(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-180926(P2020-180926A)
(43)【公開日】2020年11月5日
(54)【発明の名称】圧力センサ
(51)【国際特許分類】
G01L 19/06 20060101AFI20201009BHJP
【FI】
G01L19/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-85460(P2019-85460)
(22)【出願日】2019年4月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 慎太郎
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055AA39
2F055BB10
2F055CC02
2F055DD11
2F055EE27
2F055FF21
2F055GG12
2F055GG25
(57)【要約】
【課題】圧力センサにおいて、真空度の比較的高い圧力を検出する場合であっても、ダイヤフラムが損傷することなく、しかも、ダイヤフラムと受圧板とが分離される事態を確実に回避できること。
【解決手段】アッパハウジング12内に移動可能に配され永久磁石26を有する受圧板24は、ダイヤフラム18のテーパ面部18Fbに嵌合され、3°以上5°以下の範囲のテーパ角度を有する中空の円錐台部24CYを有するとともに、圧力室10Aの圧力が所定の真空度の場合、ダイヤフラム18の円板部18Faが当接される連通管10IN内のリブ16Dの一端面が、ロアハウジング10における圧力室10Aを形成するテーパ面部10ITに連なる段差部10Sの面と共通の平面上にあるもの。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検出圧力が供給される連通路に連通する圧力室を有するロアハウジングと、
受圧板が移動可能に配される受圧板収容室を基台部内に有するとともに前記被検出圧力に応じた該受圧板の変位を検出する受圧板変位検出部を備え、該基台部が前記ロアハウジングの圧力室の回りに接合されるアッパハウジングと、
前記圧力室の圧力に応じて変位せしめられる前記受圧板の下端部に嵌合される嵌合部を有し、該圧力室と前記受圧板収容室とを仕切る弾性変位可能なダイヤフラムと、
前記受圧板収容室内に配され、前記ダイヤフラムを前記受圧板収容室の内容積を増大させる方向に付勢する付勢部材と、
前記受圧板の下端部と前記ダイヤフラムの嵌合部との分離を回避する嵌合部分離回避手段と、
前記ロアハウジングの連通路内に設けられ、前記圧力室の圧力に基づいて前記受圧板収容室の内容積が増大する場合、前記ダイヤフラムの嵌合部に当接し該ダイヤフラムの移動を停止させるストッパ部と、
を具備して構成される圧力センサ。
【請求項2】
前記嵌合部分離回避手段は、前記ダイヤフラムの嵌合部のテーパ面部と、円板部と、前記受圧板の下端部における円錐台部とにより形成されることを特徴とする請求項1記載の圧力センサ。
【請求項3】
前記受圧板の下端部における円筒部は、少なくとも1つの係合リブ、または、溝を有するとともに、前記ダイヤフラムの嵌合部は、前記係合リブが係合される溝、または、前記円筒部の溝に係合される係合リブを有することを特徴とする請求項1記載の圧力センサ。
【請求項4】
前記受圧板の下端部における円錐台部は、少なくとも1つの係合リブ、または、溝を有するとともに、前記ダイヤフラムの嵌合部のテーパ面部は、前記係合リブが係合される溝、または、前記円錐台部の溝に係合される係合リブを有することを特徴とする請求項2記載の圧力センサ。
【請求項5】
前記ロアハウジングにおける圧力室の一部を形成する小部屋は、テーパ面部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちのいずれかに記載の圧力センサ。
【請求項6】
前記ストッパ部は、前記圧力室に向き合う連通路の開口端面と面一となる端面を有し、前記連通路と一体に形成されるリブであることを特徴とする請求項1記載の圧力センサ。
【請求項7】
前記ストッパ部は、前記圧力室に向き合う連通路の開口端面に設けられ、貫通孔を有する板状部材であることを特徴とする請求項1記載の圧力センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイヤフラムおよび受圧板を備える圧力センサに関する。
【背景技術】
【0002】
圧力センサにおいては、炊飯器用の微圧センサとして、流体の圧力に応じて変位するダイヤフラムの変位を、永久磁石およびホール素子からなる磁気センサにより検出することによって流体の圧力を表す出力信号を供給するものが実用に供されている。そのような圧力センサは、例えば、特許文献1に示されるように、シリコーンゴム製のダイヤフラムと、上側本体のガイド室に摺動可能に配される円筒状の受圧板と、上側本体に配され受圧板を継手本体に向う方向に付勢するコイルバネと、受圧板に設けられる永久磁石に対向して上側本体に設けられるリニアホールICとを含んで構成されている。
【0003】
受圧板には、ダイヤフラムの受圧板支持部が嵌合され固定される。ダイヤフラムは、上側本体と継手本体とにより形成される内部空間を仕切るものとされる。ダイヤフラムは、受圧板支持部と、上側本体の下端フランジ部と継手本体の段部とにより挟持されるフランジ部と、受圧板支持部とフランジ部とを連結するバネ力付与部とからなる。ダイヤフラムの受圧板支持部に形成される段付凹部には、円筒状の受圧板の下端部に形成される段付凸部が嵌合されている。ダイヤフラムの受圧板支持部は、流体が導入される継手本体の継手部の導入口に向き合っている。斯かる構成において、導入口に導入された被検出圧力に基づくダイヤフラムおよび受圧板の変位が永久磁石およびリニアホールICにより検出されることにより、圧力を表す出力信号が形成されることとなる。
【0004】
また、炊飯器においては、例えば、特許文献2に示されるように、蓋体内に設けられる真空装置、正圧装置、および、圧力検出モジュール(圧力センサ)と、調理チェンバーを有する本体とを備え、真空装置、および、正圧装置が、圧力検出モジュール(圧力センサ)からの検出信号に基づいて動作制御されることにより、調理チェンバー内の圧力を制御することが提案されている。斯かる圧力制御においては、炊飯における吸引段階で真空装置が作動され、大気圧(101.33kPa)以下の真空度の比較的高い圧力まで真空引きされ、蒸らし段階においては、真空度の比較的低い圧力まで真空引きされ、調理チェンバー内の圧力が負圧に維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−33443号公報
【特許文献2】特開2019−10495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の特許文献2に示される炊飯器において、特許文献1に示される圧力センサが使用され、真空度の比較的高い圧力で負圧制御が繰り返し行われる場合、ダイヤフラムの受圧板支持部の外径が継手本体の継手部の導入口の内径よりも小さいのでダイヤフラムの受圧板支持部が継手本体の継手部の導入口内に引き込まれることにより、バネ力付与部が反転するとともに、受圧板支持部周辺が導入口の開口端周縁に衝突することによってダイヤフラムが損傷する虞がある。その際、引き込まれた受圧板支持部に形成される段付凹部と、受圧板の下端部に形成される段付凸部との嵌合が万一、外れ、互いに分離する虞もある。このような場合、仮にダイヤフラムが初期の状態に戻った場合であっても、ダイヤフラムから分離した受圧板の永久磁石のリニアホールICに対する相対位置が初期に調整された位置とは異なるので圧力センサの出力特性に誤差が生じることとなる。
【0007】
以上の問題点を考慮し、本発明は、ダイヤフラムおよび受圧板を備える圧力センサであって、真空度の比較的高い圧力を検出する場合であっても、ダイヤフラムが損傷することなく、しかも、ダイヤフラムと受圧板とが分離される事態を確実に回避できる圧力センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明に係る圧力センサは、被検出圧力が供給される連通路に連通する圧力室を有するロアハウジングと、受圧板が移動可能に配される受圧板収容室を基台部内に有するとともに被検出圧力に応じた受圧板の変位を検出する受圧板変位検出部を備え、基台部がロアハウジングの圧力室の回りに接合されるアッパハウジングと、圧力室の圧力に応じて変位せしめられる受圧板の下端部に嵌合される嵌合部を有し、圧力室と受圧板収容室とを仕切る弾性変位可能なダイヤフラムと、受圧板収容室内に配され、ダイヤフラムを受圧板収容室の内容積を増大させる方向に付勢する付勢部材と、受圧板の下端部とダイヤフラムの嵌合部との分離を回避する嵌合部分離回避手段と、ロアハウジングの連通路内に設けられ、圧力室の圧力に基づいて受圧板収容室の内容積が増大する場合、ダイヤフラムの嵌合部に当接しダイヤフラムの移動を制限させるストッパ部と、を備えて構成される。
【0009】
嵌合部分離回避手段は、ダイヤフラムの嵌合部のテーパ面部と、円板部と、受圧板の下端部における円錐台部とにより形成されてもよい。受圧板の下端部における円筒部は、少なくとも1つの係合リブ、または、溝を有するとともに、ダイヤフラムの嵌合部は、係合リブが係合される溝または、円筒部の溝に係合される係合リブを有するものでもよい。さらに、受圧板の下端部における円錐台部は、少なくとも1つの係合リブ、または、溝を有するとともに、ダイヤフラムの嵌合部のテーパ面部は、係合リブが係合される溝、または、円錐台部の溝に係合される係合リブを有するものでもよい。
【0010】
ロアハウジングにおける圧力室の一部を形成する小部屋は、テーパ面部を有するものでもよい。ストッパ部は、圧力室に向き合う連通路の開口端面と面一となる端面を有し、連通路と一体に形成されるリブであってもよく、または、ストッパ部は、圧力室に向き合う連通路の開口端面に設けられ貫通孔を有する板状部材であってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る圧力センサによれば、受圧板の下端部とダイヤフラムの嵌合部との分離を回避する嵌合部分離回避手段と、ロアハウジングの連通路内に設けられ、圧力室の圧力に基づいて受圧板収容室の内容積が増大する場合、ダイヤフラムの嵌合部に当接しダイヤフラムの移動を停止させるストッパ部と、を備えるので真空度の比較的高い圧力を検出する場合であっても、ダイヤフラムが損傷することなく、しかも、ダイヤフラムと受圧板とが分離される事態を確実に回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る圧力センサの一例に用いられるロアハウジングを示す斜視図である。
【
図2】
図1に示されるロアハウジングを、連通管から観た斜視図である。
【
図3】本発明に係る圧力センサの一例の外観を示す平面図である。
【
図5】
図3におけるV−V線に沿って示される断面図である。
【
図6】
図5に示される断面図であって、
図3に示される例における動作説明に供される断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図3および
図4は、それぞれ、本発明に係る圧力センサの一例の外観を示す図である。
【0014】
図3および
図4に示される圧力センサは、例えば、図示が省略される炊飯器における蓋体内に配置される。
【0015】
図4において、圧力センサは、上述の蓋体内に配されるアッパハウジング12と、炊飯器本体内の鍋(不図示)の開口に向けて突出し鍋内に連通する連通管10INを有するロアハウジング10と、アッパハウジング12の受圧板収容室12A内に移動可能に配される受圧板24(
図5参照)と、受圧板24に結合され連通管10INを通じて導入される被検出圧力としての鍋内の圧力に応じて受圧板24を昇降動させるダイヤフラム18と(
図5参照)、受圧板24およびダイヤフラム18を受圧板収容室12Aの容積が増大する方向、即ち、ダイヤフラム18が連通管10INに近接する方向に付勢する付勢部材としてのコイルスプリング22(
図5参照)と、受圧板24の孔に圧入される永久磁石26(
図5参照)と、永久磁石26に向き合ってアッパハウジング12に配されるホール素子を含むコネクタ付信号処理回路基板28(
図5参照)と、を主な要素として含んで構成されている。
【0016】
アッパハウジング12は、例えば、耐熱性の樹脂材料(ABS)で成形されている。アッパハウジング12は、
図5に示されるように、後述するロアハウジング10の接合面10BWに溶着される基台部と、基台部に連なり上方に向けて延びコネクタ付信号処理回路基板28を支持する筒状部とから構成されている。
【0017】
筒状部の下部は、ダイヤフラム18で仕切られる受圧板収容室12Aを内側に形成している。筒状部の上部の内周部には、コイルスプリング22の付勢力を調整する調整ねじ部材14の雄ねじ部14MSが捩じ込まれる雌ねじ部12FMSが形成されている。
図4に示される筒状部における右端には、コネクタ付信号処理回路基板28が配置されている。受圧板変位検出部としてのコネクタ付信号処理回路基板28は、受圧板24が支持する永久磁石26の磁束密度を検出するものとされる。受圧板収容室12Aは、図示が省略される空気抜き孔を通じて炊飯器における蓋体内に連通している。
【0018】
基台部における後述するロアハウジング10の接合面10BWに、例えば、超音波溶着される部分には、ロアハウジング10の溝10Gaおよび10Gbにそれぞれ、嵌合される円弧状の突起部12Pが形成されている。また、突起部12Pに隣接して後述するダイヤフラム18のフランジ部18Bが挿入される溝12Gが受圧板収容室12Aの周囲に形成されている。
【0019】
ダイヤフラム18は、例えば、所定の厚さ(例えば、0.3mm以上0.5mm以下の厚さ)を有するシリコーンゴムで成形され、基台部に形成される溝12Gに挿入され外縁を形成するフランジ部18Bと、後述する受圧板24の最下端の中空の円錐台部24CYの端面に当接される円板部18Faと、円板部18Faと一体に形成され円錐台部24CYの側面に嵌め合わされるテーパ面部18Fbと、受圧板24の円錐台部24CYに隣接した張出部24Bに当接される環状部18Fcと、環状部18Fcと上述のフランジ部18Bとを連結し弾性変位可能な可動部18Mと、からなる。凹部の一部を形成するダイヤフラム18のテーパ面部18Fbは、嵌合される受圧板24の中空の円錐台部24CYのテーパ角度αに対応したテーパ角度、例えば、5°を有している。即ち、ダイヤフラム18の嵌合部がダイヤフラム18のテーパ面部18Fbと、円板部18Faとにより形成される。
【0020】
受圧板24は、例えば、耐熱性の樹脂材料(ABS)で成形され、永久磁石26が圧入される孔を上述のコネクタ付信号処理回路基板28を臨む位置に有している。受圧板24における上述の孔よりも上端部には、コイルスプリング22の一端に係合されるばね受け部が形成されている。コイルスプリング22の他端は、調整ねじ部材14の環状溝に受け止められている。受圧板24における上述の孔よりも下方の位置には、ダイヤフラム18の環状部18Fcが当接される張出部24Bが形成されるとともに、中空の円錐台部24CYが最下端に形成されている。これにより、受圧板24は、コイルスプリング22の一端に支持されるとともに、ダイヤフラム18のテーパ面部18Fbに支持されながら、アッパハウジング12の受圧板収容室12Aを形成する内周面に摺動可能に案内される。
【0021】
中空の円錐台部24CYのテーパ角度αは、例えば、3°以上5°以下の範囲の角度に設定されている。これにより、テーパ状の円錐台部24CYの直径は、ロアハウジング10の連通管10INに近接するにつれて増大する。
【0022】
従って、ダイヤフラム18のテーパ面部18Fbが、上述の鍋内の負圧に基づいて受圧板24のテーパ状の円錐台部24CYに対し離隔し引き離す方向に力が作用する場合、ダイヤフラム18のテーパ面部18Fbを押し広げる力に抗してダイヤフラム18自体の反作用力が作用するのでダイヤフラム18と受圧板24とが分離される事態が確実に回避される。即ち、嵌合部分離回避手段は、中空の円錐台部24CYと、ダイヤフラム18のテーパ面部18Fbと、円板部18Faとにより形成されることとなる。
【0023】
なお、嵌合部分離回避手段は、受圧板24の中空の円錐台部24CYと、ダイヤフラム18のテーパ面部18Fbと、円板部18Faとにより形成されているが、その代わりに、嵌合部分離回避手段は、ダイヤフラム18のテーパ面部18Fbに円周方向に沿って所定の間隔で形成される複数の溝と、受圧板24の下端の円筒部の外周部に円周方向に沿って形成されダイヤフラム18のテーパ面部18Fbの各溝に係合される複数の係合リブとにより形成されてもよい。さらに、加えて、例えば、受圧板24の円錐台部24CYは、ダイヤフラム18のテーパ面部18Fbの各溝に係合される複数個の係合リブを円周方向に沿って所定の間隔で有するように構成されてもよい。
【0024】
ロアハウジング10は、例えば、耐熱性の樹脂材料(ABS)で成形されている。ロアハウジング10は、
図1および
図2に示されるように、上述のアッパハウジング12の基台部が溶着される接合面10BWが形成される板状部10Bと、板状部10Bの両端に向かい合って一体に形成される取付部10Fと、板状部10Bの接合面10BWに対向する外面10Rに結合される連通管10INとを含んで構成されている。連通管10INは、炊飯器本体内の鍋(不図示)の開口に向けて突出し鍋内に連通するものとされる。各取付部10Fは、炊飯器の蓋体LB(
図5参照)に圧力センサを取り付けるための締結部材が挿入される取付孔10aを有している。
【0025】
接合面10BWにおける各取付部10Fの一端が結合される部分には、隣接して円弧状の溝10Gaおよび10Gbが形成されている。溝10Gaおよび10Gb相互間となる中央部分には、連通管10IN内の連通路16に連通する圧力室10Aが形成されている。圧力室10Aは、ダイヤフラム18と、一端が接合面10BWに対し開口するテーパ面部10ITと、により囲まれている。テーパ面部10ITは、例えば、約30°以上45°以下のテーパ角度を有している。テーパ面部10ITにおける最小径を有する端部には、ダイヤフラム18の円板部18Faに向き合う所定の深さDpを有する段差部10Sが形成されている。段差部10Sの内径は、ダイヤフラム18の円板部18Faの直径よりも若干大に設定されている。これにより、テーパ面部10ITを有する小部屋10INaがロアハウジング10の内側に形成されることとなる。ロアハウジング10における小部屋10INaの内容積が比較的小となるのでロアハウジング10の板状部10Bの下端面からアッパハウジング12の最上端面までの高さH(
図4参照)が従来のものに比して低くなる。その結果として、圧力センサの薄型化(低背化)が図られる。
【0026】
連通管10INの内側には、連通路16を二つに均等に仕切るリブ16Dが一体に形成されている。ストッパ部としてのリブ16Dの一端面は、上述の段差部10Sの面と共通の平面上にあり、所謂、段差部10Sの面と面一となっている。リブ16Dの他端面は、連通管10INの下端面と一致するまで延びている。このようにリブ16Dが設けられることによって、連通管10INの下端の開口から棒状の調理器具などを挿入することが困難となるのでダイヤフラム18および受圧板24における不所望な損傷が回避される。
【0027】
なお、リブ16Dの他端面は、斯かる例に限られることなく、例えば、連通管10INの下端面まで到達することなく中間部途中で終端してもよい。また、リブ16Dが連通管10INの内周部と一体に形成されることなく、例えば、リブ16Dのような帯状の部材が連通管10INの内側に向かい合って形成される縦溝に圧入されることにより固定されてもよい。
【0028】
さらに、斯かる例に限られることなく、例えば、ストッパ部は、貫通孔を有する板状部材、例えば、樹脂製の目皿、または、プレス加工により円板状に成形されたパンチングメタル等が連通管10INの連通路の開口端に段差部10Sの面と面一となるように嵌め込まれるように構成されてもよい。
【0029】
斯かる構成において、炊飯器本体内の鍋内の圧力が上昇し、連通管10INの連通路16を介して圧力室10Aの圧力が大気圧以上の正圧となった場合、受圧板24およびダイヤフラム18が上昇せしめられることにより、永久磁石26のコネクタ付信号処理回路基板28のホール素子に対する相対位置が変化するのでコネクタ付信号処理回路基板28からの正圧をあらわす出力信号が送出されることとなる。一方、炊飯器本体内の鍋内の圧力が下降し、連通管10INの連通路16を介して圧力室10Aの圧力が大気圧以下の負圧となった場合、受圧板24およびダイヤフラム18が下降せしめられることにより、永久磁石26のコネクタ付信号処理回路基板28のホール素子に対する相対位置が変化するのでコネクタ付信号処理回路基板28からの負圧をあらわす出力信号が送出されることとなる。その際、
図6に示されるように、圧力室10Aの圧力が、例えば、所定の真空度となる場合、ダイヤフラム18が下降せしめられたとき、ダイヤフラム18の円板部18Faが、段差部10Sの面、および、リブ16Dの一端面に当接され、ダイヤフラム18の円板部18Faの移動が制限されるとともに、可動部18Mが反転することなくロアハウジング10のテーパ面部10ITに当接されるので可動部18Mが損傷することが回避される。また、ダイヤフラム18が、圧力室10A内の負圧によって下降せしめられたとき、ダイヤフラム18のテーパ面部18Fbを押し広げる力に抗してダイヤフラム18自体の反作用力が作用するのでダイヤフラム18と受圧板24とが分離される事態が確実に回避される。
【0030】
従って、ダイヤフラム18と受圧板24との脱落が防止でき、負圧から復帰後の圧力センサの出力特性のずれも生じる虞がない。また、ダイヤフラム18が、圧力室10A内の負圧によって下降せしめられたとき、ダイヤフラム18の可動部18Mの反転がなく、ダイヤフラム18の中央の応力集中が防止されるのでダイヤフラム18の耐久性が向上する。さらに、小部屋10INaの内容積が比較的小となるので圧力センサの全体の高さが低くなり、圧力センサの小型化が図られる。
【0031】
なお、上述の例においては、本発明に係る圧力センサの一例が炊飯器に適用されたが、斯かる例に限られることなく、本発明に係る圧力センサの一例が他の調理器具に適用されてもよいことは勿論である。また、上述のロアハウジング10は、板状部10Bの両端に向かい合って一体に形成される取付部10Fを有しているが、斯かる例に限られることなく、例えば、各取付部は、その中心軸線が所定の角度をもって交わるように板状部10Bに配置されてもよい。
【符号の説明】
【0032】
10 ロアハウジング
10IN 連通管
10IT テーパ面部
10BW 接合面
12 アッパハウジング
16 連通路
16D リブ
18 ダイヤフラム
24 受圧板
24CY 円錐台部