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特開2020-180239高強度ゲル体およびその作製方法ならびにハイドロゲルおよびその作製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-180239(P2020-180239A)
(43)【公開日】2020年11月5日
(54)【発明の名称】高強度ゲル体およびその作製方法ならびにハイドロゲルおよびその作製方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 220/56 20060101AFI20201009BHJP
【FI】
   C08F220/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2019-85035(P2019-85035)
(22)【出願日】2019年4月26日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 第67回 高分子学会年次大会予稿集 発行所:公益社団法人 高分子学会 発行日:平成30年5月8日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人日本医療研究開発機構、医療分野研究成果展開事業、戦略的イノベーション創出推進プログラム、「マテリアル光科学の創成を基盤とする超バイオ機能表面構築技術の開拓」委託研究開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】399030060
【氏名又は名称】学校法人 関西大学
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 世子
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】宮田 隆志
(72)【発明者】
【氏名】河村 暁文
(72)【発明者】
【氏名】乗岡 智沙
【テーマコード(参考)】
4J100
【Fターム(参考)】
4J100AM15P
4J100AM24Q
4J100CA04
4J100DA19
4J100DA37
4J100EA03
4J100FA02
4J100FA03
4J100GC26
4J100HA53
4J100HC45
4J100HD19
4J100HE12
4J100JA50
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、高強度ゲルの新規な作製方法を提案することである。
【解決手段】本発明に係る高強度ゲル体の作製方法は、ゲル体作製工程、理論架橋密度算出工程、弾性率測定工程、有効架橋密度算出工程、比算出工程および選出工程を備える。ゲル体作製工程では、モノマー濃度および架橋剤添加量の少なくとも一方が変化させられながら複数種類のゲル体が作製される。理論架橋密度算出工程では、複数種類のゲル体それぞれの理論架橋密度が求められる。弾性率測定工程では、複数種類のゲル体それぞれの弾性率が測定される。有効架橋密度算出工程では、弾性率が利用されて複数種類のゲル体それぞれの有効架橋密度が求められる。比算出工程では、複数種類のゲル体それぞれについて理論架橋密度に対する有効架橋密度の比が求められる。選出工程では、理論架橋密度に対する有効架橋密度の比が1を超えるゲル体が選出される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノマー濃度および架橋剤添加量の少なくとも一方を変化させながら複数種類のゲル体を作製するゲル体作製工程と、
前記複数種類のゲル体それぞれの理論架橋密度を求める理論架橋密度算出工程と、
前記複数種類のゲル体それぞれの弾性率を測定する弾性率測定工程と、
前記弾性率を利用して前記複数種類のゲル体それぞれの有効架橋密度を求める有効架橋密度算出工程と、
前記複数種類のゲル体それぞれについて前記理論架橋密度に対する前記有効架橋密度の比を求める比算出工程と、
前記理論架橋密度に対する前記有効架橋密度の比が1を超えるゲル体を選出する選出工程と
を備える、高強度ゲル体の作製方法。
【請求項2】
ゲル体の理論架橋密度に対する有効架橋密度の比が1を超えるように、モノマー濃度および架橋剤添加量を選定する条件選定工程と、
前記モノマー濃度に一致するように液体にモノマーを溶解させると共に、前記架橋剤添加量に一致する量の架橋剤を前記液体に溶解させるプレゲル溶液調製工程と、
前記モノマーおよび前記架橋剤を反応させてゲル体を作製するゲル体作製工程と
を備える、高強度ゲル体の作製方法。
【請求項3】
高分子網目体と、
前記高分子網目体に含まれる液体と
を備え、
理論架橋密度に対する有効架橋密度の比が1を超える
高強度ゲル体。
【請求項4】
水中で、2.5mol/L以上5.0mol/L以下の範囲内の濃度のアクリルアミドを含むモノマー成分と、前記モノマー成分に対して0.001mol%以上0.01mol%以下の範囲内の濃度で添加されるN,N’−メチレンビスアクリルアミドとをラジカル重合させてハイドロゲルを得る、ハイドロゲル作製方法。
【請求項5】
水中で、2.5mol/L以上5.0mol/L以下の範囲内の濃度のアクリルアミドを含むモノマー成分と、前記モノマー成分に対して0.001mol%以上0.01mol%以下の範囲内の濃度を有するN,N’−メチレンビスアクリルアミドとをラジカル重合させて成る
ハイドロゲル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高強度ゲル体およびその作製方法に関する。また、本発明は、ハイドロゲルおよびその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲル体は、高分子鎖を架橋により連結させた三次元ネットワーク構造を有し、高い含水性と柔軟性から生体組織と非常に類似した性質を示す。そのため、ゲル体は、生体模倣材料などへの応用が期待されている。しかし、ゲル体は、力学強度が非常に弱く、数倍の延伸や圧縮によって簡単に破壊される。軟骨などの生体組織と比較するとゲル体の破壊エネルギーは1/100程度となる。この脆弱性を解消するためにさまざまな高強度ゲルが報告されている。例えば、ポリロタキサンを利用し、高分子鎖上を環状の架橋点が自由に移動することができるトポロジカルゲルが報告されている(例えば「Y. Okumura and K. Ito, Advanced Materials, 13, 485 (2001)」等参照)。このトポロジカルゲルは従来のフリーラジカル重合で合成したゲルと比較して10倍以上の延伸が可能となる。また、架橋点にナノクレイを用いたナノコンポジットゲルもトポロジカルゲルと同様に高い延伸を示す(例えば「K. Haraguchi and T. Takehisa, Advanced Materials, 14, 1120 (2002)」等参照)。さらには、2種類のネットワークからなるダブルネットワークゲル(DNゲル)は、高い延伸に加えて数10MPaの応力にも耐えることが可能である(例えば「J.P. Gong, Y. Katsuyama, T. Kurokawa and Y. Osad, Advanced Materials, 15, 1155 (2003) 」等参照)。このような高強度ゲルは軟骨組織の模倣材料や、新たなソフトマテリアルとして応用が期待される。これらの高強度ゲルは、特殊なネットワーク構造を設計することによって高い力学特性を有しており、上述のような特殊な合成法によって作製され得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Y. Okumura and K. Ito, Advanced Materials, 13, 485 (2001)
【非特許文献2】K. Haraguchi and T. Takehisa, Advanced Materials, 14, 1120 (2002)
【非特許文献3】J.P. Gong, Y. Katsuyama, T. Kurokawa and Y. Osad, Advanced Materials, 15, 1155 (2003)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、高強度ゲルの新規な作製方法を提案することである。また、本発明の別の課題は、高強度のハイドロゲルの新規な作製方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1局面に係る高強度ゲル体の作製方法は、ゲル体作製工程、理論架橋密度算出工程、弾性率測定工程、有効架橋密度算出工程、比算出工程および選出工程を備える。なお、理論架橋密度算出工程は、比算出工程前であればいつ行われてもよいし(ゲル体作製工程の前に行われてよい。)、他の工程と同時進行されてもよい。ゲル体作製工程では、モノマー濃度および架橋剤添加量の少なくとも一方が変化させられながら複数種類のゲル体が作製される。理論架橋密度算出工程では、複数種類のゲル体それぞれの理論架橋密度が求められる。弾性率測定工程では、複数種類のゲル体それぞれの弾性率が測定される。有効架橋密度算出工程では、弾性率が利用されて複数種類のゲル体それぞれの有効架橋密度が求められる。比算出工程では、複数種類のゲル体それぞれについて理論架橋密度に対する有効架橋密度の比が求められる。選出工程では、理論架橋密度に対する有効架橋密度の比が1を超えるゲル体が選出される。
【0006】
本願発明者の鋭意検討の結果、モノマー濃度および架橋剤添加量の少なくとも一方を変化させて複数種類のゲル体を作製した際、その中に、理論架橋密度を超える有効架橋密度を有するゲル体が存在し、そのようなゲル体が、理論架橋密度と等しい有効架橋密度を有するゲル体、および、理論架橋密度を下回る有効架橋密度を有するゲル体よりも高い強度を示すことが明らかとなった。このため、この高強度ゲル体の作製方法に従ってゲル体を作製すれば、未知の組成を有するゲル体の作製において高強度ゲルを得ることができる。
【0007】
本発明の第2局面に係る高強度ゲル体の作製方法は、条件選定工程、プレゲル溶液調製工程およびゲル体作製工程を備える。条件選定工程では、ゲル体の理論架橋密度に対する有効架橋密度の比が1を超えるように、モノマー濃度および架橋剤添加量が選定される。プレゲル溶液調製工程では、モノマー濃度に一致するように液体にモノマーが溶解させられると共に、架橋剤添加量に一致する量の架橋剤が液体に溶解させられる。ゲル体作製工程では、モノマーおよび架橋剤が反応させられてゲル体が作製される。
【0008】
第1局面に係る高強度ゲル体の作製方法により得られる知見をデータ化することにより、本高強度ゲル体の作製方法に従ってスクリーニングを要することなく高強度ゲルを得ることができる。
【0009】
本発明の第3局面に係る高強度ゲル体は、高分子網目体および液体を備える。液体は、高分子網目体に含まれる。そして、この高強度ゲル体では、理論架橋密度に対する有効架橋密度の比が1を超える。
【0010】
本願発明者の鋭意検討の結果、理論架橋密度を超える有効架橋密度を有するゲル体が、理論架橋密度と等しい有効架橋密度を有するゲル体、および、理論架橋密度を下回る有効架橋密度を有するゲル体よりも高い強度を示すことが明らかとなった。
【0011】
本発明の第4局面に係るハイドロゲル作製方法では、水中で、2.5mol/L以上5.0mol/L以下の範囲内の濃度のアクリルアミドを含むモノマー成分と、そのモノマー成分に対して0.001mol%以上0.01mol%以下の範囲内の濃度で添加されるN,N’−メチレンビスアクリルアミドとがラジカル重合させられてハイドロゲルが作製される。なお、モノマー成分に含まれるアクリルアミド以外のモノマーとしては、アクリルアミドと重合反応し得るビニルモノマー(例えば、アクリレート系モノマーや、メタクリレート系モノマー等)等が挙げられる。また、モノマー成分におけるアクリルアミドの含有率は、30mol%以上であることが好ましく、50mol%以上であることがより好ましく、70mol%以上であることがさらに好ましく、90mol%以上であることが特に好ましい。また、モノマー成分におけるアクリルアミドの含有率は100molであってもよい(かかる場合、モノマー成分の全てがアクリルアミドである。)。
【0012】
本願発明者の鋭意検討の結果、上述のハイドロゲル作製方法により、上記とは異なる仕込み濃度で作製されたハイドロゲルよりも強度的に優れるハイドロゲルを作製することができることが明らかとなった。また、上述のハイドロゲル作製方法では、ラジカル重合を行うことにより所望のハイドロゲルを作製することができる。このため、このハイドロゲルは、比較的シンプルな構造を有することになる。したがって、本発明に係るハイドロゲル作製方法では、比較的シンプルな構造を有する高強度ゲルを比較的容易に合成することができる。
【0013】
本発明の第5局面に係るハイドロゲルは、水中で、2.5mol/L以上5.0mol/L以下の範囲内の濃度のアクリルアミドを含むモノマー成分と、そのモノマー成分に対して0.001mol%以上0.01mol%以下の範囲内の濃度を有するN,N’−メチレンビスアクリルアミドとをラジカル重合させて成っている。なお、モノマー成分に含まれるアクリルアミド以外のモノマーとしては、アクリルアミドと重合反応し得るビニルモノマー(例えば、アクリレート系モノマーや、メタクリレート系モノマー等)等が挙げられる。また、モノマー成分におけるアクリルアミドの含有率は、30mol%以上であることが好ましく、50mol%以上であることがより好ましく、70mol%以上であることがさらに好ましく、90mol%以上であることが特に好ましい。また、モノマー成分におけるアクリルアミドの含有率は100mol%であってもよい(かかる場合、モノマー成分の全てがアクリルアミドである。)。
【0014】
このハイドロゲルは、ラジカル重合により生成されている。このため、このハイドロゲルは、比較的シンプルな構造を有することになる。したがって、本発明に係るハイドロゲルは、比較的シンプルな構造を有すると共に比較的容易に合成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例1〜12ならびに比較例1〜4および7〜9に係るハイドロゲルの調製時の架橋剤濃度に対して有効架橋密度/理論架橋密度をプロットした図である。なお、図中、黒丸で示されるプロットが実施例1〜5および比較例1〜3に係るハイドロゲルのものであり、灰色丸で示されるプロットが実施例6〜10および比較例4に係るハイドロゲルのものであり、白抜丸で示されるプロットが実施例11および12ならびに比較例5〜7に係るハイドロゲルのものである。
図2】実施例1〜5ならびに比較例1〜3および10に係るハイドロゲルを引っ張ったときの応力−歪み曲線である。なお、図中、「a」で示される応力−歪み曲線が実施例1に係るハイドロゲルのものであり、「b」で示される応力−歪み曲線が実施例2に係るハイドロゲルのものであり、「c」で示される応力−歪み曲線が実施例3に係るハイドロゲルのものであり、「d」で示される応力−歪み曲線が実施例4に係るハイドロゲルのものであり、「e」で示される応力−歪み曲線が実施例5に係るハイドロゲルのものであり、「f」で示される応力−歪み曲線が比較例1に係るハイドロゲルのものであり、「g」で示される応力−歪み曲線が比較例2に係るハイドロゲルのものであり、「h」で示される応力−歪み曲線が比較例3に係るハイドロゲルのものであり、「z」で示される応力−歪み曲線が比較例10に係る対照サンプルのものである。
図3】実施例1〜12ならびに比較例1〜4および7〜9に係るハイドロゲルの破壊エネルギーにおよぼす有効架橋密度/理論架橋密度の影響を示す図である。なお、本図には、モノマー水溶液におけるアクリルアミド濃度が1.0mol/Lであるときの曲線、同濃度が2.5mol/Lであるときの曲線、および、同濃度が5.0mol/Lであるときの曲線がまとめて示されている。
図4】実施例1〜5ならびに比較例1〜3および10に係るハイドロゲルを圧縮したときの応力−歪み曲線である。なお、図中、「a」で示される応力−歪み曲線が実施例1に係るハイドロゲルのものであり、「b」で示される応力−歪み曲線が実施例2に係るハイドロゲルのものであり、「c」で示される応力−歪み曲線が実施例3に係るハイドロゲルのものであり、「d」で示される応力−歪み曲線が実施例4に係るハイドロゲルのものであり、「e」で示される応力−歪み曲線が実施例5に係るハイドロゲルのものであり、「f」で示される応力−歪み曲線が比較例1に係るハイドロゲルのものであり、「g」で示される応力−歪み曲線が比較例2に係るハイドロゲルのものであり、「h」で示される応力−歪み曲線が比較例3に係るハイドロゲルのものであり、「z」で示される応力−歪み曲線が比較例10に係る対照サンプルのものである。
図5】実施例6〜10および比較例4〜6に係るハイドロゲルを引っ張ったときの応力−歪み曲線である。なお、図中、「i」で示される応力−歪み曲線が実施例6に係るハイドロゲルのものであり、「j」で示される応力−歪み曲線が実施例7に係るハイドロゲルのものであり、「k」で示される応力−歪み曲線が実施例8に係るハイドロゲルのものであり、「l」で示される応力−歪み曲線が実施例9に係るハイドロゲルのものであり、「m」で示される応力−歪み曲線が実施例10に係るハイドロゲルのものであり、「n」で示される応力−歪み曲線が比較例4に係るハイドロゲルのものであり、「o」で示される応力−歪み曲線が比較例5に係るハイドロゲルのものであり、「p」で示される応力−歪み曲線が比較例6に係るハイドロゲルのものである。
図6】実施例6〜10および比較例4〜6に係るハイドロゲルを圧縮したときの応力−歪み曲線である。なお、図中、「i」で示される応力−歪み曲線が実施例6に係るハイドロゲルのものであり、「j」で示される応力−歪み曲線が実施例7に係るハイドロゲルのものであり、「k」で示される応力−歪み曲線が実施例8に係るハイドロゲルのものであり、「l」で示される応力−歪み曲線が実施例9に係るハイドロゲルのものであり、「m」で示される応力−歪み曲線が実施例10に係るハイドロゲルのものであり、「n」で示される応力−歪み曲線が比較例4に係るハイドロゲルのものであり、「o」で示される応力−歪み曲線が比較例5に係るハイドロゲルのものであり、「p」で示される応力−歪み曲線が比較例6に係るハイドロゲルのものである。
図7】実施例11および12ならびに比較例7〜9に係るハイドロゲルを引っ張ったときの応力−歪み曲線である。なお、図中、「q」で示される応力−歪み曲線が実施例11に係るハイドロゲルのものであり、「r」で示される応力−歪み曲線が実施例12に係るハイドロゲルのものであり、「s」で示される応力−歪み曲線が比較例7に係るハイドロゲルのものであり、「t」で示される応力−歪み曲線が比較例8に係るハイドロゲルのものであり、「u」で示される応力−歪み曲線が比較例9に係るハイドロゲルのものである。
図8】実施例11および12ならびに比較例7〜9に係るハイドロゲルを圧縮したときの応力−歪み曲線である。なお、図中、「q」で示される応力−歪み曲線が実施例11に係るハイドロゲルのものであり、「r」で示される応力−歪み曲線が実施例12に係るハイドロゲルのものであり、「s」で示される応力−歪み曲線が比較例7に係るハイドロゲルのものであり、「t」で示される応力−歪み曲線が比較例8に係るハイドロゲルのものであり、「u」で示される応力−歪み曲線が比較例9に係るハイドロゲルのものである。
図9】実施例1〜12および比較例1〜9に係るハイドロゲルの含水率に及ぼす架橋剤濃度の影響を示す図である。なお、本図には、モノマー水溶液におけるアクリルアミド濃度が1.0mol/Lであるときの曲線、同濃度が2.5mol/Lであるときの曲線、および、同濃度が5.0mol/Lであるときの曲線がまとめて示されている。
図10】実施例1の作製直後のハイドロゲルを繰返引張試験に供したときの結果を示す応力−歪み曲線である。なお、図中、「a01」で示される応力−歪み曲線が作製直後のハイドロゲルの1回目の引張時のものであり、「a02」で示される応力−歪み曲線が作製直後のハイドロゲルの2回目の引張時のものであり、「a03」で示される応力−歪み曲線が作製直後のハイドロゲルの3回目の引張時のものであり、「a04」で示される応力−歪み曲線が作製直後のハイドロゲルの4回目の引張時のものであり、「a05」で示される応力−歪み曲線が作製直後のハイドロゲルの5回目の引張時のものである。
図11】実施例13の作製直後のハイドロゲルを繰返引張試験に供したときの結果を示す応力−歪み曲線である。なお、図中、「a01u」で示される応力−歪み曲線が作製直後のハイドロゲルの1回目の引張時のものであり、「a02u」で示される応力−歪み曲線が作製直後のハイドロゲルの2回目の引張時のものであり、「a03u」で示される応力−歪み曲線が作製直後のハイドロゲルの3回目の引張時のものであり、「a04u」で示される応力−歪み曲線が作製直後のハイドロゲルの4回目の引張時のものであり、「a05u」で示される応力−歪み曲線が作製直後のハイドロゲルの5回目の引張時のものである。
図12】応力−変位量曲線の例を示す図である。
図13】応力−変位量曲線から破壊エネルギーを求める方法を概念的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態に係る高強度ゲル体の作製方法は、ゲル体作製工程、理論架橋密度算出工程、弾性率測定工程、有効架橋密度算出工程、比算出工程および選出工程を備える。なお、理論架橋密度算出工程は、比算出工程前であればいつ行われてもよいし(ゲル体作製工程の前に行われてよい。)、他の工程と同時進行されてもよい。以下、各工程につき詳述する。
【0017】
(1)ゲル体作製工程
ゲル体作製工程では、モノマー濃度および架橋剤添加量の少なくとも一方が変化させられながら複数種類のゲル体が作製される。なお、この本工程で使用されるモノマーや架橋剤には特に制限はないが、モノマーとしては、例えば、ビニル系モノマー等が挙げられる。ビニル系モノマーとしては、例えば、アクリルアミド,2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン等のアクリル系モノマーや、メタクリル系モノマー等が挙げられる。一方、架橋剤としては、ビニル基を複数有する架橋剤等が挙げられる。ビニル基を複数有する架橋剤としては、例えば、N,N’−メチレンビスアクリルアミド等が挙げられる。
【0018】
(2)理論架橋密度算出工程
理論架橋密度算出工程では、複数種類のゲル体それぞれの理論架橋密度が求められる。なお、理論架橋密度は、例えば、以下の数式(I)により求めることができる。
【0019】
【数1】
【0020】
なお、上式(I)中、「νtheo」は理論架橋密度を表し、「C」は架橋剤濃度(モノマーに対する架橋剤のモル比)を表し、「f」は架橋剤の官能基数を表し、「Conversion」は変換率を表している。なお、上式(I)において「Conversion」は1である。また、N,N’−メチレンビスアクリルアミドの官能基数(f)は2である。ところで、ゲル体が既に調製済みであって、そのゲル体を構成するモノマーや、架橋剤、架橋剤濃度が未知である場合、「νtheo」は、ゲル体のNMR測定やIR測定などの結果からモノマーおよび架橋剤を同定すると共にそのゲル体の架橋剤濃度を導出した後、その架橋剤の官能基数および架橋剤濃度を上式(I)に代入することによって求められる。
【0021】
(3)弾性率測定工程
弾性率測定工程では、複数種類のゲル体それぞれの弾性率が測定される。なお、弾性率として動的貯蔵弾性率を測定するのが好ましい。動的貯蔵弾性率は、例えば、動的粘弾性測定装置を用いて測定することができる。また、動的貯蔵弾性率を測定する際、その測定時の温度を記録することが望ましい。
【0022】
(4)有効架橋密度算出工程
有効架橋密度算出工程では、弾性率が利用されて複数種類のゲル体それぞれの有効架橋密度が求められる。なお、有効架橋密度は、例えば、以下の数式(II)により求めることができる。
【0023】
【数2】
【0024】
なお、上式(II)中、「νe」は有効架橋密度(mol/m)を表し、「G」は弾性率(Pa)を表し、「R」は気体定数(J/K・mol)を表し、「T」は弾性率測定中の絶対温度(K)を表し、「v」はゲル体中の高分子の体積分率を表す。なお、気体定数は8.3144J/K・molである。また、「v」は、(含水)ゲル体の重量Whg、ゲル体の乾燥重量W、ゲル体の乾燥物の密度ρおよび水の密度ρから以下の式によって算出される。
=(W/ρ)/(W/ρ+(Whg−W)/ρ
【0025】
(5)比算出工程
比算出工程では、複数種類のゲル体それぞれについて理論架橋密度(νtheo)に対する有効架橋密度(νe)の比(すなわち、有効架橋密度(νe)/理論架橋密度(νtheo))が求められる。
【0026】
(6)選出工程
選出工程では、理論架橋密度に対する有効架橋密度の比が1を超えるゲル体が選出される。なお、本工程では、理論架橋密度に対する有効架橋密度の比が5を超えるゲル体が選出されてもよいし、同比が10を超えるゲル体が選出されてもよいし、同比が50を超えるゲル体が選出されてもよいし、同比が100を超えるゲル体が選出されてもよい。
【0027】
なお、上述の通りして得られたデータを蓄積しておけば、同系のゲル体を作製する際、ゲル体の理論架橋密度に対する有効架橋密度の比が1を超えるモノマー濃度および架橋剤添加量の組合せを選定することによって、所望の高強度ゲルを作製することができる。
【0028】
以下、実施例および比較例を示して本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されることはない。
【実施例】
【0029】
(実施例1)
1.ハイドロゲルの合成
以下の化学式(A)に示されるアクリルアミド(以下「AAm」と略される場合がある。)の濃度が5.0mol/Lとなり、以下の化学式(B)に示されるN,N’−メチレンビスアクリルアミド(以下「MBAA」と略される場合がある。)の濃度が5.12×10−5mol/Lとなり、以下の化学式(C)に示されるN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下「TEMED」と略される場合がある。)の濃度が4.0×10−3mol/Lとなるように、AAm、MBAA、TEMEDおよび水を混合してモノマー水溶液を調製した(このとき、AAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.001mol%であった。)。
【0030】
【化1】
【0031】
【化2】
【0032】
【化3】
【0033】
次に、以下の化学式(D)に示される過硫酸アンモニウム(以下「APS」と略する場合がある。)に水を加えてAPS水溶液を調製した。
【0034】
【化4】
【0035】
続いて、モノマー水溶液およびAPS水溶液に対して凍結脱気処理を施してモノマー水溶液およびAPS水溶液から溶存酸素を取り除いた。そして、モノマー水溶液中のAPSの濃度が0.47×10−3mol/Lとなるように、モノマー水溶液に対してAPS水溶液を加えてプレゲル溶液を調製した。そして、そのプレゲル溶液を円柱形の鋳型(直径5mm,厚み5mm)に入れて25℃の温度条件下でAAmおよびMBAAの重合を行って目的のハイドロゲルを得た。
【0036】
2.理論架橋密度(νtheo)に対する有効架橋密度(νe)の比
(1)理論架橋密度の算出
上述の数式(I)から、得られたハイドロゲルの理論架橋密度を算出した。
(2)有効架橋密度の算出
上述の数式(II)から、得られたハイドロゲルの有効架橋密度を算出した。
なお、弾性率(G)は、上述の通りして得られたハイドロゲルを動的粘弾性測定装置に供して25℃において測定した。
(3)理論架橋密度に対する有効架橋密度の比の算出
上記(2)で得られた有効架橋密度(νe)を、上記(1)で得られた理論架橋密度で割って理論架橋密度に対する有効架橋密度の比を求めたところその比は75.62であった(図1等参照)。
【0037】
3.引張試験
プレゲル溶液をダンベル型の鋳型(全体厚み1.76mm,長方形板部の幅5mm,長方形板部の長さ20mm、長方形板部の両端に設けられる円板部の直径10mm)に入れて25℃の温度条件下でAAmおよびMBAAの重合を行って引張試験用のハイドロゲル試験片を得た。そして、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、図2に示される応力−歪み曲線(a)が得られた。なお、この引張試験は、株式会社島津製作所製の小型卓上試験機EZ Test(SMTI−2−N)を用いて行われた。また、さらに、変位量を横軸とし、応力を縦軸としてプロットして得られた応力−変位量曲線(図12参照)から破壊エネルギーを求めたところ、その破壊エネルギー(応力−変位量曲線と横軸とで挟まれた図形の面積値(図13参照))は24.32kJ/mであった(図3参照)。
【0038】
4.圧縮試験
上述の通りして得られたハイドロゲルを圧縮試験に供したところ、図4に示される応力−歪み曲線(a)が得られた。なお、この圧縮試験は、株式会社島津製作所製の小型卓上試験機EZ Test(SMTI−2−N)を用いて圧縮力100Nで行われた。
【0039】
5.含水率測定
上述の通りして得られたハイドロゲルの重量を測定した後、70℃に設定した乾燥器にそのハイドロゲルを入れて48時間乾燥させてその乾燥重量を測定し、以下の式からそのハイドロゲルの含水率を求めた。そして、その結果を図9に示した。
(含水率)(%)={(ハイドロゲルの重量)−(乾燥重量)}/(ハイドロゲルの重量)×100
【0040】
(実施例2)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるMBAAの濃度を2.58×10−4mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.005mol%であった。
【0041】
2.理論架橋密度(νtheo)に対する有効架橋密度(νe)の比
実施例1と同様にして理論架橋密度に対する有効架橋密度の比を求めたところ、その比は13.76であった(図1等参照)。
【0042】
3.引張試験
実施例1と同様にして本実施例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、図2に示される応力−歪み曲線(b)が得られた。また、応力−変位量曲線から破壊エネルギーを求めたところ、その破壊エネルギーは30.38kJ/mであった(図3参照)。
【0043】
4.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、図4に示される応力−歪み曲線(b)が得られた。
【0044】
5.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を図9に示した。
【0045】
6.繰返引張試験
プレゲル溶液をダンベル型の鋳型(全体厚み1.76mm,長方形板部の幅5mm,長方形板部の長さ20mm、長方形板部の両端に設けられる円板部の直径10mm)に入れて25℃の温度条件下でAAmおよびMBAAの重合を行って引張試験用のハイドロゲル試験片を得た。そして、そのハイドロゲル試験片を繰返引張試験に供したところ、図10に示される応力−歪み曲線(a01〜a05)が得られた。なお、この引張試験は、株式会社島津製作所製の小型卓上試験機EZ Test(SMTI−2−N)を用いて行われた。また、本試験の際、ハイドロゲル試験片を5mm/分の速度で3倍にまで伸ばした後に駆動側のチャックを初期位置に戻し、このサイクルを5回繰り返した。
【0046】
(実施例3)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるMBAAの濃度を5.00×10−4mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.01mol%であった。
【0047】
2.理論架橋密度(νtheo)に対する有効架橋密度(νe)の比
実施例1と同様にして理論架橋密度に対する有効架橋密度の比を求めたところ、その比は3.18であった(図1等参照)。
【0048】
3.引張試験
実施例1と同様にして本実施例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、図2に示される応力−歪み曲線(c)が得られた。また、応力−変位量曲線から破壊エネルギーを求めたところ、その破壊エネルギーは26.14kJ/mであった(図3参照)。
【0049】
4.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、図4に示される応力−歪み曲線(c)が得られた。
【0050】
5.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を図9に示した。
【0051】
(実施例4)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるMBAAの濃度を2.57×10−3mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.05mol%であった。
【0052】
2.理論架橋密度(νtheo)に対する有効架橋密度(νe)の比
実施例1と同様にして理論架橋密度に対する有効架橋密度の比を求めたところ、その比は4.65であった(図1等参照)。
【0053】
3.引張試験
実施例1と同様にして本実施例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、図2に示される応力−歪み曲線(d)が得られた。また、応力−変位量曲線から破壊エネルギーを求めたところ、その破壊エネルギーは8.79kJ/mであった(図3参照)。
【0054】
4.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、図4に示される応力−歪み曲線(d)が得られた。
【0055】
5.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を図9に示した。
【0056】
(実施例5)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるMBAAの濃度を5.00×10−3mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.1mol%であった。
【0057】
2.理論架橋密度(νtheo)に対する有効架橋密度(νe)の比
実施例1と同様にして理論架橋密度に対する有効架橋密度の比を求めたところ、その比は1.83であった(図1等参照)。
【0058】
3.引張試験
実施例1と同様にして本実施例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、図2に示される応力−歪み曲線(e)が得られた。また、応力−変位量曲線から破壊エネルギーを求めたところ、その破壊エネルギーは4.06kJ/mであった(図3参照)。
【0059】
4.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、図4に示される応力−歪み曲線(e)が得られた。
【0060】
5.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を図9に示した。
【0061】
(比較例1)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるMBAAの濃度を2.56×10−2mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.5mol%であった。
【0062】
2.理論架橋密度(νtheo)に対する有効架橋密度(νe)の比
実施例1と同様にして理論架橋密度に対する有効架橋密度の比を求めたところ、その比は0.36であった(図1等参照)。
【0063】
3.引張試験
実施例1と同様にして本比較例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、図2に示される応力−歪み曲線(f)が得られた。また、応力−変位量曲線から破壊エネルギーを求めたところ、その破壊エネルギーは0.61kJ/mであった(図3参照)。
【0064】
4.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、図4に示される応力−歪み曲線(f)が得られた。
【0065】
5.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を図9に示した。
【0066】
(比較例2)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるMBAAの濃度を5.00×10−2mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は1.0mol%であった。
【0067】
2.理論架橋密度(νtheo)に対する有効架橋密度(νe)の比
実施例1と同様にして理論架橋密度に対する有効架橋密度の比を求めたところ、その比は0.03であった(図1等参照)。
【0068】
3.引張試験
実施例1と同様にして本比較例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、図2に示される応力−歪み曲線(g)が得られた。また、応力−変位量曲線から破壊エネルギーを求めたところ、その破壊エネルギーは0.24kJ/mであった(図3参照)。
【0069】
4.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、図4に示される応力−歪み曲線(g)が得られた。
【0070】
5.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を図9に示した。
【0071】
(比較例3)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるMBAAの濃度を2.44×10−1mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は5.0mol%であった。
【0072】
2.理論架橋密度(νtheo)に対する有効架橋密度(νe)の比
実施例1と同様にして理論架橋密度に対する有効架橋密度の比を求めたところ、その比は0.04であった(図1等参照)。
【0073】
3.引張試験
実施例1と同様にして本比較例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、図2に示される応力−歪み曲線(h)が得られた。また、応力−変位量曲線から破壊エネルギーを求めたところ、その破壊エネルギーは0.02kJ/mであった(図3参照)。
【0074】
4.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、図4に示される応力−歪み曲線(h)が得られた。
【0075】
5.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を図9に示した。
【0076】
(実施例6)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるAAmの濃度を2.5mol/Lに代えると共にMBAAの濃度を2.5×10−5mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.001mol%であった。
【0077】
2.理論架橋密度(νtheo)に対する有効架橋密度(νe)の比
実施例1と同様にして理論架橋密度に対する有効架橋密度の比を求めたところ、その比は166.82であった(図1等参照)。
【0078】
3.引張試験
実施例1と同様にして本実施例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、図5に示される応力−歪み曲線(i)が得られた。また、応力−変位量曲線から破壊エネルギーを求めたところ、その破壊エネルギーは4.41kJ/mであった(図3参照)。
【0079】
4.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、図6に示される応力−歪み曲線(i)が得られた。
【0080】
5.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を図9に示した。
【0081】
(実施例7)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるAAmの濃度を2.5mol/Lに代えると共にMBAAの濃度を1.25×10−4mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.005mol%であった。
【0082】
2.理論架橋密度(νtheo)に対する有効架橋密度(νe)の比
実施例1と同様にして理論架橋密度に対する有効架橋密度の比を求めたところ、その比は62.89であった(図1等参照)。
【0083】
3.引張試験
実施例1と同様にして本実施例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、図5に示される応力−歪み曲線(j)が得られた。また、応力−変位量曲線から破壊エネルギーを求めたところ、その破壊エネルギーは9.84kJ/mであった(図3参照)。
【0084】
4.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、図6に示される応力−歪み曲線(j)が得られた。
【0085】
5.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を図9に示した。
【0086】
(実施例8)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるAAmの濃度を2.5mol/Lに代えると共にMBAAの濃度を2.5×10−4mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.01mol%であった。
【0087】
2.理論架橋密度(νtheo)に対する有効架橋密度(νe)の比
実施例1と同様にして理論架橋密度に対する有効架橋密度の比を求めたところ、その比は24.08であった(図1等参照)。
【0088】
3.引張試験
実施例1と同様にして本実施例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、図5に示される応力−歪み曲線(k)が得られた。また、応力−変位量曲線から破壊エネルギーを求めたところ、その破壊エネルギーは11.71kJ/mであった(図3参照)。
【0089】
4.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、図6に示される応力−歪み曲線(k)が得られた。
【0090】
5.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を図9に示した。
【0091】
(実施例9)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるAAmの濃度を2.5mol/Lに代えると共にMBAAの濃度を1.25×10−3mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.05mol%であった。
【0092】
2.理論架橋密度(νtheo)に対する有効架橋密度(νe)の比
実施例1と同様にして理論架橋密度に対する有効架橋密度の比を求めたところ、その比は2.55であった(図1等参照)。
【0093】
3.引張試験
実施例1と同様にして本実施例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、図5に示される応力−歪み曲線(l)が得られた。また、応力−変位量曲線から破壊エネルギーを求めたところ、その破壊エネルギーは5.22kJ/mであった(図3参照)。
【0094】
4.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、図6に示される応力−歪み曲線(l)が得られた。
【0095】
5.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を図9に示した。
【0096】
(実施例10)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるAAmの濃度を2.5mol/Lに代えると共にMBAAの濃度を2.5×10−3mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.1mol%であった。
【0097】
2.理論架橋密度(νtheo)に対する有効架橋密度(νe)の比
実施例1と同様にして理論架橋密度に対する有効架橋密度の比を求めたところ、その比は5.39であった(図1等参照)。
【0098】
3.引張試験
実施例1と同様にして本実施例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、図5に示される応力−歪み曲線(m)が得られた。また、応力−変位量曲線から破壊エネルギーを求めたところ、その破壊エネルギーは4.65kJ/mであった(図3参照)。
【0099】
4.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、図6に示される応力−歪み曲線(m)が得られた。
【0100】
5.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を図9に示した。
【0101】
(比較例4)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるAAmの濃度を2.5mol/Lに代えると共にMBAAの濃度を1.25×10−2mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.5mol%であった。
【0102】
2.理論架橋密度(νtheo)に対する有効架橋密度(νe)の比
実施例1と同様にして理論架橋密度に対する有効架橋密度の比を求めたところ、その比は0.26であった(図1等参照)。
【0103】
3.引張試験
実施例1と同様にして本比較例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、図5に示される応力−歪み曲線(n)が得られた。また、応力−変位量曲線から破壊エネルギーを求めたところ、その破壊エネルギーは0.16kJ/mであった(図3参照)。
【0104】
4.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、図6に示される応力−歪み曲線(n)が得られた。
【0105】
5.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を図9に示した。
【0106】
(比較例5)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるAAmの濃度を2.5mol/Lに代えると共にMBAAの濃度を1.25×10−2mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.5mol%であった。
【0107】
2.引張試験
実施例1と同様にして本比較例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、図5に示される応力−歪み曲線(o)が得られた。
【0108】
3.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、図6に示される応力−歪み曲線(o)が得られた。
【0109】
4.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を図9に示した。
【0110】
(比較例6)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるAAmの濃度を2.5mol/Lに代えると共にMBAAの濃度を1.25×10−2mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.5mol%であった。
【0111】
2.引張試験
実施例1と同様にして本比較例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、図5に示される応力−歪み曲線(p)が得られた。
【0112】
3.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、図6に示される応力−歪み曲線(p)が得られた。
【0113】
4.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を図9に示した。
【0114】
(実施例11)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるAAmの濃度を1.0mol/Lに代えると共にMBAAの濃度を0.5×10−3mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.05mol%であった。
【0115】
2.理論架橋密度(νtheo)に対する有効架橋密度(νe)の比
実施例1と同様にして理論架橋密度に対する有効架橋密度の比を求めたところ、その比は1.65であった(図1等参照)。
【0116】
3.引張試験
実施例1と同様にして本実施例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、図7に示される応力−歪み曲線(q)が得られた。また、応力−変位量曲線から破壊エネルギーを求めたところ、その破壊エネルギーは1.19kJ/mであった(図3参照)。
【0117】
4.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、図8に示される応力−歪み曲線(q)が得られた。
【0118】
5.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を図9に示した。
【0119】
(実施例12)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるAAmの濃度を1.0mol/Lに代えると共にMBAAの濃度を1.0×10−3mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.1mol%であった。
【0120】
2.理論架橋密度(νtheo)に対する有効架橋密度(νe)の比
実施例1と同様にして理論架橋密度に対する有効架橋密度の比を求めたところ、その比は1.71であった(図1等参照)。
【0121】
3.引張試験
実施例1と同様にして本実施例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、図7に示される応力−歪み曲線(r)が得られた。また、応力−変位量曲線から破壊エネルギーを求めたところ、その破壊エネルギーは0.39kJ/mであった(図3参照)。
【0122】
4.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、図8に示される応力−歪み曲線(r)が得られた。
【0123】
5.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を図9に示した。
【0124】
(比較例7)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるAAmの濃度を1.0mol/Lに代えると共にMBAAの濃度を0.5×10−2mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.5mol%であった。
【0125】
2.理論架橋密度(νtheo)に対する有効架橋密度(νe)の比
実施例1と同様にして理論架橋密度に対する有効架橋密度の比を求めたところ、その比は0.61であった(図1等参照)。
【0126】
3.引張試験
実施例1と同様にして本比較例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、図7に示される応力−歪み曲線(s)が得られた。また、応力−変位量曲線から破壊エネルギーを求めたところ、その破壊エネルギーは0.47kJ/mであった(図3参照)。
【0127】
4.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、図8に示される応力−歪み曲線(s)が得られた。
【0128】
5.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を図9に示した。
【0129】
(比較例8)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるAAmの濃度を1.0mol/Lに代えると共にMBAAの濃度を1.0×10−2mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は1.0mol%であった。
【0130】
2.理論架橋密度(νtheo)に対する有効架橋密度(νe)の比
実施例1と同様にして理論架橋密度に対する有効架橋密度の比を求めたところ、その比は0.42であった(図1等参照)。
【0131】
3.引張試験
実施例1と同様にして本比較例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、図7に示される応力−歪み曲線(t)が得られた。また、応力−変位量曲線から破壊エネルギーを求めたところ、その破壊エネルギーは0.26kJ/mであった(図3参照)。
【0132】
4.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、図8に示される応力−歪み曲線(t)が得られた。
【0133】
5.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を図9に示した。
【0134】
(比較例9)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるAAmの濃度を1.0mol/Lに代えると共にMBAAの濃度を0.5×10−1mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は5.0mol%であった。
【0135】
2.理論架橋密度(νtheo)に対する有効架橋密度(νe)の比
実施例1と同様にして理論架橋密度に対する有効架橋密度の比を求めたところ、その比は0.09であった(図1等参照)。
【0136】
3.引張試験
実施例1と同様にして本比較例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、図7に示される応力−歪み曲線(u)が得られた。また、応力−変位量曲線から破壊エネルギーを求めたところ、その破壊エネルギーは0.06kJであった(図3参照)。
【0137】
4.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、図8に示される応力−歪み曲線(u)が得られた。
【0138】
5.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を図9に示した。
【0139】
(比較例10)
1.対照サンプルの合成
MBAAを添加しなかった以外は、実施例1に示される通りにして目的の対照サンプルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0mol%であった。
【0140】
2.引張試験
実施例1と同様にして本比較例のモノマー溶液から引張試験用の試験片を得、その試験片を引張試験に供したところ、図2に示される応力−歪み曲線(z)が得られた。
【0141】
3.圧縮試験
上述の通りにして得られた対照サンプルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、図4に示される応力−歪み曲線(z)が得られた。
【0142】
(実施例13)
1.ハイドロゲルの合成
水を2mol/Lの尿素水溶液に代えると共に、円柱形の鋳型(直径5mm,厚み5mm)をダンベル型の鋳型(全体厚み1.76mm,長方形板部の幅5mm,長方形板部の長さ20mm、長方形板部の両端に設けられる円板部の直径10mm)に代えた以外は、実施例2に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.005mol%であった。
【0143】
2.繰返引張試験
実施例2と同様にして本実施例で得られたハイドロゲルを繰返引張試験に供したところ、図11に示される応力−歪み曲線(a01u〜a05u)が得られた。
【0144】
<まとめ>
上記実施例および比較例により有効架橋密度(νe)/理論架橋密度(νtheo)が1を超えるハイドロゲルは、有効架橋密度(νe)/理論架橋密度(νtheo)が1以下のハイドロゲルに比べ、引張時や圧縮時に破壊されにくいだけでなく、引張強度や圧縮強度に優れず破壊エネルギーも十分に大きいことが明らかとなった。このため、有効架橋密度(νe)/理論架橋密度(νtheo)>1を指標とすることによって高強度のハイドロゲルを作製することができる。
【0145】
圧縮試験では、1.0mol%の架橋剤濃度を有するハイドロゲルは70%程度圧縮されることにより破断したが、0.001mol%〜0.01mol%の架橋剤濃度を有するハイドロゲルは90%程度圧縮されても破断せず良好な強度を示した。また、0.001mol%〜0.01mol%の架橋剤濃度を有するハイドロゲルは引張試験でも良好な結果を示した。また、架橋剤濃度が同一である場合、モノマー水溶液調製時におけるAAmの濃度が高くなる程、引張強度が高くなることが明らかとなった。これは、モノマー水溶液調製時におけるAAmの濃度が高くなる程、分子鎖同士の絡み合いが多くなり、その結果、エネルギー散逸効果が高くなるためであると考えられる。
【0146】
また、図10および図11に示されるように、実施例2および実施例13に係るハイドロゲルには、ヒステリシスは認められなかった。また、実施例13に係るハイドロゲルは、実施例2に係るハイドロゲルよりも僅かに良好な引張強度を示した。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本発明に係る高強度ゲル体の作製方法は、従前にない方法であるため、従前にはない高強度ゲル体を提供することができる。
図1
図2
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図13