(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-176817(P2020-176817A)
(43)【公開日】2020年10月29日
(54)【発明の名称】旋回熱気流を用いる燃焼対象物燃焼方法および該燃焼方法を用いた燃焼炉構造
(51)【国際特許分類】
F23B 60/00 20060101AFI20201002BHJP
F23G 5/00 20060101ALI20201002BHJP
【FI】
F23B60/00ZAB
F23G5/00 119F
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2019-94087(P2019-94087)
(22)【出願日】2019年4月22日
(71)【出願人】
【識別番号】591253836
【氏名又は名称】相馬 督
(72)【発明者】
【氏名】相馬 督
【テーマコード(参考)】
3K046
3K062
【Fターム(参考)】
3K046AA20
3K046AB03
3K046AC01
3K046AD02
3K046BA01
3K046BA09
3K046EA03
3K046FA06
3K062AA18
3K062AB01
3K062AC13
3K062EB12
3K062EB20
3K062EB27
3K062EB30
3K062EB33
3K062EB43
(57)【要約】 (修正有)
【課題】燃焼対象物を効率よく完全燃焼させることのできる方法及び燃焼炉構造を提供する。
【解決手段】耐火材にて密室空間としての円柱形の燃焼炉1を形成し、該燃焼炉適所に燃焼対象物投入口、熱気排出口6を各々設け、旋回熱気流を発生させるために、燃焼炉上部本体の側面下部に下向き斜方に設けられる孔部分からなる外気供給部5を設け、外気供給部を炉外に設置される給気ファン23に接続する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温加熱された燃焼炉内に燃焼対象物を投入口より投入して燃焼する場合において、外気を炉内に旋回する方向に噴出させることにて、旋回熱気流を発生させて燃焼対象物の炉内滞在時間を延長させることにて、該燃焼物を完全燃焼させることを特徴とする旋回熱気流を用いる燃焼対象物燃焼方法。
【請求項2】
耐火材にて密室空間としての円柱形の燃焼炉を形成し、燃焼対象物投入口、熱気排出口を各々設け、旋回熱気流を発生させるために、燃焼炉内周に沿う方向に外気を噴出する外気供給部を設けたことを特徴とする旋回熱気流を用いた燃焼炉構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、旋回熱気流を用いる燃焼対象物の燃焼方法および該燃焼方法を用いた燃焼炉構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、燃焼対象物としての廃プラスチックの燃焼手段はあるが、本発明にて示すように、旋回熱気流を用いる手段は見当たらない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、国内の廃棄プラスチックは年間数百万トンにもおよび、その大半はリサイクルにて有効利用されるが、残りは埋め立てや燃焼にて処分されている。
この燃焼は燃焼炉にて行われるが、例えば発泡スチロールを燃焼すると高熱が発生し、一酸化炭素等の有毒ガスが発生するため、リサイクルするには高度な燃焼施設が必要である。一般的な発泡スチロール処理は、熱や溶剤で溶かす方式が多く、ランニングコストが高い、悪臭が出る、乾燥が必要、処理時間が長いなどの問題を有している。
発泡スチロールの主成分は炭素と水素であり、完全燃焼すれば二酸化炭素と水しか発生しないが、完全燃焼させるためには大量の空気を必要とする。しかし、大量の空気を炉内に送り込んで空気供給量が足りていても、燃料と混合させる際に、送り込んだ空気で燃焼部が冷却されてしまうと、不完全燃焼を起こすため、小型ボイラーで発泡スチロールを完全燃焼させることは難しいという課題を有している。
本発明は以上に鑑み、旋回熱気流を用いることによって、炉内に送出される廃プラスチックを完全燃焼させることのできる、新規かつ有用なる手段を提供することを目的として発明されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
課題を解決する手段として本発明は以下の構成とした。
すなわち、本発明の一つは、高温加熱された燃焼炉内に燃焼対象物を投入口より投入して燃焼する場合において、外気を炉内に旋回する方向に噴出させることにて、旋回熱気流を発生させ、燃焼対象物の炉内滞在時間を延長させることにて、該燃焼物を完全燃焼させることを特徴とする旋回熱気流を用いる燃焼対象物燃焼方法である。
本発明の他の一つは、耐火材にて密室空間としての円柱形の燃焼炉を形成し、燃焼対象物投入口、熱気排出口を各々設け、旋回熱気流を発生させるために、燃焼炉内周に沿う方向に外気を噴出する噴出口を設けたことを特徴とする旋回熱気流を用いた燃焼炉構造である。
【発明の効果】
【0005】
本発明は下記の効果を有する。
1.旋回流を用いてペレットを完全燃焼させることができ、また、ペレット燃焼開始後は、その燃焼熱にて炉内温度を維持できるためランニングコスト的にも有利である。
2.完全燃焼するので,有毒ガスの発生を防止することができる。
3.海洋ゴミその他を効率よく燃焼することができるので、漁業環境等の環境問題の改善に寄与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図において、1は燃焼炉上部本体で、所定厚の耐火キャスターによる円筒状部分であって、同材質による天板を有するとともに、底部の一部に孔を有している。
2は燃焼炉下部本体で、上記の炉上部本体と同材質にて形成される上部開放有底の円筒体である。3はセラミックブランケットによる断熱材で、上記の炉本体の下面を除く全面に覆設される。4はペレット投入口で、発泡小円柱形に成型された発泡プラスチックを炉内に投入する円筒形部分であって、炉外に設置されるスクリューコンベアに接続される。5は外気供給部で、前記の燃焼炉上部本体の側面下部に下向き斜方に設けられる孔部分であって、平面視にて炉内壁に近接して設けられ、この外気供給部は炉外に設置される給気ファン(ブロワー)に接続される。なお、この空気供給部を
図1では孔形表現のため、炉壁側面中央位置にて示している。
【0008】
6は熱気排出口で、燃焼炉上部本体の上部壁に設けられる孔である。7はロストルで、炉内底部孔内に適宜手段にて水平回動可能に支持される。なお、このロストルは多数の孔を有するが、上下に2枚が設けられ、水平回動にてこれらの孔の一致もしくは不一致が選択される。8は灰受けで、燃焼残渣を収納する上部開放有底の箱体である。発泡スチロールは種々の用途に使われており、使用中に余分な付着物が付くために、この付着物は燃焼せずに残渣となるために、この灰受けを設けている。
以上にて、燃焼装置部20が構成される。
【0009】
次に、燃焼機能について説明する。まず、燃焼作業前の準備として、適宜加熱手段にて炉内高温化を行う。次に、給気ファンを作動させて,外気供給部より外気を炉内に下向き高圧の風として噴出させ、スクリューコンベア駆動にて,ペレット(発泡スチロール等)はペレット投入口より炉内へ送出される。投入されたペレットは、炉内高温に触れて瞬時に溶解気化し、外気供給部からの外気にて炉内下方へと移動する。この間にペレットは燃焼するが、高熱気流は炉内壁に沿って平面視反時計方向に流れるために、気化体は炉内下方へ旋回しながら進む。炉内上部には熱気排出口が位置し、燃焼した気流はこの排出口から炉外へと移動する。
【0010】
一般に燃焼時間を長くするとよく燃焼する。つまり、本発明のポイントは,既述の構成にてペレットが気化して旋回流となり、次第に炉内を上昇してから炉外へと移動するために、炉内滞在時間が長くなるとともに、旋回流にて多くの熱気と触れるので完全燃焼させることができ、有害気体も発生しない。なお、ペレット燃焼開始後は、そのペレットの燃焼熱にて炉内温度が維持される。
本例にては、図示のごとく外気供給部位置は、炉壁の下部に位置している。これは、旋回流の炉内滞在時間延長を助長するためである。もし仮にこの外気供給部が炉壁中間位置であると、炉内底部まではその旋回流が伝わりにくくなり、旋回流の炉内滞在時間が限られてしまうが、上記のごとく炉壁下部とすることにて、炉内底部まで旋回流が十分に伝わって炉内滞在時間を大きくすることができる。すなわち、外気供給部近傍は高速のため気圧が下がって気化ペレットを引き込んで、ペレットの完全燃焼を実現することができる。
なお、外気供給部位置をペレット投入口近傍やや斜め上方位置に設け、外気を約45度下向きに噴出する方法としてもよい。
【0011】
図3は本発明に関連する各装置の接続系統図である。
21はペレットホッパーで、ここに燃焼対象物としての発泡プラスチックペレットが貯留される。22はこのホッパー下部に位置するスクリューコンベアで、ペレットを炉内へと送り込む装置である。23はブロワーで、外気を取り込んで前記の外気供給部へと送り込む。既述の内容にて,炉内にて燃焼された後のガスは、熱気排出口より炉外へ排出される。この排出熱気は熱交換部30の上部へと連通接続にて導かれる。この熱交換部には給水タンク31より水が供給され、この水は加温されて温水となって温水供給管32より必要箇所へと導かれ、利用される。また、熱交換部を通過して熱を与えた後の熱気は、排気ファン33を設けた管によってサイクロン集塵機34によって、塵を除去してから外部へと放出される。なお、ペレットの炉内投入手段としては、既述のスクリューコンベア以外に、ブロワーとフィーダーによる空気輸送手段を用いてもよい。
【0012】
以上、本発明について記したが、本発明は炉内旋回流を用いて投入ペレットを完全燃焼させるところにその特徴を有し、熱風による化学反応の促進を行うものである。現在、使用済み農業用フィルムについては、産業廃棄物としてリサイクル処理システムが実施されている。排出者(農業者)が処理費を払い、回収業者がフィルムを回収し、処理業者に収める流れとなっているが、排出者が自分でペレットを製造し、ボイラーで燃焼させることができれば,処理費を支払わずに温室等の暖房に利用できる。
その他暖房用としては、酪農、養鶏、養豚、キノコ栽培等が考えられる。給湯用としては、銭湯、温泉、養殖場等への利用が見込まれる。
以上のごとく、本発明は従来手段に比べて斬新なる効果をもたらすものであって、種々の利点を有する新規な燃焼方法と該燃焼方法を用いた燃焼炉構造を提供することができる。
【符号の説明】
【0013】
1 燃焼炉上部本体
2 燃焼炉下部本体
3 断熱材
4 ペレット投入口
5 外気供給部
6 熱気排出口
7 ロストル
8 灰受け
20 燃焼装置部
21 ペレットホッパー
22 スクリューコンベア
23 ブロワー
30 熱交換部
31 給水タンク
32 温水供給管
33 排気ファン
34 サイクロン集塵機