【解決手段】飲料容器2は、飲料を収容する容器本体3と、容器本体3に装着されるベース部5と、容器本体3に収容された飲料を排出するストロー飲み口61を有する飲み口部6と、ベース部5に対して回転可能に装着され、ストロー飲み口61を露出させるフード開口部を有するフード7と、を備える。フード7がベース部5に対して回転しストロー飲み口61を覆うと、ストロー飲み口61は、ベース部5とフード7との間に形成される収容部81に収容される。ベース部5およびフード7の少なくともいずれかは、ストロー飲み口61が収容部81に収容されたときにストロー飲み口61を挟みストロー飲み口61の流路を閉塞する閉塞部532、722を有する。
前記ストロー飲み口は、前記収容部に収容される際に前記フードに押されて屈曲するとともに、前記ストロー飲み口の軸に対して垂直な断面において中空の楕円形状を呈し、
前記楕円の長軸は、前記ストロー飲み口が屈曲する方向に平行であることを特徴とする請求項1または2に記載の飲料容器。
前記フードは、前記ストロー飲み口との接触面積を低減する接触面積低減部であって前記ベース部に対して回転する際に前記ストロー飲み口と接触する内面に設けられた接触面積低減部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の飲料容器。
前記ベース部は、前記ベース部に対する前記フードの装着を案内する装着案内溝と、前記装着案内溝に接続され前記ベース部に対する前記フードの回転を案内する回転案内溝と、を有し、
前記フードは、前記ベース部に装着される際に前記装着案内溝を通過するともに前記ベース部に対して回転する際に前記回転案内溝に嵌まりつつ前記回転案内溝を移動する爪部を有し、
前記ベース部は、前記装着案内溝と前記回転案内溝との境界部に設けられ前記ベース部に対する前記フードの回転中に前記爪部が前記装着案内溝を通過することを抑制する通過抑制部を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の飲料容器。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0021】
図1〜
図10を参照して、本発明の第1実施形態に係る飲料容器2を説明する。本実施形態に係る飲料容器2は、例えば、乳幼児等の使用者が飲料を飲む練習を行う際に用いるトレーニングコップの飲料容器として利用される。飲料容器2は、ボトル3と、パッキン4と、ベース部5と、飲み口部6と、フード7と、を備える。本実施形態のボトル3は、本発明の「容器本体」の一例である。
【0022】
ボトル3は、上部に容器開口部31を有し、内部に飲料を収容することができる。ボトル3は、ガラスや合成樹脂の成形品で形成されており、比較的大きな容器開口部31を有する。これにより、飲料容器2の使用者等は、飲用後にボトル3を洗浄したり、液体をボトル3に注入したり、粉末ミルクなどをボトル3の内部に入れて調乳したりする作業などを容易に行うことができる。容器開口部31の外周部32には、雄ねじが形成されている。一方で、ベース部5のベース部本体51の内周部には、雌ねじが形成されている。これにより、ボトル3の雄ねじとベース部5の雌ねじとが互いに嵌まり合い、ベース部5は、ボトル3に対して着脱可能とされている。
【0023】
図5に表したように、パッキン4は、ボトル3およびベース部5の少なくともいずれかに装着可能とされ、ボトル3とベース部5との間に配置される。パッキン4は、シリコーンやエラストマーなどにより形成されリング状を呈する。パッキン4がボトル3とベース部5との間に挟設されることにより、ボトル3とベース部5との間の液密性が確保されている。なお、パッキン4は、ボトル3およびベース部5の少なくともいずれかに一体的に形成されていてもよい。
【0024】
ベース部5は、ベース部本体51と、取っ手52と、ベース部カバー53と、を有し、剛性の比較的高い材料、言い換えれば硬質の材料で形成されている。ベース部5の材料としては、例えば、ポリプロピレンやポリカーボネートなどの合成樹脂が挙げられる。ベース部5は、ボトル3の容器開口部31に対向して配置され容器開口部31を覆い、ボトル3の外周部32に嵌まり合うことでボトル3に装着可能とされている。
【0025】
図4に表したように、取っ手52は、ベース部本体51の側面に接続され、ベース部本体51の側面から略鉛直方向の下方に延びている。これにより、乳幼児等の使用者は、取っ手52を把持しやすく、飲料容器2を容易に持つことができる。なお、
図4に表した飲料容器2では、左方向が飲料容器2の前方向(体側)に相当し、右方向が飲料容器2の後方向に相当する。つまり、乳幼児等の使用者が飲料容器2を傾けずに持った状態において、
図4の左方向が乳幼児等の使用者の側(手前側)に相当し、
図4の右方向が乳幼児等の使用者とは反対側(奥側)に相当する。
【0026】
ベース部カバー53は、ベース部本体51の上部に接続されて略ドーム状を呈し、閉塞部532と、切り欠き部533と、湾曲部534と、を有する。切り欠き部533は、ベース部カバー53のドーム状の部分の一部が斜めに切り欠かれた形状を呈する。本実施形態の切り欠き部533の表面は、本発明の「ベース部の表面」の一例である。切り欠き部533の中央部には、飲み口部6のストロー飲み口61の一部が挿通されるベース開口部531が設けられている。
【0027】
閉塞部532は、ベース開口部531の周囲に設けられ、
図4に表したように、切り欠き部533の表面から外側に向かって突出している。閉塞部532は、飲み口部6のストロー飲み口61が収容部81(
図6参照)に収容されたときにストロー飲み口61を潰しストロー飲み口61の流路を閉塞する。この詳細については、後述する。湾曲部534は、閉塞部532と切り欠き部533との間に設けられ、閉塞部532と切り欠き部533とを接続している。湾曲部534は、湾曲した表面を有し、閉塞部532と切り欠き部533とを滑らかに接続している。すなわち、閉塞部532は、切り欠き部533の表面に湾曲面で接続されている。
【0028】
図5に表したように、ベース部本体51とベース部カバー53との間には、周方向に沿って回転案内溝55が設けられている。回転案内溝55は、ベース部5に対するフード7の回転を案内する。この詳細ついては、後述する。
【0029】
飲み口部6は、ストロー飲み口61と、ストローチューブ62と、を有し、全体として軟質の材料で形成されている。飲み口部6の材料としては、例えば、水添型スチレンイソプレン共重合樹脂やスチレンブチレン共重合樹脂等のエラストマーや、シリコーンなどが挙げられる。なお、ストロー飲み口61の材料は、ストローチューブ62の材料と異なっていてもよいし同じでもよい。
【0030】
ストロー飲み口61は、乳幼児等の使用者がボトル3の内部に収容されたミルク等の飲料を飲むために一方の端部を口腔内に挿入するストロー部である。ボトル3の内部に収容された飲料は、ストロー飲み口61の流路を通り、乳幼児等の使用者の口腔内に供給される。すなわち、ストロー飲み口61は、ボトル3の内部に収容された飲料をボトル3の外部に排出する。
【0031】
ストローチューブ62は、ストロー飲み口61の他方の端部に接続され、ボトル3の内部に配置される。
図5に表したように、ストローチューブ62は、中間部分において屈曲している。具体的には、ストローチューブ62の中間部分よりも下側の部分は、ストロー飲み口61が突出する側(体側:
図4の左方向)と同じ側に屈曲している。そのため、乳幼児等の使用者がボトル3の内部に収容された飲料を飲む際、ストロー飲み口61をくわえて飲料容器2を傾けた場合であっても、ストローチューブ62の下端部は、ボトル3の内部において液面が低下する飲料に最後まで接触することができる。そのため、乳幼児等の使用者は、飲み口部6を用いて、ボトル3の内部に収容された飲料を残さず最後まで飲むことができる。
【0032】
フード7は、全体としてドーム状を呈し、例えば合成樹脂により形成されている。
図5に表したように、フード7は、フード開口部71を有する。
図1に表した矢印A1および
図2に表した矢印A2のように、フード7は、ボトル3の容器開口部31の中心を通る軸を中心軸79としてベース部5に対して回転可能に装着されている。
【0033】
例えば、利用者が飲料容器2を持ち運ぶ際などのようにストロー飲み口61を不使用状態にする際に、
図1に表した矢印A1の方向にフード7をベース部5に対して回転させると、ストロー飲み口61は、フード開口部71の縁に押され、
図1に表した矢印A4の方向に屈曲し倒れる。そうすると、
図2に表したように、ストロー飲み口61は、フード7により覆われる。つまり、利用者は、
図1に表した矢印A1の方向にフード7をベース部5に対して回転させることで、
図2に表したようにフード7によりストロー飲み口61を覆うことができる。
図3に表したように、ストロー飲み口61の不使用状態では、フード開口部71は、ベース開口部531とは反対側のベース部カバー53の表面により閉塞される。
【0034】
一方で、例えば、利用者がストロー飲み口61を使用する際に、
図2に表した矢印A2の方向にフード7をベース部5に対して回転させると、ストロー飲み口61は、フード7から加えられていた力から解放され、ストロー飲み口61の復元力により、
図1に表した矢印A4とは反対方向に伸張し起きる。そうすると、
図1および
図4に表したように、ストロー飲み口61は、フード開口部71から露出される。つまり、利用者は、
図2に表した矢印A2の方向にフード7をベース部5に対して回転させることで、
図1および
図4に表したようにストロー飲み口61をフード開口部71から露出させることができる。ストロー飲み口61の使用状態において、乳幼児等の使用者は、フード開口部71から露出されたストロー飲み口61を用いてボトル3の内部に収容された飲料を飲むことができる。
【0035】
図2に表したように、フード7が
図1に表した矢印A1の方向にベース部5に対して回転しストロー飲み口61を覆うと、ストロー飲み口61は、ベース部5とフード7との間に形成される収容部81(
図6参照)に収容される。これについて、
図6〜10を参照してさらに詳しく説明する。
【0036】
図1〜
図5に関して前述したように、ベース部5のベース部カバー53は、ドーム状の部分の一部が斜めに切り欠かれた切り欠き部533を有する。また、フード7は、全体としてドーム状を呈する。そこで、
図6に表したように、フード7が
図1に表した矢印A1の方向にベース部5に対して回転しストロー飲み口61を覆うと、ベース部カバー53と、フード7と、の間に、ストロー飲み口61を収容する収容部81が形成される。具体的には、収容部81は、ベース部カバー53の切り欠き部533と、フード7と、の間に形成される空間である。
【0037】
本実施形態に係る飲料容器2によれば、フード7がストロー飲み口61を覆い、ストロー飲み口61が収容部81に収容される際に、フード7は、
図1に表した矢印A1のように、ボトル3の容器開口部31の中心を通る軸を中心軸79としてベース部5に対して回転する。そのため、例えば、利用者が鞄等に飲料容器2を入れて持ち運ぶ際に、外力がフード7に加わった場合であっても、フードがベース部の上面に沿ってスライド移動したり、ボトルの容器開口部の中心を通る軸に直交する軸を中心軸として回転し開閉したりする場合と比較して、フード7が不意に移動することを抑えることができる。これにより、ストロー飲み口61が不意にフード開口部71から露出されることを抑えることができ、ボトル3の内部に収容された飲料がストロー飲み口61を通して外部に漏れることをより確実に抑えることができる。
【0038】
また、
図7に表したように、フード7は、フード7の内面76からフード7の外側に向かって窪んだ凹部72を有する。すなわち、凹部72の表面は、フード7の内面76からみて低い位置に設けられている。フード7がベース部5に対して回転する際に、凹部72の表面は、フード7から押されて屈曲し倒れたストロー飲み口61と接触する。本実施形態の凹部72の表面は、本発明の「ストロー飲み口と接触する内面」の一例である。凹部72の表面には、接触面積低減部721が設けられている。接触面積低減部721は、凹部72の表面がストロー飲み口61と接触する際の接触面積を低減させる機能を有する。接触面積低減部721としては、例えば、凹部72の表面に施されたシボ加工や、凹部72の表面に設けられた複数の突起などが挙げられる。
【0039】
これによれば、フード7がベース部5に対して回転しストロー飲み口61を覆ったり、フード開口部71からストロー飲み口61を露出させたりする際に、フード7がストロー飲み口61と接触することにより生ずる摩擦力および抵抗力を抑えることができ、ストロー飲み口61が凹部72の表面に貼り付き引きずられることを抑えることができる。これにより、利用者は、フード7をベース部5に対して容易に回転させることができ、フード7でストロー飲み口61を覆ったり、フード開口部71からストロー飲み口61を露出させたりすることができる。
【0040】
図6に表したように、フード7が
図1に表した矢印A1の方向にベース部5に対して回転しストロー飲み口61を覆うと、フード7の閉塞部722がベース部カバー53の閉塞部532と対向する位置に配置される。閉塞部722は、フード7の凹部72の端部であり、凹部72の表面とフード7の内面76との間の段差部に相当する。
図6に表したように、フード7の閉塞部722がベース部カバー53の閉塞部532と対向する位置に配置されると、ストロー飲み口61は、収容部81に収容され、フード7の閉塞部722と、ベース部カバー53の閉塞部532と、に挟まれて潰れる。そして、ストロー飲み口61の流路が閉塞する。これにより、ストロー飲み口61の不使用状態において、ボトル3の内部に収容された飲料がストロー飲み口61を通して外部に漏れることをより確実に抑えることができる。
【0041】
また、
図1〜
図5に関して前述したように、湾曲部534は、湾曲した表面を有し、閉塞部532と切り欠き部533とを滑らかに接続している。そのため、フード7が
図1に表した矢印A1の方向にベース部5に対して回転しストロー飲み口61を覆う際に、例えば指などの異物が、フード7のフード開口部71の縁と、ベース部カバー53の閉塞部532と、の間に存在している場合であっても、その異物は、湾曲部534の表面(湾曲面)を滑り、フード7のフード開口部71の縁と、ベース部カバー53の閉塞部532と、の間から逃げることができる。これにより、フード7がベース部5に対して回転しストロー飲み口61を覆う際に、例えば指などの異物が、フード7のフード開口部71の縁と、ベース部カバー53の閉塞部532と、の間に挟まれることを抑えることができる。これにより、より高い安全性を確保することができる。
【0042】
また、ベース部カバー53の閉塞部532が切り欠き部533に接続された部分は、湾曲面として形成され簡単な構造を有するため、利用者にとって洗いやすい。これにより、より高い洗浄性を確保することできる。
【0043】
このように、ベース部カバー53の閉塞部532が切り欠き部533に接続された部分(湾曲部534)は、角張らず余計な凹凸のない丸みを有する滑らかな湾曲面として形成されているため、ボトル3の内部に収容された飲料がストロー飲み口61を通して外部に漏れることを確実に抑えることができるとともに、より高い安全性および洗浄性を確保することができる。すなわち、ストロー飲み口61の長手方向の軸614(
図4参照)に沿ってストロー飲み口61を見たときに、ストロー飲み口61の左側(
図1に表した矢印A4の側)の閉塞部532の部分は、ボトル3の内部に収容された飲料がストロー飲み口61を通して外部に漏れることを抑える機能を有する。一方で、ストロー飲み口61の長手方向の軸614に沿ってストロー飲み口61を見たときに、ストロー飲み口61の右側(
図1に表した矢印A4とは反対の側)の湾曲部534の部分は、例えば指などの異物が、フード7のフード開口部71の縁と、ベース部カバー53の閉塞部532と、の間に挟まれることを抑える機能を有する。このように、飲料の漏れ防止機能を発揮する部分(ストロー飲み口61の左側の部分)と、異物の挟み防止機能を発揮する部分(ストロー飲み口61の右側の部分)と、が互いに別体としてではなくシンメトリー構造を有する同一体として設けられているため、簡単な構成で両機能を実現することができる。
【0044】
また、
図10に表したように、ストロー飲み口61は、ストロー飲み口61の長手方向の軸614(
図4参照)に対して垂直な断面において中空の楕円形状を呈する。そして、ストロー飲み口61の楕円の長軸613は、ストロー飲み口61が屈曲する方向(
図10に表した矢印A6および
図1に表した矢印A4参照)に略平行である。そのため、ストロー飲み口61の楕円の短軸がストロー飲み口61の屈曲方向に略平行である場合と比較して、本実施形態のストロー飲み口61は、ストロー飲み口61の屈曲方向の曲げに対して高い曲げ剛性を有する。これにより、フード7がベース部5に対して回転し、ストロー飲み口61がフード開口部71から露出されると、ストロー飲み口61は、ストロー飲み口61の復元力により、屈曲し倒れた状態からより確実に伸張し起きることができる。
【0045】
図7に表したように、フード7は、第1爪部731と、第2爪部732と、第3爪部733と、を有する。第1爪部731、第2爪部732および第3爪部733は、フード7の下端部において周方向に互いに離れて設けられ、フード7の内面76から内側に向かって突出している。
図8および
図9に表したように、ベース部5は、第1装着案内溝541と、第2装着案内溝542と、第3装着案内溝543と、回転案内溝55と、を有する。第1装着案内溝541、第2装着案内溝542および第3装着案内溝543は、ベース部カバー53の下端部において周方向に互いに離れて設けられ、回転案内溝55に接続されて鉛直方向に延びている。
【0046】
フード7が
図5に表した矢印A7の方向に向かってベース部5に装着される際には、第1爪部731は、第1装着案内溝541に案内されつつ第1装着案内溝541を通過する。第2爪部732は、第2装着案内溝542に案内されつつ第2装着案内溝542を通過する。第3爪部733は、第3装着案内溝543に案内されつつ第3装着案内溝543を通過する。そして、第1爪部731、第2爪部732および第3爪部733は、回転案内溝55に嵌まる。
【0047】
図1に表した矢印A1および
図2に表した矢印A2のように、フード7がボトル3の容器開口部31の中心を通る軸を中心軸79としてベース部5に対して回転する際には、第1爪部731、第2爪部732および第3爪部733は、ベース部5の回転案内溝55に嵌まりつつ回転案内溝55を移動する。
【0048】
ここで、
図8に表したように、第1装着案内溝541と回転案内溝55との境界部には、第1通過抑制部544が設けられている。第1通過抑制部544は、第1装着案内溝541の底面から外側に向かって突出した突起部やリブであり、第1爪部731、第2爪部732および第3爪部733がフード7の回転中に第1装着案内溝541を通過することを抑制する。また、
図9に表したように、第3装着案内溝543と回転案内溝55との境界部には、第2通過抑制部545が設けられている。第2通過抑制部545は、第3装着案内溝543の底面から外側に向かって突出した突起部やリブであり、第1爪部731、第2爪部732および第3爪部733がフード7の回転中に第3装着案内溝543を通過することを抑制する。これによれば、フード7がベース部5に対して回転する際にベース部5から外れることを抑えることができる。
【0049】
なお、
図7に表したように、本実施形態のフード7では、第1爪部731と第2爪部732との間のなす角度A31、第2爪部732と第3爪部733との間のなす角度A32、および第3爪部733と第1爪部731との間のなす角度A33は、互いに異なっている。例えば、第1爪部731と第2爪部732との間のなす角度A31は120°であり、第2爪部732と第3爪部733との間のなす角度A32は90°であり、第3爪部733と第1爪部731との間のなす角度A33は150°である。また、第1爪部731の幅L1、第2爪部732の幅L2、および第3爪部733の幅L3は、互いに異なっている。これによれば、フード7がベース部5に対して回転する際にベース部5から外れることをより一層抑えることができる。
【0050】
なお、フード7が有する爪部の数は、3つには限定されず、2つであってもよく、4つ以上であってもよい。また、ベース部5が有する装着案内溝の数は、3つには限定されず、2つであってもよく、4つ以上であってもよい。また、各爪部731、732、733同士の間のなす角度は、前述した例に限定されるわけではない。
【0051】
図10に表したように、ストロー飲み口61は、通気弁611と、通気孔612と、を有する。通気弁611および通気孔612は、ベース部カバー53の上部に設けられた通気開口部535(
図8および
図9参照)に配置され露出されている。通気弁611は、ボトル3の内部の陰圧(負圧)を解消する。通気弁611は、逆止弁となっており、ボトル3の内部に空気を導入する際にのみ開き、ボトル3の内部から空気を排出する際には閉まる。通気孔612は、ボトル3の内部の陽圧を解消し、ボトル3の内部に収容された飲料がストロー飲み口61から噴出することを防止する。
【0052】
図2および
図3に表したように、ストロー飲み口61がフード7により覆われ収容部81に収容された状態(ストロー飲み口61の不使用状態)では、通気弁611は、フード7の内面76に設けられた第2閉塞用突起75により閉塞され、通気孔612は、フード7の内面76に設けられた第1閉塞用突起74により閉塞される。これによれば、ボトル3の内部に収容された飲料が通気弁611および通気孔612から漏れ出ることを確実に防止することができる。
【0053】
フード7が
図2に表した矢印A2の方向にベース部5に対して回転すると、第1閉塞用突起74および第2閉塞用突起75は、フード7の回転に伴って移動し、通気弁611および通気孔612を開放させる。このとき、例えばボトル3の内部に収容された飲料が温かいときなど、ボトル3の内部の圧力が高まり陽圧となっているときには、ボトル3の内部の圧力は、通気孔612を通して開放される。したがって、ボトル3の内部の飲料がストロー飲み口61から噴出することを防止することができる。
【0054】
そして、
図1および
図4に表したように、ストロー飲み口61がフード開口部71から露出された状態(ストロー飲み口61の使用状態)では、通気弁611は、開放される一方で、通気孔612は、フード7の内面76に設けられた第2閉塞用突起75により閉塞される。そのため、乳幼児等の使用者がボトル3の内部に収容された飲料をストロー飲み口61を用いて飲み、ボトル3の内部の圧力が陰圧(負圧)となると、通気弁611は、ボトル3の内部に外気を導入することで、円滑に陰圧を解消することができる。したがって、乳幼児等の使用者がボトル3の内部に収容された飲料を飲み難くなる事態を防止することができる。また、通気孔612が第2閉塞用突起75により閉塞されるため、乳幼児等の使用者が飲料容器2を揺らしたり、落としたりした場合であっても、ボトル3の内部に収容された飲料が通気孔612から漏れ出ることを防止することができる。
【0055】
次に、
図11〜
図18を参照して、本発明の第2実施形態に係る飲料容器2Aを説明する。なお、第2実施形態に係る飲料容器2Aの構成要素が、
図1〜
図10に関して前述した第1実施形態に係る飲料容器2の構成要素と同様である場合には、重複する説明は適宜省略し、以下、相違点を中心に説明する。
【0056】
本実施形態に係る飲料容器2Aは、ボトル3Aと、パッキン4Aと、ベース部5Aと、飲み口部6Aと、フード7Aと、を備える。本実施形態のボトル3Aは、本発明の「容器本体」の一例である。
【0057】
ベース部5Aは、ベース部本体51と、取っ手52と、ベース部カバー53Aと、を有する。
図17および
図18に表したように、ベース部カバー53Aは、ベース部本体51の上部に接続されて略円盤状を呈し、閉塞部532と、凹部533Aと、を有する。凹部533Aは、ベース部カバー53Aの上面536からみてベース部5Aの内側に向かって窪んだ部分である。閉塞部532は、凹部533Aの底面から上側(上面536の側)に向かって突出している。
【0058】
フード7Aが
図12に表した矢印A23の方向に向かってベース部5Aに装着される際には、フード7Aの第1爪部731(
図16参照)は、ベース部5Aの第1装着案内溝541に案内されつつ第1装着案内溝541を通過する。フード7Aの第2爪部732(
図16参照)は、ベース部5Aの第2装着案内溝542に案内されつつ第2装着案内溝542を通過する。そして、第1爪部731および第2爪部732は、ベース部5Aの回転案内溝55に嵌まる。
【0059】
図13に表した矢印A21および
図14に表した矢印A22のように、フード7Aがボトル3Aの容器開口部31の中心を通る軸を中心軸79(
図12参照)としてベース部5Aに対して回転する際には、第1爪部731および第2爪部732は、ベース部5Aの回転案内溝55に嵌まりつつ回転案内溝55を移動する。すなわち、
図13に表した矢印A21および
図14に表した矢印A22のように、フード7Aは、ボトル3Aの容器開口部31の中心を通る軸を中心軸79としてベース部5Aに対して回転可能に装着されている。
【0060】
例えば、利用者が飲料容器2Aを持ち運ぶ際などのようにストロー飲み口61を不使用状態にする際に、
図13に表した矢印A21の方向にフード7Aをベース部5Aに対して回転させると、ストロー飲み口61は、フード開口部71の縁に押され、
図13に表した矢印A24の方向に屈曲し倒れる。そうすると、
図14に表したように、ストロー飲み口61は、フード7Aにより覆われる。つまり、利用者は、
図13に表した矢印A21の方向にフード7Aをベース部5Aに対して回転させることで、
図14に表したようにフード7Aによりストロー飲み口61を覆うことができる。
図14に表したように、ストロー飲み口61の不使用状態では、フード開口部71は、ベース部カバー53Aの上面536により閉塞される。
【0061】
一方で、例えば、利用者がストロー飲み口61を使用する際に、
図14に表した矢印A22の方向にフード7Aをベース部5Aに対して回転させると、ストロー飲み口61は、フード7Aから加えられていた力から解放され、ストロー飲み口61の復元力により、
図13に表した矢印A24とは反対方向に伸張し起きる。そうすると、
図11および
図13に表したように、ストロー飲み口61は、フード開口部71から露出される。つまり、利用者は、
図14に表した矢印A22の方向にフード7Aをベース部5Aに対して回転させることで、
図11および
図13に表したようにストロー飲み口61をフード開口部71から露出させることができる。ストロー飲み口61の使用状態において、乳幼児等の使用者は、フード開口部71から露出されたストロー飲み口61を用いてボトル3Aの内部に収容された飲料を飲むことができる。
【0062】
図15に表したように、フード7Aが
図13に表した矢印A21の方向にベース部5Aに対して回転しストロー飲み口61を覆うと、ベース部カバー53Aと、フード7Aと、の間に、ストロー飲み口61を収容する収容部81が形成される。具体的には、収容部81は、ベース部カバー53Aの凹部533Aと、フード7Aと、の間に形成される空間である。
【0063】
本実施形態に係る飲料容器2Aによれば、フード7Aがストロー飲み口61を覆い、ストロー飲み口61が収容部81に収容される際に、フード7Aは、
図13に表した矢印A21のように、ボトル3Aの容器開口部31の中心を通る軸を中心軸79としてベース部5Aに対して回転する。そのため、第1実施形態に係る飲料容器2に関して前述したように、フード7Aが不意に移動することを抑えることができる。これにより、ストロー飲み口61が不意にフード開口部71から露出されることを抑えることができ、ボトル3Aの内部に収容された飲料がストロー飲み口61を通して外部に漏れることをより確実に抑えることができる。
【0064】
また、
図16に表したように、フード7Aがベース部5Aに対して回転する際にストロー飲み口61と接触する内面72Aには、接触面積低減部721が設けられている。本実施形態の内面72Aは、本発明の「ストロー飲み口と接触する内面」の一例である。接触面積低減部721は、フード7Aの内面72Aがストロー飲み口61と接触する際の接触面積を低減させる機能を有する。接触面積低減部721としては、例えば、内面72Aに施されたシボ加工や、内面72Aに設けられた複数の突起などが挙げられる。
【0065】
これによれば、フード7Aがベース部5Aに対して回転しストロー飲み口61を覆ったり、フード開口部71からストロー飲み口61を露出させたりする際に、フード7Aがストロー飲み口61と接触することにより生ずる摩擦力および抵抗力を抑えることができ、ストロー飲み口61がフード7Aの内面72Aに貼り付き引きずられることを抑えることができる。これにより、利用者は、フード7Aをベース部5Aに対して容易に回転させることができ、フード7Aでストロー飲み口61を覆ったり、フード開口部71からストロー飲み口61を露出させたりすることができる。
【0066】
図15に表したように、フード7Aが
図13に表した矢印A21の方向にベース部5Aに対して回転しストロー飲み口61を覆うと、フード7Aの閉塞部722(
図16参照)がベース部カバー53Aの閉塞部532と対向する位置に配置される。
図16に表したように、フード7Aの閉塞部722は、フード7Aの内面76から内側に向かって突出している。なお、内面76は、内面72Aと同一の面であってもよく、内面72Aとは異なる面であってもよい。
図15に表したように、フード7Aの閉塞部722がベース部カバー53Aの閉塞部532と対向する位置に配置されると、ストロー飲み口61は、収容部81に収容され、フード7Aの閉塞部722と、ベース部カバー53Aの閉塞部532と、に挟まれて潰れる。そして、ストロー飲み口61の流路が閉塞する。これにより、ストロー飲み口61の不使用状態において、ボトル3Aの内部に収容された飲料がストロー飲み口61を通して外部に漏れることをより確実に抑えることができる。
【0067】
図14に表したように、ストロー飲み口61がフード7Aにより覆われ収容部81に収容された状態(ストロー飲み口61の不使用状態)では、通気弁611および通気孔612(
図12参照)は、フード7Aの内面76に設けられた第2閉塞用突起75により閉塞される。これによれば、ボトル3の内部に収容された飲料が通気弁611および通気孔612から漏れ出ることを確実に防止することができる。
【0068】
フード7Aが
図14に表した矢印A22の方向にベース部5Aに対して回転すると、第1閉塞用突起74および第2閉塞用突起75は、フード7Aの回転に伴って移動し、通気弁611および通気孔612を開放させる。このとき、例えばボトル3Aの内部に収容された飲料が温かいときなど、ボトル3Aの内部の圧力が高まり陽圧となっているときには、ボトル3Aの内部の圧力は、通気孔612を通して開放される。したがって、ボトル3Aの内部の飲料がストロー飲み口61から噴出することを防止することができる。
【0069】
そして、
図11および
図13に表したように、ストロー飲み口61がフード開口部71から露出された状態(ストロー飲み口61の使用状態)では、通気弁611は、開放される一方で、通気孔612は、フード7Aの内面76に設けられた第1閉塞用突起74により閉塞される。これによれば、第1実施形態に係る飲料容器2に関して前述したように乳幼児等の使用者がボトル3Aの内部に収容された飲料を飲み難くなる事態を防止することができる。また、乳幼児等の使用者が飲料容器2Aを揺らしたり、落としたりした場合であっても、ボトル3Aの内部に収容された飲料が通気孔612から漏れ出ることを防止することができる。
【0070】
本実施形態に係る飲料容器2Aでは、ストロー飲み口61は、ストロー飲み口61の長手方向の軸に対して垂直な断面において中空の円形状を呈する。但し、第1実施形態に係る飲料容器2に関して前述したように、本実施形態のストロー飲み口61は、ストロー飲み口61の長手方向の軸に対して垂直な断面において中空の楕円形状を呈していてもよい。これによれば、第1実施形態に関して前述した効果と同様の効果が得られる。また、フード7Aが有する爪部の数は、2つには限定されず、3つ以上であってもよい。また、ベース部5Aが有する装着案内溝の数は、2つには限定されず、3つ以上であってもよい。
【0071】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせたりすることができる。