【実施例】
【0029】
(実施例1)
1.ハイドロゲルの合成
以下の化学式(A)に示されるアクリルアミド(以下「AAm」と略される場合がある。)の濃度が5.0mol/Lとなり、以下の化学式(B)に示されるN,N’−メチレンビスアクリルアミド(以下「MBAA」と略される場合がある。)の濃度が5.12×10
−5mol/Lとなり、以下の化学式(C)に示されるN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下「TEMED」と略される場合がある。)の濃度が4.0×10
−3mol/Lとなるように、AAm、MBAA、TEMEDおよび水を混合してモノマー水溶液を調製した(このとき、AAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.001mol%であった。)。
【0030】
【化1】
【0031】
【化2】
【0032】
【化3】
【0033】
次に、以下の化学式(D)に示される過硫酸アンモニウム(以下「APS」と略する場合がある。)に水を加えてAPS水溶液を調製した。
【0034】
【化4】
【0035】
続いて、モノマー水溶液およびAPS水溶液に対して凍結脱気処理を施してモノマー水溶液およびAPS水溶液から溶存酸素を取り除いた。そして、モノマー水溶液中のAPSの濃度が0.47×10
−3mol/Lとなるように、モノマー水溶液に対してAPS水溶液を加えてプレゲル溶液を調製した。そして、そのプレゲル溶液を円柱形の鋳型(直径5mm,厚み5mm)に入れて25℃の温度条件下でAAmおよびMBAAの重合を行って目的のハイドロゲルを得た。
【0036】
2.理論架橋密度(ν
theo)に対する有効架橋密度(ν
e)の比
(1)理論架橋密度の算出
上述の数式(I)から、得られたハイドロゲルの理論架橋密度を算出した。
(2)有効架橋密度の算出
上述の数式(II)から、得られたハイドロゲルの有効架橋密度を算出した。
なお、弾性率(G)は、上述の通りして得られたハイドロゲルを動的粘弾性測定装置に供して25℃において測定した。
(3)理論架橋密度に対する有効架橋密度の比の算出
上記(2)で得られた有効架橋密度(ν
e)を、上記(1)で得られた理論架橋密度で割って理論架橋密度に対する有効架橋密度の比を求めたところその比は75.62であった(
図1等参照)。
【0037】
3.引張試験
プレゲル溶液をダンベル型の鋳型(全体厚み1.76mm,長方形板部の幅5mm,長方形板部の長さ20mm、長方形板部の両端に設けられる円板部の直径10mm)に入れて25℃の温度条件下でAAmおよびMBAAの重合を行って引張試験用のハイドロゲル試験片を得た。そして、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、
図2に示される応力−歪み曲線(a)が得られた。なお、この引張試験は、株式会社島津製作所製の小型卓上試験機EZ Test(SMTI−2−N)を用いて行われた。また、さらに、変位量を横軸とし、応力を縦軸としてプロットして得られた応力−変位量曲線(
図12参照)から破壊エネルギーを求めたところ、その破壊エネルギー(応力−変位量曲線と横軸とで挟まれた図形の面積値(
図13参照))は24.32kJ/m
2であった(
図3参照)。
【0038】
4.圧縮試験
上述の通りして得られたハイドロゲルを圧縮試験に供したところ、
図4に示される応力−歪み曲線(a)が得られた。なお、この圧縮試験は、株式会社島津製作所製の小型卓上試験機EZ Test(SMTI−2−N)を用いて圧縮力100Nで行われた。
【0039】
5.含水率測定
上述の通りして得られたハイドロゲルの重量を測定した後、70℃に設定した乾燥器にそのハイドロゲルを入れて48時間乾燥させてその乾燥重量を測定し、以下の式からそのハイドロゲルの含水率を求めた。そして、その結果を
図9に示した。
(含水率)(%)={(ハイドロゲルの重量)−(乾燥重量)}/(ハイドロゲルの重量)×100
【0040】
(実施例2)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるMBAAの濃度を2.58×10
−4mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.005mol%であった。
【0041】
2.理論架橋密度(ν
theo)に対する有効架橋密度(ν
e)の比
実施例1と同様にして理論架橋密度に対する有効架橋密度の比を求めたところ、その比は13.76であった(
図1等参照)。
【0042】
3.引張試験
実施例1と同様にして本実施例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、
図2に示される応力−歪み曲線(b)が得られた。また、応力−変位量曲線から破壊エネルギーを求めたところ、その破壊エネルギーは30.38kJ/m
2であった(
図3参照)。
【0043】
4.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、
図4に示される応力−歪み曲線(b)が得られた。
【0044】
5.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を
図9に示した。
【0045】
6.繰返引張試験
プレゲル溶液をダンベル型の鋳型(全体厚み1.76mm,長方形板部の幅5mm,長方形板部の長さ20mm、長方形板部の両端に設けられる円板部の直径10mm)に入れて25℃の温度条件下でAAmおよびMBAAの重合を行って引張試験用のハイドロゲル試験片を得た。そして、そのハイドロゲル試験片を繰返引張試験に供したところ、
図10に示される応力−歪み曲線(a01〜a05)が得られた。なお、この引張試験は、株式会社島津製作所製の小型卓上試験機EZ Test(SMTI−2−N)を用いて行われた。また、本試験の際、ハイドロゲル試験片を5mm/分の速度で3倍にまで伸ばした後に駆動側のチャックを初期位置に戻し、このサイクルを5回繰り返した。
【0046】
(実施例3)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるMBAAの濃度を5.00×10
−4mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.01mol%であった。
【0047】
2.理論架橋密度(ν
theo)に対する有効架橋密度(ν
e)の比
実施例1と同様にして理論架橋密度に対する有効架橋密度の比を求めたところ、その比は3.18であった(
図1等参照)。
【0048】
3.引張試験
実施例1と同様にして本実施例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、
図2に示される応力−歪み曲線(c)が得られた。また、応力−変位量曲線から破壊エネルギーを求めたところ、その破壊エネルギーは26.14kJ/m
2であった(
図3参照)。
【0049】
4.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、
図4に示される応力−歪み曲線(c)が得られた。
【0050】
5.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を
図9に示した。
【0051】
(実施例4)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるMBAAの濃度を2.57×10
−3mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.05mol%であった。
【0052】
2.理論架橋密度(ν
theo)に対する有効架橋密度(ν
e)の比
実施例1と同様にして理論架橋密度に対する有効架橋密度の比を求めたところ、その比は4.65であった(
図1等参照)。
【0053】
3.引張試験
実施例1と同様にして本実施例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、
図2に示される応力−歪み曲線(d)が得られた。また、応力−変位量曲線から破壊エネルギーを求めたところ、その破壊エネルギーは8.79kJ/m
2であった(
図3参照)。
【0054】
4.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、
図4に示される応力−歪み曲線(d)が得られた。
【0055】
5.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を
図9に示した。
【0056】
(実施例5)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるMBAAの濃度を5.00×10
−3mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.1mol%であった。
【0057】
2.理論架橋密度(ν
theo)に対する有効架橋密度(ν
e)の比
実施例1と同様にして理論架橋密度に対する有効架橋密度の比を求めたところ、その比は1.83であった(
図1等参照)。
【0058】
3.引張試験
実施例1と同様にして本実施例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、
図2に示される応力−歪み曲線(e)が得られた。また、応力−変位量曲線から破壊エネルギーを求めたところ、その破壊エネルギーは4.06kJ/m
2であった(
図3参照)。
【0059】
4.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、
図4に示される応力−歪み曲線(e)が得られた。
【0060】
5.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を
図9に示した。
【0061】
(比較例1)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるMBAAの濃度を2.56×10
−2mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.5mol%であった。
【0062】
2.理論架橋密度(ν
theo)に対する有効架橋密度(ν
e)の比
実施例1と同様にして理論架橋密度に対する有効架橋密度の比を求めたところ、その比は0.36であった(
図1等参照)。
【0063】
3.引張試験
実施例1と同様にして本比較例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、
図2に示される応力−歪み曲線(f)が得られた。また、応力−変位量曲線から破壊エネルギーを求めたところ、その破壊エネルギーは0.61kJ/m
2であった(
図3参照)。
【0064】
4.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、
図4に示される応力−歪み曲線(f)が得られた。
【0065】
5.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を
図9に示した。
【0066】
(比較例2)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるMBAAの濃度を5.00×10
−2mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は1.0mol%であった。
【0067】
2.理論架橋密度(ν
theo)に対する有効架橋密度(ν
e)の比
実施例1と同様にして理論架橋密度に対する有効架橋密度の比を求めたところ、その比は0.03であった(
図1等参照)。
【0068】
3.引張試験
実施例1と同様にして本比較例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、
図2に示される応力−歪み曲線(g)が得られた。また、応力−変位量曲線から破壊エネルギーを求めたところ、その破壊エネルギーは0.24kJ/m
2であった(
図3参照)。
【0069】
4.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、
図4に示される応力−歪み曲線(g)が得られた。
【0070】
5.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を
図9に示した。
【0071】
(比較例3)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるMBAAの濃度を2.44×10
−1mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は5.0mol%であった。
【0072】
2.理論架橋密度(ν
theo)に対する有効架橋密度(ν
e)の比
実施例1と同様にして理論架橋密度に対する有効架橋密度の比を求めたところ、その比は0.04であった(
図1等参照)。
【0073】
3.引張試験
実施例1と同様にして本比較例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、
図2に示される応力−歪み曲線(h)が得られた。また、応力−変位量曲線から破壊エネルギーを求めたところ、その破壊エネルギーは0.02kJ/m
2であった(
図3参照)。
【0074】
4.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、
図4に示される応力−歪み曲線(h)が得られた。
【0075】
5.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を
図9に示した。
【0076】
(実施例6)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるAAmの濃度を2.5mol/Lに代えると共にMBAAの濃度を2.5×10
−5mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.001mol%であった。
【0077】
2.理論架橋密度(ν
theo)に対する有効架橋密度(ν
e)の比
実施例1と同様にして理論架橋密度に対する有効架橋密度の比を求めたところ、その比は166.82であった(
図1等参照)。
【0078】
3.引張試験
実施例1と同様にして本実施例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、
図5に示される応力−歪み曲線(i)が得られた。また、応力−変位量曲線から破壊エネルギーを求めたところ、その破壊エネルギーは4.41kJ/m
2であった(
図3参照)。
【0079】
4.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、
図6に示される応力−歪み曲線(i)が得られた。
【0080】
5.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を
図9に示した。
【0081】
(実施例7)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるAAmの濃度を2.5mol/Lに代えると共にMBAAの濃度を1.25×10
−4mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.005mol%であった。
【0082】
2.理論架橋密度(ν
theo)に対する有効架橋密度(ν
e)の比
実施例1と同様にして理論架橋密度に対する有効架橋密度の比を求めたところ、その比は62.89であった(
図1等参照)。
【0083】
3.引張試験
実施例1と同様にして本実施例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、
図5に示される応力−歪み曲線(j)が得られた。また、応力−変位量曲線から破壊エネルギーを求めたところ、その破壊エネルギーは9.84kJ/m
2であった(
図3参照)。
【0084】
4.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、
図6に示される応力−歪み曲線(j)が得られた。
【0085】
5.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を
図9に示した。
【0086】
(実施例8)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるAAmの濃度を2.5mol/Lに代えると共にMBAAの濃度を2.5×10
−4mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.01mol%であった。
【0087】
2.理論架橋密度(ν
theo)に対する有効架橋密度(ν
e)の比
実施例1と同様にして理論架橋密度に対する有効架橋密度の比を求めたところ、その比は24.08であった(
図1等参照)。
【0088】
3.引張試験
実施例1と同様にして本実施例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、
図5に示される応力−歪み曲線(k)が得られた。また、応力−変位量曲線から破壊エネルギーを求めたところ、その破壊エネルギーは11.71kJ/m
2であった(
図3参照)。
【0089】
4.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、
図6に示される応力−歪み曲線(k)が得られた。
【0090】
5.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を
図9に示した。
【0091】
(実施例9)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるAAmの濃度を2.5mol/Lに代えると共にMBAAの濃度を1.25×10
−3mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.05mol%であった。
【0092】
2.理論架橋密度(ν
theo)に対する有効架橋密度(ν
e)の比
実施例1と同様にして理論架橋密度に対する有効架橋密度の比を求めたところ、その比は2.55であった(
図1等参照)。
【0093】
3.引張試験
実施例1と同様にして本実施例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、
図5に示される応力−歪み曲線(l)が得られた。また、応力−変位量曲線から破壊エネルギーを求めたところ、その破壊エネルギーは5.22kJ/m
2であった(
図3参照)。
【0094】
4.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、
図6に示される応力−歪み曲線(l)が得られた。
【0095】
5.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を
図9に示した。
【0096】
(実施例10)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるAAmの濃度を2.5mol/Lに代えると共にMBAAの濃度を2.5×10
−3mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.1mol%であった。
【0097】
2.理論架橋密度(ν
theo)に対する有効架橋密度(ν
e)の比
実施例1と同様にして理論架橋密度に対する有効架橋密度の比を求めたところ、その比は5.39であった(
図1等参照)。
【0098】
3.引張試験
実施例1と同様にして本実施例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、
図5に示される応力−歪み曲線(m)が得られた。また、応力−変位量曲線から破壊エネルギーを求めたところ、その破壊エネルギーは4.65kJ/m
2であった(
図3参照)。
【0099】
4.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、
図6に示される応力−歪み曲線(m)が得られた。
【0100】
5.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を
図9に示した。
【0101】
(比較例4)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるAAmの濃度を2.5mol/Lに代えると共にMBAAの濃度を1.25×10
−2mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.5mol%であった。
【0102】
2.理論架橋密度(ν
theo)に対する有効架橋密度(ν
e)の比
実施例1と同様にして理論架橋密度に対する有効架橋密度の比を求めたところ、その比は0.26であった(
図1等参照)。
【0103】
3.引張試験
実施例1と同様にして本比較例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、
図5に示される応力−歪み曲線(n)が得られた。また、応力−変位量曲線から破壊エネルギーを求めたところ、その破壊エネルギーは0.16kJ/m
2であった(
図3参照)。
【0104】
4.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、
図6に示される応力−歪み曲線(n)が得られた。
【0105】
5.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を
図9に示した。
【0106】
(比較例5)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるAAmの濃度を2.5mol/Lに代えると共にMBAAの濃度を1.25×10
−2mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.5mol%であった。
【0107】
2.引張試験
実施例1と同様にして本比較例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、
図5に示される応力−歪み曲線(o)が得られた。
【0108】
3.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、
図6に示される応力−歪み曲線(o)が得られた。
【0109】
4.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を
図9に示した。
【0110】
(比較例6)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるAAmの濃度を2.5mol/Lに代えると共にMBAAの濃度を1.25×10
−2mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.5mol%であった。
【0111】
2.引張試験
実施例1と同様にして本比較例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、
図5に示される応力−歪み曲線(p)が得られた。
【0112】
3.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、
図6に示される応力−歪み曲線(p)が得られた。
【0113】
4.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を
図9に示した。
【0114】
(実施例11)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるAAmの濃度を1.0mol/Lに代えると共にMBAAの濃度を0.5×10
−3mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.05mol%であった。
【0115】
2.理論架橋密度(ν
theo)に対する有効架橋密度(ν
e)の比
実施例1と同様にして理論架橋密度に対する有効架橋密度の比を求めたところ、その比は1.65であった(
図1等参照)。
【0116】
3.引張試験
実施例1と同様にして本実施例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、
図7に示される応力−歪み曲線(q)が得られた。また、応力−変位量曲線から破壊エネルギーを求めたところ、その破壊エネルギーは1.19kJ/m
2であった(
図3参照)。
【0117】
4.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、
図8に示される応力−歪み曲線(q)が得られた。
【0118】
5.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を
図9に示した。
【0119】
(実施例12)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるAAmの濃度を1.0mol/Lに代えると共にMBAAの濃度を1.0×10
−3mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.1mol%であった。
【0120】
2.理論架橋密度(ν
theo)に対する有効架橋密度(ν
e)の比
実施例1と同様にして理論架橋密度に対する有効架橋密度の比を求めたところ、その比は1.71であった(
図1等参照)。
【0121】
3.引張試験
実施例1と同様にして本実施例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、
図7に示される応力−歪み曲線(r)が得られた。また、応力−変位量曲線から破壊エネルギーを求めたところ、その破壊エネルギーは0.39kJ/m
2であった(
図3参照)。
【0122】
4.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、
図8に示される応力−歪み曲線(r)が得られた。
【0123】
5.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を
図9に示した。
【0124】
(比較例7)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるAAmの濃度を1.0mol/Lに代えると共にMBAAの濃度を0.5×10
−2mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.5mol%であった。
【0125】
2.理論架橋密度(ν
theo)に対する有効架橋密度(ν
e)の比
実施例1と同様にして理論架橋密度に対する有効架橋密度の比を求めたところ、その比は0.61であった(
図1等参照)。
【0126】
3.引張試験
実施例1と同様にして本比較例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、
図7に示される応力−歪み曲線(s)が得られた。また、応力−変位量曲線から破壊エネルギーを求めたところ、その破壊エネルギーは0.47kJ/m
2であった(
図3参照)。
【0127】
4.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、
図8に示される応力−歪み曲線(s)が得られた。
【0128】
5.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を
図9に示した。
【0129】
(比較例8)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるAAmの濃度を1.0mol/Lに代えると共にMBAAの濃度を1.0×10
−2mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は1.0mol%であった。
【0130】
2.理論架橋密度(ν
theo)に対する有効架橋密度(ν
e)の比
実施例1と同様にして理論架橋密度に対する有効架橋密度の比を求めたところ、その比は0.42であった(
図1等参照)。
【0131】
3.引張試験
実施例1と同様にして本比較例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、
図7に示される応力−歪み曲線(t)が得られた。また、応力−変位量曲線から破壊エネルギーを求めたところ、その破壊エネルギーは0.26kJ/m
2であった(
図3参照)。
【0132】
4.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、
図8に示される応力−歪み曲線(t)が得られた。
【0133】
5.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を
図9に示した。
【0134】
(比較例9)
1.ハイドロゲルの合成
モノマー水溶液調製時におけるAAmの濃度を1.0mol/Lに代えると共にMBAAの濃度を0.5×10
−1mol/Lに代えた以外は、実施例1に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は5.0mol%であった。
【0135】
2.理論架橋密度(ν
theo)に対する有効架橋密度(ν
e)の比
実施例1と同様にして理論架橋密度に対する有効架橋密度の比を求めたところ、その比は0.09であった(
図1等参照)。
【0136】
3.引張試験
実施例1と同様にして本比較例のプレゲル溶液から引張試験用のハイドロゲル試験片を得、そのハイドロゲル試験片を引張試験に供したところ、
図7に示される応力−歪み曲線(u)が得られた。また、応力−変位量曲線から破壊エネルギーを求めたところ、その破壊エネルギーは0.06kJであった(
図3参照)。
【0137】
4.圧縮試験
上述の通りにして得られたハイドロゲルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、
図8に示される応力−歪み曲線(u)が得られた。
【0138】
5.含水率測定
上述の通りにして得られたハイドロゲルの含水率を実施例1と同様にして求めた。そして、その結果を
図9に示した。
【0139】
(比較例10)
1.対照サンプルの合成
MBAAを添加しなかった以外は、実施例1に示される通りにして目的の対照サンプルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0mol%であった。
【0140】
2.引張試験
実施例1と同様にして本比較例のモノマー溶液から引張試験用の試験片を得、その試験片を引張試験に供したところ、
図2に示される応力−歪み曲線(z)が得られた。
【0141】
3.圧縮試験
上述の通りにして得られた対照サンプルを、実施例1と同様にして圧縮試験に供したところ、
図4に示される応力−歪み曲線(z)が得られた。
【0142】
(実施例13)
1.ハイドロゲルの合成
水を2mol/Lの尿素水溶液に代えると共に、円柱形の鋳型(直径5mm,厚み5mm)をダンベル型の鋳型(全体厚み1.76mm,長方形板部の幅5mm,長方形板部の長さ20mm、長方形板部の両端に設けられる円板部の直径10mm)に代えた以外は、実施例2に示される通りにして目的のハイドロゲルを得た。なお、このときのAAmに対するMBAAのモル比率(すなわち架橋剤濃度)は0.005mol%であった。
【0143】
2.繰返引張試験
実施例2と同様にして本実施例で得られたハイドロゲルを繰返引張試験に供したところ、
図11に示される応力−歪み曲線(a01u〜a05u)が得られた。
【0144】
<まとめ>
上記実施例および比較例により有効架橋密度(ν
e)/理論架橋密度(ν
theo)が1を超えるハイドロゲルは、有効架橋密度(ν
e)/理論架橋密度(ν
theo)が1以下のハイドロゲルに比べ、引張時や圧縮時に破壊されにくいだけでなく、引張強度や圧縮強度に優れず破壊エネルギーも十分に大きいことが明らかとなった。このため、有効架橋密度(ν
e)/理論架橋密度(ν
theo)>1を指標とすることによって高強度のハイドロゲルを作製することができる。
【0145】
圧縮試験では、1.0mol%の架橋剤濃度を有するハイドロゲルは70%程度圧縮されることにより破断したが、0.001mol%〜0.01mol%の架橋剤濃度を有するハイドロゲルは90%程度圧縮されても破断せず良好な強度を示した。また、0.001mol%〜0.01mol%の架橋剤濃度を有するハイドロゲルは引張試験でも良好な結果を示した。また、架橋剤濃度が同一である場合、モノマー水溶液調製時におけるAAmの濃度が高くなる程、引張強度が高くなることが明らかとなった。これは、モノマー水溶液調製時におけるAAmの濃度が高くなる程、分子鎖同士の絡み合いが多くなり、その結果、エネルギー散逸効果が高くなるためであると考えられる。
【0146】
また、
図10および
図11に示されるように、実施例2および実施例13に係るハイドロゲルには、ヒステリシスは認められなかった。また、実施例13に係るハイドロゲルは、実施例2に係るハイドロゲルよりも僅かに良好な引張強度を示した。