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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-178091(P2020-178091A)
(43)【公開日】2020年10月29日
(54)【発明の名称】コイル部品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/29 20060101AFI20201002BHJP
   H01F 27/32 20060101ALI20201002BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20201002BHJP
   H01F 41/04 20060101ALI20201002BHJP
   H01F 41/10 20060101ALI20201002BHJP
【FI】
   H01F27/29 H
   H01F27/29 123
   H01F27/32 101
   H01F17/04 F
   H01F41/04 B
   H01F41/10 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-80783(P2019-80783)
(22)【出願日】2019年4月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 和文
(72)【発明者】
【氏名】外海 透
(72)【発明者】
【氏名】小柳 佑市
(72)【発明者】
【氏名】乾 京介
(72)【発明者】
【氏名】萬年 真紀
【テーマコード(参考)】
5E062
5E070
【Fターム(参考)】
5E062FF02
5E062FG01
5E062FG15
5E070AA01
5E070AB02
5E070BB03
5E070DA13
5E070DA15
5E070EA01
5E070EA06
5E070EB04
(57)【要約】
【課題】磁性素体にワイヤ状のコイル導体が埋め込まれてなるコイル部品において、コイル導体と導電性樹脂の接続信頼性を高める。
【解決手段】コイル部品1は、磁性素体10に埋め込まれたコイル導体30と、コイル導体30の一端31に接続された端子電極21とを備える。端子電極21は、コイル導体30の端部31と接し、導電性粒子と樹脂材料を含む導電性樹脂41,42と、導電性樹脂41,42を覆う金属膜43とを有する。コイル導体30の一端31は、磁性素体10から露出し、導電性樹脂41と接する露出面Aと、磁性素体10に覆われる非露出面Bとを有し、露出面Aは非露出面Bよりも表面粗さが大きい。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性素体と、
前記磁性素体に埋め込まれ、端部が前記磁性素体から露出するコイル導体と、
前記コイル導体の前記端部に接続された端子電極と、を備え、
前記端子電極は、前記コイル導体の前記端部と接し、導電性粒子と樹脂材料を含む導電性樹脂と、前記導電性樹脂を覆う金属膜とを有し、
前記コイル導体の前記端部は、前記磁性素体から露出し、前記導電性樹脂と接する露出面と、前記磁性素体に覆われる非露出面とを有し、
前記露出面は、前記非露出面よりも表面粗さが大きいことを特徴とするコイル部品。
【請求項2】
前記コイル導体の前記露出面は、前記磁性素体の外側に位置する外部露出面と、前記磁性素体と接することなく前記磁性素体に埋め込まれた内部露出面を有し、
前記導電性樹脂は、前記外部露出面及び内部露出面の両方と接していることを特徴とする請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記磁性素体の表面は樹脂皮膜で覆われており、前記導電性樹脂の一部は、前記樹脂皮膜上に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記導電性樹脂に含まれる前記導電性粒子は、焼結金属を介して接合されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記磁性素体は、前記コイル導体の内径領域に位置する下側磁性素体と、前記コイル導体の外側領域に位置する上側磁性素体とを含み、
前記下側磁性素体は、前記上側磁性素体よりも密度が高いことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項6】
コイル導体の端部が露出するよう、前記コイル導体を磁性素体に埋め込む第1の工程と、
前記磁性素体の表面を樹脂皮膜で覆う第2の工程と、
レーザービームを照射することにより、前記コイル導体の前記端部が露出するまで前記樹脂皮膜を部分的に剥離する第3の工程と、
前記コイル導体の前記端部と接するよう、前記磁性素体及び前記樹脂皮膜の表面に導電性樹脂を形成する第4の工程と、
前記導電性樹脂の表面に金属膜をメッキ形成する第5の工程と、を備え、
前記第3の工程においては、前記コイル導体の前記端部の露出面が粗面化されるまで前記レーザービームを照射することを特徴とするコイル部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコイル部品及びその製造方法に関し、特に、磁性素体にワイヤ状のコイル導体が埋め込まれてなるコイル部品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁性素体にワイヤ状のコイル導体が埋め込まれてなるコイル部品としては、特許文献1及び2に記載されたコイル部品が知られている。特許文献1及び2に記載されたコイル部品は、磁性素体に埋め込まれたコイル導体の端部を磁性素体から露出させ、その表面をメッキすることによって端子電極を形成している。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載のコイル部品では、コイル導体の端部に端子電極を直接メッキしていることから、コイル導体が露出しない磁性素体の表面に端子電極を形成することは困難である。これに対し、特許文献2に記載されたコイル部品では、コイル導体の端部と接するよう磁性素体の表面にペースト状の導電性樹脂を塗布し、硬化させた後、導電性樹脂の表面にメッキ膜を形成していることから、コイル導体が露出しない磁性素体の表面にも容易に端子電極を形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−175437号公報
【特許文献2】特開2013−149814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、導電性樹脂とメッキ膜は、導電性樹脂に含まれる導電性粒子とメッキ膜の金属接合によって導通が確保されるのに対し、導電性樹脂とコイル導体は、導電性樹脂に含まれる導電性粒子とコイル導体の物理的な接触によって導通が確保される。このため、導電性樹脂とメッキ膜の接続に比べると、導電性樹脂とコイル導体の接続は、高い信頼性を確保するのが容易ではないという問題があった。
【0006】
したがって、本発明は、磁性素体にワイヤ状のコイル導体が埋め込まれてなるコイル部品において、コイル導体と導電性樹脂の接続信頼性を高めることを目的とする。また、本発明は、このようなコイル部品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるコイル部品は、磁性素体と、磁性素体に埋め込まれ、端部が磁性素体から露出するコイル導体と、コイル導体の端部に接続された端子電極とを備え、端子電極は、コイル導体の端部と接し、導電性粒子と樹脂材料を含む導電性樹脂と、導電性樹脂を覆う金属膜とを有し、コイル導体の端部は、磁性素体から露出し、導電性樹脂と接する露出面と、磁性素体に覆われる非露出面とを有し、露出面は、非露出面よりも表面粗さが大きいことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、コイル導体の端部のうち導電性樹脂と接する露出面の表面粗さが大きいことから、コイル導体の端部と導電性樹脂の接続信頼性を高めることが可能となる。
【0009】
本発明において、コイル導体の露出面は、磁性素体の外側に位置する外部露出面と、磁性素体と接することなく磁性素体に埋め込まれた内部露出面を有し、導電性樹脂は、外部露出面及び内部露出面の両方と接していても構わない。これによれば、コイル導体の端部と導電性樹脂の接続信頼性をよりいっそう高めることが可能となる。
【0010】
本発明において、磁性素体の表面は樹脂皮膜で覆われており、導電性樹脂の一部は、樹脂皮膜上に形成されていても構わない。これによれば、磁性素体の表面に導電性の磁性材料が露出している場合であっても、磁性素体の表面に露出する導電性の磁性材料と導電性樹脂が接触することがない。
【0011】
本発明において、導電性樹脂に含まれる導電性粒子は、焼結金属を介して接合されていても構わない。これによれば、導電性樹脂の抵抗値をより低くすることが可能となる。
【0012】
本発明において、磁性素体は、コイル導体の内径領域に位置する下側磁性素体と、コイル導体の外側領域に位置する上側磁性素体とを含み、下側磁性素体は、上側磁性素体よりも密度が高くても構わない。このような構成は、下側磁性素体を単体でプレス加工する際の圧力よりも、下側磁性素体にコイル導体を装着した状態で上側磁性素体をプレス加工する際の圧力を低く設定し、これによりコイル導体の変形や断線を防止した場合に得られる。
【0013】
本発明によるコイル導体の製造方法は、コイル導体の端部が露出するよう、コイル導体を磁性素体に埋め込む第1の工程と、磁性素体の表面を樹脂皮膜で覆う第2の工程と、レーザービームを照射することにより、コイル導体の端部が露出するまで樹脂皮膜を部分的に剥離する第3の工程と、コイル導体の端部と接するよう、磁性素体及び前記樹脂皮膜の表面に導電性樹脂を形成する第4の工程と、前記導電性樹脂の表面に金属膜をメッキ形成する第5の工程とを備え、前記第3の工程においては、コイル導体の端部の露出面が粗面化されるまでレーザービームを照射することを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、コイル導体の端部の露出面が粗面化されるまでレーザービームを照射していることから、コイル導体の端部と導電性樹脂の接続信頼性を高めることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
このように、本発明によれば、磁性素体にワイヤ状のコイル導体が埋め込まれてなるコイル部品において、コイル導体と導電性樹脂の接続信頼性を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の好ましい実施形態によるコイル部品1を上面側から見た略斜視図である。
図2図2は、コイル部品1を実装面側から見た略斜視図である。
図3図3は、コイル部品1のxz断面図である。
図4図4は、コイル部品1のyz断面図である。
図5図5は、コイル導体30の一端31と端子電極21の接続部分を拡大して示す模式的な断面図である。
図6図6は、コイル部品1の製造工程を説明するためのフローチャートである。
図7図7は、プレス成型された下側磁性素体11の形状を示す略斜視図である。
図8図8は、コイル導体30の形状を示す略斜視図である。
図9図9は、樹脂被膜50を部分的に剥離することによってコイル導体30の一端31及び他端32を露出させた状態を示す略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0018】
図1及び図2は、本発明の好ましい実施形態によるコイル部品1の外観を示す略斜視図であり、図1は上面側から見た図、図2は実装面側から見た図である。また、図3はコイル部品1のxz断面図であり、図4はコイル部品1のyz断面図である。
【0019】
図1図4に示すように、本実施形態によるコイル部品1は、略直方体形状を有する磁性素体10と、磁性素体10に埋め込まれたコイル導体30と、磁性素体10の実装面及び側面に設けられ、コイル導体30に接続された2つの端子電極21,22とを備えている。
【0020】
磁性素体10は、磁性材料及び結合材を含む複合磁性材料からなり、下側磁性素体11と上側磁性素体12によって構成される。複合磁性材料に含まれる磁性材料としては、透磁率が高い軟磁性金属粉を用いることが特に好ましい。具体例としては、Ni−Zn系、Mn−Zn、Ni−Cu−Zn系などのフェライト、パーマロイ(Fe−Ni合金)、スーパーパーマロイ(Fe−Ni−Mo合金)、センダスト(Fe−Si−Al合金)、Fe−Si合金、Fe−Co合金、Fe−Cr合金、Fe−Cr−Si合金、Fe、アモルファス(Fe基系)、ナノ結晶(ナノクリスタル)等を挙げることができる。また、結合材としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂材料を用いることができる。
【0021】
図3及び図4に示すように、下側磁性素体11は、平板部11aと凸部11bを有しており、凸部11bがコイル導体30の内径部に挿入されるよう、平板部11aにコイル導体30が載置される。したがって、下側磁性素体11は、コイル導体30の下側領域及び内径領域に位置する。また、上側磁性素体12は、下側磁性素体11に載置されたコイル導体30を埋め込む部分である。したがって、上側磁性素体12は、コイル導体30の上側領域及び外側領域に位置する。特に限定されるものではないが、本実施形態においては凸部11bがテーパー形状を有しており、これにより、金型を用いて下側磁性素体11を成形する際に、金型から凸部11bが抜けやすくなっている。
【0022】
コイル導体30は、銅(Cu)などからなる芯材に絶縁被覆が施されたワイヤ状の被覆導線であり、本実施形態においては1本のコイル導体30が凸部11bに複数回巻回されている。コイル導体30の一端31及び他端32は磁性素体10から露出し、それぞれ端子電極21,22に接続されている。コイル導体30は、断面が円形である丸線ワイヤであっても構わないし、断面が四角形である平角ワイヤであっても構わない。
【0023】
図5は、コイル導体30の一端31と端子電極21の接続部分を拡大して示す模式的な断面図である。コイル導体30の他端32と端子電極22の接続部分についても同様の構造を有していることから、重複する説明は省略する。
【0024】
図5に示すように、コイル導体30の一端31は磁性素体10に部分的に埋め込まれ、一部が露出している。より具体的に説明すると、コイル導体30の一端31は、絶縁被覆33が除去され、磁性素体10から露出する露出面Aと、絶縁被覆33を介して磁性素体10に覆われる非露出面Bを有している。また、露出面Aは、磁性素体10の外側に位置する外部露出面A1と、磁性素体10と接することなく磁性素体10に埋め込まれた内部露出面A2を有している。内部露出面A2は、磁性素体10に埋め込まれているものの、絶縁被覆33が除去されているために、絶縁被覆33の厚さ分だけ磁性素体10から離間している。露出面Aは非露出面Bよりも表面粗さが大きく、これにより、端子電極21との接触面積が拡大されている。
【0025】
磁性素体10の表面は、コイル導体30の一端31及び他端32が露出する領域を除き、樹脂被膜50で覆われている。本発明において、このような樹脂被膜50を設けることは必須でないが、樹脂被膜50を設ければ、磁性素体10の表面に導電性の磁性材料が露出している場合であっても、これを被覆することが可能となる。
【0026】
図5に示すように、端子電極21は、第1の導電性樹脂41、第2の導電性樹脂42及び金属膜43からなる。第1及び第2の導電性樹脂41,42はいずれも導電性粒子と樹脂材料を含む導電性樹脂であり、金属膜43の下地である導電性樹脂層として機能する。本実施形態においては、第1の導電性樹脂41に含まれる導電性粒子の比表面積が第2の導電性樹脂42に含まれる導電性粒子の比表面積よりも大きい。換言すれば、第1の導電性樹脂41に含まれる導電性粒子の平均粒子体積よりも、第2の導電性樹脂42に含まれる導電性粒子の平均粒子体積の方が大きい。
【0027】
第1の導電性樹脂41は、コイル導体30の露出面Aと接するよう、磁性素体10の表面に形成されている。したがって、第1の導電性樹脂41は、コイル導体30の露出面Aと磁性素体10の実装面10aの両方と接している。第1の導電性樹脂41の一部は、樹脂被膜50上に設けられていても構わない。第1の導電性樹脂41は、コイル導体30の露出面Aのうち、外部露出面A1及び内部露出面A2の両方と接しており、これにより接続信頼性が高められている。
【0028】
第2の導電性樹脂42は、樹脂被膜50を介して磁性素体10の側面10bを覆うとともに、一部が実装面10a側に回り込むことにより、第1の導電性樹脂41と接している。第2の導電性樹脂42は、コイル導体30の露出面Aとは直接接しておらず、第1の導電性樹脂41を介してコイル導体30と電気的に接続される。図5に示す例では、第2の導電性樹脂42が第1の導電性樹脂41の一部分のみを覆っているが、第1の導電性樹脂41の全面を第2の導電性樹脂42で覆っても構わない。
【0029】
そして、第1及び第2の導電性樹脂41,42の表面に金属膜43がメッキによって形成される。金属膜43は、ニッケル(Ni)とスズ(Sn)の積層膜であっても構わない。このように、金属膜43は磁性素体10に直接形成されるのではなく、第1の導電性樹脂41又は第2の導電性樹脂42を介して形成される。
【0030】
このように、本実施形態によるコイル部品1は、導電性粒子の比表面積が異なる2種類の導電性樹脂を用いている。第1の導電性樹脂41は、導電性粒子の比表面積が大きい(粒子体積が小さい)ことから、コイル導体30の露出面Aと導電性粒子との接触面積を十分に確保することが可能となる。また、樹脂材料の含有比率を高めることにより、コイル導体30の露出面Aや磁性素体10の表面に対する密着性も向上する。一方、第2の導電性樹脂42は、導電性粒子の比表面積が小さい(粒子体積が大きい)ことから、導電性粒子とメッキによって形成される金属膜43の接合強度が高められる。
【0031】
次に、本実施形態によるコイル部品1の製造方法について説明する。
【0032】
図6は、本実施形態によるコイル部品1の製造工程を説明するためのフローチャートである。
【0033】
まず、磁性材料及び結合材を含む第1の複合磁性材料を用意し、プレス加工することによって下側磁性素体11を成型する(ステップS1)。第1の複合磁性材料の形態については特に限定されず、粉体状であっても構わないし、液状又はペースト状であっても構わない。成型された下側磁性素体11の形状は図7に示す通りであり、平板部11aと凸部11bを有している。平板部11aには、開口部11cが設けられている。尚、図7に示す下側磁性素体11は1個のコイル部品1に対応しているが、アレイ状に配置された多数の下側磁性素体11を同時に成型することによって、多数個取りすることも可能である。
【0034】
次に、図8に示す形状に巻回された空芯状のコイル導体30を用意し、その内径領域が凸部11bに挿入されるよう、下側磁性素体11に装着する(ステップS2)。この時、コイル導体30の一端31及び他端32が開口部11cを介して下側磁性素体11の裏面側に位置するよう、装着を行う。
【0035】
次に、磁性材料及び結合材を含む第2の複合磁性材料を用意し、これをコイル導体30が装着された下側磁性素体11とともにプレス加工することによって上側磁性素体12を成型する(ステップS3)。第2の複合磁性材料の形態については特に限定されず、粉体状であっても構わないし、液状又はペースト状であっても構わない。また、第2の複合磁性材料の組成は、第1の複合磁性材料の組成と同じであっても構わないし、異なっていても構わない。これにより、下側磁性素体11及び上側磁性素体12からなる磁性素体10にコイル導体30が埋め込まれ、コイル導体30の一端31及び他端32が磁性素体10から露出した状態が得られる。
【0036】
ここで、上側磁性素体12をプレス成型する際のプレス圧力は、下側磁性素体11をプレス成型する際のプレス圧力よりも低くても構わない。これは、下側磁性素体11をプレス成型する際にはコイル導体30が存在しないため、高い圧力でプレスすることができるのに対し、上側磁性素体12はコイル導体30とともにプレス成型されるため、過度に高い圧力でプレスを行うと、コイル導体30の変形や断線が生じるおそれがあるからである。特に、複合磁性材料として粉体状の材料を用いる場合、液状又はペースト状の複合磁性材料を用いる場合と比べ、より高い圧力でプレスを行う必要があるため、コイル導体30に変形や断線が生じやすい。このようなコイル導体30の変形や断線を防止するためには、下側磁性素体11をプレス成型する際のプレス圧力と比べて、上側磁性素体12をプレス成型する際のプレス圧力を低くすることが好ましい。この場合、同じ複合磁性材料を用いた場合であっても、下側磁性素体11は上側磁性素体12よりも密度が高くなり、両者の界面を確認することが可能となる。
【0037】
次に、磁性素体10の全面に樹脂被膜50を形成した後(ステップS4)、レーザービームを照射することによって、コイル導体30の一端31及び他端32を覆う部分の樹脂被膜50を部分的に剥離する(ステップS5)。これにより、図9に示すように、コイル導体30の一端31及び他端32が露出するとともに、露出部分における絶縁被覆33が除去され、コイル導体30に露出面Aが形成される。この時、レーザービームの照射時間や出力を調整することにより、絶縁被覆33のうち磁性素体10に埋め込まれた部分についても除去することによって、内部露出面A2を形成することが好ましい。また、レーザービームの照射時間や出力を調整することにより、コイル導体30の露出面Aを粗面化することも好ましい。
【0038】
次に、コイル導体30の一端31及び他端32と接するよう、磁性素体10の露出面に第1の導電性樹脂41を形成し(ステップS6)、さらに、第1の導電性樹脂41及び樹脂被膜50を覆う第2の導電性樹脂42を形成する(ステップS7)。第1及び第2の導電性樹脂41,42の形成は、ペースト状の導電性樹脂材料を塗布した後、硬化させることによって行うことができる。上述の通り、第1の導電性樹脂41に含まれる導電性粒子の比表面積は、第2の導電性樹脂42に含まれる導電性粒子の比表面積よりも大きい。これにより、コイル導体30の一端31及び他端32と直接接する第1の導電性樹脂41については、コイル導体30の一端31及び他端32に対する接続信頼性が高められる。これに対し、第2の導電性樹脂42はコイル導体30の一端31及び他端32と直接接しないため、比表面積が小さく粒子体積の大きい導電性粒子を用いることができる。
【0039】
第1及び第2の導電性樹脂41,42は、焼結金属を含んでいることが好ましい。焼結金属としては、ナノサイズの銀(Ag)を用いることができる。焼結金属を含む導電性樹脂41,42を用いれば、焼成時に導電性粒子が単に接触するだけでなく、焼結金属を介して接合されることから、導電性樹脂41,42の抵抗値をより低くすることが可能となる。特に、第1の導電性樹脂41に焼結金属を添加すれば、コイル導体30の表面に合金層が形成されるため、コイル導体30と第1の導電性樹脂41の接続信頼性をより高めることが可能となる。一例として、コイル導体30の芯材が銅(Cu)からなり、焼結金属がナノサイズの銀(Ag)からなる場合、コイル導体30の一端31及び他端32の表面には、銅(Cu)と銀(Ag)の合金層が形成される。
【0040】
そして、電解メッキによって第1及び第2の導電性樹脂41,42の表面に金属膜43を形成すれば、本実施形態によるコイル部品1が完成する。ここで、金属膜43を電解メッキによって形成すると、第1及び第2の導電性樹脂41,42に含まれる導電性粒子と金属膜43は、金属接合する。このため、導電性粒子の粒子体積が大きい方が高い接合強度が得られる。そして、本実施形態においては、金属膜43の大部分が第2の導電性樹脂42と接することから、金属膜43の接合強度を高めることが可能となる。また、磁性素体10の表面に導電性の磁性材料が露出している場合、電解メッキによって金属膜43を形成する際、磁性素体10の表面にも金属膜43が意図せず形成されるおそれがある。しかしながら、あらかじめ磁性素体10の表面を樹脂被膜50によって覆っておけば、意図しない部分に金属膜43が形成されることもない。
【0041】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0042】
1 コイル部品
10 磁性素体
10a 実装面
10b 側面
11 下側磁性素体
11a 平板部
11b 凸部
11c 開口部
12 上側磁性素体
21,22 端子電極
30 コイル導体
31 コイル導体の一端
32 コイル導体の他端
33 絶縁被覆
41 第1の導電性樹脂
42 第2の導電性樹脂
43 金属膜
50 樹脂被膜
A 露出面
A1 外部露出面
A2 内部露出面
B 非露出面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9