特開2020-180772(P2020-180772A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社鷺宮製作所の特許一覧

<>
  • 特開2020180772-膨張弁および冷凍サイクルシステム 図000003
  • 特開2020180772-膨張弁および冷凍サイクルシステム 図000004
  • 特開2020180772-膨張弁および冷凍サイクルシステム 図000005
  • 特開2020180772-膨張弁および冷凍サイクルシステム 図000006
  • 特開2020180772-膨張弁および冷凍サイクルシステム 図000007
  • 特開2020180772-膨張弁および冷凍サイクルシステム 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-180772(P2020-180772A)
(43)【公開日】2020年11月5日
(54)【発明の名称】膨張弁および冷凍サイクルシステム
(51)【国際特許分類】
   F25B 41/06 20060101AFI20201009BHJP
   F16K 27/00 20060101ALI20201009BHJP
   F16K 31/68 20060101ALI20201009BHJP
【FI】
   F25B41/06 H
   F25B41/06 Q
   F16K27/00 Z
   F16K31/68 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-138671(P2019-138671)
(22)【出願日】2019年7月29日
(31)【優先権主張番号】特願2019-84472(P2019-84472)
(32)【優先日】2019年4月25日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 裕正
(72)【発明者】
【氏名】當山 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 祐一
【テーマコード(参考)】
3H051
3H057
【Fターム(参考)】
3H051AA03
3H051CC01
3H051FF08
3H057AA12
3H057BB06
3H057CC07
3H057DD05
3H057FA12
3H057HH18
(57)【要約】
【課題】冷凍サイクルシステムにおいて複数の蒸発器の冷却性能を安定化することができる膨張弁、および、該膨張弁を備えた冷凍サイクルシステムを提供する。
【解決手段】一次ポート221からハウジング2内に導入された冷媒が凹部214内の滞留空間に滞留するとともに、液体成分が液貯留部217に貯留される。液貯留部217および連通流路215がハウジング2内に形成されていることから、液体成分が2つの弁組体3A、3Bに分配されて導入される際に、この液体成分が気化しにくく、安定して液体成分が供給される。従って、冷凍サイクルシステム100Aにおいて複数の蒸発器13の冷却性能を安定化することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次側からの高圧の流体を減圧して二次側に送り出す膨張弁であって、
ハウジングと、
前記ハウジングに収容される複数の弁組体と、を備え、
前記複数の弁組体は、それぞれ、流体を通過させる弁ポートを有する弁本体と、前記弁本体に移動自在に設けられて前記弁ポートの開度を変更する弁体と、を有し、
前記ハウジングは、下方に開口して流体を受け入れる一次ポートと、前記弁組体ごとに設けられて流体を送り出す二次ポートと、前記一次ポートに連続して流体が滞留する滞留空間と、前記複数の弁組体の前記弁本体を収容する収容部と、を有し、
前記滞留空間は、流体の液体成分を貯留する液貯留部と、流体の気体成分を貯留するガス貯留部と、前記液貯留部と前記複数の収容部とを連通させて前記液体成分を当該複数の収容部に分配する複数の連通流路と、を有することを特徴とする膨張弁。
【請求項2】
前記液貯留部は、前記滞留空間の下側部分であり前記一次ポートよりも側方に拡大して設けられ、
前記ガス貯留部は、前記滞留空間の上側部分であり前記液貯留部よりも上方に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の膨張弁。
【請求項3】
前記連通流路は、前記液貯留部の底部に連通して設けられていることを特徴とする請求項2に記載の膨張弁。
【請求項4】
前記滞留空間には、前記一次ポートに連続して上方に延びる流体導入管が設けられ、前記流体導入管の上端が前記連通流路よりも上方に位置することを特徴とする請求項3に記載の膨張弁。
【請求項5】
前記液貯留部には、前記連通流路側に向かうにしたがって容積が小さくなるように容積減少部が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の膨張弁。
【請求項6】
前記滞留空間には、前記一次ポートに連続して上方に延びる流体導入管が設けられ、
前記気貯留部が前記流体導入管の上端側に形成されるとともに、前記液貯留部が前記流体導入管の基端側かつ外面側に形成され、
前記流体導入管が、基端側に向かうにしたがって外径が大きくなるように外周面にテーパ部または段部を有することにより、前記容積減少部が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の膨張弁。
【請求項7】
前記複数の弁組体は、それぞれダイヤフラムおよび操作室を有して前記弁体を駆動する駆動エレメントと、前記二次ポートに接続された蒸発器の出口側温度に応じて封入ガスにより前記操作室の内圧を変化させる感温筒と、を有し、
前記ハウジングと前記複数の弁組体とによってガス封入方式の温度膨張弁を構成することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の膨張弁。
【請求項8】
流体である冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮した冷媒を凝縮する凝縮器と、凝縮した冷媒を膨張させて減圧する請求項1〜7のいずれか1項に記載の膨張弁と、減圧した冷媒を蒸発させる複数の蒸発器と、を備えることを特徴とする冷凍サイクルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膨張弁および該膨張弁を備えた冷凍サイクルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧縮機と凝縮器と膨張弁と蒸発器とを備える冷凍サイクルシステムとして、複数の温度式膨張弁を備えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された冷凍サイクルシステムでは、分配器によって分配された冷媒が各膨張弁に導入されるとともに、各膨張弁に対し、負荷機器側熱交換器である蒸発器が設けられている。また、各膨張弁の開度は、蒸発器の出口温度に応じて変化するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−51497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された冷凍サイクルシステムでは、分配器によって分配された冷媒が配管を通過して各膨張弁に向かう際に、一部の配管において膨張弁に到達する前の冷媒が気化してしまうことがあった。この場合、各膨張弁に流入する冷媒の状態(液冷媒のみ、気液混合の冷媒、ガス冷媒のみ)が互いに異なり、各膨張弁が接続される蒸発器の冷却性能にアンバランスが生じてしまう可能性がある。さらに、気液混合の冷媒やガス冷媒が膨張弁に導入されると、この膨張弁において適切に過熱度制御されなくなり、蒸発器の冷却性能が不安定になってしまう。
【0005】
本発明の目的は、冷凍サイクルシステムにおいて複数の蒸発器の冷却性能を安定化することができる膨張弁、および、該膨張弁を備えた冷凍サイクルシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の膨張弁は、一次側からの高圧の流体を減圧して二次側に送り出す膨張弁であって、ハウジングと、前記ハウジングに収容される複数の弁組体と、を備え、前記複数の弁組体は、それぞれ、流体を通過させる弁ポートを有する弁本体と、前記弁本体に移動自在に設けられて前記弁ポートの開度を変更する弁体と、を有し、前記ハウジングは、下方に開口して流体を受け入れる一次ポートと、前記弁組体ごとに設けられて流体を送り出す二次ポートと、前記一次ポートに連続して流体が滞留する滞留空間と、前記複数の弁組体の前記弁本体を収容する収容部と、を有し、前記滞留空間は、流体の液体成分を貯留する液貯留部と、流体の気体成分を貯留するガス貯留部と、前記液貯留部と前記複数の収容部とを連通させて前記液体成分を当該複数の収容部に分配する複数の連通流路と、を有することを特徴とする。
【0007】
以上のような本発明によれば、一次ポートからハウジング内に導入された流体が滞留空間に滞留するとともに、液体成分が液貯留部に貯留される。液貯留部が複数の収容部と連通していることから、液体成分が各収容部に収容された弁組体に供給される。各弁組体において弁ポートを通過した流体は、膨張することで温度低下し、二次ポートから送り出され、冷凍サイクルシステムにおいて蒸発器に流入する。このとき、液貯留部および連通流路がハウジング内に形成されていることから、液体成分が複数の弁組体に分配されて導入される際に、この液体成分が気化しにくく、安定して液体成分が供給される。従って、冷凍サイクルシステムにおいて複数の蒸発器の冷却性能を安定化することができる。
【0008】
この際、本発明の膨張弁では、前記液貯留部は、前記滞留空間の下側部分であり前記一次ポートよりも側方に拡大して設けられ、前記ガス貯留部は、前記滞留空間の上側部分であり前記液貯留部よりも上方に設けられていることが好ましい。このような構成によれば、滞留空間に導入された流体が、上側部分であるガス貯留部に気体成分が貯留され、下側部分である液貯留部に液体成分が貯留される。これにより、ガス貯留部に貯留された気体成分が弁組体に導入されることを抑制することができる。
【0009】
さらに、本発明の膨張弁では、前記連通流路は、前記液貯留部の底部に連通して設けられていることが好ましい。このような構成によれば、液貯留部の底部に溜まった液体成分が収容部に流れ込み、各弁組体に液体成分が分配される。即ち、気体成分が弁組体に導入されることを抑制することができる。
【0010】
さらに、本発明の膨張弁では、前記滞留空間には、前記一次ポートに連続して上方に延びる流体導入管が設けられ、前記流体導入管の上端が前記連通流路よりも上方に位置することがより好ましい。このような構成によれば、流体導入管によって、一次ポートからハウジング内に導入された気液混合状態の流体が連通流路に直接向かうことが阻害される。従って、気体成分が液貯留部に導入されることを抑制し、各弁組体に液体成分を分配することができる。
【0011】
また、本発明の膨張弁では前記液貯留部には、前記連通流路側に向かうにしたがって容積が小さくなるように容積減少部が形成されていてもよい。このような構成によれば、液貯留部の容積を小さくすることにより、液貯留部に液体成分が流れ込んだ際に液位を高くすることができ、液体成分を弁組体に供給しやすくすることができる。さらに、連通流路に向かうにしたがって液貯留部の容積を小さくすることにより、単に液貯留部全体の容積を小さくする構成と比較して、気貯留部と液貯留部との境界部分における開口寸法を確保することができ、液貯留部に流体を流入させやすくすることができる。
【0012】
このとき、本発明の膨張弁では、前記滞留空間には、前記一次ポートに連続して上方に延びる流体導入管が設けられ、前記気貯留部が前記流体導入管の上端側に形成されるとともに、前記液貯留部が前記流体導入管の基端側かつ外面側に形成され、前記流体導入管が、基端側に向かうにしたがって外径が大きくなるように外周面にテーパ部または段部を有することにより、前記容積減少部が形成されていてもよい。
【0013】
このような構成によれば、基端側に向かうにしたがって外径が大きくなるようにテーパ部または段部が形成されていることで、液体成分がテーパ部または段部を伝って流れやすく、この液体成分を連通流路に流入させやすくすることができる。
【0014】
また、本発明の膨張弁では、前記複数の弁組体は、それぞれダイヤフラムおよび操作室を有して前記弁体を駆動する駆動エレメントと、前記二次ポートに接続された蒸発器の出口側温度に応じて封入ガスにより前記操作室の内圧を変化させる感温筒と、を有し、前記ハウジングと前記複数の弁組体とによってガス封入方式の温度膨張弁を構成することが好ましい。このような構成によれば、各弁組体に接続される蒸発器の出口側温度等に差が生じ、弁ポートの開度が互いに異なる場合であっても、開度に応じた適切な量の流体を各弁組体に供給することができる。
【0015】
本発明の冷凍サイクルシステムは、流体である冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮した冷媒を凝縮する凝縮器と、凝縮した冷媒を膨張させて減圧する上記いずれかに記載の膨張弁と、減圧した冷媒を蒸発させる複数の蒸発器と、を備えることを特徴とする。このような本発明によれば、上記のように複数の弁組体に液冷媒を供給することで、複数の蒸発器の冷却性能を安定化することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の膨張弁および冷凍サイクルシステムによれば、一次ポートからハウジング内に導入された流体の液体成分が、収容部に連通した液貯留部に貯留されることで、冷凍サイクルシステムにおいて複数の蒸発器の冷却性能を安定化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係る冷凍サイクルシステムを示すシステム図である。
図2】前記冷凍サイクルシステムに設けられる膨張弁を示す断面図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る冷凍サイクルシステムに設けられる膨張弁を示す断面図である。
図4】第1の変形例に係る膨張弁の要部を示す断面図である。
図5】第2の変形例に係る膨張弁の要部を示す断面図である。
図6】第3の変形例に係る膨張弁の要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の各実施形態について、図面を参照して説明する。尚、第2実施形態においては、第1実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材及び同様な機能を有する構成部材には、第1実施形態と同じ符号を付すとともに説明を省略する。
【0019】
[第1実施形態]
本実施形態の冷凍サイクルシステム100Aは、図1に示すように、冷媒(流体)を膨張させて減圧する膨張弁10と、冷媒を圧縮する圧縮機11と、冷媒を凝縮する凝縮器12と、冷媒を蒸発させる蒸発器13と、を備える。この冷凍サイクルシステム100Aは、例えば、冷蔵庫、冷凍庫、空気調和機等に用いられる。また、本実施形態では、鉛直方向をZ方向とし、水平面に沿うとともに互いに直交する2方向をX方向およびY方向とする。
【0020】
膨張弁10は、図2に示すように、1つのハウジング2と、2つの弁組体3A、3Bと、を有するガス封入方式の温度膨張弁である。ハウジング2は、ハウジング本体21と、入口コネクタ22と、を別体に有する。尚、膨張弁に設けられる弁組体の数および後述する二次ポートの数は、蒸発器の数に応じたものであればよく、3以上であってもよい。
【0021】
ハウジング本体21は、全体が金属部材によって構成されるとともに、Z方向下方側に開口した入口開口部211と、Z方向上方側に開口した2つの収容部212と、Y方向に開口した2つの二次ポート213と、凹部214と、を有する。2つの収容部212は、それぞれZ方向(後述する一次ポート221における冷媒の導入方向)に沿って延びる筒状に形成され、Z方向下方の小径部212Aと上方の大径部212Bとを有しており、大径部212Bにおいて、各収容部212に対応した二次ポート213と連通している。尚、二次ポート213が開口する方向はX方向に限定されず、Y方向やZ方向、他の方向であってもよい。ハウジング本体21には、入口開口部211からZ方向上方側(一次ポート221から離れた側)に向かって延びるように、凹部214が形成されている。凹部214は、底部(Z方向上方側)214Aと、底部214Aよりも下方側においてXY平面内で外側に向かうように延びる拡径部214Bと、を有し、底部214Aに向かうにしたがって内径が小さくなるすり鉢形状を有している。
【0022】
入口コネクタ22は、全体が金属部材によって構成されるとともに、凝縮器12の出口側に接続される一次ポート221が形成されている。入口コネクタ22がハウジング本体21の入口開口部211に取り付けられる。尚、ハウジング本体21と入口コネクタ22との間にはOリング23が設けられ、ハウジング2内部の気密性が保たれる。入口コネクタ22は、上面部222と、一次ポート221に連続してZ方向上方に延びるとともに上面部222から突出した流体導入管223と、を有する。
【0023】
弁組体3A、3Bは、いずれも同様の構成を有しており、以下では弁組体3Aについて説明する。弁組体3Aは、弁本体4と、弁体5と、駆動エレメント6と、感温筒7と、によって構成される。
【0024】
弁本体4は、樹脂部材によって構成され、ハウジング本体21の収容部212に収容される。弁本体4のうち小径部212Aに収容される下側部分41は、Z方向を軸方向とする円筒状に形成され、側面に開口部411を有するとともに下端開口に調節ねじ51が設けられ、調節ばね52および弁体5を収容する。
【0025】
弁本体4のうち大径部212Bに収容される上側部分42は、後述する弁座部43の上方においてZ方向に沿って延びる筒状の案内部422と、案内部422に略直交するように延びる冷媒通過部423と、上面に形成された溝状のばね収容部424と、を有する。後述する下蓋62が弁本体4にインサート成形されることにより、下蓋62の一部である弁座部43が下側部分41の内側空間の上方に配置される。ばね収容部424と冷媒通過部423とは、均圧孔によって連通されている。駆動エレメント6には、後述する下蓋62とダイヤフラム63とによって囲まれた下側操作室が形成されており、下側操作室は、ばね収容部424を介して冷媒通過部423と連通している。尚、ばね収容部424と冷媒通過部423とは、案内部422と後述する連結棒8との間の微小な隙間により連通されていてもよく、この場合には均圧孔が形成されていなくてもよい。即ち、冷媒通過部423の圧力に応じた適宜な量の冷媒がばね収容部424に導入されるような構成とされていればよい。
【0026】
案内部422の内側には、連結棒8が配置され、連結棒8はZ方向に沿って移動するように案内される。連結棒8の下端部は、弁ポート431を通過可能な外径を有するように先細り形状となっている。
【0027】
弁体5は、上面が閉塞されて下面が開口した有底筒状に形成され、上端に形成されたニードル部53が弁座部材43に対して接近または離隔することで弁ポート431の開度が調節されるようになっている。調節ばね52は、弁体5に対して下方に設けられて上方への付勢力を付与し、調節ねじ51によってこの付勢力が調節可能となっている。また、弁体5の上面部には貫通孔54が形成されており、上面部の両側空間(筒の内側空間およびその上方空間)が連通するようになっている。弁体5の筒部が下側部分41の上部によって案内されることにより、弁体5は弁本体4に対してZ方向に移動自在となっている。
【0028】
連結棒8の先端は、弁体5のニードル部53の先端と常に当接する。後述するように駆動エレメント6によって連結棒8がZ方向に駆動されることにより、弁体5が連結棒8に従動してZ方向に移動する。これにより、弁ポート431に対するニードル部53の位置が調節されるようになっている。
【0029】
弁本体4とハウジング本体21との間には、下側部分41の上端部に対応する位置と、上側部分42の上端部に対応する位置と、のそれぞれにOリング44、45が設けられている。これにより、収容部212の外部空間に対する気密性が保たれる。また、小径部212A内の空間と大径部212B内の空間とが弁ポート431以外において連通しないようになっている。
【0030】
膨張弁10において、一次ポート221は凝縮器12から冷媒を受け入れ、この冷媒は、収容部212に導入された後、弁本体4の下側部分41の開口部411および調節ねじ51の貫通孔511、弁体5の貫通孔54、弁ポート431および冷媒通過部423をこの順で通過し、二次ポート213から蒸発器13に送り出される。尚、本実施形態では、下側部分41の開口部411および調節ねじ51の貫通孔511の両方により、下側部分41内に冷媒を導入しているが、開口部411と貫通孔511とのうちいずれか一方のみを形成し、一方のみにより下側部分41内に冷媒を導入する構成としてもよい。
【0031】
駆動エレメント6は、上蓋61と、下蓋62と、ダイヤフラム63と、を有し、当金64および連結棒8を介して弁体5を駆動する。平面視円状のダイヤフラム63の外縁部が上蓋61と下蓋62とによって挟み込まれて溶接されることにより、ダイヤフラム63と上蓋61との間に操作室66が形成される。操作室66の下方には、上記のように下蓋62とダイヤフラム63とによって囲まれた下側操作室が形成される。
【0032】
下蓋62は、プレス加工により成形され、Z方向に沿って延びる孔付筒部と、弁座部43を構成する孔付有底部と、を有し、この筒部および有底部が弁本体4にインサート成形されている。当金64は、ダイヤフラム63の下面に設けられるとともに、連結棒8の上端部がカシメ等により接続される。即ち、ダイヤフラム63の変形が、当金64を介して連結棒8に伝達されるようになっている。
【0033】
また、弁本体4にはコイルばね65が配置され、コイルばね65は、弁本体4のばね収容部424に収容され、その上端部が当金64に当接する。即ち、コイルばね65は、当金64を介してダイヤフラム63に対して上方への付勢力を付与する。
【0034】
操作室66または下側操作室の内圧が上昇または低下すると、操作室66が膨張または収縮するようにダイヤフラム63が変形する。ダイヤフラム63の変形に伴い、連結棒8がZ方向に移動する。具体的には、例えば、操作室66の内圧が低下した場合、ダイヤフラム63に対して上側から加わる下方向への力(内圧相当荷重)が低下し、ダイヤフラム63に対して下側から加わる上方向への力(二次圧力相当荷重とコイルばね65の荷重と調節ばね52の荷重との総和)を下回ると、操作室66が収縮するようにダイヤフラム63が変形する。これにより、連結棒8がZ方向上側に移動し、弁開度が小さくなる。
【0035】
ハウジング本体21には、抜け止め部材67が取り付けられており、上蓋61の外縁部の上面が抜け止め部材67によって係止されることにより、駆動エレメント6および弁本体4が収容部212から脱落しないようになっている。尚、抜け止め部材67は、例えばバネ材により構成されることで弾性を有することにより、Z方向において駆動エレメント6をハウジング本体21に押し付けるような力を付与し、これにより駆動エレメント6をハウジング本体21に密着させて隙間が生じないようにすることが好ましい。また、このように抜け止め部材67が弾性を有する場合、開口部411および貫通孔511の位置を安定化させることができる。
【0036】
感温筒7は、蒸発器13の出口近傍に配置される。感温筒7の内部空間と操作室66の内部空間とは、キャピラリチューブ9を介して連通するとともに封入ガスが封入されている。尚、封入ガスは、冷凍サイクルシステム100Aにおいて循環する装置冷媒と同一のガスであってもよいし、装置冷媒と同一または類似した温度圧力特性を有するガスであってもよいし、不活性ガスが混合されていてもよい。
【0037】
感温筒7内の封入ガスは、蒸発器13の出口側温度に応じて温度変化し、感温筒7の内圧が変化する。これに伴い、キャピラリチューブ9を介して操作室66の内圧も変化し、上記のようにダイヤフラム63が変形する。
【0038】
ハウジング2は、1個の一次ポート221および弁組体3A、3Bごとに二次ポート213を有する(計2個の二次ポート213を有する)とともに、2つの弁組体3A、3Bの弁本体4、弁体5および駆動エレメント6を収容する。これにより、ハウジング2および弁組体3A、3Bがガス封入方式の温度膨張弁を構成する。尚、本実施形態ではハウジング2が1個の一次ポート221を有するものとするが、ハウジングが複数の一次ポートを有していてもよい。例えば、2個の一次ポートに対してそれぞれ2つの弁組体および2個の二次ポート(計4つの弁組体および計4個の二次ポート)が設けられる構成としてもよいし、4個の一次ポートに対してそれぞれ1つの弁組体および1個の二次ポート(計4つの弁組体および計4個の二次ポート)が設けられる構成としてもよい。このとき、ハウジングは、冷凍サイクルシステムに設けられる蒸発器の数に応じた(例えば同数の)二次ポートを有していればよい。
【0039】
以下に、ハウジング2に形成される冷媒の流路の詳細について説明する。ハウジング本体21に入口コネクタ22が取り付けられると、流体導入管223が凹部214内に配置される。流体導入管223が拡径部214Bの下方に配置され、流体導入管223の上端と拡径部214Bとの間に、XY平面に沿った方向に流体が通過可能な通過部24が形成される。収容部212の小径部212Aは、Z方向下方側(一次ポート221側)端部に開口部212Cを有する。開口部212Cは、X方向から見て流体導入管223によって覆われる。
【0040】
このような凹部214内の空間全体が、一次ポート221に連続して冷媒が滞留する滞留空間となる。さらに、入口コネクタ22の上面部222の上方かつ流体導入管223よりも低い位置の領域のうち、収容部212と凹部214とを区画する界壁216よりも一次ポート221側の部分が液貯留部217となり、界壁216の下方側に位置する領域が連通流路215となる。即ち、流体導入管223の上端が連通流路215よりも上方に位置する。また、凹部214のうち流体導入管223よりもZ方向上方の領域がガス貯留部218となる。
【0041】
液貯留部217は、凹部214内に形成される滞留空間の下側部分であり、且つ、一次ポート221に対してXY平面において外側に形成されており、即ち、一次ポート221の開口面積よりも側方に拡大されたものである。また、ガス貯留部218は、凹部214内に形成される滞留空間の上側部分である。また、収容部212の底面と入口コネクタ22の上面部222とが略同一平面上に配置されており、連通流路215が液貯留部217の底部に連通して設けられている。
【0042】
上記のように、滞留空間を形成する凹部214は、冷媒の液体成分を貯留可能な液貯留部217と、気体成分を貯留可能なガス貯留部218と、を有し、連通流路215によって液貯留部217と収容部212とが連通されている。ハウジング2は、弁組体3A、3Bの各収容部212に対応した計2つの連通流路215と、2つの連通流路215の全てと連通した1つの凹部214と、を有しており、即ち、凹部214は、2つの収容部212に共通して設けられている。これにより、液貯留部217に貯留された液体成分が連通流路215を通過し、複数の収容部212に分配されるようになっている。尚、図2では、流体導入管223のX方向両側に液貯留部217が形成されているが、X方向両側に液貯留部217は連通しており、X方向両側において液面高さが略等しくなる。即ち、弁組体3A、3Bのいずれかにおいて弁ポート431の開度が急に大きくなり、X方向一方側において液貯留部217の液面高さが低下した場合、他方側から液体成分が速やかに補充される。
【0043】
上記のようなハウジング2において、一次ポート221から導入された冷媒は、流体導入管223を通過してZ方向上方側に向かって流れ、凹部214の底部214Aまたは界壁216に衝突する。尚、凝縮器12の出口側において冷媒は基本的に液体となっているが、膨張弁10に導入されるまでの間に一部が気化することがある。冷媒の熱がハウジング本体21によって奪われることにより、冷媒中の液体成分の少なくとも一部が凝縮して液体成分となってもよく、液体成分は界壁216を伝って下降する。
【0044】
凹部214内に流入した冷媒は、液体成分と気体成分とが分離され、液体成分が下方に向かい、気体成分が上方に向かうことにより、液相と気相とが形成される。このような状態でさらに流入した冷媒は、気体成分が液相中を上昇して気相に向かい、液体成分が液相に留まる。このようにして、冷媒の液体成分が液貯留部217に貯留され、気体成分がガス貯留部218に貯留される。
【0045】
2つの連通流路215が略同一高さに設けられ、2つの収容部212の開口部212Cが略同一高さに設けられている。これにより、液貯留部217に貯留された液体成分の各収容部212への供給可能量が略等しくなる。即ち、各収容部212に対する液体成分の流れ込みやすさが略等しい。尚、各収容部212に実際に流れ込む液体成分の量は、それぞれの弁ポート431の開度によって決まる。
【0046】
尚、本実施形態では、凹部214は、以下に説明するようにZ方向上方に延びているが、底部214Aの位置は以下に限定されるものではない。二次ポート213は、大径部213Aおよび小径部213Bを有し、大径部213Aおよび小径部213Bのそれぞれの内側に位置するように出口コネクタが取り付けられ、出口コネクタの内径が有効二次ポート径となる。有効二次ポート径は、冷媒通過部423の内径と略等しい。本実施形態では、凹部214の底部214Aは、大径部213Aの上端よりもZ方向上方側に位置している。即ち、滞留空間は、二次ポート213よりも一次ポート221から離れた位置まで延びている。
【0047】
ここで、膨張弁10の詳細な動作について説明する。まず、蒸発器13の出口側温度が低下した場合、感温筒7内の封入ガスの温度が低下し、感温筒7の内圧が低下する。これにより、操作室66の内圧も低下し、操作室66が収縮するようにダイヤフラム63が上方に向かって変形する。ダイヤフラム63の変形に伴い、連結棒8が上方に向かって移動し、さらに弁体5も上方に向かって移動する。即ち、弁体5のニードル部53が弁座部材43に接近し、弁ポート431の開度が小さくなり、通過する冷媒の流量が減少する。このように、蒸発器13の出口側温度が低下した場合には、膨張弁10を通過する冷媒の流量が減少し、膨張弁10による冷却作用が低下する。
【0048】
一方、蒸発器13の出口側温度が上昇した場合、感温筒7内の封入ガスの温度が上昇し、感温筒7の内圧が上昇する。これにより、操作室66の内圧も上昇し、操作室66が膨張するようにダイヤフラム63が下方に向かって変形する。ダイヤフラム63の変形に伴い、連結棒8が下方に向かって移動し、さらに弁体5も下方に向かって移動する。即ち、弁体5のニードル部53が弁座部材43から遠ざかり、弁ポート431の開度が大きくなり、通過する冷媒の流量が増加する。このように、蒸発器13の出口側温度が上昇した場合には、膨張弁10を通過する冷媒の流量が増加し、膨張弁10による冷却作用が上昇する。
【0049】
以上の本実施形態によれば、一次ポート221からハウジング2内に導入された冷媒が凹部214内の滞留空間に滞留するとともに、液体成分が液貯留部217に貯留される。液貯留部217および連通流路215がハウジング2内に形成されていることから、液体成分が2つの弁組体3A、3Bに分配されて導入される際に、この液体成分が気化しにくく、安定して液体成分が供給される。従って、冷凍サイクルシステム100Aにおいて複数の蒸発器13の冷却性能を安定化することができる。
【0050】
また、液体成分が2つの弁組体3A、3Bに分配されて導入される際に気化しにくいことから、一次ポート221から導入される冷媒の総量が低下した場合でも、複数の蒸発器13の冷却性能を安定化することができる。さらに、2つの弁組体3A、3Bのうち一方において弁ポート431の開度が極端に大きい場合であっても、他方において冷媒の供給量不足が生じにくい。
【0051】
また、液貯留部217が滞留空間の上側部分でありガス貯留部218が下側部分であることで、ガス貯留部218に気体成分が貯留され、液貯留部217に液体成分が貯留される。これにより、液貯留部217から各弁組体3A、3Bに気体成分が導入されることを抑制することができる。
【0052】
また、収容部212に連通した連通流路215が液貯留部217の底部に連通していることで、液貯留部217の底部に溜まった液体成分が収容部212に流れ込み、各弁組体3A、3Bに気体成分が導入されることを抑制することができる。
【0053】
また、一次ポート221に連続して流体導入管223がZ方向上方に延び、流体導入管223の上端が連通流路215よりも上方に位置することで、流体導入管223によって、一次ポート221からハウジング2内に導入された気液混合状態の冷媒が連通流路215に直接向かうことが阻害される。従って、気体成分が液貯留部217に導入されることを抑制し、各弁組体3A、3Bに液体成分を分配することができる。
【0054】
[第2実施形態]
本実施形態の冷凍サイクルシステムは、図3に示すような膨張弁10Bを備える。本実施形態の膨張弁10Bでは、第1実施形態の膨張弁10に対し、流体導入管223Bの形状および配置が異なっている。
【0055】
即ち、第1実施形態の膨張弁10では、凹部214の拡径部214Bのうち最も内側の部分と、流体導入管223の上端面と、がZ方向に並ぶように配置されているのに対し、本実施形態の膨張弁10Bでは、流体導入管223Bの上端面が拡径部214Bのうち最も内側の部分に対してさらに内側に設けられている。これにより、流体導入管223Bと拡径部214Bとの間には、Z方向に沿って流体が通過可能な通過部24Bが形成される。
【0056】
また、流体導入管223Bの外周面には、テーパ部224が形成されている。テーパ部224は、流体導入管223Bの上端から基端の全体に亘って形成されるとともに、上端から基端に向かうにしたがって流体導入管223Bの外径が徐々に大きくなるように形成されている。
【0057】
本実施形態においても、凹部214内の空間全体が滞留空間となり、入口コネクタ22の上面部222の上方かつ流体導入管223Bよりも低い位置の領域のうち、収容部212と凹部214とを区画する界壁216よりも一次ポート221側の部分が液貯留部217となり、凹部214のうち流体導入管223BよりもZ方向上方の領域がガス貯留部218となる。
【0058】
即ち、テーパ部224は液貯留部217に形成されている。さらに、テーパ部224が形成されていることにより、テーパ部が形成されない構成と比較して、連通流路215側に向かうにしたがって液貯留部217の容積が小さくなっており、容積減少部が形成されている。
【0059】
以上の本実施形態によれば、前記第1実施形態と同様に、液貯留部217および連通流路215がハウジング2内に形成されていることから、安定して液体成分が供給され、冷凍サイクルシステム100Aにおいて複数の蒸発器13の冷却性能を安定化することができる。
【0060】
さらに、液貯留部217の容積を小さくする容積減少部が形成されていることで、液貯留部217に液体成分が流れ込んだ際に液位を高くすることができ、液体成分を弁組体3A、3Bに供給しやすくすることができる。さらに、連通流路215に向かうにしたがって液貯留部217の容積を小さくすることにより、単に液貯留部全体の容積を小さくする構成と比較して、ガス貯留部218と液貯留部217との境界部分である通過部24Bにおける開口寸法を確保することができ、液貯留部217に流体を流入させやすくすることができる。
【0061】
また、上端から基端に向かうにしたがって流体導入管223Bの外径が大きくなるように流体導入管223Bの外周面にテーパ部224が形成されていることで、液体成分がテーパ部224を伝って流れやすく、この液体成分を連通流路215に流入させやすくすることができる。
【0062】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。例えば、前記実施形態では、滞留空間の上側部分にガス貯留部218が形成されるとともに下側部分に液貯留部217が形成され、連通流路215が液貯留部217に連通しているものとしたが、このような構成に限定されず、液貯留部に貯留された液体成分が連通流路を通過して収容部に向かうような構成であればよい。
【0063】
また、前記実施形態では、ハウジング2と2つの弁組体3A、3Bとによってガス封入均圧式の温度膨張弁が構成されるものとしたが、本発明の膨張弁はガス封入均圧式に限定されない。即ち、膨張弁は、駆動エレメント6や感温筒7によって弁ポート431の開度を調節する構成に限定されず、ステッピングモータ等のモータの駆動によって弁ポートの開度を調節する構成としてもよいし、弁体に加わる弁ポートの前後の圧力差によって弁体を駆動し、弁ポートの開度を変更する構成としてもよく、冷媒を減圧、膨張させる絞り装置であればよい。
【0064】
また、前記第2実施形態では、流体導入管223Bの外周面のテーパ部224によって液貯留部217に容積減少部が形成されているものとしたが、他の構成によって容積減少部が形成されていてもよい。例えば第1の変形例として図4に示すように、上端から基端に向かうにしたがって流体導入管223Cの外径が複数段階で大きくなるように、流体導入管223Cの外周面に段部225が形成されていてもよい。このような構成においても、連通流路215に向かうにしたがって液貯留部217の容積を小さくする容積減少部が形成され、液体成分を弁組体3A、3Bに供給しやすくすることができるとともに、液貯留部217に流体を流入させやすくすることができる。また、液体成分が段部225を伝って流れやすく、この液体成分を連通流路215に流入させやすくすることができる。
【0065】
また、第2の変形例として図5に示すように、流体導入管223Dの基端部における外周面に、上端から基端に向かうにしたがって流体導入管223Dの外径が徐々に大きくなるようにテーパ部226が形成されていてもよい。第2の変形例において、流体導入管223Dのうちテーパ部226よりも上方の部分は外径が略一定となっている。また、テーパ部226は、上方から見て凹状の曲面となっている。このような構成においても、連通流路215に向かうにしたがって液貯留部217の容積を小さくする容積減少部が形成され、液体成分を弁組体3A、3Bに供給しやすくすることができるとともに、液貯留部217に流体を流入させやすくすることができる。また、液体成分がテーパ部226を伝って流れやすく、この液体成分を連通流路215に流入させやすくすることができる。
【0066】
また、第3の変形例として図6に示すように、流体導入管223Eの上端部における外周面に、上端から基端に向かうにしたがって流体導入管223Eの外径が徐々に大きくなるようにテーパ部227が形成されていてもよい。第3の変形例において、流体導入管223Eのうちテーパ部227よりも下方の部分は外径が略一定となっている。また、テーパ部227は、上方に凸の曲面となっている。このような構成においても、連通流路215に向かうにしたがって液貯留部217の容積を小さくする容積減少部が形成され、液体成分を弁組体3A、3Bに供給しやすくすることができるとともに、液貯留部217に流体を流入させやすくすることができる。また、液体成分がテーパ部227を伝って流れやすく、この液体成分を連通流路215に流入させやすくすることができる。
【0067】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
100A 冷凍サイクルシステム
10 膨張弁
11 圧縮機
12 凝縮器
13 蒸発器
2 ハウジング
212 収容部
213 二次ポート
214 凹部(滞留空間)
215 連通流路
217 液貯留部
218 ガス貯留部
221 一次ポート
223 流体導入管
224、226、227 テーパ部
225 段部
3A、3B 弁組体
4 弁本体
431 弁ポート
5 弁体
6 駆動エレメント
63 ダイヤフラム
66 操作室
7 感温筒
図1
図2
図3
図4
図5
図6