特開2020-177679(P2020-177679A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2020-177679プログラム、収穫判断装置、及び収穫判断方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-177679(P2020-177679A)
(43)【公開日】2020年10月29日
(54)【発明の名称】プログラム、収穫判断装置、及び収穫判断方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20120101AFI20201002BHJP
   G01N 21/3563 20140101ALI20201002BHJP
   A01G 7/00 20060101ALI20201002BHJP
【FI】
   G06Q50/02
   G01N21/3563
   A01G7/00 603
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-116138(P2020-116138)
(22)【出願日】2020年7月6日
(62)【分割の表示】特願2018-175588(P2018-175588)の分割
【原出願日】2014年4月7日
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】梁川 直治
【テーマコード(参考)】
2G059
5L049
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB08
2G059BB11
2G059CC13
2G059DD12
2G059DD13
2G059EE01
2G059EE02
2G059EE12
2G059FF01
2G059GG02
2G059HH01
2G059KK04
5L049CC01
(57)【要約】
【課題】収穫対象物を収穫すべきタイミングを予想する。
【解決手段】収穫判断装置100は、濃度測定部110及び予想部120を備えている。濃度測定部110は、収穫対象物Fに含まれる特定成分の濃度(生育情報の一例)を測定する。予想部120は、濃度測定部110による測定結果の履歴に基づいて、収穫対象物Fの収穫タイミングを予想する。収穫対象物Fは、例えば植物Pの実、例えばメロン、スイカ、桃、りんご、マンゴーなどの果実であるが、これらに限定されない。収穫判断装置100は、例えば植物工場で使用されるが、これに限定されない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
収穫対象物を有する複数の植物を互いに識別する植物識別情報と、前記収穫対象物の生育状況を示す生育情報と、当該生育情報の測定日時を含む測定情報と、を互いに対応付けて記憶部に記憶する手段、
外部の装置から、新たな前記測定情報を前記植物識別情報に対応付けて受信する手段、
受信した前記植物識別情報に対応する前記測定情報を前記記憶部から読み出し、読み出した前記測定情報と、受信した前記新たな測定情報と、を用いて、前記収穫対象物の収穫タイミングを予想する手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項2】
前記生育情報は、前記収穫対象物に含まれる糖度に関する情報を含む、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記生育情報は、前記収穫対象物の画像に関する情報を含む、請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記植物識別情報は、植物ごと又は収穫対象物ごとに設定されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記コンピュータを、前記収穫タイミングに関する情報を外部の装置へ出力する手段としてさらに機能させる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項6】
前記植物識別情報と、前記生育情報と、前記測定情報と、を互いに対応付けて前記記憶部に記憶する手段は、前記植物識別情報と、前記生育情報と、前記測定情報と、に加えて、冷却部での前記植物の冷却と、照射部での前記植物への光の照射と、の少なくとも一方に関する動作履歴情報を対応付けて前記記憶部に記憶する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項7】
収穫対象物を有する複数の植物を互いに識別する植物識別情報と、前記収穫対象物の生育状況を示す生育情報と、当該生育情報の測定日時を含む測定情報と、を互いに対応付けて記憶する記憶部と、
外部の装置から、新たな前記測定情報を前記植物識別情報に対応付けて受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記植物識別情報に対応する前記測定情報を前記記憶部から読み出し、読み出した前記測定情報と、前記受信部が受信した前記新たな測定情報と、を用いて、前記収穫対象物の収穫タイミングを予想する予想部と、
を備える収穫判断装置。
【請求項8】
収穫対象物を有する複数の植物を互いに識別する植物識別情報と、前記収穫対象物の生育状況を示す生育情報と、当該生育情報の測定日時を含む測定情報と、を互いに対応付けて記憶部に記憶するステップと、
外部の装置から、新たな前記測定情報を前記植物識別情報に対応付けて受信するステップと、
受信した前記植物識別情報に対応する前記測定情報を前記記憶部から読み出し、読み出した前記測定情報と、受信した前記新たな測定情報と、を用いて、前記収穫対象物の収穫タイミングを予想するステップと、
を備える収穫判断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、収穫判断装置、及び収穫判断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
果物などの植物の収穫対象物の経済的価値は、収穫対象物に含まれる特定の成分の含有量(例えば糖度)によって大きく左右される。一般的には、糖度が重要視される収穫対象物は、収穫された後、近赤外光照射と光センサによって糖度が測定される。
【0003】
例えば特許文献1には、収穫対象物に対して光源を相対的に回転させながら、その収穫対象物に対して光を照射し、その収穫対象物を透過した光を分光分析することにより、収穫対象物における糖度の分布を測定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−24651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したように、果物などの植物の収穫対象物の経済的価値は、収穫対象物に含まれる特定の成分の含有量によって大きく左右される。このため、収穫対象物の経済的価値は、その収穫対象物を収穫したタイミングで決定される。ここで、収穫対象物を収穫すべきタイミングが予め予想されていると、出荷計画などを立てやすくなる。
【0006】
本発明が解決しようとする課題としては、収穫対象物を収穫すべきタイミングを予想することが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一の発明は、収穫対象物を有する複数の植物を互いに識別する植物識別情報と、前記収穫対象物の生育状況を示す生育情報及び当該生育情報の測定日時を含む測定情報とを、互いに対応付けて取得する取得部と、
前記取得された植物識別情報及び測定情報を外部に送信する送信部と、
前記送信された前記植物識別情報に対応する測定情報の履歴と、前記送信された測定情報とを用いて予測される前記収穫対象物の収穫タイミングを示す情報を受信する受信部と、
を備える端末装置である。
【0008】
他の発明は、収穫対象物を有する複数の植物を循環させる循環移動部と、
前記循環移動部における経路の一部に設けられ、前記収穫対象物の収穫タイミングを予想する収穫判断部と、
前記循環移動部における経路の他の一部に設けられ、前記植物を冷却する冷却部と、
を備える植物生育システムである。
【0009】
さらに他の発明は、収穫対象物を有する複数の植物を互いに識別する植物識別情報と、前記収穫対象物の生育状況を示す生育情報及びその測定日時を含む測定情報とを、互いに対応付けて記憶する記憶部と、
外部の装置から、公衆通信回線を介して、新たな前記測定情報を前記植物識別情報に対応付けて受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記植物識別情報に対応する前記測定情報を前記記憶部から読み出し、読み出した前記測定情報と前記受信部が受信した前記新たな測定情報とを用いて、前記収穫対象物の収穫タイミングを予想する予想部と、
前記予想部の予想結果を外部に公衆通信回線を介して送信する送信部と、
を備える収穫判断装置である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る収穫判断装置の構成を示す図である。
図2】予想部が行う処理の第1例を説明するための図である。
図3】予想部が行う処理の第2例を説明するための図である。
図4】実施例1に係る収穫判断装置の構成を示す図である。
図5】実施例2に係る植物生育システムの構成を示す図である。
図6】実施例3に係る植物生育システムの構成を示す図である。
図7】出荷後の植物Pの扱いを説明するための図である。
図8】ユーザ端末の構成を示す図である。
図9】収穫判断装置の構成を示す図である。
図10】ユーザ端末における収穫促進情報の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0012】
なお、以下に示す説明において、収穫判断装置100は、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。例えば予想部120は、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされたプログラム、そのプログラムを格納するハードディスクなどの記憶メディア、ネットワーク接続用インタフェースを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置には様々な変形例がある。
【0013】
図1は、実施形態に係る収穫判断装置100の構成を示す図である。実施形態に係る収穫判断装置100は、濃度測定部110及び予想部120を備えている。濃度測定部110は、収穫対象物Fに含まれる特定成分の濃度(生育情報の一例)を測定する。予想部120は、濃度測定部110による測定結果の履歴に基づいて、収穫対象物Fの収穫タイミングを予想する。収穫対象物Fは、例えば植物Pの実、例えばメロン、スイカ、桃、りんご、マンゴーなどの果実であるが、これらに限定されない。収穫判断装置100は、例えば植物工場で使用されるが、これに限定されない。以下、詳細に説明する。
【0014】
濃度測定部110は、収穫対象物Fに含まれる特定成分(以下、特定成分と記載)の濃度を複数回(例えば定期的に)測定する。濃度測定部110は、例えば収穫対象物Fを透過してきた光または反射波の強度に基づいて、収穫対象物Fに含まれる特定成分の濃度を判断する。例えば特定成分が糖分の場合、濃度測定部110が検出する光は近赤外光になる。濃度測定部110が検出する光の光源は、例えばLEDや有機EL素子などの発光素子を有しており、収穫対象物Fの近くに配置されている。
【0015】
予想部120は、濃度測定部110の測定結果の履歴に基づいて、収穫対象物Fの収穫タイミングを予想する。予想部120が行う処理の詳細の例については、図2,3を用いて後述する。そして予想部120は、予想結果を出力する。この予想結果は、例えば収穫タイミングを示す文字データ、又は測定結果の履歴及び予想推移を示す画像データとして、外部に出力される。
【0016】
また、収穫判断装置100は、さらに測定結果記憶部122を有している。測定結果記憶部122は、濃度測定部110による測定結果を、その測定日時に対応付けて記憶している。収穫対象物F(又は植物P)が複数ある場合、測定結果記憶部122は、濃度測定部110による測定結果及び測定日時を、収穫対象物F(又は植物P)を互いに識別する情報(以下識別情報と記載)に対応付けて記憶している。この識別情報は、例えばその収穫対象物Fを測定するときに濃度測定部110に入力される。そして、予想部120は、測定結果記憶部122が記憶している情報を用いて収穫対象物Fの収穫タイミングを予想する。
【0017】
なお、測定結果記憶部122は収穫判断装置100とは別の場所に設けられていても良い。この場合、測定結果記憶部122は、通信回線を介して予想部120と通信する。
【0018】
図2は、予想部120が行う処理の第1例を説明するための図である。本図に示す例において、予想部120は近似式を用いて収穫対象物Fの収穫タイミングを予想する。例えば、収穫対象物Fは、特定成分の濃度が基準値以上になったときに、収穫タイミングになったと判断される。ここで予想部120は、特定成分の濃度の推移を予め定められた近似式に当てはめることにより、特定成分の濃度が基準値以上になるタイミング(すなわち収穫タイミング)を予想する。
【0019】
図3は、予想部120が行う処理の第2例を説明するための図である。本図に示す例において、予想部120は異なる測定タイミングの間における特定成分の濃度の差分に基づいて収穫タイミングを予想する。具体的には、予想部120は、最新の測定結果における特定成分の濃度と、そのひとつ前の測定結果における特定成分の濃度の差(ΔC)を算出する。そして予想部120は、ΔCの履歴を判断し、ΔCが基準値以下になるタイミングを予想する。そしてこの予想タイミングを、収穫タイミングとして判断する。この場合、収穫対象物Fの固体差に起因して、特定の収穫対象物Fにおいて特定成分の濃度があがらない場合においても、その収穫対象物Fの収穫タイミングを予想することができる。
【0020】
以上、本実施形態によれば、予想部120は、濃度測定部110の測定結果の履歴に基づいて、収穫対象物Fの収穫タイミングを予想する。従って、収穫対象物Fの出荷計画などが立てやすくなる。
【0021】
なお、予想部120は、図2,3に示す例において求めた収穫タイミングから、賞味期限や流通に必要な時間を差し引く(すなわち前倒しにする)ことによって、収穫タイミングを補正しても良い。具体的には、予想部120は、流通に必要な時間が5日程度である場合、1週間後に特定成分の濃度が最高となるように、収穫タイミングの予想日を設定する。このようにすると、消費者に届くタイミングで収穫対象物Fにおける特定成分の濃度は最も高くなる。
【実施例】
【0022】
(実施例1)
図4は、実施例1に係る収穫判断装置100の構成を示す図である。本図に示す収穫判断装置100は、測定結果記憶部122、基準記憶部124、及び入力部130を備えている点を除いて、実施形態に係る収穫判断装置100と同様の構成である。
【0023】
測定結果記憶部122は、濃度測定部110の測定結果の履歴を記憶している。例えば測定結果記憶部122は、濃度測定部110の測定結果を、その測定日時を示す情報に対応付けて記憶している。また、収穫対象物Fに識別情報が付与されている場合、測定結果記憶部122は、濃度測定部110の測定結果を収穫対象物Fの識別情報にも対応付けて記憶している。そして予想部120は、測定結果記憶部122が記憶している情報を用いて、収穫対象物Fの収穫タイミングを予想する。
【0024】
基準記憶部124は、予想部120が収穫対象物Fの収穫タイミングを予想する際に用いる情報を記憶している。例えば予想部120が近似式を用いて収穫タイミングを予想する場合、基準記憶部124は、この近似式を生成するための情報を記憶している。また予想部120が異なる測定タイミングの間における特定成分の濃度の差分に基づいて収穫タイミングを予想する場合、基準記憶部124は、例えば、この差分を、収穫タイミングになるまでに必要な時間に対応付けて記憶している。
【0025】
また基準記憶部124は、収穫対象物Fの種類別に、収穫対象物Fの収穫タイミングを予想する際に用いる情報を記憶している。このため、予想部120は、収穫対象物Fの種類別に、収穫タイミングの予想基準を異ならせることができる。このようにすると、収穫対象物Fの収穫タイミングの予想の精度は高くなる。
【0026】
入力部130は、例えばタッチパネルやキーボードなどの入力デバイスを備えており、収穫対象物Fの種類が入力される。予想部120は、入力部130に入力された収穫対象物Fの種類に対応する情報を基準記憶部124から読み出して使用する。なお、入力部130に入力された収穫対象物Fの種類を示す情報は、その収穫対象物Fの識別情報に対応付けて測定結果記憶部122に記憶される。予想部120は、収穫対象物Fの収穫タイミングを再び予想する場合、測定結果記憶部122に記憶されている情報を用いて収穫対象物Fの種類を判断する。
【0027】
本実施例によっても、実施形態と同様の効果が得られる。また、収穫対象物Fの種類別に、収穫タイミングの予想基準を異ならせることができるため、収穫対象物Fの収穫タイミングの予想の精度は高くなる。
【0028】
(実施例2)
図5は、実施例2に係る植物生育システム10の構成を示す図である。本実施例に係る植物生育システム10は例えば植物工場で使用され、収穫判断装置100、照射部200、分類装置300、収穫装置310、冷蔵装置320、及び冷却部330を有している。収穫判断装置100は、実施例1と同様の構成を有している。
【0029】
植物生育システム10において、複数の植物Pが環状の循環移動部210、例えばベルトコンベアによって循環している。そして、複数の植物Pの上方には照射部200が設けられている。照射部200は、植物Pの生育に適した波長の光を植物Pに照射する。ここで、照射部200は、植物Pの生育段階にあわせて光の波長を変更しても良い。
【0030】
複数の植物Pには、互いを識別する識別情報が付与されている。この識別情報は、例えば植物Pの生育容器に取り付けられたICチップに記憶されている。収穫判断装置100は、植物Pの識別情報を収穫対象物Fの識別情報として用いる。そして収穫判断装置100は、実施例1と同様に、植物Pが有する収穫対象物Fの収穫タイミングを予想する。このとき、収穫判断装置100は、検査対象となっている収穫対象物Fを有する植物Pの識別情報を、上記したICチップから読み取る。また収穫判断装置100の予想部120は、収穫対象物Fにおける特定成分の濃度が基準を満たした場合、収穫対象物Fを収穫すべきと判断する。そして収穫判断装置100は、収穫すべきと判断された収穫対象物Fに対応する識別情報を、分類装置300に出力する。
【0031】
また、循環移動部210の一部の上には、冷却部330が設けられている。冷却部330は、植物Pを凍らさない程度に冷却する。好ましくは、湿度も一定値以上に保つ。これにより、植物Pの種類(例えばキャベツや白菜などの葉物の野菜やアスパラガスなど)によっては、収穫対象物Fの特定成分(例えば糖度や遊離アミノ酸)の濃度は上昇する。これは、植物P自身が凍らないようにするため、と考えられる。
【0032】
そして本実施例において、収穫判断装置100の測定結果記憶部122は、濃度測定部110による測定結果の履歴に加えて、照射部200及び冷却部330の動作履歴も記憶している。
【0033】
分類装置300は、循環移動部210の一部に設けられており、分類装置300を通る植物Pの識別情報を、上記したICチップから読み取る。そして、分類装置300は、読み取った識別情報が、収穫判断装置100から受信した識別情報に一致したとき、その植物Pを、収穫対象物Fを収穫するために、循環移動部210とは別のルートに移動させる。
【0034】
そして循環移動部210とは別のルートに移動した植物Pの収穫対象物Fは、収穫装置310によって収穫及び箱詰めされ、冷蔵装置320によって冷蔵状態(好ましくはさらに高湿度状態)で保存される。冷蔵装置320は、さらに湿度を高湿度にした状態で収穫対象物Fを保存しても良い。
【0035】
本実施例によっても、収穫対象物Fの収穫タイミングを精度よく予想することができるため、収穫対象物Fの出荷計画を立てやすくなる。また、循環移動部210の一部の上には冷却部330を設けているため、収穫対象物Fの糖度は上昇しやすくなる。
【0036】
なお、図5に示す例では、植物P(及び収穫対象物F)が一列に配置されているが、個々の植物P及び収穫対象物Fの発育状態や糖度によっては、植物Pの並び順を入れ替えてもよい。例えば、発育状態や収穫対象物Fの糖度が同じ範囲にある植物Pが固まるように並び替えてグループ化し、各グループ別に、照射部200及び冷却部330の動作を最適化してもよい。
【0037】
(実施例3)
図6は、実施例3に係る植物生育システム10の構成を示す図である。本実施例に係る植物生育システム10は、以下の点を除いて、実施例2に係る植物生育システム10と同様の構成である。
【0038】
まず、収穫判断装置100は、収穫対象物Fの収穫タイミングの予想時期までの期間が基準以下になった植物Pの識別情報を、分類装置300に出力する。分類装置300は、識別情報を受信した植物Pを循環移動部210から外して出荷する。植物Pは、未収穫の収穫対象物Fがついた状態で顧客に届けられる。
【0039】
図7は、出荷後の植物Pの扱いを説明するための図である。植物Pを受け取った顧客はユーザ端末400を有している。ユーザ端末400は、公衆通信回線20を介して収穫判断装置100と通信することができる。ユーザ端末400は、公衆通信回線20を介して、収穫対象物Fの測定情報を収穫判断装置100に送信する。収穫判断装置100は、ユーザ端末400から受信した新たな測定情報と、測定結果記憶部122に予め記憶されている測定情報(植物生育システム10における測定情報を含む)とを用いて、収穫対象物Fの収穫タイミングを予想する。そして収穫判断装置100は、予想結果を、公衆通信回線20を介してユーザ端末400に送信する。
【0040】
図8は、ユーザ端末400の構成を示す図である。ユーザ端末400は携帯端末であり、測定部410及び通信部420を備えている。測定部410は、収穫対象物Fの測定情報を取得する。ここで、測定部410は、収穫判断装置100の濃度測定部110と同様の機能を有している。そしてユーザ端末400は、スマートフォンなどの汎用の携帯通信端末を流用することができる。後者の場合、測定部410は、収穫対象物Fに含まれている特定成分の濃度を測定情報として取得する。
【0041】
通信部420は、公衆通信回線20を介して収穫判断装置100と通信する。通信部420は、例えば無線通信機能を有している。通信部420は、測定部410が測定した測定情報を、植物Pの識別情報に対応付けて収穫判断装置100に送信する。植物Pの識別情報は、例えば測定部410によって読み取られる。
【0042】
図9は、本実施例における収穫判断装置100の構成を示す図である。本図に示す収穫判断装置100は、通信部140(受信部及び送信部)を備えている点を除いて、実施例1に係る収穫判断装置100と同様の構成を有している。通信部140は、ユーザ端末400(外部の装置の一例)から送信されてきた測定情報及び植物Pの識別情報を受信する。そして予想部120は、通信部140が受信した植物Pの識別情報に対応する測定情報の履歴を測定結果記憶部122から読み出し、読み出した履歴と通信部140が受信した測定情報を用いて、収穫対象物Fの収穫タイミングを予想する。また予想部120は、新たに受信した測定情報を植物Pの識別情報に対応付けて測定結果記憶部122に記憶させる。そして通信部140は、予想部120の予想結果をユーザ端末400に送信する。
【0043】
また予想部120は、収穫対象物Fの収穫タイミングが近づいたときに、収穫タイミングが近づいたことを示す収穫促進情報を、通信部140を介してユーザ端末400に送信する。これにより、ユーザ端末400のユーザは、収穫対象物Fの収穫タイミングが近づいたことを認識することができる。
【0044】
図10の各図は、ユーザ端末400における収穫促進情報の表示例を示す図である。これらの図に示す例において、収穫促進情報には、収穫予定日までの時間(本図に示す例では日数)が示されている。そして、収穫予定日を基準にした時間によって、表示が変わっている。また、収穫促進情報にはその植物Sの履歴や収穫後の推奨保存環境や栄養量なども含まれている。なお、図には示していないが、収穫促進情報には、其のタイミングにおける収穫対象物Fの標準的な画像が添付されていても良い。
【0045】
なお、測定結果記憶部122には収穫対象物Fの種類が既に記憶されているため、ユーザ端末400のユーザは、ユーザ端末400に収穫対象物Fの種類を入力する必要はない。
【0046】
また、ユーザ端末400の測定部410は、収穫対象物Fのカラー画像を測定情報として取得しても良い。この場合、生育情報には収穫対象物Fの色を示す情報が含まれている。そして収穫判断装置100の予想部120は、収穫対象物Fの色、例えば収穫対象物Fにおける特定色の面積割合に基づいて、収穫対象物Fの収穫タイミングを予想する。
【0047】
本実施例によれば、ユーザ端末400のユーザは、ある程度収穫対象物Fが生育された後の植物Pを入手するため、ユーザが植物Pを最初から生育する場合と比較して、収穫対象物Fを収穫できる可能性は高くなる。そして、その収穫対象物Fが育って収穫できるまでの過程を楽しむことができる。この際、収穫対象物Fの収穫タイミングを予想することができるため、その楽しみはさらに大きくなる。
【0048】
以上、図面を参照して実施形態及び実施例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0049】
10 植物生育システム
100 収穫判断装置
110 濃度測定部
120 予想部
130 入力部
140 通信部(受信部及び送信部)
20 公衆通信回線
210 循環移動部
330 冷却部
400 ユーザ端末(外部の装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10