【課題】磁石をムーバに配置する方式のレンズ駆動装置において、並置された2つのムーバを板ばねで支持する構成を採用したとしても磁石の干渉が少ないレンズ駆動装置、カメラ装置、及び電子機器を提供する。
【解決手段】レンズ駆動ユニット9は、第一ムーバ11、第二ムーバ12、枠体20、第一位置検知用磁石591、第二位置検知用磁石、第一磁石51、第二磁石52、第一コイル61、第二コイル62、第一前側板ばね31、第二前側板ばね32、第一後側板ばね41、及び第二後側板ばね42を有する。第一磁石51を構成する板状の磁石片511及び512、並びに第二磁石52を構成する板状の磁石片521及び522は、それぞれ板面方向に磁化されているとともにその磁化の向きがZ方向の前側と後側とで逆転している。
第一ムーバであって、Z方向に光軸を有する第一レンズ体を収容するための第一貫通孔と、前記第一貫通孔を挟んだ位置で互いに平行に設けられる板状の一対の第一磁石と、を有する第一ムーバと、
第二ムーバであって、前記Z方向に光軸を有する第二レンズ体を収容するための第二貫通孔と、前記第二貫通孔を挟んだ位置で互いに平行に設けられる板状の一対の第二磁石と、を有する第二ムーバと、
前記Z方向と直交する方向で互いに並置される前記第一ムーバと前記第二ムーバをそれぞれ前記Z方向に移動可能に支持する板ばねと、を備え、
前記第一磁石及び前記第二磁石を構成する前記板状の磁石は、それぞれ板面方向に磁化されているとともにその磁化の向きは前記Z方向の前側と後側とで逆転しており、
前記第一磁石は、その端面を前記第二ムーバに向けている
ことを特徴とするレンズ駆動装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術のように、磁石をレンズ支持体(ムーバ)に配置し、通常の板ばねで支持されるムーバを並置するレンズ駆動装置を構成しようとする場合、2つのムーバにそれぞれ配置された磁石が干渉しあうという問題があった。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するものであり、磁石をムーバに配置する方式のレンズ駆動装置において、並置された2つのムーバを板ばねで支持する構成を採用したとしても磁石の干渉が少ないレンズ駆動装置、カメラ装置、及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の好適な態様であるレンズ駆動装置は、第一ムーバであって、Z方向に光軸を有する第一レンズ体を収容するための第一貫通孔と、前記第一貫通孔を挟んだ位置で互いに平行に設けられる板状の一対の第一磁石と、を有する第一ムーバと、第二ムーバであって、前記Z方向に光軸を有する第二レンズ体を収容するための第二貫通孔と、前記第二貫通孔を挟んだ位置で互いに平行に設けられる板状の一対の第二磁石と、を有する第二ムーバと、前記Z方向と直交する方向で互いに並置される前記第一ムーバと前記第二ムーバをそれぞれ前記Z方向に移動可能に支持する板ばねと、を備え、前記第一磁石及び前記第二磁石を構成する前記板状の磁石は、それぞれ板面方向に磁化されているとともにその磁化の向きは前記Z方向の前側と後側とで逆転しており、前記第一磁石は、その端面を前記第二ムーバに向けていることを特徴とする。
【0007】
この態様において、前記一対の第二磁石は、その端面を前記第一ムーバに向けていてもよい。
【0008】
また、前記一対の第二磁石のうちの一方の第二磁石は、その板面を前記第一ムーバに向けていてもよい。
【0009】
また、前記第一ムーバは、前記一対の第一磁石の間における第二ムーバの反対側に磁気位置検知装置を有してもよい。
【0010】
また、前記第一磁石の端面に強磁性体を設けてもよい。
【0011】
本発明の別の好適な態様であるカメラ装置は、上記のレンズ駆動装置と、前記第一レンズ体及び前記第二レンズ体と、を備えたものである。
【0012】
本発明の別の好適な態様である電子機器は、上記のカメラ装置を備えたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、前記第一磁石及び前記第二磁石を構成する前記板状の磁石は、それぞれ板面方向に磁化されているとともにその磁化の向きは前記Z方向の前側と後側とで逆転している。よって、第一磁石及び第二磁石から出る磁力線の範囲を従来のものに比べて小さくできる。また、第一ムーバの第一磁石は、その端面を第二ムーバに向けている。よって、第一ムーバの第一磁石から第二ムーバへの影響を小さくできるとともに、第二ムーバの第二磁石から第一ムーバへの影響も小さくできる。従って、本発明によると、並置された二つのムーバを板ばねで枠体に支持する構成を採用したレンズ駆動装置における磁石同士の干渉を起りにくくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。
図1に示すように、カメラ装置7は、スマートフォン6の筐体の開口に搭載されている。カメラ装置7は、レンズ駆動装置8と、第一レンズ体1及び第二レンズ体2と、被写体から第一レンズ体1及び第二レンズ体2を経由して入射する光を画像信号に変換する画像センサ(図示せず)と、を有する。カメラ装置7は、レンズ駆動装置8に搭載される第一レンズ体1及び第二レンズ体2を個別に駆動して、被写体を撮影する。以下では、第一レンズ体1及び第二レンズ体2の光軸に沿った光軸方向を適宜Z方向といい、Z方向と直交する一方向を適宜X方向といい、Z方向及びX方向の両方と直交する方向を適宜Y方向という。また、第一レンズ体1及び第二レンズ体2の光軸の被写体側を前側と称し、被写体と反対側の画像センサが設けられている側を後側と称することがある。
【0016】
レンズ駆動装置8は、第一レンズ体1を駆動するための第一レンズ駆動ユニット91と、第二レンズ体2を駆動するための第二レンズ駆動ユニット92と、第一レンズ駆動ユニット91及び第二レンズ駆動ユニット92全体を覆うカバー90を有する。カバー90は、非磁性の素材からなる箱状の部材である。カバー90の前板は、X方向に延在している。カバー90の前板には、貫通孔911及び921がある。貫通孔911及び921は、真円の円周上の4点を外側に凸ませたような形状を有している。貫通孔911及び921は、カバー90のX方向の真中から両側に同じ距離だけ離れている。
【0017】
カバー90におけるX方向に向かい合う2つの板の各々には、貫通孔912及び922がある。貫通孔912及び922は、後述する第一FPC81及び第二FPC82との接着に用い、強度を確保する。
【0018】
カバー90のY方向に向かい合う2つの板のうちの一方の板には、2つの貫通孔913及び923がある。貫通孔913及び923は、後述する第一枠21及び第二枠との接着に用い、強度を確保する。
【0019】
カバー90のY方向の他方の板には、当該板の後側の縁から前側に向かって凹んだ2つの凹部915及び925がある。この凹部915及び925に、後述する第一FPC81の外部接続端子部815及び第二FPC82の第二外部接続端子部825の一部が配置される。この凹部915及び925によって、外部接続端子部815の各端子及び第二外部接続端子部825の各端子がカバー90と接触しない。凹部915及び925は、カバー90のX方向の真中から両側に同じ距離だけ離れている。
【0020】
第一レンズ駆動ユニット91及び第二レンズ駆動ユニット92は、底板71及び72に第一枠21及び第二枠22を載置してそれぞれ収容空間を形成し、この収容空間内に第一ムーバ11及び第二ムーバ12が配置されて構成される。第一枠21及び第二枠22には第一コイル61及び第二コイル62が取り付けられる。第一ムーバ11及び第二ムーバ12は、第一レンズ体1を取り付けるための第一レンズキャリア101と第一レンズキャリア101に取り付けられる第一磁石51、及び第二レンズ体2を取り付けるための第二レンズキャリア102と第二レンズキャリア102に取り付けられる第二磁石52を有する。第一ムーバ11及び第二ムーバ12は、第一前側板ばね31と第一後側板ばね41及び第二前側板ばね32と第二後側板ばね42で、Z方向に移動自在に支持される。第一枠21及び第二枠22には、さらに第一FPC81及び第二FPC82が装着される。
【0021】
図3〜
図7を用いて、第一レンズ駆動ユニット91及び第二レンズ駆動ユニット92の各部の構成について、詳細に説明する。底板71及び72は、略正方形状の板である。底板71及び72は、X方向に並べられている。底板71及び72の中心には、貫通孔711及び712が穿設されている。底板71の貫通孔711の外周を囲む部分及び底板72の貫通孔712の外周を囲む部分は円縁部721及び722として前側に突出している。底板71及び72の4辺には、それぞれ内側に凹んだ4つの凹部713及び4つの凹部723がある。底板71及び72における貫通孔711及び712の後側には、画像センサがそれぞれ固定される。
【0022】
第一レンズキャリア101及び第二レンズキャリア102は、四角柱体の角部をZ方向からみた輪郭が八角形となるように面取りしたような形状をなしている。第一レンズキャリア101及び第二レンズキャリア102の中心には、第一貫通孔111及び第二貫通孔121がある。第一貫通孔111及び第二貫通孔121は、第一レンズ体1及び第二レンズ体2を収容するためのものである。
【0023】
第一レンズキャリア101及び第二レンズキャリア102における角部の面取り部とX方向に対向する2つの端面との境界を占める各部分は、凹部113及び123として貫通孔111及び112の側に凹んでいる。凹部113及び123の底面は、Y方向と平行になっている。
【0024】
第一レンズキャリア101における第一貫通孔111をY方向の両側から囲む部分の外周面は、凹部115として第一貫通孔111の側に凹んでいる。第二レンズキャリア102における第二貫通孔121をY方向の両側から囲む部分の外周面は、凹部125として第二貫通孔121の側に凹んでいる。一対の凹部115及び125の各々の底には、X方向と平行な中央底面と、中央底面のX方向の両端辺から内側に折れ曲がって延在する側底面とがある。
【0025】
枠体20は、第一ムーバ11及び第二ムーバ12を保持する役割を果たすものである。枠体20は、4つの板を方形状に形成した第一枠21及び第二枠22を有する。枠体20の第一枠21及び第二枠22は、底板71及び72に載置、固定されてX方向に並べられ、枠体20は全体として長四角形状をなしている。枠体20の第一枠21及び第二枠22には、第一ムーバ11及び第二ムーバ12がX方向で互いに並置される。枠体20における第一ムーバ11及び第二ムーバ12を挟んでX方向に対向する2つの板の各々には、矩形状の開口212及び222が穿設されている。
【0026】
第一枠21における第一ムーバ11を挟んでY方向に対向する2つの板の各々には、矩形状の開口213が穿設されており、これら一対の開口213の各々には、長辺芯棒215が架設されている。長辺芯棒215は、開口213を跨いでX方向に延伸している。長辺芯棒215のX方向の各端部は、開口213を挟んでX方向に離間した両矩形板片のZ方向の真中の位置の外壁面に設けられている。第一枠21のY方向に対向する2つの板の−X方向端部と長辺芯棒215の一端との間には、案内溝219が設けられている。
【0027】
第二枠22における第二ムーバ12を挟んでY方向に対向する2つの板の各々には、矩形状の開口223が穿設されており、これら一対の開口223の各々には、長辺芯棒225が架設されている。長辺芯棒225は、開口223を跨いでX方向に延伸している。長辺芯棒225のX方向の各端部は、開口223を挟んでX方向に離間した両矩形板片のZ方向の真中の位置の外壁面に設けられている。第二枠22のY方向に対向する2つの板の+X方向端部と長辺芯棒225の一端との間には、案内溝229が設けられている。
【0028】
第一枠21における第一ムーバ11を挟んでY方向に対向する2つの板の各々の後側の縁の部分には、長辺縁部216が設けられている。爪部217が、一方の長辺縁部216から後側に突出している。第二枠22における第二ムーバ12を挟んでY方向に対向する2つの板の各々の後側の縁の部分には、長辺縁部226が設けられている。爪部227が、長辺縁部216と同じ側の長辺縁部226から後側に突出している。
【0029】
爪部217及び227のX方向の寸法は、後述する第一FPC81の外部接続端子部815及び第二FPC82の第二外部接続端子部825のX方向の寸法よりやや大きい。長辺縁部216及び226のX方向の各端部は、板のX方向の各端部の外側に食み出している。爪部217及び227がある側の長辺縁部216及び226のY方向の突出量は、同じ側の長辺芯棒215及び225のY方向の突出量とほぼ同じである。
【0030】
第一枠21及び第二枠22の4つの板の前側の縁には、四環縁部218及び228が設けられている。四環縁部218及び228のY方向の突出量は、長辺芯棒215及び225の突出量よりも大きい。また、爪部217及び227がない側の長辺縁部216及び226のY方向の突出量は、同じ側の四環縁部218及び228のY方向の突出量とほぼ同じである。
【0031】
第一磁石51及び第一コイル61は、第一ムーバ11の駆動力を生み出す役割を果たすものであり、第二磁石52及び第二コイル62は、第二ムーバ12の駆動力を生み出す役割を果たすものである。
【0032】
一対の第一磁石51は、第一レンズキャリア101における第一貫通孔111を挟んだ位置で互いに平行に設けられている。第一磁石51の各々は、2つの磁石片511及び512をZ方向に重ねて貼り合わせて板状にしたものである。一対の第二磁石52は、第二レンズキャリア102における第二貫通孔121を挟んだ位置で互いに平行に設けられている。第二磁石52の各々は、2つの磁石片521及び522をZ方向に重ねて貼り合わせて板状にしたものである。第一磁石51及び第二磁石52は、第一レンズキャリア101の凹部115及び第二レンズキャリア102の凹部125に、収容、固定される。
【0033】
第一磁石51の磁石片511及び512、並びに、第二磁石52の磁石片521及び522は、それぞれ板面方向に磁化されているともに板面方向の磁化の向きは、Z方向の前側と後側で逆転している。即ち、磁石片511と512では磁化の向きが逆であり、磁石片521と522では磁化の向きが逆である。より具体的に説明すると、
図4に示すように、一対の第一磁石51の各々における前側の磁石片511は、内側の板面がS極に、外側の板面がN極に、それぞれ磁化されており、後側の磁石片512は、内側の板面がN極に、外側の板面がS極に、それぞれ磁化されている。一対の第二磁石52の各々における前側の磁石片521は、内側の板面がS極に、外側の板面がN極に、それぞれ磁化されており、後側の磁石片522は、内側の板面がN極に、外側の板面がS極に、それぞれ磁化されている。また、このように、二つの磁石片511と511、512と512、521と521、及び522と522の同じ磁極同士が対向することが望ましい。なお、第一磁石51及び第二磁石52は、それぞれ一枚の板状磁石を上記の説明のように着磁したものとしても構わない。
【0034】
第一コイル61及び第二コイル62は、X方向に延びる直線部とこれらを繋ぐ半円部とを有する。第一コイル61は、枠体20の両長辺芯棒215に巻回固定されており、第二コイル62は、枠体20の両長辺芯棒225に巻回固定されている。
【0035】
第一レンズキャリア101における一対の第一磁石51の間であって、第二ムーバ12のある側と反対側の板の凹部113の1つには、第一位置検知用磁石591が収められている。第二レンズキャリア102における一対の第二磁石52の間であって、第一ムーバ11のある側と反対側の板の凹部223の1つには、第二位置検知用磁石が収められている。
【0036】
第一前側板ばね31と第一後側ばね41の対、及び第二前側板ばね32と第二後側ばね42の対は、第一ムーバ11及び第二ムーバ12を移動可能に支持する。第一前側板ばね31と第一後側板ばね41、及び第二前側板ばね32と第二後側板ばね42は、枠体20に固定される外側部と、第一レンズキャリア101及び第二レンズキャリア102に固定される内側部と、外側部の一角から内側部に向かって延伸する各四本の腕部とを有する。
【0037】
第一前側板ばね31及び第二前側板ばね32の外側部の4つの角部は、第一枠21及び第二枠22の前側面の4つの角部に固定されており、第一後側板ばね41及び第二後側板ばね42の外側部の4つの角部は、第一枠21及び第二枠22の後側面の4つの角部に固定されている。第一前側板ばね31及び第二前側板ばね32の内側部は、第一レンズキャリア101及び第二レンズキャリア102の前側面に固定されており、第一後側板ばね41及び第二後側板ばね42の内側部は、第一レンズキャリア101及び第二レンズキャリア102の後側面に固定されている。
【0038】
第一コイル61は、第一ムーバ11が有する第一磁石51と僅かな隙間をあけて平行に対面している。また、第二コイル62は、第二ムーバ12が有する第二磁石52と僅かな隙間をあけて平行に対面している。また、このとき、二つの第一磁石51の一方の端面は、+X方向、即ち、第二ムーバ12を向いている。第二磁石52は、その端面を第二ムーバ12に向けている。
【0039】
第一FPC81及び第二FPC82は、スマートフォン6の基板から与えられる電流を、第一コイル61、第二コイル62、及び画像センサに供給する役割を果たすものである。
図3に示すように、第一FPC81は、第一面部811と第二面部812とを有し、第二FPC82は、第三面部821と第四面部822とを有する。第一面部811と第二面部812、及び第三面部821と第四面部822は、Z方向から見た輪郭がL字をなすように、端部において交差している。
【0040】
一対の第一コイル61のうちの一方の後側では、第一FPC81の外部接続端子部815が爪部217と外側から対面するように設けられている。第一FPC81の第一面部811は、外部接続端子部815から前側に立ち上がり、当該一方の第一コイル61の外側を覆っている。第二面部812は、第一面部811から直角方向(Y方向)に延出して枠体20の前記長四角形状の短辺側に相当する第一枠21の外側を覆っている。
図7(A)に示すように、第一面部811と第二面部812の境界部分の前端部及び後端部には、切欠き818及び819がある。第二面部812の外周面側には、コイル接続端子816が設けられている。コイル接続端子816は、それぞれの第一コイル61に近い側の第二面部812の端部に、Z方向に二つずつ並べて配置されている。
【0041】
一対の第二コイル62のうちの一方の後側では、第二FPC82の第二外部接続端子825が爪部227と外側から対面するように設けられている。第二FPC82の第三面部821は、第二外部接続端子部825から前側に立ち上がり、当該一方の第二コイル62の外側を覆っている。第四面部822は、第三面部821から直角方向(Y方向)に延出して枠体20の前記長四角形状の短辺側に相当する第二枠22の外側を覆っている。第三面部821と第四面部822の境界部分の前端部及び後端部には、切欠きがある。第四面部822の外周面側には、第二コイル接続端子が設けられている。コイル接続端子826は、それぞれの第二コイル62に近い側の第二面部822の端部に、Z方向に二つずつ並べて配置されている。
【0042】
外部接続端子部815及び第二外部接続端子部825には、スマートフォン6の基板に電気接続される複数の端子が設けられている。第一FPC81の外部接続端子部815と第二FPC82の第二外部接続端子部825とは、X方向に直列に配置されている。これにより、スマートフォン6の基板側の配線が容易になる。
【0043】
図2及び
図5に示すように、第一FPC81の外部接続端子部815及び第二FPC82の第二外部接続端子部825は、カバー90の凹部915及び925から外周面側に露出している。
図6に示すように、第一FPC81の第一面部811及び第二面部812、並びに第二FPC82の第三面部821及び第四面部822の外周面は、カバー90の内周面に沿って配置される。
【0044】
図7(B)に示すように、一対の第一コイル61のうち第一面部811のある側の第一コイル61の引出線5は、枠体20の案内溝219を通過し、切欠き818及び819を超えて、外周面側に引き出され、コイル接続端子816に接合される。一対の第一コイル61のうち第一面部811のある側と反対側の他方の第一コイル61の引出線5は、第二面部812における当該他方の第一コイル61の側の端部を超えて、外周面側に引き出され、コイル接続端子816に接合されている。同様に、一対の第二コイル62のうち第三面部821のある側の第二コイル62の引出線5は、枠体20の案内溝229を通過し、切欠きを超えて、外周面側に引き出され、第二コイル接続端子に接合される。一対の第二コイル62のうち第三面部821のある側と反対側の他方の第二コイル62の引出線5は、第四面部822における当該他方の第二コイル62の側の端部を超えて、外周面側に引き出され、第二コイル接続端子に接合されている。
【0045】
スマートフォン6において、第一レンズ体1又は第二レンズ体2の駆動を指示する操作がされると、スマートフォン6の基板から第一FPC81の外部接続端子部815又は第二FPC82の第二外部接続端子部825に電流が供給される。第一FPC81の外部接続端子部815に供給された電流は、第一FPC81のコイル接続端子816から第一コイル61に供給される。第一コイル61に電流が流れると、第一コイル61にZ方向の推力が発生し、第一ムーバ11が第一レンズ体1と一緒にZ方向に動く。第二FPC82の第二外部接続端子部825に供給された電流は、第二FPC82の第二コイル接続端子から第二コイル62に供給される。第二コイル62に電流が流れると、第二コイル62にZ方向の推力が発生し、第二ムーバ12が第二レンズ体2と一緒にZ方向に動く。
【0046】
図7(A)に示すように、第一FPC81の第二面部812の内周面側における、第一ムーバ11内の第一位置検知用磁石591に臨む位置には、第一位置検知センサ691が固定されている。第一FPC81の第二面部812が、第一枠21の外周を覆った状態において、第一位置検知センサ691は、第一枠21の開口212に収容される。同様に、第二FPC82の第四面部822の内周面側における、第二ムーバ12内の第二位置検知用磁石に臨む位置には、第二位置検知センサが固定されている。第二FPC82の第四面部822が、第二枠22の外周を覆った状態において、第二位置検知センサは、第二枠22の開口222に収容される。
【0047】
第一位置検知センサ691は、第一位置検知用磁石591とともに、枠体20内における第一ムーバ11の位置を検知する磁気位置検知機構を構成する。第二位置検知センサは、第二位置検知用磁石とともに、枠体20内における第二ムーバ12の位置を検知する磁気位置検知機構を構成する。具体的には、第一位置検知センサ691及び第二位置検知センサは、例えば、ホール素子が用いられ、第一ムーバ11及び第二ムーバ12の移動にともなう第一位置検知用磁石591及び第二位置検知用磁石による磁界の変化を基に、第一ムーバ11及び第二ムーバ12の位置を検知し、この位置を示す信号を出力する。
【0048】
図3に示すように、第二FPC82の第四面部822の内周面側における第二位置検知センサの近傍には、コンデンサ892が固定されている。同様に、第一FPC81の第二面部812の内周面側における第一位置検知センサ691の近傍には、コンデンサが固定されている。
【0049】
以上が、本実施形態の構成の詳細である。本実施形態によると、次の効果が得られる。本実施形態では、第一磁石51を構成する板状の磁石片511及び512、並びに第二磁石52を構成する板状の磁石片521及び522は、それぞれ板面方向に磁化されているとともにその磁化の向きがZ方向の前側と後側とで逆転している。よって、第一磁石51及び第二磁石52から出る磁力線の範囲を従来のものに比べて小さくできる。そして、本実施形態では、第一ムーバ11の第一磁石51は、その端面を第二ムーバ12に向けている。よって、第一ムーバ11の第一磁石51から第二ムーバ12への影響を小さくでき、第二ムーバ12から受ける第一磁石51への影響も小さくできる。このため、本実施形態によると、並置された2つのムーバを板ばねで枠体20に支持する構成を採用したレンズ駆動装置8における磁石同士の干渉を起りにくくすることができる。本実施形態ではさらに、第二ムーバ12の第二磁石52は、その端面を第一ムーバ11に向けている。そのため、第二ムーバ12の第二磁石52から第一ムーバ11への影響を小さくでき、第一ムーバ11から受ける第二磁石52への影響も小さくできる。よって、さらに磁石同士の干渉を起りにくくすることができる。
【0050】
また、本実施形態では、第一FPC81は、2つのコイル61のうちの一方の後側に設けられた外部接続端子部815と、外部接続端子部815から立ち上がり一方のコイル61の外周に設けられる第一面部811と、第一面部811から直角方向に延出して枠体20の外周に設けられた第二面部812と、を有し、コイル接続端子816は、第二面部812の外周面側に設けられる、という構成になっている。また、第二FPC82は、2つのコイル62のうちの一方の後側に設けられた第二外部接続端子部825と、第二外部接続端子部825から立ち上がり一方のコイル62の外周に設けられる第三面部821と、第三面部821から直角方向に延出して枠体20の外周に設けられた第四面部822と、を有し、第二コイル接続端子は、第四面部822の外周面側に設けられる、という構成になっている。このような構成にしたことにより、従来技術のような3つの面部を必要とせずに、FPCを2つの面部で構成できる。そのため、枠体20とFPCをマッチングしやすく、組み立てもしやすいレンズ駆動装置8を提供することができる。
【0051】
なお、本実施形態において、第一FPC81の第一面部811と第二面部812の境界部分、及び第二FPC82の第三面部821と第四面部822の境界部分の前端部だけに切欠きを設けてもよいし、境界部分の後端部だけに切欠きを設けてもよい。また、第一FPC81と第二FPC82は、一体に形成されてもよい。その場合においても、第一FPC81及び第二PC82の寸法精度の影響を受けないので、第一コイル61及び第二コイル62の取り付け位置は良好な精度を保つ。
【0052】
また、本実施形態において、第一磁石51又は第二磁石52の端面に、強磁性体を設けてもよい。これによって、第一磁石51の端面又は第二磁石52の端面から出る磁力線の範囲をさらに小さくできる。
【0053】
また、本実施形態において、位置検知センサと位置検知用磁石とからなる磁気位置検知機構を、光学素子を利用した位置検知機構、または、渦電流を利用した位置検知機構などの、ムーバの位置を検知する他の位置検知素子を用いた機構によって置き換えてもよい。
【0054】
また、本実施形態において、第一磁石51がその端面を第二ムーバ12に向けていれば、第二磁石52がその端面を第一ムーバ11に向ける必要はない。例えば、第一レンズ駆動ユニット91をそのままに、第二レンズ駆動ユニット92を90度回転させるような構成としてもよい。その場合、一対の第二磁石52うちの一方の第二磁石52は第一ムーバ11に近い側で第一磁石51に対して直交するように配置され、他方の第二磁石52は第一ムーバ11から遠い側で第一磁石51に対して直交するように配置される。即ち、第二磁石52は、その板面を第一ムーバ11に向けている。この場合においても、二つの第一磁石51のそれぞれの一方の端面は第二ムーバ12側を向いており、一方の第二磁石52の両端面にそれぞれ90度の角度で対向することになる。そのため、第一磁石51と第二磁石52は互いに他方に対して影響を与えにくいし、他方からの影響を受けにくい。
【0055】
その場合、第二FPC82は、第二外部接続端子部825と第三面部821があればよく、第四面部822を設ける必要はない。第二コイル接続端子826は第三面部821の両端に設けられる。第二外部接続端子部825は、第一外部接続端子部825と直列に配置される。第一位置検知センサ691は、第二磁石52から離れている第二面部812に設けられることが望ましく、第二位置検知センサは第三面部821に設けられることが望ましい。
【0056】
また、第二レンズ駆動ユニット92の第二磁石52は、四角形の第二枠22の各辺部又は各角部に対応する位置の第二ムーバ12に配置されてもよい。