【解決手段】圧縮式冷凍機は、冷媒配管4Cを流れる冷媒液の流量を調節する冷媒流量調節装置20を備える。冷媒流量調節装置20は、上流側オリフィス装置22および下流側オリフィス装置23と、冷媒配管4Cから分岐するバイパスライン26と、バイパスライン26に取り付けられた流量制御弁28を備える。バイパスライン26の流出側端部26bは、上流側オリフィス装置22と下流側オリフィス装置23との間の位置で冷媒配管4Cに接続されており、バイパスライン26の口径は冷媒配管4Cの口径よりも小さい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図7に示す例では、膨張弁203には、冷媒配管205Cと同口径の電動弁が使用されており、凝縮器202の液面などの運転状況に応じて膨張弁203の開度が制御される。しかしながら、大口径の電動弁はコストが高く、しかも動作速度が遅く、結果として、冷媒液の流量制御の応答性が悪いという問題があった。
【0006】
流量制御の別の方法として、
図8のように、固定オリフィス207を電動弁203と並列に設ける構成も実施されている。しかしながら、この構成では、固定オリフィス207として、大きな開口を有するものを選定する必要がある。結果として、負荷が小さく冷媒液の流量が少ない運転条件では、ある程度の冷媒ガスの通過を許容せざるを得なく、冷凍効率を高めることが難しかった。
【0007】
そこで、本発明は、大口径の電動弁を使用することなく、冷媒液の流量を適切に調節することができる圧縮式冷凍機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、冷媒液を蒸発させて冷媒ガスを生成する蒸発器と、前記冷媒ガスを圧縮する圧縮機と、前記圧縮された冷媒ガスを凝縮させて前記冷媒液を生成する凝縮器と、前記凝縮器と前記蒸発器との間を延びる冷媒配管と、前記冷媒配管を流れる冷媒液の流量を調節する冷媒流量調節装置とを備え、前記冷媒流量調節装置は、前記冷媒配管に取り付けられ、直列に並ぶ上流側オリフィス装置および下流側オリフィス装置と、前記冷媒配管から分岐するバイパスラインと、前記バイパスラインに取り付けられた流量制御弁を備えており、前記バイパスラインの流入側端部は、前記上流側オリフィス装置の上流側の位置で前記冷媒配管に接続され、前記バイパスラインの流出側端部は、前記上流側オリフィス装置と前記下流側オリフィス装置との間の位置で前記冷媒配管に接続されており、前記バイパスラインの口径は前記冷媒配管の口径よりも小さい、圧縮式冷凍機が提供される。
【0009】
上流側オリフィス装置を通過した冷媒液は減圧され、結果として上流側オリフィス装置と下流側オリフィス装置との間を流れる冷媒液は低圧となる。一方、バイパスラインから上流側オリフィス装置と下流側オリフィス装置との間に流入する冷媒液は、減圧される前の冷媒液であるので、比較的高い圧力を有している。したがって、バイパスラインを流れた冷媒液は、低圧の冷媒液に注入されたときに瞬間的に蒸発し(フラッシュし)、冷媒ガスからなる気泡を発生させる。この気泡は、下流側オリフィス装置の開口を閉塞し、下流側オリフィス装置を通過する冷媒液の流量を減少させる。この冷媒液の流量は、気泡の発生量に依存して変わり、気泡の発生量は、バイパスラインを流れる冷媒液の流量に依存して変わる。したがって、バイパスラインを流れる冷媒液の流量を流量制御弁で調節することにより、冷媒配管を流れる冷媒液の流量を制御することができる。
【0010】
バイパスラインを流れる冷媒液の流量は、冷媒配管を流れる冷媒液の流量よりも低くてよいので、バイパスラインには、冷媒配管に比べて、口径の小さい配管を使用することができる。したがって、流量制御弁として小型で低価格の流量制御弁を使用することができる。さらに、小型の流量制御弁は、その弁体を速やかに開閉することができるので、冷媒液の流量を速やかに調節することができる。
【0011】
一態様では、前記圧縮式冷凍機は、前記冷媒配管に取り付けられたエコノマイザをさらに備えており、前記冷媒流量調節装置は、前記エコノマイザの上流側に配置された第1冷媒流量調節装置を構成し、前記圧縮式冷凍機は、前記エコノマイザの下流側に配置された第2冷媒流量調節装置をさらに備えており、前記第2冷媒流量調節装置は、前記エコノマイザから前記蒸発器に流れる冷媒液の流量を調節するように構成されている。
本発明によれば、冷媒配管を流れる冷媒液の流量は、第1冷媒流量調節装置と第2冷媒流量調節装置により2段階で調節することができる。
【0012】
一態様では、前記第2冷媒流量調節装置は、前記バイパスラインから分岐する分岐ラインと、前記分岐ラインに取り付けられた第2流量制御弁と、前記冷媒配管に取り付けられた第2オリフィス装置を備えており、前記第2オリフィス装置は、前記エコノマイザと前記蒸発器との間に配置され、前記分岐ラインの流出側端部は、前記エコノマイザと前記第2オリフィス装置との間の位置で前記冷媒配管に接続されている。
一態様では、前記第2冷媒流量調節装置は、前記第1冷媒流量調節装置と同じ構成を有している。
【0013】
一態様では、前記バイパスラインは、前記冷媒配管内に位置する冷媒出口を有している。
本発明によれば、冷媒ガスからなる気泡は、下流側オリフィス装置の開口に速やかに到達する。したがって、流量調節の応答速度を向上させることができる。
一態様では、前記冷媒出口は、前記下流側オリフィス装置の開口と一直線上に並んでいる。
【0014】
一態様では、前記冷媒配管には、サブクーラーが取り付けられており、前記サブクーラーは、前記上流側オリフィス装置の上流側に位置しており、前記バイパスラインの前記流入側端部は、前記サブクーラーの上流側の位置で前記冷媒配管に接続されている。
【0015】
サブクーラーは、凝縮器から蒸発器に送られる冷媒液を冷却し、冷媒液に含まれる冷媒ガスを過冷却させることができる。したがって、サブクーラーは、蒸発器の冷凍能力を向上させることができる。バイパスラインは、サブクーラーによって冷却される前の冷媒液を上流側オリフィス装置と下流側オリフィス装置の間に導くように冷媒配管に接続されている。このような配置により、バイパスラインを流れた温度の比較的高い冷媒液は、冷媒配管に流入したときに瞬間的に蒸発し(フラッシュし)、下流側オリフィス装置を通過する冷媒液の流量を速やかに低下させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、流量制御弁として小型で低価格の流量制御弁を使用することができる。さらに、小型の流量制御弁は、その弁体を速やかに開閉することができるので、冷媒液の流量を速やかに調節することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、圧縮式冷凍機の一実施形態を示す模式図である。
図1に示すように、圧縮式冷凍機は、冷媒液を蒸発させて冷媒ガスを生成する蒸発器2と、冷媒ガスを圧縮する圧縮機1と、圧縮された冷媒ガスを凝縮させて冷媒液を生成する凝縮器3を備えている。圧縮機1のタイプは特に限定されない。一例では、圧縮機1は、遠心式圧縮機(ターボ圧縮機ともいう)、またはスクリュー圧縮機である。
【0019】
圧縮機1の吸込口は、冷媒配管4Aによって蒸発器2に連結されている。圧縮機1の吐出し口は、冷媒配管4Bによって凝縮器3に連結されている。凝縮器3は冷媒配管4Cによって蒸発器2に連結されている。冷媒配管4Cには、冷媒配管4Cを流れる冷媒液の流量を調節する冷媒流量調節装置20が設けられている。
【0020】
蒸発器2は、被冷却流体(例えば冷水)から熱を奪って冷媒液が蒸発して冷凍効果を発揮する。圧縮機1は、蒸発器2で蒸発した冷媒ガスを圧縮し、凝縮器3は、圧縮された冷媒ガスを冷却流体(例えば冷却水)で冷却して凝縮させることで、冷媒液を生成する。冷媒液は、冷媒流量調節装置20を通過することによって減圧される。減圧された冷媒液は蒸発器2に送られる。このように、圧縮式冷凍機は、冷媒を封入したクローズドシステムとして構成される。
【0021】
冷媒流量調節装置20は、冷媒配管4Cに取り付けられた上流側オリフィス装置22および下流側オリフィス装置23と、冷媒配管4Cから分岐するバイパスライン26と、バイパスライン26に取り付けられた流量制御弁28を備えている。上流側オリフィス装置22および下流側オリフィス装置23は、直列に並んでおり、冷媒液の流れ方向において、上流側オリフィス装置22は下流側オリフィス装置23の上流に配置されている。上流側オリフィス装置22および下流側オリフィス装置23のそれぞれは、予め定められた口径の開口を有する固定オリフィス装置であり、冷媒液の流量を段階的に変化させる機能を有していない。流量制御弁28は、電動弁から構成されており、冷媒液の流量を段階的に変える機能を有している。流量制御弁28は、電動弁に代えて、比例電磁弁または電子膨張弁から構成されてもよい。
【0022】
バイパスライン26の流入側端部26aは、上流側オリフィス装置22の上流側の位置で冷媒配管4Cに接続されている。バイパスライン26の流出側端部26bは、上流側オリフィス装置22と下流側オリフィス装置23との間の位置で冷媒配管4Cに接続されている。冷媒配管4Cを流れる冷媒液の一部は、バイパスライン26に流入し、バイパスライン26を通って冷媒配管4C内に戻される。バイパスライン26の口径は冷媒配管4Cの口径よりも小さく、バイパスライン26を流れる冷媒液の流量は、冷媒配管4Cを流れる冷媒液の流量よりも低い。
【0023】
圧縮式冷凍機は、凝縮器3内の冷媒液の液面レベルを測定する液面検出器34と、液面検出器34によって測定された液面レベルに基づいて流量制御弁28の開度を制御する弁制御部37をさらに備えている。弁制御部37は、プログラムが格納された記憶装置と、プログラムに含まれる命令に従って演算を行う演算装置を備えた少なくとも1つのコンピュータから構成されている。液面検出器34は弁制御部37に電気的に接続されており、液面検出器34の出力信号(すなわち、凝縮器3内の冷媒液の液面レベルの測定値)は弁制御部37に送られるようになっている。弁制御部37は、凝縮器3内の冷媒液の液面レベルが設定範囲内に維持されるように、流量制御弁28を制御するように構成されている。
【0024】
圧縮式冷凍機は、蒸発器2内の圧力を測定する圧力測定器40をさらに備えている。圧力測定器40は弁制御部37に電気的に接続されており、圧力測定器40の出力信号(すなわち、蒸発器2内の圧力の測定値)は弁制御部37に送られるようになっている。一実施形態では、弁制御部37は、蒸発器2内の圧力が設定範囲内に維持されるように、流量制御弁28を制御してもよい。
【0025】
図2は、冷媒流量調節装置20の拡大断面図である。バイパスライン26は、冷媒配管4C内に位置する冷媒出口26cを有している。冷媒出口26cは、下流側オリフィス装置23の開口23aに近接して配置されている。上流側オリフィス装置22を通過した冷媒液は減圧され、結果として上流側オリフィス装置22と下流側オリフィス装置23との間を流れる冷媒液は低圧となる。一方、バイパスライン26から上流側オリフィス装置22と下流側オリフィス装置23との間に流入する冷媒液は、減圧される前の冷媒液であるので、比較的高い圧力を有している。したがって、バイパスライン26を流れた冷媒液は、低圧の冷媒液に注入されたときに瞬間的に蒸発し(フラッシュし)、冷媒ガスからなる気泡を発生させる。この気泡は、下流側オリフィス装置23の開口23aを閉塞し、下流側オリフィス装置23を通過する冷媒液の流量を減少させる。
【0026】
下流側オリフィス装置23を通過する冷媒液の流量は、気泡の発生量に依存して変わり、気泡の発生量は、バイパスライン26を流れる冷媒液の流量に依存して変わる。したがって、バイパスライン26を流れる冷媒液の流量を流量制御弁28で調節することにより、冷媒配管4Cを流れる冷媒液の流量を制御することができる。
【0027】
バイパスライン26を流れる冷媒液の流量は、冷媒配管4Cを流れる冷媒液の流量よりも低くてよいので、バイパスライン26には、冷媒配管4Cに比べて、口径の小さい配管を使用することができる。したがって、流量制御弁28として小型で低価格の流量制御弁28を使用することができる。さらに、小型の流量制御弁28は、その弁体を速やかに開閉することができるので、冷媒液の流量を速やかに調節することができる。
【0028】
本実施形態では、バイパスライン26の冷媒出口26cは、冷媒配管4C内に位置している。より具体的には、冷媒出口26cは、下流側オリフィス装置23の開口23aと一直線上に並んでいる。このような配置によれば、冷媒ガスからなる気泡は、下流側オリフィス装置23の開口23aに速やかに到達する。したがって、流量調節の応答速度を向上させることができる。
【0029】
図3は、バイパスライン26から冷媒配管4C内に導入される冷媒液の流量と、下流側オリフィス装置23を通過することができる冷媒液の流量との関係を示すグラフである。
図3に示すように、下流側オリフィス装置23を通過することができる冷媒液の流量は、バイパスライン26から冷媒配管4C内に導入される冷媒液の流量と概ね反比例している。すなわち、バイパスライン26から冷媒配管4C内に導入される冷媒液の流量が増加すると、下流側オリフィス装置23を通過することができる冷媒液の流量は低下する。
【0030】
弁制御部37は、
図3に示すようなグラフを表す関係式を予めその内部に記憶している。弁制御部37は、液面検出器34によって検出された液面レベルに基づいて流量制御弁28の開度を制御する。具体的には、凝縮器3内の冷媒液の液面レベルが設定範囲を下回ると、弁制御部37は流量制御弁28に指令を発して流量制御弁28の開度を増加させる。結果として、下流側オリフィス装置23を通過することができる冷媒液の流量が低下し、凝縮器3内の冷媒液の液面レベルは上昇する。
図3に示すような、バイパスライン26から冷媒配管4C内に導入される冷媒液の流量と、下流側オリフィス装置23を通過することができる冷媒液の流量との関係は、実験または試運転などにより取得することができる。
【0031】
図4は、圧縮式冷凍機の他の実施形態を示す模式図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、
図1および
図2を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態の圧縮式冷凍機は、冷媒配管4Cに取り付けられたサブクーラー45を備えている。このサブクーラー45は、上流側オリフィス装置22の上流側に位置している。バイパスライン26の流入側端部26aは、サブクーラー45の上流側の位置で冷媒配管4Cに接続されている。
【0032】
サブクーラー45は、凝縮器3から蒸発器2に送られる冷媒液を冷却し、冷媒液に含まれる冷媒ガスを過冷却させることができる。したがって、サブクーラー45は、蒸発器2における冷凍能力を向上させることができる。バイパスライン26は、サブクーラー45によって冷却される前の冷媒液を上流側オリフィス装置22と下流側オリフィス装置23の間に導くように冷媒配管4Cに接続されている。このような配置により、バイパスライン26を流れた温度の比較的高い冷媒液は、冷媒配管4Cに流入したときに瞬間的に蒸発し(フラッシュし)、下流側オリフィス装置23を通過する冷媒液の流量を速やかに低下させることができる。
【0033】
図5は、圧縮式冷凍機のさらに他の実施形態を示す模式図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、
図1および
図2を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。圧縮式冷凍機は、凝縮器3と蒸発器2との間に配置されたエコノマイザ9を備えている。凝縮器3は冷媒配管4Cによってエコノマイザ9に連結され、エコノマイザ9は冷媒配管4Dによって蒸発器2に連結されている。さらに、エコノマイザ9は、冷媒配管4Eによって圧縮機1に連結されている。エコノマイザ9は、凝縮器3と蒸発器2との間に配置された中間冷却器である。
【0034】
凝縮器3からエコノマイザ9に延びる冷媒配管4Cには第1冷媒流量調節装置20Aが設けられ、エコノマイザ9から蒸発器2に延びる冷媒配管4Dには第2冷媒流量調節装置20Bが設けられている。本実施形態では、圧縮機1は、多段遠心式圧縮機から構成されている。より具体的には、圧縮機1は二段遠心式圧縮機からなり、一段目羽根車11と、二段目羽根車12と、これらの羽根車11,12を回転させる電動機13とを備えている。
【0035】
圧縮機1の吸込口には、冷媒ガスの羽根車11,12への吸込流量を調整するガイドベーン16が配置されている。ガイドベーン16は一段目羽根車11の吸込側に位置している。ガイドベーン16は放射状に配置されており、各ガイドベーン16が自身の軸心を中心として互いに同期して所定の角度だけ回転することにより、ガイドベーン16の開度が変更される。蒸発器2から送られた冷媒ガスは、ガイドベーン16を通過し、その後、回転する羽根車11,12によって順次昇圧される。昇圧された冷媒ガスは、冷媒配管4Bを通って凝縮器3に送られる。
【0036】
蒸発器2は、被冷却流体(例えば冷水)から熱を奪って冷媒液が蒸発して冷凍効果を発揮する。圧縮機1は、蒸発器2で蒸発した冷媒ガスを圧縮し、凝縮器3は、圧縮された冷媒ガスを冷却流体(例えば冷却水)で冷却して凝縮させることで、冷媒液を生成する。冷媒液は、第1冷媒流量調節装置20Aを通過することによって減圧される。減圧された冷媒液中に存在する冷媒ガスはエコノマイザ9によって分離され、圧縮機1の一段目羽根車11と二段目羽根車12との間に設けた中間吸込口17に送られる。エコノマイザ9を通過した冷媒液は、第2冷媒流量調節装置20Bを通過することによって減圧され、さらに冷媒配管4Dを通って蒸発器2に送られる。
【0037】
第1冷媒流量調節装置20Aは、凝縮器3からエコノマイザ9に流れる冷媒液の流量を調節するために設けられている。この第1冷媒流量調節装置20Aは、
図1および
図2を参照して説明した冷媒流量調節装置20と同じ構成を有している。すなわち、第1冷媒流量調節装置20Aは、冷媒配管4Cに取り付けられた第1上流側オリフィス装置22および第1下流側オリフィス装置23と、冷媒配管4Cから分岐するバイパスライン26と、バイパスライン26に取り付けられた第1流量制御弁28を備えている。
図1および
図2を参照して説明した実施形態の各要素に相当する要素には同じ番号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0038】
第2冷媒流量調節装置20Bは、エコノマイザ9から蒸発器2に流れる冷媒液の流量を調節するために設けられている。この第2冷媒流量調節装置20Bは、バイパスライン26から分岐する分岐ライン51と、分岐ライン51に取り付けられた第2流量制御弁52と、冷媒配管4Dに取り付けられた第2オリフィス装置55を備えている。第2オリフィス装置55は、エコノマイザ9と蒸発器2との間に配置されている。
【0039】
分岐ライン51の流入側端部51aはバイパスライン26に接続され、分岐ライン51の流出側端部51bは、エコノマイザ9と第2オリフィス装置55との間の位置で冷媒配管4Dに接続されている。
図2に示す実施形態と同じように、分岐ライン51は、冷媒配管4D内に位置する冷媒出口(図示せず)を有している。この冷媒出口は、第2オリフィス装置55の開口に近接して配置されている。
【0040】
第2冷媒流量調節装置20Bでは、第2オリフィス装置55の上流側にはオリフィス装置は設けられていない。これは次の理由による。エコノマイザ9を経由して第2オリフィス装置55に到達した冷媒液は、第1上流側オリフィス装置22および第1下流側オリフィス装置23を通過したときに減圧される。一方、分岐ライン51を流れる冷媒液は、第1上流側オリフィス装置22および第1下流側オリフィス装置23を通過していないので、比較的高い圧力を有している。したがって、分岐ライン51を通じて冷媒配管4D内に導入された冷媒液は、低圧の冷媒液の存在下で瞬間的に蒸発(フラッシュ)する。結果として、冷媒ガスからなる気泡は、第2オリフィス装置55を閉塞し、冷媒液の流量を変えることができる。
【0041】
圧縮式冷凍機は、エコノマイザ9内の冷媒液の液面レベルを測定する液面検出器57をさらに備えている。液面検出器57は弁制御部37に電気的に接続されており、液面検出器57の出力信号(すなわち、エコノマイザ9内の冷媒液の液面レベルの測定値)は弁制御部37に送られるようになっている。弁制御部37は、エコノマイザ9内の冷媒液の液面レベルが設定範囲内に維持されるように、第2流量制御弁52を制御するように構成されている。一実施形態では、弁制御部37は、蒸発器2内の圧力が設定範囲内に維持されるように、第2流量制御弁52を制御してもよい。
【0042】
本実施形態によれば、冷媒配管4C,4Dを流れる冷媒液の流量は、第1冷媒流量調節装置20Aと第2冷媒流量調節装置20Bにより2段階で調節することができる。一実施形態では、
図4に示すサブクーラー45を、上流側オリフィス装置22の上流側に配置してもよい。サブクーラー45の設置位置は、
図4に示す実施形態と同じである。
【0043】
図6は、圧縮式冷凍機のさらに他の実施形態を示す模式図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、
図5を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態では、第1冷媒流量調節装置20Aと第2冷媒流量調節装置20Bは同じ構成を有している。
【0044】
第1冷媒流量調節装置20Aは、冷媒配管4Cに取り付けられた第1上流側オリフィス装置22Aおよび第1下流側オリフィス装置23Aと、冷媒配管4Cから分岐する第1バイパスライン26Aと、第1バイパスライン26Aに取り付けられた第1流量制御弁28Aを備えている。第1バイパスライン26Aの流入側端部26aは、第1上流側オリフィス装置22Aの上流側の位置で冷媒配管4Cに接続されている。第1バイパスライン26Aの流出側端部26bは、第1上流側オリフィス装置22Aと第1下流側オリフィス装置23Aとの間の位置で冷媒配管4Cに接続されている。
【0045】
第2冷媒流量調節装置20Bは、冷媒配管4Dに取り付けられた第2上流側オリフィス装置22Bおよび第2下流側オリフィス装置23Bと、冷媒配管4Dから分岐する第2バイパスライン26Bと、第2バイパスライン26Bに取り付けられた第2流量制御弁28Bを備えている。第2バイパスライン26Bの流入側端部26dは、第2上流側オリフィス装置22Bの上流側の位置で冷媒配管4Dに接続されている。第2バイパスライン26Bの流出側端部26eは、第2上流側オリフィス装置22Bと第2下流側オリフィス装置23Bとの間の位置で冷媒配管4Dに接続されている。
【0046】
これら第1冷媒流量調節装置20Aと第2冷媒流量調節装置20Bの上記要素の構成は、
図1および
図2を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0047】
本実施形態でも、冷媒配管4C,4Dを流れる冷媒液の流量は、第1冷媒流量調節装置20Aと第2冷媒流量調節装置20Bにより2段階で調節することができる。
図6に示す実施形態は、第2バイパスライン26Bの長さを、
図5の分岐ライン51の長さよりも短くすることができる点で有利である。その一方で、
図5に示す実施形態は、第2冷媒流量調節装置20Bは単一の第2オリフィス装置55のみを有するので低コストであるという点で有利である。
【0048】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。