【実施例】
【0022】
(実施例1)
  
図4は、実施例1に係る収穫判断装置100の構成を示す図である。本図に示す収穫判断装置100は、測定結果記憶部122、基準記憶部124、及び入力部130を備えている点を除いて、実施形態に係る収穫判断装置100と同様の構成である。
【0023】
  測定結果記憶部122は、濃度測定部110の測定結果の履歴を記憶している。例えば測定結果記憶部122は、濃度測定部110の測定結果を、その測定日時を示す情報に対応付けて記憶している。また、収穫対象物Fに識別情報が付与されている場合、測定結果記憶部122は、濃度測定部110の測定結果を収穫対象物Fの識別情報にも対応付けて記憶している。そして予想部120は、測定結果記憶部122が記憶している情報を用いて、収穫対象物Fの収穫タイミングを予想する。
【0024】
  基準記憶部124は、予想部120が収穫対象物Fの収穫タイミングを予想する際に用いる情報を記憶している。例えば予想部120が近似式を用いて収穫タイミングを予想する場合、基準記憶部124は、この近似式を生成するための情報を記憶している。また予想部120が異なる測定タイミングの間における特定成分の濃度の差分に基づいて収穫タイミングを予想する場合、基準記憶部124は、例えば、この差分を、収穫タイミングになるまでに必要な時間に対応付けて記憶している。
【0025】
  また基準記憶部124は、収穫対象物Fの種類別に、収穫対象物Fの収穫タイミングを予想する際に用いる情報を記憶している。このため、予想部120は、収穫対象物Fの種類別に、収穫タイミングの予想基準を異ならせることができる。このようにすると、収穫対象物Fの収穫タイミングの予想の精度は高くなる。
【0026】
  入力部130は、例えばタッチパネルやキーボードなどの入力デバイスを備えており、収穫対象物Fの種類が入力される。予想部120は、入力部130に入力された収穫対象物Fの種類に対応する情報を基準記憶部124から読み出して使用する。なお、入力部130に入力された収穫対象物Fの種類を示す情報は、その収穫対象物Fの識別情報に対応付けて測定結果記憶部122に記憶される。予想部120は、収穫対象物Fの収穫タイミングを再び予想する場合、測定結果記憶部122に記憶されている情報を用いて収穫対象物Fの種類を判断する。
【0027】
  本実施例によっても、実施形態と同様の効果が得られる。また、収穫対象物Fの種類別に、収穫タイミングの予想基準を異ならせることができるため、収穫対象物Fの収穫タイミングの予想の精度は高くなる。
【0028】
(実施例2)
  
図5は、実施例2に係る植物生育システム10の構成を示す図である。本実施例に係る植物生育システム10は例えば植物工場で使用され、収穫判断装置100、照射部200、分類装置300、収穫装置310、冷蔵装置320、及び冷却部330を有している。収穫判断装置100は、実施例1と同様の構成を有している。
【0029】
  植物生育システム10において、複数の植物Pが環状の循環移動部210、例えばベルトコンベアによって循環している。そして、複数の植物Pの上方には照射部200が設けられている。照射部200は、植物Pの生育に適した波長の光を植物Pに照射する。ここで、照射部200は、植物Pの生育段階にあわせて光の波長を変更しても良い。
【0030】
  複数の植物Pには、互いを識別する識別情報が付与されている。この識別情報は、例えば植物Pの生育容器に取り付けられたICチップに記憶されている。収穫判断装置100は、植物Pの識別情報を収穫対象物Fの識別情報として用いる。そして収穫判断装置100は、実施例1と同様に、植物Pが有する収穫対象物Fの収穫タイミングを予想する。このとき、収穫判断装置100は、検査対象となっている収穫対象物Fを有する植物Pの識別情報を、上記したICチップから読み取る。また収穫判断装置100の予想部120は、収穫対象物Fにおける特定成分の濃度が基準を満たした場合、収穫対象物Fを収穫すべきと判断する。そして収穫判断装置100は、収穫すべきと判断された収穫対象物Fに対応する識別情報を、分類装置300に出力する。
【0031】
  また、循環移動部210の一部の上には、冷却部330が設けられている。冷却部330は、植物Pを凍らさない程度に冷却する。好ましくは、湿度も一定値以上に保つ。これにより、植物Pの種類(例えばキャベツや白菜などの葉物の野菜やアスパラガスなど)によっては、収穫対象物Fの特定成分(例えば糖度や遊離アミノ酸)の濃度は上昇する。これは、植物P自身が凍らないようにするため、と考えられる。
【0032】
  そして本実施例において、収穫判断装置100の測定結果記憶部122は、濃度測定部110による測定結果の履歴に加えて、照射部200及び冷却部330の動作履歴も記憶している。
【0033】
  分類装置300は、循環移動部210の一部に設けられており、分類装置300を通る植物Pの識別情報を、上記したICチップから読み取る。そして、分類装置300は、読み取った識別情報が、収穫判断装置100から受信した識別情報に一致したとき、その植物Pを、収穫対象物Fを収穫するために、循環移動部210とは別のルートに移動させる。
【0034】
  そして循環移動部210とは別のルートに移動した植物Pの収穫対象物Fは、収穫装置310によって収穫及び箱詰めされ、冷蔵装置320によって冷蔵状態(好ましくはさらに高湿度状態)で保存される。冷蔵装置320は、さらに湿度を高湿度にした状態で収穫対象物Fを保存しても良い。
【0035】
  本実施例によっても、収穫対象物Fの収穫タイミングを精度よく予想することができるため、収穫対象物Fの出荷計画を立てやすくなる。また、循環移動部210の一部の上には冷却部330を設けているため、収穫対象物Fの糖度は上昇しやすくなる。
【0036】
  なお、
図5に示す例では、植物P(及び収穫対象物F)が一列に配置されているが、個々の植物P及び収穫対象物Fの発育状態や糖度によっては、植物Pの並び順を入れ替えてもよい。例えば、発育状態や収穫対象物Fの糖度が同じ範囲にある植物Pが固まるように並び替えてグループ化し、各グループ別に、照射部200及び冷却部330の動作を最適化してもよい。
【0037】
(実施例3)
  
図6は、実施例3に係る植物生育システム10の構成を示す図である。本実施例に係る植物生育システム10は、以下の点を除いて、実施例2に係る植物生育システム10と同様の構成である。
【0038】
  まず、収穫判断装置100は、収穫対象物Fの収穫タイミングの予想時期までの期間が基準以下になった植物Pの識別情報を、分類装置300に出力する。分類装置300は、識別情報を受信した植物Pを循環移動部210から外して出荷する。植物Pは、未収穫の収穫対象物Fがついた状態で顧客に届けられる。
【0039】
  図7は、出荷後の植物Pの扱いを説明するための図である。植物Pを受け取った顧客はユーザ端末400を有している。ユーザ端末400は、公衆通信回線20を介して収穫判断装置100と通信することができる。ユーザ端末400は、公衆通信回線20を介して、収穫対象物Fの測定情報を収穫判断装置100に送信する。収穫判断装置100は、ユーザ端末400から受信した新たな測定情報と、測定結果記憶部122に予め記憶されている測定情報(植物生育システム10における測定情報を含む)とを用いて、収穫対象物Fの収穫タイミングを予想する。そして収穫判断装置100は、予想結果を、公衆通信回線20を介してユーザ端末400に送信する。
【0040】
  図8は、ユーザ端末400の構成を示す図である。ユーザ端末400は携帯端末であり、測定部410及び通信部420を備えている。測定部410は、収穫対象物Fの測定情報を取得する。ここで、測定部410は、収穫判断装置100の濃度測定部110と同様の機能を有している。そしてユーザ端末400は、スマートフォンなどの汎用の携帯通信端末を流用することができる。後者の場合、測定部410は、収穫対象物Fに含まれている特定成分の濃度を測定情報として取得する。
【0041】
  通信部420は、公衆通信回線20を介して収穫判断装置100と通信する。通信部420は、例えば無線通信機能を有している。通信部420は、測定部410が測定した測定情報を、植物Pの識別情報に対応付けて収穫判断装置100に送信する。植物Pの識別情報は、例えば測定部410によって読み取られる。
【0042】
  図9は、本実施例における収穫判断装置100の構成を示す図である。本図に示す収穫判断装置100は、通信部140(受信部及び送信部)を備えている点を除いて、実施例1に係る収穫判断装置100と同様の構成を有している。通信部140は、ユーザ端末400(外部の装置の一例)から送信されてきた測定情報及び植物Pの識別情報を受信する。そして予想部120は、通信部140が受信した植物Pの識別情報に対応する測定情報の履歴を測定結果記憶部122から読み出し、読み出した履歴と通信部140が受信した測定情報を用いて、収穫対象物Fの収穫タイミングを予想する。また予想部120は、新たに受信した測定情報を植物Pの識別情報に対応付けて測定結果記憶部122に記憶させる。そして通信部140は、予想部120の予想結果をユーザ端末400に送信する。
【0043】
  また予想部120は、収穫対象物Fの収穫タイミングが近づいたときに、収穫タイミングが近づいたことを示す収穫促進情報を、通信部140を介してユーザ端末400に送信する。これにより、ユーザ端末400のユーザは、収穫対象物Fの収穫タイミングが近づいたことを認識することができる。
【0044】
  図10の各図は、ユーザ端末400における収穫促進情報の表示例を示す図である。これらの図に示す例において、収穫促進情報には、収穫予定日までの時間(本図に示す例では日数)が示されている。そして、収穫予定日を基準にした時間によって、表示が変わっている。また、収穫促進情報にはその植物Sの履歴や収穫後の推奨保存環境や栄養量なども含まれている。なお、図には示していないが、収穫促進情報には、其のタイミングにおける収穫対象物Fの標準的な画像が添付されていても良い。
【0045】
  なお、測定結果記憶部122には収穫対象物Fの種類が既に記憶されているため、ユーザ端末400のユーザは、ユーザ端末400に収穫対象物Fの種類を入力する必要はない。
【0046】
  また、ユーザ端末400の測定部410は、収穫対象物Fのカラー画像を測定情報として取得しても良い。この場合、生育情報には収穫対象物Fの色を示す情報が含まれている。そして収穫判断装置100の予想部120は、収穫対象物Fの色、例えば収穫対象物Fにおける特定色の面積割合に基づいて、収穫対象物Fの収穫タイミングを予想する。
【0047】
  本実施例によれば、ユーザ端末400のユーザは、ある程度収穫対象物Fが生育された後の植物Pを入手するため、ユーザが植物Pを最初から生育する場合と比較して、収穫対象物Fを収穫できる可能性は高くなる。そして、その収穫対象物Fが育って収穫できるまでの過程を楽しむことができる。この際、収穫対象物Fの収穫タイミングを予想することができるため、その楽しみはさらに大きくなる。
【0048】
  以上、図面を参照して実施形態及び実施例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。