特開2020-178246(P2020-178246A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-178246(P2020-178246A)
(43)【公開日】2020年10月29日
(54)【発明の名称】アンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 13/08 20060101AFI20201002BHJP
   H01Q 1/40 20060101ALI20201002BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20201002BHJP
【FI】
   H01Q13/08
   H01Q1/40
   H01Q21/06
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2019-79487(P2019-79487)
(22)【出願日】2019年4月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 雄大
【テーマコード(参考)】
5J021
5J045
5J046
【Fターム(参考)】
5J021AA05
5J021AA09
5J021AA11
5J021AB06
5J021BA00
5J021CA03
5J021GA04
5J021HA01
5J021HA10
5J021JA02
5J045AA02
5J045AA05
5J045AB02
5J045DA10
5J045EA08
5J045FA02
5J045HA03
5J045NA03
5J046AA03
5J046AA13
5J046AB03
5J046AB13
5J046QA02
5J046QA10
(57)【要約】
【課題】放射素子の曲げ変形を抑えることによって放射素子の放射特性を安定させ、アンテナの帯域を広域化する、
【解決手段】アンテナは、積層された複数の誘電体層を有する誘電体積層体と、前記誘電体積層体の一方の表面に接合された誘電体基板と、前記誘電体積層体の両表面及び各層間のうち何れかの異なる箇所にそれぞれ形成された放射素子パターン層、地導体層及び導体パターン層と、を備える。前記放射素子パターン層、前記地導体層及び前記導体パターン層が、前記誘電体基板側から反対側に向かって前記放射素子パターン層、前記地導体層、前記導体パターン層の順で形成されている。前記放射素子パターン層が1以上の放射素子を有する。前記導体パターン層が前記放射素子に給電する給電線路を有する。前記誘電体積層体がフレキシブルである。前記誘電体基板がリジッドである。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数の誘電体層を有する誘電体積層体と、
前記誘電体積層体の一方の表面に接合された誘電体基板と、
前記誘電体積層体の両表面及び各層間のうち何れかの異なる箇所にそれぞれ形成された放射素子パターン層、地導体層及び導体パターン層と、を備え、
前記放射素子パターン層、前記地導体層及び前記導体パターン層が、前記誘電体基板側から反対側に向かって前記放射素子パターン層、前記地導体層、前記導体パターン層の順で形成され、
前記放射素子パターン層が1以上の放射素子を有し、前記導体パターン層が前記放射素子に給電する給電線路を有し、前記誘電体積層体がフレキシブルであり、前記誘電体基板がリジッドである
アンテナ。
【請求項2】
前記誘電体基板と前記放射素子パターン層との間における前記誘電体積層体の表面又は層間に形成された無給電素子パターン層を更に備え、
前記無給電素子パターン層が前記放射素子に対向する位置の少なくとも1つに無給電素子を有する
請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記無給電素子の中心部が平面視で前記放射素子の中心部と重なり、前記無給電素子の偏波方向の長さが前記放射素子の偏波方向の長さよりも短い
請求項2に記載のアンテナ。
【請求項4】
前記無給電素子の偏波方向の長さが前記放射素子の偏波方向の長さの70〜95%である
請求項3に記載のアンテナ。
【請求項5】
前記誘電体積層体と前記誘電体基板を接着する誘電体の接着層を更に備え、
前記無給電素子が前記接着層における前記誘電体積層体の表面に形成され、前記接着層が前記無給電素子よりも厚く、前記誘電体基板よりも薄い
請求項2から4の何れか一項に記載のアンテナ。
【請求項6】
前記放射素子パターン層と前記地導体層との間における前記誘電体積層体の層間に形成された無給電素子パターン層を更に備え、
前記無給電素子パターン層が前記放射素子に対向する位置の少なくとも1つに無給電素子を有する
請求項1に記載のアンテナ。
【請求項7】
前記無給電素子の中心部が平面視で前記放射素子の中心部と重なり、前記放射素子の偏波方向の長さが前記無給電素子の偏波方向の長さよりも短い
請求項6に記載のアンテナ。
【請求項8】
前記誘電体積層体と前記誘電体基板とを接着する誘電体の接着層を更に備え、
前記放射素子が前記接着層における前記誘電体積層体の表面に形成され、前記接着層が前記放射素子よりも厚く、前記誘電体基板よりも薄い
請求項6又は7に記載のアンテナ。
【請求項9】
前記誘電体基板の厚さが300〜700μmである
請求項1から8の何れか一項に記載のアンテナ。
【請求項10】
前記誘電体積層体の厚さは300μm以下である
請求項1から9の何れか一項に記載のアンテナ。
【請求項11】
前記放射素子が4体又は6体又は8体間隔を置いて一直線状に配列されるとともに、直列接続され、
前記給電線路が前記放射素子の列の中央に給電する
請求項1から10の何れか一項に記載のアンテナ。
【請求項12】
前記放射素子の列が2列、一直線状になるように配置され、一方の前記放射素子の列が他方の前記放射素子の列の線対称若しくは点対称な形状、又は他方の前記放射素子の列を平行移動させた形状を有する
請求項11に記載のアンテナ。
【請求項13】
前記放射素子の列がその列の方向の直交方向に所定ピッチで複数列配列されており、前記放射素子の列の同じ順にある放射素子が前記直交方向に一列に配列されている
請求項11又は12に記載のアンテナ。
【請求項14】
前記所定ピッチが使用する最も高い周波数の波長の0.4〜0.6倍である
請求項13に記載のアンテナ。
【請求項15】
前記放射素子の列がその列方向の直交方向に前記所定ピッチで複数列配列されている集団が複数設けられ、何れの集団の前記放射素子の列の列方向が互いに平行である
請求項13又は14に記載のアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線による通信容量が急激に大容量化することに伴って、伝送信号の使用周波数の広帯域化及び高周波化が急速に進んでいる。これにより、使用周波数は、周波数が0.3〜30GHzのマイクロ波から、30〜300GHzのミリ波帯まで拡大されつつある。60GHz帯では、大気中の伝送信号の減衰が大きいものの、次のような利点がある。1つ目の利点として、通信データが漏洩しにくい。2つめの利点として、通信セルサイズを小さくして、通信セルを多数配置することができる。3つめの利点として、通信帯域が広帯域であり、これにより大容量の通信を行える。これらの利点から、60GHz帯は注目を浴びている。しかし、伝送信号の減衰が大きいため、指向性及び利得が高く、帯域の広いアンテナが求められている。特に、複数の放射素子を短いピッチで配列したアレイアンテナの研究が盛んに行われている。
【0003】
特許文献1には、誘電体層が地導体層に接合され、複数の放射素子及びマイクロストリップ給電線路が形成され、空間インピーダンス変換用誘電体層が放射素子及びマイクロストリップ給電線路を被覆したアンテナが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−29723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
マイクロストリップ給電線路によって信号波を伝送するには、波長に対して十分に誘電体層を薄くする必要がある。薄い誘電体層はフレキシブルであるため、曲げ変形に伴って、放射素子にも曲げ変形が生じ、放射素子の放射特性が変化してしまう。また、誘電体層が薄いと、アンテナの帯域が狭くなってしまう。
【0006】
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、放射素子の曲げ変形を抑えることによって放射素子の放射特性を安定させることと、アンテナの帯域を広域化することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための主たる発明は、積層された複数の誘電体層を有する誘電体積層体と、前記誘電体積層体の一方の表面に接合された誘電体基板と、前記誘電体積層体の両表面及び各層間のうち何れかの異なる箇所にそれぞれ形成された放射素子パターン層、地導体層及び導体パターン層と、を備え、前記放射素子パターン層、前記地導体層及び前記導体パターン層が、前記誘電体基板側から反対側に向かって前記放射素子パターン層、前記地導体層、前記導体パターン層の順で形成され、前記放射素子パターン層が1以上の放射素子を有し、前記導体パターン層が前記放射素子に給電する給電線路を有し、前記誘電体積層体がフレキシブルであり、前記誘電体基板がリジッドであるアンテナである。
【0008】
本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、放射素子の曲げ変形を抑えることができ、放射素子の放射特性が安定して、変化しにくい。
誘電体積層体の各誘電体層を薄くして、給電線路及び放射素子における放射損失を抑え、線幅を細くし高密度配線をすることができる。一方、放射素子の上に誘電体基板を配置することでアンテナの帯域が狭くなることを抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態のアンテナの断面図である。
図2】第2実施形態のアンテナの平面図である。
図3図2において切断箇所をIII−IIIにより表した断面図である。
図4】第2実施形態のアンテナの利得についてのシミュレーション結果を示したグラフである。
図5】第2実施形態のアンテナの利得についてのシミュレーション結果を示したグラフである。
図6】第2実施形態の第1変形例のアンテナの平面図である。
図7】第2実施形態の第2変形例のアンテナの平面図である。
図8】第2実施形態の第3変形例のアンテナの平面図である。
図9】第2実施形態の第4変形例のアンテナの平面図である。
図10】第2実施形態の第5変形例のアンテナの平面図である。
図11】第2実施形態の第6変形例のアンテナの平面図である。
図12】第3実施形態のアンテナの平面図である。
図13図12において切断箇所をXI−XIにより表した断面図である。
図14】第3実施形態の第1変形例のアンテナの平面図である。
図15】第3実施形態の第2変形例のアンテナの平面図である。
図16】第3実施形態の第3変形例のアンテナの平面図である。
図17】第3実施形態の第4変形例のアンテナの平面図である。
図18】第3実施形態の第5変形例のアンテナの平面図である。
図19】第3実施形態の第6変形例のアンテナの平面図である。
図20】第2実施形態のアンテナの反射係数についてのシミュレーション結果を示したグラフである。
図21】第2実施形態のアンテナの利得についてのシミュレーション結果を示したグラフである。
図22】第2実施形態のアンテナの利得についてのシミュレーション結果を示したグラフである。
図23】第2実施形態のアンテナの反射係数についてのシミュレーション結果を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0012】
積層された複数の誘電体層を有する誘電体積層体と、前記誘電体積層体の一方の表面に接合された誘電体基板と、前記誘電体積層体の両表面及び各層間のうち何れかの異なる箇所にそれぞれ形成された放射素子パターン層、地導体層及び導体パターン層と、を備え、前記放射素子パターン層、前記地導体層及び前記導体パターン層が、前記誘電体基板側から反対側に向かって前記放射素子パターン層、前記地導体層、前記導体パターン層の順で形成され、前記放射素子パターン層が1以上の放射素子を有し、前記導体パターン層が前記放射素子に給電する給電線路を有し、前記誘電体積層体がフレキシブルであり、前記誘電体基板がリジッドであるアンテナが明らかとなる。
【0013】
以上のように、誘電体積層体がフレキシブルであっても、誘電体基板がリジッドであるので、放射素子の曲げ変形を抑えることができる。それゆえ、放射素子の放射特性が安定して、変化しにくい。
また、誘電体基板がリジッドであるので、誘電体積層体及びその各誘電体層を薄くすることができる。導体パターン層と地導体層との間の層を薄くすることにより、給電線路における信号波の放射損失を抑えることができる。放射素子の上の誘電体基板によりアンテナのクオリティファクタが低く、帯域が広い。地導体層と放射素子パターン層との間の層が薄くても、アンテナの帯域が狭くなることを抑えられる。
【0014】
前記アンテナが、前記誘電体基板と前記放射素子パターン層との間における前記誘電体積層体の表面又は層間に形成された無給電素子パターン層を更に備え、
前記無給電素子パターン層が前記放射素子に対向する位置の少なくとも1つに無給電素子を有する。好ましくは、前記無給電素子の中心部が平面視で前記放射素子の中心部と重なり、前記無給電素子の偏波方向の長さが前記放射素子の偏波方向の長さよりも短く、更に好ましくは、前記無給電素子の偏波方向の長さが前記放射素子の偏波方向の長さの70〜95%である。
【0015】
これにより、無給電素子が放射素子に対向するため、アンテナが広帯域化する。
【0016】
前記アンテナが、前記誘電体積層体と前記誘電体基板を接着する誘電体の接着層を更に備え、前記無給電素子が前記接着層における前記誘電体積層体の表面に形成され、前記接着層が前記無給電素子よりも厚く、前記誘電体基板よりも薄い。
【0017】
これにより、接着層と誘電体積層体の接合界面における無給電素子の周囲にボイドが発生しにくい。また、接着層は、誘電体基板と比較して、放射素子及び無給電素子の放射特性に大きく影響を及ぼさない。
【0018】
前記アンテナが、前記放射素子パターン層と前記地導体層との間における前記誘電体積層体の層間に形成された無給電素子パターン層を更に備え、前記無給電素子パターン層が前記放射素子に対向する位置の少なくとも1つに無給電素子を有する。好ましくは、前記無給電素子の中心部が平面視で前記放射素子の中心部と重なり、前記放射素子の偏波方向の長さが前記無給電素子の偏波方向の長さよりも短い。
【0019】
これにより、無給電素子が放射素子に対向するため、アンテナが広帯域化する。
【0020】
前記アンテナが、前記誘電体積層体と前記誘電体基板とを接着する誘電体の接着層を更に備え、前記放射素子が前記接着層における前記誘電体積層体の表面に形成され、前記接着層が前記放射素子よりも厚く、前記誘電体基板よりも薄い。
【0021】
これにより、接着層と誘電体積層体の接合界面における放射素子の周囲にボイドが発生しにくい。また、接着層は、誘電体基板と比較して、放射素子及び無給電素子の放射特性に大きく影響を及ぼさない。
【0022】
前記誘電体基板の厚さが300〜700μmである。
これにより、誘電体基板の表面の法線方向への指向性が高く、法線方向への利得が高い。
【0023】
前記誘電体積層体の厚さは300μm以下である。
【0024】
前記放射素子が4体又は6体又は8体間隔を置いて一直線状に配列されるとともに、直列接続され、前記給電線路が前記放射素子の列の中央に給電する。
これにより、アンテナの利得向上を実現できる。
【0025】
前記放射素子の列が2列、一直線状になるように配置され、一方の前記放射素子の列が他方の前記放射素子の列の線対称若しくは点対称な形状、又は他方の前記放射素子の列を平行移動させた形状を有する。
これにより、アンテナの利得向上を実現できる。
【0026】
前記放射素子の列がその列の方向の直交方向に所定ピッチで複数列配列されており、前記放射素子の列の同じ順にある放射素子が前記直交方向に一列に配列されている。
これにより、アンテナの利得向上を実現できる。
【0027】
前記所定ピッチが使用する最も高い周波数の波長の0.4〜0.6倍である。
【0028】
前記放射素子の列がその列方向の直交方向に前記所定ピッチで複数列配列されている集団が複数設けられ、何れの集団の前記放射素子の列の列方向が互いに平行である。
【0029】
===実施の形態===
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0030】
<第1の実施の形態>
図1は第1実施形態のアンテナ1の断面図である。このアンテナ1は、マイクロ波又はミリ波の周波数帯の電波の送信若しくは受信又はこれらの両方に利用される。
【0031】
順に保護誘電体層11、誘電体層12、誘電体層13、誘電体層14、誘電体層15及び誘電体層16が積層されて、これらの誘電体層11〜16からなる誘電体積層体10が構成されている。何れの誘電体層11〜16もフレキシブルであり、誘電体積層体10もフレキシブルである。
【0032】
誘電体積層体10と誘電体基板31との間には、より具体的には誘電体層16と誘電体基板31との間には、誘電体の接着材からなる接着層19が挟まれている。誘電体層16と誘電体基板31は接着層19によって互いに接合されている。なお、接着層19が設けられず、誘電体層16と誘電体基板31が直接接合されていてもよい。
【0033】
誘電体基板31は繊維強化樹脂からなり、より具体的にはガラス繊維強化エポキシ樹脂、ガラス布基材エポキシ樹脂又はガラス布基材ポリフェニレン・エーテル樹脂等からなる。誘電体基板31はリジッドである。
【0034】
誘電体層12、誘電体層14及び誘電体層16は液晶ポリマーからなる。誘電体層13は接着材からなり、誘電体層12と誘電体層14はこれらの間に挟まれた誘電体層13によって互いに接合されている。誘電体層15は接着材からなり、誘電体層14と誘電体層16はこれらの間に挟まれた誘電体層15によって互いに接合されている。保護誘電体層11は誘電体層12に関して誘電体層13の反対側となる誘電体層12の表面に形成されている。
【0035】
保護誘電体層11と誘電体層12との間の層間には、導体パターン層21が形成されている。保護誘電体層11は導体パターン層21を被覆するようにして誘電体層12の表面に形成されている。これにより、導体パターン層21が保護される。なお、保護誘電体層11が形成されないことによって、導体パターン層21が露出していてもよい。
【0036】
誘電体層12と誘電体層13との間の層間には、地導体層22が形成されている。誘電体層13が地導体層22を被覆して地導体層22に接着されているとともに、地導体層22の無い部分(例えばホール、スロット、切り欠き等)で誘電体層12に接着されている。
【0037】
誘電体層14と誘電体層15との間の層間には、放射素子パターン層23が形成されている。誘電体層15が放射素子パターン層23を被覆して放射素子パターン層23に接着されているとともに、放射素子パターン層23の無い部分で誘電体層14に接着されている。
【0038】
誘電体層16と接着層19との間の層間には、無給電素子パターン層24が形成されている。接着層19が無給電素子パターン層24を被覆して無給電素子パターン層24に接着されているとともに、無給電素子パターン層24の無い部分で誘電体層16に接着されている。
【0039】
なお、図1に示す例では、無給電素子パターン層24が誘電体積層体10の表面に形成されている。それに対して、誘電体積層体10が更に多くの誘電体層の積層体であり、無給電素子パターン層24が誘電体積層体10の層間に形成されていてもよい。
【0040】
導体パターン層21、地導体層22及、放射素子パターン層23及び無給電素子パターン層24は銅等の導電性金属材料からなる。
放射素子パターン層23がアディティブ法又はサブトラクティブ法等によって形状加工されており、これにより放射素子パターン層23にはパッチ型の放射素子23aが形成されている。
【0041】
無給電素子パターン層24がアディティブ法又はサブトラクティブ法等によって形状加工されており、これにより無給電素子パターン層24にはパッチ型の無給電素子24aが形成されている。平面視で無給電素子24aが放射素子23aに位置して重なる。つまり、無給電素子24aが放射素子23aに対向する。ここで、平面視とは、アンテナ1等の対象物をその上又は下から矢印A,Bの方向に平行投影的に見ることをいう。矢印A,Bの方向は、アンテナ1の積層方向、つまり、保護誘電体層11、誘電体層12、誘電体層13、誘電体層14、誘電体層15、誘電体層16、接着層19又は誘電体基板31の表面に対して垂直な方向である。
【0042】
無給電素子24aが放射素子23aよりも小さく、平面視で無給電素子24aの全体が放射素子23aの外形の内側にある。換言すれば、平面視で無給電素子24aの中心部は放射素子23aの中心部と重なる。仮に無給電素子24aが放射素子23aよりも大きいと、高周波の場合に放射利得が低下してしまうためである。
【0043】
無給電素子24aと放射素子23aはサイズが異なるため、共振周波数も異なる。つまり、アンテナ1は、放射素子23aの共振周波数と無給電素子24aの共振周波数において利得が極大値をとるような周波数特性となる。よって、アンテナ1の使用帯域が広くなる。
【0044】
無給電素子24aの偏波方向の長さが放射素子23aの偏波方向の長さの70〜95%が望ましい。無給電素子24aの偏波方向の長さが放射素子23aの偏波方向の長さの95%を超えても、アンテナ1の使用帯域が余り広域化しないためである。また、無給電素子24aの偏波方向の長さが放射素子23aの偏波方向の長さの70%未満の場合のアンテナ1の使用帯域の広域化は、無給電素子24aの偏波方向の長さが放射素子23aの偏波方向の長さの70%の場合のアンテナ1の使用帯域の広域化と同程度であるためである。
特に、無給電素子24aの偏波方向の長さが放射素子23aの偏波方向の長さの80〜95%であると、アンテナ1の使用帯域における反射を抑えやすい。更に、無給電素子24aの偏波方向の長さが放射素子23aの偏波方向の長さの85〜90%であると、アンテナ1の使用帯域における反射を更に抑えやすい。
【0045】
低周波の場合、無給電素子24aは、放射素子23aによって送受される所定周波数の電波を共振させることによって、垂線方向への電波の指向性を高める導波器として機能する。
高周波の場合、放射素子23aが給電素子として機能し、無給電素子24aは放射素子23aに対する給電によって所定周波数の電波を共振させて放射する放射素子として機能する。
【0046】
接着層19が無給電素子24aよりも厚い。そのため、接着層19と誘電体層16との間の接合界面における無給電素子24aの周囲にボイドが発生しにくい。
【0047】
接着層19が誘電体基板31よりも薄く、特に接着層19の厚さは誘電体基板31の厚さの10分の1以下である。そのため、接着層19は、誘電体基板31と比較して、無給電素子24a及び放射素子23aの放射特性に大きく影響を及ぼさない。なお、誘電体基板31の厚さが300〜700μmであり、無給電素子24aの厚さが12μm程度であれば、接着層19の厚さは15〜50μmであることが好ましい。
【0048】
地導体層22がアディティブ法又はサブトラクティブ法等によって形状加工されており、これにより地導体層22にはスロット22aが形成されている。平面視でスロット22aが放射素子23aの中央部に位置して重なる。つまり、スロット22aが放射素子23aの中央部に対向する。
【0049】
導体パターン層21がアディティブ法又はサブトラクティブ法等によって形状加工されており、これにより導体パターン層21には、給電線路21aが形成されている。給電線路21aは、RFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)の端子からスロット22aの対向位置まで配線されたマイクロストリップラインである。給電線路21aの一端部がスロット22aに対向し、該一端部がスルーホール導体25によって放射素子23aに電気的に接続されている。給電線路21aの他端部がRFICの端子に接続されている。そのため、RFICから給電線路21a及びスルーホール導体25を介して放射素子23aに給電が行われる。
【0050】
スルーホール導体25は誘電体層12、地導体層22、誘電体層13及び誘電体層14を貫通している。スルーホール導体25が地導体層22を貫通する箇所では、スルーホール導体25がスロット22aの縁から内側に離間しており、スルーホール導体25と地導体層22が互いに電気的に絶縁されている。スルーホール導体25は、スルーホール内に充填された導体(例えば、銅めっき)又はスルーホールの内壁に成膜された導体(例えば、銅めっき)である。なお、スルーホール導体25が形成されず、給電線路21aの一端部がスロット22aを通じて放射素子23aに電磁界的に結合されていてもよい。
【0051】
誘電体積層体10の厚さ(保護誘電体層11が形成されていない場合には、誘電体層12〜16の厚さの総和、保護誘電体層11が形成されている場合には、保護誘電体層11及び誘電体層12〜16の厚さの総和)は誘電体基板31の厚さよりも薄い。特に、誘電体積層体10の厚さは300μm以下である。
誘電体基板31の厚さは300〜700μmの範囲内であるため、アンテナ1の利得が高く、誘電体基板31の表面の法線方向への指向性が強くなる。
【0052】
保護誘電体層11及び誘電体層12〜16はフレキシブルであり、誘電体基板31がリジッドである。つまり、保護誘電体層11及び誘電体層12〜16の耐屈曲性が誘電体基板31の耐屈曲性よりも十分に高く、誘電体基板31の弾性率は保護誘電体層11及び誘電体層12〜16の弾性率よりも十分に大きい。そのため、アンテナ1の曲げが発生しにくい。特に、放射素子23a,無給電素子24aの曲げ変形に起因した放射素子23a,無給電素子24aの放射特性の変化が起きにくい。
【0053】
誘電体層12が薄く、誘電体層12が低誘電率及び低誘電正接である。その上で、保護誘電体層11が形成されていない場合には、給電線路21aが空気に露出しているため、給電線路21aにおける信号波の伝送損失が低い。また、電界が主に放射素子23aと地導体層22との間で形成され、誘電体層14,16が低誘電率及び低誘電正接であるため、放射素子23a及び無給電素子24aが誘電体基板31によって覆われていても、放射素子23a及び無給電素子24aにおける損失が低い。一方、誘電体基板31を薄くしなくても済み、アンテナ1の帯域が狭くなることを抑えられる。
【0054】
誘電体基板31がガラス布基材エポキシ樹脂(特に、FR4)からなる場合、縦方向の曲げ弾性率が24.3 GPa であり、横方向の曲げ弾性率が20.0 GPa であり、誘電率が4.6 であり、誘電正接が0.050 である。ここで、縦方向及び横方向の曲げ弾性率は、ASTM D 790の規格に基づく試験方法によって計測されたものであり、誘電率及び誘電正接は、ASTM D 150の規格に基づく試験方法(周波数:3 GHz)によって計測されたものである。
誘電体基板31がパナソニック社製のガラス布基材ポリフェニレン・エーテル樹脂(特に、Megtron(登録商標)6)からなる場合、横方向の曲げ弾性率が18 GPa であり、比誘電率(Dk)が3.4 であり、誘電正接(Df)が0.0015 である。ここで、横方向の曲げ弾性率は、JIS C 6481の規格に基づく試験方法によって計測されたものであり、比誘電率及び誘電正接は、IPC TM-650 2.5.5.9 の規格に基づく試験方法(周波数:1 GHz)によって計測されたものである。
一方、誘電体層12,14,16が液晶ポリマーからなる場合、曲げ弾性率が12152 MPa であり、誘電率が3.56 であり、誘電正接が0.0068 である。ここで、曲げ弾性率は、ASTM D 790の規格に基づく試験方法によって計測されたものであり、誘電率及び誘電正接は、ASTM D 150の規格に基づく試験方法(周波数:103 Hz)によって計測されたものである。
【0055】
なお、放射素子23a及び無給電素子24aが形成されていない領域に、多層配線構造を保護誘電体層11及び誘電体層12〜16の層間に形成してもよい。
【0056】
<第2の実施の形態>
図2は第2実施形態のアンテナ101の平面図である。図3図2におけるIII−III断面図である。このアンテナ101は、マイクロ波又はミリ波の周波数帯の電波の送信若しくは受信又はこれらの両方に利用される。
【0057】
第1実施形態において、順に保護誘電体層11、導体パターン層21、誘電体層12、地導体層22、誘電体層13、誘電体層14、放射素子パターン層23、誘電体層15、誘電体層16、無給電素子パターン層24、接着層19及び誘電体基板31が積層されているのと同様に、第2実施形態においても、保護誘電体層111、導体パターン層121、誘電体層112、地導体層122、誘電体層113、誘電体層114、放射素子パターン層123、誘電体層115、誘電体層116、無給電素子パターン層124、接着層119及び誘電体基板131が積層されている。
【0058】
保護誘電体層111の組成及び厚さは第1実施形態の保護誘電体層11の組成及び厚さと同じである。導体パターン層121の組成及び厚さは第1実施形態の導体パターン層21の組成及び厚さと同じである。誘電体層112の組成及び厚さは第1実施形態の誘電体層12の組成及び厚さと同じである。地導体層122の組成及び厚さは、第1実施形態の地導体層22の組成及び厚さと同じである。誘電体層113の組成及び厚さは、第1実施形態の誘電体層13の組成及び厚さと同じである。誘電体層114の組成及び厚さは、第1実施形態の誘電体層14の組成及び厚さと同じである。放射素子パターン層123の組成及び厚さは、第1実施形態の放射素子パターン層23の組成及び厚さと同じである。誘電体層115の組成及び厚さは、第1実施形態の誘電体層15の組成及び厚さと同じである。誘電体層116の組成及び厚さは、第1実施形態の誘電体層16の組成及び厚さと同じである。無給電素子パターン層124の組成及び厚さは、第1実施形態の無給電素子パターン層24の組成及び厚さと同じである。接着層119の組成及び厚さは、第1実施形態の接着層19の組成及び厚さと同じである。誘電体基板131の組成及び厚さは、第1実施形態の誘電体基板31の組成及び厚さと同じである。
【0059】
なお、接着層119が設けられず、誘電体層116と誘電体基板131が直接接合されていてもよい。また、保護誘電体層111が形成されないことによって、導体パターン層121が露出していてもよい。
【0060】
保護誘電体層111及び誘電体層112〜116はフレキシブルであり、それらからなる誘電体積層体110がフレキシブルである。誘電体基板131がリジッドである。
【0061】
放射素子パターン層123がアディティブ法又はサブトラクティブ法等によって形状加工されており、これにより放射素子パターン層123には素子列123aが形成されている。素子列123aはパッチ型の放射素子123b〜123e、給電線路123f,123g,123i,123j及びランド部123hを有する。
【0062】
放射素子123b〜123eは、これらの順に、間隔を置いて直線状に一列に配列されている。ここで、素子列123aのうち放射素子123bを先頭とし、放射素子123eを最後尾とする。
【0063】
これら放射素子123b〜123eは以下のようにして直列接続されている。
先頭の放射素子123bと2番目の放射素子123cは、これらの間に設けられた給電線路123fによって直列接続されている。素子列123aの中央、つまり2番目の放射素子123cと3番目の放射素子123dとの間には、ランド部123hが設けられている。2番目の放射素子123cとランド部123hは、これらの間に設けられた給電線路123gによって直列接続されている。3番目の放射素子123dとランド部123hは、これらの間に設けられた給電線路123iによって直列接続されている。3番目の放射素子123dと最後尾の放射素子123eは、これらの間に設けられた給電線路123jによって直列接続されている。給電線路123f,123g,123jは直線状に形成されており、給電線路123iは屈曲している。給電線路123gの長さは給電線路123f,123i,123jの長さよりも小さい。
素子列123aが4体の放射素子123b〜123eを有するので、アンテナ101の利得が高い。
【0064】
無給電素子パターン層124がアディティブ法又はサブトラクティブ法等によって形状加工されており、これにより無給電素子パターン層124にはパッチ型の無給電素子124b〜124eが形成されている。平面視で無給電素子124bが放射素子123bに、無給電素子124cが放射素子123cに、無給電素子124dが放射素子123dに、無給電素子124eが放射素子123eに、それぞれ位置して重なる。つまり、無給電素子124b〜124eが放射素子123b〜123eにそれぞれ対向する。
【0065】
無給電素子124bが放射素子123bよりも偏波方向の長さが小さく、平面視で無給電素子124bの偏波に垂直な方向の辺が放射素子123bの偏波に垂直な方向の辺の内側にある。仮に無給電素子124bが放射素子123bよりも大きいと、高周波の場合に放射利得が低下してしまうためである。
同様に、平面視で無給電素子124cの偏波に垂直な方向の辺が放射素子123cの偏波に垂直な方向の辺の内側にある。
無給電素子124b〜124eの偏波方向の長さが放射素子123b〜123eの偏波方向の長さの70〜95%であり、好ましくは放射素子123b〜123eの偏波方向の長さの80〜95%であり、より好ましくは放射素子123b〜123eの偏波方向の長さの85〜90%である。
【0066】
無給電素子124b〜124eと放射素子123b〜123eはサイズが異なるため、共振周波数も異なる。つまり、アンテナ101は、放射素子123b〜123eの共振周波数と無給電素子124b〜124bの共振周波数において利得が極大値をとるような周波数特性となる。よって、アンテナ101の使用帯域が広くなる。
【0067】
低周波の場合、無給電素子124b〜124eは、それぞれ放射素子123b〜123eによって送受される所定周波数の電波を共振させることによって、垂線方向への電波の指向性を高める導波器として機能する。
高周波の場合、放射素子123b〜123eが給電素子として機能し、無給電素子124b〜124eは放射素子123b〜123eに対する給電によって所定周波数の電波を共振させて放射する放射素子として機能する。
【0068】
地導体層122がアディティブ法又はサブトラクティブ法等によって形状加工されており、これにより地導体層122にはスロット122aが形成されている。平面視でスロット122aがランド部123hに位置して重なっている。つまり、スロット122aはランド部123hに対向する。
【0069】
導体パターン層121がアディティブ法又はサブトラクティブ法等によって形状加工されており、これにより導体パターン層121には、給電線路121aが形成されている。給電線路121aは、RFIC139の端子からスロット122aの対向位置まで配線されたマイクロストリップラインである。給電線路121aの一端部がスロット122aに対向し、該一端部がスルーホール導体125によってランド部123hに電気的に接続されている。給電線路121aの他端部がRFIC139の端子に接続されている。そのため、RFIC139から素子列123aに、給電線路121a及びスルーホール導体125を介して給電が行われる。
【0070】
スルーホール導体125は誘電体層112、地導体層122、誘電体層113及び誘電体層114を貫通している。スルーホール導体125が地導体層122を貫通する箇所では、スルーホール導体125がスロット122aの縁から内側に離間しており、スルーホール導体125と地導体層122が互いに電気的に絶縁されている。なお、スルーホール導体125が形成されず、給電線路121aの一端部がスロット122aを通じてランド部123hに電磁界的に結合されていてもよい。
【0071】
誘電体基板131の厚さが300〜700μmの範囲内であるため、アンテナ101の利得が高く、誘電体基板131の表面の法線方向への指向性が強くなる。これについて検証した結果を図4に示す。誘電体基板131の厚さが300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μmである場合について、アンテナ101の利得をシミュレーションした。図4において、横軸は誘電体基板131の表面の法線方向を基準とした角度を示し、縦軸は利得を示す。誘電体基板131の厚さが300μm、400μm、500μm、600μm、700μmである場合、法線方向への指向性が高く、−30°〜30°における法線方向への利得がいずれも4dBiを超えていて高い。誘電体基板131の厚さが800μmである場合、法線方向への指向性が低く、全ての角度において法線方向への利得が4dBiを下回る。よって、誘電体基板131の厚さが300〜700μmの範囲内であれば、アンテナ101の利得が高く、誘電体基板131の表面の法線方向への指向性が強いことが分かる。
【0072】
誘電体基板131がリジッドであるため、アンテナ101の曲げが発生しにくい。特に、素子列123aの曲げ変形に起因した素子列123aの放射特性の変化が起きにくい。
【0073】
誘電体層112が薄く、誘電体層112が低誘電率及び低誘電正接である。その上で、保護誘電体層111が形成されていない場合には、給電線路121aが空気に露出しているため、給電線路121aにおける信号波の伝送損失が低い。また、電界が主に素子列123aと地導体層122との間で形成され、誘電体層114,116が低誘電率及び低誘電正接であるため、素子列123aが誘電体基板131によって覆われていても、素子列123aにおける損失が低い。一方、誘電体基板131を薄くしなくても済み、アンテナ101の帯域が狭くなることを抑えられる。
【0074】
素子列123aは4体の放射素子123b〜123eの直列接続体であるが、放射素子の数は偶数であれば、限定するものではない。但し、素子列123aは4体又は6体又は8体の放射素子を有することが好ましい。これについて検証した結果を図5に示す。素子列123aの素子数が2、4、6、8である場合について、アンテナ101の利得をシミュレーションした。図5において、横軸は周波数を示し、縦軸は利得を示す。素子列123aの素子数が4、6、8である場合、利得が9dBiを超える周波数帯域は、58〜67GHzであって、広い。素子列123aの素子数が2である場合、56〜68GHzの周波数帯域では、利得が9dBiを超えない。よって、素子列123aの素子数が4、6、8であることが好ましいことが分かる。
【0075】
<第2の実施の形態の第1変形例>
図6は変形例のアンテナ101Aの平面図である。図6に示すように、素子列123a、無給電素子124b〜124e、給電線路121a、スロット122a(図3参照)及びスルーホール導体125(図3参照)からなる複数組(例えば、16組)のグループが素子列123aの列方向の直交方向に所定ピッチで配列されていてもよい。この場合、各素子列123aの放射素子123bは列方向の位置が揃っていて、これら放射素子123bが列方向の直交方向に一列に配列されている。各素子列123aの放射素子123cについても同様である。各素子列123aの放射素子123dについても同様である。各素子列123aの放射素子123eについても同様である。
隣り合う素子列123aのピッチD、つまり列方向の中心線同士の間隔は、使用する最も高い周波数の波長の0.4〜0.6倍である。θを放射利得の最大方向とした時グレーティングローブが可視領域内に入らない条件がD/λ<1/(1+sinθ)なので、このように複数の放射素子123b〜123eが格子状に配列されていると、高利得かつ広角走査が実現される。
【0076】
<第2の実施の形態の第2変形例>
図7は変形例のアンテナ101Bの平面図である。図7に示すように、素子列123a、無給電素子124b〜124e、給電線路121a、スロット122a(図3参照)及びスルーホール導体125(図3参照)からなるグループを複数組(例えば、16組)有した集団138が2組設けられてもよい。この場合、どちらの集団138でも、各素子列123aの放射素子123bは列方向の位置が揃っていて、これら放射素子123bが列方向の直交方向に一列に配列されている。各素子列123aの放射素子123cについても同様であり、各素子列123aの放射素子123dについても同様であり、各素子列123aの放射素子123eについても同様である。
どちらの集団138でも、隣り合う素子列123aのピッチ、つまり列方向の中心線同士の間隔は、2〜2.5mmである。また、一方の集団138の素子列123aの列方向は、他方の集団138の素子列123aの列方向に対して平行である。RFIC139は一方の集団138と他方の集団138との間に配置されている。一方の集団138は受信用であり、他方の集団138は送信用である。何れの集団138においても、複数の放射素子123b〜123eが格子状に配列されているので、高利得が実現される。なお、両方の集団138が受信用であってもよいし、送信用であってもよい。
なお、集団138が3組以上設けられてもよい。この場合、何れの集団138の素子列123aの列方向は互いに平行である。或いは、集団138が4組である場合、1組目の集団138と2組目の集団138が図7のように図7の紙面において左右に配置され、3組目の集団138と4組目の集団138は図7の紙面において上下に配置され、RFIC139が1組目の集団138と2組目の集団138との間に配置され、RFIC139が3組目の集団138と4組目の集団138との間に配置され、1組目の集団138の素子列123aの列方向は2組目の集団138の素子列123aの列方向に対して平行であり、3組目及び4組目の集団138の素子列123aの列方向は1組目及び2組目の集団138の素子列123aの列方向に対して垂直である。
【0077】
<第2の実施の形態の第3変形例>
図8はアンテナ101Cの平面図である。以下では、図8に示すアンテナ101Cと図2に示すアンテナ101の相違点について説明し、一致点についての説明を省略する。
【0078】
図2に示すアンテナ101では、放射素子パターン層123が1列の素子列123aを有しているとともに、1組の無給電素子124b〜124eを有する。それに対して、図8に示すアンテナ101Cでは、放射素子パターン層123がアディティブ法又はサブトラクティブ法等によって形状加工されており、これにより放射素子パターン層123が2列の素子列123aを有している。同様に、無給電素子パターン層124がアディティブ法又はサブトラクティブ法等によって形状加工されており、これにより無給電素子パターン層124が2組の無給電素子124b〜124eを有している。
【0079】
一方の素子列123aは他方の素子列123aを列方向に平行移動させた形状を有する。他方の素子列123aの放射素子123b〜123eは、一方の素子列123aの最後尾の放射素子123eの後ろに続いて、放射素子123b,123c,123d,123eの順に、間隔を置いて直線状に一列に配列されている。従って、これらの素子列123aの放射素子123b〜123eは一直線状に配列されている。
【0080】
また、一方の素子列123aにおいて、無給電素子124b〜124eが放射素子123b〜123eにそれぞれ対向する。他方の素子列123aにおいても、無給電素子124b〜124eが放射素子123b〜123eにそれぞれ対向する。
【0081】
導体パターン層121がアディティブ法又はサブトラクティブ法等によって形状加工されており、導体パターン層121がT分岐の給電線路121bを有する。給電線路121bはRFIC139から2列の素子列123aのランド部123hにかけて2つに分岐しており、分岐した2つの端部が2列の素子列123aのランド部123hにそれぞれ対向する。そして、図2に示すアンテナ101の場合と同様に、地導体層122のうち、給電線路121bの分岐した2つの端部に対向する部分には、スロット122aがそれぞれ形成されており、給電線路121bの分岐した2つの端部がそれぞれ誘電体層112、地導体層122、誘電体層113及び誘電体層114を貫通したスルーホール導体125によって2列の素子列123aのランド部123hにそれぞれ導通する。なお、給電線路121bの分岐した2つの端部がそれぞれスロット122aを通じて2列の素子列123aのランド部123hに電磁界的に結合してもよい。
【0082】
RFIC139の端子から給電線路121bに沿って一方の素子列123aのランド部123hまでの電気長は、RFIC139の端子から給電線路121bに沿って他方の素子列123aのランド部123hまでの電気長に等しい。
【0083】
<第2の実施の形態の第4変形例>
図9はアンテナ101Dの平面図である。以下では、図9に示すアンテナ101Dと図8に示すアンテナ101Cの相違点について説明し、一致点についての説明を省略する。
【0084】
図8に示すアンテナ101Cでは、一方の素子列123aが他方の素子列123aを列方向に平行移動させた形状を有する。それに対して、図9に示すアンテナ101Dでは、一方の素子列123aが、他方の素子列123aの列方向に直交する対称線に関して、他方の素子列123aの線対称な形状を有する。他方の素子列123aの放射素子123e〜123bは、一方の素子列123aの最後尾の放射素子123eの後ろに続いて、放射素子123e,123d,123c,123bの順に、間隔を置いて直線状に一列に配列されている。従って、これらの素子列123aの放射素子123b〜123eは一直線状に配列されている。
【0085】
また、一方の素子列123aにおいて、無給電素子124b〜124eが放射素子123b〜123eにそれぞれ対向する。他方の素子列123aにおいても、無給電素子124b〜124eが放射素子123b〜123eにそれぞれ対向する。
【0086】
また、RFIC139の端子から給電線路121bに沿って一方の素子列123aのランド部123hまでの電気長と、RFIC139の端子から給電線路121bに沿って他方の素子列123aのランド部123hまでの電気長との差は、使用する帯域の中心の実効波長の2分の1に等しい。
【0087】
<第2の実施の形態の第5変形例>
図10はアンテナ101Eの平面図である。以下では、図10に示すアンテナ101Eと図8に示すアンテナ101Cの相違点について説明し、一致点についての説明を省略する。
【0088】
図8に示すアンテナ101Cでは、一方の素子列123aが他方の素子列123aを列方向に平行移動させた形状を有する。それに対して、図10に示すアンテナ101Eでは、一方の素子列123aと、他方の素子列123aとが点対称である。他方の素子列123aの放射素子123e〜123bは、一方の素子列123aの最後尾の放射素子123eの後ろに続いて、放射素子123e,123d,123c,123bの順に、間隔を置いて直線状に一列に配列されている。従って、これらの素子列123aの放射素子123b〜123eは一直線状に配列されている。
【0089】
また、一方の素子列123aにおいて、無給電素子124b〜124eが放射素子123b〜123eにそれぞれ対向する。他方の素子列123aにおいても、無給電素子124b〜124eが放射素子123b〜123eにそれぞれ対向する。
【0090】
また、RFIC139の端子から給電線路121bに沿って一方の素子列123aのランド部123hまでの電気長と、RFIC139の端子から給電線路121bに沿って他方の素子列123aのランド部123hまでの電気長との差は、使用する帯域の中心の実効波長の2分の1に等しい。
【0091】
<第2の実施の形態の第6変形例>
図11はアンテナ101Fの平面図である。図11に示すアンテナ101Fのように、図8に示す2列の素子列123a、給電線路121b、無給電素子124b〜124e、スロット122a(図3参照)及びスルーホール導体125(図3参照)からなるグループが素子列123aの列方向の直交方向に所定ピッチ(例えば、2〜2.5mm)で配列されていてもよい。この場合、各グループの2列の素子列123aの先頭から数えて同じ順・同じ位置にある放射素子の各々は列方向の位置が揃っていて、該放射素子の各々が列方向の直交方向に一列に配列されている。
なお、図9又は図10に示す2列の素子列123a、給電線路121b、無給電素子124b〜124e、スロット122a(図3参照)及びスルーホール導体125(図3参照)からなるグループが素子列123aの列方向の直交方向に所定ピッチ(例えば、2〜2.5mm)で配列されていてもよい。
【0092】
また、2列の素子列123a、給電線路121b、無給電素子124b〜124e、スロット122a(図3参照)及びスルーホール導体125(図3参照)からなるグループを複数組(例えば、16組)有した集団(図11参照)が2組設けられてもよい。何れの集団の素子列123aの列方向が互いに平行である。
【0093】
<第3の実施の形態>
図12は第3実施形態のアンテナ201の平面図である。図13図12におけるXIII−XIII断面図である。以下では、第3実施形態のアンテナ201と第2実施形態のアンテナ101の相違点について説明し、一致点についての説明を省略する。
【0094】
第2実施形態では、放射素子パターン層123が誘電体層114と誘電体層115との間の層間に形成され、無給電素子パターン層124が誘電体層116と接着層119との間の層間に形成されている。それに対して、第3実施形態では、無給電素子パターン層124が誘電体層114と誘電体層115との間の層間に形成され、放射素子パターン層123が誘電体層116と接着層119との間の層間に形成されている。また、第3実施形態では、接着層19が放射素子23aよりも厚い。そのため、接着層19と誘電体層16との間の接合界面における放射素子23aの周囲にボイドが発生しにくい。
【0095】
第2実施形態では、スルーホール導体125は誘電体層112、地導体層122、誘電体層113及び誘電体層114を貫通している。それに対して、第3実施形態では、スルーホール導体125は誘電体層112、地導体層122、誘電体層113、誘電体層114、誘電体層115及び誘電体層116を貫通している。
【0096】
第2実施形態では、無給電素子124bが放射素子123bよりも小さい。それに対して、第3実施形態では、無給電素子124bが放射素子123bよりも大きく、平面視で放射素子123bの全体が無給電素子124bの外形の内側にある。仮に無給電素子124bが放射素子123bよりも小さいと、高周波の場合に放射利得が低下してしまうためである。同様に、平面視で放射素子123cの偏波方向に垂直な辺が無給電素子124cの偏波方向に垂直な辺の内側にあり、平面視で放射素子123dの偏波方向に垂直な辺が無給電素子124dの偏波方向に垂直な辺の内側にある。
【0097】
第3実施形態においても、無給電素子124b〜124eと放射素子123b〜123eはサイズが異なるため、共振周波数も異なる。つまり、アンテナ201は、放射素子123b〜123eの共振周波数と無給電素子124b〜124eの共振周波数において利得が極大値をとるような周波数特性となる。よって、アンテナ201の使用帯域が広くなる。
第3実施形態では、低周波の場合、無給電素子124b〜124eが放射素子としても機能し、放射素子123b〜123eは導波器としても機能する。高周波の場合、無給電素子124b〜124eは、誘電体基板131側からの電波を放射素子123b〜123eに反射させたりする反射器として機能する。
【0098】
また、第2実施形態の第1〜第6変形例における変更点を第3実施形態に適用してもよい(図14図19参照)。
【0099】
<検証1>
図2及び図3に示すアンテナ101のように、無給電素子124b〜124eが放射素子123b〜123eにそれぞれ対向することによって、アンテナ101が広帯域化することについて、シミュレーションにより検証した。その結果を図20及び図21に示す。
【0100】
図20において、縦軸は反射係数(S11)を表し、横軸は周波数を表す。実線は無給電素子124b〜124eが設けられた場合のシミュレーション結果を表し、破線は無給電素子124b〜124eが設けられていない場合のシミュレーション結果を表す。図19から明らかなように、無給電素子124b〜124eが設けられている場合、67GHz以上の領域でも-10dB以下となっているのに対して、無給電素子124b〜124eが設けられていない場合、67GHz以上の領域で反射係数が大きくなっている。そのため、無給電素子124b〜124eが設けられていると、アンテナ101が広帯域化することがわかる。
【0101】
図21において、縦軸は利得を表し、横軸は周波数を表す。実線は無給電素子124b〜124eが設けられた場合のシミュレーション結果を表し、破線は無給電素子124b〜124eが設けられていない場合のシミュレーション結果を表す。図21から明らかなように、無給電素子124b〜124eが設けられている場合、67GHz以上の領域でも利得が落ちていないのに対し、無給電素子124b〜124eが設けられていない場合、67GHz以上の領域で利得が落ちている。そのため、無給電素子124b〜124eが設けられていると、アンテナ101が広帯域化することがわかる。
【0102】
<検証2>
図2及び図3に示すアンテナ101において、無給電素子124b〜124eと放射素子123b〜123eの偏波方向の長さ比率が変化することに伴うアンテナ101の反射特性の変化について、シミュレーションにより検証した。その結果を図22及び図23に示す。
【0103】
図22において、縦軸は利得を表し、横軸は周波数を表す。図23において、縦軸は反射係数(S11)を表し、横軸は周波数を表す。図22及び図23から明らかなように、無給電素子124b〜124eの偏波方向の長さが放射素子123b〜123eの偏波方向の長さの95%になると100%に比べてアンテナ101が広帯域化することがわかる。
無給電素子124b〜124eの偏波方向の長さが放射素子123b〜123eの偏波方向の長さの95〜70%の範囲では、アンテナ101の広帯域化が確認できる。但し、無給電素子124b〜124eの偏波方向の長さが放射素子123b〜123eの偏波方向の長さの70%以下の範囲では、アンテナ101の広帯域化の程度が殆ど同じである。
従って、無給電素子124b〜124eの偏波方向の長さが放射素子123b〜123eの偏波方向の長さの70〜95%であることが好ましい。
また、無給電素子124b〜124eの偏波方向の長さが放射素子123b〜123eの偏波方向の長さの80〜95%であると、必要な帯域で利得がより高い上に反射をより抑えやすいため、無給電素子124b〜124eの偏波方向の長さが放射素子123b〜123eの偏波方向の長さの80〜95%であることがより好ましい。
さらに、無給電素子124b〜124eの偏波方向の長さが放射素子123b〜123eの偏波方向の長さの85〜90%であると、必要な帯域でさらに利得が高い上に反射を抑えやすいため、無給電素子124b〜124eの偏波方向の長さが放射素子123b〜123eの偏波方向の長さの85〜90%であることがさらに好ましい。
【符号の説明】
【0104】
1…アンテナ
10…誘電体積層体
11…保護誘電体層
12〜16…誘電体層
19…接着層
21…導体パターン層
21a…給電線路
22…地導体層
22a…スロット
23…放射素子パターン層
23a…放射素子
24…無給電素子パターン層
24a…無給電素子
25…スルーホール導体
31…誘電体基板
101,101A,101B,101C,101D,101E,101F…アンテナ
201,201A,201B,201C,201D,201E,201F…アンテナ
110…誘電体積層体
111…保護誘電体層
112〜116…誘電体層
119…接着層
121…導体パターン層
121a,121b…給電線路
122…地導体層
122a…スロット
123…放射素子パターン層
123a…素子列
123b〜123e…放射素子
124…無給電素子パターン層
124b〜124e…無給電素子
125…スルーホール導体
131…誘電体基板
138…集団
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23