【解決手段】ビードコア21と、ビードコア21のタイヤ径方向外側に延出するビードフィラー22と、ビードコア21から他方のビードコア21に延び、ビードコア21の周りで折り返されたカーカスプライ23と、を備えるタイヤであって、ビードコア21の周りで折り返されたカーカスプライ23の少なくともタイヤ幅方向外側に配置されたリムストリップゴム32と、リムストリップゴム32のタイヤ幅方向外側の一部を覆うサイドウォールゴム30と、を備え、リムストリップゴム32とサイドウォールゴム30との間に電子部品としてのRFIDタグ40が設けられている。
ビードコアと、前記ビードコアのタイヤ径方向外側に延出するビードフィラーと、前記ビードコアから他方のビードコアに延び、前記ビードコアの周りで折り返されたカーカスプライと、を備えるタイヤであって、
前記ビードコアの周りで折り返されたカーカスプライの少なくともタイヤ幅方向外側に配置されたリムストリップゴムと、
前記リムストリップゴムのタイヤ幅方向外側の一部を覆うサイドウォールゴムと、を備え、
前記リムストリップゴムと前記サイドウォールゴムとの間に電子部品が設けられている、タイヤ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係るタイヤ1のタイヤ幅方向の半断面を示す図である。タイヤの基本的な構造は、タイヤ幅方向の断面において左右対称となっているため、ここでは、右半分の断面図を示す。図中、符号S1は、タイヤ赤道面である。タイヤ赤道面S1は、タイヤ回転軸に直交する面で、かつタイヤ幅方向中心に位置する面である。
ここで、タイヤ幅方向とは、タイヤ回転軸に平行な方向であり、
図1の断面図における紙面左右方向である。
図1においては、タイヤ幅方向Xとして図示されている。
そして、タイヤ幅方向内側とは、タイヤ赤道面S1に近づく方向であり、
図1においては、紙面左側である。タイヤ幅方向外側とは、タイヤ赤道面S1から離れる方向であり、
図1においては、紙面右側である。
また、タイヤ径方向とは、タイヤ回転軸に垂直な方向であり、
図1における紙面上下方向である。
図1においては、タイヤ径方向Yとして図示されている。
そして、タイヤ径方向外側とは、タイヤ回転軸から離れる方向であり、
図1においては、紙面上側である。タイヤ径方向内側とは、タイヤ回転軸に近づく方向であり、
図1においては、紙面下側である。
図2についても同様である。
【0013】
タイヤ1は、例えばトラック、バス用のタイヤであり、タイヤ幅方向両側に設けられた一対のビード11と、路面との接地面を形成するトレッド12と、一対のビード11とトレッド12との間を延びる一対のサイドウォール13とを備える。
【0014】
ビード11は、ゴムが被覆された金属製のビードワイヤを複数回巻いて形成した環状のビードコア21と、ビードコア21のタイヤ径方向外側に延出している、先細り形状のビードフィラー22とを備える。ビードフィラー22は、ビードコア21の外周を覆う第1ビードフィラー221と、第1ビードフィラー221のタイヤ径方向外側に配置されている第2ビードフィラー222とにより構成されている。第2ビードフィラー222は、後述するインナーライナー29、サイドウォールゴム30よりも高いモジュラスのゴムにより構成されている。そして、第1ビードフィラー221は、第2ビードフィラー222よりもさらに高いモジュラスのゴムにより構成されている。なお、第1ビードフィラー221は、少なくともその一部がビードコア21のタイヤ径方向外側に配置されていれば、ビードコア21の外周を覆っていない態様であってもよい。また、ビードフィラー22は、一つの種類のゴムから形成されていてもよい。すなわち、第1ビードフィラー221と第2ビードフィラー222とに分かれていなくてもよい。
ビードコア21は、空気が充填されたタイヤを、図示しないホイールのリムに固定する役目を果たす部材である。ビードフィラー22は、ビード周辺部の剛性を高め、高い操縦性および安定性を確保するために設けられている部材である。
【0015】
タイヤ1の内部には、タイヤの骨格となるプライを構成するカーカスプライ23が埋設されている。カーカスプライ23は、一方のビードコアから他方のビードコアに延びている。すなわち、一対のビードコア21間を、一対のサイドウォール13およびトレッド12を通過する態様で、タイヤ1内に埋設されている。
図1に示されるように、カーカスプライ23は、一方のビードコアから他方のビードコアに延び、トレッド12とビード11との間を延在するプライ本体24と、ビードコア21の周りで折り返されているプライ折り返し部25とを備える。ここで、プライ折り返し部25の折り返し端25Aは、ビードフィラー22のタイヤ径方向外側端22Aよりもタイヤ径方向内側に位置している。
カーカスプライ23は、タイヤ幅方向に延びる複数のプライコードにより構成されている。また、複数のプライコードは、タイヤ周方向に並んで配列されている。
このプライコードは、金属製のスチールコード、あるいはポリエステルやポリアミド等の絶縁性の有機繊維コード等により構成されており、ゴムにより被覆されている。
【0016】
トレッド12において、カーカスプライ23のタイヤ径方向外側には、複数層のスチールベルト26が設けられている。スチールベルト26は、ゴムで被覆された複数のスチールコードにより構成されている。スチールベルト26を設けることにより、タイヤの剛性が確保され、トレッド12と路面の接地状態が良くなる。本実施形態においては、4層のスチールベルト26が設けられているが、積層されるスチールベルト26の枚数はこれに限らない。
【0017】
スチールベルト26のタイヤ径方向外側には、トレッドゴム28が設けられている。トレッドゴム28の外表面には、図示しないトレッドパターンが設けられており、この外表面が、路面と接触する接地面となる。
【0018】
トレッド12のタイヤ幅方向外側付近において、カーカスプライ23と、スチールベルト26およびトレッドゴム28との間の領域には、ショルダーパッド38が設けられている。このショルダーパッド38は、サイドウォール13のタイヤ径方向外側領域まで延出しており、その一部は、後述のサイドウォールゴム30との間で界面を形成している。すなわち、サイドウォール13のタイヤ径方向外側領域において、サイドウォールゴム30のタイヤ幅方向内側に、ショルダーパッド38の一部が存在している。
ショルダーパッド38はクッション性を有するゴム部材からなり、カーカスプライ23とスチールベルト26との間において、クッション機能を発揮する。また、ショルダーパッド38は低発熱性の特性を有するゴムからなるため、サイドウォール13まで延出させることにより、効果的に発熱を抑制することができる。
【0019】
ビード11、サイドウォール13、トレッド12において、カーカスプライ23のタイヤ内腔側には、タイヤ1の内壁面を構成するゴム層としてのインナーライナー29が設けられている。インナーライナー29は、耐空気透過性ゴムにより構成されており、タイヤ内腔内の空気が外部に漏れるのを防ぐ。
【0020】
サイドウォール13において、カーカスプライ23のタイヤ幅方向外側には、タイヤ1の外壁面を構成するサイドウォールゴム30が設けられている。このサイドウォールゴム30は、タイヤがクッション作用をする際に最もたわむ部分であり、通常、耐疲労性を有する柔軟なゴムが採用される。
【0021】
ビード11のビードコア21周りに設けられたカーカスプライ23のタイヤ径方向内側には、カーカスプライ23の少なくとも一部を覆うように補強プライとしてのスチールチェーハー31が設けられている。スチールチェーハー31は、カーカスプライ23のプライ折り返し部25のタイヤ幅方向外側にも延在しており、そのスチールチェーハー31の端部31Aは、カーカスプライ23の折り返し端25Aよりもタイヤ径方向内側に位置している。
このスチールチェーハー31は、金属製のスチールコードにより構成された金属補強層であり、ゴムにより被覆されている。
【0022】
スチールチェーハー31のタイヤ径方向内側には、リムストリップゴム32が設けられている。このリムストリップゴム32は、タイヤの外表面に沿って配置されており、サイドウォールゴム30と連接している。このリムストリップゴム32とサイドウォールゴム30は、タイヤの外表面を構成しているゴム部材である。
【0023】
そして、スチールチェーハー31の端部31Aのタイヤ径方向外側であって、カーカスプライ23の折り返し部25およびビードフィラー22のタイヤ幅方向外側には、第1のパッド35が設けられている。この第1のパッド35は、少なくともカーカスプライ23の折り返し端25Aのタイヤ幅方向外側に設けられている。第1のパッド35のタイヤ径方向外側は、タイヤ径方向外側に向かうほど、先細りとなるように形成されている。
【0024】
さらに、第1のパッド35のタイヤ幅方向外側を覆うように、第2のパッド36が設けられている。より詳細には、スチールチェーハー31の一部、第1のパッド35、第2ビードフィラー222の一部、カーカスプライ23のプライ本体24の一部のタイヤ幅方向外側を覆うように、第2のパッド36が設けられている。
そして、第2のパッド36のタイヤ径方向外側領域におけるタイヤ幅方向外側には、サイドウォールゴム30が配置されており、第2のパッド36のタイヤ径方向内側領域におけるタイヤ幅方向外側には、リムストリップゴム32が配置されている。
換言すると、第2のパッド36は、第1のパッド35等と、タイヤの外表面を構成する部材であるリムストリップゴム32およびサイドウォールゴム30との間に設けられている。
【0025】
第1のパッド35および第2のパッド36は、パッド部材34を構成し、このパッド部材34は、ビードフィラー22のタイヤ径方向外側部分(第2ビードフィラー222)のモジュラスよりも高いモジュラスのゴムにより構成されている。
より詳細には、第2のパッド36は、第2ビードフィラー222よりも高いモジュラスのゴムにより構成されており、第1のパッド35は、第2のパッド36よりもさらに高いモジュラスのゴムにより構成されている。第1のパッド35、第2のパッド36は、カーカスプライ23の折り返し端25Aおよびスチールチェーハー31の端部31Aにおける局所的な剛性の変化点に起因する急激な歪みを緩和する機能を有する。
【0026】
ビードフィラー22とパッド部材34との間には、カーカスプライ23の折り返し端25A付近において、補強ゴムシートとしてのゴムシート37が配置されている。ゴムシート37は、カーカスプライ23の折り返し端25Aをタイヤ幅方向内側から覆うように配置されている。
ゴムシート37は、第2ビードフィラー222よりも高いモジュラスのゴムにより構成されている。より好ましくは、第1のパッド35と略等しいモジュラスのゴムにより構成されている。
【0027】
一般に、カーカスプライ23の折り返し端25Aは、応力が集中しやすい。しかしながら、上述の補強ゴムシートとしてのゴムシート37を設けることにより、応力の集中を効果的に抑えることが可能となる。
なお、本実施形態においては、パッド部材34が、第1のパッド35と第2のパッド36とにより構成されているが、パッド部材34は、一つの部材により構成されていてもよい。但し、上述のように、パッド部材34を、第1のパッド35と第2のパッド36とにより構成し、さらにゴムシート37を配置する構成を採用することにより、より効果的に応力の集中を抑えることができる。
【0028】
なお、本実施形態においては、ゴムシート37のタイヤ径方向外側端37Aの位置は、ビードフィラー22のタイヤ径方向外側端22Aよりもタイヤ径方向内側に位置している。但し、ゴムシート37のタイヤ径方向外側端37Aの位置を、ビードフィラー22のタイヤ径方向外側端22Aの位置と略一致させてもよい。
なお、ゴムシート37は、
図1に示されるように、カーカスプライ23の折り返し端25Aを、タイヤ幅方向内側から覆うように配置する態様を採用することが好ましいが、カーカスプライ23の折り返し端25Aを、タイヤ幅方向外側から覆う構成を採用してもよい。この場合であっても、応力の集中を緩和することができる。
【0029】
ここで、リムストリップゴム32と、その周囲の部材との関係を再度整理して説明すると、リムストリップゴム32は、ビードコア21の周りで折り返されたカーカスプライ23のプライ折り返し部25の少なくともタイヤ幅方向外側に配置されている。本実施形態においては、リムストリップゴム32は、カーカスプライ23の折り返し部25のタイヤ幅方向外側に配置されているパッド部材34のタイヤ幅方向外側の一部を覆っている。そして、サイドウォールゴム30は、リムストリップゴム32のタイヤ幅方向外側の一部と、パッド部材34のタイヤ幅方向外側の一部とを覆っている。このようなパッド部材34を設けることにより、リムストリップゴム32およびサイドウォールゴム30の接合部周辺において、効果的に応力の集中を抑えることができる。
【0030】
本実施形態のタイヤ1には、電子部品としての、RFIDタグ40が埋設されている。
RFIDタグ40は、RFIDチップと、外部機器と通信を行うためのアンテナとを備えた、パッシブ型のトランスポンダであり、外部機器としての図示しないリーダとの間で無線通信を行う。アンテナとしては、コイル状のスプリングアンテナ、板状のアンテナ、棒状の各種のアンテナが用いられる。例えば、フレキシブル基板に対して所定のパターンをプリントすることによって形成したアンテナであってもよい。アンテナは、使用する周波数帯域等に応じて、最適化されたアンテナ長さに設定されている。RFIDチップ内の記憶部には、製造番号、部品番号等の識別情報が格納されている。
【0031】
図2は、
図1のタイヤ1における、RFIDタグ40の埋設部周辺を示す拡大断面図である。
図1、2に示されるように、RFIDタグ40は、リムストリップゴム32とサイドウォールゴム30との間に埋設されている。
【0032】
通常、2つ物体の境界面が、カーカスプライ23の折り返し端25Aから延長する面である場合、その面は歪が生じやすい。また、通信品質を考慮すれば、RFIDタグ40は、できるだけタイヤ1の外表面に近い部分に配置することが好ましい。
【0033】
そこで、本実施形態においては、第2ビードフィラー222と第1のパッド35との境界面よりもタイヤ1の外表面に近い、リムストリップゴム32とサイドウォールゴム30との境界面にRFIDタグ40を埋設する。
【0034】
これにより、RFIDタグ40は、過度な歪の影響を受けることもなく、その機能を保つことができる。付言すると、RFIDタグ40は、第2ビードフィラー222よりも高いモジュラスのゴムからなるリムストリップゴム32に保持されるように配置されるため、強固に保持される。
【0035】
なお、第2のパッド36のモジュラスを基準とすると、サイドウォールゴム30は、第2のパッド36の0.4〜0.6倍のモジュラスとすることが好ましい。また、第1のパッド35は、第2のパッド36の1.1倍〜1.2倍のモジュラスとすることが好ましい。また、第2ビードフィラー222は第2のパッドの0.7〜0.8倍のモジュラスとすることが好ましい。そして、リムストリップゴム32は、第2のパッド36のモジュラスを基準とすると、第2のパッド36の0.8〜1倍のモジュラスとすることが好ましい。このようなモジュラスとすることで、タイヤとしての柔軟性とビード11付近の剛性のバランスを保つことができる。
なお、モジュラスは、JIS K6251:2010の「3.7 所定伸び引張り応力(stress at a given elongation),S」に準拠して測定された、23℃の雰囲気下における100%伸長モジュラス(M100)を指す。
【0036】
図3は、本実施形態のタイヤ1をリムに組み付け、100%荷重負荷を与えた場合の、歪エネルギーの面内分布シミュレーションの結果を示す図である。
図3に示される拡大断面図においては、歪エネルギーの大きさに応じて、領域を5つに分けて表示している。ここで、歪エネルギーが最も高い領域はレベル5、歪エネルギーが高い領域はレベル4、歪エネルギーがやや下がる領域はレベル3、歪エネルギーがさらに下がる領域はレベル2、歪エネルギーが最も下がる領域はレベル1としている。
図3においては、太い点線を境界に、領域を分けて表示している。
【0037】
リムストリップゴム32とサイドウォールゴム30との境界面は、概ねレベル1の領域となっており、歪エネルギーが少なく、RFIDタグ40を配置する上で、非常に好ましい領域となっている。
【0038】
そして、RFIDタグ40は、さらに好ましくは、リムストリップゴム32とサイドウォールゴム30との境界面のうち、タイヤ径方向外側の所定領域に配置される。
例えば、RFIDタグ40は、
図2に示すタイヤ幅方向断面視において、リムストリップゴム32とサイドウォールゴム30の境界面を示す線の長さ(リムストリップゴム32のタイヤ径方向外側端32Aからサイドウォールゴム30のタイヤ径方向内側端30Bまでの、前記境界面を示す線に沿った距離)を基準距離としたとき、リムストリップゴム32のタイヤ径方向外側端32Aの位置から、サイドウォールゴム30のタイヤ径方向内側端30Bに向かって、基準距離の50%の位置までの範囲内の、リムストリップゴム32とサイドウォールゴム30との間に配置されることが好ましい。
これにより、タイヤ1を固定するリムから離れた位置にRFIDタグ40を配置することができるため、通信性能を好適に確保し、かつ高い耐久性を得ることができる。
【0039】
ここで、RFIDタグ40は、タイヤの製造工程において、加硫工程の前に取り付けられている。本実施形態においては、加硫される前のリムストリップゴム32またはサイドウォールゴム30に、RFIDタグ40を取り付ける。このとき、リムストリップゴム32およびサイドウォールゴム30は加硫前の生ゴムの状態であるため、その粘着性を利用して、RFIDタグ40をリムストリップゴム32またはサイドウォールゴム30に貼り付けてもよい。あるいは、粘着性が低い場合などにおいては、接着剤等を用いて貼り付けてもよい。RFIDタグ40を貼り付けた後、RFIDタグ40をリムストリップゴム32とサイドウォールゴム30によって挟み込む。その後、RFIDタグ40を含む各構成部材が組み付けられた生タイヤを、加硫工程において加硫し、タイヤを製造する。
【0040】
このように、本実施形態においては、タイヤ製造時において、生ゴム状態のリムストリップゴム32またはサイドウォールゴム30にRFIDタグ40を貼り付けることができるため、タイヤの製造工程におけるRFIDタグ40の組み付け作業が容易である。特に、リムストリップゴム32は、生ゴム状態であってもある程度の剛性を有しているため、RFIDタグ40の取り付け作業が容易である。
【0041】
なお、タイヤに埋設するRFIDタグ40は、後述する
図4においてRFIDタグ40として示されるように、アンテナを含めると、長手方向を有することが多い。このようなRFIDタグ40は、その長手方向が、タイヤの周方向に対して接線の方向、すなわち
図1〜
図2の断面図において紙面に直交する方向となるように、タイヤ1に埋設することが好ましい。このように埋設することで、タイヤが変形したときにおいても、RFIDタグ40に応力がかかりにくい。
【0042】
なお、RFIDタグ40は、ゴム等の保護部材により被覆された状態で、リムストリップゴム32とサイドウォールゴム30との間に挟んでもよいが、保護部材で被覆することなく、直接リムストリップゴム32とサイドウォールゴム30との間に挟んでもよい。
【0043】
なお、本実施形態においては、電子部品として、RFIDタグ40がタイヤに埋設されているが、タイヤに埋設される電子部品は、RFIDタグに限らない。例えば、無線通信を行うセンサ等の各種の電子部品であってもよい。また、電子部品は、電気信号の送受信等、電気的な情報を扱うことから、近傍に金属部品が存在することにより性能が低下する可能性がある。また、電子部品は、過度な応力がかかることにより、破損する可能性がある。よって、種々の電子部品をタイヤに埋設する場合においても、本発明の効果を得ることができる。例えば電子部品は、圧電素子や、歪センサであってもよい。
【0044】
本実施形態のタイヤ1によれば、以下の効果を奏する。
【0045】
(1)本実施形態に係るタイヤ1は、ビードコア21と、ビードコア21のタイヤ径方向外側に延出するビードフィラー22と、ビードコア21から他方のビードコア21に延び、ビードコア21の周りで折り返されたカーカスプライ23と、を備えるタイヤ1であって、ビードコア21の周りで折り返されたカーカスプライ23の少なくともタイヤ幅方向外側に配置されたリムストリップゴム32と、リムストリップゴム32のタイヤ幅方向外側の一部を覆うサイドウォールゴム30と、を備え、リムストリップゴム32とサイドウォールゴム30との間にRFIDタグ40が設けられている。
これにより、タイヤ構造体内の応力および歪の影響を受け難い位置にRFIDタグ40を配置することにより、埋設されたRFIDタグ40の機能を維持することができる。
【0046】
(2)本実施形態に係るタイヤ1は、タイヤ幅方向断面視において、リムストリップゴム32とサイドウォールゴム30の境界面を示す線の長さを基準距離としたとき、RFIDタグ40は、リムストリップゴム32のタイヤ径方向外側端32Aの位置から、サイドウォールゴム30のタイヤ径方向内側端30Bに向かって、基準距離の50%の位置までの範囲内の、リムストリップゴム32とサイドウォールゴム30との間に配置されている。
これにより、タイヤ1を固定するリムから離れた位置にRFIDタグ40を配置することができるため、通信性能を好適に確保し、かつ高い耐久性を得ることができる。
【0047】
(3)本実施形態に係るタイヤ1は、カーカスプライ23の折り返し端25Aのタイヤ幅方向外側を覆うパッド部材34をさらに備え、リムストリップゴム32は、パッド部材34のタイヤ幅方向外側の一部を覆い、サイドウォールゴム30は、リムストリップゴム32のタイヤ幅方向外側の一部と、パッド部材34のタイヤ幅方向外側の一部とを覆う。
これにより、RFIDタグ40が配置されるリムストリップゴム32およびサイドウォールゴム30の接合部周辺において、効果的に応力の集中を抑えることができる。
【0048】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係るタイヤについて、
図4A〜
図4Cを参照しながら説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、また詳細な説明を省略する。
【0049】
図4Aは、保護部材43を構成する被覆ゴムシートによって被覆された、RFIDタグ40を示す図である。
図4Aでは、RFIDタグ40は後述する被覆ゴムシート431に覆われて隠れている。
図4Bは
図4Aのb−b断面図、
図4Cは
図4Aのc−c断面図である。
本実施形態においては、
図4A〜
図4Cに示されるように、RFIDタグ40は保護部材43を構成する被覆ゴムシート431、432により被覆されている。
【0050】
RFIDタグ40は、RFIDチップ41と、外部機器と通信を行うためのアンテナ42とを備えている。アンテナ42としては、コイル状のスプリングアンテナ、板状のアンテナ、棒状の各種のアンテナが用いられる。通信性をおよび柔軟性を考慮すると、コイル状のスプリングアンテナが最も好ましい。
【0051】
保護部材43は、RFIDタグ40を挟み込んで保護する2枚の被覆ゴムシート431、432により構成されている。
【0052】
保護部材43に採用するゴムとしては、少なくともサイドウォールゴム30よりもモジュラスが高いゴムを用いる。例えば、サイドウォールゴム30よりもモジュラスが高く、かつリムストリップゴム32よりもモジュラスが低いゴムを用いる。例えば、保護部材43に用いられるゴムとしては、第2のパッド36のモジュラスを基準とすると、0.6〜0.8倍のモジュラスのゴムを用いることが好ましい。
なお、RFIDタグ40の保護の強化を重視すれば、保護部材43に用いられるゴムとして、リムストリップゴム32よりも高いモジュラスのゴムを採用してもよい。
【0053】
なお、
図1〜
図2に示されるように、RFIDタグ40は、リムストリップゴム32とサイドウォールゴム30の間の領域に配置されている。そこで、保護部材43のモジュラスを、サイドウォールゴム30よりもモジュラスが高く、かつリムストリップゴム32よりもモジュラスが低い値に設定することにより、タイヤが変形した場合において、RFIDタグ40埋設部においてゴム構造体内に過度な応力が発生することを防ぐことができる。すなわち、応力の発生を抑制することができる。
【0054】
また、保護部材43を、短繊維フィラー混合ゴムにより構成してもよい。短繊維フィラーとしては、例えば、アラミド短繊維やセルロース短繊維といった有機短繊維、アルミナ短繊維等のセラミックス短繊維やガラス短繊維といった無機短繊維のような、絶縁性の短繊維を用いることができる。ゴムにこのような短繊維フィラーを混合することにより、ゴムの強度を高めることができる。
また、保護部材43として、加硫後の状態の被覆ゴムシートを用いてもよい。加硫後の状態の被覆ゴムシートは、生ゴムのように塑性変形しないため、RFIDタグ40を適切に保護することができる。
【0055】
また、保護部材43として、ポリエステル繊維やポリアミド繊維等による有機繊維層を設けてもよい。2枚の被覆ゴムシート431、432に、有機繊維層を埋設することも可能である。
【0056】
このように、保護部材43を、2枚の被覆ゴムシートによって構成すれば、保護部材43を含むRFIDタグ40を薄く形成できるので、タイヤ1に埋設する上で好適である。また、加硫前のタイヤ1の構成部材にRFIDタグ40を組み付けるときにおいて、被覆ゴムシートによって被覆されたRFIDタグ40は、非常に簡便に装着することができる。
例えば、加硫前のリムストリップゴム32といった部材の所望の位置に、被覆ゴムシートによって被覆されたRFIDタグ40を、生ゴムの粘着性を利用して適切に貼り付けることができる。また、被覆ゴムシートも加硫前の生ゴムとすることにより、被覆ゴムシート自身の粘着性も用いて、より簡便に貼り付けることができる。
【0057】
但し、保護部材43は、2枚の被覆ゴムシートによって構成される態様に限らず、種々の態様を採用することができる。例えば、保護部材を構成する被覆ゴムシートは、RFIDタグ40の少なくとも一部を覆っていれば、製造工程における作業性の向上や応力緩和などの効果が得られる。
また、例えば、RFIDタグ40の全周に亘って1枚の被覆ゴムシートを巻き付ける構成や、RFIDタグ40の全周に亘って、粘度の高いポッティング剤の態様の保護部材を付着させた構成であってもよい。このような構成であっても、RFIDタグ40を適切に保護することができる。
【0058】
なお、保護部材43に被覆されたRFIDタグ40は、その長手方向が、タイヤの周方向に対して接線の方向、すなわち
図1〜
図2の断面図において紙面に直交する方向となるように、タイヤに埋設されている。あるいはタイヤの周方向に沿った形状で、タイヤに埋設されている。また、被覆ゴムシート431、432は、タイヤ幅方向に並ぶような態様で、タイヤに埋設される。すなわち、製造工程において、被覆ゴムシート431、432のいずれか一方の一面が、加硫前のタイヤの構成部材、例えばリムストリップゴム32に貼り付けられる。そして、保護部材43に覆われているRFIDタグ40は、リムストリップゴム32とサイドウォールゴム30との間に配置される。
このような態様とすることで、タイヤが変形したときにおいても、RFIDタグ40に応力がかかりにくい。また、製造工程において、保護部材43に被覆されたRFIDタグ40を取り付ける作業が簡便となる。
【0059】
本実施形態に係るタイヤによれば、上記(1)〜(3)に加えて以下の効果を奏する。
【0060】
(4)本実施形態のRFIDタグ40は、被覆ゴムシート431、432に覆われており、被覆ゴムシート431、432に覆われているRFIDタグ40が、リムストリップゴム32とサイドウォールゴム30との間に配置されている。
よって、RFIDタグ40を適切に保護することができる。
【0061】
(5)本実施形態の被覆ゴムシート431、432は、サイドウォールゴム30よりもモジュラスが高く、かつリムストリップゴム32よりもモジュラスが低いゴムから構成されている。
よって、タイヤ内のゴムのモジュラスが段階的に変化するため、タイヤが変形した場合において、RFIDタグ40埋設部においてゴム構造体内に過度な応力が発生することを防ぐことができる。
【0062】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係るタイヤについて、
図5〜
図11を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、第1、第2実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、また詳細な説明を省略する。
本実施形態は、RFIDタグ40のアンテナが、コイル状のスプリングアンテナである場合に特に好適な実施形態である。
【0063】
本実施形態のRFIDタグ40は、アンテナとして、通信性および柔軟性の高いコイル状のスプリングアンテナ421が用いられている。スプリングアンテナ421は、使用する周波数帯域等に応じて、最適化されたアンテナ長さに設定されている。
【0064】
本実施形態においては、保護部材43を構成する2枚の被覆ゴムシート431、432でRFIDタグ40を挟み込む前に、スプリングアンテナ421内にゴムを配置する。より好ましくは、空気がなるべく残らないように、スプリングアンテナ内にゴムを充填する。
図5〜
図11を用いて、その工程およびその工程を採用する理由を説明する。
【0065】
まず、
図5〜
図7を用いて、参考例として、スプリングアンテナ421内にゴムを充填しない場合における、RFIDタグ40周辺の状態について説明する。
図5は、RFIDタグ40を被覆ゴムシート431、432で挟み込む前の、スプリングアンテナ421、被覆ゴムシート431、432の断面を示す図である。
図6は、RFIDタグ40を被覆ゴムシート431、432で挟み込んだ後の、スプリングアンテナ421、被覆ゴムシート431、432の断面を示す図である。
【0066】
図6に示されるように、この参考例においては、スプリングアンテナ421内に予めゴムが充填されていないため、被覆ゴムシート431、432で挟み込んだ後において、スプリングアンテナ421内に空気45がある程度残ってしまう場合がある。このように空気が残ってしまうと、被覆ゴムシート431、432とスプリングアンテナ421との一体性が不十分となり、タイヤが変形したときに、ゴムの動きにスプリングアンテナ421が追従せず、スプリングアンテナ421を有するRFIDタグ40が破損するおそれがある。
【0067】
なお、ここでは被覆ゴムシート431、432として、加硫前の生ゴムを使用している。よって、被覆ゴムシート431、432を両側から押しつけることにより、
図6に示されるように、スプリングアンテナ内に被覆ゴムシート431、432がある程度はめり込んでいる。しかしながら、スプリングアンテナ内が完全に埋まるまで被覆ゴムシート431、432をめり込ませるためには、非常に多くの時間と手間がかかる。
【0068】
そして、仮に時間をかけてスプリングアンテナ内が埋まるまでゴムシートをめり込ませた場合であっても、
図7に示されるように、スプリングアンテナ421の外周部と、被覆ゴムシート431、432の外表面との距離Lが非常に短くなる。また、その距離Lを安定させることは困難であり、局所的に薄い部分が発生し得る。よって、被覆ゴムシート431、432によるRFIDタグ40の保護が不十分となり、加硫時において、被覆ゴムシート431、432が破損する可能性がある。
【0069】
そこで、本実施形態においては、
図8〜
図11に示されるように、被覆ゴムシート431、432でRFIDタグ40を挟み込む前に、スプリングアンテナ421内にゴムを配置する。より好ましくは、空気がなるべく残らないように、スプリングアンテナ内にゴムを充填する。なお、
図8〜
図11の右側に示す図は、スプリングアンテナ421およびその周囲の横断面を示す図である。
【0070】
図8は、スプリングアンテナ421内にゴム46を充填する前の状態を示す図、
図9は、スプリングアンテナ421内にゴム46を充填した後の状態を示す図である。
ゴム46は、スプリングアンテナ421の外周面と略同じ外径となるように埋め込まれる。そして、スプリングアンテナ421の外周面からゴム46がはみ出ている場合には、その部分を拭き取って除去することが好ましい。すなわち、ゴム46の外周面は、スプリングアンテナ421の外周面と略同一面となるように成形されることが好ましい。
なお、スプリングアンテナ421内にゴム46を充填すると共に、スプリングアンテナ421の外周をゴム46で薄く包み込んでもよい。一方、スプリングアンテナ421をゴム46によって厚く包み込んでしまうと、スプリングアンテナ421の柔軟性が損なわれる上に、RFIDタグ40を挟み込んだ後の被覆ゴムシート431、432により形成される幅方向の寸法が大きくなってしまうため、好ましくない。
なお、スプリングアンテナ421の内周面と略同じ外径となるように、ゴム46を埋め込んでもよい。ゴム46の外周部は、スプリングアンテナ421の内周面〜外周面の範囲内に位置していることが望ましい。
【0071】
ここで、スプリングアンテナ421の柔軟性を確保するために、ゴム46としては、柔軟性を有するゴムを用いる。但し、作業性等を考慮して、ゴム46として、被覆ゴムシート431、432よりも高いモジュラスのゴムを用いることが好ましい。
なお、スプリングアンテナ421内に配置するゴム46としては、好ましくは未加硫のゴムを用いる。ゴム46、被覆ゴムシート431、432を未加硫のゴムとし、同時に加硫することにより、ゴム46、被覆ゴムシート431、432、スプリングアンテナ421の一体性が高まる。また、ゴム46、被覆ゴムシート431、432は、同種のゴムとすることがより好ましい。
なお、スプリングアンテナ421の柔軟性を重視して、ゴム46として、被覆ゴムシート431、432よりも低いモジュラスのゴムを用いてもよい。また、略同一のモジュラスのゴム、同じ材質のゴムを用いてもよい。
なお、スプリングアンテナ421内に配置するゴム46として、加硫後のゴムを用いてもよい。また、ゴム系接着剤、ゴム系充填剤などを用いることも可能である。柔軟性を確保しつつ、スプリングアンテナ421内に空気をなるべく残らないようにすることを考慮して、各種のゴム系材料を採用することができる。
ゴム46の配置作業としては、各種の方法が採用可能であるが、例えば、注射器を用いてスプリングアンテナ421内にゴムを注入することも可能である。この場合、注射器を用いて、設定された適切な量のゴム46を充填してもよい。また、ゴム46を多めに充填後、スプリングアンテナ421の外周からはみ出た部分を拭き取ってもよい。
【0072】
図10は、スプリングアンテナ421にゴム46が充填されたRFIDタグ40を、被覆ゴムシート431、432で挟み込む前の状態を示す図、
図11は、被覆ゴムシート431、432で挟み込んだ後の状態を示す図である。
【0073】
図11に示されるように、本実施形態によれば、スプリングアンテナ421内に予めゴム46が充填されていたため、被覆ゴムシート431、432の間に空気溜まりが存在していない。よって、空気溜まりを気にしなくてもよいため、被覆ゴムシート431、432でRFIDタグ40を挟み込む工程も簡便となる。
また、スプリングアンテナ421内にゴム46が配置されていることにより、スプリングアンテナ421、ゴム46、被覆ゴムシート431、432の一体性が高まり、タイヤが変形したときに、ゴムの動きにスプリングアンテナ421が追従する。よって、スプリングアンテナ421を有するRFIDタグ40の耐久性も向上する。
【0074】
また、本実施形態によれば、スプリングアンテナ421の外周部と、被覆ゴムシート431、432の外表面との距離Lが安定する。すなわち、この距離Lとして、被覆ゴムシート431、432の肉厚に近い距離が概ね確保される。よって、RFIDタグ40は、被覆ゴムシート431、432によって十分保護される。
本実施形態において被覆ゴムシート431、432で挟み込まれたRFIDタグ40は、リムストリップゴム32等に配設され、その後生タイヤは加硫される。
【0075】
なお、本実施形態においては、スプリングアンテナ421内に予めゴム46が充填されたRFIDタグ40が、被覆ゴムシート431、432に被覆された上で、リムストリップゴム32とサイドウォールゴム30との間に挟まれるように配置されている。
しかしながら、スプリングアンテナ421内に予めゴム46が充填されたRFIDタグ40を、被覆ゴムシート431、432で被覆することなく、直接リムストリップゴム32とサイドウォールゴム30の間に挟み込んでもよい。
このように、無被覆のRFIDタグ40を直接リムストリップゴム32とサイドウォールゴム30の間に挟み込むことにより、RFIDタグ40を挟み込まれる部分のゴム部材の厚みの変動が低減し、タイヤ1のユニフォミティが向上する。また、スプリングアンテナ421内に予めゴム46が充填されているため、サイドウォールゴム30がスプリングアンテナ内に過度にめり込むようなこともない。
【0076】
本実施形態に係るタイヤによれば、上記(1)〜(5)に加えて以下の効果を奏する。
【0077】
(11)本実施形態においては、通信機能を有する電子部品としてのRFIDタグ40がスプリングアンテナ421を有し、リムストリップゴム32またはサイドウォールゴム30にRFIDタグ40を貼り付ける工程の前に、スプリングアンテナ421内にゴム46を配置する工程を備える。
これにより、RFIDタグ40のスプリングアンテナ421をゴム部材間に挟み込む工程の際に、空気溜まりを気にしなくてもよくなるため、組み立て性が良好となる。
【0078】
(12)本実施形態においては、通信機能を有する電子部品としてのRFIDタグ40のスプリングアンテナ421内にゴム46を配置する工程と、ゴム46が配置されたスプリングアンテナ421を有するRFIDタグ40を、被覆ゴムシート431、432で挟み込む工程と、被覆ゴムシート431、432で挟み込まれたRFIDタグ40を、リムストリップゴム32とサイドウォールゴム30の間に配設する配設工程と、を備える。
これにより、スプリングアンテナ421内に空気45が残ってしまうことがない。また、空気溜まりを気にしなくてもよいため、被覆ゴムシート431、432でRFIDタグ40を挟み込む作業も簡便となる。
また、スプリングアンテナ421の外周部と、被覆ゴムシート431、432の外表面との距離Lが安定するため、RFIDタグ40は、被覆ゴムシート431、432によって十分保護される。本実施形態のタイヤように、RFIDタグ40がリムストリップゴム32とサイドウォールゴム30との間に埋設されている態様の場合、すなわち、タイヤの外表面に近い部分に埋設されている場合、このような空気溜まり対策、保護強化対応は特に有効である。
【0079】
(13)本実施形態においては、通信機能を有する電子部品としてのRFIDタグ40のスプリングアンテナ421内にゴム46を配置する工程と、リムストリップゴム32とサイドウォールゴム30の間に無被覆のRFIDタグ40を挟み込むように、リムストリップゴム32とサイドウォールゴム30とを貼り付ける工程と、を含む。
このように、無被覆の電子部品を直接リムストリップゴム32とサイドウォールゴム30の間に挟み込むことにより、RFIDタグ40を挟み込まれる部分のゴム部材の厚みの変動が低減し、タイヤ1のユニフォミティが向上する。また、スプリングアンテナ421内に予めゴム46が充填されているため、ゴムシート37がスプリングアンテナ内に過度にめり込むようなこともない。
【0080】
なお、本発明のタイヤは、乗用車、ライトトラック、トラック、バス等の各種タイヤとして採用することができるが、特にトラック、バス等のタイヤとして好適である。
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲で変形、改良などを行っても、本発明の範囲に含まれる。