、シャリ玉用容器1のヒンジ軸として機能する。これにより、例えば収納部22,33にシャリ玉4を収納したシャリ玉用容器1の左右端を持ち上げると、
図12〜
図14に見られるように、ヒンジ軸を構成するフレーム部分のみが適度に曲がる。
【0025】
ヒンジ軸を構成するフレーム部分の平坦面211,311は、接面状態を保ったまま、曲がることができる(
図12参照)。これに対し、対向する撓み用凹み面213,313は、側面視円弧状の曲面であるため、平坦面211,311のように曲がらず、壁面を閉じる(蓋体としたトレイ3の撓み用凹み面313)又は壁面を開く(本体としたトレイ2の撓み用凹み面213)変形が起きるだけで、前記変形も大きくなるにつれて抑制される(
図13参照)。その他のフレーム部分の補強用凹み面212,312は、ほとんど変形しない。
【0026】
こうして、左右端を持ち上げたシャリ玉用容器1は、ヒンジ軸を構成するフレーム部分のみを曲げ、ヒンジ軸により三分割された左のヒンジ軸から左端までの範囲、ヒンジ軸に挟まれた範囲、右のヒンジ軸から右端までの範囲それぞれの補強用凹み面212,312を設けた範囲でフレーム21,31がそれぞれ接面状態を保ち、トレイ2,3を外すことがない。これにより、シャリ玉4を収納したシャリ玉用容器1は、本体となるトレイ2が落下したり、蓋体となるトレイ3が外れたりする心配をすることなく、左右端を持ち上げて運ぶことができ、取り扱いが簡便になる。
【0027】
ヒンジ軸を構成するフレーム部分は、複数設けてもよいが、ヒンジ軸を介して分割されるフレーム21の分割数は少ない方が好ましい。しかし、ヒンジ軸を構成するフレーム部分が1列であると、負荷が集中しすぎてヒンジ軸が曲がりやすくなり、トレイ2,3を外す虞もある。これから、ヒンジ軸を構成するフレーム部分は、本例のように2列が好ましい。2列のヒンジ軸は、負荷を分散して過度な変形を抑制すると共に、三分割されたフレーム21,31の接面状態が互いの分離を牽制し合うことで、前記接面状態が安定に保たれる利点がある。
【0028】
図示を省略するが、ヒンジ軸は、フレーム21の短手方向の中間線SML又は前記中間線SMLを挟んだ一対の線対称線に沿って並ぶ複数のフレーム部分に設けてもよい。この場合、シャリ玉4を収納したシャリ玉用容器1の前後端を持ち上げると、ヒンジ軸を曲げてトレイ2,3を外すことが防止される。また、ヒンジ軸は、フレーム21の長手方向及び短手方向それぞれに直行して設けてもよい。この場合、シャリ玉4を収納したシャリ玉用容器1の左右端又は前後端のいずれを持ち上げても、ヒンジ軸を曲げてトレイ2,3を外すことが防止される。
【符号の説明】
【0029】
1 シャリ玉用容器
2 トレイ(本体)
21 フレーム
211 平坦面
212 補強用凹み面(側面視台形状)
213 撓み用凹み面(側面視円弧状)
22 収納部
23 球状凸部
24 球状凹部
25 線状凸部
26 線状凹部
3 トレイ(蓋体)
31 フレーム
311 平坦面
312 補強用凹み面(側面視台形状)
313 撓み用凹み面(側面視円弧状)
32 収納部
33 球状凸部
34 球状凹部
35 線状凸部
36 線状凹部
4 シャリ玉
LML フレームの長手方向の中間線
SML フレームの短手方向の中間線
LSL 線対称線